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2026年2月20日金曜日

2026 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表!

今年2026年、第9回となるスプラッタパンクアワード、ノミネート作品が発表されました。いや、発表されてた…。
例年、前年大晦日に自薦、他薦による応募が締め切られ、2月初旬ごろに発表されるというペースだったのだけど、今年はなんと1月15日とずいぶん早いところで、本選発表となるキラーコンのサイトにて (2026 Splatterpunk Awards - KillerCon)。
昨年、毎年ノミネート作品発表は2月初旬ということで、いつものようにこっちの周年が終わったところからチェックし始めたんだが、いつまで経ってもどこからも発表がなく、結局4月末になってやっとBrian Keeneのホームページで発表された。 まあその間こちらは虫垂炎で入院と輪をかけるようにバタバタしてしまったのだが…。前年の本選発表などの様子から、本来そっちでやるはずだったキラーコンのサイトの方の事情ではないかと察せられ、今年はどうなるんだろうかと思っていたのだけど、 なんかいつもより早く1月半ばにそちらのサイトで発表。サイトのデザインも一新され、昨年ごろのバタバタを踏まえ、スタッフを強化しきちんとやって行こうという意図が感じられる。いや、良かったっすね。
当方、なーんかあれこれ拗らせた感じで12周年かなり手間暇かかることをやってしまい、更に1月寒冷期のお約束のような体調不良、まあ去年のようなことにならんようにという予防的なところもありでペースダウンし、そこに加えて個人的な事情などもあり全然そっちに気が回る余裕がなかったのだが、その辺の遅れはまあ例年通りぐらいのというところで勘弁してください。
というところで、昨年のゴタゴタを乗り越え、ここからまた頑張るぞと気合を入れて、いち早く発表された感じの今年2026年第9回のスプラッタパンクアワード、ノミネート作品です。

2026 Splatterpunk Award ノミネート作品


【長編部門】

  • At Dark, I Become Loathsome by Eric LaRocca (Blackstone Publishing/Titan Books)
  • Janitors vs. The Living Dead by Sisters of Slaughter – Melissa Lason and Michelle Garza (Death’s Head Press)
  • Music To Sacrifice Virgins To by Kristopher Triana (Bad Dream Books)
  • The Buffalo Hunter Hunter by Stephen Graham Jones (Saga Press/Titan Books)
  • The Home by Judith Sonnet (Madness Heart Press)

【中編部門】

  • Disco Rice by Robert Essig (Infected Voices Publishing)
  • Playground 2: Child of Divorce by Aron Beauregard (Bad Dream Books)
  • Runts by Daniel J. Volpe (Bad Dream Books)
  • Strange Stones by Edward Lee and Mary SanGiovanni (Clash Books)
  • The Freakshow: Rebirth In Drayton Falls by Bryan Smith (Grindhouse Press)

【短編部門】

  • “And She Was Made of Glass” by Lucas Milliron (from Full Throttle) (Uncomfortably Dark)
  • “Executive Decision” by Christine Morgan (from Full Throttle) (Uncomfortably Dark)
  • “Red Womb” by C.M. Guidroz (Independently Published)
  • “The Tripps” by Wrath James White (from The End of the World As We Know It: New Tales of Stephen King’s The Stand) (Gallery Books)
  • “Wrong Fucking Place, Wrong Fucking Time” by C. Robert Cargill (from The End of the World As We Know It: New Tales of Stephen King’s The Stand) (Gallery Books)

【短編集部門】

  • Let Not Your Sorrow Die by Bracken Macleod (Bad Hand Books)
  • Teenage Girls Can Be Demons by Hailey Piper (Titan Books)
  • The Essential Horror of Joe R. Lansdale by Joe R. Lansdale (Tachyon Publications)
  • This Is Splatterpunk: The John Skipp Primer by John Skipp (Fungasm Press)
  • Violent Nights by Candace Nola (Uncomfortably Dark)

【アンソロジー部門】

  • Choices: An Anthology of Reproductive Horror edited by Dianna Gunn (Renaissance Press)
  • Full Throttle edited by Candace Nola (Uncomfortably Dark)
  • Splatterpunk’s She Dotted Her Eyes edited by Jack Bantry (Independently Published)
  • Stories From the Motel Sick edited by Michael Allen Rose (Roshambo Publishing)
  • The Rack II: More Stories Inspired by Vintage Horror Paperbacks edited by Tom Deady (Greymore Publishing)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Christine Morgan
  • Ryan Harding


まず長編部門から。
Eric LaRoccaはデビューは2020年代でまだ新鋭というところだが、結構お馴染みで常連になり始めてきてる。ブラムストーカー賞などでもノミネート歴は多く、スプラッタパンク枠を超えたホラージャンルで大物になりつつある作家なのか。 早めに要チェックだろうな。
Sisters of Slaughterは、二人の女性作家Melissa LasonとMichelle Garzaの共同ペンネームということなんだと思われるが、実はこの二人2017年頃よりより連名のコンビ作家として活動しているが、このペンネームはまだあまり使われていないよう。 今後この名義でやって行くつもりなのかは不明。Sisters of Slaughterについて検索すると、有名なゲームウォーハンマーに登場するユニットとして出てくるが、このくらい有名なもんになるとそこから使ったぐらいのことはあるのかもしれん。
そしてこのアワード常連のKristopher Triana。昨年、ここでちょっとした旋風を巻き起こしたBad Dream Booksは健在で、三人衆の残り二人も中編部門でノミネートされている。
そして、Stephen Graham Jonesがスプラッタパンクアワードにも登場。なんか名前が引っ掛かって来る度に日本で出てないか調べるのだけど、現在までのところその様子はない。去年やっと一作読んだぐらいの自分が言うのもなんだが、Stephen Graham Jonesも 出ないようじゃ、日本の翻訳出版業界もう終わりじゃない?
Judith Sonnetの『The Home』は昨年ミスによりフライングでノミネートされてしまい、本選考から外れることが告げられたが、今年は正式にノミネート。

続いて中編部門。
前述の通り、Bad Dream Books三人衆のAron BeauregardとDaniel J. Volpeが、こちらの中編部門でノミネート。Beauregardの『Playground 2: Child of Divorce』は、2023年の長編部門を受賞した『Playground』の続編。
Robert Essigは昨年に引き続きの、中編部門でのノミネート。
まだまだ頑張るEdward Leeと『Strange Stones』を共作したMary SanGiovanniは、こちらでは初登場だと思うが2000年代初頭からブラムストーカー賞ノミネートを含む多くの著作があるホラー作家。
そして常連Bryan Smithは、こちらもまだ健在のGrindhouse Pressから。

短編部門では、アンソロジー『Full Throttle』と『The End of the World As We Know It: New Tales of Stephen King’s The Stand』から2作ずつがノミネート。
ニューヨークタイムズベストセラーの『The End of the World As We Know It: New Tales of Stephen King’s The Stand』とかは翻訳される可能性もあるのかもね。

短篇集部門。
『Let Not Your Sorrow Die』のBracken Macleodはなんか見覚えのある名前だな、と思っていたら、クライム方面で『ThugLit』や『Shotgun Honey』といったところにも作品を出してる人だった。
『Teenage Girls Can Be Demons』のHailey Piperは、2020年代からのまだ新鋭というところだが、作品数もそこそこあり英大手Titan Booksから出てるところを見るとEric LaRocca同様にもう少しメジャーなとこでも人気の作家なのかも。なんだか そっちの方の情報が全くない奴なんで申し訳ない。
『The Essential Horror of Joe R. Lansdale』はリストの中で唯一ペーパーバックのみなんだが、ランズデール作品ハップ&レナードの短篇集などを出してるお馴染みのTachyon Publicationsからで、まああんまり大きくないとこなんで電子書籍版は 出ないと思う。
そして2021年のJ.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARDにも選ばれたスプラッタパンクの重鎮ジョン・スキップの短篇集『This Is Splatterpunk: The John Skipp Primer』。このカッケーカバーを今回のトップ画像に。
短篇集『Violent Nights』と編集したアンソロジー『Full Throttle』がノミネートされているCandace Nolaも、2020年代登場の新鋭作家。この辺ちゃんとチェックしていかんとね。

アンソロジー部門。
『Choices』は作家・編集者であるDianna Gunnのセレクトによるアンソロジー。あまり知った名前はないんだが、彼女が注目する新しい作家というところが多いのだろうと思う。
『Splatterpunk’s She Dotted Her Eyes』はSplatterpunk Zine編集者であるJack Bantryセレクトによる過去作品のベスト的なものらしい。このジャンルのビッグネームも多く、入門用にもいいのかも。
『Stories From the Motel Sick』は、ワンダーランド・ブック・アワードの方でも結構常連のビザールフィクション作家Michael Allen Rose編集による、架空のモーテルMotel Sickで起こった出来事というくくりで様々なジャンルにわたる 作家の作品を集めたアンソロジーということ。なんか個人的には一番気になるかも。
『The Rack II: More Stories Inspired by Vintage Horror Paperbacks』はタイトル通りヴィンテージホラーペーパーバックからインスパイアされた作品によるアンソロジーの第2集。第1集『The Rack: Stories Inspired By Vintage Horror Paperbacks』は 前年2024年に出版。どちらも結構ビッグネームもあり、楽し気なアンソロジー。

最後にJ.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD。
もはやこのアワードでも常連お馴染みの、スプラッタパンク/エクストリームホラーの重鎮Christine Morgan。本業は精神科医の女性作家であることを昨年のワンダーランド・ブック・アワードまで知らず、根拠もなしにむさくるしい髭のおっさんだと 思い込んでいた…。
Ryan Hardingもお馴染みの名前だが、実はEdward Lee、Jack Ketchum、Brian Keeneなどの大物作家との共作が多く、ジャンルを下支えしてきた重要な人という感じ。

ニューヨークタイムズベストセラーから俺たち出版社までが並ぶこれは、まあ色んな意味で健全なアワードと言えるのではないか。扱ってるものは世界有数の不健全だが。2020年代登場の新鋭作家達も足場を固めつつあることが見て取れる今年の スプラッタパンクアワード、いかなる作品がその頂点となるのかに注目せよ。
本選の発表は、今年は11月6-8日にテキサス州オースチンで開催されるキラーコンにて。例年8月開催だったのが今年は11月に変わり、その理由も今後は11月になるのかも現在のところは不明。結構運営の方がバタバタしていたような昨年の状況による 遅れとも考えられるが、猛暑の盛りにこんないかにもむさくるしい危険人物たちを一か所に集めるのが危険行為だと気付かれたのかもしれん。同時期のワンダーランド・ブック・アワードとも重なり、年の瀬辺りにバタバタしそうだが、発表の際には こちらでもなるべく早くお伝えします。

9年もやっててさすがに記憶も曖昧になって来て、いちいち探すのが面倒になりコピペで全部並べて一覧を作ったところ、読んでる人もこういうのがあった方が便利だろうと気付いて、そちらもとりあえず形にして、下にアップしました。 まあ、早く気づけよだろうけど…。
12周年の後、発表されているのを発見しすぐに取り掛かり、精々3日ぐらいでアップできるだろうと思ってたんだが結局一週間というような体調と諸般の事情というような状況だが、何とかやっとここで一区切り。ここからはこっちの本店も コミックの方も通常運転に戻して行ければというところ。まあまだ色々とモタモタしそうではあるが…。ホントDerek Raymondいつになったらできるんだろう…。できるだけ頑張るですよ。


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■2026 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品
●長編部門

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スプラッタパンク・アワード 受賞/ノミネート作品 一覧

2018年より開始されたスプラッタパンク・アワードの各年の受賞作/ノミネート作の一覧です。各部門リスト先頭の太字作品が受賞作です。

2018年


【長編部門】

  • WHITE TRASH GOTHIC by Edward Lee (Deadite Press)
  • CONTAINMENT by Charlee Jacob (Necro Publications)
  • EXORCIST FALLS by Jonathan Janz (Sinister Grin Press)
  • THE HEMATOPHAGES by Stephen Kozeniewski (Sinister Grin Press)
  • SPERMJACKERS FROM HELL by Christine Morgan (Deadite Press)

【中編部門】

  • HEADER 3 by Edward Lee and Ryan Harding (Necro Publications)
  • THE BIG BAD by K. Trap Jones (Necro Publications)
  • DAMN DIRTY APES by Adam Howe (Thunderstorm Books)
  • KILLER CHRONICLES by Somer Canon (Thunderstorm Books)
  • THE LUCKY ONES DIED FIRST by Jack Bantry (Deadite Press)

【短編部門】

  • “The Tipping Point” by Jeff Strand, from Everything Has Teeth (Thunderstorm Books)
  • “Dirty Desk” by Jeffrey Thomas, from Chopping Block Party (Necro Publications)
  • “Extinction Therapy” by Bracken MacLeod, from Splatterpunk Fighting Back (Splatterpunk Zine)
  • “Melvin” by Matt Shaw, from Splatterpunk Fighting Back (Splatterpunk Zine)
  • “Molly” by Glenn Rolfe, from Splatterpunk Fighting Back (Splatterpunk Zine)

【短編集部門】

  • GORILLA IN MY ROOM by Jack Ketchum (Cemetery Dance Publications)
  • 2017: A YEAR OF HORROR AND PAIN, PART ONE by Matt Shaw (Amazon Digital Services)
  • EVERYTHING HAS TEETH by Jeff Strand (Thunderstorm Books)
  • THE GARDEN OF DELIGHT by Alessandro Manzetti (Comet Press)

【アンソロジー部門】

  • SPLATTERPUNK FIGHTING BACK, edited by Jack Bantry and Kit Power (Splatterpunk Zine)
  • CHOPPING BLOCK PARTY, edited by Brendan Deneen and David G. Barnett (Necro Publications)
  • DOA III, edited by Marc Ciccarone and Andrea Dawn (Blood Bound Books)
  • VS:X: U.S. VS U.K. EXTREME HORROR, edited by Dawn Cano (Shadow Work Publishing)
  • YEAR’S BEST HARDCORE HORROR VOLUME 2, edited by Randy Chandler and Cheryl Mullenax (Comet Press)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • David J. Schow



2019年


【長編部門】

  • Full Brutal by Kristopher Triana (Grindhouse Press)
  • A Gathering of Evil by Gil Valle (Comet Press)
  • Camp Slasher by Dan Padavona (Independently Published)
  • Last Day by Bryan Smith (Independently Published)
  • Rabid Heart by Jeremy Wagner (Riverdale Avenue Books)
  • Ring of Fire by David Agranoff (Deadite Press)

【中編部門】

  • Kill For Satan by Bryan Smith (Grindhouse Press)
  • 1000 Severed Dicks by Ryan Harding and Matt Shaw (Independently Published)
  • Cockblock by CV Hunt (Grindhouse Press)
  • Dead Stripper Storage by Bryan Smith (Grindhouse Press)
  • The Mongrel by Sean O’Connor (Matador)
  • The Writhing Skies by Betty Rocksteady (Perpetual Motion Machine Publishing)

【短編部門】

  • "The Seacreator" by Ryan Harding (Splatterpunk Forever)
  • "Diabolicus Interruptus" by Christine Morgan (Forbidden Futures #1)
  • "Fistulas" by Mame Bougouma Diene (Dark Moons Rising on a Starless Night)
  • "Rebound" by Brendan Vidito (Nightmares In Ecstasy)
  • "Virtue of Stagnant Waters" by Monica J. O’Rourke (Splatterpunk Forever)

【短編集部門】

  • DJStories by David J. Schow (Subterranean Press)
  • Dark Moons Rising on a Starless Night by Mame Bougouma Diene (Clash Books)
  • Nightmares In Ecstasy by Brendan Vidito (Clash Books)
  • The Very Ineffective Haunted House by Jeff Burk (Clash Books)
  • Walking Alone: Short Stories by Bentley Little (Cemetery Dance Publications)

【アンソロジー部門】

  • Splatterpunk Forever by Jack Bantry and Kit Power (Splatterpunk zine)
  • The Black Room Manuscripts Volume 4 by J. R. Park and Tracy Fahey (Sinister Horror Company)
  • Monsters of Any Kind by Alessandro Manzetti and Daniele Bonfanti (Independent Legions Publishing)
  • Welcome to the Show by Doug Murano and Matt Hayward (Crystal Lake Publishing)
  • Year’s Best Hardcore Horror Volume 3 by Randy Chandler and Cheryl Mullenax (Red Room Press)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • David G. Barnett



2020年


【長編部門】

  • Lakehouse Infernal by Christine Morgan (Deadite Press)
  • Carnivorous Lunar Activities by Max Booth III (Cinestate/Fangoria)
  • Killer Lake by W.D. Gagliani and David Benton (Deadite Press)
  • Reception by Kenzie Jennings (Death’s Head Press)
  • Merciless by Bryan Smith (Grindhouse Press)
  • Toxic Love by Kristopher Triana (Blood Bound Books)
  • They Kill by Tim Waggoner (Flame Tree Press)

【中編部門】

  • One For the Road by Wesley Southard (Deadite Press)
  • White Trash Gothic Part 2 by Edward Lee (Section 31 Productions)
  • Saint Sadist by Lucas Mangum (Grindhouse Press)
  • Weeping Season by Sean O’Connor (Uafas Press)
  • How Much To..? by Matt Shaw (Self-Published)
  • Paradise, Maine by Jackson R. Thomas (Alien Agenda Publishing)

【短編部門】

  • “Angelbait” by Ryan Harding (from The Big Book of Blasphemy, Necro Publications)
  • “Breaking the Waters” by Donyae Coles (from Pseudopod)
  • “Censered” by Christine Morgan (from And Hell Followed, Death’s Head Press)
  • “Shoulder Pain” by Chandler Morrison (from Macabre Museum Magazine)
  • “Param” by Susan Snyder (from Trigger Warning: Body Horror, Madness Heart Press)
  • “Norwegian Woods” by Jeremy Wagner (from The Big Book of Blasphemy, Necro Publications)

【短編集部門】

  • Dirty Rotten Hippies and Other Stories by Bryan Smith (Grindhouse Press)
  • Dead Sea Chronicles by Tim Curran (Bloodshot Books)
  • Various States of Decay by Matt Hayward (Poltergeist Press)
  • Dawn of the Living Impaired, and Other Messed-Up Zombie Stories by Christine Morgan (Death’s Head Press)
  • This Is A Horror Book by Charles Austin Muir (Clash Books)
  • Resisting Madness by Wesley Southard (Death’s Head Press)

【アンソロジー部門】

  • And Hell Followed, edited by Jarod Barbee and Patrick C. Harrison III (Death’s Head Press)
  • The Big Book of Blasphemy, edited by Regina Mitchell and David G. Barnett (Necro Publications)
  • Dig Two Graves, edited by Jarod Barbee and Patrick C. Harrison III (Death’s Head Press)
  • Midnight In The Graveyard, edited by Kenneth W. Cain (Silver Shamrock Publishing)
  • The New Flesh: A Literary Tribute to David Cronenberg, edited by Sam Richard and Brendan Vidito (Weirdpunk Books)
  • Polish Extreme, edited by Edward Lee & Karolina Kaczkowska (Necro Publications)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Edward Lee



2021年


【長編部門】

  • The Magpie Coffin by Wile E. Young (Death’s Head Press)
  • Pandemonium by Ryan Harding and Lucas Mangum (Death’s Head Press)
  • Tome by Ross Jeffery (The Writing Collective)
  • Dust by Chris Miller (Death’s Head Press)
  • Slaughter Box by Carver Pike (Self-Published)
  • Gone To See The River Man by Kristopher Triana (Cemetery Dance Publications)
  • They All Died Screaming by Kristopher Triana (Blood Bound Books)

【中編部門】

  • True Crime by Samantha Kolesnik (Grindhouse Press)
  • The Slob by Aron Beauregard (Self-Published)
  • Bella’s Boys by Thomas R. Clark (Stitched Smile Publications)
  • Juniper by Ross Jeffery (The Writing Collective)
  • Red Station by Kenzie Jennings (Death’s Head Press)
  • The Night Silver River Run Red by Christine Morgan (Death’s Head Press)
  • How Much 2 by Matt Shaw (Self-Published)

【短編部門】

  • “My Body” by Wesley Southard (from Midnight In the Pentagram, Silver Shamrock Publishing)
  • “The Incident at Barrow Farm” by M. Ennenbach (from Cerberus Rising, Self-Published)
  • “Full Moon Shindig” by Patrick C. Harrison III (from Visceral: Collected Flesh, Death’s Head Press)
  • “Phylum” by Tom Over (from The Comfort Zone and Other Safe Spaces, NihilismRevised)
  • “Footsteps” by Janine Pipe (from Diabolica Britannica, Keith Anthony Baird)
  • “Next In Line” by Susan Snyder (from Devour the Earth, Madness Heart Press)
  • “The God In The Hills” by Jon Steffens (from The God In the Hills, Filthy Loot Press)

【短編集部門】

  • The Essential Sick Stuff by Ronald Kelly (Silver Shamrock Publishing)
  • War of Dictates by John Baltisberger (Death’s Head Press)
  • Cerberus Rising by M. Ennenbach, Chris Miller and Patrick C. Harrison III (Self-Published)
  • Rhapsody In Red by Peter Molnar (Stitched Smile Publications)
  • Visceral: Collected Flesh by Christine Morgan and Patrick C. Harrison III (Death’s Head Press)
  • The Comfort Zone and Other Safe Spaces by Tom Over (NihilismRevised)
  • Blood Relations by Kristopher Triana (Grindhouse Press)

【アンソロジー部門】

  • Worst Laid Plans edited by Samantha Kolesnik (Grindhouse Press)
  • Chew On This edited by Robert Essig (Blood Bound Books)
  • Brewtality edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
  • Welcome To the Splatter Club edited by K. Trap Jones (Blood Bound Books)
  • Crash Code edited by Quinn Parker (Blood Bound Books)
  • If I Die Before I Wake Vol. 3: Tales of Deadly Women and Retribution edited by R.E. Sargent and Steven Pajak (Sinister Smile Press)
  • Psi-Wars: Classified Cases of Psychic Phenomena edited by Joshua Viola (Hex Publishers)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • John Skipp



2022年


【長編部門】

  • The Night Stockers by Kristopher Triana and Ryan Harding (The Evil Cookie Publishing)
  • Don’t Go To Wheelchair Camp by David Irons (Severed Press)
  • Trench Mouth by Christine Morgan (Madness Heart Press)
  • The Maddening by Carver Pike (Independently Published)
  • The Devoured And The Dead by Kristopher Rufty (Death’s Head Press)
  • Left To You by Daniel J. Volpe (D&T Publishing)

【中編部門】

  • Things Have Gotten Worse Since We Last Spoke by Eric LaRocca (Weirdpunk Books)
  • Midnight In The City Of The Carrion Kid by James G. Carlson (Gloom House Publishing)
  • Only The Stains Remain by Ross Jeffery (Cemetery Gates Media)
  • A Roll Of the Dice by Matt Shaw (Independently Published)
  • Sacrament by Steve Stred (Black Void Publishing)
  • Talia by Daniel J. Volpe (Independently Published)

【短編部門】

  • “Next Best Baker” by Jeff Strand (from Baker’s Dozen, Uncomfortably Dark)
  • “The Martini Club” by Aron Beauregard (from Beyond Reform, Aron Beauregard Horror)
  • “Fireflies and Apple Pies” by Thomas R. Clark (from The God Provides, St. Rooster Books)
  • “Sun Poison” by Stephen Kozeniewski (from Battered, Broken Bodies, Independently Published)
  • “Start Today” by Justin Lutz (from Teenage Grave, Filthy Loot)
  • “Abigail” by Daemon Manx (Terror Tract Publishing)

【短編集部門】

  • Beyond Reform by Jon Athan, Aron Beauregard, and Jasper Bark (Aron Beauregard Horror)
  • Black Tongue And Other Anomalies by Richard Beauchamp (D&T Publishing)
  • Sinister Mix by Brian Bowyer (Independently Published)
  • Shattered Skies by Chris Miller (Death’s Head Press)
  • Twisted Tainted Tales by Janine Pipe (Pipe Screams Press)
  • May Cause Ocular Bleeding by Nikolas P. Robinson (Independently Published)

【アンソロジー部門】

  • Body Shocks edited by Ellen Datlow (Tachyon Publications)
  • Baker’s Dozen edited by Candace Nola (Uncomfortably Dark)
  • Between A Spider’s Eyes edited by River Dixon (Potter’s Grove Press)
  • Bludgeon Tools edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
  • Gorefest edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
  • Battered, Broken Bodies edited by Matt Shaw (Independently Published)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Clive Barker



2023年


【長編部門】

  • Playground by Aron Beauregard (Independently Published)
  • The Television by Edward Lee (Madness Heart Press)
  • Faces of Beth by Carver Pike (Independently Published)
  • Last of the Ravagers by Bryan Smith (Thunderstorm Books / Death’s Head Press)
  • Mastodon by Steve Stred (Black Void Publishing)
  • Ex-Boogeyman (Slasher vs The Remake) by Kristopher Triana (Bad Dream Books / Thunderstorm Books)

【中編部門】

  • Plastic Monsters by Daniel J. Volpe (Independently Published)
  • Charcoal by Garrett Cook (Clash Books)
  • Grandpappy by Patrick C. Harrison III (Independently Published)
  • Mr. Tilling’s Basement by Edward Lee (Deadite Press)
  • #thighgap by Chandler Morrison (Cemetery Gates Media)

【短編部門】

  • “Jinx” by Bridgett Nelson (from A Bouquet of Viscera)
  • “Just Another Bloodbath at Camp Woe-Be-Gone” by R.J. Benetti (Independently Published)
  • “Of The Worm” by Ryan Harding (from Splatterpunk Zine issue 13)
  • “My Chopping List” by Stephen Kozeniewski (from Counting Bodies Like Sheep, The Evil Cookie Publishing)
  • “Gutted” by Bracken MacLeod (from Splatterpunk Zine issue 13)

【短編集部門】

  • A Bouquet of Viscera by Bridgett Nelson (Independently Published)
  • Always Listen To Her Hurt: Collected Works by Kenzie Jennings (Blistered Siren Press)
  • Mr. Tilling’s Basement and Other Stories by Edward Lee (Deadite Press)
  • Horrorsmut by Christine Morgan (The Evil Cookie Publishing)
  • Pornography For the End of the World by Brendan Vidito (Weirdpunk Books)

【アンソロジー部門】

  • Camp Slasher Lake, Volume 1 edited by D.W. Hitz and Candace Nola (Fedowar Press)
  • Human Monsters edited by Sadie Hartmann and Ashley Sawyers (Dark Matter Ink)
  • Counting Bodies Like Sheep edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
  • Call Me Hoop edited by SC Mendes & Lucy Leitner, created by Drew Stepek (Blood Bound Books)
  • Czech Extreme edited by Lisa Lee Tone and Edward Lee (Madness Heart Press)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Monica J. O’Rourke



2024年


【長編部門】

  • Maeve Fly by C. J. Leede (Tor Nightfire)
  • The Night Mother by John Everson (Dark Arts Books)
  • Pedo Island Bloodbath by Duncan Ralston (Shadow Work Publishing)
  • Dead End House by Bryan Smith (Grindhouse Press)
  • Along the River of Flesh by Kristopher Triana (Bad Dream Books)

【中編部門】

  • Snow Angels by Lucas Mangum (D&T Publishing)
  • The Bighead’s Junk by Edward Lee (Evil Cookie Publishing)
  • Smokey Elvis and Danzick Battle Swamp Ass by Lance Loot (Independently Published)
  • Sirens and Seaweed by Candace Nola (Uncomfortably Dark Horror)
  • Bowery by Matthew Vaughn (Independently Published)

【短編部門】

  • “My Octopus Master” by Stephen Kozeniewski (from Dead and Bloated, Evil Cookie Publishing)
  • “Blood Harmony” by Chet Williamson (from The Drive-In: Multiplex, Pandi Press)
  • “Unfound Footage” by Patrick Lacey (from Splatterpunk’s Basement of Horror, Splatterpunk Zine)
  • “Hide/Invert: A Saga In Ten Reels” by David J. Schow (from The Drive-In: Multiplex, Pandi Press)
  • “The Night People” by Bryan Smith (from The Gauntlet, Grindhouse Press)

【短編集部門】

  • Transcendental Mutilation by Ryan Harding (Death’s Head Press)
  • Something Very Wrong, Jonathan Butcher (Independently Published)
  • Woe To Those Who Dwell On Earth John Lynch (High Explosive Horror)
  • Gush: Tales of Vaginal Horror by Gina Ranalli (Madness Heart Press)
  • Beautiful Darkness by Jay Wilburn (Madness Heart Press)

【アンソロジー部門】

  • We're Here: An Anthology of LGBTQ+ Horror edited by Angelique Jordonna and James G. Carlson (Gloom House Publishing)
  • Splatterpunk’s Basement of Horror edited by Jack Bantry (Splatterpunk Zine)
  • Blood and Blasphemy edited by Gerri R. Gray (Hellbound Books)
  • Dark Disasters edited by Candace Nola (Uncomfortably Dark)
  • Dead and Bloated edited by K Trap Jones (Evil Cookie Publishing)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Wrath James White
  • Ray Garton
  • Craig Spector



2025年


【長編部門】

  • The Old Lady by Kristopher Triana (Bad Dream Books)
  • Benjamin by Aron Beauregard and Shane McKenzie (Bad Dream Books)
  • This Wretched Valley by Jenny Kiefer (Quirk Books)
  • American Rapture by C. J. Leede (Tor Nightfire)
  • The Home by Judith Sonnet (Madness Heart Press)※

【中編部門】

  • Living Death Race: Beauty & the Brains by John Everson (The Evil Cookie Publishing)
  • A Life of Crime by Aron Beauregard (Bad Dream Books)
  • Master of Bodies by Robert Essig (Infected Voices Publishing)
  • Nipping Them In the Bud by Edward Lee (Deadite Press)
  • For The Better by Daniel J. Volpe (Bad Dream Books)

【短編部門】

  • “Together Forever” by C.V. Hunt (from The Obituaries #6: Red Romance) (Bad Dream Books)
  • “The Old College” by Aron Beauregard (from Fear of Clowns) (Kangas Kahn Publishing)
  • “Genital Grinder 2.5” by Ryan Harding (from Y’all Ain’t Right) (The Evil Cookie Publishing)
  • “Fulfillment” by Sidney Shiv (from Where Devils Dance) (Independently Published)
  • “Baby, I’d Die 4 U” by Kristopher Triana (from The Obituaries #6: Red Romance) (Bad Dream Books)

【短編集部門】

  • This Skin Was Once Mine and Other Disturbances by Eric LaRocca (Titan Books)
  • Gold and Gore by Candace Nola (Uncomfortably Dark)
  • Every Night In The Bone Orchard by Judith Sonnet (Independently Published)
  • Sucking Chest Wound and Other Horrors by Daniel J. Volpe (Bad Dream Books)
  • Wrecks & Violets by Mehitobel Wilson (Cimarron Street Books)

【アンソロジー部門】

  • Splatology 2.0 edited by Sidney Shiv and Chisto Healy (Unveiling Nightmares)
  • Dethfest Confessions: The Devil’s Playlist edited by Mark Tullius and Lyndsey Smith (Vincere Press)
  • The Obituaries #6: Red Romance (Bad Dream Books)
  • Shocking Sojourns edited by Sidney Shiv (Independently published)
  • Y’all Ain’t Right edited by K Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Joe R. Lansdale
  • Lucy Taylor



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2025年12月18日木曜日

2025 ワンダーランド・ブック・アワード 受賞作品発表!

あ~あ、やっぱりだよ…。つい先日、もう今年も最後だと思ってガラにもなく、良いお年を、とか吹いてたら舌の根も乾かんうちにもう一回やることになっちまった。まあ、そうなるかもという予感もあって、最後に言ってたけどさ…。

なんか最初からボヤキで始まって申し訳ないが、2025年のWanderland Book Awardの発表です。
前回、いつまでたっても発表が来ないんだよー、ボクがさぼってるんじゃないからねー、とお伝えし、12月15日の午後ぐらいに記事をアップした後、夜になって念のため検索し、あーやっぱまだだなあ、と思いつつちょっと 思い付きで、「Wonderland Book Award」の過去の検索履歴に「2025」を久し振りに足してみたところ、これまでなかった項目が見つかりそこを辿ってみると、Wonderland Book AwardやBizarroConの告知をやってるBizarro Centralの中に "Wonderland Award Winners 2025"というのが出てきました…。
一応記事の日付は11月17日になってるんだが、このサイトかなりしつこく見に行ってたけど今までそんなのなかったんで、多分11月17日に受賞作の方は決定したけど、発表するBizarroCon開催の方が決まらないんで、そっちの発表ができたら出す予定で準備的に書いといて下書き保存みたいな状況になってて、結局そっちの方の開催発表の方がどうにもならなくなったんで、この2~3日ぐらいのところでそれそのまま出しちゃったみたいな事情なんだと思う。なんか記事の方も前置き全然なくて、いきなり作家作品紹介するような形になってるし。いや、日付をごまかしてるとかじゃなくて、最後に保存した日にちが出てしまうシステムのところってだけなんだろうけど。なんだかこれを書き始めてる時点では、そういう情報をいち早く伝えてくれるLocus OnlineやFile 770の方でも記事が出て来てないぐらいなんで、ホントに昨日今日ぐらいのことかも?

まあこちらでなかなか伝えられなかった事情説明ではあるんだが、結構頑張ったんだろうけどうまく行かなかったそっちの人たちを責めるようになっちゃうのは申し訳ないと思うんで、とにかくご苦労さんでした、うまく行かなくて残念だったね、というぐらいで、何とか今年もアワードやってくれてありがとうとして、後はそちらの方をお伝えして行きます。

2025 Wanderland Book Award


短篇集部門

  • The Expectant Mother’s Disinformation Handbook by Robert Guffey (Madness Heart Press)
  • Inappropriate Toasts for All Occasions by Michael Allen Rose (Madness Heart Press)
  • All Your Friends Are Here by M. Shaw (Tenebrous Press)
  • Vile Visions: Volume Two by Riley Odell (Independently Published)
  • God Is Wearing Black by Kelby Losack (Ugly Child)


短篇集部門受賞作品は、Robert Guffeyの『The Expectant Mother’s Disinformation Handbook』。
『妊婦のための偽情報ハンドブック』というタイトルのこの作品は、その名の通り妊産婦に関する医学的ガイドブックの形を取っており、Quantum Singularity Syndrome (量子特異点症候群)、Spontaneous Infant Combustion Syndrome (乳児自然発火症候群)、 Black Hole Syndrome (ブラックホール症候群)などの病気についてや、子宮内の胎児にインターネット接続を許可することへの危険性などについて、架空の専門家の脚注なども加え、科学的、専門的に解説しているというような作品。シェークスピアが妊娠を 発明したという驚くべき事実も語られているとか。
Robert GuffeyはCalifornia State Universityの英文科講師で、これまでにも10冊ぐらいの謎の著作があり、2022年の『Operation Mindfuck: QAnon and the Cult of Donald Trump』は、かのアラン・ムーアにも高く評価されているそう。

その他のノミネート作品について。
『Inappropriate Toasts for All Occasions』のMichael Allen Roseは、2022年に長編/中編部門を『Jurassichrist』で受賞の他、2023年の短編賞部門受賞作の『The Last 5 Minutes of the Human Race』の共作者でもある。
『All Your Friends Are Here』のM. Shawは、2023年に『One Hand to Hold, One Hand to Carve』で長編/中編部門を受賞している。
『Vile Visions: Volume Two』のRiley Odellについてはこれまでのノミネート歴など分からないのだが、Volume Twoとなっているように、2022年に『Vile Visions』も出ている。アンソロジーの編集なども手掛けている他、ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)の社会的な理解と受容のための活動家でもあるそう。
『God Is Wearing Black』のKelby Losackは、これまで数作の著作はあるが、受賞歴は無しというところだが、最近Substackに自分の選んだ21世紀映画ベスト200というのを出してて、そこで三池崇史の『殺し屋1』を一位に挙げてたのを見た。今後に結構注目かも。

長編/中編部門

  • Nympho Shark Fuck Frenzy by Susan Snyder and Christine Morgan (Madness Heart Press)
  • Starlet by Danger Slater (Ghoulish Books)
  • Apeship by Carlton Mellick III (Eraserhead Press)
  • Reality But More Fun by Madeleine Swann (Nictitating Books)
  • Kennel by Garrett Cook (Madness Heart Press)


長編/中編部門受賞作は、Christine MorganとSusan Snyderによる『Nympho Shark Fuck Frenzy』。
『色情狂のサメが狂乱的にファックする』というタイトルがすべてを語っておる、とかのエドワード・リー先生に言わしめた作品。リー先生によると聖書ほどの厚さがあるということで見てみたら、420ページの大長編。あー単純に日本の本 思い浮かべちゃダメだよ。翻訳されたら大体1.5倍かそれ以上になるから。
水族館で唯一の初の飼育の成功例となったホオジロザメ。水槽の中で威容を誇る彼だが、外の世界、同胞については何も知らない。唯一のものは彼にえさを与え育ててくれた美しい存在。だが、ある災害が彼をその閉ざされた安全な世界から、 外の世界へと強制的に解き放ち…。という作品らしい。
作者の一人、Christine Morganはスプラッタパンクアワードではもはや常連の一人なんだが、女性作家だというのを今の今まで知らなかった!申し訳ない…。そうだよな、クリスティンだもんな。根拠もなしにこのジャンルでは定番の とことんむさくるしい髭のおっさんを思い浮かべていた…。
多数の著作がある彼女だが、本業は精神科医で、最近30年のキャリアの末母親の介護のため離職し、現在は父親と共に砂漠地帯で次の展開に備えつつ隠遁しているということ。
共作のSusan Snyderもスプラッタパンクアワードで2度のノミネート歴がある他に、海洋学者としての一面も持ち、サメ映画についてやや皮肉に語ったノンフィクションの著作もあるそう(『Encyclopedia Sharksploitanica』(2021))。その他、 詩集も2冊出版。

その他のノミネート作品について。
『Starlet』のDanger Slaterは、2017年に『I Will Rot Without You』で長編/中編部門を受賞している。他にも多くの著作があり、割とユーモアのある感じのカバーが印象的。
『Apeship』のCarlton Mellick IIIは、もはやこのジャンルの重鎮といえる多くの著作のある作家。いつもながらこの人のカバーはいかす。
『Reality But More Fun』のMadeleine Swannもスプラッタパンクアワードのノミネート歴もあるそうなんだが、見つからなかった。ごめん。なんか名前見覚えあるんだがな?長編/中編部門ではそっちの活躍もある人が多い。
『Kennel』のGarrett Cookは、2014年に短篇集部門を『Time Pimp』で受賞している。経歴を見たら自著『Jimmy Plush, Teddy Bear Detective』のキャラによる「Mr. Plush, Detective」というのがミステリマガジンに載ったそうなんだがいつのだかわからん。この人も三池崇史のファンだそう。

*  *  *

そんなわけで、何とか年内にワンダーランドブックアワードの方も片付きました。なんか今年はスプラッタパンクの方も、両方ともそれぞれ事情は違えどバタバタしてたな。
ワンダーランドブックアワードの方も、来年どうなるのかはちょっとわからんけど、少し説明してみただけでもこれだけ面白そうな作品を選べるんだから、何とか続けてもらいたいものだと願います。
スプラッタパンクアワードの方も大丈夫かなと思ってちょっと調べてみたら、来年のKillerconの開催はもう決まってるけど、これまでの8月から、来年は11月頭になるとか。なんかホラーを取り巻く状況とか変わって来てんのかな?悪い方じゃないといいけど。
多分一応アメリカって限定しといた方がいいのかと思うけど、その辺のホラーの状況って、音楽みたいなところに例えるとわかりやすいのではないかと思う。つまり、メジャーなJ-Pop的な部分がまずあり、スプラッタパンクやビザールフィクションみたいな部分は、 ロックだとかメタルとか、テクノやノイズといったところに位置するんだろうと思う。大体音楽とか昔からそういう形なんで、最近のものは聴かない年の人でも大体見当つくと思うけど。
女性にも人気のメジャーなベストセラー的なところすらほとんど入って来ない日本じゃ、その辺のところは本当に遠いところなんだろうと思う。なんか入ってきたらきたで、日本の実話怪談の方が怖い、日本の勝ちー!レベルに粗雑に 扱われるだけみたいなことになるんだろうけどね。
そういった手の届きにくいけど確実に面白いものがあるというところで、「『妊婦のための偽情報ハンドブック』を一位にしたのはまずかったネ」みたいなことを決して言い出さない、視野の狭い小手先の売れる売れないに振り回されずに優れた作品を 選び出してくれる場というのは本当に貴重だと思う。色々と苦しいところもあるんだろうが、両アワード共になるべく長く続いてこのジャンルの優れた作品を選び出して行ってもらえればと願うよ。
とりあえずスプラッタパンクアワードについては、今年12月31日のノミネート応募締め切りも告知されてるが、発表が11月となるとノミネート発表の時期も変わるのかも?とにかく2月ぐらいからはしつこくBrian Keeneのホームページをチェックしに行かねば。 そして秋ごろにはまた「Wonderland Book Award」を毎日のように検索してみよう。来年は順当に行けば、11月にどちらも発表となると結構大変そうだが、そこんところはもうハロウィン後のホラー祭りじゃい!と頑張れるといいですね。
前回書いたように、やっと当方でもいくらかこの辺でセレクトされたホラー作品を読み始めたが、なかなか書くまでの余裕が作れない。とりあえずはとにかく読んで積み重ねて行けば、こっちジャンルに関する視野も広がるんではないかと。来年には何とか少しずつでも書けるように努力しますです。
というわけで、今度こそ本当に今年最後です。最後だよな…?今度こそ、良いお年を。ではごきげんよう。

●関連記事

2024 ワンダーランド・ブック・アワード 受賞作品発表!

過去(2008-2023)の受賞作一覧はこちら→



■Wonderland Book Awards 2025
●短篇集部門

●長編/中編部門

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2025年9月3日水曜日

Stephen Graham Jones / Mongrels -現代アメリカ社会の陰を放浪する人狼たち-

今回はStephen Graham Jonesの『Mongrels』。2016年にHarperCollinsより出版されたホラージャンルの作品です。
ホラー関連のある部分では、もはや定番の必読書となっているような作品で、しばらく前からもはや強迫観念による譫言の様にもっとホラーを読まなくてはと言い続けている私として、とにかくまず手に取ったのがコレ。

ブラムストーカー、ローカスといったあたりでも受賞歴も多く、本当なら代表作数冊ぐらいがハードカバーぐらいで翻訳されていてしかるべきぐらいの作家だが、ほぼ未紹介ということなので、とりあえずは簡単な経歴から。
1972年生まれ、ネイティブ・アメリカンブラックフット族の出身。フロリダ州立大学在学中に博士論文指導教員によりHoughton-Mifflin社の編集者に紹介され、博士論文として書いた小説『The Fast Red Road』が2000年にデビュー作として出版される。
実験小説、ホラー、犯罪小説、SFといった様々なジャンルで多くの作品を出版しているが、彼の作品はその出自に深く関係するNative American Gothicまたは、Rez Gothicと形容されることが多い。
代表作として挙げられるのは、実は今回の『Mongrels』以後の作品が多いのだけど『Night of the Mannequins』(2020)、『The Only Good Indians』(2020)、The Indian Lake Trilogyの『My Heart Is a Chainsaw』(2021)、『Don't Fear the Reaper』(2023) といったところ。つまり現在注目度、評価が高まり続けている作家という感じ。
なんか改めて経歴書いてみると、『Mongrels』読まなきゃで延々止まってる間に作家的評価どんどん上がってったような気もするが…。

で、この『Mongrels』なのだが、実は経歴に見られるようなネイティブ・アメリカンについて書かれた作品ではない。うーん、色々通ずる部分はあるのかもしれないけどね。
人狼テーマの作品で、ホラージャンルに属するんだけど、怖くはない。これ読んで夜中にトイレに独りで行けなくなる人はいないと思う。まあでも分類すればホラージャンルだよな。
これは最初は8歳で登場する人狼一族の少年が、故郷を離れ、同じく人狼の叔父と叔母の三人で、アメリカ各地を放浪して暮らし、16歳になるまでの物語。
とりあえず、ブコウスキー風に書かれた人狼物語という感じに言っておこう。実はある事情によりブコウスキー風というのはややゴリ押し的に入れたので、かなり異論のある人も多いかと思っているのだが、とりあえずその「ある事情」については、 後ほど説明します。
では、『Mongrels』です。

Mongrels


爺ちゃんは僕にいつも、自分は人狼だと言っていた。
彼はLibby叔母さんと、Darren叔父さんを説き伏せ、自分の20年前のことを頷かせようと試みていた。風車少し上ったところで、自身の爪で雨を裂いた時のことを。彼は四つ足を降ろしブーンヴィル郊外の下り坂道で列車と競争し、そいつを打ち負かした。 彼は満載されたアーカンサスの田舎者よりも早く田舎道を駆け抜けた。生きて羽ばたく鶏を口にくわえて、その全てからのスリルに眼を濡れ輝かせながら。爺ちゃんの物語では常に月は満月で、彼を後ろからスポットライトのように照らしていた。
Libbyはそれにうんざりしてたようだった。
Darrenは、その横長の口を本当には浮かべたくない笑みの類いの形に縮めていた。特に爺ちゃんがリビングルームをゆっくりとのし歩き、いかにして羊をフェンス際に一団にして追い詰め仕留めたかを演じる時には。
Libbyは大抵は、爺ちゃんが群れを突っ切り、羊が叫び、爺ちゃんの口があらゆる狼がそうであるように、大きく開き、飢えてその黄色い歯が暖炉の光に鈍く照らされる前に去っていた。
Darrenは、ただ首を振り、椅子の横に置いてあったストロベリー・ワイン・クーラーを持ち上げた。
そして僕。僕は8歳になりかかっているところで、母さんは僕が生まれた日に亡くなっていて、父さんについては誰も話すことはなかった。

LibbyとDarren、主人公「僕」の母親とは三つ子だった。
Libbyは主人公の亡くなった母代わりに彼を育ててきたが、「母さん」と呼ばれるのは嫌っていた。
Darrenは22歳になったその年、6年の放浪生活から戻ったところだった。彼らの一族の男は16歳になると、一匹狼として旅立つ。

「なぜ16歳なの?」と僕は爺ちゃんに訊いた。
なぜなら16は8の二倍なのを知っていた。そして僕はもうすぐ8歳。それは出て行くまでほとんど半分が過ぎたということだ。でも僕はDarrenのように出て行かなければならなくなるのが嫌だった。そのことを考えると腹が空っぽになるような気分だった。 僕がこれまでの人生で知っているところは爺ちゃんの家だけだった。

Darrenが家に戻ったのは、Libbyの粗暴な元夫Redのためだった。祖父は年を取り過ぎていて、Redと彼女の間に立つことはできなかった。
「ある種の連中は人間社会にうまく溶け込めないのさ」Darrenは言う。
「そしてある連中はそれを望むこともしない」祖父は言った。

祖父と叔父叔母との四人の生活。ちょっとほら吹き爺さんの気もある祖父により、様々な人狼話が語られて行く。
「人狼には剃刀は必要ない」なぜなら狼に変身して、人間形態に戻る時、のびていた髭はその体毛と一緒に全て引っ込んでしまうからだ。
「でも、でも爺ちゃんは人狼なんでしょう?」「僕」は髭の生えた祖父に言う。
「俺の歳になるとな、もう狼に変わるのは死刑宣告なのさ」

そして腕の傷を指して言う、これは何の傷だと思う?撃たれた跡?違う、こいつはダニだ。
狼から人間に戻る時、ダニがそのまま体の中に入ってしまった。そして町の医者へ行き、先を熱したコートハンガーで抉り出してもらった。
「なぜこんな傷跡がまだ残ってるかわかるか?傷をちゃんと塞いだり、縫ったりもせず?」祖父は言う。
それは彼らの中にある血のためだ。
「もしその医者が爪の甘皮に一滴でも血を零したら、そいつは撃ち殺されるしかないムーンドッグに変わってしまう」

「もしそいつが噛まれたら、あるいは血を浴びたら、それはそいつの中を小さな子犬みたいに素早く走り回り、焼き、痛めつける。そいつにできるのは苦しむことだけだ。あの手のやつ、頭が狼で身体が人間。奴らは自分に何が起こったのか決して理解できない ただ走り回り、よだれを垂らし、噛みつき、自分自身の皮から抜け出そうと試みる。時には自分自身の腕や足を噛みちぎって、痛みを止めようとさえする」
祖父はそのまま黙り、窓の外を見つめた。
そしてLibbyもDarrenも何も言わなかった。

「話を真に受けないようにね」後に「僕」を学校へ送る車を運転しながらLibbyが言った。
「あたしもあの傷がいつ付いたのか知らない。あたしたちが生まれる前の話だもの」
「お婆ちゃんがいたからだね」彼の祖母は母と同じように、出産の際に死亡している。彼ら一族にかけられた呪いであるかのように。
「次に爺さんがあの馬鹿話をするときには、ダニはもう腕の後ろにはいないでしょうね。それは肘の古傷になって、医者はコートハンガーじゃなくてポケットナイフを使ったことになってるんじゃないかしら。昔一度あたしたちに話したときには口の横にある傷だったのよ」
人狼の物語とはそういうものさ。
いかなる証拠もない。変わり続ける話があるだけ。自身に捩じり戻り、毒を吸い出そうとその腹に噛みつくように。

その翌週、彼らは野原の中に裸でいる祖父を見つける。膝と手は血だらけで。彼らを見返す目には何も映っていないようだった。
Darrenと「僕」が彼を見つけた。「死んでないよ」「僕」は言った。それが本当になるように。
Darrenは2歩下がり、持っていたボトルを割った。
「親父はいくつだと思う?」「僕」に問いかけた。
「55歳さ」Darrenは言った。「そうなるのさ」
Darrenがボトルを割った音を辿って、Libbyが駆け付けた。
「親父は変わったと思ったんだ」Darrenは顔を歪めて、言った。
「助けて!」Libbyはそう言うと祖父の横に跪き、頭を膝に乗せようとした。

その週、「僕」は学校へ行くのをやめた。祖父を生かしておくために。彼に物語を話させ続けることで。
祖父が「僕」に話した最後の話は、彼のすねにあるへこみについてだった。
その日はLibbyが、やってきた元夫のRedともめている日だった。Libbyは顔の殴られた痣をステーキ肉で冷やし、また外へ出て行った。
そして家の外からはまた争う音が聞こえて来た。
「Redだよ」と「僕」は言い、「Redか」と祖父は応えた。

「あいつは悪い狼じゃない」祖父は首を振りながら続けた。
「だがいい狼は大抵はいい人間じゃない。憶えておけよ」
それは「僕」を別の考えに導く。いい人間は、悪い狼なのか?それはいいことなのか悪いことなのか?
「あの子にはそれがわからん」祖父は言った。「だがあの子は母親にそっくりだ」

Darrenは祖父のすねのへこみを指さして言う。「こいつそれがどうしてできたか知りたがってるぜ」
そして祖父は笑いながら話す。それは狂犬病にかかった犬。寝ていたLibbyを起こすまいと、祖父は丸頭ハンマーを使ってその犬を始末しようとした。
だが犬は祖父の周りをぐるぐると周り一向に捕まらない。
そして思い切って振り下ろしたハンマーは犬から外れてすねを打ったという話。
祖父は最後に短く笑った。
そして「僕」はそれは笑いじゃなかったと思った。

次の月曜日、Libbyは「僕」を強引に学校に戻した。
だがそれは二日で終わった。
火曜日、Libbyの運転する車に送られて学校から帰ると、祖父が正面ドアから身体を半分外に出し、そのまま止まっていた。曇った眼は開かれ、口の周りをハエと蜂が飛び回っていた。
Libbyが止めるより早く「僕」は車から飛び出し、祖父に駆け寄った。
だがその足が止まり、そして後退した。
祖父は単に身体を半分外に出しているわけではなかった。彼は人間と狼の半ばにあった。
腰から上、ドアから出ている部分は、同じだった。だが彼の足、まだキッチンのリノリウムの上にある部分は、絡み合った毛が生え、形が異なり、違う筋肉がついていた。足は、踵が犬の後ろ向きの膝に変わるまで、二倍の長さに伸びていた。太ももは 前向きに膨らんでいた。
祖父はいつも言っていた通りのものだった。
「父さんは森に行こうとしていたのね」Libbyが言い、そちらを見た。
「僕」もそうした。

家に入ることもできず、二人が車のテールゲートに座って、食べそこなった昼のサンドイッチを分けて食べているところに、Darrenが帰って来た。
「駄目だ」祖父の姿を見て言うDarren。「駄目だ、駄目だ、駄目だ、駄目だ!」彼は叫んでいた。その声が充分に大きければ、それが真実になるかのように。

やがて、Darrenは盗んだホイールローダーに乗って帰って来た。
家の前にそれを乗り付けたDarrenは、前のシャベルに祖父を乗せた。
二人もそれに乗り込み、ホイールローダーは森の先の小川まで行った。
Darrenは祖父を持ち上げ、乾いた草の上に寝かせた。それからホイールローダーのシャベルで、急な土手に穴を掘った。

Darrenは祖父を抱き上げ、Libbyを見て、それから「僕」を見た。
「お前の爺さんだ」彼は言い、祖父を持ち上げた。「俺がこのジジイについて一つ言えることはだ。かれはいつも自分の夕飯を店で買うより、追い掛けて捕まえる方が好きだったってことさ、そうだろう?」
Darrenは泣きながらそう言い、Libbyは唇を噛み、髪で顔を隠した。

Darrenは祖父を新しい穴に降ろした。そしてシャベルで土を戻して被せた。更に土を掘って被せ、小川を掬って水をかけた。そしてその小山を何度も激しくつぶした。祖父の骨がバラバラになり、誰かが掘り出すことがあっても決してわからないように。
これが人狼を葬るやり方だ。

帰り道、車の上で「僕」は言った。「僕はどうなの?」
Darrenはすぐには意味がわからなかったようだが、Libbyはまだ幼く狼に変わったことのない彼が、そのことについて尋ねているのだと気付いた。
「人狼から生まれたすべての子供が人狼なわけではないわ」Libbyは言った。「あなたのママ、彼女はお爺ちゃんから受け継がなかった」
「受け継がないやつもいる」Darrenが言った。
「そういう幸運な者もいるわ」Libbyが付け加えた。

その晩、Darrenは家を出て行き、翌朝裸で帰って来た。肩に黒いベルトを掛けて。
警官のベルト。拳銃さえもまだ入っている。
父の死の悲しみから、酔ったのか、自暴自棄になったのか?狼になって暴れた彼が何をやったのかはわからない。
だがもうここにはいられない。
彼らは荷物を車に積み込み、育った家に火を放ち、旅立って行く。

*  *  *

………いや、ごめん。本当にごめん。なんか色々申し訳ない。本当に駄目だわ。
実はこの後、祖父の話の回想から続く、主人公の母の死にまつわる非常に美しく悲しい話が3ページほどにわたって書かれているのだが、書けなかった。理由はもう省略できず、全部書く以外の方法見えなかったから。
なんかいつもそんなことばっか言ってるみたいだけど、今回は本当に苦労した。とにかく最初祖父の家に四人で住んでいて、祖父が亡くなり旅立つまでの一章分紹介しようと決めたのだけど、なんかあちこち拾って短くまとめるというのが 本当に難しかった。なんか一旦書いてからやっぱこのことも書いておかなきゃと思って戻って書き足したりするばかり。
祖父の話の中で、彼の妻、主人公の祖母のいい話が色々出てくるのだけど、あちこちに断片的に散らばってて、ちゃんとまとめられなくて、結局全部省略。
最後、事件を起こして帰って来たDarrenに怒り、Libbyが手だけ狼に変身して攻撃する良いシーンもあったのだけど、同じく中途半端に書くのは気が引けて省略。というか最後にはできるのこんなもんかみたいな気分で諦めモードだったり…。
結局、このくらいの作品になってしまうと、一章全部完全に日本語にするぐらいじゃないと無理なのかも…。なんかこれでもこの素晴らしすぎる作品の一部でも伝わればと願うばかりっす。

物語はこの後、「僕」とLibby、Darrenの三人が各地を転々として暮らして行く話となる。ある土地でトレーラーハウス的なところでしばらく暮らすが、やがて様々な事情によりまた旅立って行くというような。
時系列的に並んではいるが、各章のつながりは比較的希薄で、短編連作というのに近いような構成。
時系列的に語られる本編というような章のそれぞれの間に、短いワンショット的な章が挟まれる。これらはその前の章の終盤ぐらいで出てきたキーワード的なものが主人公の人称となり、それに関する出来事が語られるというもの。例えば、 第1章の最後近くで、叔父Darrenが「僕」に「お前ヴァンパイアになりたいと言ってたよな」と話すところがあり、第2章はハロウィンの話で「僕」のところが「ヴァンパイア」という形で語られてたり。あれ?それほど難しくないと思ってたのだが、 なんか説明しようとするとややこしくなってる?まあ、とにかくそういう短い章が間に挟まれ、比較的幼い頃の話が時系列の本編の方とは別に語られるという形になっているということ。

第1章に出て来た重要なところでは、彼ら人狼種の血の問題があり、それゆえ人間とは深く関わることはできない。彼らの血を浴びるなどの接触を持った人間は「ムーンドッグ」と祖父が呼んでいたような理性を待たない半人半獣となり、命を絶つしか 救いようがなくなる。
語られていなかったところでは、人狼は長く狼の姿でいると、人間であったことも忘れ完全に狼となってしまう。
また、彼らは人間の姿のままでも、多くの動物にとっての脅威の対象であり、犬猫はもちろんの事、虫もあまり寄り付かない。
多くの人狼物語に出てくるように、銀は彼らの弱点。祖父のように年齢による衰弱以外はほぼ不死身の彼らだが、銀についてはうっかり触れるだけでも回復不能なほどのダメージを与える。
そして、第1章で語られているように、主人公の「僕」はまだ幼く狼に変わることはできない。いつかは祖父や叔父叔母のように狼に変わる日を夢見ながら、少年はひとところには定住できない流浪の生活を続けて行く。
様々な土地で、彼らは様々な同族と出会う。社会の陰で生きる者。人狼であることを捨てて人間として生きる者。
アメリカ社会の底辺というようなところで暮らしながら、ひとつの揺るがない誇りを持って生き続ける彼らの姿は、作者Stephen Graham Jonesのネイティブアメリカンという出自に通じるところのあるものだろう。なんてのはあまりにもお勉強臭い 優等生的感想文かね?
本当に美しく、素晴らしい、ホラーファンであろうがなかろうが、誰もが一度は読むべき名作です。必読!

と、まあそこそこ綺麗に終わったところで、ちょっと面倒なことを書こう。なんでそのまま終われないかね、というとこだけど、こういう奴なんで。
この作品、なんかで日本で広く読まれるようになると、ある問題が発生するかもしれないという懸念。あー、もちろん作品自体の問題ではないのだけど。
それは第9章Layla。14歳になった主人公の美しく悲しい初恋を描いた話。
なんかこの章の美しさと、作品全体的にはやや読みにくいと思う人も多いかもしれないというところが相まって、この作品についてここばかりが強調されることになってしまうかもという心配。
まあ具体的に言えば、「ウィリアム・ギブスンが読めないのはボクたちの頭が悪いからではなく翻訳が悪い」を数の力であたかもそれが正論定説であるかのようにゴリ押しした層によって。
なんかさあ、その挙句に「9章のみが名作!なんで全部この感じにしなかったのか理解できない」みたいなこと言いだすバカや、「評判を聞いて9章から読んだ。泣いた。あとは自分に向いてないと思ったので読まなかった」みたいなことを 当たり前の感想のように言いだすバカやらが横行するのが目に浮かぶ。
こんな出版状況では、日本で翻訳されることなんてまず起こらないから心配ないなんて言いきれない。英語が読めるバカなんて山ほどいるから。
まあそんなわけで、最初にブコウスキー風みたいなことを被せてみたわけです。異論がある人も多かろうが、この本読んで素晴らしいと思った人は、自分なりの考えでいいからこういうバカを寄せ付けない方法を念頭において薦めるようにしてください。
あー…、結局自分がこう言ったことでなんかのきっかけを作ってしまったかもという心配も起きてしまうんだが、本当にこういうことが起こってしまう前に言っておくべきなんだと思う。とにかく本を全部きちんと読めないやつ、 ちゃんと自分の頭を使わずに都合のいい他人の意見に乗っかってわかった風な口をきくやつなんてのには、本を語る資格なんてねえんだってこと。

さてStephen Graham Jonesについてなのだが、いやまずどうしようかという感じ…。最初の方で書いたように、この人この後に代表作といわれるようなのを続々と出してるわけだし、こんなことになった経験もないもんで…。 まあ、とにかく自分がこれだけはいつか読まなくてはと思いつつ放置し、そっちの方ちゃんと見てなかったのが悪いんだけど。
これほどの作家になれば、とにかくこの先の代表作ってところから読んで行くのは確定なんだが、うーん、いやここハードボイルドのこと書いてるところだからね、というのがこのくらいになっちゃうと出てきてしまう。結局、どこかで線引きしないと、本来の目的からそれてしまう、というような事。
まあそんなわけで、このStephen Graham Jonesに関しては、個人的に読んで行くことになると思うので、また次に書くことがあるかどうかはあんまり期待しないでください。ということになっちゃうと思います。そもそもが読んだ本 全部書いてるわけでもないしね。とか言ってもこれほどの作家では読んだら何か言いたくなってしまうところもありそうなんだがね。とりあえずは『The Only Good Indians』(2020)、そんでThe Indian Lake Trilogyに進むという感じかな。
またホラージャンル作品についてもやって行く予定ですが、なんか改めてこれハードボイルドのこと書くところだからな、と自分の中で再確認させられるぐらいの作品でしたということかな。

新刊情報、その他


なんかこの回こういうの入れにくいな、とかで先延ばしにしてきたら色々溜まって来てしまったので、ちょっと今回もホラージャンルだったりするけど、ハードボイルド関連の新作情報などを短くやっておきます。
まずは最新、ジョーダン・ハーパー新作。『A Violent Masterpiece』が来年2026年4月に発売予定!まだ結構先なのもあるけど、ジョーダン今先月頭公開の映画の方で忙しそうで、あんまり自分で宣伝しとらんけど。
前々作ぐらいで開眼したのか前作『Everybody Knows』では主人公を二人立てるパターンをやって来たのだが、新作はなんと主人公が三人になるらしい。トリプル主演ww。また読後全体を俯瞰するとDVDのチャプター選択画面が頭に浮かぶ ジョーダン・ハーパースタイルになるのは多分確実なんだろう。

続いて、早く書かなきゃと思いつつ先延ばしにしてたのが、今年5月から始まった英国Fahrenheit PressからのFahrenheit Pocket Noirシリーズ。こちらは過去に出版された作品を安価、お手頃サイズで出版するというシリーズで、日本の文庫本 的な企画。というかサイズ10X15cmぐらいで、ほぼ文庫本と同じ。最初にあの10th Rule Booksでお馴染みの…、えっとしばらくご無沙汰だけどまだ憶えてる人いるよね?のTodd Morrの過去作3作がリリースされ、なんか消えたタイミングからして これかな?と思っていたAnthony Neil SmithのBilly Lafitteシリーズ第1作『Yellow Medicine』が7月に第2弾として登場。今のところ1冊だけだが、Billy Lafitteシリーズについては現在出ている4作までがこのFahrenheit Pocket Noirシリーズから 再販されるらしい。その発表の際、Smith先生のSubstackほぼ撤退でどうなるのかなと思っていた第5作も無事進行中であることが明らかにされた。多分Fahrenheit Pressから出るのではないかと思われるけど、このポケットシリーズなのかは不明。
その他、このポケットシリーズからは、これも早く読まなきゃとずっと思ってたJo PerryのDeadシリーズ(Charlie & Rose Investigateシリーズ)第1作の『Dead Is Better』が8月に第3弾として出版されている。
未訳おススメのところで消えてるBilly Lafitteシリーズもいくらか揃ってきたら修正するっす。あと、もう続き出ないのかもでもったいなくて読めなかったLafitte第4作も早く読まねばだし、第5作は出たらすぐ読む!
あと、もうだめなんかと思ってあんまり見てなかったDown & Outが持ち直して、いつまでたっても書けないEric Beetnerが復帰してるじゃん、とかの話もあるんだが、それは多分次回に。


なんかね、世界に読むべき本なんてもう途方もないくらいあるよね。ホラーもっとなんとかしなくちゃ、Stephen Graham Jonesもっと読みたいとか考えながらこれ書いてる一方で、最近のPI小説方面もっと読まなければ等々で、7~8冊以上は 積み上げてるしな。いつまで暑いのか知らんけど、何とか生き延びたらまたいい本の話しますですよ。


■Stephen Graham Jones著作リスト


  • The Fast Red Road: A Plainsong (2000)
  • All the Beautiful Sinners (2003)
  • The Bird Is Gone: A Manifesto (2003)
  • Seven Spanish Angels (2005)
  • Bleed into Me: A Book of Stories (2005)
  • Demon Theory (2006)
  • The Long Trial of Nolan Dugatti (2008)
  • Ledfeather (2008)
  • It Came from Del Rio (2010)
  • The Ones that Got Away (2011)
  • The Last Final Girl (2012)
  • Growing Up Dead in Texas (2012)
  • Zombie Bake-Off (2012)
  • Zombie Sharks with Metal Teeth (2013)
  • Three Miles Past (2013)
  • The Least of My Scars (2013)
  • States of Grace (2014)
  • Flushboy (2013)
  • Not for Nothing (2014)
  • After the People Lights Have Gone Off (2014)
  • The Gospel of Z (2014)
  • My Hero (2016)
  • Mongrels (2016)
  • Mapping the Interior (2017)
  • Night of the Mannequins (2020)
  • The Only Good Indians (2020)
  • The Indian Lake Trilogy
    • My Heart Is a Chainsaw (2021)
    • Don't Fear the Reaper (2023)
    • The Angel of Indian Lake (2024)
  • I Was a Teenage Slasher (2024)
  • The Buffalo Hunter Hunter (2025)
Stephen Graham JonesについてはコミックでマーベルのXメンのワンショットのシナリオを一作書いたことが割と知られているんだが、その後2023年にIDWから全16話TPB全3巻のもうちょっと本格的なオリジナルのコミック作品『Earthdivers』も手掛けている。こちらについては最初の2巻がKindle Unlimited。できればコミックの方で紹介しようと思っているので、そっちの記事書いたらここにリンク張ります。



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