2017年9月13日水曜日

2000AD 2017年冬期 [Prog 2011-2022] (前編)

またしてもずいぶんと遅れてしまいましたが、2000AD 2017年冬期であります。アホな使命感と言われようが、何が何でもこれだけはやらねばならんのだ。実際自分のやってるのがどの程度役に立っているのかは不明なのだけど、その歴史と内容の素晴らしさに比して、それぞれの作品の掲載ペースの間が長すぎる故どうしても一見さんにはとっつきにくい2000AD。何とか日本でも一人でも読者を増やすべく少しでもわかるやつがガイドして行かねばならんのだ、と自分を叱咤激励し何とか頑張るであります。それにしてもせっかく少し追いついたのにまたずいぶん遅れちゃったな…。
ではいつものようにまずは今期のラインナップから。

 Judge Dredd
 Kingmaker [Prog 2011-2022]
 The Order [Prog 2011-2022]
 Hope [Prog 2011-2016]
 Kingdom [Prog 2011-2022]
 Sinister Dexter [Prog 2018-2022]

と、今期はこのようなラインナップ。そして今期のトップ画像は、ちょっと出だしでゴリ押し力業感あるかなー、というところはあるけど、とりあえず先への期待もあって、Ian Edginton/Leigh Gallagherコンビによる『Kingmaker』であります!そして、前期2本立てで頑張った巨匠Pat Millsは冬休み。しかし、ただぼんやり休んでいる巨匠ではない!自身のMillsverseから6月には2000AD黎明期について綴った(のだと思うけど…)『Be Pure! Be Vigilant! Behave!: 2000AD & Judge Dredd: The Secret History』を、そして今月にはいつまでたっても私が手を付けられない『Requiem Vampire Knight』シリーズ最新刊Vol.10を刊行している!多分冬休みに頑張ったのだろうね。さすが巨匠!とまずは巨匠Millsの近況をお伝えしたところで2000AD 2017年冬期始まるよー。もう夏も終わるのに…。

Judge Dredd
 1. Deep in the Heart : Michael Carroll/Tiemen Trevallion/Henry Flint (Part1-8)
 2. Thick Skin : T. C. Eglington/Boo Cook (Part1-2)
 3. The Grundy Bunch : Arthur Wyatt/Tom Foster

現在のジャッジ・ドレッドには3人のメイン・ライターがいます。このメイン・ライターというのは、単にドレッドのストーリーを沢山書いているというのではなく、それぞれに自分のストーリー・ラインを持っている人たちのこと。まずメイン中のメインというのがドレッドの創造者の一人でもあるJohn Wagner。この人が書いているのがJudge Deathたちの話や、Chaos Dayのようなドレッドのストーリー全体の根幹にかかわるようなライン。そしてここ2年ぐらいの大きなストーリーであるTitan-Enceladusというところを書いているのがRob Williams。そしてもう一人が今回全8回にわたる「Deep in the Heart」のライターMichael Carrollです。Carrollの最近の大きなストーリーが昨年春から夏期前半に亘る未来のアイルランドEmerald Iselからテキサスにつながる3部作の大作です。テキサスと未来のイギリスの一部勢力が共謀し、Mega-City Oneを危機に陥れ、ドレッドの命も危機にさらされるというストーリーでした。実はこの話、後日譚的な数話がJudge Dredd Megazineの方に掲載されたそうなのですが、ちょっとそちらの方までは手が回らず未読です。とにかくその後テキサスとの関係は元に戻ったようで、今回の物語ではドレッドがテキサスに赴き、地元のジャッジとの協力のもと、Mega-Cityから逃亡中の重要指名手配犯の捜索に当たるというものです。
指名手配中の犯人を追い、テキサスに現れたドレッドは、地元のジャッジBrassとDukeの協力を得て捜査に当たる。どんな任務なのか、と問われても今は知る必要はない、と答える。今では独立自治区のようになり、ジャッジに似たシステムのセキュリティによって統治され、ミュータント、エイリアンをも含む五千人もの怪しげな住人が暮らすかつての巨大採油基地で手掛かりを追い、テキサスのゲットーで犯人を追う能力を持つミュータントの少女を捕え、ドレッドは犯人を追い詰めて行く。そしてその正体は…?
今回の話はかなり難易度高し…。いや、難解とかいうのでなく、少し昔からの主にMichael Carrollによるドレッドの知識が必要となってくる。今回ドレッドが追っていたのは、Sector Zeroと名乗るChaos Dayの混乱の中ジャッジ組織から離脱し、反Mega-Cityとして動いていた元アンダーカバーの一派の残党なのだが、いや、もうこの説明の時点でよくわからんという人もいるでしょう。この一派のリーダー的存在だったのがGideon Dallasという男で、それが前に出てきたのは2014年夏期のProg 1894から1899の『Cascade』という話で、異星のMega-Cityよりもさらに厳しい法体制の元多くの星を統制するLawlordsがMega-Cityを脅威に陥れるというものなのだが、実はそのLawlordsを地球に呼び寄せたのがそのGideon Dallasだったのである。その話ではDallasは途中から暗躍する感じで登場し、最終的には表に出てきて最後には射殺されるのだけど、いまいち役割がよくわからず、私もまだその頃は2000ADを読み始めて日も浅く、よくわからない人とか出てきてもそれが普通で、あんまりそこにこだわっていても先に進めなくなるのでよくわからないものはとりあえず放置という状態だったわけです。重要なキャラだったのかもしれないけどとりあえず死んじゃったし、そこのところ飛ばしても一応話はわかるしな、という感じでDallasのことには触れてもいなかったりする…。で、その更に前にこのGideon Dallasがいつ出てきたかというと、その前年2013年秋期、私が最初に2000ADについて書いた時のことで、Prog 1850-1855の『New Trick』。Mega-Cityの地下世界で起こった武装蜂起を陰で扇動していたのがこのDallasだったのだが、この時もいまいち役割が分からずまたしてもDallasのことには触れていなかったり…。なんだか最初読んだ時には今よりはるかにか細いドレッド知識で、P J Maybeと混乱していたような記憶もある。で、Dallas登場の回は以上で全部らしい。ただ、今回のMichael Carrollのストーリー自体は決してわかりにくいものではなく、テキサスでの追撃も大変楽しく読んだのだが、最後にその話が出てきて、んー、ちょっとよくわかんなかったけどまあいいか、と放置し、今回ちゃんと説明しなければ、と思ったところで躓いてしまったというわけです。そこでいろいろと調べてみて、コミック関係の結構大きなニュース・サイトであるMultiversity Comicsというところでやっとその時のレビューを見つけ何とか理解したという次第だったのでした。前の『Cascade』の時も何とかその『New Trick』で出てきたやつだというところまでは把握してたのだけど。ただよく考えればずっと正体不明で今回明らかになったというところなのかな。『Cascade』でLawlordsが出てきたときにはまだこんなのもいたのか、と思ったのだけど、Multiversityさんによると、実はその前にはMegazineの方でJohn Wagnerの書いた話に1回出てきただけだったらしい。Michael Carrollというのは時々こういうことをやる人らしいですね。今回はCarrollがずいぶん前の話を引っ張り出してきて、やっと決着をつけたということで、そのMultiversityさんの方でも若干呆れ気味でした。まあ所詮は私もまだ2000AD初心者の域を出ない辺りですので、ちょっと混乱気味になってしまったところはご勘弁ください。それにしても今回はMultiversityさんのおかげで助かったよ。今回初めて知ったのだけど、結構大きなところで少年ジャンプのレビューとかなかなか面白い記事も多いので、知らなかった人は要チェックだよ。

Multiversity Comics

しかし今回はなんとしてもそろそろ2000ADだけはやらねばならぬ!と勇んで2週アップを目指して取り組んだのだが、これで躓いてるうちにもう1週間以上過ぎてしまったよ…。今回は40周年特別号もあるのに…。何とかここから頑張るっス。あ、くどいようだけど最後にこの分かり難いところあるけど基本的にはCarrollのこの話面白かったですよ。そして今回の作画は前半4話が『Absalom』(最近単行本2巻目出たよ)のTiemen Trevallion、後半があのHenry Flint様である。『Absalom』では独特のグレイトーンを使って素晴らしい画を見せてくれるTrevallionだがカラーもなかなかの見物。やっぱ配色のセンスとかさすがですね。優れたアーティストの多い2000ADでFlintの描くドレッドこそが本当のドレッドだ、などというのはちょっと言いすぎだとはわかっているのだけど、Flintの岩に彫ったようなドレッドには本当に愛着あるのですよね。

2. TV番組に出演中のタレントが番組中に皮膚が突然崩れるように崩壊し死亡するという事件が続発。事件の背景にはタレントたちが違法に入手していた薬物が関係していることが突き止められたが…。
ライターは以前アレステア・レナルズ風のSF『Outlier』を書いていたT. C. Eglington。Boo Cookは一番活躍していた時期が私が2000ADを読み始める前で、それほど作品を見れてないのだけど、それでも皮膚が崩れ骨や内臓が飛び出すみたいな画は本当に得意なのだろうな、とわかる感じのグロテスクとブラックユーモアの方向が得意なアーティストです。この作品なんかもBoo Cookありきで書かれたんだろうな、と想像できます。

3. Bob Ross Wildlife Domeという自然環境保護ドーム施設にThe Church of Grud and Gunというカルト組織に属するGrundy一家が武装して立て籠もる。侵入手段を模索する対策班にドレッドがある策を提案する。
こちらはレトロ画アーティストJake Lynchと『Orlok, Agent of East-Mega One』シリーズやドレッドを書いていたArthur WyattがTom Fosterと組んだワンショット。Tom Fosterももう新人と紹介するには時間も経ったところでしょうか。登場の度に印象的な仕事を見せてくれるのだけど、そろそろこれという代表作が欲しいところ。今回の作品のFosterの制作過程が前回お知らせした2000ADのYOUTUBE”FROM THE DRAWING BOARD”に上げられています。ペンシルでの下描きを一旦PCに取り込み青でプリントしたものをトレースしてペン入れするというこだわりの手法を見せてくれます。



Kingmaker
 Ian Edginton/Leigh Gallagher

今期より始まった今や書く作品にハズレ無しぐらいの勢いのIan Edgintonと、あの『Defoe』『Aquila』のLeigh Gallagherという恐るべきコンビによる新シリーズ!ファンタジーSF大作の開幕です!いや、最初にちょっと力業感とか言っちまったけど、やっぱり個人的な感想かもしれない…。こーゆーのが嫌いとかいうわけではないのだけど、ちょっとあんまり得意じゃなかったり。例えばRPGとかで最初にその世界の伝説とか成り立ちとか重々しいナレーション付きで延々とテキストスクロールしながら語られて始まったりするじゃないですか。一応少し一所懸命聞いて読むのだけどなーんだか右から左にすかーっと抜けて何が目的かもすっかり忘れていつの間にかはぐれメタルハンターになっているというタイプなのですよね、私…。でこの作品、そんな感じでこれから30年ぐらい続く超大作始まるよーって感じで始まってしまって、こんな私にきちんと説明できるか今ひとつ自信がないのだが、とりあえず頑張ってみるです。
暴王Ichnarの圧政を下してから2000年、世界は9つの王朝により統治され平和を保っていた。しかし、その骨が地中から掘り出された時、Ichnarは蘇生復活し、再び世界には闘いがもたらされる。それぞれの王朝から集った様々な種族の勇者たちの決死の闘いにより、再びIchnarは下されるかと思われた。だがその時!空に現れた謎の巨大宇宙船によりすべての闘いは中止される。そして…。

酒場でそんな伝説を語る老人に酔漢が絡む。しかしその老人Ablardは実はその闘いの勇者の一人の魔法使いだった。うっかりAblardがその力を見せた時、ただの酔漢と見られた男は懐から異星の武器を出し、Ablardを制圧する。実はその男は密かに異星人たちに魔法とかかわりのある者を狩るように雇われていた一味の一人だった。男たちが意識を失ったAblardを連れ去ろうとしたとき、酒場にいたフードを目深にかぶった男が剣をふるい、Ablardを救い出す。
Ablardを救ったのはその星の下層種族であるOrc族のCrixus。彼は虜囚となっていた北の地で目撃した事象について、Ablardに語る。謎の巨大宇宙船の襲撃に遭い、絶体絶命化と思われた時、大地からその宇宙船をもしのぐエネルギー体の巨大な手が現れ、その宇宙船を握りつぶしたというのだ。命を救われたCrixusはただこの世界が危機に瀕しているという思いに駆られ、その事象の意味が分かる者を求めながらさ迷っていたのだった。
その星を襲った異星人の目的は、惑星が持つエネルギーを吸収すること。そして、そのエネルギーとは魔法に相当するもので、多くの星からそのエネルギーを吸い取ってきた異星人たちだったが、その彼らが驚くほどの無尽蔵とも思えるほどの魔法エネルギーがその星には存在している。そしてそれを効率よく集めるため、異星人たちは魔法に深く関わる者を捕獲していたのだった。
AblardとCrixusには更に追手が迫り、彼らは半植物族Drayadの、かつてのIchnarとの闘いを共にした王Tychoの統治する領域Drayad Glamourに逃げ込む。しかし、種族の生き残りを優先させるTychoはすでに異星人たちと手を結んでいた。Ablardを異星人の手に渡そうとするTychoだったが、その娘である姫Yarrowは父の考えに抗い、Ablardたちを救い出し、ワイバーンに騎乗しDrayad Glamourを脱出する。彼らを更に追い詰める追手の異星人部隊。絶体絶命のピンチに再び、かつてCrixusが目にしたのと同じ青白いエネルギー体の巨人が出現する…。

とりあえずは頑張ってみましたけど、お分かりいただけたでしょーか?色々抜けてたり勘違いがあったらごめん。ワイバーンは、ワイバーンって書いてなかったけど、こんな感じのそう呼ぶはずだよな、と思ったのでそう書きました。いわゆる「超訳」的テクニックですね。まあ、ご覧の通り、魔法が出て各種族が共闘したりとか、本当に王道ファンタジーSF大作って感じの話です。EdgintonもGallagherと組んでちょっと今までとも毛色の違うやつを出してきたかなという感じ。Edginton作品は『Brass Sun』や『Helium』を見ても最初に独特の設定、世界観を持ってくるので、どうしても最初力業感が出てしまうのだけど、今作はその辺の情報量が多いので、個人的かもしれないけどやっぱりいつもよりそれが強い感じがしました。しかし、やっぱりEdgintonはさすがに話の進め方とかが上手いので、読み進めているうちに設定や世界観の方には徐々に慣れていけました。でもやっぱりへっぽこRPGプレイヤースキルを発動させてしまい、最初の暴王(超訳)Ichnarのくだりはあっという間にうすぼんやりとしてしまっていたけど…。まあなんにしても本当に楽しみな新シリーズ、とりあえずは頑張ってちゃんとついていきたいと思うところです。それにしてもEdginton、一方ではちょっと因縁のぐらいにも見えるD'Israeliとの『Scarlet Traces』を遂に再開し、またこっちではこんな大作をぶち上げちまってるところでは、『Brass Sun』『Helium』あたりは当分お預けかも…。かなり期待してるんだけどなあ。あと多分次ぐらいで完結しそうな『Stickleback』も…。
そしてもう一方では、昨年『Defoe』『Aquila』両作を降板し、どうしたのだろうかと思っていたLeigh Gallagher先生が遂に再臨!これのための降板だったのかと思うと、この作品への力の入り具合も分かるものでしょう。得意のバイオレンス・アクション描写も素晴らしいし、相変わらずの恐るべきキャラクター造形!まず主人公であるOrc族のCrixusがカバー画像手前の緑のヤツ!こんなの絶対感情移入できねえ!そして老魔法使いAblardはニヤリと笑えばどこから見ても恐ろしい悪人面!Yarrow姫は…、多分日本の皆さんが頭に浮かべた姫とはどれも絶対似ても似つかないよっ!いやーオイラLeighやんの画がまた見れて幸せだよう。そんなGallagherさんの今回のカバー画の制作過程が”FROM THE DRAWING BOARD”に上げられています。カラーリングの模様だけだけど、早回しでかなりきっちり見せてくれます。この”FROM THE DRAWING BOARD”本当に素晴らしいのだけど、一時期いくつか上げられたのみでその後ストップしてしまっているのは残念。2000ADさんまた頼むよう。ただでさえ長いのが余計長くなっちゃうのだけど、あんまりないしできるだけこっちにも紹介して行きます。あとLeighやんのマジックもお見逃しなく。



The Order : Wyrm War
 Kek-W/John Burns

『Deadworld』シリーズのKek-WとベテランアーティストJohn Burnsによる、歴史の陰で時空を超えて侵略してくる謎のWyrmと闘い続けるグループThe Orderの活躍を描く2016年冬期に続くシリーズ第3シーズンです。
死の床にあるシラノ・ド・ベルジュラックは親しい友人に今まで誰にも語つたことのなかった自らの秘密を書いた手記を渡す。ベルジュラックもあのThe Orderの一員だったのだ。Wyrmとのある戦いの中、彼は美しい人間の女性の姿を模したWyrm、Donaと出会う。彼女は人間として暮らすうち、より人間にシンパシーを感じ、この世界を侵略しようとするWyrmには反感を抱いていた。Donaを信じ連れ帰ったベルジュラックだったが、グループ内は彼女を信じないものとに分かれ、対立は深まって行く。一方、時空を超える能力を持つWyrmの作戦により、古参メンバーであるAnnaはその存在を根本から抹消され、メンバーの記憶からも消し去られる。ロボットゆえに彼女の記憶を持ち続けていたRitterstahlは、愛する彼女を失った悲しみに落胆し、作戦を続ける意思も失う。そしてメンバー内でDonaをめぐる衝突が闘争に発展したその時、時空のひずみを抜け、パラレルワールドのRitterstahlが現れる。彼はAnnaを消滅させるに至った増大するWyrmの攻撃に対抗するため、様々な並行世界に存在するRitterstahlの力を結集すべく次元を越えやってきたのだった。ベルジュラックとDonaも闘争から逃れるため、Ritterstahlとともに時空のひずみを抜け、それまで暮らしていた世界から脱出する。彼らが着いたのはネオ・アトランティス。かつてマヤ王国の女王だったItzaが統治し、共に戦ったThe Orderのメンバーもそこに暮らしていた。数々の並行世界から集められたRitterstahl達もそこを拠点としている。だが、その位置も隠されていたはずのネオ・アトランティスにもWyrmの群れが襲い掛かる。そしてRitterstahlとかつてのメンバーは反撃のためWyrmの本拠地への侵入攻撃を図るのだった。
えいっ。どうもとかく話の進め方が強引なKek-W作品ゆえに、こちらもちょっと強引に書かせてもらったよ。ちょっとわかりにくいかと思うのだけど、第1、第2シーズンについて書いたのも参考にしてください。ちなみにAnnaは第1シーズンから、Itzaは第2シーズンから登場するキャラクターです。詳細はそちらで。Kek氏への不満は2016年春期の『Deadworld』で散々書いたので繰り返すことはしない。つーかなるべく前向きに良いところを見るように努めたいと思うのです。まあベテランJohn Burnsの腕もあるのだろうけど、少し強引なコマ運びになってしまう展開も減ったように思えるので、いくらかアーティスト協調して作品を作る方向に改善されたのではないかと思うのと、あと今回は随所にシラノ・ド・ベルジュラックの手記によるモノローグを使ったところで少し話も分かりやすくなったような気もする。本来あんまり推奨されないカコミによるモノローグかもしれないけど、Kek氏の作風ではある程度使っていった方がわかりやすくなるのではないかと思う。若干希望的な観測かもしれないけど欠点が解消される方向に向かっているのではないでしょうか。基本的にはKekさんには期待しているのだよ、私。それが本当に彼の目指すところなのかは不明だけど、ちょっとECやWarrenといった感じの方向も嫌いじゃないしさ。頑張ってよね。とはいえこのシリーズどうしてもこれまでの積み重ねもありわかりにくいところが多いのだけど。まあ、The Orderという組織の背景だとかAnnaやItzaの長命の秘密とか、あと目も手もなく基本的には蛇より知能が低そうに見えるWyrmが知性的な攻撃をしてくるところがどうしても説得力がなく呑み込みにくいとか、そういうことはあまり考えない方がいいのかな。最近2000ADからは単行本第1巻も出版されたこちらのシリーズ、今シーズンの最後は結構大団円ぽかったけどまだ続くそうです。とりあえず、少しわかりにくくても名匠John Burnsの美しいペン画だけでも見る価値はあり。

というところで、今回はここで急遽前編ということになって、いったん終了です。いやホントは最後までやるつもりだったのだけど、いい加減ずいぶん時間もかかってるし、長くもなっているので。今回は40周年記念号もあるしな…。今回、週末一回私用でつぶれたりもしたけど、結構頑張って書いてたのですよ。しかしどうにも難易度の高いものが続いてしまって…。後半はもうちょっとスムーズに進むと思うのだけど。日本じゃ誰も何も言ってないみたいだけど、英国ではかなり盛り上がってるはずの、ドレッドのTVシリーズについても次回詳しく、とか思ったけど、結局2018年というぐらいしかまだ情報ないみたいね。そういえば、紆余曲折を経てあの『The Boys』が遂にアマゾンでシリーズ化とか、以前にパイロット版制作決定ぐらいにお伝えした『Happy!』も順調にシリーズ化とか色々あるけど、日本で観れるのかねえ。さて次回予告!お彼岸のお墓参りでまたちょっと遅れるかも…。いや、その前に終わらせるつもりで頑張るでやんす…。ごめん。


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2017年8月20日日曜日

Ken Bruen / A White Arrest -White Trilogy第1作!トム・ブラント登場!!-

遂に登場となりました、あのケン・ブルーウンのWhite Trilogy第1作『A White Arrest』であります!こちらDetective Sergeant Tom Brant and Chief Inspector James Robertsシリーズの第1作でもあるのですが、シリーズ4作目以降はInspector Brantシリーズとして出版されていたりして(出世?)、シリーズ名もちょっとはっきりしない。シンプルにTom Brantシリーズでもいいのかな。未訳ではあるけど、第4作の映画化作品『ブリッツ』は日本でも公開されているので、トム・ブラントでいいか。などと出だしの作品紹介からちょっと混乱気味ですが、『A White Arrest』始まりますです。


White Arrestとは何か?

警察官のキャリアの頂点である。 -サー・ロバート・ピール

それまでのクソを帳消しにするでかいやつ。 -ブラント巡査部長

舞台はロンドン・サウスイースト署。
物語はまずは女性警官フォールズと同僚ロージーのエロ話で始まる…。省略。

そして第2章。ジェームズ・ロバーツ警部の机の電話が鳴る。

「警部だ。」
「ジョン?あなたなの?あらまあ、そんな風に話してると重要人物みたいねえ。」

…ロバーツ警部の奥さんからである。
「ドライクリーニング、取ってきてもらえる?」
「そんなものは自分で行け!」

会話を終えた警部はすぐにまた受話器を持ち上げる。
「今、私の妻から電話があったが?」
「はあ、緊急ということでしたので…。」
「何度言ったらわかる?妻からの電話は絶対に繋ぐな!」

しばらくの後、警部はインターコムに向かって吠える。
「フォールズを呼べ!」
そして5分後、フォールズが現れる。
「仕事を頼みたい。」
「はい、警部。」
ロバーツ警部は机の上をかき回し、ピンクのチケットを集める。
「ランチタイムにクリーニングを取ってきてくれ。」
「はあ?…。」
ところでブラントの奴はどこに行ったんだ?

トム・ブラントは取調室で容疑者の若者を前にしていた。
お前のどにパックを食らったことあるかい?ああ、パックだよ。こいつは俺のアイルランド人としてのバックグラウンドでな。
そしてブラントの拳が男ののどに押し当てられる。
こいつがパックだ。デモンストレーションてのがどんな言葉よりも効果的って場合があるんだよ。お前が女の子をレイプしたって話を早く吐いちまえよ。

取調室の外でブラントの尋問方法に意見しようとした巡査の股間を鷲掴みにしたところで、フォールズが現れる。
「ロバーツ警部が呼んでますよ。」

その時、サウスイースト署管内では二つの連続殺人事件が起こっていた。
ひとつはドラッグの売人が殺害され街灯などに吊るされるという事件。
もう一つは自称”アンパイア”によるクリケット選手連続殺人事件。
上層部が早期解決をせっついてくるのは、マスコミの注目も集まるクリケットの方だ。
「クリケット?やったことがねえな。俺がアイルランドでやってたのはハーリングだ。」
「なんだそりゃ?」
「ホッケーと殺し合いの中間ぐらいのやつだ。」

しかしこのサウスイーストも最近落ち目だ。ここらでひとつでかいやつ、ホワイトアレストを決めねえとな。


シリーズ全体については先を読んでみないことにはわからんのですが、少なくとも、今作についてどんな作品かと問われれば、断言する。ケン・ブルーウン版87分署である!
まあこの『White Trilogy』の序文でも87分署へのオマージュが語られていることからも明白で、何も私が発見したとかいうものでもないのだが、日本には87分署のファンが大変多くもちろん私もその一人であるゆえ、強調しておきたい。これはブルーウン版87分署である!
この作品の主人公はトム・ブラント巡査部長である。しかしそれは87分署の主人公が本質的にはスティーブ・キャレラであるのと同様の比重で、犯人をも含む様々なキャラクターの視点による短い章が入れ替わるという87分署のスタイルを踏襲した形でこの作品も書かれており、同様の効果を表している。明らかにブルーウンは自分の87分署を作るという意図でこのシリーズを始めている。それゆえのあの長ったらしいシリーズタイトルだったりもするのでしょう。
そして、ブルーウンの87分署愛は作品中にも表されていて、主人公ブラントは87分署の熱烈なファンであり、ジャックさんがブルーウンの好きな本を語るのと同様な感じで87分署について熱く語るのである。ブラントは拾った老犬が禿げているのでただちにマイヤー・マイヤーと名付けるほどの87分署ファンで、もちろん自宅には87分署のコレクションもあるのだが…。
上にも書いた通り、私は87分署を心から愛する者の一人として、この『A White Arrest』をブルーウン版87分署として大変楽しく読みました。感想も何もあるか、ケン・ブルーウンで87分署だよ、こんな作品が素晴らしくないわけがないだろう。87分署のファンがこれだけ多く、全作品が翻訳されているこの国でこのシリーズが未訳などというのは遺憾としか言いようがない。もしこの作品が「87分署と比較するに値しない」などと言い出すタコ野郎がいたら、そんなもんはただ87分署が名作だと言われてるから読んでるだけの奴で、そーゆーのにとって名作というのはそっちの権威がお墨付きを着けて初めて名作となるというような考えのものだ。その作品が名作かどうかなんて読んだ個人が決めればいいんだよ!人の意見に追随してるだけでエラソーなこと言うなっ!ちなみについでにこの機会に言っとくが、書評家や読書のプロどもが何百人「ミステリとして」こき下ろそうともパコ・イグナシオ・タイボ2世の『三つの迷宮』(最近出た日本のやつじゃねえ!)がメキシコという国の一つの真実を内側からあまりにも鮮烈に描いた鈍器のような名作である、という私の感想は一切揺るがん!でもきっとこれを87分署のパロディとか言い出すおっちょこちょいもいそうだな…。だから日本で出ないんだよね。やっぱり日本はケン・ブルーウンのような偉大な作家が翻訳されるに値しない国なんでしょうね。

ここで一つ、ちょっとネタバレの危険性があることを警告しつつ書くのだが(こういうのをネタバレと解釈する人も世間にはいるのだろうから)、この作品も他のすぐれたブルーウン作品同様、事件は捜査や主人公たちの推理や知力などといった方法では解決しない。文句あるかっ!まあその辺が上のような値しない人の発生が予想されるところなのだけど。まあそろそろ確信をもって言っていいのではないかと思うのだけど、ケン・ブルーウンというのは、事件を解決するような知力や生活習慣(もうそのレベルだろう)も持たない人たちを主人公にして、そういう形によって事件が解決されないというミステリ作品を書く作家なのだ。そしてその作品は常にユーモアに満ちているが、事件の解決であったりその結末は常に重く、ユーモア・ミステリというジャンルとは完全に一線を画している。もはやケン・ブルーウン作品はケン・ブルーウンという独自のジャンルなのだよ。一昔前だと、ケン・ブルーウンはトリックを作れない、とか真顔で言ってくるやつとかいそうだね。今でもいるのかな?やっぱりこの国はケン・ブルーウンのような偉大な作家が…(書く気力も出なくなっちまったので以下略…。)。

そしてシリーズ第4作の映画化作品である『ブリッツ』についてであります。実はこれずっとまだ観ていなくて原作を読んでからにしようかな、と漠然と思ってたりもしたのですが、やっぱりこれを書く以上観とかんといかんかなあ、と思いつつ、まあブラントは明らかにステイサムのはまり役で、読んでる時点でステイサムがどんな感じに演じてるかも見えちゃうぐらいでステイサムで決まりでいいじゃん、と紆余曲折を重ねた末、結局無駄な責任感にかられ今回観てしまいました。…で、少し後悔…。これシリーズの今後の展開についてかなり重大なネタバレしてんじゃん…。まあこれを読んでる多くの人はすでにこの映画を観ていることだろうと思いますが、もし未見でこれからこのトム・ブラント・シリーズを一から楽しもうとお考えの人がいるなら、絶対にこの映画はシリーズ4作目『Blitz』を読むまで見ないことをお勧めします。常々作品で重要なのは結末だけじゃないという考えを表明し、多少のネタバレは気にしない私が重大なネタバレと言ってんだから本当に重大なんだよ。まったくブルーウンという人はこのくらい平気でやっちゃう人だからなあ…。で、まだ観てないラッキーな人のために言っておくと、ステイサムは本当にイメージ通りのブラント。ハーリングのラケットをぶん回すシーンもあり。そういえばジャックさんもこのラケットを武器に携えていく場面あったねえ。ちなみにスコットランド野郎Ray BanksのCal Innesの武器はクリケットのバットでした。あっち方面のスポーツマンは暴力的だねえ。というより暴力マンがスポーツ的なのか。女性警官フォールズもイメージ通り。ロバーツ警部に関してはこっちにあまり具体的イメージがなかったのでこんな感じなのか、と再認識。というようなことになってますので、安心して第4作を読んでから観るのを楽しみにしてください。で、後悔がなぜ少しかというと、これがまた大変すばらしい作品だったからです。実際そっちの原作を読んでいないので確かではないけど、このシリーズ第1作を読んだ印象で言うと、このシリーズ、ケン・ブルーウン作品としての映像化再現度はかなり高いのではないかと思う。ちょっと未消化に見えるエピソードも含めてかなりの部分シリーズ半ばの作品のままとして原作にもかなり忠実なのではないかと推測されます。まあそんな原作と照らし合すなんてことを除外してもこの映画本当に素晴らしい。とりあえずこの段階でも私の評価としては原作付きハードボイルド/ノワール映画の新たな傑作のひとつぐらいに入れちゃって全然問題なしの作品でした。でこの作品の世間的評価がどうかというと、そんなの全然調べる気も起らんよ。こっちがうっかりでも本当に楽しく観た映画なのにわざわざ水を差すような感想を検索する気にもなれんわ。本当は他の人の意見から自分の気付かなかったり知らなかったりする観点を見つけられるというものなのだろうけど、今どきの映画についてっていつまでたっても「辛口」気取りで欠点をあげつらってりゃ映画通に見えると思ってる幼稚な言いたがりが多すぎて、なんかほんとに救いようのない状況だから。なんか「警察も犯人も頭が悪すぎる」とか言ってる奴いそうだねえ。頭が悪いやつが主人公で何が悪いの?これはそういう作品なんだよ!アンタが頭の悪いやつの出てくる映画が嫌いというのは勝手だが、こちとらも頭の悪いやつが狭量な考えで優れた作品をぶった切ってるなんてのを見るのが心底嫌いなんだよ。とりあえず私の中でこの映画の評価がいくらかでも下がるという可能性は、原作の第4作『Blitz』がさらに素晴らしかった場合だけである。もちろんなんと言ってもケン・ブルーウンだからねえ、その可能性がないわけではない。とりあえずこの映画については第4作『Blitz』を読んだその時にまた。

というわけでケン・ブルーウン作、トム・ブラント・シリーズ第1作にしてWhiteトリロジー第1作『A White Arrest』。よもやブルーウンに駄作があるなどと疑いもしなかったわけですけど、やっぱり予想通りの本当に楽しめる傑作でした。そしてこちら3部作の第1作ということで、明らかに続く、の感じで終わっております。続く第2作『Taming the Alien』がどんな展開になるのか楽しみです。まあこちら春先ぐらいには、と予告していたのがすでにここまで遅れているのですが、この第2作何とか秋のうちには…。にゃんとか頑張るよう。以前にもお伝えしました通り、このトム・ブラント・シリーズの第1作~3作は、現在は3作まとめた『White Trilogy』という形のみで刊行されているようです。Kindle版は現在日本からは購入できませんが、電子書籍ではKobo版は日本からでも購入できます。トム・ブラント・シリーズは1998年の今作から始まり、現在2007年発行の第7作『Ammunition』までが刊行されていますが、中断中なのか完結しているのかは不明です。とゆーか読むのを楽しみにしてるのだから調べるつもりもないし、このシリーズはトム・ブラントの死をもって終わるであろうみたいな予想をするつもりも、どこそこがピークであるみたいなつまんないことを言うつもりも毛頭ありませんので、あしからず。

■Ken Bruen/Tom Brantシリーズ

  1. A White Arrest (1998)
  2. Taming the Alien (1999)
  3. The McDead (2000)
  4. Blitz (2002)
  5. Vixen (2003)
  6. Calibre (2006)
  7. Ammunition (2007)


【その他おしらせの類】
遂に、あの現代ノワール最強作家にして無冠の帝王!Anthony Neil Smith先生の、こちらで何度となくタイトルを挙げていました『Castle Danger - Woman on Ice』が発売となりました!The Duluth Files Book 1!知らんという人のためにもう一度説明するのだが、この作品元々はドイツの出版社が出したOolipoという新タイプのリーディング・アプリのために書かれたもの。Oolipoというのは小説のテキストにサウンドや画像、ちょっとした動画も加えて演出した新たな読書体験を目指す画期的なアプリケーション、…だったわけですがちょっとその後行き詰ってる様子…。そんなわけでOolipoでのリリース後に出るはずだったこの作品がやっと日の目を見たというわけです。まあこっちの出版予定としてはそれほど遅れていなかったのかもしれないが。版元はドイツのBastei Entertainmentで、ドイツ語版も同時リリース。現在はKindle版のみが出ております。内容としては以前からのSmithさんの話によるとツインピークス方向のもので、これまでの作品に比べバイオレンスは抑え気味だということです。Oolipoでどんな感じになるのか結構期待していたのだが、まあ仕方ないのでこちらを読むことになると思うのですが、ちょっとまだ色々読まなきゃというのがあって、もう少し先か。しかし第2弾『Castle Danger - The Mental States』も10月発売が予定されているのであんまりもたもたしていられないか。とりあえず、今回はみんな読んでね、という宣伝です!そりゃあ私はSmithさんの作品を広めるためにこのブログをやってるようなもんなんだからねっ。
あとついでのようで悪いのだが、このBastei EntertainmentではあのDouglas Lindsayの新シリーズも11月から始まるらしい。まだAmazonの方では予約も始まってないようだけどLindsayさんのブログによるとシリーズ2巻が続けて出るようで、こちらも多分Oolipo予定だったのではないかと思われます。Blasted Heathつながりだしね。こちらについてもまた続報がありましたらお知らせします。いやまずBarney Thomsonの続きを今度こそ読まねば。つーわけでなかなか『Castle Danger』にも取り掛かれないんすよ…。

赤ちゃんばかりの国ってど~こだ?乳児ーランド!しかし、ニュージーランドに住んでるのが乳児ばかりではないことを我々に知らしめたのが、『清掃魔』、『殺人鬼ジョー』(こっちまだ読めてない、ごめん)のポール・クリーヴであろう。前にどっかでオーストラリアの作家と間違えて書いちゃってすみません。そーゆー雑なのって本当に失礼だよね。反省してます。で、そのポール・クリーヴなのだけど、前に他のも読めるかな、と思って調べたらKindle版とか微妙な値段で、いつかペーパーバックでも買おうか、と思ってそのまま放置していたのだけど、最近たまたままた見てみたら、秋にMulholland Booksから800円ぐらいのいくらかお手頃な価格でまとめて出ることが判明しましたのでお知らせします。ちなみにこちらは第2作『The Killing Hour』。みんなももちろんクリーヴさんのいかれた小説もっと読みたいよね!まあとにかく私はせっかく翻訳も出てるので、早く『殺人鬼ジョー』を読まなければならんのだが。ん?アマゾンで星が一つか二つ?そんなの果てしなくカンケーねえよっ!
あとマルホからもうひとネタなのだが、こちらは結構前なので知ってる人もいるかと思うけど、あの昨年翻訳された犯罪アクションの大傑作ながら、日本版版元の早川書房までがおなじみ○○の一つ覚え「マーク・グリーニーとくらべれば」で出版するという大変不幸な紹介をされたクリス・ホルム『殺し屋を殺せ』の主人公マイクル・ヘンドリクスが登場する『The Approach』という短編がMulholland BooksからeBookオリジナルで出ているのだが、こちらKindle版のみならずKobo版までが日本からは購入不可…。なのだが、最近これがiBooks版では購入可能なことを発見いたしました!実はiBooksって昔280 Stepsが健在な頃日本で買えないのを調べてみたときに、なんかリンクが上手くいってなかったのかこっちの手順が間違っていたのかでうまくいかず、やっぱりアプリと同じで日本で発売されてないのはダメなんだろうな、みたいな思い込みでそのまましばらく見てなくて、その後割と最近試してみたら、なんだ280 StepsのEric Beetnerとか買えるじゃん、次280 Stepsの事書くときちゃんと書かねば、と思ってたところで…、という次第だったのでした。多分私の何かが間違っていたのだろうが、iBooksの方で何か変わったという可能性もあるのだけど、その辺については不明。まあ、単純に説明すればKindleも買えなくてKoboも出てないけどパブリッシャーのサイトにはiBooksって書いてあるなあ、みたいなときはiOSを使っている人はiBooksのアプリで検索してみると見つかる場合もあるよ、ということ。えーっと、まあ私も一応アマゾンのアフィリエイターなのであんまりこういうこと書いちゃまずいのかな?でも電子書籍全体の発展がKindleの躍進にもつながるはずなので許してくれるよね…。とりあえずは昨年既に続編『Red Right Hand』も出版されていて、もしかしたら日本でも今度はちゃんとした形で出版されるのでは、というかすかな期待も残るクリス・ホルム、マイクル・ヘンドリクス・シリーズなのだが、それまでiOSをお使いの方は、こちらを読んでしばし待ってみてはというところです。しかしこの手のアプリの事って、出たばかりの時は新し物好きのおススメ本と言えば定番のジョブズのアレみたいな人が競うように書いてんだけど、いざ実用になって進んでる今のことになるとさっぱりで調べても全然見つかんないという状態だったりもするので、こんなもんの適当な情報でもいささかなりとでもお役に立てばと思うので、なんかあったらなるべく早く書くようにしますですよ。あ、マルホの他の日本で買えないeBookオリジナルも買えるかもしれないよ。

そして以前チラッとお知らせした『Down & Out: The Magazine Volume 1 Issue 1』が遂に発売!…こちらについてはまだ全然見てなくて内容については不明…。ごめん。えーっと、コールマンのモー・プレガーの新作短編が載っているのは確かで、他にもおなじみの名前が色々と並んでおります。うーん、これぐらいは何とかしなきゃと思うのだが…。あと、Down & OutさんはAnthony Neil Smith先生の復刊が遅れてるので早く出してね。
あと結構前にアナウンスされてその後ポシャったかと思われていたヴィクター・ギシュラー『拳銃猿』のリー・ゴールドバーグ脚本による映画化なのですが、最近ゴールドバーグにより自身のフェイスブックにテスト・フッテージがあげられたそうで、まだ進行中であることが判明。ギシュラーのツイッターからのまた聞きで、現物を見てないのであんまりはっきりわからないのだけど、出てる役者も実際の映画に起用される人ではないぐらいの段階のようです。監督ももう北村龍平じゃないのかな。とにかくちゃんと映画化されるといいですね。早川書房よ名作復刊の準備だ!あ、Kindle版あるの?

今回はあんまりお知らせないと思って、一旦はなしでいいかと思ったのだけど、ああ、あの事書いとかなきゃと思い出して書き始めたら、意外と色々ありました。どうにも読むペースも書くペースも遅くてあんまりたくさん紹介できないので、いくらかでもお役に立てばと思います。どうもここのところ割と有名どころが続いていて、本当はもっとDown & OutやPolisあたりの日本未紹介を推して、更に出てきたばかりのこれからっていうのについても色々書いて行きたいと思うところなのですが。前回コミック方面でも色々と罵りまくってしまったので、もうちょっと抑えなければな、と思ってはいたのだけど、今回も敬愛するブルーウン作品ゆえまたしてもかなり口汚くなってしまったよ。でもさあ、読書のプロあたりが「最近の若い人は翻訳作品が読み難いと言いますが」なんてぬるいこと言ってるから開口一番「よみにくい」とか言ってママがおかずにピーマンをいれるのがわるいレベルの事で感想になると思ってる「最近の若い人」がはびこるんじゃないの。挙句の果てには読み難い理由までもっともらしくこね回してるのもいるけど、オメーの頭が悪いって可能性は考えないの?そもそも根気や努力が足んねーんだよっ。ってゆーような全く話も通じないいきなりハーリングのラケットぶん回す○○○○も必要なんじゃないの?とも思うのだけど。ただね、SFってのはギブソンが読めないのを翻訳のせいにするレベルの読者を取り込んできたからこそ今グレッグ・イーガンの翻訳が出るのだよな、と時々思ったりもするのですよね。昔スーサイドって開演と同時に出口に鍵をかけて誰も逃げられないようにしてから客を殴りながらライブしてたって聞いたことあるけど、まあこれもそんなものだと思ってあきらめてください。どんないいわけだよ。お盆に頑張ろうと思ってたのだけどあんまり進まなかったな。休み前日、仕事終わりに「明日からお休みだーい」と浮かれて隣の駅まで散歩したら疲れて帰って夜中にゲロ吐きそうになりました。大変虚弱。ではまた殴りながら面白い本について語るのでよろしくね。


●関連記事

Magdalen Martyrs -ジャック・テイラー第3作!-

The Dramatist -ジャック・テイラー第4作!-

Priest -ジャック・テイラー第5作!-


■Ken Bruen/Tom Brantシリーズ



■Anthony Neil Smith/The Duluth Files



■Paul Cleave未訳作



■Down & Out: The Magazine



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2017年8月5日土曜日

Rob Davis / The Motherless Oven -2015年British Comic Awards、Best Book賞受賞作!-

『未来世紀ブラジル』という映画を批判しているつもりではないのだろうけど、わけのわからない映画、というような言い方をする人がいて、それについてはちょっと違うんじゃないかなあ、と以前から思っています。あの映画は登場人物は我々と変わらない人間なのだけど、明らかにこの世界とは違う世界に住んでいて(20世紀の地球のどこか、と説明されてはいるが)、ちょっと違うルールで生きているのだけど、どういう理由で世界がそんな風に変わっているのか、というような我々の住む世界との関係が示されていない。でもストーリーの方はいたって明快で、現実の部分と幻覚だったり夢だったりする部分ははっきり分けられていて、そこが混乱したつじつまの合わないシュールなものというわけではない。つまりわけがわからないと言われてしまう部分は、実は我々の住んでいる世界と物語の中の世界の関係性だけで、とりあえずはそこを無理につじつまの合うものにしようと考えなければ、全くわけのわからない映画などではないわけです。今回のイギリスSelfMadeHero発行のRob Davis作のコミック『The Motherless Oven』もそういう物語です。

舞台となっている風景は、多分イギリスの郊外ぐらいの普通の町なのでしょう。主人公はScarper Leeという少年。なんか常に胃の具合でも悪いような表情の、ギョロ目の特に美形でもない少年。そこらにいそうな主人公に、そこらにありそうな風景。だがこの世界は我々の世界とはずいぶん違っている。まずScarperの両親は彼と全く姿が違っている。彼の母親は、一応人間の形だけを示すように作られた手足や頭のある抽象的なオブジェのよう。父親に至っては全く人間の形とはかけ離れた巨大な機械のようで、現在は少し精神を病んでいるようで、勝手に外出しないよう納屋に鎖でつながれている。彼の両親は特別なわけではなく、この世界の子供たちの両親は大体同じような組み合わせになっているようである。彼の世界では台所のタイマーのような小さい機械が生き物のように話し、それらは「神」と呼ばれている。ただし、住人や他の「神」と会話をしたりするわけでなく、勝手に喋るだけである。テレビやラジオといったものはないが、毎日曜日の「Wheel」(輪と訳すべきか車輪と訳すべきか?)というものを観るのが習慣になっている。半ば啓示半ば娯楽なのだろうか、という感じで毎日Scarperはこれを観ているようだ。作品内の一日の始まりになるページで黒い背景の上に(この作品は白黒)同じモチーフを繰り返す宗教/呪術的な工芸品のような輪として描かれ、啓示的にも見える文章が白字で書かれている。昔の箱型のテレビのようなものの前でこれを観ている場面も描かれるが、具体的にどう表示されているかは描かれない。

そしてこの奇妙な世界では子供たちの死ぬ日が定められている。それぞれに決められたその日までは何があっても死ぬことはないが、その日には確実に人生が終わる。そしてこの主人公の少年Scarperの寿命はあと3週間になっている。

この世界の気候は基本的には我々の世界とそれほど変わっていないのだが、時折ナイフが降る。その時刻はあらかじめ告げられ、住民たちは家から外に出ない。
そしてそんなナイフの降る夜からこの物語は始まる。

Scarperは居間で水曜日のWheelを見ている。傍らでは校医から渡されたGazetteが彼の少し前の言葉を繰り返している。彼の言葉を繰り返し、録音しているらしい花瓶のような形の物。死期が近づいた子供に渡されるらしい。そして玄関のチャイムが鳴る。Ding Dong

母親に促され、玄関のドアを開けるScarper。そこにテーブルを傘にしてナイフの雨の中立っていたのは、最近Scarperの学校に転入してきた少女Vera Pikeだった。

Veraは転校初日からその常に薄笑いを浮かべた挑発的な態度でScarperやその親友Peterのグループから反感を買っていた。Scarperの父親が町で一番巨大だと聞きつけ、そのうち見に行く、と言っていたのが、このナイフの降る夜に現れたというわけだ。
ナイフの降る中追い返すわけにもいかず、彼女を家に入れるScarper。そして納屋で鎖につながれたまま眠る巨大な機械の父親を見せる。

やがてVeraは学校内で事件を起こし、問題児のクラスに編入される。しかし、自由時間になると現れ、死期の迫るScarperに何かとちょっかいをかけてくる。やがてVeraは自分のクラスで知り合ったCastroという少年を連れて歩くようになる。Castroは"Medicated Inference Syndrome"により耳にダイアルのついた機械を着けていて、普段は感情のないような少年なのだけど、そのダイアルを動かすと何かが壊れたようになり喋り方もおかしくなる。というよりは時々そういうヤバい状態になるとそのダイアルで調整してまともな状態を保っているらしい。そして彼には前述の台所のタイマーのような「神」を修理する能力があり、ScarperはそんなCastroに興味を持ち始める。

その数日後、突然Scarperの父親が納屋から失踪する。
そして、ScarperはVeraにそそのかされるようにCastroを加えた3人で学校を脱出して、父親探しの旅に出かける…。



彼らの通う学校は、日本と同じように制服を着たイギリスの公立学校のようだが、授業時間中は生徒が学校から抜け出さないように校庭にライオンが放たれていたりもします。3人は昼休み直後の隙を見計らいかなり危険を冒して学校から脱出することになります。そして所々で情報を集めながら、Scarperの父親が向かったと思われる"Motherless Oven"を目指し、夜は屋根の上とかで寝たりしながら徒歩で進んで行きます。そしてScarperの死ぬ日も刻一刻と迫ってくる。果たしてScarperと奇妙な友人たちの運命は如何に?

なんとも奇妙な世界の物語なのだけど、そこに生きる人にとっては当たり前の世界で、そのルールに沿って生きているわけで、そしてその世界で押し付けられた運命に立ち向かう少年少女の姿は、我々のこの世界でのものと同様に胸を打つものである。本当に素晴らしい作品でした。何とか自力でこんな作品にたどり着ける時代になって本当に良かったなあと思うのですよ。

ちょっと最初に話を振った感じなのだけど、近年の日本ではなんだかちょっとでもわからないような作品に対し、あたかも自分の頭の悪さに対する攻撃とでもみなすような感じで、過剰に攻撃するような傾向があってやな感じである。例えばゴダールの映画が分かりやすいストーリーを構成していないから、自己満足と決めつけて自己満足に浸ってるようなヤツ。結局のところは「この○○は○○を表現している」みたいな回答欄に書くような明確な一つだけの答えがあるという思い込みによる前提で、こ奴らは本当は俺と同じくらい頭が悪いのにかっこつけてわざと難しくしているみたいな思い込み。そんなわけないじゃん。結局はまあ主に団塊世代あたりのより難しいものをより難しい言葉を使ってより難しく「解釈」するのがカッコイイみたいなのに対する反動から起こっているのだろう(例:チャーリー・パーカーは難解である。)。無意味に難しい言葉で語ろうとする輩をバカにするのは結構だし、そんなものが幅を利かせる時代も終わっているのだけど、まだ「解釈」するのはカッコイイみたいな考え方だけは残っていて、それで前述のゴダール自己満足みたいな「解釈」をして「おおさまははだかだ」みたいなことを言ってるつもりになっているのが跋扈しているというわけなのである。まあまたこんなことを延々と本文より長く書いてしまうのもなんだし、こんなところまで来てくれてる人には自明の事とは思うのだけど、やっぱすごい不満だったりするのでちょいと愚痴みたいな感じで書かせてもらいました。あと最後に一つだけ言わせてもらうと、世間ではゆとり世代みたいなのをいくらでもバカにしていいような風潮になってるのに、なんでマンガ、小説、映画、絵画、音楽、その他諸々の創作物に関しては一番頭の悪いラインに合わせて、円周率を3で鑑賞しなきゃならないわけ?皆さんもそう思うっしょ?

私自身に関しては、ゴダール映画の多くについては「解釈」も説明もできんけど、少なくとも常に何か画面から目をそらさせないようなものがあって、とても全部観てるというようなものではないけど、多くは好きで繰り返し観ている。でも『去年マリエンバートで』はなんかのめりこめないものがあってそんなに好きじゃない。あとカッツィ3部作は解説されてるようなテーマに沿って観るのは面倒だけど、観てると純粋にある種の快感があるのでとても好きである。とかその程度。で、この『The Motherless Oven』を目の前で開かれて、このナイフが降るというのはどういう意味があるのだ、と問い詰められたら、そいつの顔面にパンチをくれてとっとと逃げる。知らねーよそんなの。でもどうでしょうか?上のVeraがテーブルを傘にしてナイフの雨の中立っている画像(申し遅れましたが今回の画像はすべてSelfMadeHeroのウェブサイトのプレビューからお借りしております。)。この素晴らしいワンカットを見てこんなマンガぜひ読んでみたいと思った人も多いのでは?コミック=マンガというのはまず画なのだ。そこに難解だったり哲学的だったりする意味が含まれていれば価値があるのではなく、意味など把握できなくても心惹かれる画があればそれで読むべき価値はあるのだ。もしかするとRob Davis本人に聞けば、それぞれの意味を場合によってはフロイト/ユングなんかも引き合いに出して説明するかもしれない。だが、繰り返すがコミック=マンガはまず画なのだ。このナイフの雨の中テーブルを傘にして立ってる少女という鮮烈なイメージが頭に浮かび、そこから話を拡げて作品を作り上げた、ってことだって十分にありうるし、それだって作品の価値は全く変わらないのだ。私は見たこともない不思議なものが好きだ。この作品はそうした不可思議なもので満ちている。そしてそこにはそんな世界で生きる少年少女の冒険物語があるのだ。こんな作品が素晴らしくないわけがない。たとえ「解釈」も説明もできなくても私はこの作品を心から楽しく読んだのだ。それでいいんじゃないの?本当にこんな作品に出会えてよかったと思うのですよ。

そして更に、この作品実は3部作になるそうなのであります。そしてその第2部『The Can Opener’s Daughter』は今年2月に既に発売されており、こちらは今作に登場した謎の多い少女Veraの物語となっているそうです。大変楽しみで早く読まねばと思っているところ。今作後半では、この奇妙な世界に何かの秘密があることの片鱗がほのめかされているようにも思う。もしかしたら3部作の最後にはその秘密が明かされるのかもしれない。しかし、例えば前述のこういうものをまず訳が分からない、ととらえるような人たちはその秘密が明かされることによって物語が完結すると考えがちだが、必ずしもそういうものであるわけではない。要は物語がそこに向かって描かれているかということなのだけど、それも大抵は最後になってみないと分からなかったりするものである。その秘密が明かされることもあるだろうし、曖昧なまま終わるという可能性もある。しかし、もしそれが完全に明かされたとしても、それが作品の「答え」というわけではなく、そしてその内容によってのみ作品全体の価値が判断されるというものではない。くどくどと回りくどく何を言ってるかというと、例えばこれが最後に未来の荒廃した世界かどこかへ向かう宇宙船で冷凍されている人たちが共通で見せられてる夢でした、とかいうことになると、自分の知ってるやつだからああそれね、と途端に高飛車になって雑に感想言い始める類いに釘を刺してんだよ。この第1作が大変優れた作品であるという私の感想は確定しており、それはもう揺るぐことはない。これに続きがあることを心から喜び、次の作品を読むのを楽しみにするだけである。



作者Rob Davisは1990年代からまず自費出版からコミックの世界に入り、2000ADやDoctor Who Magazineなどでも仕事をしていたそうです。そして2011年に後にアイズナー賞にもノミネートされる『Don Quixote(Volume1)』を発表。あ、ちなみに今回の『The Motherless Oven』も同賞にノミネートされています。『Don Quixote』は2011年にVolume1、2013年にVolume2がSelfMadeHeroから出版され、のちに『The Complete Don Quixote』としてまとめられています。その後、2014年に発表されたのが今作『The Motherless Oven』で、最新作が前述の『The Can Opener’s Daughter』となっています。
版元SelfMadeHeroについてはパブリッシャーとしての規模など、結局よくわかっていないのだけど、出版形態としてはグラフィックノベル中心のようで、かのIan Edginton/I.N.J. Culbardコンビによるシャーロック・ホームズ・シリーズやI.N.J. Culbardのラブクラフト作品なども出版しているところです。他にも色々と魅力的な作品は多そうなのだが、ちょっと作者、作品などを挙げられるところまでたどり着いていないところで申し訳ない。とにかくイギリスのコミック・シーンの中では欠かすことのできない存在であるのは確かでしょう。

そしてこの作品、タイトルにも挙げました通り2015年のBritish Comic Awards、Best Bookを受賞しております。同年Best Comocを受賞してるのはAvery HillからのTim Bird「Grey Area: From the City to the Sea」。(ちなみに大雑把に言うと、Best Bookが長編、Best Comicが短編への賞らしい。)こちらのGrey Areaシリーズも観察コミックというようなジャンルの素晴らしい作品で、近いうちにこちらに書くつもりです。というか、単行本の最初のを割と早く読んでしまったのだが、こんなにいいのをあまり早く読むのはもったいないといつもの病気が出て止まっていてしまっていたりするのだが…。と、いずれも優れた作品に光を当て、イギリス・コミックの実力を示してくれている素晴らしい賞なのだが、実はこの2015年を最後にストップしてしまっているのだ…。なんでもこの賞、しばらく休眠状態にあったものをイギリスのコミック作家Adam Cadwellが中心となり、2011年に復活させたものらしいのだが、ボランティア的な活動にも限界が来て、昨年からは受賞作を選出できなくなってしまっているそうです。大変残念なことです。しかし、つい先日イギリスのコミック・ニュース・サイトBroken FrontierにAvery Hillの Ricky Millerが「Why We Still Need a British Comic Awards – Avery Hill Publishing’s Ricky Miller Discusses the Lack of UK Awards Recognition and Just Why They Are so Vital to the Industry」という一文を発表し、British Comic Awardsの必要性を強く訴え、こちらにはあの2000ADや、英国コミックを代表するパブリッシャーの一つであるMyriad Editions、新進気鋭のGood Comicsからも賛同のコメントが寄せられています。私としてもいくら距離は近くなったと言ってもやはり遠いイギリス、沢山出版されどれも面白そうなものからどれを読めばいいかの手掛かりもなかなか見つからず、こういう賞が無ければこんな優れた作品でもなかなか出会えなかったかもしれない。British Comic Awardsには本当に感謝しており、何とか復活してもらえないものかと心から願う者の一人であります。

Broken Frontier : Why We Still Need a British Comic Awards – Avery Hill Publishing’s Ricky Miller Discusses the Lack of UK Awards Recognition and Just Why They Are so Vital to the Industry

今回はイギリスのコミックの話だし、Avery Hillの名前も出たのでついでにお知らせ。あのTillie Waldenさんの最新作『Spinning』(2017年9月12日発売予定)の予約がすでに始まっております!なんとこちらは現在KIndleでプレビューも出ております。Tillie Waldenのこれまでの作品の中でも最長のものになるということで、彼女の初期の代表作にもなるかもしれない重要作!まだの人はただちに予約すべし!あ…あんまり増えるとワシんとこに届かなくなるかもしれんのでほどほどに…。もはや世界注目だからなあ。なんだか以前はあんまり時間のないところであまりの感動に衝動的にちょっと雑に書いてしまったのだが、次はもっとちゃんとやるよ!ああ、でももったいなくてまだ読んでない前の作品も…。


夏バテでしゅ…。今回はなんだか最低限意味を成すぐらいに文章を構成できる気がしなくて寝ちゃった日も多かった気もする。まあいつもながらオレだけに通じるオレ語で書いてる私ですがね。色々と考えていることを書こうと思うとちゃんと週1でやらなければ追いつかないのだが、最低限の隔週もクリアできず…。しかしまあ以前に比べて1回の文章も長くなってるしね。このブログも3年を超えて老齢化しているので、年寄りの長話になるのもやむを得ないとこなのでしょう。年寄りを本当に若返らせる方法と警官にさよならを言う方法はいまだに見つかっておらんのだよ。まあ今回は随所に色々と余計なことを書いてしまったのですが、コミックの方ではあんまりやらないようにしようとは思っているので気を付けるよ。今回に関しては色々やっちまったので、もう一つついでに付け加えさせてもらえば、もしかしてこういう作品を取り上げたことでコイツ「芸術」に走り始めた、などと思う向きがいるようならはっきり言っとくが、所詮エンタテインメントが「芸術」より上だなんて思ってる奴は、「芸術」がエンタテインメントより偉いと思ってる奴と同じレベルのアホなんだよっ!思い知れっ!

Rob Davisホームページ/Dinlos and Skilldos

SelfMadeHero


British Comic Awards



●Rob Davis




●Tillie Walden最新作、まもなく発売!


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2017年7月16日日曜日

Joel Goldman / Motion To Kill -ルー・メイスンシリーズ第1作!-

今回はシリーズ第2作『The Last Witness(邦題:プライベートファイル)』が小学館文庫から翻訳されているジョエル・ゴールドマンのルー・メイスンシリーズ第1作『Motion To Kill』です。
えーと、この作品についてですが、実は第2作が翻訳されているというのを知らないで読み始めました…。まあとにかく米Amazonのハードボイルド・ベストセラー・ランキングでは常連のジョエル・ゴールドマンであり、後で書く事情もあってとにかく早く読んで書かなければ、と思って読み始め、50ページぐらい進んだあたりだったかでもう少しゴールドマンについて調べとこうと思って検索したらすぐに件の翻訳が見つかったというわけです。一瞬ありゃ翻訳出てるのを読んじゃったかな、と思ったのですが、よく見てみたら2作目のやつでホッとしました。まあ毎度この手が多いボンクラで、それにしてもスウィアジンスキーに関してはいまだに謎なのだけど、これについては仕方がない。何しろハードボイルドなんて一言でも書いたら売れなくなる、と言わんばかりにひたすら「リーガルサスペンス」と主張しているのだからね。ところでもしかしたらこの『プライベートファイル』を読んだ人の中には、第1作?と首をひねっている人もいるかもしれない。というのはこの翻訳書、これが2作目であることも書いて無く、第1作についてはほとんど触れてもいないのです。その辺の事情についてはちょっと思い当たることもあるので後述するが、とにかくこちらがルー・メイスンシリーズ第1作『Motion To Kill』であります。

ではまず主人公ルー・メイスンについて第1作開始の時点の経歴について軽く書いておきましょう。カンザスシティ産まれのユダヤ系、年齢は30代後半。子供時代に両親を亡くし、叔母の人権弁護士クレアに育てられ、自らも弁護士の道を目指す。学生時代からの恋人ケイトと結婚するが、現在は離婚。趣味は学生時代からやってるラグビー。アマゾンで2作目の方で、これはアメフトの誤訳ではないかと言ってる人がいるけど、はっきりとラグビーと書いてあります。私もアメリカでは珍しいと思ったけど、もしかしたらゴールドマン自身がやってたとかでこだわりがあるのかもしれない。
ロー・スクール卒業後、まずメイソンは事故専門の法律事務所に入る。いわゆる救急車の追っかけ屋と言われるようなところ。そこでハイスクール時代の同級生トミーの事件を手掛けることになる。一旦は和解金の提案がありメイスンもそれを受けるように勧めるのだが、のちに上司が裁判を続けた方が大金が手に入るとトミーを説得し裁判を続行、そして敗訴という結果に終わってしまう。そういったスタンスへの反感もあり、メイスンはその事務所を辞めることになり、そこで学生時代からの友人スコットからの誘いで大手法律事務所サリヴァン&クリステンスンの一員となる。
そして3か月後、メイスンは事務所のトップリチャード・サリヴァンとともに、事務所の最重要顧客であり、出資者でもある連邦検事から起訴中の実業家ヴィクター・オマリーの事件を手掛けていた。2日前、サリヴァンはメイスンをランチに誘い、その場でオマリーに不利となる書類を破棄するように持ち掛ける。拒否するメイスンだったが、同時にもはやこの事務所にも留まれないことを覚悟する。そして、週明けにはこの事務所を去ることになることを考えながら、南ミズーリ、オザーク湖畔バックホーンリゾートでの事務所の週末の静養に参加するメイスンだった。
というところから物語は始まります。

静養の夜のポーカー・ゲームにしばらく付き合った後、部屋に戻らず外のラウンジチェアで滅入ってしまったメイスンは、翌朝、女性保安官ケリー・ホルトに起こされる。リチャード・サリヴァンのものと思われる遺体が、湖の対岸で発見されたので確認して欲しいという話だ。
事務所の主要メンバーは深夜か早朝に既にリゾートを去り、残っている中で責任者となるのはメイスンだけだったため、彼は保安官とともに湖を渡り、確認に赴く。発見された遺体は、やはり事務所のトップであるサリヴァンのものだった…。

前夜のサリヴァンの行動についてわかっているのは、ポーカー・ゲームの後、研修生である女性とリゾートを発ったところまで。保安官とともに別荘に滞在する夫人の許に報告に向かうが、前夜サリヴァンは戻らなかったとのこと。さしあたっての調査で、サリヴァンの書類からオマリーの書類破棄をめぐる確執が保安官の知るところとなり、メイスンも容疑者の一人に加えられる状況で、一旦はカンザスシティへの帰路につくことになる。だがその途上、ハイウェイでメイスンは何者かに命を狙われる…。

週明け、トップを失い混乱する事務所で、メイスンはサリヴァン死亡についての調査を任される。そしてそれはただちに正式に殺人事件となったことがケリー保安官から告げられることとなる。メイスンは友人のネイティブ・アメリカンのジャズ・ピアニストで元警官の調査員ブルースに協力を求めつつ、事件の鍵はオマリーの訴追事件にあるとみてそこを中心に調査を進める。だがそのうち不審な金の動きが次々と発見され、やがてパートナーの一人、ハーラン・クリステンスンやスコットらが不審な行動を取り始める…。

前述の通り、米Amazon.comのハードボイルド・ベストセラー常連のジョエル・ゴールドマンということで、まずはアクション中心のTV探偵物風かな、と高を括って読み始めたのですが、これがなかなかの、序盤の小さい流れに次々に流れを引き込み大きな物語を構成して行くというような、これがデビュー作にしてベテラン並みの見事な手腕を感じさせる作品でした。そういう構成ゆえネタバレを避けるため、今回ちょっとあらすじが分かりにくくなってるかな、と思うのですが、物語が進むにつれアクションシーンも多く盛り込まれ最後まで物語に引き込み読ませるなかなかの良作。そして結末は、いかにもハードボイルドの伝統にのっとったという感じ。うむむ、やっぱりベストセラー作家をなめちゃいかんね。

それでは続いてせっかく翻訳も出ているので続いてすぐに読んだシリーズ第2作『The Last Witness(邦題:プライベートファイル)』についても少し。まあ第1作の序盤のあらすじだけでもこの人この事務所には残らないだろうなという推測はできるので、ネタバレというほどにもならないと思うが、ここからはメイスンは個人経営の弁護士となり、ブルースの経営するバーの2階に事務所を構えています。カンザスシティの市政の黒幕でもある大物弁護士ジャック・カランが殺害され、その嫌疑が相棒ブルースにかかり、無実を信じるメイスンはその容疑を晴らすため奔走する、というストーリー。こちらも物語が進むにつれ市政の裏側の暗黒に話が広がって行くあたりの展開の上手さの光る1作目同様の良作です。見逃していた私と違ってこちらは読んだのだけど、という人もいると思うので、主要キャラクターの1作目での様子について少し書いておきます。

まずは相棒ブルース。そもそもの出会いはメイスンがジャズ・ピアニストであるブルースのレッスンを受けようと思い立ったことから始まる。しかし、ブルースからはお前はやっても無駄だからやめろと言われる。その理由がなかなか面白いのだけど、この辺はこれから読む人の楽しみにとっておいた方がいいか。その後ある事件で調査が必要になった時に彼の事を思い出し、調査を頼み、という感じで付き合いが始まったということです。第1作の時点からかなり信頼のおける友人となっています。結構癖のあるキャラだが、誠実で実直といった感じのメイスンと気が合うのもなんとなくわかる。第1作ではネイティブ・アメリカンとしての出自などについても結構語られるのだが、そっちでキャラ紹介は済んでしまっているので2作目ではネイティブ・アメリカンであることもあまり強調されていなかったりもする。ブルースが警察を辞めることとなった事件については1作目でもあまり深くは語られていません。これから先にまた関わってくる予定なのかも。1作目の時点ではフリーランスのジャズ・ピアニスト兼調査員で、物語後半でこれからバーを買って経営するつもりで、2階はオフィスとして貸し出すのでお前入れよ、みたいなことをメイスンに話し、それが2作目からの設定につながって行きます。

次に唯一の親族であるクレア叔母さんについてですが、1作目では彼女に育てられたことやその人柄については多く語られているのですが、実際の登場シーンはサリヴァンの葬式で少し言葉を交わすぐらいだったりします。ハリー刑事については後半で登場し、ブルースとの確執についても少し書かれるぐらいです。クレア叔母さんとの関係も書かれるのだけど、2作目で語られているような父親のような位置とまでは書かれていなかったので、結構メイスンが成人してからの付き合いぐらいに思っていた。まだその時点ではそれほど固まっていなかったキャラなのでしょうね。

1作目から引き継がれているキャラはそのくらいで2作目では総入れ替えぐらいになっています。あと重要なのは愛犬タフィですが、1作目開始の時点では離婚した奥さんにとられてしまっているのですが、中盤辺りで元奥さんのケイトが出張か何かで預けに来て、その後は特に説明のないままメイスンのものとなっていたりします。2作目では登場のなかった元奥さんのケイトもその時だけ登場します。普段はジープに乗っているメイスンが2作目後半少しだけ使うTR-6を手に入れた経緯も1作目では書かれています。あとメイスンが子供時代を過ごし、結婚の時クレア叔母さんにもらった住んでいる家についても少し詳しく書かれています。まあそんなところでしょうか。

1作目では大手弁護士事務所のエリート弁護士の一人として登場していたメイスンですが、2作目ではバーの上に事務所のある個人経営の弁護士となっていて、ハードボイルド感も強いのだけど、まあ「リーガル・サスペンス」なんだろうねえ。しかしこのシリーズ、2作目では少しはあるものの1作目では全く法廷シーンが無かったりするのですが、ちょっとそっちのジャンルには暗く、今どきのリーガル・サスペンスってこんなものなのかなあと、あまり気は進まないながら、リーガル・サスペンス・ファンの人の感想でも見つからないとちょっと探してみたのですが…、ざっと調べてみてもさっぱり見つからず、前述のアマゾンの人も誤訳ではないかと言ってるだけで特に感想は書いてないので、ほぼ皆無ではないかという惨状。そんなに売れなかったの?主人公が弁護士でも明らかにハードボイルド色の強い作品なのだから、どっかにハードボイルドの一言でも入れとけばこのハの字廃人に1冊売れたのにねえ。まあ結局はハードボイルドって言ったら、マッチョがバカボンの親父みたいな口調で男の生きざまみたいな体育会系説教と食い物の話ばっかりしてるつまんないやつと思われて売れねえよってことなんでしょうね。やれやれ。

そしてこの『プライベートファイル』で、これが2作目であることが書かれていないことや1作目について触れていないことについての私の邪推でありますが、若干ネタバレになりますが、第1作『Motion To Kill』でサリヴァンがHIVに感染していたことが事件の鍵になるというところにあるのではないかと思います(この事実は割と序盤で明かされます。)。米Amazon.comのレビューなど少し見た限りではそのことについて批判している意見もなさそうだし、特に病気に関する差別的だったり偏見があったりするような記述はないと思うのですが、日本で出すには少し問題があるかもしれない。そこでもしこの作品が売れても(売れなかったみたいだけど)、1作目は出しにくいし、なぜ出さないのかと聞かれて説明しても今度はそっちで批判される危険性もあるし、みたいな様々な事情で、ここは1作目については全く触れず、ここから始まる感じで行こうということになったのではないか、というのが私の推測です。結局は事なかれ主義的解決なのですが、まあハの字隠しでは嫌味も言ったけど、ここについてはあんまり糾弾みたいに言うのも気の毒か。結局は受け手側の今どきの日本人の国民性の問題だったりするわけなのですからね。あっ、少し優しく言ったけど、受け手のメンタリティや売り上げみたいなことオール無視で、ハの字隠しについては全然許してないよ。

というわけで図らずも第1作、2作を続けて読むことになってしまったルー・メイスン・シリーズなのですが、私の感想ではこのジョエル・ゴールドマン氏エンタテインメント作家としてはなかなかの腕前で、まあ翻訳バブルぐらいのご時世だったら続くシリーズ作品も何作か確実に翻訳されていただろうというクラスの、常にある程度のクォリティは期待できる良作シリーズという感じでした。せっかく日本でも翻訳が出たのにあまり知られていないままに消えてしまうのはちょっともったいないかも。第1作についてのそれほどのネタバレはないので、とりあえず翻訳の第2作を読んでみて気に入ったらこの第1作を含め、続くシリーズを読んでみるのもいいんじゃないでしょうか。さすがに新刊は少し難しいかもしれないけど、古書ならまだ手軽に入手することができると思います。主人公のルー・メイスンについては、まあ少し長めの付き合いになったこともあるかもしれないけど、なんだか本当に親しみの持てる誠実・実直で等身大という感じの信頼できる奴で、私もできればなるべく早い機会にまたメイスン君に出会いたいと思います。

そして作者ジョエル・ゴールドマンについて。カンザスシティで弁護士として働き、2002年にこの『Motion To Kill』でデビュー。1952年生まれなのでちょうど50歳か。2005年までにルー・メイスン物を4作まで発表し、2008年からFBIエージェントJack Davisシリーズを3作。2011年には公選弁護人Alex Stoneシリーズを開始し、現在2作まで。2012年にはルー・メイスンが復活。第5作『Final Judgement』が発表されています。現在ゴールドマン氏の著作はほとんど彼の個人出版社であるCharacter Flaw Pressから発売されていて、多分これはデジタル時代になってからの事と思うのだけど、それ以前がどこからだったのかはちょっとわかりませんでした。第2作の翻訳が出たのは2006年なので、もうその頃には結構なベストセラー作家だったのだろうと思われるのだけど、現在の出版形式がそれなので、てっきりデジタル時代になってからの人気作家と思い込み日本でそんな前に翻訳が出てるなどとは思いもしなかったというわけです。やっぱもっとちゃんと調べないとね。そして現在は何度も書いているように米Amazon.comのハードボイルド・ベストセラー・ランキングでは常連の作家で、出せば売れるというぐらいのポジションなのだが、2013年のAlex Stoneシリーズ第2作『Chasing the Dead』以降は2015年にLisa Klinkとの合作『All In』が1作あるが、シリーズ作品などの発表はストップしている。それは何故か?実はこのジョエル・ゴールドマン、あの『The Dead Man』シリーズの仕掛け人リー・ゴールドバーグと組んでBrash Booksなるパブリッシャーを立ち上げていたのである。

というわけで、このBrash Booksのこともあって、早くゴールドマンについて書かなきゃ、ということになっていたのです。それではBrash Booksとはいかなるパブリッシャーなのか?さてこのデジタル時代の波にいち早く乗り、個人出版で結構な成功を収めたと思われるこのゴールドコンビ、なんかうまい酒でも酌み交わし、歓談でもしてたのか知らんが、気付くとなんとわれらが親しんだ80~90年代ごろの賞まで取っているような偉大な作品がことごとく絶版となっているではないか。これはわれらゴールドコンビの手により復活させねばならん!と思い立ちこのBrash Booksを立ち上げたのだということ。そこで出版されたのがビル・クライダー、マイクル・ストーン、マクシン・オキャラハン、ガー・アンソニー・ヘイウッド、ディック・ロクティといった面々。日本で細々としか出版されないハードボイルド小説を探し回った方なら聞き覚えのある名前であろう。他にも日本未紹介のJack Lynch、Ted Thackrey Jr.といった作家もあり。最近ではマックス・アラン・コリンズの『ロード・トゥ・パーディション』シリーズも刊行中。Andy Straka辺りは割と最近の作家なのか?とちょっとまだわからないところも多かったりするのだが、このBrash Books、また一つ注目の価値ありのパブリッシャーでしょう。旧作ばかりではなく、最近ではリチャード・スタークファン必読との評価も高いPatrick McLeanの『The Soak』といった新作も出版されています。まあ過去の埋もれた名作もそろそろ尽きてしまったか、それほど出版ペースは速くはないのだが、この自身も実力派エンタテインメント作家であるゴールドコンビの眼鏡にかなった新作も発掘されてくることも期待できるでしょう。まずは翻訳が中断してしまったシリーズの続きや、日本で紹介されなかった作家辺りからでも始めて、とにかくBrash Books、ゴールドコンビに期待すべし!というところです。うにゃー、色々と早く読みたいようっ。

今回より小説の方では極力ちゃんとこっちにも作品リストを載せることにしました。アマゾンの方のリンクが変わったり本が無くなったりしても一切修正しないズボラ者ですので。まあ自分で言ったこともすぐ忘れるレベルの奴が言う極力なのであんまりあてになんないかもしれんけど…。
あともう少し調べたら2009年の『Knife Fight』っていう短編がAlex Stone第1作ということで、アマゾンもそうなっていたので、そっちに合わせておきました。

■Joel Goldman

●Lou Masonシリーズ

  1. Motion to Kill (2002)
  2. The Last Witness (2003)
  3. Cold Truth (2004)
  4. Deadlocked (2005)
  5. Final Judgment (2012)
●Jack Davisシリーズ
  1. Shake Down (2008)
  2. The Dead Man (2009)
  3. No Way Out (2010)
●Alex Stoneシリーズ
  1. Knife Fight (2009)
  2. Stone Cold (2012)
  3. Chasing the Dead (2013)
●その他
  • Freaks Must Die (Dead Man Book 10) (2012)
  • All In (2015)(Lisa Klinkとの共作)

Joel Goldmanホームページ

Brash Books


【その他おしらせの類】
今回もまたしても今は亡き280 Steps関連の情報。まずは前々回お伝えしたEric Beetnerのアンソニー・ノミネートの『Leadfoot』がDown & Outから復刊!6月19日ということなので、前々回書いた直後だったらしい。Beetnerの新刊『Criminal Economics』と同時発売ということのようだけど、やっぱりアンソニー・ノミネートが後押しして前倒しになったとこもあったのかも。McGraw Crime Novelシリーズ第2作である『Leadfoot』と同時に第1作『Rumrunners』も復刊。この辺日本のアマゾンではKindle版が買えなかったやつなのでありがたい。Lars & ShaineシリーズもDown & Outから出るのかな?あ、ちなみに『Leadfoot』は現在特別価格113円で販売中!急げ!もし終わってたらごめん…。
そして280 Steps末期に出た2作品プラスが英Fahrenheit Pressより復刊!まずはMark Rapaczの『Boondoggle』が5月29日に。そしてまだ発行日未定ながら以前New Pulp Pressからの『Bad Juju & Other Tales of Madness and Mayhem』について書いたJonathan Woodsの『KISS the DEVIL GOOD NIGHT』がまもなく。そして更にデビュー長編作の発行がアナウンスされたもののタイトルも発表されないまま終わっていたNikki Dolsonの『All Things Violent』が7月24日に!Fahrenheit PressはロゴのドクロマークもカッコイイHot Punk Publishersを名乗る英国期待のパブリッシャーです。とりあえず自分の知ってるところではNumber Thirteen Pressからシリーズの2作目『The Mistake』が出てるGrant Nicolの刑事Grímur Karlssonシリーズの本編が出てるところです。Number Thirteen Pressについては…ごめん…、実は主に中編作ゆえに2作ずつぐらいまとめて書こうと思いつつ昨今の度重なる遅れ故、第3弾であるこの『The Mistake』まで進んでいるにもかかわらずいまだに第1回もやれずにいます…。決して語る価値のない作品などではないのだが、どうにもこれについては早く書かなければ、が整理できていない状況で…。しかし、この意欲的な試み、個性あふれるセレクトの13冊については、どのくらい時間かかるかわかんないけど、必ずややり遂げるつもりでおります!とりあえず第1回をなるべく近日中に!というわけでちょっと話がそれてしまいましたが、こっちのFahrenheit Pressについてですが、そんな事情でまだ最近知ったばかりでまだあまりよくわかっておりません。しかし280 Steps残党を救出するなどこれは確実に私好みの作品を出してくれるところとの確信もありますので、必ずこれから注目して行きたいと思いますです。とりあえずアマゾンのKindleストアでFahrenheit Pressで検索するとキャンペーン中期間限定なのかもしれないけど無料の中編や、100円台の長編なども出てきたりしますのでその辺から探ってみてはいかがかと。しかし英国についてはずっと前から言ってるCaffeine Nightsについても全然未探索状態だしなあ…。あと『The Mistake』についても舞台がアイスランドなので北向きで鼻の頭が冷たくなってる人に見当違いの事書かれるんじゃないかと気になってたり。感想が一つだけあったりすると仕事で金もらってるわけでもない人への個人攻撃になったりすると嫌なのでやりにくくなるしなあ…。うぐぐ、とにかく色々早くやれよっ!
あとこれは復刊ではないのだけど『Ridgerunner』のRusty Barnesの新作『KNUCKLEDRAGGER』もShotgun Honey/Down & Outから10月に。もしかしたらいっぺん書いたかもしれないけど何度でも書く!タイトルの作り似てるからもしかするとシリーズ続編かも?あと280 Steps残党としてはあのCrime Factoryの一員にして重度のパルプマニア、オーストラリアのAndrew Netteについても早くなんか書きたいのでどっか『Gunshine State』を早く復刊してくれよっ!

Fahrenheit Press

それから少し前に書いた期待の新アンソロジー『Switchblade』の第2集が早くも刊行。まだ見てないけど第2集はちゃんと拡大して読めるのでしょうか…?以前これについてはPaul Brazill大将が載っているのでてっきり英国発だと思い込んでしまってそのように書いてしまったのだけど、どうやら米L.A.発らしい。すみませんでした。だってホームページとかどこにも書いてないじゃん…。とにかくそれはそれでまた別の展開も期待できるのだが、まずは早く拡大してスマホでも読めるようにしてちょ。

今回翻訳も出ているシリーズなので早く書けるかと思っていたのだけど、意外と長くなってしまいました。あんまり余計な事書いてないと思うのだけど…。なんかこういう感じの本を手に取ったところから楽しめるぞ、っていう感じになれるシリーズがいっぱいあるというのが理想的なのだけど、日本では望むべくもないか…。なんかうまく言えてないけどシリーズってそういうもんじゃないかな、とも思う。こちらの続きもまた読みたいし、そんな感じのもあっちには沢山あるようなのでまた色々書いていけるといいなと思います。ではまた。



●Joel Goldman
■Lou Masonシリーズ




■Jack Davisシリーズ



■Alex Stoneシリーズ


■その他



●期待の新刊
■Eric Beetner/McGraw Crime Novelシリーズ


■Fahrenheit Press


■L.A.発!Switchblade



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2017年7月2日日曜日

American Monster Vol. 1 -Brian Azzarelloが描く現代アメリカの”怪物”!-

あの『100bullets』などで知られるBrian Azzarelloの、新進AfterShock Comicsからの最新作、『American Monster』です。昨年2016年1月より始まった、アメリカ中西部の田舎町を舞台とした、謎に満ちたカントリーノワールの第1巻。まずはその序盤のあらすじから。


【あらすじ】

アメリカ中西部の田舎町。夜更け。一人の男が町のガソリンスタンドに現れる。大やけどにより顔面の皮膚をすべて失ったように見える大男。眉もなく耳もほとんどが失われている。

「車の調子が悪い。見てもらえないか。」
「せ、整備工は6時に上がっちまった。朝まで戻らないんだ…。」
「近くに泊まるところはないか?」
「み、道を1マイルほど進んだところにモーテルがある。まっすぐ行けば見失わないはずだ…。」
「食事ができるところはあるか?」
「向かいにダイナーが…。」

ダイナーで食事をする男。彼を傷病兵と見た地元の男が、ビールをおごろうと声をかけるが、にべもなく断る。

「金には困ってない。」

懐から出した札束を読んでいた新聞の上に置く男。その見出しには銀行強盗の文字。

そしてその時、向かいのスタンドに置いた男の車が、突如爆発する…。

冒頭、一軒の家を数人の男たちが訪れるところから物語は始まる。
玄関を開けた妻はいきなり顔面を殴打され、家の主の頭には袋がかぶせられる。

後半、それが地元ギャングの裏切り者の制裁であったことが明かされ、夫婦は残虐に処刑される…。

夜更けの公園に集まるティーンエイジャー達。シーソーには太った中年男が腰を下ろし、男が一枚札を渡すと、シーソーの反対に持ち上げられた少女がシャツをめくりあげ、胸を晒す…。

謎の男の出現と並行し、この小さな田舎町の暗黒が描かれて行く…。

男の名はTheodre Montclare。ダイナーの客が察した通り、中東での戦争の帰還兵だった。彼がそのような姿になった経緯は、物語が進むにつれて、回想という形で少しずつ明らかになってくる。しかし、彼がなぜこの町に現れたのか、なぜ爆発物を車に積んでいたのかなどはまだ明らかにはされない。
そして、町ではまず、ギャングのボスFelix Blackの犬が射殺され、続いてその右腕Joshが殺害される…。

American Monsterとは何か。
まずこの物語の中心人物であるMontclare。そのあまりにも変容した異相の謎の巨漢は、まず誰の目にもモンスターとして映るだろう。
そしてこの地の果てのような田舎町。ギャングのボス、Felixはこのような町で必然のように発生する麻薬や武器の取引といった犯罪行為の中心に存在する人物である。暴力の介在無しでは何も動かないような地域に君臨するモンスター。
そして、Felixの娘Snowを中心とするティーンエイジャー達。将来の明るい見通しもなく、この田舎町に閉じ込められ、虚無的にその場限りの享楽に耽るモンスター。
そしてそのティーンエイジャー達に近づく不気味なシーソー男。更にその地で民兵組織を率いる”牧師”と呼ばれる男も登場してくる。
しかし、この作品のタイトルは「American Monsters」ではなく、『American Monster』だ。
このモンスターがひしめく小さな田舎町に現れたモンスターMotclare。その目的はまだ不明である。そして物語はまだ始まったばかり。
このモンスターの目的が明らかになるにつれ、この町と、そしてそこに潜むモンスターたちも動かされ、そしていずれその中にさらに大きい現代のアメリカの”怪物”『American Monster』が形を成し始めるのだろう。
しかし、物語はまだ始まったばかりである。

というわけで、今や次は何をやるのか、ぐらいのレベルで去就が注目されている作家Brian Azzarelloの最新作『American Monster』。その第5話までを収録したVol.1です。本当に物語は始まったばかりで、とりあえずその最後にMontclareと町のある人物との関係が示されたが(まだ完全に「明らかに」というレベルではない。)、その他は次から次へと色々なキャラクターの謎が提出されるばかりというところ。なんだかあらすじのところでやたらと…を連発しとりますが、とにかくそんな雰囲気で、アーティストJuan Doeの個性的かつ鮮烈なアートと相まって、独特のリズムとペースでゆっくりと物語は進んで行く感じです。まあ、とにかく今後に期待の間違いなしの作品。

そしてAzzarelloは今作で「American Monster」を描き出すため、作品中に色々な要素を注入しているわけですが、私はここで二つの要素に注目したい。
まずは私が最初からぶち上げているカントリー・ノワール。時代は田舎である!…なんて馬鹿なことは言わん。元々田舎だったのである。アメリカに限らず日本だってホントはそーじゃないの?社会の問題なんて国中にまんべんなくあって、時にそれが曖昧なオブラートなしにもろに露出しちゃってるのが田舎だったりするわけである。そういう田舎視点からの問題というのが小説や映画の中で描かれたのがこの時代が初めてというわけではないだろう。しかし田舎というのは誰にとっても身近なのでそういうのが避けられてた時代というのもここしばらく続いていたのだろう。そしてそういう場合にはありがちな田舎=善:都市=悪という構造で語られていたのだろうが、長く続けばそれももたなくなる。だって田舎も悪だもの。うむむ…。本当は社会の様々な矛盾が飽和状態に達しその結果今本来牧歌的であった地方にも悪が浸透し始めているのでカントリー・ノワールの時代なのだ、とか言った方が何気に説得力があるのだろうが、きっとそれ嘘だよと気付いてしまったので、またしても混乱した文章になってしまっているのでありますが、まあやっぱり昔からあるけどなんとなくタブーとまでいかなくても積極的に語られなかったものが、あんまり具体的に指摘できないのだけど近年の色々なものを経るうちにこれが現代のアメリカの悪を語るのに有効な手段であると発見され、現在そういう傾向のものが増えているのではないか、というあたりの見方でそれほど間違ってないのではないかと思うのですが。例えばカントリー・ノワールというのを、田舎=大自然を舞台に、みたいにするからなんとなくわかりにくくなるので、日本で言えば『冷たい熱帯魚』みたいなのを考えると少しわかりやすくなるのではないかとも思うのです。こーゆー状況って身近にある気がするしこーゆーオヤジって知ってる、っていう感覚が単純に警察が介入すれば問題が解決するのではないというような悪の根深さを感じさせるような、そういう側面もカントリー・ノワールにはあると思う。そんな感じで自分的には近年話題になった『ブレイキング・バッド』あたりまでをカントリー・ノワール的なものと考えていたりもするのです。最近『ツインピークス』が復活したのもカントリー・ノワール・ブームの流れではないのかなと思ってたりするのだけど。んなこと言ってるの私だけ?実際にはカントリー・ノワールというのにはコアとなるような作品もあり、『ウィンターズ・ボーン』のダニエル・ウッドレルとか、昨年せっかく翻訳が出たのに「読書のプロ」どもにことごとく無視された傑作トム・ボウマンの『ドライ・ボーンズ』というあたりがそうなのですが、ジャンルの認知度が高まってくると、本当にカントリー・ノワールと言えるのはその辺の作品のみ、と言い張ってジャンルの間口を狭くするだけの迷惑な人が横行し始めるので、そういう人が得意そうに威張っているのは絶対に聞かないようにね。とかまあ色々言ってみても、やはりこちら遠く離れた日本から見ているだけなので、本国でそれらが実際にどう読まれて観られているのかはそんなによくわかっているわけでもない。とりあえず自分の見る限りでは、ウッドレルらのコアな部分が拡大したというよりは、規制の犯罪物ジャンルの方が色々模索しつつ進んで行くうちにそちらに接近したところに表現の舞台を多く見出し始めた結果、そのジャンルのものが増え始めたというところなのだと思う。そんなわけでもちろんコアな部分には大いに敬意を払いつつ、ジャンルについてはなるべく緩く幅広く周辺分野も見て行きたいというのが私のスタンスなのだけど、それにしてもこだわりのある分野だけにまたやっぱり長くなってしまったよ。とにかく早く進めなければと思ってはいるのですが…。まあつまりが現代のアメリカの一つの姿を描き出すのに有効な手段として、その傾向の作品が増えているのがこのカントリー・ノワールなのである。となんとかまとめた。

そしてもう一つ私がこの作品中で注目している要素が、この作品の登場人物の背景となっている、アメリカの中東での戦争の事。これについてはまだ何か固まった考えがあるのではないのですが、もしかするとアメリカでは、依然中東との緊張関係は続いていてもその戦争について一つの「戦後」というような状況なのではないかということ。これまで中東での戦争については色々なものが書かれ、映画も作られてはいるけど、ベトナム戦争がそうであったように「戦中」と「戦後」ではまた語られるものも変わってくるのではないかと思うわけです。この辺についてはまた一方で、昨年のアメリカのコミックの最注目であったTom Kingの、戦後状況の中東を舞台とした『Sheriff of Babylon』というのもあって、そこから気になり始めたのかもしれない。そっちについてもまだまだなのだけどなるべく早く読んで書いてみたいものと思っております。まだ本当に何かが見えているわけでもないのだけど、これはAzzarelloがこの作品に取り込んだ重要な要素であることは確かと思うので、その辺考えながら先を読んでいきたいと考えています。もしかしたら犯罪小説ジャンルでもその傾向って出てるのかもしれないけど、結局読むの遅くて去年今年といった作品が読めていないから見えてないのかなあ。うーむ…。
ということで個人的には現在のアメリカの暗黒を描き出すのに重要と考えるこの辺の要素を中心に据えた『American Monster』。果たしてAzzarelloがどんな”怪物”を描き出して行くのか今後に注目というところです。あとこの辺のカントリー・ノワールや戦争といったところの考えについては、昨年旧All Due Respectのサイトで読んだMatt Phillipsの「The Deer Hunter: American Noir in a Classic Film」というのがあって、これは映画『ディア・ハンター』はノワール的なものの土壌となっているアメリカの地方の底辺層の若者を描いたノワール作品であるという考察で、ちょっと今まで見ていたものを違う視点から教えられて大変感心したもので、結構これから影響されて考え始めた部分も多かったりするので、もし興味のある人がいればご一読を。

All Due Respect : The Deer Hunter: American Noir in a Classic Film by Matt Phillips

とまたしてもグダグダと長くなってしまっていて遅ればせながら、アーティストJuan Doeについて。今回画像の方はAfterShockのプレビューからお借りしてきました。


やっぱり志賀勝に似てるんだろうか…
このように少しイラスト的というようなタッチで、巧みな構図にコマ=パネルの構成にもこだわり、カラーリングの上手さも光る素晴らしい画風です。こういう重心が低めの人物ってなかなか描けないんですよね。イラスト的なタッチゆえの人間ギリギリのようなMontclareの造形は秀逸。これまでは主にカバーの仕事でコミック業界では10年以上の経験もあるということ。これ以前には『ファンタスティック・フォー』のミニシリーズを手掛けたこともあり、そちらはご本人のホームページでいくつか見ることができます。なんだか志賀勝チックな自画像が出されていて、ホームページの本人紹介の方を見るとマスクなのか白塗りなのかの怪しげな写真に怪しげな紹介文の掲載されているちょっと謎の人です。

Juan Doeホームページ

最後にAfterShock Comicsについて少し。マーベル・DCのビッグ2で長い経験を持つMike Martsをチーフ・エディターに2015年4月に発足した新しいパブリッシャーです。その他の注目作としては、躍進中の女性ライターMarguerite Bennettの『Animosity』、AfterShockのCEOでもあるアイズナー賞受賞ライターJoe Pruettの『Black Eyed Kids』など。Joe Pruettについてはあまりよく知らなくてここ書くためにちょっと検索してみたら、結構重要人物のようでもっとよく調べる必要あり。なるべく早く『Black Eyed Kids』も読んでその時に。そんなことばかり言って放置が多いのだけど、みんなやる気だけはあるんだよ…。他にもBennettの『Insexts』、Amanda Connerの『SuperZero』、映像方面から進出してきた注目のライターAdam Glassの『Rough Riders』、更にはガース・エニスの得意の戦争物『Dreaming Eagles』に最新作エニス版ジェームズ・ボンド(らしい)『Jimmy's Bastards』、『Chew』のJohn Laymanの『Eleanor & The Egret』、そしてウォーレン・エリスの『Shipwreck』といった作品もあり!それぞれの作品について詳しく知りたい人はAfterShock ComicsのウェブサイトやComixologyで調べてね。という感じで発足間もないところでも片っ端から読まねばという注目のAfterShock Comicsなのです。
ところで、こんなのわざわざ書くことでもないかと思うのだけど、ちょっと日本からだと見えにくいかと思うので、多少不正確なまま蛇足を承知で書いときますが、AfterShock Comicsはインディペンドのパブリッシャーなわけですが、これを日本で一般的に流通しているインディー、インディーズというように解釈してしまうのはちょっと違うのだろうと思う。確かに独立系ではあるのだろうけど、明らかにもう少し大きい資本が背景にあって、まあ社長の経歴などから見て多分映像系なのだろうね。もっと本国近くで見てればもう少しはっきりわかるのだろうけど。やっぱり色々なネット配信系も含めてその辺の業界の勢いも競争も激しいアメリカなので、早く有望なコンテンツを確実に確保したいとの思惑からこのような動きも出てきているのではないかなと想像されるわけです。そっちについては全然わからないのだけど多分Valiantとかも同じような事情なのでしょうね。まあこうやってみると少し新しくて小さいインディー、みたいな見方も変わるかと思ってあんまりきちんと把握できてないままに書いてみたわけですが、一方でこういうのってある種のブームが過ぎた途端に金が退かれて一気に無くなるという危険性も高かったりもするわけですが。とりあえずはそんなことにならないようAfterShock Comicsがアメリカのコミック業界の中で早く確固としたポジションをとれるようになることを期待しながら見守りたいというところです。この辺の作品がいつかTVシリーズ化されるかも、みたいな期待を持ってみるのもいいかも。

AfterShock Comics

まあとにかくなるべく沢山の作品について書きたいと思いつつやっとまた一つクリア、その間にさらに多くのが溜まって行く…という始末なのですが…。今回もう少し早く書けるつもりでいたのだけど、ちょっとカントリー・ノワールあたりでつまずいたか。まだカントリー・ノワールについては全然書き足らないので、またそのうち小説の方で延々と書くことになると思います。やめろと言っても書きます。とにかく色々書かなくっちゃな、と思う一方で早く2000ADの続き書かなきゃ!Valiant書かなきゃ!Hellbrazer書かなきゃ!と時々思い出してパニックになりつつ、若干暑さに早くも負けながら頑張って参ります。ではまた。


●American Monster


●AfterShock Comics



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2017年6月19日月曜日

Adrian McKinty / Dead I Well May Be -Dead Trilogy第1作!これがAdrian McKintyだ!-

前回はヒーローだアンチ・ヒーローだと延々と試行錯誤の迷宮をさまよっていたおかげもあり、何とか間に合い、予告通り今回はAdrian McKinty作品。彼の長編小説第2作にしてDead Trilogy第1作、2003年発行の『Dead I Well May Be』であります。
えーっと、まず最初に言っときます。前々回もちょっと言ってたことだけど、もし「Adrian McKintyという作家は島田荘司やカーに影響を受けたらしいと聞いたのであるが」みたいな感じでたまたま検索してここにたどり着いちゃった人がいるなら、この小説は読む必要ないです。あと多分この文章も読まない方がいいです、ってことでさいなら。

ちゃんと警告したかんね。

よし、ではもうそういう類いの人は追っ払ったと信じ、いつものペースで行こう。まだ読んでるならお行儀良く書いてるうちに帰った方がいいよ。これは本当に素晴らしい作品である。間違っても「カーや島田荘司とは似ても似つかない作品で落胆した」だの「ミステリーと思って読んだらミステリーではなかった」みたいな狭量な思い込みによる駄感想が一言たりともつけられていい作家・作品ではないのだ!ああ、アイルランドよ。ケン・ブルーウン、ガース・エニスに続き、何が何でもすべての作品を読まねばならぬという作家を生み出してしまったのか。はっきり言っておくが私はいわゆる「本格」みたいなのが好きな人と敵対するつもりなどない。自分と同じように好きなジャンルのものを楽しく読んでいる人として基本的には尊重しているし、自分がたまたまそういうものを読んだ時にも単純にハードボイルド・ノワール好きの観点のみで批判するようなことは絶対にしない。だがそっちサイドの低レベルな部分では「自分の方がむつかしい謎解きクイズを読んでいるので頭がいい」と思い込んで自分の位置すら把握できてないままの上から目線のつもりでこのようなことをやってくる輩が大変多いのだ。この作品を見れば、McKintyという人がそういうジャンルにも目を向け、論評できるくらいの大変幅広い読書経験と見識を持った作家だということはすぐにわかる。だがそんなことにも目を向けず、形式ばかりにこだわり、暴力を扱っている作品なら見下して批判できると思っているような低レベルのやつはMcKinty作品に近寄る資格すらない!うぐー、いかん、最初から荒れすぎだ…。なるべく控えようとは思っているのですが、今回はまたあっちこっち罵倒し始める危険性あり。いや、とにかく何とかまずこの作品の素晴らしさをきちんと伝えなければ。その後は知らん!何とかそこまでは可能な限りまともに書くつもりなので、そこまででも読んでやってくださいな。本当に素晴らしいAdrian McKinty作、Dead Trilogy第1作『Dead I Well May Be』であります!


【あらすじ】

1990年代初頭、アイルランド、ベルファストではテロの嵐が収まらない。爆破事件で一帯の窓ガラスが全部吹き飛び、俺にも日雇いの仕事が転がり込んできた。ちょいと懐も暖かくなり、テロ直後の現場でガラスの片付け作業をする俺たちの写真が新聞の一面を飾った。だが、それがまずかった…。翌日、担当官が家を訪れ、規定違反で俺の失業手当が打ち切られることを告げてきた。もうベルファストで暮らしていける見込みはない。以前から打診されていた件、アメリカでのDarkey Whiteの仕事を引き受けるしかない。気は進まないが…。

主人公Michael Forsytheの一人称で語られる本作、プロローグで語られるこのような経緯で、彼はアメリカに渡り、ニューヨーク、ハーレムのアイルランド系ギャングのボスDarkey Whiteの下で働くこととなる。
そして、その8か月後から物語は始まる。

ボスDarkeyの下には参謀Sunshine、その命令下、Scotchy、Fergal、Andyとともにチームを組み、Michaelはみかじめ料や借金の取り立てといった仕事をしてゆく。理由も不明なまま、Andyを病院送りにしたShovelにけじめをつけ、Dermotとのごたごたが銃撃戦に転じ…。そんな中でMichealは次第に頭角を現して行く。そして、ボスの女であるBridgetとの秘密の情事…。そしてある日、彼らのチームはDarkeyの配下Big Bobとともにメキシコへと派遣されるのだが…。

とまあ、今回はこのくらいに。単発作品ならもう少し書くべきだが、これは三部作の第1作ということで、続きは多分最後まで第2作の時に容赦なくネタバレすることになると思います。
これは復讐の物語である。その理由などは明らかにされないまま、序盤のうちから所々で「俺は後にこいつののどにドライバーを突き立てることになる」という形でその後の暗い運命が暗示されて行く。まああまりにも内容が曖昧になっているので、全体で300ページぐらいの作品で、説明した辺りまでで100ページぐらいで、その後80ページぐらいに渡りそこに至る地獄が描かれ、そののちが復讐物語となって行くぐらいの説明はしておこう。全体的な話の進みは早い方ではない。しかし!そこらのろくに感想も書けないくせに高飛車に作文先生気取りで何か言ったつもりになってる輩が言うような「無駄な記述」なんてものはこの作品には一切ない!冒頭から、そのどこで息継ぎをしているのかも判別できないように低くうなり続けるような独特の文体にやられる。そしてその文をand、andとつなげて行く様は、まだ俺が話してるだろうが、と言わんばかり。どんなにぶちのめされても立ち上がって行く主人公Michael Forsytheによって語られるこの作品自体が、決してお前らの言うとおりになんか動かねえんだよ、と言わんばかりに、読者が安易に望むようなお手軽でテンポの良い、なんて感じには話は進まず、彼が目にして語るべきだと思ったものに我々読者は延々と耳を傾けて行かなければならない。まだ俺が話してるんだよ。更に重ねて言うが、この小説に「無駄な記述」などというものは一切ない。主人公であり、語り手であるMichaelが目にし、交わした会話で彼が意味があると思って語っていることには当然この小説にとって意味があることなのである。そしてそれは伏線などというせせこましいテクニック的なものとも一切関係ない。そうして語られ続けて行くうちに、語り手の感情が最も深くなるいくつかの場面では、いつの間にか(まさしくいつの間にかと思えるような流れで)その語りが現在時制となり美しい情景が描写されて行くのである。安っぽい仲間と、友情とも言えないような他愛ないやり取りを交わしながらニューヨークのアンダーグラウンドを練り歩き、時にはともに死線を超え、そして地獄を抜け、そしてその果てに容赦のない復讐が遂行される。そして、その最後には"incant"などというあまりにも深く美しい単語が読む者の胸の真ん中にまっすぐと打ち込まれてくるのだ。これこそが読むべき小説だ。いくら絶賛しても足りん。2003年発行から14年かよ…。でもとにかくやっとこの作家、この作品にたどり着けて本当に良かったよ。日本で翻訳が出なかろうが、他に誰も読まなかろうが、この作家、この作品が私にとって魂を揺さぶる存在であるには関係ない。私はこれからAdrian McKintyを読み続けて行くのだ。ざまーみろっ!

そしてこの物語はさらに続く。3年後の2006年に発表された第2作『The Dead Yard』。この物語がどう続けられて行くのかはまだわからない。だが一つ想像できるのは、またしてもこちらが予想したり期待したりしたようには絶対に動いてくれないだろうということである。なーんだか読むって言っちゃった3部作やら言ってないけど早く読みたい3部作やらも山積みなのだけど、なるべく早くその第2作を手に取り、またとにかくMichael Forsythe=Adrian McKintyの語りにひたすら耳を傾けて行こうと思うばかりであります。

さてと、まだまだ到底足りない気もするが、とりあえずネタバレしない範疇でこの作品について言いたいことはある程度語れたのではないかと思います。それではここからは罵倒のコーナーです。今回はもしこのような作品が翻訳された際には、そこらで安穏として反論もされないと思っている気取り屋からこのような作品に必ず寄せられるであろうお決まりの表現、「よくある」「ありきたり」問題についてとことん罵りのめしてやる所存であります。
一体いつ頃にそれが始まったのかは不明だし、結構長い間に渡りそんな言い方してりゃ利口に見えると思ってる猿真似マニュアル馬鹿の気取り屋どもによって受け継がれてきたようにも思える。長い間目にしててもそれほど気にしてはいなかったのだろうが、数年前ぐらいだったかそれにぶつかってしまった。まだ翻訳にも期待していたころで、わーやっとこういうのが久しぶりに出たか、と大変楽しく読み終わって他人の感想を見てみたところ、いきなり「よくある話」とぶった斬り。何を考えてんだこの野郎!こちとら散々そういうのを探しててホント久しぶりに出会えたっていうのに!どこにこういうのがそんなによく転がってるってゆーんだよっ!と大変憤慨したものである。そんで気にし始めるとまあホントにあっちこっちでこういうこと言い散らかしてる奴がいるわけですね。そんでしばらくしてやっと言ってる意味に気が付いた。こいつらはこういう作品がよくあると言ってるのじゃないわけね。要するに、現実の警察官が退職まで一度もお目にかからないような不可能犯罪でもなく、国際的謀略でも、大掛かりな金融犯罪でも、政界の暗部に迫ったものでもなく、常習的な犯罪者や犯罪組織が起こす犯罪事件を描いたものを、「よくある」と言ってるわけね。…馬鹿じゃないの?ホントに呆れたよ。
このチープ極まりない気取り屋の常套句のルーツがどこにあるのかは不明で、もしかしたらミステリ方面ですらなく、映画方面なのかもしれない。なーんだか「ありきたりのギャング映画だが、女優○○が美しかった。」とか言って昭和のテレビ映画解説者ぐらいのことを言ってるつもりになってるひょっとこ野郎を見かけたこともあるし。おなじみ○○の一つ覚え「マーク・グリー二ーとくらべれば」みたいなのを罵った後に、どうせ言ってるの子供なんだから言いすぎちまったかな、と自分の大人げなさを数秒反省するときもあるが(あくまでも数秒)、こーゆーのやってるのって明らかにいい歳じゃない。テンプレートに書き込んだ感想で利口ぶれるもんじゃないぐらいわからなくて、何の人生経験なのか。これがどのくらい根の深いもんなのかはわからんが、こんな頭の悪い常套句にいつまでも自分の心から愛するジャンルがコケにされるのを見過ごしてはおれんのだ!今後は「読書のプロ」辺りがこんな言葉を平気で使ってるのを見かけでもしたら、名指しでとことん罵倒してやるぐらいの気持ちで長年放置され続けてきた「よくある」「ありきたり」馬鹿どもに戦いを挑んで行くつもりでいるので覚悟しやがれ。どっかのロクデナシが始めたいい加減なレッテル貼って安心する前に悪い頭でも一生懸命使ってきちんと自分の頭で考えた言葉で語りやがれ!「プロだろうが。」(私の心から愛する映画の一つ『野獣死すべし』の佐藤慶のセリフより。仲代達矢版もこの倍ぐらいの長文かけるぐらい好き。)
にゃんだかさ、色々考えてると一旦はAdrian McKinty翻訳出るといいなあ、とか言っちゃったけど、どうせ出てもろくなことになんないのかな、出ない方がいいんじゃないのかな、ぐらいの気がしてきちゃったよ。でもさあ、これでMcKintyに初めて出会えて、こんな優れた作家がいたのか、と感動できる人だってまだ沢山いるはずなのだよね。だからやっぱり何とか1作だけでも翻訳されないかなあ、と思うわけです。そうしたらさあ、もう後は今は電子書籍もあって手に入りやすいんだから原文で直で読めばいいわけ。もー日本の出版社なんて全部つぶれちゃっても全然困んないよ。やれやれ。
またしてもあまりにも素晴らしい作品を読んでしまったため、随分と荒れてしまいました。お騒がせしましたが、今回は一旦はこの辺で。まあ最後にもう一度言いますが、Adrian McKinty作品は必読!これこそが読むべき作家、作品である!

Adrian McKintyホームページ


【その他おしらせの類】
まずは皆さん今年のアンソニー賞のノミネート作品をご覧になったでしょうか?まだの人はCrimespree Magazineのウェブサイトのこちらでも。なんとペーパーバック・オリジナル部門にあの今は亡き280 StepsからのEric Beetnerの『Leadfoot』が!いや素晴らしい。出版社が無くなったっていい本はいいんだよ。作品は出版社じゃなくて作家に属するのだ!と言わんばかりのアメリカのミステリを愛する人たちの心意気。どっかの国じゃあ年末のランキングが出版社や本屋のためにだけあると思ってる(まあ実際そうなんだろうが)「読書のプロ」先生が『ポップ1280』を1位にしたのはまずかったね、なんて苦笑いしてたらしいよ。情けなくって笑う気にもなれないよね。いや、今回はもうやんないから…。しかしかくいう私もいまだになかなかEric Beetnerさんの作品にまでもたどり着けないという情けない始末。何とか頑張って早くBeetnerさんの本も読むっす。オイラもまず『Leadfoot』からやっちゃおうかな。
そして280 Stepsと時を同じくしてBlasted Heathが没した後作品が絶版となっていたDouglas LindsayのBarney Thomsonシリーズも復活しました!…のですが…、こちらLindsayさんの個人出版社であるLong Midnight Publishingからのリリースという形になっています。なんだか最近のLindsayさんのブログ(Douglas Lindsay.com-The State of Things)を読むともう一つのパブリッシャーFreight Booksも経営困難に陥っているそうで、なかなか思うように過去の作品も出版できず、ということでこのような形に踏み切ったということのようです。本当にいい作家なのに。うまくいかないなあ。とにかくはまたこの大変楽しいシリーズ(まだ1作しか読んどらんが確信はある!)が読めるようになっておりますので、未読の人は是非に。価格も1巻100円ぐらいと大変お得!わーこれが100円で読めるなんて!Unlimitedもあるよ。私もこの大変優れた作家を少しでも応援すべく、今後はシリーズの続きも他のシリーズもどんどん読んで推して行くつもりでおります。ホントだって!
そしてPolis Booksからはこちらの作品『Shallow Grave』。 Alex SeguraとDave Whiteによる、それぞれのシリーズキャラクター、Pete FernandezとJackson Donneが登場する合作中編が現在無料で読めます。Polis Booksからは他にもAlex SeguraとRob Hartによる合作短編『Bad Beat』も出ていてこちらは122円で販売中。今回新しいのが出てPolis Books Twistってシリーズになっているようです。Polisのこの辺のシリーズは日本でもこういうのを待ってて読んだら気に入る人が絶対に多いはずなのでまだ手を出していない人はこのチャンスに入手すべし!

とまあ、今回はこんなところでしょうか。また著しく遅れてしまったのですが、今回は歯を抜きました。歯を抜くのは凄く痛くてかわいそうなので、ブログとかは少し休んでも良いという決まりになっています。なんか色々無理がたたったのかこの週末はジンマシン出てほとんど寝てたりなかなかうまくいかんよ。トホホ…。しかしまあ、体調悪かったりするのは仕方ないにしても、前回は延々とグダグダと書いていたり、なんかその間にずいぶん書かなきゃならないものも溜まってきているので、ちょっと今後はなるべく効率よく多くのものを書ける方向で考えないとな、とか思っておりますです。今回も色々余計なことを書きすぎたので、中飛ばしちゃった感じでもお付き合いくださった人はありがとうございました。なんか頑張るっスよ。ではまた。


●Adrian McKinty
■Dead Trilogy


■Sean Duffyシリーズ




●Douglas Lindsay
■Barney Thomsonシリーズ





■DCI Jerichoシリーズ


■DS Huttonシリーズ



●Polis Books Twistシリーズ



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