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2023年2月21日火曜日

2023 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表!

毎年、何周年の次の恒例となっておりますスプラッタパンクアワードです。なんか最近更新が遅すぎてこればっかりやってる印象になってるかもしれんが。第6回となる本年2023年のスプラッタパンクアワード、 ノミネート作品が、2月8日、例年通りBrian Keeneのホームページにて発表となりました。
昨年8月には2年ぶり、やっとで本開催となったテキサス キラーコンでの受賞作発表ができたスプラッタパンクアワードでしたが、やはり2022年は業界全体もコロナ状況からの厳しい状態が続いていたようで、長編部門のみ6作品がノミネートされましたが、他部門は各5作品と若干のスケールダウンを余儀なくされている感じです。
以下が各部門のノミネート作品です。



2023 Splatterpunk Award ノミネート作品


【長編部門】

  • Playground by Aron Beauregard (Independently Published)
  • The Television by Edward Lee (Madness Heart Press)
  • Faces of Beth by Carver Pike (Independently Published)
  • Last of the Ravagers by Bryan Smith (Thunderstorm Books / Death’s Head Press)
  • Mastodon by Steve Stred (Black Void Publishing)
  • Ex-Boogeyman (Slasher vs The Remake) by Kristopher Triana (Bad Dream Books / Thunderstorm Books)

【中編部門】

  • Charcoal by Garrett Cook (Clash Books)
  • Grandpappy by Patrick C. Harrison III (Independently Published)
  • Mr. Tilling’s Basement by Edward Lee (Deadite Press)
  • #thighgap by Chandler Morrison (Cemetery Gates Media)
  • Plastic Monsters by Daniel J. Volpe (Independently Published)

【短編部門】

  • “Just Another Bloodbath at Camp Woe-Be-Gone” by R.J. Benetti (Independently Published)
  • “Of The Worm” by Ryan Harding (from Splatterpunk Zine issue 13)
  • “My Chopping List” by Stephen Kozeniewski (from Counting Bodies Like Sheep, The Evil Cookie Publishing)
  • “Gutted” by Bracken MacLeod (from Splatterpunk Zine issue 13)
  • “Jinx” by Bridgett Nelson (from A Bouquet of Viscera)

【短編集部門】

  • Always Listen To Her Hurt: Collected Works by Kenzie Jennings (Blistered Siren Press)
  • Mr. Tilling’s Basement and Other Stories by Edward Lee (Deadite Press)
  • Horrorsmut by Christine Morgan (The Evil Cookie Publishing)
  • A Bouquet of Viscera by Bridgett Nelson (Independently Published)
  • Pornography For the End of the World by Brendan Vidito (Weirdpunk Books)

【アンソロジー部門】

  • Human Monsters edited by Sadie Hartmann and Ashley Sawyers (Dark Matter Ink)
  • Camp Slasher Lake, Volume 1 edited by D.W. Hitz and Candace Nola (Fedowar Press)
  • Counting Bodies Like Sheep edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
  • Call Me Hoop edited by SC Mendes & Lucy Leitner, created by Drew Stepek (Blood Bound Books)
  • Czech Extreme edited by Lisa Lee Tone and Edward Lee (Madness Heart Press)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Monica J. O’Rourke


第6回となる今回、まず目につくのはこのジャンルではもはや巨匠ぐらいのポジションにあるエドワード・リー作品。長編、中編とそちらを含む短編集と、さらには共同編集のアンソロジーまでノミネートされている。 同時に、もう終わってしまったかと思っていたDeadite Pressからのリリースも。Deadite Pressについては復活か?とホームページも見に行ったのだが2021年にでた最後のところから更新はなかったのだが、 アマゾンで検索してみると、昨年あたり出ているは出ているがリー作品の復刻っぽいのだけ。こちらで責任感にさいなまれつつ手が回らず放置中の『White Trash Gothic』現行3作もDeaditeに収まったようで、それは よかったのだが…。この感じから見てDeaditeは完全復活とかいうわけではなく、エドワード・リーからの働きかけか話し合いによるリー作品限定というところなのだろう。こっからまた頑張るんで、そっち関連の 何とかしてもらえんかね。よっしゃ!そういうことならうちも協力しまっせ!的な。いくらかリー本人の出資とかもあったかも。そしてこっからまた頑張るリー先生のもう一つがMadness Heart Press。 2019年発足の新興パブリッシャーだが、既に多くの作品を出版しており、これまであまり聞かなかったが、リー効果により注目も高まるのかもしれない。なんかホームページ色々見てたら、Splatterpunk、 Folk & Religious Horror、Bizarroの他にExperimental Horrorなんてのもあり、結構気になる感じ。Experimental Horror的傾向なのがBizarroかと認識していたのだが、ホラージャンルも日々進化しとるのだね。
こんな感じで終わったと思ってたものが復活してきたり、新たな勢力が出現してきたりなど動きが激しいホラー系インディーパブリッシャー業界なのだが、昨年今年と落ち込んできているのが、一昨年 スプラッターウェスタンで大いに気を吐いたDeath’s Head Press。今年は唯一同シリーズ作品としてThunderstorm Booksとの共同出版によるBryan Smithの『Last of the Ravagers』がノミネートされているのみ。 ちなみにThunderstorm Booksというのはホラー作品のハードカバーの豪華版、サイン本など、プリント方向に特化したパブリッシャーらしく、『Last of the Ravagers』も現在出ているのはそちらのプリント版のみで、 またスプラッターウェスタンも昨年まではKindle版ではシリーズとしてずらりと並んでいたのが無くなり、多分売れ線かなんかのがバラで出ている感じに変わっている。とりあえず、Death’s Head Pressは スプラッターウェスタンシーズン2を準備中ということなので、期待して待ってみよう。結局3冊しか読めずにこの状況になってしまったがスプラッターウェスタン期待しとるんよ。
あと、ほんとにざっとなんだけど色々見てて気になったのが、アンソロジー部門のBlood Bound Booksからの『Call Me Hoop』。どうも同じ設定・世界観を使っていろいろな作家が書くという形のものらしく、これは シーズン1となっている。テレビシリーズを模した感じのこの形のものとしては、ずいぶん昔にリー・ゴールドバーグプロデュースの『The Dead Man』シリーズについて書いた他、クライム方向ではDown & Outが やってるのをなんかのついでに言及したぐらいなのだが、最近自費出版ぐらいのところでもある程度こちらの知ってる名前ぐらいのを動員してこれをやってるのをいくつか見つけたりして、結構気になってる。 この『Call Me Hoop』も含めてこの辺のシリーズ諸々、いつかまとめて書けるといいんだけど…。版元Blood Bound Booksは、最近TRPG部門も立ち上げたそうで、これからもなんか面白いことやってくれそうやね。
本当はもっと前に言及しなければいけなかったのだけど、話の流れで後になってしまって申し訳ないのが、J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARDのMonica J. O’Rourke。この人このジャンルで100を超える 短編作品をあちこちで出しているスプラッタパンクの重鎮。主に短編作品というのは長編主体の作家に比べどうしても目立たないのだが、業界では深くリスペクトされている実力派作家らしい。従来のホラージャンルとは 一線を画すスプラッタパンクジャンルの女性作家の草分け的な評価もあるのかも。これまでのJ.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD作家は一応邦訳作品があったのだが、Monica J. O’Rourkeさんに関しては、 翻訳されたアンソロジーに入っているものがあるのかもしれないが、とりあえず確認できなかったので、英語表記のままとしました。
昨年、今年とどうしても落ち込み傾向と言わざるを得ない感じのスプラッタパンクアワード。しかし、やはりこれはコロナ状況が大きく影響したものであるのは明らかだろう。ハードボイルド/クライム方面でも 今年はその状況下雌伏していた作家たちの新作が次々とアナウンスされていることは既に伝えたとおりである。こいつらの2023年の復活へ向けた動きも既に大きく始動しているのかもしれない。いくら小パブリッシャーが 倒れてもすぐに新たな者が立ち上がる不屈不撓のジャンルなのだ。今回リンクのためにアマゾンで調べた各作品はいずれも100を超えるレビューが寄せられている。インディーパブリッシャーの小説作品が、これほどの レビューを集めるのは生易しいことではない。このジャンルがそれだけの熱量を持っているということを示す如実な例だろう。こいつらは必ず復活し、外的要因による落ち込み以前の勢いをすぐに取り戻すだろう。 そしてこれまでに述べてきたように、たとえ低迷期であっても見るべきところは非常に多い。この中のいずれの作品がその中から突出し、次の時代への橋渡しとなるのかを刮目して待て!スプラッタパンクアワード 各受賞作の発表は、本年テキサス州オースチンで例年通り行われるキラーコン内にて8月12日ということ。発表されたらまたなるべく早くこちらにも掲載いたしマース。


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■2023 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品
●長編部門

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2023年2月14日火曜日

ブログ9周年ということで

9周年おめでとうございます。有難うございます。なんか時々でも読んでくださる皆様のおかげで時々書きながら9年間も続いてまいりました。あと、なんか書かずにいられないという私自身のかなり頭のおかしい部分でしょうか。 狂気、とか書こうとして、やっぱり格好良すぎるので止めました。所詮は、絶対掻いちゃダメだよ!と言われながら血が出るまで掻いちゃうような子供のアホさレベルのもんでしょうから。あっ、念のために言っとくと 変換間違えてないよ。
しかしまあ、考えてみればこんな出鱈目が9年も続いて、いくらか読んでくれる人がいるということから考えて、クソどうせオレ意外こんな風に思ってる奴いねえんだろうが腹立って収まらんから好き勝手に言うからなオレんちだし モードで散々並べてきた悪態も、実際にはいささかの少数派の時代的気分みたいなもんには沿っていたのかもな、と思ったりもする。いや、日本に海外のハードボイルド読者なんてそれほどいるとも思えないし、もう少し 広い海外のミステリエンタテインメント読者みたいな層で。例えばさ、ベタベタの人間関係を軸に湿度の高い気持ち悪い話を進めて最後泣かせでまとめていい話気にした「感動作」みたいな日本製よりも、洋画・海外ドラマを 好む層って少なからずいるわけじゃない。本を読む人でも同じこと。そういう層に全く応えるような本を出版できない、または売ることができない業界への不満というものが高まっており、まあこのハードボイルド廃人の 不満鬱屈みたいなもんもそれと同調してたんだろうなあ、ということ。世の中には私同様本屋の日本作家コーナーなんて向かいから別のボンバーマンが来た時の迂回路でしかない、という人だってまだゴマンというほどではない にしろ居るわけだ。それ全部切り捨てりゃあそら右肩下がり止まらんわな。その他、私が常々馬鹿にしとる下劣なサブカル層に触発され、結局この国なんて馬鹿の方が人口比率高いんだからいくら馬鹿っぽく言っても許されると 思い込んだ馬鹿どもによる、よみにくい児童や○○の一つ覚えマーク・グリーニーにくらべればに代表されるような著しいレビュー感想なんかの劣化への怒りとかもあるのかもな。
いや、なんかワシが時代の意見を代表してる、とか思ってるんじゃなくて、好き勝手に世の中みんな怒ろうがオレ言うかんな!とかいきってみても結局その一部なんかもしれんねえ、ということ。こんな世界の末端 ブログなんて世の中に何の影響もないだろうが、それでも例えばマッキンティが日本に入ってきたときに、阿呆どもの好き勝手に密室サイコークイズオタク基準ばかりで評価され、挙句に第5作『レイン・ドッグズ』は 「島田ショック」によって書かれた!みたいな陳腐極まりない妄想が大手を振って歩くような状況をいくらかでも抑えられたんじゃないか、とか思いたいとこだけどね。

と、まあとりとめもない感じですが、とりあえず9周年について思うことあたり、いくらかまとめられたかな。実はここまで来るの結構大変で、これもう何度も書き直してます。まあ、まずちょっとここんところ、寒い、 体調悪い、忙しい、の三要素が絡み合いなかなか書けないところなんですが、9周年近づいてきて何とかせねば、と思い出したように2~3行書いてみるのですが、まあ気付くとまた日本のミステリ界を停滞させて殺した クイズオタクカルトへの罵倒に流れて行って、こんなクソダラダラ書いてるヒマねえと消すようなばかりでなかなか進まなかった。あと特に昨年本当に頭にきたマッキンティの著作をこの先長きにわたり汚染し続ける ことになるクイズオタクカルトの親玉法月綸太郎によるこじつけ解説事件とかな。でも本当にそういうことに時間使うのはもはや無駄としか言いようがない。書かねばならないことが山ほどある。そういう方面の批判については これから書くものの中で続けて行くけど、個別に翻訳出版されたものの解説やら帯・売り方なんかに文句付けてんのは本当に無駄だ。結局のところ、法月みたいなもんに解説書かせるのが日本のミステリ読者に対する ローカライズになると思うほど頭の悪い連中が日本の出版業界ってわけやろ。
たださあ、やっぱ日本で知られてるミステリ観って、特に近年のポンコツ評論家どもによって都合の良いクイズ方向のバイアスかけられてるわけじゃない。そういうものについては何とか批判修正をしていかなければ、 根本的にこっちの話すら通じない。で、お前の意見だってまた別のバイアスかかってんじゃねえの、って意見もあんだろ。もちろんそんなもんやろ。ただ歪んでるもんを思いっきり逆方向に歪めれば、少しは正しい形が 見えてくるんじゃないすかねえ。
例えば、最近の日本のミステリ系出版社の翻訳出版物って、版権の取りやすさやもしかしたらその価格と、日本のクイズ偏向に合わせた形でイギリス物が多いわけじゃない。なんかそこにすっかり便乗して 今やミステリの中心はイギリスに移ったぐらいのこと垂れ流してるヌケ作いそうじゃない。そんなわけねえだろ。相も変わらず世界のベストセラーの中心はアメリカで、どこの国の作家も(まあ日本は知らんけど) アメリカで売れるってことを目指してる。そんな状況で、まあ日本じゃ困窮して作家を断念しかけたとごり押しされてる、マッキンティの断筆騒動も起こったわけじゃない。そういう反論されて、日本なんだから 日本人の好むものが正しい、アメリカや世界なんて関係ない、なんて思考停止開き直りするようなのがバイアスだって言ってるわけですよ。いっそミステリ鎖国でもすれば?
ただな、いっつもこうやって「本格ミステリ」みたいなもんを罵倒した後で思うんだけど、いや、オレ別にそういう作品自体が嫌いなわけじゃねえんだけど、ってこと。別にこれはそういうのが好きな層に向けての エクスキューズでもなんでもなくさ。だってまあミステリを愛好する多くの人と同じように、自分なんかも子供のころ読んだ子供向けシャーロック・ホームズとかから入ってきたわけだしさ、そういうもんが嫌いなわけない。 アホなお子様じゃあるまいし、そういうのを卒業してハードボイルドに入ったなんて意識もないしな。だが、考えてみれば多くの人が持ってるのかもしれないそういう「いや別に嫌いなわけじゃないから」みたいな感覚が ここまで見当違いな「本格ミステリ」なんて概念をのさばらせた原因なのかもしれん、とか思ったりする。どういったってそういったトリック謎解き重視の小説なんてものは、世界的に見れば前世紀の前半の前半ぐらいのところで 衰退したもので、「本格」などという大仰な名前でミステリの頂点に立っているようなものでは決してない。まあ日本の翻訳ミステリなんてものはもう終わったも同然だが、少なくともあんたの意識からそんなバカげた 概念抹消しなきゃまともに海外のミステリなんて読めやせんぜよ。世界のミステリの基準って、謎また謎、どんでん返しに次ぐどんでん返し、クイズに次ぐクイズみたいなもんじゃないでごわすから。

なんかやっと話をまとめて今後の方針を書こうと思ったところで、また罵倒方向にシフトしてしまいました。すんません。ここから仕切り直して現在進行形やら、今後の予定のような前向きなことを書いていこうと思います。 えーと、とりあえず、現在はまたしばらく中断中のような状態になっているのですが、基本的には次に向けて進行中です。やってんのは以前に予告もしたジェイムズ・カルロス・ブレイクのWolfe Familyシリーズ#0、#1という ところなのですが2冊を一度に、というのと結構な大作というのもあり時間がかかっているのに重ね、先にもちょっと書いたようにここのところ、寒い忙しい、寒い体調悪いのコンボが交互に発生して停滞しとるような状態で、 更に先月後半あたりは、歯を抜いたところで、全国的には知らんけど東京地方で寒さ一段階アップみたいのが来て、あーなんかこの二日ほど帰ってPC立ち上げるけど結局なんもしないで寝てるな、と思ってたところで 蕁麻疹発症。結局抜歯後の痛みor化膿止めが原因だったのですが気付かず、二日ほどでやっと立ち直ったところで忘れてた薬をまた服んで再発症というようなスラップスティックなことをやってほぼ一週間つぶしてしまったりも しておったわけです。てへっ。しかしまあなんだかんだゆうても外的要因による停滞みたいなもんなので、そのうち何とかなるでしょ。と思います。
最優先でやらなければならないこととして、まずブレイクの大作Wolfe Familyシリーズがあり、続いてやっとのジェイムズ・リー・バークのロビショーの続き。とにかくこの二つを終わらせなければ。こういうものとしては、 まあ日本で翻訳出るのほぼ絶望的やろな、ってとこの現代ミステリ/文学の超重要作家ジェイムズ・エルロイの新LAの続き『This Storm』!!!!まあ超大作ゆえまだ半ばってとこだし、年内に書けるかもわからんぐらいに前が 詰まっちゃってるけど。これが読めずクイズに次ぐクイズばっかり押し付けられてる日本のミステリ読者ってなんて不幸なんだろう。まあ出たら出たでプロットがプロットが、ぐらいしか言えん視野狭窄の老害が偉そうなこと 言い始めるのかもしれんけどな。このプロットプロットみたいのもとことん馬鹿にしたいんだが時間がねえ!
そして、前にマイク・ハマーのところでぶち上げた…、つもりだけどちゃんと伝わってんのかな?まあいいや。ハマー前後の「通俗」なるレッテルを貼られ見捨てられている作品の見直しと、80年代以降のハードボイルド史の 再考。これは何としてもやらねばならんのです。改めて考えるとハードボイルドってのはどんだけひどい扱いをされてきたのか。底の浅すぎる考えで「本格」なる呼称で御三家みたいなもんを祭り上げ、それ以外の作品は 価値がないように扱い、見当違いの精神論で軛をかけ続けた挙句、もう評論家どもにとって説明が面倒になったら太古の文学的定義やら語源を持ち出して終わったことにされる。世の中にここまで愚劣な評論家どもによって 捻じ曲げられ踏みにじられてきたジャンルって他にあるのかい?どのくらい大雑把な見方でも現代ミステリの最重要作家であるドン・ウィンズロウだって出自はハードボイルドなんだぜ。なに?ウィンズロウは「成熟」「安定」 してハードボイルドを「卒業」したの?アホか!
80年代以降としているのは、それ以前、70年代あたりの作品がもはや手に入りにくいから。なんか日本的にハードボイルドの最大事件のように扱われ、以降ハードボイルドが終わったかのように言われる根拠ぐらいになってる 「ネオ・ハードボイルド」についてももっと検証すべきなんだが…。まあ数多く復刻されておりKindle版なども手に入りやすい40~60年代作品と、日本でも翻訳が多くこのハードボイルド廃人の古書店のバックヤードレベルの 部屋に貯蔵されている80年代以降作品の両輪で詰めていこうというところなのだが、過去作品も読めば発見も非常に多く、70年代のブランクもおぼろげに見えてきたり、さらに未来へ向かう様々な系統も垣間見えたり。なんか あんたが本当に読みたかったハードボイルドってこれだったんじゃない?みたいな発見もあったりするので、順番入れ替えるかもぐらいのもあったり。別に誰も読んでくれなくても勝手にわめくよ。オレんちだし。 現実に音出てないから近所迷惑にもなんないし。
さて日本のクソ状況から読めなくなっている重要作家、過去作品・馬鹿げた歴史の再考に続き、大変重要なのが現在進行中の新しい作家・作品群だ。日本的にかろうじて紹介されているところでは、S・A・コスビーの最新作については 何とか翻訳出るようだが、コロナ状況が幾分か落ち着きを見せてきたことで今年あたりは停滞していた作家の新作も発表されて来ている。あの冗談ハーパーについての新作については昨年お伝えし、うち1冊はすでに先秋 発売されているが、同様にしばらく沈黙の続いていたルー・バーニーも秋に出る新作がやっとアナウンスされてきている。そして涙物の(ほんとにこれ聞いて泣いた!)あのドゥエイン・スウィアジンスキーが遂に復活!!! 秋には最新長編と、年内には短編集となんかコラボ作品(また世界のパタヤんか?)が出版されることが発表された!!!そして日本に全く伝えられないところでは、ウィンズロウ カルテル三部作に続く形で一つのトレンドになっている メキシコ国境ジャンル。なんとか早くこのジャンルに取り掛かり外郭ぐらいでも把握せねば。こういうのも少し前に遡れば、小ブームとなっていたカントリー・ノワールと繋がるところもあるわけで、そういうところは きちんと追っていかなければならんのだ。さらに英国の最新ムーブメントであるこっちで勝手に新スコットランド一派とか呼んでる作家群も押さえねばならんし、前々から要注目としながら放置してきたJoe Cliffordと、 Oceanview Publishing作品。本当ならすでに読んでる個人的に最注目のAnthony Neil Smith『The Butcher's Prayer』とAdam Howe『One Tough Bastard』についても絶対に書かねばならんのだが…。ああ!勝手にオレ内殿堂入り 絶対面白い作家に認定して延々後回しにしているジョニー・ショーも今年こそは次を読んで絶賛しなければ(読まなくても絶賛確定)!あとちゃんと読めてなくて本当にごめんのAll Due Respectやら各アンソロジーやら本当に きりがない。これほど伝えねばならないことがあるのに語る価値すらないゴミクソ解説やら頭おかしいクイズオタクカルトの批判なんてやってられるか!あーでもその辺にすっかり洗脳されたようなのが来た時のために そういうもんじゃねえからときちんと意思表示の必要があるし。いっそヘッダーあたりに「私は「本格ミステリ」を標榜するクイズオタクカルトをとことん馬鹿にしています。」とか標語っぽく掲げとくかね。

えーと、ここからやっとコミックのことです。本当にごめん…。いや、諸般の事情でハードボイルドに入れ込み過ぎてただけで、コミックについて書くのをやめようなどとは一瞬も思ってないし、あー何とかもっと たくさん読めないもんかと苦闘しながらあれこれ読み続けております。例えばなんつーかもっと視野を広げて客観的みたいな考えで文化的重要度を考えれば、実はコミックの方が紹介すべき優先度は高いんじゃないか、 とさえ思う。所詮文字だけで書かれたもんの方が偉いと思うなんて子供の発想だよ。
時間がないとか、個人的なこだわりで他に注力して余裕がないというのも本当だが、やっぱよーく考えてみると、そのあまりの膨大さなどにを前に、日本に海外のコミックを紹介する困難さ、敷居の高さに屈してる 部分もかなり大きいのだろう。結局のところ例え一日一作品を紹介し続けて行ったとしても、どのくらいやれば本当に伝えるべき土台ぐらいまで到達するのかわからないぐらいのもんだし。
かなり昔のことだけど、日本にはこれだけの規模のマンガがあるのだから海外のマンガを持ってきたって売れるわけがない、などと「正論」を当たり前のように吹く輩を見てかなりイラッと来たのを思い出す。そらそうだろ。 だからどうした。以前にも書いたが海外のコミックというのは「売れる/売れない」などということがことに創作物の価値とは全く関係ないという何よりの実例だろう。実際、この国で翻訳して商売をするということが 成り立たないというだけの話で、海外ではきちんと商売になっているわけだし、日本のマンガを山程読んでいる自分が確信をもって言うが、日本の作品に全く劣るものではないし、そもそも広い世界では日本のものと 比べても高い水準にあるものが山ほどあり、様々な方法論が取り入れられ日々マンガ=コミック全体の水準を高め続けているのだ。
なーんか、このコミックについてのパートを途中まで書いてから、また時間が取れず4~5日放置していたのだが、その間にある考えが浮かんできているのだが、実行するかしないかはまだ少し迷っている。まあ多分今の 自分の状況を考えるとできるの今のうちぐらいだからとりあえず時期が整ったらやってみるかな、と思っている。まあ曖昧なことで申し訳ないが、結局折れてこのまま続くということになるかもしれんけど、まあ それでも現時点で次に考えてたブルベイカー/フィリップスの『Reckless』と、結局日本にほとんど紹介されたことのないレジェンド作品『Scalped』ぐらいはなるべく早期に書くつもりですので。
なんか尻つぼみっぽくなってしまったのだが、とにかくコミックに関してはたとえ独り相撲になったとしてもなんかやらなければならん、という気持ちだけはとりあえずあるということですかな。

結局、ハードボイルド小説に関しても、コミックに関しても、やろうと思ってることは明確だけど、体が追いついていかなかったりしているうちに、まあオレ程度が何言っても何が動くわけでもなしどうでもいいんじゃねーの。 的投げやり思考に陥ってしまうところを、なんとか前に進めなければと自分にブーストかけてるというのがこの9周年の内容なんでしょうね。このくらいのところで何言っても大して意味はないというのは事実だとしても、 何もやんなきゃ0なのが少しでもやれば0.0000000000000000000000000000000001ぐらいになるかもしれんだろ、ってのがやってんのかやってないのかわかんないぐらいになっても9年続いている理由なんだろ。
自分が言ってる日本の翻訳ミステリ全般に対する批判というのは中身も根拠もあるものだけど、結局自分の方がなかなか動けずその中身の方をうまく提示できず、結果的に罵倒批判ばかりが先走ってしまうという焦りが、 全体的にはほとんど進まないままの最近のハードボイルド小説寄りの傾向になっているのだろう。そう思っているところであの「法月綸太郎こじつけ解説事件」のような言語道断レベルが大手を振ってまかり通り、 またしても罵倒ばかりが先走る始末。その一方でコミックについてはそんな批判などが起こるほどの土壌すら成立していないないまま。そりゃあいくらか言いたいことぐらいはあるが、そんなミクロレベルのところで なんかもめてみても足踏みどころか後退にすらなりかねんぐらいの状況だろ。
まあそんな感じで今後も0.00000000000000000000000000000000000000000000000000000000001ぐらいでも状況を前に進めるために虫レベルの微力ではありますが頑張ってまいりますです。

「法月綸太郎こじつけゴミ解説優良図書汚染事件」のような所業が平気で行われる状況に心底絶望し、もう日本で出るものに関しては一切言及しない、とまで一旦は言ったが、やっぱりそれでも数少ないながらも 翻訳出版されるすぐれた作品はそれがどれほどひどく汚染されてしまったとしても、こんな世界の末端でハードボイルド愛を叫ぶ虫けらよりもはるかに有効な一手であるのだろう。どんなにひどいものだったとしても 解説がゴミ、帯がゴミぐらいまで罵倒を簡略化して言及すべきなんだろうと思う。
これに関しては別に批判するようなところは特にはないんだけどね。ポール・ケイン作『七つの裏切り(原題:Seven Slayers)』。未訳ハードボイルドのレジェンド作品が翻訳されてよかったね。どうしても読みたくて 結構昔にVintage Crime/Black Lizard版のプリント版買って、もう少し最近にはデジタル版も買ったけどいまだに放置してるやつです。原書の方を読むと思うけど、とりあえず日本で出る機会あってよかったね、 ということで買いました。なんだかんだ言っても今年はいくらか、もうどうせ出ないんだろ、ぐらいに思ってたものも出るようですね。なるべく穏便によかったねと言えるような形で出版されることを 心より願っております。

まあそんな感じでってどんな感じだよ適当にまとめるなよ、ぐらいのとりとめのない感じですが、9年間有難うございました。今後もできる限りは頑張って行きますので、時々見に来てね。

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