2017年5月6日土曜日

The Baddest Ass -Billy Lafitteシリーズ第3作!!!-

遂に登場の、現代最強のノワール作家にして無冠の帝王、Anthony Neil Smith先生のBilly Lafitteシリーズ第3作『The Baddest Ass』である!…なのだが、実は先日お伝えしたBlasted Heathの撤退により現在Kindle版は発売されておらず、ちょっと入手困難状態だったりするのですが…。まああと2か月ほどもすればSmith先生の作品はDown & Out BooksよりこのBilly Lafitteシリーズをも含むすべてが電子書籍版を含め刊行される予定になっているのだが、とにかく読んだものはそこまで待っていられない!リストの方は後で整備することにして(と言うだけ言っていつも放置が続くのだが…)とにかくこの傑作について一刻も早く書くのである!なんだかこのシリーズについてはこれまでの2回ともあまりに好きすぎて書いているうちに各方面への怒りが高まりおなじみ手あたり次第の罵倒をはじめむちゃくちゃになってしまっているのだが、今回こそは落ち着いてこのシリーズのあまりの素晴らしさをきちんとお伝えして行こうと思っております。いや本当に。

では3作目ということもあるので、とりあえずここで一旦これまでのシリーズを振り返ってみましょう。ネタバレなので読もうと思ってる人は飛ばしてね。第1作『Yellow Medicine』ではBillyはミネソタ州イエロー・メディスン郡の保安官代理として登場する。かつてはミシシッピー州で同職に勤めていたのだが、ハリケーン カトリーナ(前にカタリナとか書いてしまってすみませんでした。なぜかその時はそういう名前だと信じてて疑いもしなかった…。)被害の際、人助けのために行った脱法行為が大きく報道され、それに加えてあんまり清廉潔白な保安官代理ではなかったことも災いとなり、職を失い家庭も崩壊してしまう。そんな彼に最後のチャンスとして与えられたのが、元妻の兄Grahamが保安官を務めるこの地での保安官代理の職だった。新たな土地で、やはり以前同様多少はダーティーな部分ともかかわりあいながら平穏に職を務めてきたBillyだったが、自分が把握していると思っていた当地でのドラッグ取引の中で起こった不穏な動きを端緒にまた新たな災厄に巻き込まれて行く。かつての相棒Paul経由でBillyのことを知ったテロリストグループの資金稼ぎのドラッグ取引に協力を迫られる破目に陥ったBillyだったが、拒み続けるうちに敵との軋轢は激化し、Paulも殺害され、恋人Drewと保安官Grahamも事件に巻き込まれて行く。敵グループと決着をつけるため攻勢に出るBillyだったが、その暗闘の最中保安官Grahamは死亡し、Billy自身も逮捕されるという結末をむかえる。やっとのことで敵を振り払った時にはすべてを破壊し、すべてを失ったBilly。そして同地で潜入捜査官として活動していたFBIのRomeはそのすべてをBillyの責任として追及する。唯一、彼女だけは救うことができたと信じていたDrewが逃亡の途上で死亡していたことを知らされ、絶望の底に落ちたBillyは、証拠不十分で保釈された足でRomeを襲い銃を突きつけるが、引き金を引くことができぬままイエロー・メディスンから姿を消す。
第2作『Hogdoggin'』はその18か月後から始まる。Billyは暴力について宗教的ともいえる思想を持つカリスマ的なリーダーSteel God率いるバイク・ギャングの一員となり、Steel Godの右腕というべきポジションにいた。ステロイドの使用で見た目も完全にバイク・ギャングとなっているBilly。そして、ある夜、逃亡前にイエロー・メディスンの後任保安官であるTordsenから手渡された鳴るはずのない携帯が鳴り、Billyは同地へと引き戻されて行く。捜査の行き過ぎから上層部からBillyの件のさらなる追求は止められたRomeだったが、Billyへの憎悪は収まらず、更に妻との間の不調和も彼の狂気に拍車をかけ、強迫観念でBillyを追い続ける。Romeが目を付けたのはBillyがかつての相棒Paulとともに関わった当時違法性が疑われた事件で、それを掘り起こすことでBillyの元妻Ginnyにも接近し、その動きでBillyをあぶり出そうという魂胆だった。イエロー・メディスンに戻ったBillyをまず襲ったのは、事情を知りRomeによりFBIへの登用をもくろむ保安官補Nateとその恋人で警官でもあるColleenだった。しかしハイウェイ上の追撃でNateは死亡。Billyは目立つバイクを代わりの足と交換し逃亡すべく地元のチンピラと接触するが、行きがかりから逆恨みを買い、リンチ監禁の末指名手配中であることが発覚してしまう。隙を見て連絡した瀕死のBillyに応えSteel Godがバイク・ギャング内のBillyのパートナーKristalとともに救援に駆けつける。そして彼らが潜伏したホテルが警察に取り囲まれ始める中、Steel Godは自らとともにKristalを殺害し、Billyの中で押さえられていた狂気と暴力を解放する。閉鎖されたホテル内にさ迷いこんだRomeの妻Desireeに突き付けられた銃口の前で哄笑するBilly。そしてあらゆる狂気と怒りに沸騰したこの世の果てに絶望的な銃声が鳴り響く。
そしてBilly Lafitteシリーズ第3作『The Baddest Ass』である!


【The Baddest Ass】

前作の事件の後、逮捕されたBillyはノース・ダコタの刑務所に収監されていた。テロリストの手下。罪もない女性を殺害。ささやかれる罪状は彼を犯罪者たちの中でも生きる価値のない者とし、様々なグループが彼を無きものとしようとするが、いずれもただ一人のBillyに返り討ちにされてしまっている。
物語は序盤、刑務所カーストの中で最下層にあり、どこかのグループの庇護無しでは生き延びて行くこともできない男Westの視点で語られる。その根本的な無力さゆえに追い詰められたWestはBillyと友人になり信用を得たところで彼を殺すよう仕向けられてゆくのだが…。

そしてその運命の日。刑務所を二組の面会者が訪れる。

一人は前作で恋人Nateを失い、Billyへの復讐に執着するColleen。現在は同様にBillyに深い遺恨を持つRomeの配下として動いている。彼女の面会相手は収容者の中で最大の力を持つRi'Chess。彼にはBilly暗殺のため大金が支払われており、Colleenはその実行のための仲介役として動いていた。

そしてもう一組の面会者はBillyとGinnyの息子Hamを連れた義母であるMrs. Hoeck。信仰心に凝り固まり、Billyを家族の敵として排除してきた彼女は、Hamの母親であるGinnyが自殺未遂を繰り返し精神医療施設に収容されている現在、親代わりとしてHamを正しい道に導くための戒めとして彼に犯罪者となった父親の姿を見せるためにこの刑務所を訪れたのだった。

そして、二組の面会者が出口へと向かう直前、刑務所の全ての電力がシャットダウンされる。
外は猛吹雪に変わり、外界から遮断された刑務所は解き放たれた猛獣たちがひしめき合う暴力に支配された地獄へと変わり果てて行く…。


シリーズ第1作『Yellow Medicine』は、暴力によっては何も変わらない世界に暴力で向かうことしかできない男の虚無へと向かう内面の軋みをBillyの一人称で描いた作品。そして三人称に変わり、様々な狂気と妄執のせめぎあいの果てにその虚無の向こう側の暴力の暗黒へと押し進めた恐るべき第2作『Hogdoggin'』。そしてこの第3作では三人称で常に他の人間の視点から物語は語られ、Billy自身の内面はほとんど描写されず、この世の全てから糾弾され死を宣告されながら生き延び続けるモンスターとして描かれて行く。果たしてBillyがたどり着くのはどの地獄なのか?現代ノワールの一つの到達点である暗黒の大傑作、その目で目撃すべし!

作者Anthony Neil Smithは、一旦はこのBilly Lafitteシリーズを3部作として完結させることを考えたそうですが、友人である作家Les Edgerton氏の強い勧めもあってシリーズをさらに続けることを決意したそうです。そして2016年3月、Billy Lafitteシリーズ第4作『Holy Death』が刊行されることとなります。
しかし、その後の経緯については以前少しお伝えした通り。以前からの読者には絶賛で迎えられたものの、以前John Rectorの時に少し書いたような傾向の進んだAmazon.comのノワール・ベストセラー・ランキングでは100位にも届かず、メインストリームからは無視された結果となり、落胆したSmithさんは自身のブログで「みんなはLafitteを支持してくれてたんじゃないのか?俺は結局カルト作家にしかなれないのか…。」と悲痛な訴えを続け、4月1日エイプリル・フールにBilly Lafitteが誰にも顧みられることもなくなり絶望の中拳銃で自殺するという彼の最期を描いた「The Scars of Billy Lafitte」という文章が上げられ、そしてその数日後ブログを閉鎖することが告げられました。そしてBilly Lafitteについても続きを書くつもりはないとも。
その後、休暇で訪れたスコットランドで友人たちとの暖かい交流で少し精神的にも癒されたSmithさんは、6月にはブログも再開し、しばらくは自転車で走り回っている楽しい話などを伝えてくれていました。大体以前にお伝えしていたのはこのあたりまでかと。
その後、やはり結局は根本的な問題としては解決しておらず、ブログでも後ろ向きな発言が目立つようになってきてしまいます。しかし、昨年秋のバウチャー・コンでまた多くの友人たちとの交流を通じ、遂に完全復活!その後の10月1日にはCrimespree MagazineのウェブサイトにDave Wahlman氏による、俺はあのAnthony Neil smithにインタビューしたぞ!って感じのインタビューが掲載され(A Conversation with Anthony Neil Smith)、同日には自身のブログにて「もうウジウジ言うのは終わりだ!ニューヨークの大出版社がなんだ!俺は小さくてもクールで優れた本を出すパブリッシャーで頑張るぜ!」という前向きな発言で完全復帰が宣言されます。それを最後にいつの間にかSmithさんのブログは今度は完全に終了してしまったようです。やはりかなり色々なことがあったのでもう続けにくくなってしまったのでしょう。しかしその後はTwitterなどを見てもお元気な様子。時々攻撃的な発言はありますが、それはこの人の元々のキャラクターなので。ボブ・ディランへのノーベル文学賞で、自分の知っている作家の中でも一番に「これでノーベル文学賞はその意味を失った」と異議を唱えたのはSmithさんだったしね。実はそれでボブ・ディランへのノーベル文学賞も知ったのだったり。今年に入ってからは地元ミネソタのTVでもインタビューを受け、親友ヴィクター・ギシュラーに「奴がTVに出てるぞ!」と爆笑されていたりということもありました。

そしてこのBilly Lafitteシリーズについてですが、上記のように一旦は続きは書かないと宣言されましたが、最近では再登場を願う読者の声にまた続きは書くからもう少し待ってくれ、という感じに答えています。一部とはいえ私同様にこのシリーズを熱狂的に愛するノワールファンの前に再びBilly Lafitteが登場する日もそう遠くはないことでしょう。それまでに第4作も早く読んでおかなければ。
現在Smith先生の最新作としては、本年9月にThe Duluth Filesシリーズ第1作として『Castle Danger - Woman on Ice』が予定されています。これは元々はこのブログのみでおなじみのOolipo向けに書かれた作品で、Oolipoの方が先になるのかな。どちらにしてもかなり以前から期待しているこのシリーズ、発表の際にはなるべくいち早くお伝えする所存であります。
最初に書いたような事情で、現在短期的に入手困難となっているSmith先生の著作ですが、まもなくDown & Out Booksからの再発行が始まった暁には、この偉大なる現代最強のノワール作家にして無冠の帝王の著作を必ずやズラリと並べて見せることをお約束いたします。

【その他おしらせの類】
いくらなんでもそろそろ読まなければ、と先日やっと読み始めたタイミングでAdrian McKintyが『Rain Dogs』でエドガー ペーパーバック・オリジナル賞を受賞!これでいくらなんでもそろそろ出さねば、と考えていた出版社から翻訳の出る可能性も高まったことでしょう。しかし一方で期待の高まる中、ちょいと日本で出る際に気懸りなことが…。以前Adrian McKintyってホントに翻訳出てないのかよー、と調べてたときに彼に関する日本語の情報がいくつか見つかりました。それによると2014年頃彼がガーディアン紙に書いた「密室ミステリーベスト10」に島田荘司の作品を選出したとのこと。まあそれはそれで興味深い情報なのだが、現在それしか情報のない状態でそれが伝言ゲーム的にめぐって行くうちに「カーや島田荘司も好きなノワール作家」がいつの間にか「カーや島田荘司に深く影響を受けた作家」ということになり、日本で出る可能性の高い受賞作『Rain Dogs』がそういう要素の多い作品ならよいがそうでなかった場合「カーや島田荘司とは似ても似つかない作品だったので落胆した」などという勝手な思い込みによる見当違いで無意味な作品批判が集まる危険性が高くなるのではと危惧しているところであります。せっかく日本で出てもどうせそっちの権威や「読書のプロ」とやらの多くは北欧物でないからスルーしちゃってろくに書評もないまま「であるが」「であるが」ばかりが横行しそうな現状で、本来なら多数の作品が翻訳されているべき作家の日本デビューを挫くことになりかねない事態なのである。まあそちらは解説辺りにはぜひ載せておくべき情報だが、いくらなんでもそろそろ出さねばと考えている出版社の皆さんは間違ってもオビなんかにでかでかと書いたりしないようにね。あーこの作品についてかは知らんけどウィンズロウは前からMcKintyを高く評価してるのでそっちでいいんじゃないの?まあ叶わぬ夢かもしれないけどできればMcKintyの全作を読みたいと考える私なので、読んでいるのはもちろん最新作『Rain Doges』ではなく初期のやつなのだけど、「読書のプロ」とやらではハードボイルド読みは死滅し、ハの字と言えば30年ぐらいに渡りホークがスーさんがと言い出す先生やらまた一方ではビンテージ物と映画の話しかしないノワール原理主義者が幅を利かせるような悲惨な状況下、数少ない生き残りのノワールファンの良心、いや芯まで暗黒に染まった悪心として、小さき声ながらノワール作家Adrian McKintyについて近日中に熱く語っておく予定であります。次々回に間に合うかな?うむむ、現在のペースではそのくらいかも。なんかブログの次回予告とかしてるようなバカ者って私ぐらいかも…。あっ、色々先回りして言っちゃったけどさあ、とにかくどっかまずMcKintyをちゃんと出してねっ。

期待の新刊情報!如何でしょうかこの見るからに悪そうな表紙。昨年秋ごろから出るよー、との予告があり期待していた英国発アンソロジー『Switchblade』第1集が遂に刊行されました。えーと、どこで聞いたのかは思い出せないのだけど、トップにPaul D. Brazill大将の作品が掲載されているのでそっち方面だと思うのだけど…。しかし…実はこの本Kindleの普通のフォーマットではなく、プリント版そのままの形で出されており、文字が小さくなりすぎて小さい端末で読むのが困難な状態になっているのです…。察するにどうも割と最近になってKindleに導入されたComixologyの技術を使おうという意図らしく、最初にダブルタップすると拡大できるよー、というメッセージも出てるのだけどそれがちゃんと機能していないのである…。いや、私ぁ毎日Comixologyの方も使ってるんだから間違った操作してないと思うんだけど。ビジュアルにもこだわり本そのままの形で見せたいという高い志なのだろうがちょっと現状残念なところです。何とか早く改善してちゃんと読める物にしてほしいところ。いやホント期待してるんだからさあ。
で、そのBrazill大将なのだが今年に入りNear To The Knuckleより中編作『Too Many Crooks』、『A Case Of Noir』、『Big City Blues』3作を続けてリリース!まだ出るのかも。とりあえず連作とかではないようですが、いずれも100円台のお得価格で販売中。Brazill大将についてはCaffeine Nightsからの快作『Guns Of Brixton』のキャラクター再登場の『Cold London Blues』ぐらいは早く読まねばと思っているのだが。いや一方でさっぱり進まないイギリス勢の方も…。うむむ。
ちょっと遅れちまいましたが大御所の方でもランズデールがハプレナシリーズを連続リリース!2月にシリーズ本編最新作『Rusty Puppy』をMulhollandから。3月には『Hap and Leonard: Blood and Lemonade』を短編集『Hap and Leonard』を出したTachyonから。こちらはモザイク・ノベルってことらしいです。あと1月にSubterraneanから『Coco Butternut』って中編も出てるんだけど、こちらは日本からはKindle版購入不可…。なんかハードカバー版が法外な値段で販売されてっけどNookのやつ見たら3.99ドルなんだよ。何とかしてよ。しかしまあハプレナTVで盛り上がってるから付き合いのあるとこはみんな儲けさせてやるぜ、って感じがさすがの大御所らしいですね。こっちも結局どこも出してくんない『Hap and Leonard』ぐらいはそろそろ読んでる予定だったのだけど…。
その他、『Thuglit: LAST WRITES』でもその実力を示したNick Kolakowskiの初の長編作『A Brutal Bunch of Heartbroken Saps』がDown & Out傘下Shotgun Honeyからまもなく発売!ただこちらの作品26000ページもあるそうなので読むのが大変そうですね。いや、明らかに登録時のなんかのミスだろ。もしくは下町のおっちゃんのお釣りギャグトリビュートだったらNick Kolakowskiおそるべし!Shotgun Honeyからは280 Steps撤退で作品販売が中止になってしまった『Ridgerunnner』のRusty Barnesの新作の予定もあるそうです。あと本体Down & Out新刊ではThomas Pluck(ねこあつめ好き)の『BAD BOY BOOGIE』が注目。先日お伝えしたもう一つの傘下レーベルABC Group Documentationでも早くも第3弾(なんだか忘れちまった…。)のリリース予定が発表など、Anthony Neil Smith先生作品以外にも勢いを増すDown & Out系列。そしてまた一方でなかなか手を付けられないでいるうちにPolisからはまたしてもDave White、Alex Seguraの新刊が!もーどっかでPolis特集ぐらいの気持ちで読まんと…。と、いつまでたっても読まなければならない本は増えるばかりなのでありました。あっ、エドガーと言えばMcKintyとペーパーバック・オリジナルを競ったPatricia Abbottさんだっていくらなんでもそろそろ読まなければ作家の先頭集団の一人だろっ。



●関連記事

Yellow Medicine -Billy Lafitteシリーズ第1作!-

Hogdoggin' -Billy Lafitteシリーズ第2作!!!-


●Anthony Neil Smith




●期待の新刊
■英国暗黒勢力


■Joe R. Lansdale/Hap and Leonard


■Down & Out Books


■Polis Books



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2017年4月23日日曜日

Transmetropolitan Vol. 1: Back on the Street -Warren Ellis入門-

今回はかの有名なウォーレン・エリス/ダリック・ロバートソンによる名作『Transmetropolitan』です。以前から言ってるように、あんまり有名作をやるのは気が引けるのだけど、ウォーレン・エリスと言えばこれを避けては通れないわけで、今後ウォーレン・エリスについて語るならこれがどんな作品かわかるぐらいにはしておかなければ、ということで今回はウォーレン・エリス入門という感じでやってみようと思います。

ではまずウォーレン・エリスという人のキャリアについて。1968年イギリスのエセックス生まれ。1990年頃からコミックのライターとしてインディペンドな雑誌で活動を始めたということです。ジャッジ・ドレッドなどの仕事もあるそうなのだけど、あまり2000AD方面では目にしたことがないので、それほどは多くないのだろうと思います。アメリカでの仕事は1994年からで、まずマーベルから始まり、その後DCへ。この辺の初期のものとしては『Stormwatch』から『The Authority』というところが有名なのだが、ちょっとまだそっちの方には手を付けておりません。そのあたりを経て1997年からVertigoで始まったダリック・ロバートソンとのコンビによるオリジナル作がこの『Transmetropolitan』というわけです。

そしてこの『Transmetropolitan』、いかなる物語なのか。主人公はSpider Jerusalem。いかなる権力にも屈せず、真実と正義を貫く、エキセントリックかつちょっとダーティーな一匹狼のジャーナリスト。しかし、物語の冒頭、あまりにも各方面に敵を作りすぎた彼は、いつか殺されるというパラノイアに取りつかれ人里離れた山奥の家で隠遁生活を送っている。しかし、23世紀の未来でもそんなことでは文明から逃れられない。そして電話が鳴る。「おい、Spider、そんなところで何やってる、契約を忘れたか?本の契約だ!お前は2冊の本を書く契約をしてるだろう。お前が離れたところから政治について書けないのはわかってるだろう。今すぐオレのオフィスに来い!」とうとう山を下り、俗世間に戻る時が来たか…。Spiderは身の回りのガラクタを片っ端からオンボロ車に積み込み、山を下りる。風景は山から猥雑で混乱を極める未来都市へ。そして交通渋滞で身動きが取れなくなった車を見捨て、屋根を歩いて新聞社に到着する。向かうは編集者Mitchell Royceのデスク。よし、やってやろうじゃないか。だが今は俺は無一文だ。まずは当座の金とアパートを用意しろ。仕事?よし、やってやろうじゃないか。このSpider Jerusalem様が週一本の特上のコラムを書いてやるぜ。こうして何物をも恐れぬジャーナリスト、Spider Jerusalemは堕落した未来都市のストリートへと戻るのだった。
さしあたってはシティに新たなねぐらも得たSpider。早速行ってみると…、まあ予想通りの廃屋に近い代物。しかし備え付けのユーティリティー・コンピューターも作動する。髪も髭も伸び放題でホームレス・ライクな風貌のSpider。まずはシャワールームでとりあえずきれいにしろ、と命じると髭はおろか髪まで全部なくなりスキンヘッドに。次は服だ、と告げると一緒に出てきたのが左右形も色も違うサングラス。こうして一度見たら忘れない独特の風貌のSpider Jerusalemファッションの出来上がり。さあ準備は万端整った。いざネタを求めて23世紀の未来都市へ!

以上、この常に不敵な笑いを浮かべながら毒舌をばらまきシティを闊歩する最高にかっこいいハードボイルドなヒーロー、孤高のジャーナリストSpider Jerusalemが未来都市の真実を暴き出す、というのがこの『Transmetropolitan』のストーリーです。ではそのVol. 1: Back on the Streetに収録の第6号までのストーリーをざっと紹介しましょう。

Spiderがジャーナリストとして街に復帰するまでを描いた第1号「the summer of the year」のラストから始まり、第2号「down the dip」を経て第3号「up on the roof」まで続くのが最初のストーリー。シティの短期滞在の異星人たちのコミュニティで不当な扱いに対する抗議行動が起こり、緊張が高まっていた。そのリーダーはSpiderの昔馴染みの異星人との混血Fred Christ。早速取材に向かうSpiderだったが、何かその背後に不可解な動きを感じる。そうこうしているうちに抗議行動は遂に暴動に発展してしまう…。
暴動で閉鎖された地区に潜り込み、ストリップ・バーの屋根の上に陣取り、沸騰する街を見晴るかしながらこの暴動の真実を伝えるコラムをキーボードに打ち込み続けるSpider。そしてその届いてくるコラムをデスクRoyceはリアルタイムでニュース・リールに流す、というクライマックスのシーンは最高に格好いい。こうしてこの物語のヒーロー、Spider Jerusalemは我々の前に華々しいデビューを飾ったのでした。

第4号「on the stump」。Royceからアシスタントを送ったぞ、との連絡。要するにちゃんと毎週コラムを書かせるための見張り役なのだが。追い返す気満々で出迎えると、現れたのは前回のストリップ・バーにいた女の子の一人。Channon Yarrow、ストリップの方はアルバイトでジャーナリストを目指し勉強中とのこと。この後から彼女もアシスタントとしてSpiderとともに毎回登場のキャラクターとなります。役割としては破天荒で出鱈目なSpiderに対するツッコミ役。そして今回は彼女を率いてシティの庁舎へ乗り込むSpider。トイレで市長を発見し…。

第5号「What Spider Watches on TV」。TVの前に陣取り、今日は一日シティのTVについて調査するぞ、と宣言するSpider。そんなことしたら頭おかしくなるよ、とChannonにも言われるが…。未来のTVのかなり狂った放送が次々と描かれるが、当時すでに始まっていたアメリカの多チャンネルTV文化に対する風刺の部分も多いのでしょう。

第6号「God Riding Shotgun」。頭にアルミフォイルで作った輪を被り、付け髭、白装束と「神」のコスプレ姿のSpider。今日はシティの宗教について調査するぞ!彼氏との関係に悩むChannonを連れてSpiderが向かった先はカルト宗教のコンベンション会場?宗教が身も蓋もなく完全に商業化してしまった未来社会なのだが、これも現存の宗教が利益と切っても切り離せなくなってしまっている一方で、様々なものが「宗教化」して行く現代に対する風刺なのでしょう。

というわけでかの有名な『Transmetropolitan』、そのTPB第1巻Back on the Streetについて、ざっとですが解説を試みてみました。なんとなく雰囲気ぐらいは伝わりましたでしょうか。
ここで一旦共作者であるダリック・ロバートソンの方について。なんだかウィキペディアにも本人のホームページにもちゃんとした年とか書いて無くてはっきりしないのだが、コミックの仕事を始めたのはまだ学校に通いながらの17からという早熟。21歳からマーベル、DCなどで仕事をはじめ、数年後MalibuやAcclaimといったところの仕事でエリスと出会ったらしい。そこで俺の狂ったイメージを描けるのはコイツしかいない、とエリスに認められ、当時DC傘下のSFコミック部門として立ち上げられたHelixから出版されたこの『Transmetropolitan』のアーティストとして起用されたということです。(現在はVertigoから発行。)この作品はロバートソンにとっても出世作というところでしょう。初期という時期に当たるだろう当時からダークで狂ったユーモアのにじみ出る画風で描かれたイカレた未来世界と個性的なキャラクターは本当に素晴らしく、『Transmetropolitan』の成功もロバートソンの作画あってのものとも言えるところでしょう。
そしてウォーレン・エリスなのですが、なーんだかとてもタイミングよく先週の初め頃The Gurdianにインタビューを含むエリスの記事が掲載されておりました。内容としてはトランプ時代に見る『Transmetropolitan』みたいなところもあったりで、できればそちらも読んで私の拙い解説を自分で補完していただければと思います。(The Gurdian : Warren Ellis: 'Now everything is insane and I’m loving it')
とちょいと他人様任せで荷を軽くしたところで、その後の経歴を簡単に書くと、この『Transmetropolitan』は1997年から2002年まで続き、それからはまたヒーロー系の仕事で多く活躍。DCでは有名な『Planetary』があったりVertigoでも色々出しているけど、マーベルの方が仕事が多そう。Xメンとかアイアンマンの映画の『3』の原案のやつとか。まあそっちの方は詳しい人もいるでしょうからそっちで聞いてください。またその一方で映画化された『Red』をはじめとするオリジナル作も、Vertigo、Image、Avatarなどからも多数出ていて、割とTPB一冊ぐらいの読みやすいのも多いんで、自分としてはそっちの方を色々と読んで書いて行ければと思っています。それから小説の方では2007年に『Crooked Little Vein』、2013年に『Gun Machine』とこちらの好物の犯罪物を書いているので、そちらについては一刻も早く読まねばと思っているところ。小説最新作は去年の秋に出た『Normal』でいいのかな?こちらはテクノスリラーということらしい。基本的には気取ったお利口ぶりの読むジャンルであんまり近寄らないけどエリスのならいずれ読まねば。あと、前述のThe Gurdianの記事でも少し触れていてくれて嬉しかったのだけど、以前に書いた『Dead Pig Collector』は本当に素晴らしい傑作ノワール短編なのでみんな読んでねっ。そして最近のものとして注目はImage Comicsの『Injection』、『Trees』というところか。『Trees』の方はTVシリーズ化も進行中ということらしいです。TVと言えばNetflixで日本でも注目している人も多いだろうあの『キャッスルヴァニア』の脚本を担当。あともうエリス担当のは終わっちゃったみたいだけどDynamiteの『James Bond』も早く読みたいなあ、などなど各方面で活躍中の大作家ウォーレン・エリスなのですが、まずこれぐらいの代表作である『Transmetropolitan』が翻訳はおろか、なんか手ごろな情報もあまりないというのは大変困った事態なのではないでしょうか。実際私も読むまでどういうもんだか全然わかんなかったし。そんなわけであんまり手ごろではないでしょうが、少しでも情報が増えればと今回私なんぞがやってみたわけでした。んー、やっぱり『ナルト』ってゆー面白いマンガがあるんですよ、って言ってるような気分なのだが…。まあ日本でも最寄りのバス停まで歩いて2時間ぐらいの辺境に住んでいてネットだけが頼りという人もいるだろうからそんな人のお役にでも立てればいいか…。

とりあえずこんな感じで始まった『Transmetropolitan』、最初は少し長めのストーリーとなっていますが、その後は一話完結でシティの様々な側面を風刺的に描くという展開になっています。しかし話も進めばまた少し大きな物語も描かれるようになってくるのではないかな、と予想されるところ。とりあえずのところは当方としては他に書かねばならんことも多いので、このシリーズに関してはこんな感じのですよー、という紹介ぐらいで終わるつもりですが、いずれ読み進めるうちにこれについては書かなければ、と思った時にはまた登場ということもあるかもしれません。こういうのってちゃんとしておかないと後々うまくいかなくなったりするもので、例えば『Chew』なんかは本当はもっと何度も書いてこれはすげー面白いんだぞってしつこく訴えたいところもあるのですが、最初大雑把にやりすぎて書くんだったらまた最初っからやらなきゃなあみたいになってそのままになっていたりするのですよね。このチャンスについでに言っときますが、『Chew』(Image Comics)って日本のマンガとして出てたら年間ベストワンに選ばない奴はバカぐらいにめちゃめちゃ面白いコミックで読まないと損するよん。少し話はそれたがウォーレン・エリスさんの方なのだが、実はAvatarの『Black Summer』というのを読んでてそれについて書こうと思ってるうちにちょっとこっちやっとかないとうまく話し進められんかなと考えて今回のをやったという事情もありまして、次回はその『Black Summer』!…のつもりだったのだけどなかなか書く方もはかどらない昨今の私的事情ゆえ、小説の方のことも書かねばならんので、そちらについては次々回ということにさせていただきます。やっぱねえ人生先何があるかわからんもんで。歯医者とか。ということで少し先のウォーレン・エリスをお楽しみに。あっ、そういえば『銀魂』ってマンガがあるんだけど知ってる?



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Dead Pig Collector -Warren Ellisのノワール短篇-

●Warren Ellis/Transmetropolitan


●Dead Pig Collector



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2017年4月8日土曜日

Adam Howe / Tijuana Donkey Showdown -われらがポンコツヒーロー再登場!!-

遂に出た!イギリス期待の星の最新作にして第1長編作『Tijuana Donkey Showdon』!…なのですが、まあ前回書いたような諸般の個人的事情により、昨年12月に発売され割とすぐに読んだにもかかわらず、書くのがずいぶん遅れてしまいました…。ごめん。
さて、この作品ですが、昨年9月にスゴイ才能を見つけちゃったぞ!、と大騒ぎいたしましたAdam君の第2中編集『Die Dog or Eat the Hatchet』に収録の「Damn Dirty Apes」の主人公である元ボクサーで現在ストリップ・バーの用心棒Reggie Levineが再登場で、Reggie Levineシリーズ第2作となる長編作であります。作品中で説明もあるし、前作を読んでいなくても楽しめる作品ではありますが、結構ネタバレしちゃうし読まないのはあまりにももったいない傑作なので、未読の人はぜひそちらを先に読むべし!

さて、今作でありますが、まずは相変わらず気さくなAdam君の前書きから始まります。なんでもこの作品を書いている途中にお子さんが誕生とのこと。で、子供が成長すればいずれは自分の書いたものを読むかもしれん、これはいかん!と思ったAdam君。とにかく今まで書いたものは版権が切れ次第ただちに絶版にして、今後は行儀のよい小説だけを書くぞ!などと言い出しますが…、HAHAHA、ジョーダンだよ、これからも自分の好きな下品な奴を書くぞ!みんなが応援してくれればまたReggieも登場するからね!でも、まあ、奴は3作ぐらいが限界だろうけどね、とのことです。
続いて友人のホラー作家James Newman氏による序文。この野郎いつかぶん殴ってやらんと気が済まん!イギリス人のくせにまるでそこ出身のように南部が舞台の小説を書きやがるし、ホラー映画にはむかつくぐらい詳しいし、何より許せんのはあのスティーヴン・キングのコンテストで優勝し、キングと食事をしてオレの大好きなホラー映画の話までしやがったんだぞ!と罵倒の嵐。何より『666 Hair-Raising Horror Movie Trivia Questions』なる本を出してるぐらいのホラー映画マニアのNewman氏なのでとにかくそっち方面での対抗意識は強い様子。しかし今は誰かさんとのコラボの予定もあるので、それまではぶん殴るのは勘弁してやるとのことです。そっちも楽しみに待とう。というところで本編『Tijunana Donkey Showdown』の始まりです!

【あらすじ】

俺が最初にHarry Muffetと出会ったのはThe Henhouseの男便所だった…。
Reggieが勤め先であるストリップ・バーの男性用便所に入ると、まるでロード・オブ・ザ・リングのオークのような大男がHarryの頭を便器に押し込んでいた。あんまり関わり合いになりたくはなかったが、トイレも使いたかったので一応声をかけるReggie。話を聞くと、大男の妹が悪徳中古車業者Harryに欠陥車をつかまされ返済を求めているとのこと。よく見ればそのHarry、地元ローカルTVで一日中流れてるCMで見た顔だ。「ああ、あんた知ってるよ。」などとうっかり言ったが運の尽き、すっかりHarryの親友にされてしまうReggie。そして腕に自慢の大男も、相手をスカンクエイプ事件で名を挙げたReggieと認め、勝負を挑んでくる。こうして、今回のReggieの災難は始まる。

なんとか大男は制したものの、いつの間にかHarryは遁走。かなり悲惨な姿で帰宅すると、折り悪く今回のマドンナである女性獣医のShelbyと出くわす始末。全くツイてないReggieである。

前回のスカンクエイプ事件はちょっとしたニュースになり、ニコラス・ケイジ主演で映画化もされ、Reggieにもちょっとした金が転がり込んできた。のだが、うっかりバーの主Waltの投資話に乗ったばかりに、すべてを失い元の用心棒稼業のReggieであった。

しかし助けてやったにもかかわらず礼も言わず逃げ去ったHarryは腹に据えかねる、とHarryの中古車販売場へ乗り込んでいったReggie。だがHarryの口車に乗せられ、支払いの遅れている車の回収を手伝うことになるのだが、そこでもとんでもない事件に巻き込まれ、病院送りに…。

やっと用心棒稼業に復帰し、もう奴と関わりあうのはこりごりだとぼやいていると、電話。えっ?ニコラス・ケイジから俺に?と出てみると

「Reggie、俺だよ、Harryだよ、頼む、助けてくれ!」

…………。

なんでも町のはずれの怪しげな私設動物園経営者にHarryの妻の愛犬が盗まれ、チュパカブラを捕まえた!と宣伝されているそうな…。
しかし、事態は思いもかけぬ展開を現し、Reggieはさらに厄介な災難に巻き込まれて行くのだった…。


まあまずはとにかく笑った。特に中盤、”It was not his leg.”のところでは大爆笑した。読めばわかるっス。やっぱりこいつは本物で、本当に上手い。今回に関しては色々仕掛けて、それをタイミングよく使ううまさを随所で見せてくれます。それにしても最後に使う武器がアレとは…。
とにかく自分としては文句のつけようもない大傑作で、やったぜAdam君というところなのだけど、かなりお下品かつエクストリームなギャグの連発なので、もしかしたら例えば『Jackass』とか観ても全然笑えないとかいう人にはあまりお勧めできないのかも。少なくともDonkey大疾走の場面では私の頭の中ではあのMinutemenのCoronaが高らかに鳴り響いたのでありました。とにかく私のように辛いときは『Jackass』観て元気出そう、で何とかここまで生き延びてきたような人たちには、この作品を読まないということは大変な損失としか思えません。絶対に読むべし!
しかしながら、100%楽しく読み終わった後に一抹の不安が。いや、ちょっとギャグに走りすぎではなんてことは全く心配していない。今回はギャグで行くぜ、ってことで徹底的に笑わせてくれたわけで、まだまだいくつもの技を隠し持っているAdam君なので。で、何がかというと、例えば小説とか読んで、これが映像化されれば、みたいな話をする人もいるでしょう。それでいうならこの作品ってもはや現実の映像なしの段階でも映画として完成されているような作品なのであります。前の時に書いたけど、本格的に小説を書き始める前にはしばらくインディー映画で脚本を書いていたAdam君で、これほどの才能が有ればいずれはまた映画に関わる機会もでき、そうしたら今度はもう小説に戻ってこないのではないか、というのが今の私の少し早すぎるかもしれない心配なのであります。まあ映画だって好きだしそちらだって日々新しい才能が求められているだろうけど、こんなに楽しい作品を作ってくれるAdam君にはなるべく沢山の面白い小説を書いてもらいたいなあ、というのが私の願いです。とりあえずは、この彼女にはいずれフラれるのかもしれないな、という種類の不安を抱きながらも、この新たな才能Adam Howe君には今後も精一杯の愛を注いで応援して行くつもりであります。次も出たらすぐ読むからねっ!サンキュー!

前書きもあったけど、今回も少し長めのあとがき兼作品解説ありのサービスっぷり。そしておまけに以前『Thuglit』に掲載された短編「Clean-Up on Aisle3」を収録。金に困った男が簡単にできると思ったコンビニ強盗が思いもかけぬ展開に、というこちらはちょっと怖い話。相変わらずアイデアと構成の巧みさが冴える秀作です。私としては、何が何でもおススメの一冊でした。

この作品も、前作『Die Dog or Eat the Hatchet』に続き、版元はComet Press。とは言ったものの相変わらずなかなかホラー方面には手が回らず。ちょっとどの辺の作家がおススメなのかも判別できずという段階ですみません。好評だったらしい『Year's Best Hardcore Horror』は今年もVol.2が出るそうです。なんかこの方向のホラー映画とかってファンも多そうなのだけど、あまり女性読者が寄り付かないタイプのホラー小説はどうも苦戦しているようで、以前から気になってブックマークつけてたような、例えば少し前に書いた『Japan Of The Dead』のGrind Oulp Pressみたいな小さいところまで含めた色々なホラー系パブリッシャーが気が付いたら終わってたみたいなのもしばしばという状況で、このComet Pressにも何とか頑張ってほしいと思いもっと応援して行かなければと考えている次第です。とりあえずはやっぱりアンソロジー系をなるべく早く読んでみよう。
そんな状況ですが、結局なかなか手が付けられないホラー系。手遅れにならないうちに今回は気になっているところを名前だけでも並べておきます。まあホラーと言ってもビザール系が多いのだが、とりあえず長く続いているのもその傾向のが多いのかも。まずは以前にも書いたEraserhead Press。日本にはなかなか届かないエドワード・リーらの90年代辺りのゴアなホラーを復刻しているDeadite Pressなどを傘下に持つが基本的にはインディペンドのパブリッシャーです。そして結構前から気にしてるのだけど、なかなかきちんと調べていないのでいまいち説明できないのだが同様にビザール系ホラーと思われるイカすカバーが並ぶBizzarro Pulp Press。ビザールって言ってるか…。そしてAndersen PruntyやC.V. Huntらホラー系異色作家を抱えるGrindhouse Press。この辺の作家については早く読もうとずっと思っているのだが…。なんか結構前からしばらく動きがなく危ないのかな、と思うと思い出したように活動を再開する謎のパブリッシャー。そして最後にRooster Republic Press (Bizzaro Press)。ここも前から気になってるのだけど、そろそろやばい感じだったり…。並べてみるとやっぱり生き残っていたのはビザール系ばかりか。ちょっと日本にはなかなか入ってこない感じの変わったものが読みたい人にはおススメなのですが、ちょっと危なげでいつ無くなるかわからなかったりもするので、気になる人はお早めに。あと、リンクを開くといきなりすごい怖い画があったりするので心の準備をお忘れなく。

Comet Press

【その他おしらせの類】
ここで大変残念なお知らせです。私が以前から注目しひいきにしていた2つのパブリッシャー、Blasted Heathと280 Stepsが先月、2017年3月いっぱいをもって終了いたしました。
まずBlasted Heathについてはまあしばらく新刊もなく危ないのかなあ、とは思っていたのだけど。しかし結構前からその方向に動いてたようで、Anonymous-9やAnthony Neil SmithらのDown & Out移籍についてはすでにお伝えしたようにある程度作家の移行も事前に進められていたようです。Ray Banksについても昨年11月TSB Booksというところに移籍しており、Cal Innesシリーズ他Blasted Heathで出ていた作品はすべてそちらで読むことができるようです。先月には同社から待望の新作Farrell & Cobbシリーズ第2作『Trouble's Braids』も発売されています。前のリンク全部パアになっちゃったけど、次の読んだときにちゃんとしますので。とりあえずRay Banksアマゾン検索ですぐに見つかりますので。Anthony Neil Smithさんについては少し先になるけどDown & Outから絶版になっちゃってるのも含めて旧作が全部出る予定とのことです。The PointシリーズのGerard Brennan辺りはまだ新しいところが見つかっていないのかな。しかしBlasted HeathといえばのBarney ThomsonのDouglas Lindsayについてはちょっと今のところ不明。たぶんBarney Thomson第1作のプリント版を出していて、昨年『Song of the Dead』を出版しているFreight Booksに引き継がれるのではないかと思われるけど、現在のところアナウンスは無し。なかなか次が読めないままこんなことになっちゃったのだけど、好きなシリーズでもあるのでその後の情報があればなるべく早くお伝えします。まさかBarney Thomsonがこのまま絶版なんてことはないだろう。映画も観たので早く次を読んでその時書こうと思ってたのだけど…。なんかここ数日Barney Thomsonのを見てくれてる人がいくらかいるようなのだけど、みんな心配してるのでしょうか。そして最後にAllan Guthrieさんなのですが、いよいよBlasted Heathが終わるという3月の末頃は、アメリカのドゥエイン・スウィアジンスキーのところに来ていて、スウィアジンスキー行きつけの映画館に一緒に映画を観に行ったりW・R・バーネットのお墓参りに行ったりという写真がスウィアジンスキーのツイッターにも上がっていて、お元気そうで少し安心させてくれました。しかしその心中はいかばかりか…。本当に残念だし、自分も結局Blasted Heathについてほとんど伝えられなかったのは情けないのですが、それまであまり日も当たらず出版社も上手く見つからないでいた上記のような今後のシーンをになって行く作家のすぐれた作品を世に出した功績には計り知れないほどのものがあるのです。ありがとう、Blasted Heath!
そしてもう一方の280 Stepsについてですが、少し前までは結構先のリリースまで告知があったのだけどちょっと止まっているようだけど…、などと思っていたらちょっとあっという間に…、という感じ。正式発表されたのも3月25日を過ぎたぐらいじゃなかったかと思う。予約中だったEric Beetner氏の『The Devil At Your Door』も出版されないことになり本人も予約した人にちゃんと返金されるのだろうか、と心配している様子。まあ突然と言ってもある程度作家には話してもいたようで、一部の作品、Todd Morrの『If You're Not One Percent』とかはおそらくはそのまま自費出版という形で引き継がれたようで、まだKoboでは販売されている。そもそも日本のアマゾンからはKindle版で購入できるものが少なかったりする280 Stepsだったのでいまいち正確なところは把握できないのだけど。あと最後の方に出たCourt Haslettの『Tenderloin』はそもそも自費出版で出たようで現在もそのままKindleで販売は続いています。なぜ販売がAmazon Services International, Inc.になっているのだろうかと疑問に思っていたのだけど、そういうことだったようです。しかし、オーストラリアの鬼才Andrew Netteの作品などはそのまま販売中止となっている。2つの魅力的なシリーズを展開していた前述のEric Beetnerも今のところは当てがなく、いつか自費出版でも続きを出すとは言っている。多作で顔も広いBeetnerさんなのでそのうち何とかなるのではと思うが…。私も実は280 StepsのRusty Barnes作『Ridgerunnner』をやっと読んだところで、次はこれについて書こうと思っていたところなのだが…。ちょっと入手困難状態で描くのもなんなので、とりあえずは保留にしますが、やっぱり語る価値のある作家、作品ではありますのでいずれ再販の朗報をもってかけることを期待したい。と、まあ一方のBlasted Heathとくらべるとあまりきれいに終われなかった感のある280 Stepsなのですが、それでも私はあんまりこいつらのことを悪く言いたくはないのですよね。やっぱりここの人たちには本当にジャンルに対する愛が感じられたし、新しい作家を世に出したいという意気込みも高かったわけで、だからこそなかなか読めないながらも名前だけは上げて推してきたのですから。Rusty Barnesをはじめとする全く知らなかった優れた作家を教えてくれた280 Stepsなのである。なんにしても私はありがとうと言いたいよ。
そんな事情でちょっと危機感もあり、いつか読もうと思って今まで書かなかったホラー系のパブリッシャーの名前なども並べてみたわけです。彼らがなぜここで力尽きたのか、なんて分析はどうでもいいや。結局そういうのって、どうしたら売れる本が出せるかみたいなつまらない話にしかならないし。最大公約数や多数決で決まった「売れるもの」に同調できるなら最初からこんなことやってねーよっ。結局私だってほとんど読めなかったわけだけど、それでもここしばらくはみんな北欧の方向いちゃって鼻の頭が冷たくなっちゃってる人たちが(いや私も北欧物好きだけどさ)見向きもしないままスルーして知られないままに終わったかもしれない、俺が読みたいもんを俺が出すんだぜ、ていうやつらの熱い闘いをいくばくかの人にでもお伝えできたのなら自分みたいなもんもいた意味があるというものです。そしてそんな奴はまたいくらでも出てくるのだ。きちんと目を見張って次のチャレンジャーを見逃さないように頑張るのであります。

それでは続いてその辺からのし上がってきた期待の作家たちの作品を次々とリリース中の注目のDown & Outの情報を少し。かのShotgun HoneyがDown & Out傘下に入ったことは以前お伝えしましたが、昨年秋にもう一つDown & Out傘下に発足し活動中のパブリッシャーがABC Group Documentation。ジャンルに関わらない周辺的な作家のすぐれた作品を出版して行くというのが設立の意図。そしてその第1弾として昨年秋に出たのが、日本でも新潮文庫から2冊の翻訳のあるグラント・ジャーキンスの『Abnormal Man』であります。現在Kindle版はキャンペーン中で300円台とお安めになっているので、気になる人はお早めに。そして第2弾としてAll Due Respectからも作品の出ているPulp ModernのAlec Cizakの『Down On The Street』がまもなく発売されるとのこと。まだホームページすらないABC Group Documentationなのですが、今後の活躍に期待したい。
そしてもう一つ。現在6月の創刊に向けて、「Down & Out Magazine」の制作が着々と進行中。だと思う。Down & OutからはCrimespree Magazineが出てるじゃん、とお気付きの人もいるだろうが、あちらはデジタル版の発行だけで、編集も別で傘下の会社とかいう関係ではありません。そしてここでDown & Outも自らのメディアを作り、独自の新しい作家・作品を発信して行こうということなのである。目玉としては毎号有名なキャラクターの新作が登場の予定ということ。第1号にはあのリード・ファレル・コールマンのモー・プレガーが登場ということです。とりあえずはこの動きにも期待して注目。デジタル版も発行されるとのことなので、第1号発売の暁には入手し、何らかの形でお伝えしたいものだと、思うだけは思っておりますです。そうだ、やっとDown & Out Magazineのホームページも見つかったよう。まだほとんど何も書いてないけど…。

Down & Out Magazine

あと最後に少しOolipoなどの情報を。私以外に日本で注目している人がいるのかもわからないここでだけすっかりおなじみ(のはず)のOolipoですが、遂に本格運用で販売が始まりました!と言っても現在のところはずっとエピソード1がフリーで読めるようになっていたいくつかの作品の続きが販売され始めたぐらいのところなのだが。あといくつかあったドイツ語のやつが無くなって英語のだけになっているのだけど、そっちは本国のみでの発売なのかな?いや、どうせあってもドイツ語読めないのだけど…。販売方法は予想通りで、各エピソード単体とシーズン全体の形で販売され、シーズンで買うと少しお得というところ。○○Creditsという単位で販売されていて、100Credits = 1ドル(現在iOSでは120円)で購入しショップ内で使うという形になっています。価格の方はとりあえず今のところは400~900円ぐらいのe-Bookとあまり変わらないところになっています。現在もエピソード1はフリーで読めるのでいくつか読んでOolipo特集でプッシュしたいとも思うのだが、今はちょっと余裕が…。しかし需要があろうがなかろうが知ったことかという人であることは今まで述べてきた通りなので、やりたかったら勝手かつ強引にやるものです。
あと前に書いたジェームズ・パタースンのBookshotなのですが、こちらもアプリが出ており日本でも使うことができるのに少し遅れて気付きました。こちらでは発売中の全作がこちらで購入でき、プレビューを無料で読むことができるそうです。まだ読んでないのだけど。ただこちらは肝心のwithの作家名が見られないのが難点か。いや、パタースンさんの作品が読みたくないとか言ってるわけじゃないけど。インストールし、アカウントをちゃんと作ると世界のパタやんからメッセージのメールが届くよ!あとGreat Jones Streetもほぼ毎日作品が増えて頑張ってるよ。Anthony Neil SmithやRob Hartの短編も無料で読めるんだぜっ!などなどでした。


うーん、これで2週間のスパンか。まだまだですがいくらかは復帰してきましたのでまた頑張る所存です。なんかAdam Howeについてはまだ誉め足りん気もする。みんな読んでね!テレビ東京のお昼の海外ドラマの後のジャパネットのお姉さんが割と好みな気がしていたが、録画したのを早回しでパタパタ動いてるのがかわいく見えていたのだと気付いたりする日々を送っております。ではまた。



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2017年3月25日土曜日

2000AD 2016年秋期 [Prog 2001-2011]

年明けすぐぐらいにやる心づもりではありましたが、なんだかんだで遅れてしまいました2000AD 2016年秋期です。まあ、まだ許容範囲…ですよね?
それではまず今回のラインナップから。

 Judge Dredd
 Flesh [Prog 2001-2010]
 Hunted [Prog 2001-2009]
 Savage [Prog 2001-2010]
 Counterfeut Girl [Prog 2000-2008,2010]

今期は記念すべき2000号に続き、連載作品も超豪華!巨匠Pat Millsの代表作2本立てに加え、Gordon Rennieによる『Rogue Trooper』に連なる作品、そしてピーター・ミリガン最新作というラインナップで、どれがトップ画像でもよかったのですが、その中で今回限りの単発作品であるゆえ『Counterfeit Girl』を選びました。トップ画像と言えば今まで画像を借りてた2000ADのサイトが40周年の今年に合わせ、全面的に新築されてしまったので、今までの画像が全部パアになってしまいました…。色々いい加減にしているのは多いのだけど、これだけはある程度アーカイブ的に役立てれば、と思っているので、なるべく早く何とかしようと思います…。

Judge Dredd
 1. Get Sin : Rob Williams/T. Hairsine & B. Kitson/Dylan Teague (Part1-3)
 2. Act Of Grud : Rob Williams/Henry Flint (Part1-3)
 3. The Cube Root Of Evil : Arthur Wyatt/Jake Lynch (part1-3)
 4. In Denial : Michael Carroll/Andrew Currie

1、2はRob WilliamsによるTitanサーガのその後。Titanサーガとは2014年冬期のTitanに始まり、2015年春期のEnceladus - New Life、同年夏期のEnceladus - Old Lifeへと続いたストーリーです。犯罪に関わったジャッジの刑務所惑星であるTitanにおける陰謀、そして派遣されたドレッドとの闘争の末、衛星Enceladusへと逃亡した囚人たちが、死の間際に一体化したEnceladusの生命体の力を得て、復讐のため帰還したMega-City Oneを危機に陥れるという話。Titanの方は『Judge Dredd : Titan』として単行本化されていますが、後半Enceladusの方はまだ単行本としてはまとめられていません。とすでにちょっとややこしいことになっているのですが、今回の1、2ともに以前Enceladusのあらすじで省略してしまった部分からつながったりするので、また説明を加えながら、という感じで行きます。

1. トナカイにまたがった部隊を率い旧シベリアに潜入したドレット。その目的地は東側Sovsの秘密基地、そしてそこにはTitanで囚人となっていたかつてのチーフ・ジャッジが捕えられていた。
Enceladus - New Lifeの最後で死に瀕した囚人グループがSovsの部隊に襲撃されるという場面があり、それが今回のストーリーにつながってきています。Sovsの目的は元チーフ・ジャッジからMega-City Oneの情報を引き出すこと。この元チーフ・ジャッジはDay of Chaosより以前にP.J.Maybeと組んでCity乗っ取りを謀った人物らしく、Day of Chaosの単行本『Day of Chaos:The Fourth Faction』の冒頭で逮捕されてTitanに移送されるというシーンがあります。自分もDay of Chaosがやっとのところなのでそっちの事件の経緯はわかりません。その後、シティのチーフ・ジャッジは現在のHersheyが勤めています。ちなみにこのHersheyはスタローンの『ジャッジ・ドレッド』にも登場してドレッドを助けていた女性で、現在Complete Case File Vol. 4に収録されているJudge Childというストーリーから登場しています。あと今回はあのジャッジ・アンダーソンも登場。ちなみに夏期のアンダーソンに関しては、その後のお便りコーナーで「あのアンダーソンはちょっと…」という声も寄せられていました。少なくともイギリス人の美的感覚も日本人に理解不能なものではないようで安心しました。
2. 以前Enceladus - Old Lifeのあらすじを紹介した時には、その結末を書いていなかったのですが、Cityの攻防戦と並行する形でEnceladusへ派遣された調査隊のストーリーが描かれており、その調査隊が地底の遺跡で謎を解き氷に保存された囚人たちの遺体を破壊したことでCityは救われる、というのが結末でした。地底の遺跡への途上、隊員たちは次々と倒れ、最後にただ一人生き残りCityを救った青年ジャッジSamが今回の主人公です。
Enceladusの地底遺跡で待ち、酸素も尽きる寸前で救出されたSam。人智を超えたものを目撃し、死の淵を見た彼は元いた建築関係の部署を離れ、Cityでのジャッジの任務に就くが、奇妙な違和感から逃れることができずにいた。そんな彼がドレッドに命じられた保護された証人の監視任務に就いた時、彼の目の前で監視対象の男が見えざる手により殺害される。
犯人はEnceladusのエネルギーを利用したステルスと同時に壁抜けもできる装備を装着した暗殺者で、Enceladusで調査活動に当たっていたSamがその秘密を見抜く、という展開になるのですが、暗殺者の正体は不明のまま終わります。1,2ともTitanサーガのその後の話なのだけど、多分Rob Williamsラインの次の展開の始まりというところと思われます。ちょっとこの2の方は表のSamの話の後ろに色々詰め込みすぎた上に次に続く謎を残して終わったため、少しわかりにくい話になってしまった感じ。最後のページもかなり画も小さくなってたり。とりあえずは、Rob Williamsの次の展開に期待。
1の作画コンビに関しては多分初見だと思うのだけど、不明。第1回がこの名前になっていて、2,3回はT. Hairsineと最初にカラーリストとしてクレジットされていたDylan Teagueとの連名になっています。どういう事情かも不明。画については日本のマンガに近い感じの線による見やすい迫力あるタッチです。2は言わずと知れたHenry Flint!どちらにもGerhartが登場していて、この人はJustice Departmentの内務調査部であるSJSに属しており、かつてはDay of Chaosにドレッドの責任があるとして追及していたのだけど、Titanで共に戦ってからはドレッドに全幅の信頼を置いている。Titanで体のほとんどがアンドロイド化していることが明らかになり、それゆえ不死身のドレッドとともに唯一生き残ったのだけど、以来顔面がとりあえず応急修復したツギハギ状態で歪んでいる。1ではさすがにそろそろ直しただろうと思って普通の顔で描かれているのだけど、2のFlint画ではまたツギハギに。GerhartについてはTitan以降はFlintしか描いていなくて、ちゃんと打ち合わせなかっただけの行き違いだろうけど、なんだかFlint先生がツギハギ面に異様にこだわってるようにも見えてちょっと可笑しかったです。あ、でもSamがGerhartの顔を見てぎょっとしてる話しの流れから見て主にRob氏によるミスか。

3. ドレッドは同僚Judge Orvilleに呼び出され、様々な素材から食料を作り出すマシンの開発に携わった功績のある女性科学者Merissa Bierceの自宅での市民栄誉賞の授与へ同行させられる。Merissaはかつて研究所へのテロ攻撃で命を落としかけて以来、自宅での研究を続けている。彼女にはその事件以来、ある暗い秘密が隠されていた。そして、彼女の自宅周辺では失踪者が相次いでいた…。
2015年前半(冬期春期)に掲載されたOrlok, Agent of East-Mega Oneシリーズのコンビによるサイコ・ホラー。Jake Lynchについては登場の度に昭和も40年代ぐらいの少年マガジン風レトロ画と言ってきたのですが、今回の作品を見るとなんとなくArthur Wyattのストーリーにも少しそっち風があるように感じられ、ちょっと異色のいいコンビなのではないかと思えてきました。Orlok再登場の予定があるのかは不明だけど、このコンビでまた頑張ってほしいところ。2000ADカバーではカラーの迫力あふれるドレッドを度々描いているLynchですが、コミックの方はいつも白黒。しかし、今回はドレッドということで初めてカラーの作品を見ることができました。やっぱちょっとレトロ風なのだけど。最近2000ADではYOUTUBEで”FROM THE DRAWING BOARD”というアーティストによる制作過程を紹介するシリーズが始まっており、そこでLynchによる今回の作品のものが取り上げられています。最後に線を青に変えているので下描きだと思うけど、なんとLynchさん日本のClip Studio(北米・ヨーロッパではManga Studioらしい)を使っていたのですね!てっきりボンナイフで削った鉛筆だと思っていたよ。しかしクリスタに関しては私もまだ日が浅く練習中ぐらいの感じなのであまり事情も分からないのだけど、ずいぶん世界に拡がっていたのですね。


4. 逮捕され、道端の鉄柱に手錠でつながれ連行を待っていた男。しかし、緊急呼び出しが掛かり、逮捕した女性ジャッジは男をその場に残しそちらに向かう。そのまま身動きも取れず放置される男だったが、いつまでたってもジャッジは戻らず…。
逮捕したジャッジが向かった現場で死亡し、連絡が届かないままになってしまったという事情で、不運な男の話のようだが、最後に彼がChaos Dayは嘘だ、とするビラを配っていたことが明らかになるというオチ。アクションよりはユーモア方向に強そうな作画Andrew Currieの画は見たことあるような気がするのだけどちょっと思い出ません。でもこのドレッドの顔は初見かも。今回はワンショットだったMichael Carrollは年明けからドレッドのテキサス方面での新展開が始まります。


Flesh : Gorehead
 Pat Mills/Clint Langley

23世紀、食糧危機に陥った人類はタイムマシンを使い原始の地球の恐竜を食料ととして運び込むことでその解決を図るのだが…、という設定の巨匠Pat Millsの代表作の一つであるSF恐竜ウェスタンが2013年秋期以来の久々の登場。2013年秋期というと私もこれを始めたばかりで結構雑だったりもしたので、なるべく修正を図るべくわかる範囲で頑張ってみます。ちなみに作画は前シリーズではJames McKayという人で、70年代最初のシリーズが出た頃とあまり変わらないんじゃないか、という感じのレトロ画だったのですが、今シリーズからはあの現行『ABC Warriors』を手掛けるClint Langley画伯!というわけで今回も素晴らしい画伯によるカバーを並べてみました!あ…、前のABC今無くなってるから修正しなきゃ…。
この物語ではTrans-Time Corporationという大企業が独占的に恐竜の肉を供給することにより莫大な利益を得て、世界を裏で支配しているという状況。だが、そんなやり方で時間に干渉するのがそもそも問題があり、そのせいで様々な事故も起こっている。この物語の主人公となるのはそのTrans-Time Corporationと闘う美女Vegas Carverとその父親Claw Carver。Vegasの配下はタイムマシンの事故によりミュータント化してしまった恐竜人間の軍団。父親Clawもその事故で片腕が恐竜の爪のような鉤爪となっている。ちょっとその辺の事情はよく分からないのだけど、Clawは一度死にかけたところを助けられた代償に現在はTrans-Time CorporationのPastor Sundayの配下となっており、Vegasをその手で殺すべく動いている。前シリーズの最後でVegas達は自分たちの側の人物を大統領として選ばせることに成功し、過去の地球とをつなぐタイム・ゲートを閉じることを公式に宣言させる、というところまで。と書いてみるとやっぱり自分もわかってないところ結構多いなと気付いたり。以前に読んだときは恐竜でウェスタン?とか思ってしまったのだけど、今になってみるとこの設定でウェスタンができると思いついた巨匠Millsのアイデアってさすがだと思います。1977年の創刊号から79年まで続き、90年代に復活したのが第2期、そして2011年からJames McKayの作画で再開されたのが第3期というところでしょうか。そしてClint Langley画伯の作画により3年ぶりの再開となったのが今期のシリーズです。
タイム・ゲートの閉鎖は宣言されたが、なおもTrans-Time Corporationは恐竜の肉を過去から運び続ける。過去の地球で恐竜を運搬する部隊に付き添うPastorとClaw。しかしそのような強引な過去への干渉がもたらした結果なのか、原始の恐竜たちを絶滅させた地球への大隕石の落下が既存の歴史より早く引き起こされる。急激に環境の変化をもたらした嵐の中、Vegas、Claw、Pestorの対決の時が迫る!そして、時を同じくし、最強のティラノザウルスGoreheadもその眠りから目覚める!
Goreheadは画像の方にも登場している顔に「666」が入ったティラノザウルスで、このシリーズのもう一人の主役という存在らしい。前シリーズでVegasがNew New Yorkに運び込み大パニックを引き起こしたのもこのGoreheadだったと思います。2000AD初期にはドレッドと闘ったこともあり。
ABCではカラー・白黒で様々な画風を見せてくれるLangley画伯ですが、今回『Flesh』ではひたすらリアルなタッチの白黒画です。まあ、一色でここまでできるのか、とただ見とれる感じ。今期最終話の掲載されたProg 2010では、普段表紙の次の最初のページにあるはずの目次でもあるTharg's Nerve Centreが『Judge Dredd』、『Flesh』の次に来ていて今回はなぜこういうページ構成なのだろうと思ったら、Langleyドロイドの見開きページを成立させるためにはこの解決法しかなかったとのこと。かなり盛り上がったいいシーンで終わった『Flesh』ですが、今年は『ABC Warriors』が来るだろうから次の登場は早くて来年末ぐらいかな。気長に楽しみに待つであります。

Hunted
 Gordon Rennie/P. J. Holden

人気シリーズ『Jaegir』に続き2000号では『Rogue Trooper』ワン・ショットも手掛け、現在のNu Earth方面を一手に引き受けている感のあるGordon Rennieですが、今期掲載の『Hunted』はその2000号の『Rogue Trooper』(詳しい設定などについてはリンクの2000号の際の説明を読んでください)の続きともいえる作品です。しかし今回主人公となるのはRogueではなく彼が追い続けている裏切り者の方。この人物そもそもはSouther側の軍上層部に属する人間で、RogueらG.I.(Genetic Infantrymen)部隊の情報をNortサイドに流した後もしばらくSoutherに残っていたのですが、Rogueが裏切り者が軍上層部の一員であることを突き止め、司令部のある衛星に現れたとき、もはや正体を隠しSouther側に残るのは不可能と察知し、衛星を破壊しNu Earthへと脱出カプセルで降下。以来逃亡を続けることとなります。このあたり『Rogue Trooper』のシリーズ序盤の展開で、私もそこからまだあまり進んでいない状況なのであまりはっきりしないのですが、この男逃亡中の事故(前述の脱出カプセルでの降下中のように描かれているので多分そうだと思うのだけど)で全身に大やけどを負っており、そのため体調管理に常に医師を必要とし、今作の中では全滅させたNort部隊の生き残りの女医を同行しています。過去にはNort側の保護を受けていた時もあったようですが、今作の段階ではそちらからも離れて単独で行動しています。そしてその女医の他に、失敗作としてNu Earth上に遺棄され一人さまよっていた初期に遺伝子操作で作られたG.I.の生き残りを見つけ出し配下として連れています。ひたすら逃亡を続け、行き場のなくなっている彼ですが、今作では反撃に。あらゆるものを商売とする異星人とG.I.の技術と引き換えに平和な生活を取り戻すべく契約を結び、Rogueの捕獲を謀る。溶岩地帯に潜み、Rogueをおびき寄せ罠を張るが、同地には降下中の事故で迷い込んだ、Nort部隊に属するJaegirの姿もあった…。
というわけで、遂にJaegirとRogue Trooperの物語が重なるのですが、現在『Jaegir』で語られているよりは少し前の話。自分もかなりスローペースだけど『Rogue Trooper』については読んでいるところで、あまり先を知りたくなくて調べていないのだけど、多分Rogue Trooperの話はもうこの先の展開がないような形で終わってしまっていて、それゆえにJaegirと絡ませるとなると、過去の話にするしかないのでしょう。『Jaegir』の中で以前語られ、彼女のトラウマともなっている事件の真相が、今作では明らかになります。追われる側からの視点で、新たな設定を加えるという形で、Gordon Rennieによる新たなRogue Trooperのストーリーが始まったところなのでしょうが、なにせ『Jaegir』の他にも『Absalom』、『Aquila』といった人気シリーズを抱え多忙なRennieゆえ、次の登場はしばらく先になるでしょうが、とりあえずは期待して待とうと思います。
そして、今回の作画はあのP. J. Holden…。いや、本当にこの人の画は嫌いじゃないんだが、あまりにも男性に特化した感じで…。(詳しくは2016年夏期 前編を読んでください。)序盤から登場の女医に関してはおとなしいキャラ故それほど問題はなかったが、Jaegir登場でどうなるか、と思われたが終始分厚い防護服を着用し、あまり広くないヘルメットの窓越しということでそれほどの甚大な被害には至らずに終わりました。(そんな言い方ないだろ)いえ、Holdenさんにも今後もなるべく男性に特化した方向のストーリーで活躍してもらいたいと思います。

Savage : The Marze Murderer
 Pat Mills/Patrick Goddard

2015年冬期以来の登場となる、架空の1999年のイギリス侵略から宿敵Volganと闘い続ける不屈のレジスタンス闘士Bill Savageの物語です。ここ数年は『ABC Warriors』と1年交代で年の初めの冬期に掲載されていた『Savage』ですが、今回は多分2000号記念特別仕様でちょっと早めに登場。前回はめでたくイギリスがVolganの支配から解放されたが、戦後の混乱期アメリカのイギリスへの力が強まり、またロボット部隊の投入での功績から力を強めるQuartz社への懸念が高まるという社会状況の中、過激派による暴動の陰で密かにQuartz社CEOHoward Quartzを始末したSavage。しかしQuartzはロボットの身体を得て生き延び、Savageへ復讐を誓う!というABC Warriorの最大の敵でもあるロボットHoward Quartzの誕生も描かれた展開でした。
そして今回の物語の舞台となるのは、Volgan支配下のベルリン。イギリス解放の後もレジスタンスとして戦い続けるSavageは、あるバーの経営者として潜入し、警察とも賄賂で結びつき情報を集めつつ、密かに活動を続ける。彼の目的は戦局を変えるとまで言われている謎のThousand Year Stareの謎を探ることだった。しかし、時は3月。彼の妻子が殺害され、彼を果てしないVolganとの闘いに導いた月である。復讐の亡霊に取りつかれたSavageは、自らの任務とは無関係に相棒のショットガンを手に夜のベルリンの路地裏でVolgan兵を無差別に殺害し始める。腐敗した警察はその犯人の手掛かりすら得られずにいたが、セクハラの告発で恨みを買い交通課に左遷されていた女性刑事Nikaだけがその犯人の動機を見抜いていた…。
前回に続くシリーズの展開はQuartzとの戦いになるのかと思っていたけど、今回はそちらがらみの話はなくHoward Quartzも登場しませんでした。が、Thousand Year Stareの謎はそちら方面につながる気配あり。今期はその正体も明らかにされなかったが次シーズンはThousand Year Stareが話の中心となってくると思われます。それまでにABCでもそっち関係の動きがあるかも。ちなみに前回の時騒いでいたMills未来史についてですが、まだ最初にと読み始めた『Invasions!』がやっと半分ぐらいという始末…。まあSavageがレジスタンスになった経緯ぐらいはわかったし、Bill Savage大将にもずいぶんなじんでは来ているのだが…。いやまあ特に初期の2000AD物はとにかく1ページ当たりの情報量も多く時間もかかる上に、1話5ページぐらいの中で熱量高いから1話読むとすぐおなか一杯になっちゃうし。同じ巨匠Millsの『Slaine』やら『Dredd』やら『Rogue Trooper』も遅々として進まずという状況で、何とか早く読んで書かねばとは思うのですが。あとFantagraphicsの『Love & Rockets』とかDarkhorseの『Creepy』のアーカイブなんかも同じような事情で随分かかってるけどなかなか進まんしなあ。ってゆーかそんなにあっちこっち色々読んでるから進まないんじゃないの?いやまあ…。
今回も当然ながらPatrick Goddardの作画は素晴らしい。本当に存在感のあるという感じの白黒の力強く緻密な作画です。今回は、うー、ほらあれだよヨーロッパの、フランスの映画の、うー、読んでる頃からずっと思ってるのだけどさっぱり名前が出ない…。最近映画観れてないからなあ…。とにかくそれ風の静かで冷たい空気の中を鋭い音が突き抜けるようなすげーかっこいい感じです。フランス好きの巨匠Millsだけに、今回はあれでいこーぜ、って打ち合わせて、それでもそれを実現できるGoddardの画力はさすが。あれ風画面の中をバイクに変形する犬型ロボットが疾走するのはホントにしびれました。すごいぞGoddard!私がどうしても思いつかなかったあれに関しては、見ればなんとなくわかるのではないかと思いますので…ごめん…。あと巨匠Millsに関しては、ちょっと前に書いたけど初の小説作品についてもなるべく早く読んで書く予定です。

Counterfeit Girl
 Peter Milligan/Rufus Dayglo

2015年秋期の『Bad Company』復活による復帰に続くピーター・ミリガンの2000ADでの新作!その際故Brett Ewinsに代わりペンシラーを務めたRufus Daygloがアーティストとしてコンビを組みます。こちらは2000号記念号から開始の作品です。
Libra Kelly、I.D.偽造屋にして、世界最大の企業Albion Corporationと闘うゲリラ。個人情報がすべて個人の上に書かれたデータ化された未来社会。そのデータを完全に書き換えてしまえば全くの別人になれる。彼女の仕事は闇社会で盗み出した個人データで身元を変える必要のある人間を別人に作り変えること。Albion Corporationとのある深い因縁から、その商売に手を染めることとなる。Corporationの指名手配リストトップに属する彼女自身も何度も自分のI.D.を書き換え、現在はLulu Funと名乗っている。しかし時間の問題で彼女の正体は突き止められ、逃亡が始まる。町中のCorporationの監視装置を逃れ、アンダーグラウンドの顔見知りから新たなI.D.を手に入れるLibra。だがそれは罠だった!彼女に書き込まれたI.D.の人物は重病に冒されていて、彼女も同様の致死性の病に体を蝕まれ始める。死へのカウントダウンとCorporationの追手に迫られながら、そのI.D.を取り除く方法を探し求めるLibraの運命は!?
本来人間に属するはずの個人情報が、逆にそれを持たされた人間の方を支配してしまうというような、P. K. ディックにも通ずる未来社会のアイデンティティの逆転がテーマのSF作品です。後半には驚きのどんでん返し!そこでProg 2009は1週休み…。なんか最近は日本の週刊漫画誌とはご無沙汰の私としては、久々に「エッ?今週ミリガン休みなの?」気分を味わったよ。つまり優れたストーリーテラーということなのだろうけど、ミリガンという人は本当に話の組み立て方、語り方の上手い人だと思うのです。例えば前の『Bad Company』にしても大体予想通り、というような感想を書いていた人がいたのだけど、やっぱりそれって本当にそうなのかなと思うところがある。実際『Bad Company』ではその辺の陰謀の正体というのは途中から徐々に見えてくるのだけど、それが最終的にどう語られるのかというところで全く目を離せない感じで読みました。まだミリガンの作品てこの2作しか読んでいないのだけど、両作とも読み終わってみるとなんだか結末は力学的にというのか無理のない形で滑らかに収まるべきところに収まる感じで、それが物語を読み終わった後あらすじと結末で感想を考える人からそういう評価を受けてしまうのではないかなと思うわけです。でもそういう話をきれいに作ってその物語を自分の作った道筋から外れさせず最後まで読ませるって優れた作家ということではないのでしょうか。どうもうまく伝わっているのか自信がないのだけど、私はミリガンはとても優れた作家だと思い全面的に支持しております。うーむ、とにかくミリガン作品についてはもっとたくさん読んで語って行かなくては。というところです。中途半端でごめん。
作画Rufus Daygloについては、今回はカラー作品でダーティーなディストピア的サイバーパンク未来都市や、サイケデリックな雰囲気などまた前作にもプラスする新しい魅力を見せてくれました。『Counterfeit Girl』については今回限りのシリーズで、次は『Bad Company』の続きであるとTharg閣下も言っておられましたのでもう再登場はないようですが、『Bad Company』の続きにおいてもまだしばらくこの息の合った感じのMilligan/Daygloチームは続いていくようです。

そして今期は最後にProg 2011 クリスマス特大号について少し。そのラインナップは。

1.Judge Dredd : Boxing Day
2.Kingmaker
3.Ace Trucking : The Festive Flip-Flop!
4.The Order : Wyrm War
5.The Fall of Deadworld : Winter Break
6.Hope : ...For The Future
7.Aquila : More Venetiae
8.Kingdom : As It Is In Heaven

今回は2,4,6,8の4本が続く2017年冬期の連載の第1回となっているので、そのほかの作品について簡単に解説。
1のBoxing Dayというのはイギリスの伝統的なクリスマス翌日の休日で、教会が寄付の箱を開ける日なのでボクシング・デイと言われているそうでボクシングとは関係ないそうです。元々はクリスマスに休めない使用人たちのための休日だったらしい。毎年クリスマス時期には犯罪が増加するシティ。Justice Departmentの会計課から犯罪に手を染めずクリスマスを過ごした市民に現金を配るという提案が出されるのだが…。
Rob Williams/Chris Westonによるワンショット。Williamsのストーリーではレギュラーの会計課の眼鏡美人さんが登場。軽めのクリスマス・ワンショットなのだけど、作画Chris Westonの画がバカうま!ドイツ出身で2000ADでは80年代後半から活躍のベテランアーティストでアメリカでの仕事も多いようです。2000ADには久々の登場のようです。緻密で迫力のある素晴らしい作画。色々と興味深い作品も多いようなのでどこかでまた会ったらその時もっとちゃんと書こう。
3は前回夏期の最後に書いたSummer Specialにも登場していた、80年代の宇宙の運送屋が主人公の人気シリーズのリバイバル。クリスマス期、大繁盛のプレゼントメーカーEuphrates Inc.の仕事を請け負ったAce達。知的生命体が存在しないということで非課税の惑星の倉庫から大量の荷物を積み込み、出発。ところが星を離れた途端、積み荷の中から見たこともない異星人が次々と現れて…?
実はその星にはそれほどは発展していない土着の生命体がいたのだが、温厚で平和的なのをいいことにEuphratesが税金対策のためにその存在を隠しつつ陰でこき使っていたのであった。その悲惨な境遇から助けを求め、Aceの船に密航してきたというわけ。義侠心に篤いAceはもちろん黙ってらず、一計を案じる。
ライターEddie Robson、作画Nigel Dobbynのコンビによる作品。Eddie Robsonは日本未紹介ではあるけど、イギリスでは2000年代に入ってから活躍中のSF作家らしい。多分2000ADではこれが初登場なのではないかと思います。TVのDoctor Whoの仕事も結構やっているようで、コミックにもこれから進出というところなのでしょうか。Nigel Dobbynは2000ADでの仕事の他、ソニックのコミックなども書いている人のようです。
5. 2016年春期に第1シーズンが掲載されたKek-W/Dave Kendallによる、んーまあ、問題作の続きとなるワンショット。物語の最後、農場一家のただ一人の生き残りの少女とジャッジFarefaxがちょっとイカレたバイクに乗り、多分シティに向かった旅のその後。Dead-Fluidsにより凶暴なゾンビと化した人々をかわしながら進む彼らの道程に、予期せぬ冬の猛吹雪が襲い掛かる。遂に気象コントロールまでもがDeath Judge達の手に落ちたのだった。更に困難を極める道を進む二人の運命は?
んー、Kek-Wに関する苦情は前回ずいぶん書いたので今回はいいか…。多分今年中には続きも登場すると思います。あっ、こっちが遅れているうちに今週から?
7はおなじみGordon Rennieのローマの狂戦士Aquilaシリーズのワンショット。作画は2016年春期から交代しているPaul Davidsonが引き続き担当。今回は時代が一気に飛んでペストにより死の街と化した14世紀ベニス。高い城壁で病から守られ、堕落した享楽に耽る富豪の許をある男が訪れる。世界中の奇怪な宝を集める富豪に男が持参したのは、その呪われた運命からの解放を求め地獄で戦いを繰り広げた伝説の狂戦士Aquilaの剣だった。そして、時を同じくし、その城に忍び込むある影があった…。
これから「ローマ編」に続き「地獄編」となると思われる『Aquila』のストーリーからはちょっと離れたワンショット。とにかくこの『Aquila』も『Absalom』も『Jaegir』もすげー期待してるんで、Rennieさんはどんどんやってくださいというばかりです。

そして続く2017年冬期のシリーズ。中でも最注目は、えっ?また新作なの?のIan EdgintoによるSFファンタジー『Kingmaker』。作画はなんとあのLeigh Gallagher!!昨年『Aquila』と『Defoe』両作の作画を交代し、どうしたのだろうかと心配していたGallagherが戻ってきました!前述の”FROM THE DRAWING BOARD”ではGallagherによるこの作品の2000AD Prog2015のカバー画の製作過程も紹介されております。気さくなLeighやんによるマジックもあり。あとGuy Adamsによるハードボイルド・オカルト。ホラー『Hope』など、またなるべく早く書くつもりでおります。あと、先月発売された2000AD40周年記念増刊号についてもその時に。


うー…やっと終わった…。もはや許容範囲じゃないじゃん、次の冬期も終わっちゃったし…。何かと遅れがちでした昨今でありますが、今回これほど遅れてしまった言い訳としましては、さる3周年記念周辺の事情から私にもめでたく彼女ができて…。とか吹かすにゃ一週間早いか…。いやその、実はしばしの失業状態から、ちょうどその3周年記念のころに何とか転職を果たしたのですが、やはり新入社員状態は何かと大変で、なかなかこちらに割く余力がないところで一番時間のかかる2000ADを始めてしまったところがこの始末というわけでした。まあそれでも何とか少しずつは慣れてきて、あまりの感動に衝動的にTillie Waldenさんについてちょっと書くぐらいの力は出るようにもなって、やっと今回で正式に再開という感じであります。まあまだしばらくは少し遅れ気味にはなるでしょうが、以前よりも職場も近いのだしまた何とか頑張れることと思いますので、またよろしくお願いいたしますです。続く2000AD 2017年冬期につきましては、今やるとまたしばらく音沙汰がなくなりそうだし、色々書こうと思ってるのもあるし、とりあえず時期を見てなるべく早い機会にやるつもりです。というところで、ではまた。


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2017年3月11日土曜日

Tillie Walden / A City Inside -1996年生まれの恐るべき才能!-

これは凄い!これについてはなんとしても早く書かなければ、と思い急いでやりました。1996年生まれ、テキサス州オースティン在住の女性コミック作家Tillie Walden(ティリー・ウェルデン)による、近年注目度も上昇中のイギリスのパブリッシャーAvery Hillから昨年発行された現在最新作である『A City Inside』です。

物語はある女性の内面世界を彼女自身の語りで綴ったもので、50ページほどの作品の内容をあまり詳しく書いても興を削ぐだけだと思います。テキサスの田舎の大きな古い家で生まれ育ち、15歳でその家を出た彼女の、過去、現在、未来が幻想的ともいえる美しい風景の中で語られて行きます。コマも割と大きかったり、語りもそれほど多くなかったりで、お休みの朝起きて、メシは昼過ぎでいいや~などと思いながらゴロゴロしてて、そうだこれをちょっと読んでみようと思いついて30分かそこらで読み終われました。しかし読んでいるうちにその一つ一つのあまりにも美しく情感あふれる画と語りに引き込まれ、そのあまりの美しさに涙まで出てきました。悲しい話とかじゃないのですが。この優れたイメージと、それをひとつひとつ画として実体化する能力。一つ一つのコマにいつまででも見ていられるような引き込まれる魅力がある。本当に素晴らしい、凄い才能。絶対に読む価値のある作品です。つーか、私はこういうことあまり言わない性格なのはご存じでしょうが、敢えて言うがこれは絶対に翻訳出版すべき作家・作品であり、もうそれも進んでいるのかもしれない。そう思って調べてみたのだけど、ざっと検索してみたところまだ日本語で書かれた記事はすぐには見つからず、それならば、と急いで書いた次第ですが、よく考えるとこんな素晴らしいものを早めに書いたのがオレで良かったんだろうか?まあ殺伐としたノワールや、コミックでもバイオレンスやホラー方向によりがちな私の傾向からもお分かりの通り、どちらかというと内省的というのも大雑把な分け方かもしれないけどそういう傾向の作品はあんまり得意じゃなく、近年海外での評価も高くなっている浅野いにお氏なんかも割と初期のころ読んで優れた作家ではあるけど、若手の純文学や映画監督なんかと共通のある種の甘さについていけなくて以来敬遠していたのだけど、そういうのや手を付けていなかった女性作家の作品などもまた読んでみようかと思わせるほどの力のある作品でした。

あとちょっと急いだのにはもう一つ理由があって、現在iPadのみのリリースなのですが、イギリスのコミックのアプリ・ショップSEQUENTIALがセール中で、こちらの『A City Inside』もセールに入っており、なんと240円で購入できます!明日(2017年3月12日)まで…。先週からやってたんだからもっと早く言えよ!とりあえずこの機会に一人でも多くWaldenさんの作品に触れられればと…。Waldenさんの現在までの他2作(『The End of Summer』、『I Love This Part』)もセール中です。

作者Tillie Waldenについては、ちょっと急いだのであまりわかっていないのだが、昨年Ignatz Awardを『The End of Summer』で受賞。かなり気になっているAvery Hillの中でも現在イチオシの感じで注目してはおりました。1996年生まれで、まだ20歳か21とずいぶん若い才能。なんでもCenter for Cartoon Studiesというコミックの学校を最近卒業したばかりらしい。日本のMangaも好きで、最近日本に来たようなことをツイッターで言ってたりもしたようなので、結構日本には近い人なのかも。さっき初めて行ったばかりのWaldenさんのホームページではいくつか小さい作品も読めるようです。まだ若き恐るべき才能のTillie Waldenさんについては、いずれ日本でもやたらと人を罵倒して回ったりスキあらばギャグを挟もうと図ったりしないインテリジェンスと正気度の高い人たちによって絶賛され始めることでしょうが、現在のところはしばしこのボンクラの情報でなんか面白そうだな、と思って必ず読むべし!

3周年記念からまたしばらく遅れててすみません。まさかの『The Boys』日本版発売もあってか見に来てくれる人も増えているようで頑張らねばと思っているのですが…。一応遅れながらやってるいつものアレもあるので、もうすぐ何とかなると思いますので、遅れてる個人的事情についてはその時言い訳しますです。ということで今回はこれで。

Tillie Waldenホームページ

Avery Hill Publishing


●Tillie Walden



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2017年2月14日火曜日

ブログ3周年だニャン!

今年も開始日の節分からは少々遅れてしまいましたが、このブログも3周年を迎えました!もんげ~、オラこんなこと3年もやってるのかズラ~。

これも時々見に来てくださるみなさんか、ガイ・ピアーズさんただおひとりのお陰と、本当に感謝しております。ピアーズさんは早く奥さんを殺した犯人が見つかるといいですね。私のブログが何かのヒントとなればと心から願っております。

さて、これまでの1周年、2周年とも、なんだか今年は一段とひどいのですが、どうも1年で最も上げるペースが落ちる時期ということもあり、これから先ブログを続けて行けるのだろうか、と不安になり、むやみにテンションを上げてこれから何をやります、とかやたら騒いでたりしたのですが、まあ3年目ともなると、これまで続いたのだから何とかなるだろう、ぐらいの感じで、今年は少しは落ち着いて語ってみようと思います。

このブログではこれまで主にハードボイルド/ノワール系を中心とした小説とアメリカ・イギリスのコミックについて読んだ感想なんかを書いてきたわけですが、小説についてはまだ全然足りないとは思いつつも、自分が読んでる方向の外郭ぐらいは語れるようになったかなあ、と思うのだけど、やっぱりコミックについてはまだまだだなあ、と思うわけです。で、まずはいまだに自分がやることなんかなあ、と時々思いつつもなぜそんなにコミックにこだわっているのかを書いてみようと思います。んーまあ、去年あたり書いてたのと同じようなことかもしれないけど、違うところもあるだろうし、更新という感じで。

まず自分が思うのは、今はデジタルやアマゾンなどでずいぶん手に入りやすくなっているのだから、外国のコミックはもっと読まれるべきだということ。それは別に外国のものが日本のものより優れてるとかいうつもりではなく、せっかくあるなら本当は潜在的にでも読みたい人はもっとたくさんいるのではないかと思う。日本はマンガの国なんだからね。で、その時一番の障害は言葉だと思われているけど、実はそうではなく、本当に重要なのはどこにどんなものがあるのかわからないということなのではないかと思うのです。結局言葉なんて後からどうにかなるもので、読みたいと思うものがあればとりあえず英語なのだったら義務教育で基本は教わってるのだから大抵の人は何とかなるはず。それでまたひとつそういう外国のコミックをもっと大枠で流れとして説明しようという方法もある。例えばどの時期を代表するのはどういう作家でどんな作品があるとか。自分にはそういう形で系統立てるようなことは到底できていないし、そういうものを批判したりするつもりでもないし、そういうことをやってくれる人をある意味尊敬している。でも自分の考えだと、結局のところは一つ一つのものをなるべく日本のマンガを語るのと同じようなスタンスで語ることによって、そこで日本のマンガ好きが読もうと思う作品になるのではないか、と思うわけです。まず、その辺の考えが基本で、それでなるべく沢山の作品について書きたいみたいなことをずっと言っててなかなかできていないのだけど。
で、それで実際どういうものについて書くか、ということなのだけど、これを言うと反感持つ人がいるかなと思って今まで書かなかったのだけど、自分もそっちのファンであることは前提として言うけど、やっぱりマーベル、DCってそのままでは日本ではある程度以上の読者を得られないと思う。多分それは日本で特撮ヒーロー物のファンがある程度以上増えないのと同じことではないでしょうか。それが「ガキっぽい」からなんていうのは所詮知識の許容量が限られるレベルの人の後付けっぽい理由づけであることを除いても、多分どこか日本人のメンタリティに合わないところがあるのだと思います。それってむしろ日本人の好きなヴィジランテが水戸黄門や暴れん坊将軍という方向にあるという方が関係があるのではないかと思うけど、その辺について深く考えるのも面倒なので省略。それ以外にもあまりにも量が多く、例えば一つの有名なシリーズを日本のマンガ好きが普通の考えとして1から読もうとしても到底不可能。で、途中のどこから読もうかと考えても、詳しい人に聞いてみてもそれぞれ意見も違うだろうし、そういう様々なことでずいぶん敷居が高くなってしまっている。それでやっぱり日本のマンガ好きとして入りやすいのはImage Comicsとかそのあたりの非ヒーロー物でそれほどシリーズも長大でないものだろうと思うので、その辺からなるべく沢山の作品について書きたいといつも言っているわけです。実際『ウォーキング・デッド』が翻訳されてそこからImageあたりを中心に今までと違う形でアメリカのコミックを読み始めた人もそれほど多くなくてもいるのだろうと思う。アメリカにおけるImage Comicsというのは、Imageで注目され始めた作家がマーベル、DCに起用され名をあげ、そしてImageでオリジナルのヒット作を出すという形になっていて、これって最近日本で出たアメコミについての本でもこんな感じで書かれていたと思うのだけど、ちょっとなかなか読む時間作れなそうでまだ買ってもいなくて正確な引用とかでないし、書名すら出てこなくて申し訳ないのだけど、とりあえず自分の解釈も同じだと思います。ただ、日本の方で考えるとそれが逆になり、例えば『Southern Bastards』を読んでJason Aaronっていい作家だな、と思ってそれでマーベルでも書いているならそっちを読んでみようか、というのが日本のマンガ好きの読み方になるのではないかと思うのです。マーベル、DCの作品というのはライター名が記されていてもどうしたって100%個人の作家によるストーリーではないわけで、その一方で日本のマンガはほとんどの場合はオリジナル作品ということもあるので、やっぱりその方向になると思う。
ただあんまりそういう考え方で拡げて行ってしまうとなんか既存のアメコミファンと自分が増えて行ってほしいと思う読者の間に変な溝みたいなのができてしまうかも、ということも危惧されるのだけど。やっぱりまだまだ人口の少ない村なのだから派閥など無しでみんな仲良くシーンの発展に努めて行くべきなのですよ。マーベル、DCなんてさあ、500年とか千年とか経ったらきっと三国志ぐらいに見られてるすごいものなのですよ。その当時世界で一番でかい国の2つの勢力が競い、世界中ぐらいの規模で最高のライターとアーティストを集め作った超長大かつ複雑で果てしない数のキャラクターの入り乱れる英雄物語なのですから。これ読まないって絶対損だと思わない?三国志は実在の歴史に基いて書かれているとか関係ないよ。ほとんどの人は物語が面白いから読んでいるのだから。未来人よ、(そのくらいのスパンではほぼ)リアルタイムで読んでるオレを見やがれ、なのですが、ホントに見たら子孫のセワシくんが心配してタイムマシンでネコ型ロボット派遣してくるかも…。
時々、自分は日本でどんなアメコミが読まれているのか全く調べたりもしていない、というようなことを書くのだけど、それは実は小説の方で出てきてしまうハードボイルド版偏屈度500%アッププラス常時バーサク状態の神林しおり的人格ゆえのスタンスではなく、ちょっとあまりそっちの方が見えてこういうのは結構多くの人が読んでるのだな、みたいなので空気を読んでしまうのはまずいだろうなと思うからです。やっぱり日本で流通しているアメコミの情報の多くは、日本で言えば少年ジャンプあたりのところで他があまりにも少ない状態ではないかと思う。それでもっと他のを出したいと思うのだけど、その辺もっと見えてきてしまうと私のような者は結局日本で言えば青林堂のような方向に走ってしまうと思う。まあ、今の状態でも漫画ゴラク方面にすぐ飛んでしまう傾向もあるのだけど。実際2000ADとかだと読んでる人本当に少なそうだから多少デタラメでも勢いで始められたけど、『Hellblazer』とか見えてたら怖くてやれないよ。別にどこかに怖い人がいて怒られるとか思ってるのではないけど、やっぱり特に日本人ってそういうもので、自分程度で何か言うときっと笑われるだろうから恥ずかしいな、という考えで発言しないもっと知識を持ってる人だっているのだと思う。その結果入口のところの情報があまりなくなってしまっているというのが今の現状なのではないでしょうか。他のあらゆる局面では役に立たない、空気も読まず社交性もあんまり高くないボンクラこそが今の日本のアメコミシーンには必要とされているのだ!と思いたい…。当面はこの空気を読まない怖いもの知らず状態を維持しつつ、日本のマンガ好きに海外のコミックを広めたい、という大変貧弱ながらの草の根運動を続けていきたいと思うのです。
あと、もしかしたら自分がマーベル派、DC派の向こうを張ってImage派みたいなことをやってると思う人いるのかもしれないけど、そういうことではないです。Image Comics、ごめん、そろそろ日本語表記でもいいのか。イメージ・コミックスっていうのはマーベル、DCのビッグ2(今どっちが勝っているのかは知らないけど)の次に並ぶ第3位のパブリッシャーで出版点数も多く有名作家も多いため、まずここからという感じでいてモタモタしてなかなか先に進めないでいるだけのことです。まあ結局まだ日本では少年ジャンプぐらいのところしかアメコミ情報がない、などと批判めいて言えるところではないわけで。今年こそはIDW、Dark Horse、Dynamite、Boom、Oni Press、そしてFantagraphicsなどなどのなるべく沢山の作品について書いていけるよう頑張りたいと思います。フランスとかのも英訳が進んで読めるのが増えてきたし、そっちも読みたいなあ。あと漫画ゴラク方面も。ZenescopeやAvatarの別レーベルのBoundless Comicsのバッド・ガール物などについてもいつか書くぞ!
そして最初に戻るのだけど、自分がなんでこんなにコミックについてこだわるかというと、結局マンガがすごく好きで、せっかくあるのだからもっと普通の日本のマンガ好きの人にも読ませたいということなのでしょうね。自分はComixologyができて全然知らなかったぐらいのアメリカのマンガに触れられるようになって、もう宝の山を見つけたような気分になって、今でも結構そんなところもあるわけで。多分そんな気分になる人はもっと多いと思う。まあそんなわけで、またこれでいいのかなあ、と悩みつつもこれからも続けて頑張って行こうと思うのです。

それではここからは小説の方について。ちょっと冒頭にこちらについては何かやり遂げたみたいな雰囲気で書いてしまったけど、実際はやっぱりまだまだで、それでも結構いい本沢山読めたなみたいに思えるところまでは読めた気もして、少しそんな気分になってしまったのでしょう。そんなわけで今年はちょっとこの一年に読んだもののベストみたいのを並べてみようかと思います。ちなみに並んでいる順番は読んだ順で順位みたいなものではありません。


ベスト5とかにまとめるべきか、との考えもチラッと浮かんだけど、自分が外したものを誰かが拾ってくれる可能性とかがあるわけでもないので、これだけは外せんというものを7作並べました。
まずCharlie Hardieトリロジーで、いきなり3作で反則臭いけど、これはこのコンセプトで3部作を作ったというところに大きな意味があるものなので、まとめさせてもらいました。本当に楽しい3部作なのだけど、うーん、最後やっぱりネタばらしすぎた気がするので、できれば何の情報も無しに読んでもらいたいと思います。
ジョニー・ショー『Dove Season』については、とにかくこの作者、作品に会えてよかったよ、とひたすら思える素晴らしいハードボイルド。自分がこの作品にハードボイルド以外のタグをつけていないのは、ノワール要素が少ないとかせせこましい理由とかではなく、これこそ現代の最も優れた新しいハードボイルドなのだ、と強く訴えたいため。Jimmy Veeder Fiascoシリーズ第3作『Imperial Valley』も来月出版予定。邦訳ノンシリーズ『負け犬たち』も、ジョニー・ショーの作品が面白くないなどということは絶対あり得ないので必ず読んでね!
Matthew Stokoe『High Life』。恐るべきノワールの極北というべきか、灼熱地獄というべきか。とにかく本当にすごいとしか言いようのない作品。ジャンル小説というより文学寄りに思われるStokoeで、他のはクライム・ノベル・ジャンルではないのかもしれないけど、そんなの関係なくすべての作品を読んでその行く末を見届けたいと思う作家です。これを教えてくれたジャック・テイラー/ケン・ブルーウンさんには本当に感謝しています。
Ray Banks『Saturday's Child』。マンチェスターのチンピラ探偵Cal Innesシリーズ第1作!こーゆーのが読みたかったんだよ!この作者、シリーズ、作品について書けたのがまず成果なのである、ぐらいに言いたい気分なのだ。何とか今年中にシリーズ全部読むぐらいのつもりで頑張って早く続き読みたい。
Adam Howe『Die Dog or Eat the Hatchet』。すごい才能をみつけた!読んでなんか大当たりでも引いちゃった気分になった中編集。Adam Howe君については間もなく最新長編第1作『Tijuana Donky Showdown』について詳しく書きます。
Anonymous-9『Hard Bite』。アノ9姐さんの凄さについてはなんだかいまだにきちんと語る言葉が見つからないもどかしい未熟者なのでありますが、結局かなり偏った感じのこの自分のベストの中でも、あの奇抜とも見える設定ながら最も万人に楽しめるであろうこの作品を作り上げる恐るべき実力。お伝えした通り、現在活動休止中で心配なのでありますが、その後の動きとしては今年1月にこちらのシリーズがデジタルを含めた形でDown & Outから発売という形になったのと、昨年末ぐらいにレビューのお礼が1件ツィッターに上がったぐらい。お前ストーカーか…?そろそろご復帰の兆しではないかと願いつつお待ちしておりやす。
ケン・ブルーウン『Priest』。この前書いたばかりで滑り込みという感じですが。ジャック・テイラーが翻訳されないなんてなんて悲しい国なのだろう。でもどうせ出たら出たで偏狭な「ミステリ」評価とかされるからいいや。とあまりに好きな本に関しては性格の悪い面が出てしまう私ですが。

以上がこの1年のベストということですが、まあかなり偏った嗜好の私のセレクトですので、他の本が面白くなかったり劣っているなどということではありません。そんな言い訳しなくてもいいのだろうけど、自分のせいで他の本がずさんに扱われたら嫌なんだよ。本が好きだから。あとほぼ1年中騒いでいるAnthony Neil SmithさんのBilly Lafitteシリーズが入っていないのはこの1年で読めてないからです。バカ者っ!全然読めてないじゃん…。もっと努力せねば…。

この一年では少しですが翻訳されたものについても書いたのですが、その中で特に言っておきたいのがトム・ボウマン『ドライ・ボーンズ』C・B・マッケンジー『バッド・カントリー』。なんか年末辺りには毎年恒例の本年度ベストみたいなのが出たけど、その中でこの2作に点を入れている人が全然いなかったところから見て、大変悲しいことですが今の「読書のプロ」とやらには全くハードボイルド読みがいなくなってしまったのでしょうね。この2作こそがそのクオリティにおいても新しく日本に紹介されたという意味でも2016年の翻訳ハードボイルドにおける最重要作だったのに。新しいものがなけりゃジャンルに未来なんてないんだよ。コナリー、ウィンズロウなんて放っといても売れるんだからそっち置いといてもこれ推さなきゃ。それにしてもこうなってしまうとなかなか次の翻訳の望みは低そうになってしまった2作家ですが、まずマッケンジーの2作目はいつまでたってもペーパーバック版を出してくれん。えー?だってあっちのハードカバーって、マンガばっか読んでる美人OLさんの脳天にクラッシュしたらむちうち、もしくは頭蓋骨陥没を招きかねない代物じゃないすか。そして遂にヘンリー・ファレル第2作『Fateful Mornings』の6月出版がアナウンスされたボウマンですが、こちらも今のところハードカバーのみ。日本人虚弱なんだし日本の家狭いんだよ。積み重ねたこんなのが落下してきたらやってらRenta!じゃ済まないんだって…。ん~、でもいつか何とかして読むぞ!あとその他クリス・ホルム『殺し屋を殺せ』グレッグ・ハーウィッツ『オーファンX 反逆の暗殺者』など雑に扱われ適当な感想が投げられがちな良作に少しでも光が当てられたのならよいのだけれど。良いシリーズなので何とか続編の翻訳を。どーせ自分の読みたいのなんて日本で出ないんだから、とか言いつつ週2回ぐらいは書店に寄る私。しかし毎週恒例のヤンマガ、ヤンジャン等の表紙のオッパイ比較リサーチだけならコンビニでも足りるのだ!いつだって思いがけない良作との出会いを期待しているのです!またなんかいいのあったら書くからね!

その他にこの一年で読んだものとしては、ずいぶん前に一度書いたDead Manシリーズも第2集読み終わってるのだけど後回しにしてるうちに延々と書けてなかったり。一本100ページぐらいと手軽に読めるし好きなシリーズなので、早く再開しなければと思っています。あと、時々思い出したように言い出すデストロイヤーについては、今年こそはやっと未訳部分に到達して色々と書けることになります。あと毎年目標のように言ってるけど、今年こそはホラーとか他のジャンルももっと読みたい。SFとかも。少しずつでも読むのは早くなってきているのだけど、その一方でモタモタしてなかなか書く方が進まなかったり。ここのところ遅れてるせいで書けてない本も溜まってきてるし…。この前にちらりと書いた、小学生の下校通学路のこの白い線の外はマグマで死ぬ!ルール並みに厳粛かつ重要な私の読書スケジュールについてもですが、Billy Lafitteが一年以上読めていないという大惨事からも鑑み、もう少しフレキシブルな運用が必要かと…。まあそんな感じで今年も多くの面白い本を見つけてなるべく多く書いて行きたいなあと思っております。

ちょっとまたコミックについての能書きがやたら長くなってしまったので、とりあえず早く撤収せねばという感じでいったん終わったのですが、そっちの方のことをもう少しだけ。なんか去年はコミック関連のアプリショップのことについて、とアーティスト単体についても書いて行きたいと言ってたのだけど、やっぱり難しいですね。とりあえずはとにかくなるべく多くの作品を、というのを目標にその中で書いて行くしかないかなと思っています。
あと、コミックなのですから何とか画を見せたいといつも考えているのですが、多分パブリッシャーのサイトのプレビュー的なのなら使ってもOKじゃないかと思って探してみても、少し古いのだと見つからなかったりでどうにも難しい。ちょっとここはもう自分で何とかしようかと思ってるところで、一応批評目的以外は…というような注意書きがどこでもあって、批評に値するかは別として志だけはそれに近い方向として許してもらえまいか、と悩んでいるところです。注意を受けたらすぐに削除するという方向で、少しやってみるかもしれません。それでいいってもんじゃないのはわかってるのだけど、やっぱりカバー以外の画も見せられないとなあ。うむむ…。
なーんだかずいぶんでかいこと言ってるけど結局個人でやってるブログなんてたかが知れてるよなあ、とは思うのだけど、そんなこと言ってても何も動かんからなあと思い、微力ながら日本で海外のコミックの読者が一人でも増えるように頑張って行きたいと思います。いつの日か翻訳のコミックが翻訳のミステリ小説ぐらいに出版されるようになり、オレの読みたいやつが全然出ないんだよ、ばかやろー、って私のような誰かがキレてブログを始めるぐらいになるといいなあと思います。

とまあ、こんな感じで3周年記念のバカ話もそろそろ終わりにします。んー多分少しは落ち着いて語ったんじゃない?いつもながら手あたり次第の罵倒や、しょーもない冗談にやれやれと思いつつ、こんなものまで付き合ってくださった皆さんには本当に感謝しております。私も大人として罵倒はなるべく控えるべきかと常々思っておりますが、コドモとしてしょーもないギャグは一切やめるつもりはありません。私もたくさんの妖怪とトモダチになるという重大な使命の他にも色々とやらなければならないこともあり、ついつい遅れがちになったりもしますが、これからも何とか続けて行きたいと思っていますので、やれやれと思いつつも今後もお付き合いいただければ幸いです。この一年もあんまりまとまった時間もなく画も描けなかったのだけど、とても画を描くのが好きな私なのでいつか余生の余暇の時間は画を書いて暮らしますのでブログを止めます、みたいなことになったらごめんなさい。あっ、でも彼女ができて止めることになっても誰からも文句言われる筋合いはないんだからねっ!みんな幸せに暮らしてんだろっ!ちぇっ!そこのリア充とかいう部類のお前っ!私の何かによる心の傷が癒えるまで一週間ぐらい出入り禁止だっ!


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2017年2月8日水曜日

Priest -ジャック・テイラー第5作!-

やっと登場の現代最強のハードボイルド・シリーズ、ケン・ブルーウン作ジャック・テイラー・シリーズ第5作、『Priest』(2006)です。ジャックさんこんなに遅れてごめん。

さて、これまで未訳のシリーズ第3作『The Magdalen Martyrs』(2003)、第4作『The Dramatist』(2004)についても書いてきたのですが、ネタバレを避けるため登場人物のその後などについてはなるべく曖昧にしてきました。しかし、そろそろそれでは話を進めにくくなってきたのと、前作最後の衝撃的な展開が今作に続くため、ちょっとここらでまとめて説明しておくことにしました。その前作の最後の衝撃的事件についても書かなければならないので、これから第4作『The Dramatist』を読もうと思っている人は、読み終わるまでこの先を絶対読まないでください。ケン・ブルーウン/ジャック・テイラーの熱烈なファンとしての勧告であります。

まず、第1作から登場していた元警官でジャックの協力者となっていたブレンダン。この人は第3作でとある事情で亡くなっています。その後ブレンダンから話を聞いていた警官の姪リッジがジャックの許を訪れ、その後の関係が始まります。リッジはかなり強面のレズビアンの女性で、基本的にはジャックのような人間を嫌っていますが、叔父と同様に最後の部分では信頼に足りる数少ない人物だと思っているようです。
そしてジャックの母は、第3作の途中で病に倒れ、第4作で亡くなっています。

そして第4作の最後、事件解決後、ジャックは第1作からおなじみの行きつけの店「ネスター」の2階で、2人が店に出ている間ジェフとキャシーの間に第2作で産まれたダウン症の娘セリーナ・メイの様子を見ています。障害を持って生まれたセリーナ・メイですが、その後は両親の愛を受け幸せに育ち、ジャックも彼女を宝のように思っています。しかし、ジャックが解決した事件のことなどを考え、ほんの数分目を離したすきに、まだ歩けないセリーナ・メイは窓につかまりよじ登り、そして2階の窓から消えて行きます…。
作品の最後、ジャックはあるパブで酒の注がれたグラスをじっと見つめ続けています。

あまりにも衝撃的なラスト。ジャックはどうなるのか?それでは第5作『Priest』です。


【Priest】

そして、5か月後ジャックは一人の黒人によってこの世に戻される。
精神療養施設に収容され、5か月の間外界から精神を遮断し、椅子に座り壁を見つめ続けていたジャックは、気さくに話しかけてくる陽気な黒人男性により、なぜかその状態から脱し外界とのつながりを取り戻す。セリーナ・メイの死後、パブで酒を見つめながら座り続けていたジャック。彼にはその後の記憶がなかった。その彼をそこからこの施設に連れてきたのは、リッジであったことを聞かされる。そしてその見つめ続けていた酒にはなぜか手が付けられていなかった。
冒頭のシーンには、胸を打つものがあります。しかし、その後に語られるジャックの恩人の末路はあまりにも悲しい。

退院の日、リッジが迎えに現れる。相変わらずギクシャクした間柄ながら、ジャックはリッジの口から自分がこの世を去っていた5か月の間のことを知る。ジェフは「ネスター」を閉め、今では酒浸りになっていた。キャシーはジェフと別れ、ロンドンへ帰ったとのこと。そして、あのいつでもジャックに優しかったベイリーズ・ホテルのオーナー、ミセス・ベイリーが亡くなり、ホテルも閉鎖されていた…。

その頃、ゴールウェイでは教会の懺悔室で司祭が殺害され首を切断されて発見されるという事件が起こり、いまだ犯人は見つかっていなかった。リッジはジャックにその調査を頼みたい口ぶりで話すが、口ごもる。
宗教心が高く、教会がコミュニティーの中心であったアイルランドですが、近年相次いで司祭の侍者を務める少年への性的虐待が発覚し、教会への尊敬も失墜しています。殺害された司祭も同様の事件で訴えられており、犯人は過去の被害者ではないかと推測されています。

宿無しになってしまったジャックに、リッジは現在ゴールウェイを離れている友人の高級アパートまで世話してくれる。とりあえずはそこに腰を落ち着け、久々のゴールウェイを歩いていたジャックは、宿敵マラキ神父と出くわす。だが、マラキは今回だけは神妙に司祭の事件の調査を頼んでくるのだった。
しかしまずは当座の金もないジャック。職を探し、警備会社の面接からの帰り、ベイリーズ・ホテルのメイド、ジャネットと再会し、ミセス・ベイリーがジャックに遺産としてお金と彼女が住んでいたアパートを遺していてくれたことを知る。

ねぐらと懐の心配がなくなり、ジャックはマラキの依頼を受けることになる。まずは過去に殺された司祭から虐待を受けたと訴えた3人の男のリストを受け取る。
また一方ではリッジからも自分をつけまわしているストーカーの正体を探ってほしいとも頼まれる。

こうして探偵稼業に復帰したジャックの前に、コーディーという青年が現れる。帰宅したアパートの前で暴漢に襲われたジャックを助けたコーディーは、探偵の相棒にしてほしいと頼み込む。過去の様々な経験から、まずは彼に不信を抱くジャックだったが、次第に自分が持つことのできなかった息子に対するような感情を抱き始めるのだが…。


まずは、お馴染み「ミステリ」ってとこから片付けちまいましょうか。今回も我々読者とおんなじくらい頭の悪いジャックさんは、事件の周辺をうろうろと歩き回り、グダグダな感じで話を聞き、安直な断定とこいつが嫌いとかの理由から安易な結論に飛びつきそうになったりしながら、犯人を一向に見つけられない。そして事件はとんでもない結末をむかえる。いやあ全く素晴らしい!きれいに事件が解決されるストーリーや、その方向に動くキャラクターばかりがまるでそれが唯一の正しい形のように考えられ、「ミステリとして」というような言葉でその形にあっているかどうかで作品の優劣を決めてしまうような、狭量な日本の「ミステリ」読者にはもったいなすぎる優れたミステリ作品です。もー翻訳されなくたっていいやーいだっ!

そして、今回のテーマは、あまりにも深く傷つけられ、ゆがめられてしまった心は2度と元には戻らない、というあまりにも悲しい事実。過去の虐待の被害者に直面し、その深いトラウマに現在も苦しむ姿を見ると、まるで残虐な司祭の殺害事件が正しい行為であるかのようにも見えてしまうほど。そしてジャックも、セリーナ・メイを死に至らしめてしまったことにより、加害者として、その傷つけられ破壊されてしまった心に向かい合わなければならなくなる。そしてそれらがジャックの生まれ育ったゴールウェイという街の2度と元には戻すことのかなわない変化と重ね合わせるように語られて行きます。

本好きで毎回色々な本の話を聞かせてくれるジャックさんですが、今回は精神的にもあまり本を読む余裕がなく、シリーズお馴染みの各章冒頭の引用も、主にジャックさんが現世復帰後にまず行った施設の図書室で、絶対に本を盗むんじゃねえぞ!と言われてただちにパクッたパスカルの『パンセ』からのもの。あとKBと書かれたものもあって、色々調べたのだけどどうにもKBの正体がわからないまま読み終わったのですが、これ書き始めて思いついたけど、もしかしてケン・ブルーウンという人からの引用?
それでも最後の方で、お馴染みの本屋さんがジャックさんのためにとっといてくれたデイビッド・グーディスと、それに連なる感じでユージン・イジーについて少し語られます。どちらもそんな最期を迎えたのかとは不勉強ながら知りませんでした。特にイジーの衝撃的でミステリアスな死については驚いた。あと、イジーについては調べててニック・ガイターノと同一人物だと初めて知ったり。晩年少しの間本名のそっちの方で出してた時のらしいけど、日本じゃそっちの方が有名なの?ガイターノ読んでなかったよ…。しかし、イジーは『友はもういない』だけ読んでいて、なんか漠然と良かったことだけは覚えていて翻訳の出た残り2冊も未読で持っているのだけど、内容が全く思い出せない。なんかあんまりよくないときに読んだように思う。人生色々あるからね。今回はいくら本バカでも人生本が読めないときもあるよね、ってことなのでしょうか、ブルーウンさん。

そして、今作も最後に衝撃的な事件が起こります。一体ジャックさんはどうなってしまうのだろうか…。

と続きもかなり気になるところなのですが、当方ではここでジャックさんとはしばしのお別れです。と言っても今回も前から一年以上空いてるのだが…。なぜかというとここからケン・ブルーウン作品としては日本全く未紹介のトム・ブラント刑事&ジェームス・ロバーツ警部シリーズ『The White Trilogy』に取り掛かるからなのです!『The White Trilogy』とはジャック・テイラーシリーズよりも以前に始まったトム・ブラント刑事&ジェームス・ロバーツ警部シリーズの初期3作、『A White Arrest』、『Taming the Alien』、『The McDead』により構成される3部作で、ケン・ブルーウンの名を世に知らしめた初期の代表作です。ちなみに映画化された『Blitz』はその次の第4作となります。この3作現在は『The White Trilogy』として合本で出ているのみのようで、随分前にはKindle版も出ていたのだけど、現在は日本からは購入できません。なんかラッキーで販売終了直前に買えたのだけど。ですが思いついてちょっと調べてみたらKobo版は2千円台と少し高めですが販売されていました。電子書籍版をという人はそちらからどうぞ。実は私の読書スケジュールってこのジャック・テイラーシリーズを中心に立てられていて、次のジャック・テイラーを読むまでにあれとあれとあれだけは読んであれは次のを読むまで読まない、みたいに考えていて、まあその間に色々と入ってきちゃってこのざまというわけです。ホントは年2冊ぐらいに思ってるのだけど…。未訳3冊読んだらこれ読もう、と決めたのもずいぶん昔だし…。とまあそんなわけで次のジャックさんは『The White Trilogy』を読み終わってからで、目標は一年以内!何とか春までには『A White Arrest』に取り掛かる予定です。で、ジャック・テイラーシリーズ第6作『Cross』は当分先になるのだが、その時には今回の衝撃のラストについても容赦なく書いちゃうことになるので気を付けてね。

さてここでシリーズ恒例になりましたいやがらせ企画、架空邦題についてでありますが、『酔いどれ相棒を持つ』とか『酔いどれ遺産を受ける』あたりが想像されるのですが、この辺になってくるともっと適当で『酔いどれと司祭』みたいになっちゃうかも。いずれにしてもすべて却下!シンプルに『司祭』か『司祭の首』みたいのも考えたけど今回はあまり原題にこだわると日本語にしたとき原題の持つ意味があまり伝わらなくただ古めかしく感じられるものになってしまいそう。ここは内容から考えて『罪と報復の街』なんてのはいかがでしょうか。

あと最後に、以前少し触れましたジャック・テイラー・シリーズのTVムーヴィー・シリーズなのですが、ちょっと以前あまりよく調べずアメリカ製作とか書いてしまったのですが、よく調べてみたらアイルランドでの製作でした。すみません。2011年と2013年に3作ずつ、第6作まで作られていましたが、昨年2016年にさらに3作、第9作まで製作されています。以前はその谷間にあたり、DVDなども少し入手困難気味ぐらいだったのであまり詳しく書かなかったのですが、現在は昨年新シリーズが作られたばかりということで比較的入手しやすいようです。よくわからないけど多分リリースはDVDのみで、それぞれのシーズンが3枚組セットになったものだと思います。アイルランド製作なのだけど、販売もそうかはわからないのですが、現在アマゾンで上の方に表示されるのは多分イギリス版でリージョン2で日本のプレイヤーでも再生できると思います。ちょっと日本のアマゾンにはその辺のデータが無くて確実ではないのだけど、一応AmazonUKの方で見たところそうなっていました。アメリカ版(リージョン1)も出ていて、リストのものがUK版でアメリカ版はジャケットが違っているのでご注意ください。


【その他おしらせの類】
さて、『オーファンX 反逆の暗殺者』であります。うむ!面白かった!これから本当に楽しみなサスペンス・アクション・シリーズの第1作です。主人公エヴァン・スモークは孤児として育った少年時代にその才能を見出され、ある特殊な任務に就くべく「オーファンX」として訓練・教育される。そして現在、彼はロサンジェルスのマンションのペントハウスを密かに要塞のように改造した住まいに暮らし、特別な口コミでのみ伝えられる番号にかかってくる電話の、全ての望みを無くした人からの絶望的な救済を求める依頼を受ける、という謎の「ミッション」を仕事としている。彼はいったい何者で、何のためにそのような仕事をしているのか?
まず最初に書いたように、この作品ハードボイルドとかいうよりはサスペンス・アクションというようなものだと思います。もちろん「冒険小説」とかじゃねーからっ。サスペンスとかってちょっと曖昧に使われがちな言葉だったりするけど、自分の解釈では主人公が進行中の謎を含んだ危機の中で行動し、解決を探って行くストーリー、というように考えています。そしてこの作者グレッグ・ハーウィッツ、本当にそのサスペンスの組み立てが上手い。さすがベストセラー作家という感じ。まずは上に書いた謎の部分は交互に描かれる現在と過去が200ページぐらいのところで合わされ、彼の正体が明かされる。そしてそこに現在進行中の謎が投げかけられる。その後は残りページの半分、そして更にその半分、というような展開でひとつの謎が明らかになるとその次、そして更にどんでん返しが投げかけられる。その辺の手際の良さはまるで腕のいいマジシャンの手管のよう。うーん、ハーウィッツ、ナメてたよ、ってわけではないのだけど、実はこの人の作品読むのこれが初めてだったり。最初の邦訳が『ER襲撃』で、オビにマイケル・クライトン以来の衝撃とか書いてあって、一方でまあ自分的にそれほど優先度高くないか、と思ってしまったのと、また一方で、何を隠そう私TVシリーズ『ER』の大ファンで、なんかカーター先生やアビーさんが右往左往する様子が頭に浮かび、すでに見たもの気分になってしまったのがつまづきか。遡ってちゃんと読まねば。
自分の感想ではこの作品に似た方向なのは、TVシリーズにもなったデクスター・シリーズ(ヴィレッジブックスより3作まで邦訳あり。2015年の第8作『Dexter Is Dead』が最終作なのかな?)あたりではないかと思います。サイコ・サスペンスがメインのそちらに対して、この『オーファンX』はアクションに特化したもので、一旦動き出すと切れのいい見せ場も多いのだけど、どちらもサスペンスで読ませるという部分は共通していると思う。そして正体を隠したある種のヴィジランテというところだったり、同様にある意味非人間的である主人公エヴァンが周りの人とどう接して行くかというようなシリーズ大枠の部分で、このオーファンX・シリーズではその辺がどうなって行くのかも楽しみなところ。あと、このシリーズは「父と子の物語」ってやつがテーマとなっているのだけど、昔サム・リーヴスとかバカみたいに持ち上げてた「父と子の物語」好きはどうしたの?子供大きくなっていうこと聞かなくなってそんな気分じゃなくなっちゃった?なーんかまた「マーク・グリーニーとくらべれば…」みたいな芸のないこと言ってる人もいるけど、敢えて強引に比べるならば、こちらの方がもっと間口が広く、女性にも楽しめるようなもっと売れていい作品です。
とシリーズ的にも今後の展開が楽しみな作品で、本国ではシリーズ第2作『The Nowhere Man』も先月に発売されていて、是非とも続きも日本でも出して欲しいところなのだけど、どうなんかね?KADOKAWA的にはあんまり売れてないのかなあ。6月に出るウィンズロウの新作『The Force』は当然出るだろうし(カルテルの続きは2018年とのこと)、5月予定のハミルトン、ニック・メイソン第2作も多分というところだろうけど、これはどうなるのか?映画が公開されてからが勝負なのだろうか。こーゆーシリーズを本屋で見つけて、ワーイ、続きが出たぞ、ってニコニコして楽しみに買って帰りたいのですよ。何とか頼みますよ、KADOKAWAさん。
こちらは以前にも書いた翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトで未訳のハプレナ第1作について解説してくれた三角和代氏による翻訳です(第二十七回はジョー・R・ランズデールの巻(執筆者:三角和代))。訳者あとがきのハーウィッツによるコミック部分に少し補足。ハーウィッツは2008年からマーベル、DCのビッグ2でいくつかの作品を手掛けていて、割と単発や数号のミニシリーズ的なものが主ですが、中で大きいのはDC The New 52の10~29号を手掛けた『Batman: The Dark Knight』でしょう。ちょっと『Batman』について説明すると、Batmanは『Batman』と『Detective Comics』の2つのシリーズがメインのものとして初期から途中でリランチとかもありながら現在まで続いていて、そのほかに色々なBatmanを主人公としたシリーズが発行されていて、こちらは2011年のDCのリランチThe New 52の一つとして始まり2014年まで29号で続いたそういうシリーズのひとつです。まあ一つのバットマン外伝というような解釈で良いのではないかと思います。ちょっとややこしいのだけど映画の『ダークナイト』やフランク・ミラーの有名なコミック『ダークナイト・リターンズ』とは基本的には関係ありません。うわ、ちょっと説明なのにずいぶんややこしく長くなってるが…。ハーウィッツによるコミックを見てみたいという人はそちらの『Batman: The Dark Knight』のTPB、Vol.2~4あたりが良いかと思います。ハーウィッツは2014年以降はコミックの方からは少し離れているのですが、もしかしたら映画が当たれば今のアメリカだとどこかから『オーファンX』の作者自身によるオリジナル・コミック・シリーズとか出るかもしれませんね。
なんだかうっかり書名を沢山上げてしまい、名前を出してしまった以上ちゃんと書かなければつまらなかったと思われるかも、という強迫観念でしばらく続いていました翻訳本についてもやっと片付きました。まあ今後は未訳に専念する予定ですが、またせっかく出たのに雑に扱われそうなのが出たときには騒いで色々罵倒したりするつもりです。と言っても読もうと思ってるの多いし、コミックも読みたいしで、日本語のを読む時間あまりないのだけど。竹書房、マグノリア、ハーパーあたりはもっとちゃんと押さえて行きたいのだけど。とりあえずは頑張ろうと思うのです。

続いて個人的に注目の新刊情報です。まずはあのドゥエイン・スウィアジンスキーが世界一のベストセラー作家ジェイムズ・パタースンと組んで一儲け企む!こちら『The House Husband: BookShots』James Patterson with Duane Swierczynskiは先月発売されたばかりの作品です。James Patterson’s BookShotsというのはパタースンが昨年から始めたシリーズというかレーベルみたいなもの、とゆーかパタースンの出版社なのかな?色々な作家と組んで、150ページぐらいの手軽に読めて安価なもの、というようなコンセプトで、ミステリ、ロマンスといったジャンルで月に4冊ぐらいのペースで次々と発行されているものらしいです。(詳しくはこちら Bookshots)。まあ月に4冊とか出てるんじゃパタースンの名があっても当然原案・企画のレベルで、実際書いているのはWithの方の作家ということになるでしょう。そこにあのスウィアジンスキーが参加ということ。コミックのライターとしても原案付きのものにも慣れていて腕のいいスウィアジンスキーですから、こちらでもスウィアジンスキー味で楽しませてくれることは確実でしょう。価格もペーパーバックでも300円台とお手頃で、せっかくなのでそっちを買いました。『Canary』、『Revolver』と読まねばならん新作も溜まってしまっているスウィアジンスキーですが、とりあえずはこのお手軽に読めそうなこっちをボチボチ先に読んでみよう。とか思ってたらなんと3月にはさらにBookShotsから『The Shut-In』なる新作の予定が!これは何とかペースを上げていかなければ!
そしてついさっき入ったばかりの最新ニュースですが、スウィアジンスキーさんの現在最新作である『Revolver』がInternationai Association of Crime Writers North American Branchによって選ばれるハメット賞の2016年の候補にノミネートされたそうです。他にはハミルトンの『ニック・メイスン』とかもノミネートされています。(IACW/NA:News/NOMINEES FOR 2016 NORTH AMERICAN HAMMETT PRIZE ANNOUNCED)
そして続いてはあの英2000ADの巨匠Pat Mills初の小説作品が登場!こちら『Serial Killer (Read Em and Weep Book 1)』はKevin O’Neillとの共著で先月Mills自身の個人パブリッシャーであるMillsverse Booksから出版された巨匠Millsの初の小説作品です。Book 1となっているようにRead Em and Weepシリーズの第1巻となるものです。こちらそもそもはTVシリーズとして結構前に企画されたもので、話しも進みストーリーも固まってきたところで局上層部から「テレビ向きではない」との理由でボツになってしまったというもの。その後も別の局やメディアを転々としたものの実現に至らず、それならばと小説という形で出版に踏み切ったというのがこの作品です。内容は1970年代のコミック誌の編集者を主人公としたブラック・コメディということ。『Serial Killer』というタイトルから結構ミステリ寄りのものではないかな、とも期待されます。まあ大物巨匠Millsですから既存の出版社から出すという方法もできたのですが、放送媒体へ向けての製作過程で様々な提案(舞台をアメリカにしたら、とかMills自身の自伝的要素を加えたらとか)を出され、またそれ一からやんのやだから、という理由で自身の出版社からの出版と決めたということです。Millsverse BooksというのはMillsがフランスで出版した作品『Requiem Vampire Knight』シリーズを英語圏で出版するため、割と最近設立されたパブリッシャーです。『Requiem Vampire Knight』シリーズは英語圏では元々はHeavy Metalが出版していたのですが、色々あって(その辺についてもいずれちゃんと調べて書こう)ちゃんと出版されなくなってしまったので、版権を引き上げ自分で出すことにしたらしい。この辺の『Serial Killer (Read Em and Weep Book 1)』出版についての経緯は、昨年末発売の2000AD Prog2011クリスマス特大号(ドレッドがサンタを撃ち落としている表紙!)に、小説の一部プレビューとともに掲載されていました。共著のKevin O’Neillと言えば『リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン』などを描いたイギリスの有名なアーティストですが、イラストを描いているのかな、と思ったら「THIS IS A TEXT NOVEL AND DOES NOT CONTAIN ANY ILLUSTRATIONS」という記述があったので、どういう感じの共著なのかも気になるところです。まあ2000ADとミステリ方面の両方のファンというのは日本では私以外にあまりいないとは思いますが、個人的にはぜひ読みたいし語る価値のある本だと思いますので、早いうちに読んで書く予定です。
と、まあ、言ってるそばから2冊もイレギュラーで早く読みたい本が入ってきて、これではいつ次のジャックさんに出会えるやらという感じ…。スウィアジンスキーのBookShotsはもっと出そうだし、Millsの方はシリーズ物だし…。うむむ、やはり読書スケジュールを考え直すべき時なのかも…。

なんだかモタモタとやってるうちに急用が入り一週間近く身動きとれなくなったりして、また大幅に遅れてしまいました。Oolipoとかにも進展があったので書こうと思っていたのだけどそれはまた次の機会に。なかなかうまくいかない時期でもありますが、また頑張ってやって行く所存でありますので、またよろしくね。ではまた。


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