tag:blogger.com,1999:blog-89706768238718106872024-03-28T20:41:52.140+09:00君のせいで猫も失くした主に、読んだハードボイルド・ノワール・クライム系の小説や、英米のコミックの感想など。猫のことは書いてありません。yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.comBlogger207125tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-80368616992826313132024-03-28T14:00:00.002+09:002024-03-28T20:41:19.374+09:00Jon Bassoff / Corrosion -2010年代カルトノワール作品!-<style>
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<a href="https://amzn.to/3Ph6VV9" style="display: block; padding-right: 15px; text-align: center; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1K9fxRLKLL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回はJon Bassoff作『Corrosion』。2013年に現在は終了しているホラー系パブリッシャーDarkFuseより出版され、一部で高く評価されたBassoffのデビュー作となるノワール作品です。現在は彼の他の作品と共に、Down & Outより出版されています。<br /><br />
このブログも先日10周年ということになったんだが、実はこの作品始めたばかりぐらいの頃アメリカのAmazon.comで色々な作品を検索していると、かなりの確率でおススメに出てきていた、当時カルト作ぐらいの評価があったやつだったと思う。<br />
ただちょっとこれホラー系かな、という感じもあり後回しにしているうちに忘れてしまい、その後2017年にDown & Outから初期5作ぐらいがまとめて鳴り物入りぐらいの感じで、やや大々的に再発され、ああ、そうだこれ読まなきゃ、と思ってるうちに
まーたなんだかんだで後回し、忘れかけていたところで、2021年にこちらで度々名前を出す<a href="http://www.paperbackwarrior.com/2021/10/corrosion.html">Paperback Warrior師匠のサイトでピックアップ</a>され、こここ今度こそは読まなければと、
スマホのKindleアプリに入れ続け、この度やっと読んだという経緯の作品です。<br /><br /><br />
<h3>【Corrosion】</h3><br />
Corrosion。意味は腐食。<br />
この物語はJoseph Downsという、イラク戦争中の戦闘により顔に大やけどを負った帰還兵の一人称による語りで始まる。<br /><br />
目的地だった山の、20マイル手前のハイウェイで彼のピックアップトラックはおシャカになる。<br />
車を押して路肩に寄せ、軍支給品のダッフルバッグと、カモフラージュジャケットを持ち、彼は近くの町を目指す。<br />
Strattonというさびれた町。潰れたコンビニに、潰れたガソリンスタンド、潰れたモーテルが並ぶ。錆びた案内板に、板で塞がれた窓。<br />
強風に襟を立てポケットに手を埋めて歩く。通りすがりの窓に目をやると、いまだに自分のものと思えない顔が見返す。<br />
悪魔そのものが鋳型で作り上げたような顔。<br />
12時間に亘るドライブは、酒を求めていた。<br />
角に建つ漆喰塗りの「Del's Lounge」と赤いペンキで手書きされた店が目に入る。Budのサインが潜水艦の窓の奥で光る。<br />
彼はその店に足を踏み入れる。<br /><br />
コンクリートの床に、木のテーブル。フェルトの薄くなったプールテーブルに、20年物のジュークボックス。カウンターとブースに客が一人ずつ。<br />
彼が隅のテーブル席に座ると、数分後バーテンダーが注文を取りに来る。<br />
ボトルのビール。冷えたやつ。<br />
食べるものはいるか?ハンバーガーにホットドッグ、町一番のバーベキューポークもあるよ?<br />
バーテンダーは彼の前に回ってメニューを差し出し、そして彼の顔を見て、思わず声を上げる。なんてこった。<br />
ビールだけでいい。彼は繰り返す。<br /><br />
バーテンダーは謝罪を呟いて戻り、数分後注文したビールを持ってくる。<br />
この町には何の用事で来たんだい?と彼に尋ねてくる。<br />
特に用があるわけじゃない、と彼は答え、ビールを飲む。そしてバーテンダーに、この辺に泊まれるところはあるか?安いところだ。と尋ねる。<br />
この町のものは全て安ものさ。バーテンダーは陰険な笑みを浮かべながら答える。中でもPaisanoホテルが一番安いな。そして彼に道順を教える。<br /><br />
しばらくビールを飲み続けると、外に車の止まる音が聞こえる。<br />
ドアが叩きつけられる音に続き、男と女の言い争う声。そしてアスファルトに叩きつけられたボトルの割れる音。<br />
男が叫ぶ。この売女め!<br />
少しの後、女が店に入って来る。<br />
それほど美人というほどでもない、痩せた赤毛。青白い顔の唇にピアス、腕にベティ・ペイジのタトゥー。赤いブーツにカットオフジーンズ、ミスフィッツのTシャツ。<br />
そしてバーに歩み寄る。メーカーズマークはある?そして更にミケロブビールを注文し、飲み始める。<br /><br />
すぐに男も現れる。カウボーイブーツにブルージーンズ、ヘヴィフランネル。どう見ても女の倍以上の歳。<br />
男は女に店から出るように言う。ファック・ユー、女は言う。あんたはあたしの番人じゃない。<br />
男は女の手からビールを奪い取り、カウンターに叩きつける。<br />
落ち着いてくれ、ミスター。バーテンダーは言う。ここじゃトラブルはご免だ。<br />
ここから出ろ、売女!男は女の髪を掴み、スツールから引き摺り下ろす。そして女の腕を掴み、後ろに捩じり上げる。<br /><br />
そこで彼は立ち上がり、ゆっくりと店を横切り二人に近付く。<br />
彼女を放してやれ、囁きより少し大きいぐらいの声で言う。<br />
男は彼の顔に驚き、一瞬手を放しそうになるが、すぐに握り直し女を壁に押し付ける。<br />
彼はカウンターのビール瓶を掴み、男の後頭部に叩きつける。<br />
男は床に倒れる。少しの間うめいた後、立ち上がろうとするが、その度に彼は蹴りを入れる。男の腹、顔。男が床に丸まって立ち上がらなくなるまで続ける。<br /><br />
彼は席に戻り、ビールを飲み干してから立ち上がり、出口に向かう。<br />
途中、バーテンダーにもう一度ホテルの名前を確認する。<br />
女に頷き、ドアから出ようとすると、待って!と呼び止められる。<br />
あんた何者?名前は?歪んだ笑みを浮かべながら訊ねてくる女。<br />
俺はJoseph Downs。国のため誇りをもって闘った。彼は答える。<br /><br />
Downsは教えられたホテルに向かう。The Paisano。ドアを開けると、すべてが腐った木と、ホルムアルデヒドの臭いに包まれている。<br />
カウンターの中にいた小さな女が、飲んでいたフラスコ瓶をカウンターの下に仕舞い、嫌悪を隠した愛想笑いを浮かべて応対する。<br />
部屋を借りたい。Downsは言う。<br />
部屋だけでよろしいんで?他に何か入用では?女はいささかの感情も込めず言う。<br />
部屋だけだ。<br /><br />
分かりました。女はカウンターの後ろから鍵を取り、Downsを案内して行く。<br />
女の後について2階へ上がる。ペンキの剥げた天井。壁を埋め尽くす落書き。<br />
部屋の一つからうめき声が聞こえる。壁に木のベンチ。赤いブーツに赤いかつら、ボロボロのウェディングドレスの女が座っている。口紅のこすれた口からぶら下がる煙草。<br />
ひどい顔だね、彼女は言う。あたしは構わないよ。ちんぽ吸ってあげるよ。<br />
口を閉じてな、ホテルの女主人は言う。とっとと自分の部屋に戻りな。<br />
女は目を回して見せると立ち上がり、薄笑いを浮かべながら部屋のドアを開け、テレビからの鈍い光に照らされた部屋に消えて行く。<br /><br />
彼女のことは気にしないで、女主人は言いながら、歪んで引っ掛かりのあるドアを乱暴に引き開け、Downsに鍵を渡す。<br />
こちらでのご滞在をお楽しみいただけますように。女主人はDownsの容貌を今一度眺めまわし、付け加える。それで何か必要なものがあったら、遠慮なくお申し付けください。<br />
俺は何も必要としていない。<br /><br />
予想通りの最低の部屋。汚い窓を通して汚い町が見わたせられる。<br />
ベッドに腰を下ろし、ジャケットとブーツを脱ぐ。<br />
バッグを開く。ジョージ・W・ヘルム噛み煙草の缶。プラム・ブランディ。軍支給の銃剣。擦り切れた皮の欽定訳聖書。<br />
煙草を鼻で吸い、ワインを飲み、聖書を開く。士師記6章。<br />
ベッドに倒れ込み目を閉じる。<br />
この世に正しい人間など一人としていないと、考え始める。<br />
誰もが秘密を持っている。恐るべき秘密を。<br /><br />
眠れないまま、ベッドに横たわり、床や壁の中を鼠が走り回る音を聞いている。<br />
開けた窓から外を歩く微かな足音が聞こえてくる。起き上がり、外を覗いてみる。<br />
一人の男がゆっくりと、街灯の光から外れた街路を歩いて来る。<br />
ボロボロのスーツに、絞め縄のように首から下がったブルータイ。グレイの頭髪に、伸び放題の無精髭。やせこけた体格に、取りつかれたようなやせ細った顔。<br />
窓辺に建つ彼の影に気付いた時、立ち止まりこちらをまっすぐ見返してくる。<br />
そしてその顔にゆっくりと狂気じみた笑みが広がって行く。<br />
Downsは息を飲み、数歩後退る。<br /><br />
一時間以上が過ぎる。ナイフを握りしめ、ベッドに坐り続ける。<br />
時々、外を覗き見る。<br />
男は全く動かず、そこに立ち続けている。<br />
やがて風が強くなり、雨が降り始める。<br /><br />
深夜12:05。部屋のドアがノックされる。短く3回。<br />
ナイフを握りしめ、ドアを引き開ける。<br />
そこにいたのはバーの赤毛の女。<br />
遅い時間なのは分かってるけど、女は少女のような声で言う。中に入っていいかしら。<br />
止めはしない。Downsは答える。<br />
女はアンダーシャツとボクサーパンツのみの彼を、上から下まで眺める。<br />
いい体格ね。顔は気にしないわ。もっと酷いのも見たことある。<br /><br />
何か飲むか?プラムブランディがある。グラスはないと思うが。<br />
ジャケットを脱いでいいかしら?と言って彼女は着ていた赤いナンシー・ドリューレインコートを脱ぐ。<br />
下に着ていたのは未来風のシルバードレスと同じレッドブーツのみ。<br />
彼が渡したブランディをぐいと飲み、目の隅からこちらを窺う。<br />
彼女は酔っ払いのバッドガールだ。だが彼に、遠い昔に知っていた、誰かを思い出させる。<br /><br />
午後に助けてもらったお礼が言いたかったの、彼女は言う。大抵の奴は見て見ぬふりをする。<br />
あれは誰なんだ?と問うDowns。<br />
あおる様にもう一口飲み、彼女は答える。私の夫よ。<br />
あいつとこのまま暮らし続けるつもりか?とDowns。一回あんたを殴ったやつは、いずれまたやるぞ。<br />
彼は二回じゃすまないわ、彼女は言って袖をめくって見せる。いくつかの煙草を捺し付けられた跡。<br />
あんたはあいつと別れた方がいい。<br />
そう簡単にはいかないのよ、彼女は言う。<br /><br />
それから小一時間、二人はほとんど言葉を交わすこともなくブランディを飲み続ける。<br />
彼は外の男のことは忘れ、向かっていた山のことも忘れる。<br />
やがて女は彼の足に手を置き、言う。それでJoseph?私のこと可愛いと思う、少しでも?<br />
ああ、彼は嘘をつく。<br />
彼女はベッドの上で近寄って来る。愛らしい?いいや。だが彼は恋に落ちる。彼には簡単すぎるほどに起こることだ。<br /><br />
事が終わった後、Downsはそこで初めて彼女の名を尋ねる。<br />
Lillith、彼女は言う。土から創られた…。<br /><br />
翌朝、Downsは故障したピックアップを町の修理工場まで引いて行く。<br />
エンジンは完全に駄目になっており、修理するならすべて取り換えるしかないが、それより別の車を買った方が安い。<br />
だがDownsは、車に愛着があるのでエンジンを換えてくれるように頼み、車を預ける。<br />
しばらく町に留まることとなったDownsは、当座の金を稼ぐため町にある大規模なごみ処理場で働き始める。<br /><br />
一方で、Lillithとの情事は続く。そしてある日、遂にLillithはDownsに夫の殺害を頼んでくる。<br />
どこかモラルの欠如した部分のある、語り手=主人公Downsは、躊躇うこともなくこれを実行する。<br />
そしてホテルに戻り、電話でLillithにそれを告げると、怯えた様子で本当にやったのか、と意外な反応が返って来る。<br />
そしてそのまま、Lillithとの連絡は途絶える。<br /><br />
そして町にある説教師が現れる。<br />
マスクを被ったその説教師は、町の広場で過激な説教を唱え、自分はこの世の多くの罪を贖うため、自分の顔を焼いたと告げる。<br />
怒りに駆られたDownsは、その場で説教師を激しく殴打し、マスクをはぎ取りイカサマを暴露する。<br />
そして警察に逮捕されるDowns。<br />
だがそこでDownsは、説教師への暴行だけでなく、Lillithの夫の殺害の容疑をも追及されることになり、当のLillithも彼の容疑を濃くするような証言をする。<br />
絶体絶命に追い詰められたDownsだったが、そこで何者かにより彼の保釈金が払われる。<br />
保釈されたその足で、その金を払った人物に会いに行ったDownsは、そこに隠されていたある事実と直面することとなる…。<br /><br /><br />
イラク戦争からの帰還兵の主人公という完全に現代を舞台としている作品だが、主人公Downsが足止めされることとなる南部の田舎町は、まるで時間が止まったようなクラシックノワールの時代のような風景として描かれ、そしてそこでクラシックノワールの
フォーマットに従ったような犯罪に嵌まり込んで行く。<br />
だが、この作品はここでその様相を完全に変える。<br /><br />
約250ページのこの作品は、全3部とエピローグ的な短い第4部とで構成されており、それぞれが別の名前の人物の一人称により交代して語られる。<br />
第1部約100ページが、このJoseph Downs。続く第2部、やはり100ページほどがBenton Faulkという人物による、7年前からに遡った出来事。第3部は現在に戻り、再びJoseph Downsの一人称となり、第4部はWells牧師という人物の視点となる。<br />
ここではそのJoseph Downsによる第1部をほぼ最後近くまで紹介したのだが、ここでそれまで読んできたものが180度引っくり返るぐらいの衝撃的な展開を見せ、第2部Benton Faulkによる物語へと続いて行く。<br />
ここまである種ノワールの一つの定番パターンに見えたものが、後半ではホラー的というような部分にも踏み込む展開を見せて行く。念のために言っとくと、ホラーと言っても超常オカルト的な方向ではないから。<br />
例えばジム・トンプスンの名作『サヴェッジ・ナイト』のこの強迫観念に駆られた語り手によりどこまで連れて行かれるのだろうというような。<br />
2010年代の隠れた名作。ノワール必読作品。いや、必読なのに今まで読まなくて本当に悪かったって。<br /><br />
Jon Bassoffは1974年、ニューヨーク生まれ。現在は家族と共にコロラドに在住。<br />
2013年に発表されたデビュー作である本作『Corrosion』は、フランス語、ドイツ語にも翻訳され、フランス最大のクライムフィクションアワードであるGrand Prix de Litterature Policiereにもノミネートされたとのこと。<br />
デビュー以来現在まで9作を発表し、最新作は2022年の『Beneath Cruel Waters』。<br />
余談ではあるけど、最近のアマゾンの検索システムのアップデート以来、Jon Bassoff検索すると必ずJon Bass offとわざわざ区切ってベースの教則本かなんか並べてくるの何とかなりませんかね?<br /><br />
●<a href="https://www.jonbassoff.com/">Jon Bassoffホームページ</a>
<br /><br /><br />
<h4>■Jon Bassoff著作リスト</h4>
<ul>
<li>Corrosion (2013)</li>
<li>Factory Town (2014)</li>
<li>The Disassembled Man (2015)</li>
<li>The Incurables (2015)</li>
<li>The Blade This Time (2017)</li>
<li>The Drive-Thru Crematorium (2019)</li>
<li>The Lantern Man (2020)</li>
<li>Captain Clive's Dreamworld (2020)</li>
<li>Beneath Cruel Waters (2022)</li>
</ul>
<br /><br />
<h3>ホラー・ノワール</h3><br />
今回のJon Bassoffは、クライムとホラーというジャンルにわたって作品を発表している作家なわけだが、個人的な感覚だけでなく、ホラーとミステリの間には微妙ぐらいではあるけど壁やら溝があり、どうもクライム作品というジャンルで
探って行ったときにこういう作家や作品が見えにくくなる印象がある。そんなわけで、ここではそういったジャンルを横断して作品を発表している作家をいくつかピックアップしてみたい。<br />
と思いついて、まずはややお馴染み英語圏の最大の読書サイトであるGoodreadsで、Crime Horrorあたりを調べてみたんだが、なんかまずスティーブン・キングが並び、トマス・ハリスとか、果てはアガサ・クリスティーなんかも出てきて、
いまいち役に立たん。仕方ないんで、自分の知ってる範囲ぐらいのところで、できるだけ並べてみます。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/3vAp2hW" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91udQvNWa6L._SL1500_.jpg"/></a>
まずGabino Iglesias。この辺のジャンルの注目作家であるだけでなく、書評家やアンソロジーの編集などでも知られる。結構このジャンルに跨るあたりの作家や作品を推してくることが多くて、この人経由で知ったものも多かったり。<br />
まだちゃんとまとまった長編など読めてないのだが、Adam Howe編集のプロレステーマアンソロジー『Wrestle Maniacs』に収録されてた短編だけ読んでいて、メキシコのナチョ・リブレ題材の呪術的な感じのホラーはかなり印象深かった。<br />
ブラム・ストーカー賞など受賞歴もあり。最新作『House of Bone and Rain』が今年8月発売予定。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/4auYBct" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91O2fRMBP6L._SL1500_.jpg"/></a>
Laird Barronについては、本当ならもうとっくに読んでなきゃならないぐらいのものなんだが…。クライムとホラー両ジャンルに跨って作品を発表している作家だが、クライム方面ではアラスカを舞台としたIsaiah Coleridgeシリーズが評価が高い。
いや、なるべく早く読むから。今のところ第3作が2020年に出て止まっているようだが、別の出版社から昨年Isaiah Coleridgeを主人公とした中編が出ている。元のところとの契約が切れ、もしかすると自費出版とかで今後やってくのかも。
この人と横並びぐらいで出てくる作家あたりから探って行くのがいいのかもな。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/3VvvUIb" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/715nM6UQ01L._SL1109_.jpg"/></a>
Tom Piccirilliはここで大昔に追悼特集みたいなのをやって、それっきりで本当に申し訳ない。そん時取り上げた『Fuckin' Lie Down Already』はクライムホラーとか言うと必ず思い出す珠玉の中編作品。2010年出版で、当時ジャック・ケッチャムや
エド・ゴーマン、ビル・プロンジーニらにも絶賛されている。Piccirilli作品では『The Cold Spot』、『The Coldest Mile』のCold二部作も評判いいので、なるべく早く読まんと。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/3VSPDBV" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81DsBDw-2IL._SL1500_.jpg"/></a>
Stephen Graham Jonesをここに入れるのが正しいのかどうか、いまいち疑問なのだが、なんにしても当然翻訳ぐらい出てるべき作家なのに、現実全く未紹介ぐらいなのだから少しでも名前を出すって意味でもアリということにする。どちらにしても
Wiki(英語版)には、実験小説、ホラー、クライム小説、SFの作家ぐらいに書いてあるしな。ネイティブ・アメリカン文学というようなジャンルでも知られる作家。この『Mongrels』、とにかくこれからと思いつつ、いまだに読めてない。うう、もっと
頑張らねば…。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/3TD1Ur8" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/819CpIGtImL._SL1500_.jpg"/></a>
Bryan Smithといえば、スプラッタパンクアワードでも常連のホラー作家だけど、この『68 Kill』は映画化もされたクライム作品。2013年に発表され、2017年には続編『68 Kill Part 2』も出ている。多分他にもクライム系あるんだろうな、と思うんだが
あまりに作品数多くてかなり本腰入れてぐらいに調べないと把握できない。とにかくこの人についても結局まず『68 Kill』読めよ、ということになってしまうんだが…。例えばエドワード・リーの伝説的激ヤバ作『Header』にしても、サウザン・ノワール
として読める部分もあるわけだし、やっぱスプラッタパンク、エクストリームホラージャンルというのも、ノワールとは地続きなんだろうなと思う。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/49t9dYB" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81qZVmQNqhL._SL1500_.jpg"/></a>
こちらJ David Osborneは、確かGabino Iglesiasのどっかの記事で教えてもらったと思うんだが、もはや現物が見つからん。代表作らしい『By the Time We Leave Here, We'll Be Friends』は、ロシアのグラーグでのカニバリズムを描いた作品らしく、
少し重そうなんだが、近作『Gods Fare No Better』シリーズは、近未来サイバーパンクのもう少し軽そうなやつ。日本の三池崇監督に深く傾倒し、自身のポッドキャストで日本のマンガやアニメの普及に努めているらしい。『Gods Fare No Better』シリーズの
主人公の名前もKentaroだったり、もっとよく調べると面白いもの出てきそう。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/4cvxqjz" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/A19p67wDCvL._SL1500_.jpg"/></a>
Cody Goodfellowも上のJ David Osborneと同じ記事で教えてもらって、結局まだよく調べてなかったりする人。こちらの『Repo Shark』はハワイを舞台にしたサメとかも出てくるホラークライム作品らしい。ちらっと見てたらかなり読みたくなってきたので、
もったいないのであんまりよく読んでないのだけど。<br />
ちょっとこの辺の人たち少し調べてたらWonderland Book Awardというのがいくつか出てきて、調べてみたらビザールホラー系のアワードらしく、例のGoodreadsにも<a href="https://www.goodreads.com/award/show/25699-wonderland-book-award">
Wonderland Book Award Winners</a>みたいなリストのページが見つかったりと、いくらかの歴史や知名度もあるものらしい。ビザール系ホラー結構気になりつつも、今一つとっかかりが見つからないところがあったのでいいもの見つけたな。ちょっと今は
余力がないのだけど、もっとよく調べてここにもなんか書けるかも。主催しているBizarro Centralというところもまだよくわからないのだけど、とりあえず以下がリンク。<a href="https://www.bizarrocentral.com/category/wonderland/">Wonderland</a><br /><br />
<a href="https://amzn.to/3vvBQX6" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="100" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71pitPfGC3L._SL1360_.jpg"/></a>
Michael Allen RoseのこれはそのBizarro Centralのトップページでもフィーチャーされてて、かなり気になるのだが、なんかプリント版しか出てなくて、知らない作家とりあえず買ってみるには若干お値段微妙。Eraserhead Pressと言えばエクストリームホラーの
DEADITE PRESS系列で結構デジタル展開も多いはずなんだが。この人も後半そっちに流れてきているビザールホラー系で、お手軽なデジタル版でこの人のなんか読んでからこの変なやつ手出すかも。ミュージシャン、パフォーマーなど色々な肩書もある
愉快気な人ですね。<br /><br />
なんか色々調べながら書いているうちに、最後の方ちょっとずれてきたのかもなのだが、ノワール+ビザールホラーなんていうのはあんまり考えてこなかった方向なので、また新しい所見つけたかもと個人的にはかなり喜んでいる。<br />
常々言ってることだが、日本におけるノワールというのは、そもそもがあまり翻訳も出ない状況で、ノワール原理主義者の思い込み定義によるノワール規制や、日本特有の思い込みが重なり、海外のものときちんと照らし合わせもされないまま非常に狭い
範囲の、主にサイコサスペンス方向にやや捻じ曲げられさえしたものになってしまっている。<br />
そういう状況をなんぼかでも是正するために、こういったパースペクティブを広げた地点でのノワール作品が多く読まれるべきなのだと思う。あーでも翻訳なんかされてもどーせ三文ミステリ評論家や読書のプロ老害に台無しにされるだけなんで、そーゆーことは
一切求めてないっす。<br />
なんか色々言ってみたところで、今回の『Corrosion』、その日本のノワール観が狭められねじ曲がって行った地点に割と近い作品かも、と気付いたりもするのですがね。<br /><br /><br />
やったじゃん!ちゃんと書いたそこそこの記事が1か月に二つとは久々の快挙!まあわざわざ「!」付きで言うほどのことじゃないだろうけど…。何とか最低このくらいのペースで頑張って行ければが現在の目標であります。あ…、その一方でサイトの修正の方は延々中断中…。ちょっと季節の変わり目で若干体調微妙、踏ん張りきかんで、とりあえず記事だけは進めなくてはぐらいはできてるけど、なかなかそっちやる余力なかったりというのが現状なのだが、このまま知らんぷり放置はするつもりはないんでそのうち頑張りますです…。結局しょぼんで終わる。
</span></span>
<br />
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Jon Bassoff</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3Ph6VV9"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1K9fxRLKLL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3Ph6VV9"><p>Corrosion</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/49khJst"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1ofamGKoIL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/49khJst"><p>Factory Town</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TtdCog"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91tx0NizBbL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TtdCog"><p>The Disassembled Man</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TTOAQp"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91NcY9szp4L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TTOAQp"><p>The Incurables</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3IXojdU"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1eR8kQNCiL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3IXojdU"><p>The Blade This Time</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3PHYG4G"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/9198JrB39XL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3PHYG4G"><p>The Drive-Thru Crematorium</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vyoCZx"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/912CpRW+aJL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vyoCZx"><p>The Lantern Man</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vyoOIf"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81pr0xYcfYL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vyoOIf"><p>Captain Clive's Dreamworld</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4cCt7Tu"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71pH0GSqO+L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4cCt7Tu"><p>Beneath Cruel Waters</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-241538091195970792024-03-08T15:00:00.001+09:002024-03-08T15:00:00.127+09:00Ken Bruen / Sanctuary -ジャック・テイラー第7作-<style>
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<a href="https://amzn.to/3HZiSuB" style="display: block; padding-right: 15px; text-align: center; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" data-original-height="800" data-original-width="532" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71+0ZJ7ubOL._SL1049_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回はケン・ブルーウンの『Sanctuary』。2008年出版の、ジャック・テイラー・シリーズ第7作です。<br /><br />
いつまでたっても変わらぬミステリ=クイズのミステリ認識に加え、思い込み・勘違いだらけの「ハードボイルド精神」解釈と、その「ハードボイルド精神」によって書かれた「ミステリ(=クイズ)」が「ハードボイルド」などというような、完全に狂ったミステリ観の
この国では、まともに評価されるまで3世紀かかると想定されるケン・ブルーウン作品。<br />
今読んでる人が生きているうちに翻訳されたものに出会える可能性はまずないだろう(いや、待て、冷凍睡眠で24世紀に目覚めるというケースもあるかも?)素晴らしいブルーウン作品に一人でも多くの人が触れられるように、という願いを込め続けている
未訳ジャック・テイラー・シリーズも今回で5回目となります(最初の2作は早川書房より、内容を全くぐらい無視した適当な邦題で出版され、絶賛絶版中)。<br />
いや、自身のボランティア精神礼賛調で始めたけど、私ジャックさん大好きなんでとにかく読みたいが第一なんだけどね。<br /><br />
前作『Cross』では、自分が住んでいるアパートが思いがけないほど高額で売れることを知り、それを売ってアメリカへ渡ることを決意したジャック。いや、そのアパート優しいミス・ベイリーが、自分の経営してたホテルが無くなり住む場所に困るでしょう、
と遺産に残してくれたものなのだが…。<br />
『Cross』の最後では、事件も一応の決着を見て、荷物もすべて整理し、いざアメリカへ、と空港へ向かおうとしたときに電話が鳴る。電話の相手は女性警官リッジ。そして涙声で告げる。乳癌が見つかった。<br />
作中で時々リッジがその不安を告げて診察に行くべきか話しており、ジャックも心配はしていたのだが、最後の最後になってその診断結果が知らされる。<br />
というところで、今回の第7作『Sanctuary』へ。<br /><br /><br />
<h3>【Sanctuary】</h3><br />
<div style="border:solid 1px #aaaaaa; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow:hidden;">
親愛なるテイラー氏へ<br /><br />
礼儀を欠く形で申し訳ありません。私たちはいずれ、もっと親密な関係となれるでしょう。<br />
こちらが私のショッピングリストです。-貴方がこういったリストがお好きなことは存じ上げていますよ。<br />
<ul>
<li>警官 二人</li>
<li>修道女 一人</li>
<li>裁判官 一人</li>
<li>そして、残念なことに子供 一人</li>
</ul>
最後については悲しいことではありますが、不可避であり、交渉の余地はありません。<br />
ですが、こういったことについては既に貴方もよくお分かりでしょう。-つまり、子供の死について。<br />
リストについては既に開始されております。:二日前に亡くなったGarda Flynnについて調べてみてください。<br />
貴方のみが私の使命の本当の意味を理解することとなるでしょう。<br />
貴方は私の目撃者となります。<br />
私は依然祝祷の中にあります。<br /><br />
祝福あれ
</div>
<br /><br />
ジャックはゴールウェイのスペイン橋の上、雨に濡れながら考えている。ああ、神よ、考えるのをやめられないものか?<br />
リッジのこと。あの時ジャックは、アメリカへ行くため荷物もまとめ空港行きのタクシーが来るのを待っていた。そのとき電話が鳴った。あの電話を取ったことを今でも後悔しているよ。<br />
あのリッジが怖がっていた。そしてジャックはアメリカ行きを一旦諦めた…。<br /><br />
そしてリッジは右の乳房を切除した。それから2か月、現在彼女は自宅療養中だ。<br />
アームチェアーに座り込み、泣き言みたいな音楽を聴き、そして彼女は飲んでいる…。<br />
ジャックの飲酒をずっと非難し続けてきたリッジがだ。<br />
続いて彼女は煙草に火を点ける。もう一つの長年の彼女からジャックへの非難の的…。<br />
「コカインもやってるのか?それで俺の悪習コンプリートだ」思わず嫌味を言ってしまうジャック。<br />
そしてリッジ。「あんたに捕まるのも時間の問題ね、ジャック。あたしが言ってるのは、あんたのせいで何人が墓場行きになったの?ってこと」<br />
これはさすがにこたえ、顔色が変わるジャック。それを見てさすがに言い過ぎたと思ったリッジ。「ごめんなさい、考えがなさ過ぎた…。そんな意味じゃ…」<br />
「その通りだな。そのまま続けてりゃあ、いずれお前もその仲間入りだぞ」そういい捨てて、彼女の家を出てきてしまった…。<br /><br />
そしてジャックは、自宅に届いた謎の手紙について考える。<br />
一週間前に届いた、それを書いた者が殺す予定のリスト。<br />
最初に頭に浮かんだのは、なぜこいつは俺の住んでいる場所を知っているのか?ということだ。住んでいたアパートを売ってしまったジャックは、現在一時的に借りた部屋に住んでいる。<br />
郵便局に勤める知り合いに電話して、手紙の差し出し主はどうやって自分の住所を知ったのか相談してみる。結局のところ、ジャック・テイラーは地元じゃ誰でも知ってる有名人だからな、ということになってしまう。<br />
その朝、ジャックは手紙の中で言及されている警官が一週間前に殺されていたのを確認する。この差し出し主は、それを使って彼を病んだ遊びに引き込もうとしているだけの可能性はある。<br />
だが、彼の直感は、そうではないと告げていた。<br /><br />
翌日、ジャックは警察に通報するために、所持するただ一着のスーツを着込み、現在住んでいるアパートを出る。<br />
6世帯のが住む建物だが、その中で知り合いとなったのはひとりだけ、30代後半の陽気なオカマ自称Albert「またはハニーと呼んでいいのよ♡」。<br />
なんで俺はこういうやつらを見つける、あるいは見つけられちまうのか…。まるで頭の上に「狂気を信条とするみんな、集まれ!」とネオンサインを掲げてるみたいに。ジャックはそう思う。<br />
彼が部屋から出たちょうどその時、Albertもドアから出てくる。ふざけた挨拶の後、金曜日に、彼言うところの「ソワレ=夜会」をやるので来てね♡沢山お酒とクスリを持って、とジャックを誘う。<br />
彼のインチキアメリカンっぽいアクセントが気になり、どこの出身だと尋ねると、コーク(アイルランドのダブリンに次ぐ大都市)と答える。アイルランドも変わったもんだ…。<br /><br />
ジャックは警察に行き、現在は相当険悪な仲になっているが、かつては相棒だった現在は警視になっているクランシーとの面会を求める。が、当然すぐには会ってくれず待たされる。<br />
それを予想していたジャックは、持参した本、トーマス・マートンの『The secular journal of Thomas Merton』を読み始める。<br />
えーと、トーマス・マートン一応調べたけどまあいいか。こーゆーところでインテリジェンス誇示ポイント発見!で承認欲求丸出しで得々と説明し始める法月みたいな俗物にはなりたくないもんね。調べりゃ簡単にわかりますから。<br />
結構のめり込んで読んでいるうちに3時間が過ぎる。その間警察は忙しく動き、酔っ払いが引き摺られて来る途中、ジャックを発見し、「あんた知ってるぞ!あんた酔っ払いだ!」と叫んだりする。<br />
そしてやっとのことで呼ばれて、クランシーの執務室へ。アメリカへ行くっていうんで、やっとお前を追っ払えたと思ってたのにな、ぐらいに迎えられる。<br /><br />
そしてジャックは手紙について説明し、現物を見せる。<br />
だが、クランシーは一笑に付す。「これお前が自分で書いたんだろ、テイラー」<br />
「我々は、ここで真剣な仕事に取り組んどる、こんな与太話ではなくな。助言してやるぞ、テイラー。とっととアメリカでもどこでも行っちまえ。この街にはお前のためのものなんて何もない。俺の街にはな!」<br /><br />
そして、評判の悪い裁判官が一人、殺される。<br /><br />
ジャックはゴールウェイのショッピングモールEyre Square Centreで、スチュアートと会う。<br />
スチュアートは、未訳の第3作『The Magdalen Martyrs』でドラッグディーラーとして登場し、その後逮捕され未訳の第4作『The Dramatist』で刑務所の中からジャックに仕事を依頼して来る。そして未訳の前作第6作『Cross』で出所し、禅に目覚め
何かとジャックを助けてくれる頼もしいやつ。もう未訳ばっかりだよ…。<br />
30代前半のスチュアートだが、刑務所での6年は彼をもう少し年上に見せる。裕福そうな身なりをしているが、現在の収入源は不明。<br />
「ニュースがある。これがあんたに安心をもたらすのか、それともより深い絶望をもたらすのか判断が付きかね、話すと決めるまでに長く深い瞑想をした」<br />
それは彼の元顧客の女性から聞いた話だった。リハビリセンターで彼女はある女性と同室となる。その女性は、自分は自分の子供を窓から突き落とし、その罪を他人に擦り付けた、と告白した。<br />
トラックにはねられたぐらいの衝撃を受けながら、ジャックは問う。「キャシーなのか?」<br />
スチュアートは頷く。<br /><br />
えーと、ここまでジャック・テイラーの人生を追ってきた人なら当然知っている、彼のその後の人生を変えたぐらいの衝撃的な出来事なのだが、もしかしたら日本で翻訳された後のシリーズについて知るのは初めてという人もいるかもしれないので、
ここで今一度詳しく書いておく。<br />
第4作『The Dramatist』の最後で、事件もひと段落し、友人ジェフの店の2階で彼とキャシーとの間のダウン症の娘セリーナを見ていたジャックは、ふと目を離したすきに彼女を2階の窓から転落させ死なせてしまう。<br />
この出来事によりジャックは心神喪失となり、しばらくは精神科病棟に収容され、続く第5作『Priest』の冒頭でやっと正気を取り戻す。<br />
それ以前からしばらくの期間ライトに酒を断っていたジャックだったが、その後はパブに行き酒を一杯注文するが、一切手を付けないままその前に座り続けるということを、儀式のように繰り返すようになる。<br />
『Priest』では、コーディーという青年がジャックの押しかけ助手として付きまとい、そのうちにジャックも彼を息子のように思い始めるのだが、物語の最後に不意に謎の銃弾に襲われ亡くなる。<br />
未解決のこの事件に関しても、それ以前の言動から、ジャックはキャシーが犯人なのではないかと疑っている。<br /><br />
と、そのくらいのことだったわけだが、実はジャックはその時数分うたた寝をしており、その隙を見計らって実際に手を下したのは、母親であるキャシーだったという事実がここでジャックに告げられる。<br />
あまりにショックを受けたジャックの様子に、スチュアートはジャケットから小さな封筒を取り出して渡す。中には黒い錠剤。<br />
「1錠服み給え。2日以上空ければ害はない」<br />
そして、探偵の仕事に戻ったんだろう?何かあれば助けてやれるぞ、と言って来る。<br />
ジャックは手紙をスチュアートに見せてみる。早速、昨日裁判官が殺されたな、と察して来る。<br />
何かわかるか調べてみる、と言うスチュアートに、料金は欲しいかと聞くジャック。もちろん、と答えるスチュアート。<br />
だがジャックが交渉を始めるより早く、スチュアートは言う。「あんたには私と一緒に禅を学んでもらう」<br /><br />
現在の自宅に帰ったジャック。その時BMWが映画かパルプ小説の様にブレーキ音を鳴らしながら滑り込んでくる。<br />
中から現れたのは、ミッキー・スピレインがブルーザー(Bruiser=乱暴者)と表現するような大男。明らかにボクサー崩れだ。<br />
そしてジャックの前に来て言う。「テイラー、お前に会いたがってる人がいる」<br />
「誰がだ?」<br />
「悪いことは言わん、車に乗れ」と大男。<br />
ジャックは男の股間を蹴り上げ、崩れ折れた男の襟首をつかみ面をはたいて言う。<br />
「お前のボスにアポイントメントを取って礼儀正しい奴を寄こせ、と言っとけ」<br /><br />
自室に入ろうとすると、そこに隣人のゲイAlbertが待っていた。何やら脅えた落ち着かない様子。<br />
どうした?と訊くジャックに、これ見たことある?と一枚のリーフレットを差し出す。そこにはこう書かれていた。<br />
<p style="padding:15px; overflow:hidden; box-sizing:border-box; line-height:2em;">オカマ野郎どもは病原菌だ<br />
まだ可能なうちに出て行け<br />
これは警告ではない<br />
実行される約束だ。</p>
末尾にはO.F.R.Lの文字。Organization For Right Living、「正しい生き方のための団体」の略だとAlbertは言う。<br />
連中はクラブの外で待ち構えていて、彼らを殴り、持っている焼き鏝でこの文字の焼き印を押しているのだ、と訴えるAlbert。<br />
家に籠るか、警察に相談しろ、と突き放すジャック。<br />
「警察なんて、このカソリックのアイルランドじゃ団体の一部よ」と吐き捨てるAlbert。<br />
じゃあ奴らが来たら、俺を大声で呼べ、と言い捨てて部屋に入るジャック。あんたどっちの味方なのよ、と叫ぶAlbertの声をラジオのボリュームを上げて締め出す。<br /><br />
そして、考え事をしているうちにアームチェアーで眠ってしまっていたらしい。ジャックは電話の音で目覚める。<br />
電話を取るジャック。「ミスター・テイラー?」<br />
聞こえてきたのは、いわゆる「ウェスト・ブリット」(イギリス好きなアイルランド人を指す蔑称)という感じの声。<br />
話の内容からすると、先ほど送り込んできたボクサー崩れのボスらしい。半ば面白がるような、うわべだけは丁寧な口調で、先刻の非礼を詫びてくる。<br />
ジャックはまず、どうやって自分の住所と電話番号を知ったかを問い詰める。相手の答えは、住所に関しては「あなたはこの街で見つけるのがそれほど難しい相手ではない」で、電話に関しては「あなたの友人に20ユーロ払った」だった…。<br />
そして彼は言う「自己紹介させていただこう」(ジャックはのちにこの「Allow me to introduce myself.」がストーンズのシンパシー・フォー・ザ・デビルのオープニングラインにそっくりだったことに気付く。例の「悪魔を憐れむ歌」というデタラメ誤訳邦題が
もう日本では独り歩きしてるぐらいの曲)。<br />
「私はアンソニー・ブラドフォード-ヘンプル。あなたもこの名前に聞き覚えがあると思うが?」<br /><br />
悔しいがジャックでもその名前は知っていた。アングロ-アイリッシュ(アイルランド生まれのイギリス人)の大地主。<br />
だがジャックはあえて言う。「自分にゃあんまりピンとくる名前じゃないねえ」<br />
侮辱を呑み込む呼吸音に続いてヘンプルは言う。「ミスター・テイラー、あなたが辛口だというのは聞いていたが、まあそれはどうでもいい。私はあなたに仕事を依頼したいと思っている」<br />
その内容は以下のようなものだった。ヘンプルは唯一の娘であるジェニファーの16歳の誕生日にポニーを贈った。だがその馬は何者かに盗まれ、続いて手紙が来る。そこには5万ドル払わなければ、次はジェニファーだ、と書かれていた。<br />
「警察は動いているが、何の成果も出せていない。あなたは公式ルートが失敗するときに結果を出せる人物だと聞いている。助けてくれないか、ミスター・テイラー。報酬は弾む。数年前妻を亡くして以来、ジェニファーが私のすべてなのだ」<br />
そこでジャックは、この事件をリッジの復帰に役立てられないかと思いつく。何より彼女は馬が好きだ。<br />
「住所を教えてくれ。同僚がそちらへ向かう。彼女から詳細を聞いた後、俺が捜査に当たる」<br /><br />
そしてジャックはまずリッジに会いに出かけるのだが、その途上やな感じの酔っ払いに出会ったり、宿敵マラキ神父にであったりする。ケツを蹴り飛ばしたくなる怒りに襲われるが、そこで最近スチュアートから受けた禅指導的なものを
思い出したりする。<br />
そこでスチュアートがジャックに見せる、七本のKabuki Knivesは、結構物語の流れに関わってきたりもする。七本のナイフはそれぞれ人間の七つの罪を示しているというような説明がされる。調べてみたところ「歌舞伎ナイフ」という包丁メーカーが実際に
千葉県松戸市にあるのだが、とくに宗教に関係のあるものではなく、ここで出てくる「Kabuki Knives」はブルーウンの創作したフィクションと思われる。実在の人物・団体とは一切関係ありません。<br />
その他にスチュアートが禅を学ぶ中で会得した、東洋風体術のそれなりの腕前であることも描かれる。<br /><br />
リッジの家に着いてみると、彼女は荒れた生活から立ち直り、読書をしていた。<br />
彼女の様子を見て喜んだジャックだったが、どうやって立ち直ったかと尋ね、あんたという見本があったからだ、あんたのようにはなりたくなかった、という答えにややムカッとする。<br />
怒りを抑えて、リッジに依頼の件を話すと、彼女は興味を持ち今日にも相手に会いに行くと話す。<br />
こんなにうまく行くと思っていなかったジャックは、俺のために働くのが嫌じゃないのか?と尋ねる。<br />
リッジからの答えは、あんたのために働くんじゃない、あんたを助けてやるだけだ。<br />
こいつは金持ちだから報酬も高いと思う、と言うジャック。<br />
「あたしはカネのためにやるんじゃない。そしてあんたのためにやるんじゃないことも確かだ」<br /><br />
こうして、このシリーズではお馴染みの他人任せ捜査態勢に入るジャック。<br />
リストの予告通り、三人目として修道女が殺され、クランシーに電話するジャックだったが、全く取り合う様子もない。<br />
そして外に出ると、Albertが大けがをして帰って来る。例の団体のリンチに遭ったのだ。後悔し、謝罪するジャックだったが、もはや届くものではない。<br />
一方で数年来のセリーナの死に対する罪悪感から解放され、もう一方では現在の自身を取り巻く様々なプレッシャーに圧迫され、ジャックは再び酒に手を伸ばすようになる。<br />
そしてその結果、ジャックは約2週間記憶が飛ぶこととなる…。<br /><br />
その間も事件は動き、リッジはジャックが押し付けた事件に関わることで、その人生に一つの転機を迎える方向に動く。<br />
スチュアートは、犯人の正体を突き止めるが、思わぬ返り討ちに会い怪我を負う。<br />
そしてそれを追って行くうちに、犯人はジャックの過去に関係のある人物であったことも見えてくる。<br />
犯人の最終目的はジャック・テイラー。そして新たな犠牲者と、ジャック本人に犯人の手は迫って来る…。<br /><br /><br />
ジャック・テイラー第7作『Sanctuary』。第6作『Cross』やったのが比較的最近なので比べてみると、自分コミックの紹介をやってるせいで結構あらすじ紹介文章長くなってると思う。その分面白いとことか雰囲気伝えられるようになってるのかも
とも思うが、やっぱりジャックの、というかブルーウンの随所に出てくるアイルランド、ゴールウェイに対する思いというのは省略されちゃうなと思う。<br />
今作では、セリーナの死の真相や、ネタバレになるので書けない件など、少しジャックの重荷を軽くし、ひと段落付けたような印象。<br />
で、ややばらしちゃうと、今作の最後でジャックは前作から引き延ばしになっていたアメリカに、遂に旅立つこととなる。次作はアメリカ編となるのか?それとも第2作みたいに帰ってきたところから始まるのか(邦題『酔いどれふたたび故郷に帰る』とかな)?
その辺は読んでのお楽しみで。まあまた来年ぐらいまでにはどっかでニコニコ読むですよ。<br />
なーんかもう少し感想を、とかちょっと考えたんだけど、色々考えるとどうしてもまた日本のダメダメなミステリ=クイズ状況への罵倒に流れちまうんで、この辺で早めに終わります。感想ってことで言えば、ジャック・テイラー・シリーズは
いつも傑作で、当然この作品についても傑作ですってとこ。<br /><br />
当方やっと第7作まで到達したジャック・テイラー・シリーズなのですが、本国ではちょうど4年ぶりの新作、第17作『Galway Confidential』が出版されたところ。なかなか追いつけないものだが、最低は年一冊は読もうという感じでモタモタ追って行こう。
根気よく待てば多分こっちでもまた登場するシリーズの今後の展開にご期待ください。<br /><br />
<b>●ケン・ブルーウン著作リスト</b><br /><br />
<b>Jack Taylorシリーズ</b>
<ol>
<li>The Guards (2001) 『酔いどれに悪人なし』</li>
<li>The Killing of the Tinkers (2002) 『酔いどれ故郷にかえる』</li>
<li>The Magdalen Martyrs (2003)</li>
<li>The Dramatist (2004)</li>
<li>Priest (2006)</li>
<li>Cross (2007)</li>
<li>Sanctuary (2008)</li>
<li>The Devil (2010)</li>
<li>Headstone (2011)</li>
<li>Purgatory (2013)</li>
<li>Green Hell (2015)</li>
<li>The Emerald Lie (2016)</li>
<li>The Ghosts of Galway (2017)</li>
<li>In the Galway Silence (2018)</li>
<li>Galway Girl (2019)</li>
<li>A Galway Epiphany (2020)</li>
<li>Galway Confidential (2024)</li>
</ol>
<b>Tom Brantシリーズ</b>
<ol>
<li>A White Arrest (1998)</li>
<li>Taming the Alien (1999)</li>
<li>The McDead (2000)</li>
<li>Blitz (2002) ※映画化『ブリッツ』(2011)</li>
<li>Vixen (2003)</li>
<li>Calibre (2006)</li>
<li>Ammunition (2007)</li>
</ol>
<b>Max Fisher and Angela Petrakosシリーズ</b>
<ol>
<li>Bust (2006)</li>
<li>Slide (2007)</li>
<li>The Max (2008)</li>
<li>Pimp (2016)</li>
</ol>
<b>その他</b>
<ul>
<li>Funeral: Tales of Irish Morbidities (1991)</li>
<li>Shades of Grace (1993)</li>
<li>Martyrs (1994)</li>
<li>Sherry and Other Stories (1994)</li>
<li>All the Old Songs and Nothing to Love (1994)</li>
<li>The Time of Serena-May & Upon the Third Cross (1994)</li>
<li>Rilke on Black (1996)</li>
<li>The Hackman Blues (1997)</li>
<li>Her Last Call to Louis MacNeice (1998)</li>
<li>London Boulevard (2001) 『ロンドン・ブルーヴァード』※同名で映画化(2010)</li>
<li>Dispatching Baudelaire (2004)</li>
<li>American Skin (2006) 『アメリカン・スキン』</li>
<li>Once Were Cops (2008)</li>
<li>Killer Year (2008)</li>
<li>Merrick (2014)</li>
<li>Callous (2021)</li>
</ul>
<ul>
<li>A Fifth of Bruen: Early Fiction of Ken Bruen (2006) 初期作品Funeral: Tales of Irish Morbidities (1991), Shades of Grace (1993), Martyrs (1994), Sherry and Other Stories (1994),
All the Old Songs and Nothing to Love (1994), The Time of Serena-May & Upon the Third Cross (1994)の合本</li>
</ul>
<br /><br /><br />
<a href="https://amzn.to/4c32erO" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91yPMgKqT5L._SL1500_.jpg"/></a>
<h3>The Far Empty / J. Todd Scott</h3><br />
これについては以前からちょくちょく名前だけは出していて、やっと読んだのだけど、まあこんな感じでおまけ的に書くというのは、あんまりよくなかったという事情…。結構期待してたんだが、残念。<br />
何回も言ってたという責任もあるので一応書いとかなきゃというところなのだが、あんまりよくなかったんで批判的にとなると、とかく個人的な好き嫌いというのが混同されがち。常々そういうことはよろしくないと思っているので、ここは極力客観的に見た
事実というところで書いて行かなければと思っている。<br /><br />
物語の舞台となっているのはテキサス、メキシコ故国境沿いの小さな町Murfee。主人公Chris Cherryは、優秀なフットボール選手として大学に進むが、怪我により選手生命を絶たれ、故郷へ戻り保安官事務所で職を得た新米の保安官補。だがその町は、
表面上は誰からも信頼されながら、裏では多くの犯罪行為に手を染める保安官Standford Rossによって支配されていた。その事実には全く気付かないまま、保安官補として働いていたChrisだったが、荒野で一体の白骨死体を発見したことがきっかけで、
闇の動きに巻き込まれて行く…。<br /><br />
で、この作品のどう見てもこれはまずいと思う点。それはこの作品の構成というか、根本的な部分での書かれ方にある。<br />
この作品、全4部に分かれており、それぞれその中が多くの章に分かれている構成で、それぞれの章の最初に人物名が記され、その人物の視点で書かれたものになっている。<br />
別に特に珍しい方法ではなく、こういう場合普通はある事件なり出来事なりを、リレー方式というような形で、視点を変えて描写して行くというものになる。<br />
だが、この作品ではそのリレーができていない。それぞれのキャラクターが現在の自分の状況や、過去の体験などを思考するというような形で、実際にはそれぞれがある地点に留まり全く動いていないというパターンも多い。特に序盤から中盤辺りまでは、
そういうつながりの薄い章が積み重ねられて行くばかりで、肝心のメインとなるストーリーが全く進まないような印象がある。<br />
更に話が動き、ある程度リレーが繋がる後半あたりになっても、序盤から続いているその記述方式の縛りにより、キャラクター個人の視点で描かれるため、その人物が見えている範囲に限られ、話の流れ的にはもっと詳しく書かれるべきところが端折られたり
情報が曖昧になり、ストーリーのテンポやスピードを崩してしまったり、というようなことも起こる。<br />
例えば、こういった章ごとにキャラクター・視点が変わるというようなスタイルで、それぞれが別々の情報なりを持っていて、読者がそれらを俯瞰的に見ることで隠されていた全体像が見えるというような書かれ方をした作品もあるだろう。だがこの作品について言えば、
明らかに先のリレー方式になるべきものが、個々の章が言ってみれば後者に向いたようなような形で書かれたというようなものかもしれない。<br />
やっぱり手法だけで具体的なこの部分が、というような書き方をしないと少し分かりにくいかとは思ってしまうのだが、それやると無駄に長くなったり、結局自分の好き嫌い的な部分に入って行ったりというようなことになりそうなんで、とりあえずこんな感じで。
まあ読めば何を言ってるかわかるとは思うんだが、とりあえず自分からはあまりお勧めできません、ということで。<br /><br />
で、なんでこういうことになってしまったのかと考えると、多分これアメリカのTVシリーズ的なものの悪影響なんじゃないのかな、と思ったり。よくあるじゃん、一話の中で別のところに居るそれぞれ別のキャラクターのエピソードに切り替わり
ながら話が続いて行くパターン。うまく行くときもあるけど、場合によっては撮影の都合とか、もしかするとこの役者がトータル何分出てなきゃならないみたいなのが契約に入ってんのかも、みたいな裏の都合が透けて見えたりもする時もあるやつ。<br />
うまく行ってるときのものだけを挙げて、これがアメリカのエンタテインメントのストーリー組み立てのサクセスパターン、ぐらいに言ってる奴もいそうだし。<br />
これがデビュー作となるJ. Todd Scottが、こういう助言を聞いたのか、自分で思いついたのかはわからんが、そこからこれがうまく行くと思い込んで失敗した可能性はかなり高いんじゃないかと思う。<br />
ちなみに作者J. Todd Scotはアメリカの麻薬捜査局に25年間勤めていたという経歴の持ち主。この経歴で期待しちゃうよね。なんか出版社もそれに釣られ、ちょっと甘い詰めで出しちゃったのかもと思ったり。<br /><br />
という感じで自分としてはこれが自分の好き嫌いに基づいたものではなく、客観的な意味で失敗していると断言できる(まあ、あんまりな言い方ではあるけど…)作品なのだが、本国のAmazon.comでの評価は割と高めだったりする。アメリカのTVシリーズ的な
スタイルになじみが多く好きな人が多いのか、それともいくらかサスペンスが盛り上がる後半~終盤とか、それこそラストシーンの印象からの、私が「『ショーシャンクの空に』感動の名作」効果(あの明らかに原作にない台無しレベルのラストシーン本当に嫌い)と呼んでいるやつだったりするのかもしれないが
はっきりとはわからん。<br />
そこでもう一つ考えられるのは、2作目以降がよかったので遡っての評価という可能性。自分もこれ初めて知った時点ですでに2作目出ていたシリーズだったし。<br />
そこで巻末に載ってた2作目のプレビューを少し読んでみると、少なくとも1作目の失敗要素であるキャラクターごとの章分けというスタイルはやっていない様子。そんなわけで、もしかすると2作目以降は面白いのかも、という可能性はまだ残っているのかも?<br />
とりあえずは1作目については残念だったが、これに懲りず2作目以降に少しだけ期待してみたいというのが今の自分の考えです。ホント期待してたから3作目まで買っちゃったしな。セールの時にだけど。まあ読まなければならんもの山積みで当分先にはなるだろけど…。<br />
ただどこまで行っても私個人の感想ですので、日本の読者でもアメリカで高評価付けてる人たちと同じように読める人ももしかしたら多いのかも、とは言っときます。念のため。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/4c6Im7a" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71+EFdH1rlL._SL1500_.jpg"/></a>
<h4>7月のダークライド / ルー・バーニー</h4><br />
ルー・バーニーの新刊無事に出たですな。よかったな。まだ読んでないけど、お知らせしときます。日本でも割と評価良かった前作に微妙に合わせた感じで原題にない「7月の」とか入れてるとこなんかなあ、とちょっと思うけど。<br />
いまいちだった上の『The Far Empty』書きながら、バーニーのもうひとつ前の作品『The Long and Faraway Gone』で、二人の主人公による話が並行して書かれ、それがどこで交差するのかなあという感じで読んで面白かったのを思い出したりした。
ハーパーもちょっと戻ってこっちも出してくれよ。あれハーパー系で版権あるんでしょ?また「○月の」入れてもツッコミ入れないからさあ。<br /><br /><br />
今回は割と毎日コツコツ書いて、それなりにぐらいの間隔で出せたと思います。このペースでできればまたデストロイヤーやるのも夢ではないな。お前夢物語書いたんか?とはいえ昨年末から年始にかけての中断で書かねばならない作品も
やや溜まっておりますので、できればこれ以上ぐらいのペースを目指して頑張って行きたいと思います。んな感じで。ではまた。あ、修正あんまり進んでない…。そっちもやらなくては…。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2014/11/magdalen-martyrs-3.html">Magdalen Martyrs -ジャック・テイラー第3作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2015/07/the-dramatist-4.html">The Dramatist -ジャック・テイラー第4作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/02/priest-5.html">Priest -ジャック・テイラー第5作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/11/ken-bruen-cross-6.html">Ken Bruen / Cross -ジャック・テイラー第6作-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/08/ken-bruen-white-arrest-white-trilogy1.html">Ken Bruen / A White Arrest -White Trilogy第1作!トム・ブラント登場!!-</a>
</span></span>
<br />
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Ken Bruen<br />
●Jack Taylorシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48lWh6Q"><p>The Guards</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S7Hxmy"><p>The Killing of the Tinkers</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48IuaPc"><p>The Magdalen Martyrs</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vslb6t"><p>The Dramatist</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NTir8i"><p>Priest</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48JtYiB"><p>Cross</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3Sdmb7q"><p>Sanctuary</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47qRfEQ"><p>The Devil</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vnR281"><p>Headstone</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48LHMsM"><p>Purgatory</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RPTYCb"><p>Green Hell</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47sDsO0"><p>The Emerald Lie</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S5Iagh"><p>The Ghosts of Galway</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48m50Gn"><p>In the Galway Silence</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48r8irE"><p>Galway Girl</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3SaugcY"><p>A Galway Epiphany</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aKVxtE"><p>Galway Confidential</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Tom Brantシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vA71Qr"><p>The White Trilogy: A White Arrest, Taming the Alien, and The McDead</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3OhE3M3"><p>Blitz</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aHnvGN"><p>Vixen</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vrGuF7"><p>Calibre</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3ROftDk"><p>Ammunition</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Max Fisher and Angela Petrakosシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3SaYNaD"><p>Bust</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NSO95H"><p>Slide</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TSAbob"><p>The Max</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47mb941"><p>Pimp</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●その他</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48mt4sz"><p>A Fifth of Bruen: Early Crime Fiction of Ken Bruen</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/41RjITl"><p>Rilke on Black</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NTFFLJ"><p>Her Last Call to Louis MacNeice</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S9Any4"><p>London Boulevard</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S7MOKS"><p>Dispatching Baudelaire</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aPwHZs"><p>American Skin</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RRnC9R"><p>Once Were Cops</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NPoQBh"><p>Tower</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3vs95Kn"><p>Merrick</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48muG5B"><p>Callous</p></a>
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<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-171024618614717312024-02-20T23:30:00.006+09:002024-02-21T21:32:01.042+09:002024 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表!<style>
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<a href="https://amzn.to/3uDdNVw" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81k6qbZfFQL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
さて、第7回となる本年2024年のスプラッタパンクアワードです。いや、さぼってたわけではないから。例年何周年が終わると、すでに発表されているもんで、今年もアップ直後ぐらいに見てみたらまだだった。ちょっと不安になってもっとよく検索してみたら、
Brian KeeneがXで「ノミネート発表になるのは週末になるよん」と言ってるのを発見。そんなわけで週末まで待って発表を確認してからとなりました。<br />
昨年、長編以外の各部門が5作品となり、色々ジャンル全体的に苦しそうな時期だったので、それゆえのスケールダウンかと言ってたのですが、今年は長編も5作品。なんかそういう事情ではなく、もっとちゃんと絞って行こうという話なのかも。
今年は、発表はKeeneのホームページではなく、キラーコンのホームページ内に設けられたアワード専用ページでの発表になってたりと、色々変わってきているのかもしれません。まあ、このまま萎んで行って欲しくないというこちらの願望は大きいんだろうけど、
キラーコンの重要なイベントとして押し出したいという印象はあるし、今年に関してはあまりマイナス要素や傾向も見えないのだけどね。<br />
とりあえずはここからまた頑張って欲しい、第7回を迎えた2024年のスプラッタパンクアワード、以下が各部門のノミネート作品です。<br /><br />
<b>2024 Splatterpunk Award ノミネート作品</b><br /><br /><br />
【長編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>The Night Mother by John Everson (Dark Arts Books)</li>
<li>Maeve Fly by C. J. Leede (Tor Nightfire)</li>
<li>Pedo Island Bloodbath by Duncan Ralston (Shadow Work Publishing)</li>
<li>Dead End House by Bryan Smith (Grindhouse Press)</li>
<li>Along the River of Flesh by Kristopher Triana (Bad Dream Books)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【中編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>The Bighead’s Junk by Edward Lee (Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Smokey Elvis and Danzick Battle Swamp Ass by Lance Loot (Independently Published)</li>
<li>Snow Angels by Lucas Mangum (D&T Publishing)</li>
<li>Sirens and Seaweed by Candace Nola (Uncomfortably Dark Horror)</li>
<li>Bowery by Matthew Vaughn (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【短編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>“My Octopus Master” by Stephen Kozeniewski (from Dead and Bloated, Evil Cookie Publishing)</li>
<li>“Unfound Footage” by Patrick Lacey (from Splatterpunk’s Basement of Horror, Splatterpunk Zine)</li>
<li>“Hide/Invert: A Saga In Ten Reels” by David J. Schow (from The Drive-In: Multiplex, Pandi Press) </li>
<li>“The Night People” by Bryan Smith (from The Gauntlet, Grindhouse Press)</li>
<li>“Blood Harmony” by Chet Williamson (from The Drive-In: Multiplex, Pandi Press)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【短編集部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Something Very Wrong by Jonathan Butcher (Independently Published)</li>
<li>Transcendental Mutilation by Ryan Harding (Death’s Head Press)</li>
<li>Woe To Those Who Dwell On Earth by John Lynch (High Explosive Horror)</li>
<li>Gush: Tales of Vaginal Horror by Gina Ranalli (Madness Heart Press)</li>
<li>Beautiful Darkness by Jay Wilburn (Madness Heart Press)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【アンソロジー部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Splatterpunk’s Basement of Horror edited by Jack Bantry (Splatterpunk Zine)</li>
<li>Blood and Blasphemy edited by Gerri R. Gray (Hellbound Books) </li>
<li>We're Here: An Anthology of LGBTQ+ Horror edited by Angelique Jordonna and James G. Carlson (Gloom House Publishing)</li>
<li>Dark Disasters edited by Candace Nola (Uncomfortably Dark)</li>
<li>Dead and Bloated edited by K Trap Jones (Evil Cookie Publishing)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Ray Garton</li>
<li>Craig Spector</li>
</span></span></ul>
<br /><br />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
以上、2024年スプラッタパンクアワード各部門賞ノミネート作品。だったわけだが、うむ、なるほど。まだ詳しく調べたわけではないので、曖昧な全体的な感触ぐらいなんだが、なんとなくこのジャンル少し成長したとか、そういう印象。<br />
うーん、どうもあまりうまく言えてない気もするんだが、例えば成熟だの安定だのが正しいなどと言うのは、所詮幼稚園児向けのお弁当箱ぐらいのキャパで自分が完成したと満足し、あとは後続を傲慢に踏みつけにするばかりのような俗物の戯言で、
そういった方向での「成長」みたいなことを言っているわけではないのだが。<br />
スプラッタパンクアワードを、まあとりあえずでもその最初から見てきた者としての印象では、とにかくこれを俺たちが盛り上げるぞ!すげー怖いのをを書いてやるぞ!って感じの俺出版社や自費出版で猪突猛進で進んできたのだが、ちょっとここに来て
ジャンルというものが形になり、地に足を付けた感じで創作活動をやって行こうという作家や出版社が増えてきたように思われる。<br />
もしかすると、業界全体的に苦しく自費出版など多かった昨年と比較した印象なのかもしれないし、もっと詳しく調べて行けば実態それほど変わってないのかもしれないが。ざっと見た曖昧なところからは、わー怖そー、どんなんだか読んでみたい、というものから
もう少し腰を落ち着けて読んでみたいというような作品が増えてる印象。<br />
バカや勢いみたいなエネルギーは絶対に否定すべきものではないが、そういう成長も必要なものだろうとは思う。<br /><br />
まず長編部門ではBryan Smith、Kristopher Trianaというようなお馴染みの常連メンバーも頼もしく並んでいるのだが、個人的に注目はC. J. Leedeの『Maeve Fly』か。えーと下にある目玉のカバーのやつ。なんか結構表紙買いの部分あるかもしれんけど。
ちょっと調べてみたら、この人女性だった。とりあえずノミネートされたオリジナルのTor Nightfire版にリンクしてあるけど、英国Titan Books版の方が安い。まあ英国版が別にあるという時点で期待値・注目度の高い作品ということだろうけど。John Eversonはブラムストーカー賞候補にもなった作家で、『The Night Mother』は
NightWhereシリーズの第3作。Duncan Ralstonはこれまでにもどっかの部門で登場してるんじゃないかと思うんだが、いかにもこのジャンル王道(?)傾向の作家。<br />
中編部門には今年も大御所エドワード・リーがノミネート。『The Bighead’s Junk』は過去作『The Bighead』と関連する作品。『White Trash Gothic』から自作の誰も絶対住みたくないリーユニバースのの統合にかかっている大御所だが、これもその方向の
作品とみられる。エドワード・リーに関しては、この誰も住みたくないリーユニバースを含め、日本布教への任を任されていると勝手に思い込んでいる私だが、いまいち洗脳が緩く全く進んでなくて申し訳ない。この度の修正でもリー作品多すぎてアマゾンリンクの
修正後回しにしてるし…。ここは『White Trash Gothic』の序盤で精神科女医に大興奮してたリー先生にあやかり、爆乳ナース効果で押し進めるべし!と思う今日この頃。その他中編部門では、アンソロジー『Dark Disasters』の編集もやった、女性作家
Candace Nolaの『Sirens and Seaweed』あたりも注目か。<br />
<a href="https://pandipress.com/products/the-drive-in-multiplex" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://pandipress.com/cdn/shop/files/DRIVEINMULTIPLEX.jpg?v=1693253064"/></a>
短編、短篇集部門はどうも把握しにくくて申し訳ないんだが、アンソロジーでも名前をよく見るあたりが上がってきている印象。その中で短篇集『Something Very Wrong』のJonathan Butcherは知らなかったかも。短編部門ではアンソロジー『The Drive-In: Multiplex』
から2作がノミネートされているが、これ実はジョー・R・ランズデールの全3作からなる『The Drive-In』シリーズ(日本では第1作『モンスター・ドライヴイン』のみ翻訳)に連なるアンソロジー。あのS・A・コスビーなんかも参加してる豪華アンソロジー
なんだがこちらではノミネートに入ってはいない。まあスプラッタパンク作品ばかりではなさそうだしな。出版しているのは娘のカントリーシンガーとしても有名なケーシー・ランズデールの経営している<a href="https://pandipress.com/">Pandi Press</a>。お父さんの初期作品などを復刻している。
『The Drive-In: Multiplex』かなり気になるんだが、今のところアマゾンKindleなどなく、販売はPandi Press直のみ。もう少し様子見かな。<br />
アンソロジー部門については、まず一番怖そうなカバーという理由でトップ画像にも使った『Splatterpunk’s Basement of Horro』。こちらはジャンルのクラシック作品などを集めたものということで、J.F.Gonzalezの作品なども収録。割と新しめの作家の名も
あるので旧作ばかりではないのかもしれんが。『Blood and Blasphemy』は冒涜ホラーアンソロジーという趣旨のもので、画像小さくてわからんと思うが、十字架にかけられているのはダッチワイフ。『We're Here: An Anthology of LGBTQ+ Horror』。うーむ、
LGBTQか。いや、LGBTQって基本的に真面目に訴える人達が使う用語じゃなかったのか?なんでもありのスプラッタパンク、エクストリームホラージャンルで、あえてLGBTQを訴えるというのがいかなることになってるのか興味あるかも。『Dark Disasters』は、
前述の通り女性作家Candace Nolaの編集によるアンソロジー。女性作家限定ではないが、近年よく名前を見かけるその辺が名を連ねてる感じ。『Dead and Bloated』は、水辺、水死体ホラーアンソロジー。かなり偏った感じに見えるが、それなりにいい作家
揃えてる印象。<br /><br />
以上、2024年スプラッタパンクアワード各部門賞ノミネートでした。もしかしたら、後から見ればここらがターニングポイントになったということになるのかもしれない、なかなかに興味深いラインナップ。あれもこれも読んでみたいと思うけど、まあそうは
いかんものだろうな。なんか適当な斜め読みを「速読」などとカッコつけるようなバカ手段以外に早く沢山読める方法ないかねえ。まあ新書みたいなもんならそれで足りるのかもしれんけど。<br />
最近の修正で発見したスプラッタウェスタン作品一つぐらい入ってないかと思ったけど、なかったのは残念。そちらとあとエドワード・リー先生については何とか個人的には頑張れればと思う。いや、今度こそちゃんとやるぞい。<br />
スプラッタパンクアワード各部門受賞作発表は、本年8月9-11日、テキサス州オースティンで開催されるキラーコンにて。発表の際にはまたこちらでもなるべく早期にお伝えする予定であります。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/03/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/09/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/03/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/08/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/02/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/08/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/02/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/08/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/03/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/08/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2023/02/2023.html">2023 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2023/08/2023.html">2023 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a>
</span></span>
<div style="margin-top:50px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■2024 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品<br />
●長編部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3OMzF7Z"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81XnAOb5qyL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3OMzF7Z"><p>The Night Mother (NightWhere Book 3)</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4bIOVww"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81KXPEJhDML._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4bIOVww"><p>Maeve Fly</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3wjePqi"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81xWXKQAhYL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3wjePqi"><p>Pedo Island Bloodbath</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4bDWnsD"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81pscNiqP+L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4bDWnsD"><p>Dead End House</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48kfULN"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81jPyqq5PkL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48kfULN"><p>Along the River of Flesh (Gone to See the River Man Series Book 2)</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●中編部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3UEPq4x"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81UCnnX6pZL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3UEPq4x"><p>The Bighead’s Junk</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3T3rqa7"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81weJ09j1sL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3T3rqa7"><p>Smokey Elvis and Danzick Battle Swamp Ass</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SMJeoz"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/719CRnkbzpL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SMJeoz"><p>Snow Angels</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3uE7ZLy"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91wVAIFBXyL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3uE7ZLy"><p>Sirens and Seaweed: Splatter At Sea Presents</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/49jCAgm"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71azb3w7RXL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/49jCAgm"><p>bowery</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●短編集部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3UK6Jkv"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81JDVpN7crL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3UK6Jkv"><p>Something Very Wrong: A Collection of Lurid Body Horror</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3utL0mt"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816Hh3gWhyL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3utL0mt"><p>Transcendental Mutilation</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/49Fo1n4"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81IDQER+xPL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/49Fo1n4"><p>Woe To Those Who Dwell On Earth</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/49yXk4d"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71n6Ndi6kML._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/49yXk4d"><p>Gush: Tales of Vaginal Horror</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SMOJDJ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81Xd+9gLb+L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SMOJDJ"><p>Beautiful Darkness</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●アンソロジー部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3uDdNVw"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81k6qbZfFQL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3uDdNVw"><p>Splatterpunk's Basement of Horror</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3UItTI4"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91jO8nMxr+L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3UItTI4"><p>Blood and Blasphemy</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SMNXGy"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/61xE6ifgpfL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SMNXGy"><p>We're Here: An Anthology of LGBTQ+ Horror</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3I1Ujgi"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81CTXIMI4XL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3I1Ujgi"><p>Dark Disasters: A Dark Dozen Anthology</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3uEdFVS"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/815AnlZ+x7L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3uEdFVS"><p>Dead & Bloated: Extreme Horror Anthology</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-32942943467956118912024-02-14T00:00:00.001+09:002024-02-14T00:00:00.270+09:00こんなブログが10周年かよ…。<a href="https://amzn.to/3SUFnqE" style="display: block; padding-right: 15px; text-align: center; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/41gq4OpRW3L._AC_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
いやまあホントに。こんなものが10年続くとは、当の本人も思わなかったよ。そういや、なんか始めた頃に他の人のブログで10周年と言ってるのを見つけて、まあ世の中まめで根気のある人いるんだな、と思い、もし自分があんまり変わんない状態で
10年もこれ続けてたらちょっとやだな、と思ったの思い出した。10年経ってなんか色々変化した部分はあるけど、自分のこういうところ10年続いてたらやだな、と思った部分はそのままだったよ…。そんな10周年です。<br /><br />
まあなんにしても10周年です。こんなに続いたのもひとえに、まあ時々でもこいつまだ生きててまたなんかわめき散らしてるかな、と見に来て下さってた皆さんのお陰です。いや、もちろん8割社交辞令ですが。2割ぐらい思ってたんだと知って驚いてる人もいるかと
思いますが、そのくらいは本気です。その他に思いつく要因としては、他になーんもやることない準引きこもりみたいなもんだったからだな、ということですかな。人付き合いもろくにないし。彼女もいねーし。まあ昨年からは仕事もしてなくて完全引きこもりっぽくなって
いますが、さすがに10年経つとそれなりに年も取って足腰心配になってきて2日に一度ぐらいは買い物に出ています。主にいなげや。<br />
まあさすがにこんなもんに10年付き合ってくれてる人がいるとは思えないけど、なんかもし5年以上とかいう人いるとしたら、なんかホントにごめん。4年でもごめん。3年でもごめん。2年以下ならさすがに謝んなくてもいいかな?まあ人間って3年とか
付き合ってるとその間色々あってそいつの馬鹿さ加減の底ぐらいまで見えて来るよね。まあ大抵はもっと早いだろうけど。私もボーントゥビー迷走ぐらいに、迷走しかしてないボンクラ迷走体質やしな。なんか色々申し訳ないしか言いようがないよ。<br /><br />
まあなんだかんだ言っても10周年です。10周年と言えば節目の年。これを機にこれまでの10年を振り返ってみました。…いや、強引に振り返らせられました…。アマゾンアフィリエイトの仕様変更で画像とリンク全部なくなって…。<br />
そんなわけで、今までもうリンクとか画像とかなくなってるかもしれんな、と思いつつ知らんぷりしていたずーーーっと下の方まで、どの辺からやったらいいかなどとも考えながら、見て行ったわけですね。
で、これを始めるぐらいのとき、どんな感じだったか、みたいなことも思い出してみたわけですな。<br /><br />
まあそこから少し遡るぐらいになると、自身の読書生活というような部分で、海外のハードボイルド小説の翻訳がどんどん減少の一途をたどっている状況に、大抵起こるようなこうなったらもうちょっと読書の範囲をミステリ全般ぐらいに広げてみるかな、
まあそもそももっと広い謎解き的なところから入ってきて未読のもんも色々あるしな、ぐらいの感じになり読み始め、んまー悪いんだけどそこで決定的になったのがジェフリー・ディーヴァーだったな。今一番面白いぐらいでランキングのトップ、
または上位の常連ぐらいのもんで、その頃は幾らかでもそういうものも信用してた部分もあったし、という感じで読んでみたわけ。いや、まあそれなりに面白いよ。でもこれが今一番?となると、今海外でもあんまり面白いもん出てないのかもしれんな、
ハードボイルドもないしな、ぐらいの感じになって、それまで自身の読書傾向で最上位だったミステリジャンルが、次点以降だったSFや海外文学の下に下がったわけだ。ほら、翻訳ミステリ1ポイント右肩下がったね。<br /><br />
そんな頃、自分はコミックからだったんだけど、電子書籍というものに出会えた。色々と海外のコミックを掘り進んでいるうちに見つけて最初ぐらいにかなりハマったのが、第1回(自己紹介は自分的には第0回)にやった『Zombo』。これのストーリーを
担当しているAl Ewingという人が小説も書いてるというので調べてみて、そこで海外の電子書籍の小説というのがこのくらいの値段でこんなに簡単に読めるのだ、と知ったわけだ。ちなみにそれが第2回の『I, Zombie (Tomes of the Dead)』。<br />
そこから元々のハードボイルド馬鹿っぷりが蘇生し、まずは翻訳終っちまったシリーズの続きとか読めるかも、って感じで探し始め、一時期はホントアメリカのAmazon.comのハードボイルドジャンルカテゴリを毎日かなり長時間ぐらいに眺めていた。
ちなみに最初は日本のアマゾンの洋書ハードボイルドジャンルとかも見てみたけど、『初秋』が一位になってたりして二度と見るかと思った。<br />
で、最初はわーあれの続きがある~、いつか読むぞ、みたいな感じで見ていて、ちなみに最初に、というか『I, Zombie』で洋書電子書籍に気付いた日ぐらいに見つけて買ったのが、デストロイヤーの第1巻で、読んだのそっちが先だったぐらいだけど。
そんなことをしているうちに、続きはともかく新しくハードボイルド書こうって作家はいないのか?何とかそういうの見つけられないもんか、という考えが強くなり、その辺見てる視点も変わって来る。そんな経緯で
かの『Thuglit』やら、Snubnose Press、Blasted Heathといったところを見つけてくることになる。なんだよ、ハードボイルドやる気満々なやついっぱいいるじゃないかよ、なんでこれを誰も伝えないんだよ。<br />
まあコミックについては読んでる人も多かったし、そういうサイトをやってる人も今より多かったと思うけど、どうしたってアメリカ、ビッグ2がメインで、英国のコミックなんて読んでる人いるのかわかんないぐらいの状況で、だって当時日本の
ジャッジ・ドレッドの映画のwikiに、原作イギリスのSF小説って書かれてたぐらいだぜ、今さすがにそこは直ってるけど。そんな状況でイギリスのコミックなんて伝える人がいるとは思えない、こんな面白いのに!ましてその作者が書いた小説が
日本に伝わる可能性なんてほぼないに等しい。<br />
そしてハードボイルドの方だって、日本じゃあんまり出ないマイナージャンルの上、インディーのパブリッシャー。こんなもん日本で日の目を見る可能性なんて絶対ない。でも右肩下げてる1ポイントの中には、私の様にこういうものを読みたがってる人も
必ずいるはずだろう。<br />
誰かが伝えんと。んー…、じゃオレやるか?なーんかそういうのに向いてる奴とは思えんけど…。でも他にたぶんいないだろしな。まあやってみてうまく行かなかったらやめるか。<br />
みたいな感じで始まったわけですね。うーん、考えてみると決してうまく行ってるとは思えないし、でもまあやめようと思うほどのことにはなってないし、自分以外誰もやらないだろうな、ぐらいの状況ってあんまり変わんないわけで、そういう思い込みの
責任感みたいなもので10年続いたんだろね。<br />
いやホント10周年でこんなこと言ってる奴に絶対向いてないだろ。<br /><br />
10年もたつと、まあそれなりに世の中も変わるもんで、いや世間的なメジャーの世の中の変化とか常にスルーだけど、考えてみると10年前とかその近辺ってそこらの野良レビューみたいなもんがホントひどかった時期なんじゃないかと思う。当時の欠点
あげつらって批判してりゃ通に見えるなんて風潮、今じゃマンガのレビューあたりでお子様がやってるぐらいだろ。今時の人から見ると、こいつなんでこんなに吠えてんだろ、ぐらいなのかもと時々思ったりする。まあわしらそーゆーのが最底辺レベルの
時代を生きてきたもんでね。<br />
実は最初の頃、コミック関連をどの程度やるかは悩んでたぐらいなんだけど、その頃ってなんか前世代のアメコミファンの悪影響なのか、「馬鹿っぽく語るのが俺たちのアメリカンスタイル!」みたいな勘違いがあって、たまたま日本のアマゾンとかに
レビュー見つかってもかなりひどいのが多くて、こんなんじゃいかんだろ、もう少しまともな意見を出して行かんと、みたいな考えも少しあって頑張った部分もあった。<br />
このブログじゃ一番見てくれる人多くて、これやったから続いたんかもと思うガース・エニスの『The Boys』にしても、DC系列Wildstormで出版拒否にあったヒーロー狩りコミック、ぐらいで投げ捨てられていて、それじゃダメだろ、これはすごく内容も
深くて面白いコミックなんだよ、ってところを何としても伝えねば、みたいな気持ちでやったんだよな。あー、長年画像やリンクなくなってるかもとビクビクしながら知らんぷりしてきましたが、先日ちゃんと修復しましたんで…。10年経つと変わるってことで
いえば、その時は『The Boys』が日本でもこれほど知名度が上がる日が来るとは思わなかったしな。一矢報いてやるー、ぐらいの気持ちだったな。<br />
でも、最近じゃコミック関連でもそこまでひどいと思うようなバカっぽいレビューも見当たらない。長い目で見りゃ、結局バカなんて自然淘汰されるもんなんかな、みたいなことも思ったりするのだが、当事者としてはホントうんざりするんで、昔翻訳出て
ホントに喜んでるハードボイルド作品に投げつけられたクソレビューの定番みたいなのをいまだに引き摺ってて、毒舌吐いたりするのは勘弁してやってよ。<br /><br />
でもさあ、結局一時期だったのかもしれないけど、ミステリ野良レビューみたいな世間にそういうものが蔓延した元、みたいなものを考えれば、それは明らかに今もミステリ評論家なんぞを名乗ってふんぞり返ってる連中だろう。<br />
例えば、よく引き合いに出すホント呆れた「純文学ノリといちゃもんをつける」ってやつ。誰が見たって仮にも「評論家」を名乗ってる奴の言葉とは到底思えない幼稚の極みじゃない。同業だってみんな見るようなこういうところで、平然とこういう
ことが言えるってのは、周りの連中も同レベルで普段からこのレベルで話してるってことだよ。そんな連中がミステリ言論引っ張ってりゃ、そりゃ野良レビューだって最底辺痴呆レベルまで劣化するわなあ、って話。<br />
そんな状況で起こったのが杉江オフザケ解説事件な。全体的に救いようがないが、やっぱ世間的にも一番ひどかったのがマッキンティの作家廃業騒動について。あんなもんちゃんと見りゃ、誰だって出版社、あるいはエージェントっていうあたりとの
ゴタゴタなんだろうなってわかるもんなんだろうが、杉江の下種はマッキンティがウーバーの運転手をしてたみたいのを見て、これウケる~と適当な面白がりで雑に書いた。まあそんなことすりゃ、マッキンティが作家をやめたのは本当なのか、ぐらいの問い合わせ
きっと編集部にも来たんだろ。そもそもちゃんと原稿段階でチェックしろよ。お前仕事してんの?って話なんだが。そこで多分だけど、それが過去の話だって辻褄合わせておいてくれって、翻訳の人に頼んだんだろ。それでその翻訳あとがきってところで、
過去に困窮し云々みたいなのが書かれた。しょーがねえなあと思いつつ、もうそれでいいだろ、ぐらいに思ってたら、なーんか野良レビューで必要もないのにわざわざそれ書いてる人がいるって始末。なんかさあ、一応みんな行儀よく書こうって時代には
なってるようだけど、結局ゴシップ好き面白がり体質残ってて、野良レビュー劣化時代と変わんない上から下へ的な伝言システム残ってんだなってがっかりしたよ。<br />
出版社側としてはセンシティブな問題だし、どうせ版権移行して高くなる前に買ったぐらいの事情もあるんだろうから、杉江がサブカル時代からの半笑いヘラヘラしてれば何でも許される感覚のオフザケで適当に書いてる時点できちんとチェックして止めとかなかった
編集部の責任。その上にごまかし被せ、最後には法月綸太郎みたいなもんを出してきて、大御所だから誰も文句言わないだろう、いや言う権利なし。大先生が言ってるんだからこれが正解と、杉江の筆が走りすぎ与太まで併せて一括辻褄合わさせ、もう続きも
出す気もないから「安定と成熟」なんて先行きあんまり魅力ない方向でフェイドアウトさせておしまい。あ~マッキンティ ショーン・ダフィは無能編集部により「不幸な形で紹介」をされたとしか言いようがないねえ。<br />
マッキンティ ショーン・ダフィ最新作『The Detective Up Late』は版元の可能な限り高く売りたいという意向の元、いまだにハードカバー及びオーディオ版のみで、ペーパーバック版の発売はやっと今年6月。いやー「困窮して作家活動を断念した」
先生なんだからいくら高く売られても勘弁してやれよ。どうせ版権高くて無理だろうが、以上述べた理由により早川書房からは絶対に出て欲しくないね。とりあえずペーパーバック版予約したし、年内には読んでなんか書けると思います。<br /><br />
過去10年というと半ばぐらいからだと思うが、こういう連中もずいぶんぶっ叩いてきて、そのうちにもう叩けなくなっちゃたのとか出てきたりな。でも、基本的にはそういうことやりたくないんだよな。いや、この先生にはこういう功績があるんだから
けしからん、みたいなクソ説教の類いに配慮なんてことじゃなくてさ、ホント時間のクソ無駄じゃん。こっちだってなけなしの時間使って、楽しく読んだいい本について広めたいと頑張って書いてるのにさ。なんかこれからゲームやろうとか、
エロいやつ見ようとか、ワクワクしてるときに部屋にゴキブリ入ってくるようなもんよ。退治しなきゃ平和が保たれないんだから。<br />
そういう意図だから入ってきたもんは叩くが、外をうろうろしてるゴキブリまで叩きに行きません。そんなわけで、もう例の年末ランキングにしてもここ数年は一切買ってなくて、本屋に貼ってあるランキング見て、時間あったら今年の新刊予定コーナーだけ
チラ見するぐらい。そこで去年末の、見た目は子供!中身は老害!って感じのランキング。おめーらホントひでーことするよな。<br />
あんな毎年ホロヴィッツじゃまずいからみたいな空気読み出来レースみたいなランキングでコスビー一位になって喜んでると思った?なんかよお、上にそれ乗せてあるだけでその下相変わらずの紅白クイズ合戦じゃん。古のエロ本購入スタイルかよ。
そんなもんにコスビーみたい優れたまともな本使われんのメーワクなんですけどねえ。やめてくれますう。いっそクソランキングごと。<br /><br />
通常運転時でも同じだろうけど、何周年ごとに全方位的に罵倒をまき散らして、こいつ高血圧でくたばるんじゃないかとお思いの方もいるでしょうが、病院で測る度にナース様よりいつもこのぐらい低いのですか?と訊かれる低血圧体質なんで、別の理由で
死ぬと思います。え?ナースは様に決まってるだろう。貴様は女王様を女王と呼ぶのか!どこのレジスタンスだ!?パンがなければお肉を食べればコレステロール値が更に上昇しますのよ。<br />
今回罵倒コーナーはこのくらいなんでご安心ください。さて10年を振り返る、というより修正のため数年ぐらいを割と詳しめに振り返ったところ、なーんかいっつもオレ読めねえ書けねえとぼやいてるけど、意外に数年前ぐらいのスパンで騒いでたりしたの
とりあえず読めたり書けたりできてるじゃん、と気付きました。いや、我有言実行の者也!とか誇っているわけじゃなくてさ。なんかもっと騒げばもっといろいろ進むのかも!と気付いたわけ。結局は自分で自分を急かすようなことで、心理学的にはあれこれ言われて
自分の性癖とか言い当てられちゃうやつだろ。えっ?なんスか長身爆乳のぴちぴちナース服って?自分を追い詰めるは違うな。それをやると丸々1か月イギリス出身の色々狂ったスキンヘッドが書いた話の説明に没頭、みたいなことするからコイツ。<br />
そんなわけで、爆乳ナース様…じゃなくて、自分を鼓舞するため、できようができまいが当てがあろうがなかろうが関係なく、ここから今後の予定・やりたいことを騒ぎます。<br /><br />
まず中断してるやつ。グレッグ・ルッカの『Queen & Country』の続きをやります!いつまでたっても続きを書かないんで、最後の『The Last Run』いまだに読んでません!<br />
それからデストロイヤー!あのあと3冊読んでるんだけど、書かないんで続きを読めません!<br />
そして新規。<br />
あ、よく考えたら昔から言っててさほど新規じゃないんだけど、Shotgun Honey!最近Down & Out傘下を離れ、独立独歩で勢いを増しているインディーパブリッシャー。なんかここのやつ早く読む!Down & Out、やっぱ最近少しきついようで、作家が思うように
出版活動できないというところで、Shotgun Honeyや、Eric Beetnerとか離れて行ってるんだろうな。<br />
で、そのEric Beetnerが移籍したRough Edges Press!少しよく見てみたらウェスタン作品を多く出版してるWolfpack Publishingの系列なんだな。なんか私立探偵ものやスパイアクション、ミリタリーみたいなジャンルに跨り、自費出版含めかなり作品多いような
現代のパルプ作家みたいなのを集めてきているところで、こういうのを読まなきゃ!と思ってる。<br />
それからこっちも前からずいぶん言ってるんだが、たぶん英国のだと思うNeo Text!Eduardo RissoやBenjamin Marraといったアーティストとのコラボレーションなど、独自路線を進んでいる感じの早く絶対読まねばならんパブリッシャー。<br />
そして個人出版では警察小説509シリーズのColin Conway。どういう人かも作品内容も不明なんだが、自分の作ったその509っていうのを舞台に、Joe Clifford、Tom Pitts、 Paul Garth、Hector Acostaみたいなそこそこ名の知れた作家集めてアンソロジー
作ったとか、やっぱ要チェックだろう。<br />
All Due RespectやClose To The Boneといった米英のインディー・パブリッシャーからいくつかの出版があるPaul Heatley。元CIAエージェントのTom Rollinsシリーズは最初個人出版だったと思うんだが、現在はInkubator Booksというところから出てる。
そのうち読まなきゃと思ってたんだが、結構すごい勢いで出しててもう10巻まで。Inkubator Booksもちょっと特殊なとこみたいなんでよく調べておかねば。<br />
Rough Edges PressやらPaul HeatleyのTom Rollinsとか書いてたら、もっとアクション寄りのやつも読まなきゃと思ってたの思い出し、そこで出てきたのが前から気になってたBrash Booksのちょい旧作再版の『The Oswald Trilogy』!<br />
もしかしたらBrashまた知らないの出てるかも、と気になり見に行ったら、大体新作ぐらいのTony KnightonのThe Nameless Thiefシリーズとか、Keith Brutonの自転車ヒットマンPatrick Callenシリーズみたいな気になるの見つけちまったり!<br />
いかん!!並べ過ぎた!このままでは爆乳ナース様効果が薄れてしまう!とりあえずNeo Textぐらいまでを重点的に騒いでいこう…。<br />
まあ、私こういうクレイジー読みたい本自動探索マシーンなんで、いつでもなんか見つけてきますんで。<br /><br />
この辺で、例のアマゾンアフィリエート仕様変更後、色々まずいことになってるサイトのあちこちの修正について。10周年とか期限中にやらなければというもののため、若干中断していますが、とりあえず必要と思われる記事については全面的に修正して行きます。<br />
まあ不要なものというと、最近のものでは、ここ数年色々書けないものが多くて、年末近くに主に翻訳書中心に色々書いたやつとか。結構めんどくさいし、必要なもんなら後でも書いたからもういいだろということで。あと期間的なセールのお知らせとか。
なんかまだタイムリーな気持ちでやってた頃はそんなのもやったがね。ああ、あと坐骨神経痛とかな。あれももういいだろ。そんなところだと思うけど。<br />
前回も書いたけど、アマゾンで販売が終了しちゃったものでも、おまけ的に書いたんでまあいいか、というもの以外は可能な限りリンクなしの画像だけでも修正して行きます。今までやったところでは、あのハップ&レナード短篇集絶版になっちまってたな。
電子書籍で持ってるもんは画像も何とかなるけど、あれプリント版のみでアマゾンの古書販売のやつもう~ん、って感じで自分で作ったよ。あと、スプラッタパンクアワードとかもプリント版のみとかなくなっちゃったのもちらほら、という感じで特に最初にそれ
知るきっかけになったアンソロジーの『VS:X: US vs UK Extreme Horror』とかなくなっちゃったのは残念。<br />
ただ嬉しい発見もあり、前回も書いたけど、もう終わったかと思っていたスプラッタウェスタンが復活!シリーズ的に並べて販売されていたのが一気になくなり、その後ぽつりぽつりと復活したものもあったけどぐらいのを見たのが最後で、今回の修正で
いくつかそういうのを拾えればというつもりで検索したところ、全作復活の上昨年からは新作も結構出ているのを発見し、大変喜んだ。<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/07/wile-e-young-magpie-coffin.html">Wile E. Young / The Magpie Coffin</a>の記事のところで全部並べといたけど、いずれもう少し詳しくやれるかな?というか
スプラッタウェスタン3作目まで読んでるんだから書けだし、他のも早く読め。<br />
その他にもスプラッタパンク系で、2021年に他のものとは一風変わったデザインのカバーで気になっていたのだけど、受賞作発表以前に無くなってしまっていたRoss Jeffery作品が復活。今度こそこのシリーズ読まねばと思っているところ。<br />
こういう個人の作品は場合によっては自費出版で復活できる時代なのだけど、アンソロジーとかは難しいので、なるべく早めに手に入れておかんとな。<br />
ちょっと現時点で後回しになってるコミック関連の記事も、なるべく早期に修正します。現時点ではこっちは小説関連の記事がメインになり、手前で進めて行くものとの関連で優先させなければならないぐらいの事情で。あとコミック関連の中には、続きを書く
都合などでそっちのサイトに転載すること考えてるのもあるので、いくらか余裕があって考えられるようなときにやろうかと思ってたりなど。コミックの方のサイトでは、現在最初にそれを始めるにあたって書いたページを削除してあります。なんだかその時の
状況や精神状態で、とにかく勢いで立ち上げようぐらいで色々混乱してたり、本来何故別のサイトまで立ち上げてやろうと思ったかがきちんと説明されてなかったり、など諸々で。あと、やっぱサラリーマン的思考みたいのに縛られてるような部分があり、
継続可能なプロジェクト的に示さなければならないというような考えが、自分がこれで食ってくというような形に見えてしまったりなど。もう少しでそっちも1周年なんで、その時に仕切り直すつもりです。<br /><br />
あと、こんなところで書くとちょっと大袈裟になり過ぎて申し訳ないかと思うのだが、一応書いといた方がいいと思うのでここで書くが、これまで下の方に載せてた戸梶圭太先生の作品の宣伝の方は、現時点では一旦中断します。先生は現在小説の方の創作活動は
中断し、アニメ制作に専念されているということなので。別にそれはそれで読まれるべき作品だし、いま書いてなくても読者を増やす助けになればぐらいで載せられるときは載せとこうかぐらいに考えていたのだけど、あれは正月動けないようなときだったか、
Xで先生が犯罪小説を書くのは人の一生の仕事ではない、というようなことを言ってるのを見てしまったりして。なんかさあ、余計な事言うやつ多かったりで面倒になったんだろうね。もう日本のミステリジャンルというようなところでほとんどこちらが
惹かれるようなものがない現在の状況では、先生は本当に貴重な存在であるのだが、本人が別のことをやりたくそれに集中したいのなら仕方ない。なんか自分がこういうことをやってるのが余計なことを誘発する可能性もあるかもしれないならやめといた方が
いいだろということ。今までやったものに関してはこっちの話の流れもあるんで修正して戻しておきましたが、今後は中止ということにしました。戸梶先生のセンスは全面的に好きなので、アニメの方も観たいとは思っているのですが、なんか自分もう
毎日書かねば読まねばみたいになってしまっていて、なかなか何もせずモニター見ているようなことができないなんか動いてないと死ぬ魚みたくなっていたりなので。とりあえずそのうちぼちぼち観て、応援でもできればと思っています。それも余計か。
ともかく今はでも、今後ずっとでも自分の創作活動としてそれをやりたいなら、それで頑張って下さい。あーオレみたいな捻じれ曲がり切った奴が言ってもまともに聞こえんかね?すいません…。<br /><br />
過去10年を振り返って今と変わったことみたいなのを、まあ強制的に振り返らせられたりして考えてみると、10年前ぐらいは自分が推してるような本もいつか翻訳の機会を得て、日本にも広まればいいというような気持があったけど、今はそういう気持ちが
全くなくなっているというようなことかな、と思ったりする。<br />
単純にいいものがあるから知らせたいと思っていたものが、やってるうちに日本で出ているこれはなんでこんな言われ方をするのか、なんでこんなことになってるのか、これが日本で出たならどう評価されるのか、などなど必然的に考えさせられ続けて
いるうちに出てきたのがそういう結論なんだろ。<br />
「ハードボイルド精神解釈」などという思い込み、考え方から、それに合致したものしか見ず、その考えに疑問を持ち他の考え方を模索する者すらいないまま、間違いに間違いを積み重ねてセニョール・ピンクへ行き止まった日本のハードボイルドに今更
先があると思う?<br />
翻訳ミステリなどというものが終わるのも時間の問題だろ。何がそうさせたかと言えば、Jミスにないものを求めていたのが翻訳ミステリ読者だったのに、売り上げを伸ばすために「日本人の好みに合った」Jミスに合わせるような方向でランキングを作り、
海外ミステリを捻じ曲げて来た結果だろう。後は老人向けクイズ作品が細々と続き、残った読者に呼応するようにご臨終となるだろう。<br />
既に翻訳というものに期待できる時代も終わり、海外の作品を読みたければ原書で読む以外方法はなくなってるんじゃない?<br />
結局歴史的に見たって、外国から入って来た全然違う考え方・発想のものが色々なものを進化させてきたのだろうけど、もう今の日本じゃ小手先の「売れる/売れない」に阻まれて、残ってる僅かな部分を食いつぶして行くだけでしょ。<br />
そんな望みのない国で面白いものが読みたいと思ってる人に、今後もいくらかでも面白いものを知らせられ続ければと思います。<br />
って行儀良くまとめようとしてみたけど、ここまで書いたの読み返してみると、結局今でも一矢報いてやるー、でやってんのかもなと思った。そんなもんかもね。それで考えれば、また10年経てば状況好転してる可能性あるのかも?全然信じてないけど。またいくらか経って振り返って見れればいいのかもしれませんね。さすがに20周年とはいかんだろうけど、15周年ぐらいまでは頑張れるかもね。<br /><br />
本当はやっと立て直しというところで、なーんか10周年とか感慨にふけってる場合じゃないんだよな、と思い出したり。まあそこまで一所懸命頑張った10年でもないしな。<br />
結構目の前ぐらいにも、それについて早く書かなければならない本が溜まってきているのですよ。早く次へ進まんと。<br />
まあそんな感じで、有難うございました。つづく。
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<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-75547152934356104422024-02-01T19:00:00.001+09:002024-02-01T19:00:00.161+09:00Joe Clifford / December Boys -ニューハンプシャーのルーザー探偵(?)Jay Porterシリーズ第2作!-<style>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
えーと、なんかあけましておめでとうございます。そんな新年の挨拶があるか…。当方の甚だしい無計画行き当たりばったりの結果、著しく間が空き、気が付けば年を越す事態となっておりました。申し訳ありません。その辺の言い訳については、最後に少々
書きますが、その他にも年の瀬になって救急車で搬送されるというような、えーかわいそーぐらいのこともあったわけですが、まあそれについても後ほどということで。<br />
そんなわけで、今回はJoe Clifford『December Boys』。2015年に出版されたJay Porterシリーズの第2作です。<br /><br />
とにかくまず、第2作からになってしまって申し訳ない。これは私自身の怠慢であります。冒頭からお前謝ってばかりやんけ…。謝罪の嵐。<br />
Jay Porterシリーズ第1作『Lamentation』(2014)については、しばらく前に読み、これはこれで大変注目すべき作品であったのだが、まあ当時個人的事情でなかなか書くことができずそのままになってしまい、しかしこれは2010年代後半のハードボイルド
シーンにおける最重要ぐらいのシリーズであることは明らかであり、このまま遅れ続けるよりは早く第2作を読んで、そこから始めるべきというのが考えで、こうなってしまったという次第。<br />
そもそもそういういい加減な扱いがよろしくないというだけでなく、実はこの第2作、第1作からの続きの部分が大変多い作品であり、さらに言えばここから第5作まで続いて行くシリーズ総てが、継続して行くストーリーになることも予想されるため、
この第2作について書く前に、第1作のストーリーを把握しておくことが必要となって来る。<br />
実際のところは、この第2作、第1作の事件についての言及も多く、ここから読み始めることもできるとは思われるのだけど、先も考えるとここでいったん戻り、第1作について少し詳しく説明してから始めるのがベストと思う。<br />
そんなわけで、まーた前置き部分が長くなってしまうのだけど、シリーズ第1作『Lamentation』の紹介から始めます。結局のところ、そっちの経緯、結末ぐらいまで書かないと2作目へ進めないんで、完全に<span style="color:#ff0000;">ネタバレ</span>と
なってしまうので、ご注意を。まあご注意どころではないのだがな…。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
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<h3>【Lamentation】</h3><br />
ニューハンプシャーの田舎町Ashtonで、地元の不動産屋Tomに雇われ、身寄りもないまま亡くなった人の家の片付けを仕事としているJay Porter。元恋人Jennyとの間に息子Aidenがいるが、現在は別居中で、彼女は別の男と暮らしている。<br />
一日の作業が終わったところで連絡が来る。兄のChrisが逮捕された。<br />
兄弟二人の両親は、20年前に交通事故で亡くなり、以来お互いが唯一の身内。ハイスクール時代には有望なレスリング選手で、年の離れた弟Jayの憧れだったChrisだったが、その後はドラッグに溺れ、両親が亡くなる直前頃には家庭内での諍いも
絶えなかった。ブレーキの故障による両親の事故も、Chrisが仕組んだものではないかと一時は疑われたほどだった。その後もジャンキーである兄は度々問題を起こし、今日のように警察に呼ばれることもJayの人生で日常茶飯事となっていた。<br />
警察署にやって来たJayは、そこで兄が友人と共にPC関連機器の回収処理という事業をやっていたことを、現在は保安官補となっているかつてのクラスメイトRob Turleyの口から初めて聞かされる。兄の拘留理由は、現在行方不明のそのビジネスパートナーの
失踪に関与しているのではないか、という疑いによるものだった。兄は友人の失踪直前に、激しく口論し、脅迫的言辞も発しているところが目撃されていた。<br />
何とか兄Chrisを警察より引き取り、自身のアパートに連れ帰る。そこで兄の仕事について話しを聞くと、PC関連機器の回収業は実際にやっているが、その隠れた目的はそこに残った個人情報の引き出しという悪徳業者。そしてそこからすごい情報を
見つけた、と興奮気味に話すChrisだったが、大して聞く気も起きずに寝てしまい、翌朝にはアパートから彼の姿は消えていた。<br />
兄の問題を抱える一方で、元恋人Jennyからは、現在交際中の男が新しい仕事が見つかり、息子Aidenと共にAshtonを出ると告げられる。親友Charlie Finnの家に行き、愚痴を垂れるJayだったが、そこで見覚えのない番号から携帯に電話が来る。
聞き覚えのない男の声は「コンピューターを間違って廃棄してしまった。取り返す必要がある。金は払う」と言って来るが、なぜ自分の携帯にかかって来たのかすら分からず、困惑するJay。通話の最中に着信があり、一旦保留にして切り替えると、
それは警察からだった。Turleyは行方不明だったChrisのパートナーPete Naginisが、死体で見つかったと告げる。<br />
証拠はないが成り行きから、Chrisは第一容疑者と目される。近くの都市コンコードからも捜査のため刑事が来ている、とTurleyは話す。何故、ジャンキーの殺害事件に都市の刑事が?<br />
JayはCharlieと共に、兄Chrisがパートナーとやっていた回収処理業の所在地を訪ねてみる。そこにはもちろん、Chrisの姿はなく、ジャンキーとバイカーのたまり場となっていた。<br />
途方に暮れるJay。親友Charlieは、彼の友人で保険会社の調査員をやっているFisherを、事件調査のため呼び寄せる。Charlieに呼ばれ、行きつけのパブDublinerで三人で話した後、帰宅するとJayのアパートは何者かに徹底的に荒らされていた。
兄が何かを見つけたと話し、それの取り戻しを図っている何者かの仕業か?困惑するJayを、逃げ遅れポーチに潜んでいた犯人が襲撃し、Jayは意識を失う。<br />
家主の通報でやって来た警察により、Jayは意識を取り戻す。兄の犯罪容疑に関わるPCからの情報抜き取りについては、Turleyに話してはいないし、関係があると思われる前の不審な電話についても伝えてはいない。部屋を荒らした襲撃犯については
心当たりもないというしかない。同行したコンコードからの刑事McGreevyについては不審な印象が感じられる。<br />
翌日、またかかって来たTurleyからの電話で、JayはChrisがGerry Lombardiの家に押し入ったところを目撃されたことを知る。Gerryの留守中、彼の書斎に忍び込み、机を探っているところを、彼の妻が見つけ、Chrisは直ちに逃げ出し、依然行方知れず
ということだ。Lombardiは地元の名家で、Gerry Lombardiは現在の家長。そして、Chrisのハイスクール時代からの続くレスリング部のコーチを勤めている。Chrisの目的は何だったのか?<br />
Chrisの行方を捜すJayは、数年前兄のガールフレンドとして紹介された女性Kittyを思い出し、何らかの手掛かりを得られないか連絡をつける。そして彼女から、Chrisが地元のトラックステーションで、ドラッグ代や生活費を得るため、身体を売っていたことを知る。
Jayは親友Charlieの手を借り、兄を捜しトラックステーションへと向かう。<br />
雪のトラックステーションで、JayとCharlieは二手に分かれ、Chrisの手掛かりを探す。CharlieがChrisを知っているというドラッグ中毒を見つけ、振り回されている間、Jayは隣接するモーテルで暮らす中毒者の娼婦の少女と話すが、双方ともChrisに関する
手がかりは掴めない。その一方で、Lombardi家の息子が経営する建設会社により、トラックステーションが近い将来閉鎖され、何らかの再開発が進行中であること、またその下準備のためか強面の連中がうろついているなどの噂を聞きつける。<br />
その後の状況について聞くためTurleyに電話したJayは、話の中でコンコードから刑事が来ている理由として、州議会議員であるLombardi家の長男、Michael Lombardiの再選が近づいているため、治安の悪化が好ましくないからという理由も聞く。
あちこちから聞こえてくるLombardi家がらみの話は、偶然か?<br />
そして翌日、Charlieを送って行ったところで、保安官であるPat Sumnerが現れ、Chrisが今度はLombardi建設の建築現場に忍び込んだところを、監視カメラに発見されたと伝えてくる。そして続けて、経営者である次男のAdam Lombardiが、Jayに
会いたがっているとも。<br />
Patと共にその建設現場に向かうJay。Adam Lombardiが二人を迎え、監視カメラの映像を見せる。Chrisとは同級生で、同じくレスリング部に所属していたAdamは、当面告訴するつもりはないと伝える。しかし、Jayと二人きりになったところで、Chrisが
持っているものを返して欲しいと持ち掛けてくる。そこでJayは、一連の騒動の中心となっているChrisが手に入れたものが、Lombardiのハードディスクであることを知る。<br />
無能な社員による手違いにより、Chris達のショップに流れてしまったハードディスクだが、重要なデータも多く含まれており、何とか回収したいとJayに訴えるAdam。その時通りがかったトラックから降りてきた男を、Adamはセキュリティ担当として
紹介する。Erik Bowmanと紹介された首に星形の入れ墨のある男は、Chrisのショップにいたバイカー達の中の一人だった。<br />
その後Jayは、地元パブでCharlieとFisherと合流。Fisherの調査により、トラックステーションの再開発は、州議会議員であるLombardi家の長男Michaelの開発会社が関わり、そこからAdamの経営する建設会社へと受注されていることが判明する。
公共事業がそのような形で身内間で受注されるのは違法だ。現在は巧妙に隠されてはいるが、その事実を明確にする証拠が、Chrisが手に入れたハードディスクに隠されていたのか?そしてAdamは何のためにバイク・ギャングをセキュリティに
雇っているのか?<br />
疑問を抱えたまま、Jayは息子Aidenの顔を見るためにJennyのアパートへ。Aidenを寝かしつけた後、Jennyと二人きりになり、衝動的に愛し合い、関係を取り戻せないかと説得しているところで、同居している男Brodyが帰宅して来る。JayとJemmyの
様子を察し、一触即発となったところでドアにノック。Jennyが玄関を開けると、そこにいたのはChrisだった。<br />
あっけにとられる一同。Jayに「お前と話さなきゃならなかったんだが、お前のアパートは見張られてて近づけなかった。ドアの外で聞き耳を立てていたんだ」と話すChris。Jennyに向かい、こんな屑とは別れてJayと一緒になれよ、と話す。怒り掴みかかる
Brody。体格的にも劣り、ドラッグでやせ細ったChrisだったが、かつてのレスリングの腕は残っており、Brodyを簡単にいなし腕を折る。<br />
Jennyに救急車を呼ぶように告げ、Chrisをアパートから連れ出すJay。車に乗せ、安全な場所としてLamentation山中へと向かう。車を停め、これまでの経緯について問い質す。Jayは友人たちの力を借り、調べた自分の考えを話す。あのハードディスクに入って
いたのはLombardi兄弟の公共事業不正受注の証拠なんだろう?<br />
だがChrisの答えは違っていた。自身のバックパックからケースに収められたCDを出し、Jayに話す。これは例のハードディスクからコピーしたものだ。これの中にはまだ幼い少年たちがレイプされている画像が入っている。やっているのはGerry Lombardiだ。
だがこれだけではそれを証明できない。もっと確実な証拠を手に入れるためにLombardiの地所に侵入したが、見つからなかった。とにかくこれを見てくれ。<br />
にわかには信じがたい話に戸惑いながら、兄Chrisと押し問答するJay。とにかくここから離れようと、車を動かそうとしたとき、サイレンを鳴らしながら警察車の一群が道を上って来る。<br />
ここに警察を手引きしたのはJayだった。Jennyのアパートを出る際、Chrisに悟られないよう彼女に耳打ちしたのだ。Chrisもそれを察し、諦め顔でバックパックを残したまま、車から降り、おとなしく警察に捕縛される。そこに新たに一台の車が現れる。
降りてきたのはAdam LombardiとセキュリティのErik Bowmanだった。<br />
AdamはChrisのことをずいぶん心配していてな、と保安官Patは警察からの連絡で彼がここに現れた理由を話す。Adamは建築現場でJayに話したのと同様の、取り繕った表向きの事情を話し、Chrisがハードディスクかコピーを所持している可能性があるとして、
保安官からChrisのバックパックを調べる許可を得る。Bowmanはバックパックを探り、CDの入ったケースを見つける。保安官の了承を得て、それはAdamによって持ち去られる。<br />
町に戻ったJayは、パブDublinerでCharlieを見つけ、コンピュータが必要だと言い、隠しておいたCDを見せる。実は事前にすり替えておき、Adamが持って行ったものは車内にあった音楽の入ったCDだった。彼らはCharlieの自宅へ行き、Fisherの到着を待ち、
CDに入っていたファイルを開く。中に入っていたのは大量の幼い少年がレイプされているあまりにも陰惨な写真。だが、Chrisが話していたように、行為者の顔は加工され隠されており、Gerry Lombardiをよく知るJayにはそうらしいと分かるが、人物を
公に特定できる証拠とはならない…。<br />
現在の状況を話し合う三人。とりあえずChrisは警察にいればAdam Lombardiからは安全だろう。だが、話の中でコンコードからの刑事McGreevyの名前が出た時、Fisherの顔色が変わる。「それは死んだ男だ」Fisherの勤める保険会社の顧客で、つい数週前に亡くなり、
調査の対象となっていたのが、そのMcGreevy刑事だった。死んだ刑事のバッジを持った偽物?<br />
慌てて警察署へ電話を掛けるJay。だがその時既に、McGreevy刑事を名乗る者により、Chrisはコンコードへの搬送のため車に乗せられ出発したところだった。<br />
電話を放り出したまま走り、自身のピックアップトラックを発車させるJay。町から出るルートを様々に思考する。その時、相手がまずChrisを誰にも見られず始末する可能性を思いつき、山へ向かうルートを選択する。<br />
しかし、いくら走っても車の影も見当たらない。もう別のルートで手の届かないところまで行ってしまったのではないか?絶望しかけた時、曲がりくねった山道の前方にテールライト!そして後部座席で手錠に繋がれたChrsの姿を見つける。<br />
追い越し、前方に回り込み車の停止を試みる。衝突!偽刑事の運転する車は、Chrisを乗せたまま道を外れ、道路沿いの斜面を転落して行く。<br />
斜面を降り、慎重に事故車に近付くJay。運転席の偽刑事は首を折り既に死亡していた。後部座席のChrisからは、うめき声が聞こえる。Jayは男の死体を探り、手錠の鍵と彼が持っていた銃を取り、Chrisを救い出す。<br />
Jayが一時的な避難先として思いついたのは、仕事として請け負っていた持ち主が死亡した家。怪我と寒冷で低体温となったChrisのため、急いでで暖炉を燃やす。<br />
やっと落ち着いたChrisだったが、全ての試みが潰え、無気力捨て鉢になるばかり。そしてChrisがJayに向かって言う。<br />
「あれは俺がやった」一瞬、兄が何を言っているのか分からず戸惑うJay。パートナーだったPete Naginisのことか?そんなはずは…?<br />
「俺がブレーキに細工した。どこを通るかもわかっていたんだ」そしてJayは、兄が話しているのは両親の交通事故のことだと気付く。<br />
「嘘だ。なんでそんなことを…?」<br />
「お袋だってずっと知っていたんだ。俺は親父が俺にやったことをお前にやらせないために…」<br />
「嘘だ!」Chrisに殴りかかるJay。ChrisはJayの拳から身を守ることすらしない。<br />
「Lombardiだったんだろう?奴がやったんだろう?だからあんたは奴を嫌ってたんだ。これはみんなそのためだったんだろう?」<br />
「親父がそんなことするはずがない!嘘だって言ってくれ!そんなことはなかったと言ってくれ!」<br />
「俺はずいぶん沢山ホラ話を並べてきたよ」Chrisは言う。「もうどれが本当だか分からなくなっちまった」<br />
その時、室内は窓からの強い光に照らされ、ラウドスピーカーからの声が響く。「手を頭の上に置き出てこい」<br />
いつの間にか、家は到着した警察隊に包囲されていた。<br />
窓から外の様子を窺うJay。そして突然の衝撃が襲い、彼は床に倒れる。<br />
彼の横を走り抜け、ドアへと向かうChris。そして銃声が響き渡り、Jayは意識を失う。<br />
Jayが脳震盪から目覚めたのは、全てが終わった後の病院のベッドの上だった。彼はそこで、兄Chrisが彼を殴り意識を失わせた後、拳銃を振り回しながらドアから飛び出し、取り囲んだ警官隊からの複数の銃弾により死亡したことを知る。事実上の自殺だった。<br />
偽警官を追った一連の行動でのJayの行為は、罪に問われることはなかった。Chrisに腕を折られた後、Brodyは戻ることはなく、JayはJennyとよりを戻し、Fisherの紹介により保険会社の調査員の職を得て、息子Aidenと家族三人でAshtonの町を出ることが語られ、
物語は終わる。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
ずいぶん長くなってしまったが、全部書けば長くなるのは当たり前か。もっと短くまとめられたのではとも思うが、続きを書く上でこの出来事は重要、とかこの人間関係を詳しく書いておかなければ、などで長くなってしまった。でも結局は私自身のこの作品への
思い入れかなどとも思ったり。何とか少しでも短くコンパクトに、と思うばかり行間も詰めたままで、結構読みにくくなってしまったなら申し訳ない。<br />
この作品についても言うべきことは多々あるのだが、とにかくは今回メインの第2作『December Boys』に進むです。<br /><br /><br />
<a href="https://amzn.to/42aLiLu" style="display: block; padding-right: 15px; text-align: center; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71TjVop+bWL._SL1500_.jpg"/></a>
<h3>【December Boys】</h3><br />
Jayは初春の冷たい雨の中、車の中から目の前の工事が中断された建設現場を見つめていた。看板には"Lombardi Consutruction"の文字。<br />
だが、彼は何かの目的をもってここにやって来たわけではない。現在就いている保険会社の調査の仕事で、ある家を訪問するはずが、道に迷い続けここにたどり着いてしまっただけの話だ。<br />
最悪だった昨年の冬を思い出させるような、最も来たくない場所。<br /><br />
Jayは車を回し道を戻り、目的地への探索に戻る。目的のOlisky家が見つかったのは、それからさらに一時間後。<br />
修理の途中で放り出した様子もうかがわれるあまり経済的に恵まれていなそうな家で、彼を迎えたのは一人の少年。保険契約者Donna Oliskyの16歳の息子、Brian Oliskyだ。<br />
道に迷い時間も遅くなっているため、Jayは仕事で不在の母親に代わり、事故当時車に同乗していたBrianで確認程度の手続きを済ませようと考える。<br />
渋っていたBrianだが、同意しJayを家に迎え入れる。<br />
事故状況は、学校を早退し検診に向かう息子Brianを、Donnaが車で送る途中、電柱に衝突したというもの。<br />
記入状況を確認するぐらいのやり取りの間、Brianのやたら落ち着かない様子が気になったが、Olisky家の窮乏状況も目に入り過ぎていたJayは、多少のことには目を瞑ろうと思いつつ手続きを終える。<br /><br />
帰ろうと立ち上がった時、マントルピースの上に飾られた写真やトロフィーが目に映る。写真のBrianと見える少年はレスリングの選手のようだ。<br />
かつては優秀なレスリング選手だった兄、Chrisのことが頭をよぎる。<br />
「君はレスリグをやるのかい?」<br />
「いえ、それは兄のCraigです」<br />
「よく似てる。双子みたいだね」<br />
「双子でした。でした、と言うのは…」<br />
「双子だったのかい?」JayはBrianの言いかけた意味をよく考えずに応える。<br />
「彼は死にました」<br />
Craigの写真を手にしたJayの手が止まる。「すまない…」<br /><br />
「鎮痛剤とアルコールで」感情を交えずに言うBrian。<br />
「父はその後家を出て行った。父さんにとって息子はCraigだけだったんだ。そして僕と母さんだけが残った」<br />
「母さんは外れくじを引かされたんだろうって時々思うよ」<br />
「スーパースターとじゃ比べ物にならないよな」<br /><br />
自分と兄との関係にも重なるところもあり、声も出ないJay。その時、Brianがぽつりと言う。<br />
「僕がやったんだ」<br />
「何だって?」<br />
「事故だよ。僕が運転してた。母さんは仕事だったんだ」<br /><br />
保険契約者は母親であり、Brianが運転して事故を起こしたのならもちろん保険金は支払われない。そしてこの件自体が不正請求に当たる。だが、彼らの生活状況から見て、保険金もなければ車の修理費すら重圧となるだろう…。<br />
半ば思考停止のまま、帰宅するJay。<br />
第1作の事件の後、よりを戻したJayとJennyは結婚し、勤める保険会社の支社に近いPlastervilleに家を借り、息子Aidenと三人で暮らしている。<br />
だが、現在彼らの関係はあまりうまく行っていない。<br />
携帯を忘れたまま出掛け、連絡が取れなかったことに文句を言うJennyに始まり、言い争いはエスカレートして行く。<br />
Jay自身の現在の仕事への様々な不満。彼が前年冬の兄の事件にこだわり続け、Lombardi一族を憎み続けていること。その件で通い始めた精神分析医のセラピーにもっと行くべきだ。煙草をやめるべきだ、等々…。<br /><br />
定職に就き健康保険に加入できたため、Jayは精神分析医のセラピーを受けるようになり、パニック障害の診断を受けている。<br />
だが、セラピーでも兄の事件の真相-兄が最後に語ったこと、Gerry Lombardiの少年への性的虐待については話してはいない。そして当のGerry LombardiもChrisの死後、心臓発作により亡くなっている。<br /><br />
Jennyとの言い争いの末、家を飛び出したJayは、現在の住所Plastervilleから西へ50マイルほどの、古巣Ashtonへ向かう。お馴染み行きつけのパブDublinerに親友Charlieを見つける。<br />
近況やJennyとの諍いなどに愚痴を垂れ、したたかに酔い、帰路現在は保安官となったRob Turleyに車を停められたりしながら、Charlieの家へ行き、その晩は彼の家のソファで眠る。<br /><br />
翌朝、自宅へ戻った時、家にはJennyの姿はなかった。土曜でもあり買い物に出かけているのだろうと思い、また一方で気にかかっているBrian Oliskyの件なども週明けまでは保留としようと考える。<br />
その時、テーブルの上にJennyからの書置きを見つける。JennyはAidenを連れ家を出て、彼女の母親の許へ行っていた。<br />
裕福な家庭の出身であるJennyの母親は、以前からJayのことをよく思ってはおらず、結婚にも反対していた。<br /><br />
電話でJennyとAidenと話し、感情的にならずいくらか落ち着いて話せたことで、自分を安心させるJay。<br />
コーヒーを手にガレージへ向かう。その片隅のキャビネットに、新聞からの切り抜きなど、兄Chrisの事件に関係する書類を集めたバインダーが収められている。<br />
眠れぬ夜などに、ここにこもってそれらを見つめることも多い。だが、いつまでもそこから離れられないことが、自身の精神状態からも多く起因する現在のJennyとの不和などを招いているのではないか?<br />
Jayはそれらを処分し、忘れることを考える。<br /><br />
月曜の朝、保険会社に出社すると、Jayは同僚からのちょっとした祝福、好意賛同を持って迎えられる。仕事で大きな成果を果たしたかのような印象。<br />
考えられることとしては、Olisky家の不正請求の発見だが、Jayはまだその報告すらしていない…?<br />
その後、上司Andy DeSouzaに呼ばれたJayは、金曜の午後Jayが戻らなかったことから彼自身がOlisky家に電話をし、既にJayに告白したBrianから事故の真相、その件が不正請求であることを聞いていたことを知る。<br />
不正請求の発見は、Jayによる大きな成果であり、これはこの支社のあるPlastervilleより大都市、コンコードへの昇進転勤へとつながるとほめたたえるDeSouza。<br />
窮乏からの出来心であり、根本的には悪い人間ではないOliskyへの罪悪感は払えないが、コンコードへの昇進は現在家を出ているjennyとの不和解消のための大きな材料となると、自分を納得させるJay。<br />
だが、自身のデスクにJayが戻った時、彼に向けて外線からの電話がかかる。<br /><br />
涙声で電話をしてきたのは、Brianの母親であり、不正請求の当事者であるDonna Oliskyだった。<br />
困惑し周囲の様子を窺いながら電話を受けるJayに、Donnaは泣きながら言う。<br />
「今朝、私の息子が逮捕されたんです」<br /><br />
オフィス内で話すことを躊躇い、いったん外に出て自身の携帯から掛け直すことにするJay。何があったかわからない。ああいった不正請求ぐらいのことで、警察が直ちにティーンエイジャーの少年を逮捕するとは思えない。<br />
だがDonnaの話では、今朝朝食中に警察がやってきて、その件でBrianを逮捕したとのこと。更にその後、警察に問い合わせたところ、午前中に裁判所で罪状認否が行われるということだ。<br />
そんなはずはないだろう。警察の手続きがそんなの早く進むはずはない。Donnaの勘違いではないかと思い、電話を切った後、自身で警察に問い合わせてみる。だが、警察の受付の話ではそれで間違いがないようだ。裁判所にも掛けてみるが、
こちらは自動音声案内でらちが明かない。Jayは、報告書を仕上げる前に調べたいことがあるという口実で、自身で裁判所に向かう。<br /><br />
Jayが裁判所に到着したのはランチタイムに近い時間。Brianに関する件がどこで進行中なのか把握することもできない。<br />
途方に暮れてあたりを見まわし、片隅の受付ブースに気付く。座っているのは鼻や口にピアスをつけた、あまり裁判所らしくない若い女性。おそらく法律学校関係のインターンだろう。<br />
Jayは彼女にBrianの件を話し、何かわからないか尋ねる。事情を訊き、そんなに早く手続きが進むはずがないが、と言いつつ手元の資料を調べていた彼女は、そこにBrianの名前を発見する。<br />
Jayに興味を持った様子で、勤務が終わった後で一杯おごってくれるなら少し調べてあげる、という女性。<br />
彼女のお遊び気分に付き合うべきではないと思いつつ、電話番号を交換する。彼女の名はNicki。<br /><br />
これ以上裁判所をうろついていても有益な情報を得られそうにない。その一方で、ここからJennyの母親の住むコンドミニアムはそれほど遠くない。昇進、大都市への転勤の可能性はjennyとの関係改善に有効な話だ。<br />
Jayは昼食に食べたもののせいで体調を崩したと連絡し、午後の仕事を休み、Jnnyの母親の許へ向かう。<br />
到着するとJennyとAidenは留守で、彼女の母親が迎える。うわべだけは親しげにJayにjennyはコンドミニアムに住む自分の友人と昼食に出かけ、もうすぐ帰ってくると告げる。<br />
少しの後、Aidenを連れて戻って来たjennyは、投資銀行に勤めるという男と一緒だった。<br />
男の態度が気に食わず、俺の家族に近付くなと詰め寄るJay。感情的になり、しまったと思ったときは既に遅く、それによりjennyとの関係改善は遠のいてしまう。<br /><br />
当てもなく裁判所へ戻る道すがら、全て母親が仕組んでいたことで、Jayの最悪なタイミングでの登場にほくそ笑んでいるだろうと気付き、落ち込むJay。<br />
携帯が鳴り、またDonnaからかと思いつつ表示を見ると、それは昼に裁判所で出会った女性Nickiからだった。Jennyとの失敗で気乗りしないまま、指定された裁判所近くのバーに向かうJay。<br />
そこでNickiはJayに、Brian OliskyはRoberts判事により、矯正施設に送られることになったと伝える。<br />
そんな馬鹿な話があるか?どう見たってBrianは危険な不良少年タイプじゃない。そもそもそういった施設への入所には両親の承諾が必要であり、今日のDonnaの様子ではそんなに簡単にサインするとは思えない。<br />
そんなことが通るはずはない、何かの間違いだと一笑に付し、何事か言いたげなNickiを残しバーを出るJay。<br /><br />
そのまま帰路に就いたJayは、突然背後に現れたパトカーに停車を命ぜられる。<br />
特に心当たりもなく、車検証を探すJayを、二人の制服警官は引きずり出し、いきなりの暴行を加える。そしてJayの身元を確認し、逮捕もなくそのまま立ち去る。<br />
途中に警官の一人の口から発せられたNickiの名?彼女の交際相手からの逆恨みか?<br /><br />
全く理解できないまま、その夜もAshtonへ行き、Charlieと飲んで、翌朝出社する。<br />
直ちに上司DeSouzaに呼ばれる。その口からNickiの名が出て、昨日の会合について詰問される。<br />
彼女は、彼女には権限のない裁判所の書類を不正に閲覧したことで解雇の上追及されており、その件により警察から照会があったとのこと。<br />
司法に関わる問題を起こしたことで、Jayは自宅待機を命じられる。<br /><br />
釈然としないまま帰宅したJay。玄関のブザーの音にJennyが戻ったかとドアを開けると、そこにいたのはNickiだった。<br />
家に入ったNickiは、自分は裁判所内で起こっている不審な事態を調べているところを見つかり、解雇されたという。その事態とはBrianの件をも含むことだと。<br />
Brian同様、微罪にも当たらない程度のティーンエイジャーが、同じRoberts判事により次々と同じ施設へと送られている。何らかの不正が行われているのは確かだ。<br />
だけど私一人ではこれ以上どうもならない。調査に協力してほしい。あんたは善人でしょう?あたしにはわかる。<br />
だが俺は今は自分の生活を立て直すだけで精一杯だ。協力などできない。<br />
そうしてキッチンテーブルの前で押し問答しているところに、Jennyが帰宅し、Jayは更に厄介な立場へと追い込まれて行く…。<br /><br /><br />
兄を救えなかった後悔と、自分と重なるところの多い少年を救いたいという思い、その一方でJennyとAidenとの生活を守るため職を維持する必要との間で板挟みになりながら、次第に事件に巻き込まれて行くJay。<br />
野次馬的に調査に加わって来るCharlie、Fisherの協力をも得て、徐々に明らかになって来る青少年矯正施設をめぐる疑惑。精神的に追い詰められ、パニック障害に苛まれるJayに、脅迫的に迫る影。<br />
そして調査を進めるJayの前に、仇敵Lombardiの名が再び浮かび上がってくる…。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
第2作の序盤では、会話やら回想の形で第1作の事件への言及が多く、まあもしかしたらそちらを読んでいなくてもそれほど苦労なくストーリーに入り込めるのかもしれない、と改めて思ったりしたのだが、やっぱ第1作を読んでいる奴の言うことなので、
どうとも言えない。結局のところ、ちゃんと第1作についてやっとかなかったのが悪いというところに至ってしまうのだが…。<br />
いずれにせよ、次作ではリセットされ新たな事件へという旧タイプのシリーズものではなく、前作のストーリーを大きく引継ぎ、続き物というような形になり、主人公=探偵が事件の当事者ぐらいの立場で深くかかわって行く現代のハードボイルド・シリーズの
傾向に属するもので、もはや「第何作が最高傑作」みたいな三流評論家知ったかぶりかっこつけは全く通用しない時代なんで。<br /><br />
第1作では定職のない田舎町のルーザーとして、緩い感じの仲間と事件に関わった主人公Jay Porterだったが、第2作では保険会社の調査員として、事件に巻き込まれて行くことになる。が、ルーザー、社会にあまりうまく適応できない気質はそれほど変わらず、
ちょくちょく地元Ashtonへ帰り、親友Charlieに近況の愚痴を垂れながら飲んでいるうちに、Fisherを加えた中年探偵団が動き出す展開。<br />
ややネタバレになるが、まあこの辺まで読んで大抵の人は想像つくだろうが、保険会社の調査員という職も続かない。あ、この展開なら当然そうだろぐらいで言っちゃったが、実は立場上厳しい対応が多かったが上司は人情家で陰で主人公のため
奔走し、最後にはそれもわかってこの会社で頑張りますが、日本のサラリーマンストーリーのパターンか?<br /><br />
そういうわけで、第1作のラストで調査の仕事に就くというところが言及され、てっきりここから探偵Jay Porterシリーズが始まるかと思ったのだが、どうもこのシリーズそうならない様子。<br />
第1作『Lamentation』でシリーズが開始されたのが2014年で、この時期は電子書籍の勃興期で、増大したアメリカの読者方面からの需要により、多くのシリーズ作品が出版されていた印象がある。Joe Cliffordもその流れに乗る感じでこのシリーズを始めたが、
そもそもそういう形のシリーズを書く意図はなく、ちょっと引っ掛け的にやったのか、こちらがそう思い込んだだけの話か?あるいはそういう方向を一旦は考えたが、うまく行かず路線変更したという場合もあるのかも。まあこの辺本人しかわかんないとこだろうけど。<br />
いずれにしてもこのシリーズは、主人公Jay Porterが依頼などの形で関わる様々な事件を解決して行くという方向ではなく、パーソナルに自己を巻き込んで行く状況と闘うというものになって行くようだ。もちろんそれならその方向で、読み続けJoy Porterと
いう人物を追い続けて行かなければならない大変魅力的なシリーズなのだがね。まあこの国でもちょっと前ぐらいは、例えばこの第1作『Lamentation』を読んで「公共事業をめぐる陰謀だと思って読んでいたら、個人的なトラウマというような方向にスケールダウンして
がっかりした」みたいなこと言いだしかねない、スケール小さいクレーマーみたいな頭の悪いお利口が大手を振って闊歩してて、今でもそのレベル多く潜伏しとるんやろけどね。<br /><br />
現在はやや電子書籍の勢いも落ち着いたか、出版状況も変わりシリーズ物よりも単発物が求められている感じ。これ読者のニーズ的方向で分析的に話す奴いるけど、結局出版社側の事情でしょ。シリーズで長期的にやってくより、単発一本釣りでリスク軽減したいみたいな。そういう事情か、そっち方向で作家活動をしたいのかは不明だが、Joe CliffordはJay Porter5作の後は、単発作品が続いている。<br />
まあ何度も言うとるが、こういう業界観測分析的なことは大嫌いな私なんで、話の流れとは言え、なんか余計なこと書いて時間使っちまったか。<br /><br />
兄がドラッグ中毒という設定は、Ray BanksのCal Inns四部作とも共通するものだが、近年の英米方面では割と聞く話なのではないかと思う。と言ってすぐに出てくるのは、コミックの方でなかなか書けてないんだがバイオグラフィー的作風の、アメリカの
Julia Wertzの作品でも兄がドラッグ中毒で施設を出たり入ったりしているということが度々語られているとかだけど。例えば親戚や友人ぐらいまで広げれば、大抵の人が家族にドラッグの問題を抱えている人を知っているぐらいのことになってるのかもしれない。<br />
これは欧米はドラッグの問題が深刻、みたいな言い方で他人事で片付けられるものではないのかもしれない。例えば同じぐらいの割合で、自分の知人範囲内に引きこもりであったり、あるいは鬱病の家族がいて悩んでいる家庭があるのが日本の現状なのではないか。<br />
少年時代の性的虐待が引き金になり破滅して行くChrisは、実はこういう人達とそれほどかけ離れているものではないのではないか。<br />
なんか社会問題について真剣に語るガラでもないとか思ってしまうのだが、「社会的弱者」という分類も雑で傲慢かと思うが、そういう人達がそういった縁にいてその向こうになだれ落ち始めているのかも。「ツレがヤク中になりまして」なんてのがベストセラーに
なる日も遠くないのかもね。<br />
ハードボイルド/クライムジャンルは、こういった様々な形で、単に「病んだアメリカ」に留まらない現代社会の歪を描き出して行く小説ジャンルである。アメリカの話で、日本は「警察呼べ」で万事解決と思ってる人にゃカンケーないかね。<br /><br />
第2作である今作『December Boys』は、書いたとこまでだとややネタバレかもしれないが、過剰に少年犯罪に脅える社会状況に付けこみ、そこから利権を得ようと企む動きにJayが巻き込まれて行く。だが、実際にそこで追い込まれて行くのは微罪で社会に害を
及ぼすとも思えないBrianのような少年少女達。<br />
一方で理想的で美化された子供論に基づき安直に表現を弾圧し、その一方で過剰に若者世代の行動に怯えるこの国でもありえない事態ではないのかもしれない。あー念のため言っとくと、日本以外のハードボイルドには「若造いびり」なんて悪習ないからね。<br />
そして主人公Jay Porterはそもそもそれに対する社会的義憤といったものに立ち上がるような力も余裕もないまま、よりパーソナルな形で巻き込まれて行く。<br />
ハードボイルドの歴史すらきちんと整理すらされていない状況で、ハメット、チャンドラーと強引に比較するような論評には全く意味がない。日本国内的思い込みイメージの「ハードボイルド」からのアンチぐらいの出鱈目な解釈が横行している、1970年代ネオハードボイルドなんて
ものと安直に結びつけることも害悪でしかない。<br />
本当に数少なく翻訳されているジャンルの良作、S・A・コスビー作品やジョーダン・ハーパー、ジョニー・ショーの『負け犬たち』、ビル・ビバリーの『東の果て、夜へ』といったところを読めば、Joe Clifford/Jay Porterがどんなアメリカに向かい合っているかが
見えて来るだろう。<br />
Joe Clifford/Jay Porterシリーズはそれらの作品と同様に、すでに一世紀近くに及び培われてきたスタイル・視点を継承しつつ、現代アメリカをそこで暮らす者として描いた、現代ハードボイルドの最も注目すべき作品なのだよ。<br /><br />
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Joe_Clifford" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/10/Joe-clifford-press.jpg/220px-Joe-clifford-press.jpg"/></a>
作者Joe Cliffordは、生年などについては不明なのだが、1970年代半ばぐらいの生まれと思われる。コネチカット州出身。1992年に大学を辞め、音楽で身を立てるためサンフランシスコへ行くが、そこでの生活でヘロイン中毒となり、荒んだ生活を送ることとなる。
そこから約10年を経て立ち直り、フロリダ国際大学で創作を学び、作家の道を志す。ウェブジンの編集者などという形でも、現在のこのジャンルに長く関わって来た人でもある。<br />
デビュー作は2013年の『Junkie Love』。自身のドラッグ中毒とそこからの復帰の経験に基づいた作品ということ。このJay Porterシリーズも、その経験と深くかかわるシリーズである。<br />
何度も書いてるが、かつてウェブジン「Out Of Gutter」の編集に携わっていたころには、自身の紹介に「オレもずいぶん捕まったりしたが、ムショまでは行ってないよ」と書かれていた、いかにもな全身の入れ墨パーセンテージの高いオッサンだが、
どこか優し気な容貌などは、Jay Porterってこんな感じのやつなんだろうな、といつも思わせる。<br />
以前初期の作品『Wake the Undertaker』について書いた時、作者の経歴などからもっと文学方向の重いものをイメージしていたら、意外とハメット『ガラスの鍵』的な設定を現代でやったようなエンタテインメント性も高い作品だったりもしたのだが、
このシリーズでもテーマの重さにもかかわらず、主人公Jay Porterの一人称語りには親友Charlieとのやり取りも含め、ユーモアも多く、またJennyとの関係では、それこそスラップスティック的なぐらいにまずい状況を作れるような、多彩なテクニックも
持ち合わせた実力派の作家である。<br /><br />
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第2作のタイトル『December Boys』は、Two Cow Garageのアルバム『Sweet Saint Me』に収録されている「Jackson, Don't You Worry」という曲の歌詞から。曲の最初の部分である「Decenber Boys」を含む数行が、作品の冒頭に引用されている。<br />
自身を取り巻く世界が崩壊し、絶望しかけている青年、あるいは少年に、大丈夫だ、立ち直れ、君は勇敢な祖先たちの末裔だろう、と歌いかける。日本でお馴染み応援ソングみたいな感じではなく、アルバム内でもこの曲だけ違う感じの、切々とした
曲調で歌われ心にしみる感じの楽曲。<br />
Two Cow Garageはアメリカのオルタナティブカントリー・ジャンルに属するバンドで、2001年頃より活動を始め、『Sweet Saint Me』は2010年にリリースされた5枚目のアルバム。メンバーの脱退などで2017年頃以降は活動を停止している模様。<br />
オルタナティブカントリーというのは、1990年代ごろから始まった音楽ジャンルで、大雑把に言うとカントリーミュージックとパンクロックの融合というような方向で始まったもの。ウィスキータウン、ルシンダ・ウィリアムズ、スティーブ・アール、
Uncle Tupeloといったところがジャンルを代表するところ。<br />
以前から書いているように、現在のアメリカのハードボイルド/クライムジャンルは、カントリーノワールに顕著なように、地方、田舎方向への動きが活発。このニューハンプシャー近くの山間の田舎町Ashtonを主な舞台とする、Jay Porterシリーズも
その流れに属するものなんだが、その辺の作品では作中でもカントリーミュージックへの言及も多い。前回のトム・ボウマン/ヘンリー・ファレルなんて親友とバンド組んでたぐらいだし、Anthony Neil Smith先生も、好きな音楽として以前色々挙げてたのは
こっち方面。<br />
実はあんまりきっかけがないぐらいの理由で、オルタナティブ以前にカントリーミュージックに馴染みがなかった当方なのだが、やっぱこの辺の作家たちのルーツに当たる部分なのかな、と思い始めこの作品を機にApple Musicを使って色々と聞き始めている。
他の音楽配信サービスとかには不案内なんだけど、多分プレイリストみたいなの何処でもあるんでしょ?そのへんのからオルタナティブカントリーとかアウトローカントリーみたいなのを流しとくぐらいの感じで聞き始めるのがいいかと。なんだかんだ言っても
例えばアメリカの映画のエンディングとかに流れて、いい曲だなと思ってもそのまま深く掘り下げず忘れちゃってるようなのにカントリーが多いわけで、聞き始めると割とすぐに馴染めるようになっている感じ。<br />
別にこういうものが必須とか言うつもりは毛頭ないけど、アメリカのこの辺の作品を読む上で理解に役立つもんじゃないかと思います。<br /><br />
ところでハードボイルドと音楽ということでは近年で腹立ちが収まらんのが、ショーン・ダフィ『ポリス・アット・ザ・ステーション』のケツに擦り付けられた最低の汚物こと、法月綸太郎こじつけ「解説」…。あまりにひどすぎ読者の誤読をも誘発しかねないと
いうところから、今一度厳しく糾弾しておくものであります。<br />
まずは法月がこういうのでインテリジェンスを示せる~、と目をつけたアルヴォ・ペルト。そっち方向の承認欲求丸出しで得々と解説してみせ、「効果的に使われている」とかぬかす。<br />
これについて言えば、参考のため来てもらったブルガリアの領事が帰れなくなって困っていたので、ダフィが奥さん実家に帰ってるし泊めてやるよ、と自宅に連れてきてペルトのレコードかけてあんたホモなのか、といわれるところ。まあ今日会ったばかりの
男が泊めてやると言って家に連れてきて、こんなのかけたらホモで誘ってると思われるよなあ、というかっこ悪いシーン。もしかしたらその前車のラジオで聞くところから仕込んでいたのかも。<br />
続いてローソンの音楽の好みがガキっぽいとかぬかしてるところなんだが、これはローソンがヘッドフォンをしてるのを見て、ダフィが「何聴いてんだ?レッド・ツェッペリンか」ぐらいの感じで話すところ。<br />
これは今時の日本でいえば、中年に差し掛かってるぐらいの先輩社員が若手後輩がヘッドフォンしてるのを見て、「何聴いてんだ?B'Zか?」とか言って苦笑される感じ。ダフィがオッサンぶりを晒すかっこ悪いシーン。まあローソンよりやや年下の
マッキンティは70年代ロックを聴いて来た世代にこんな感じで話されること多かったんやろね、と思う。<br />
つまり全編にわたりぐらい随所で音楽的こだわりをまき散らすダフィなんだが、その思い込みがスカるユーモラスなシーンというわけ。法月がそのへんちゃんと読めてないのは明らかだろう。どーせダフィとローソンの会話の内容なんて一方的にガキっぽいとか
言ってる時点でろくに理解できてないだろうしな。<br />
まあこんな誤読をする法月の音楽観がどんなものか、誰でもわかるよなあ。要するに大学生かその少し上ぐらいで、ポピュラー・ミュージック全般ぐらいをガキ向けとして、周囲を見下しているうちにそのまま音楽的感性のほとんどを死滅させちまった
インテリ気どりポンコツボーイの成れの果て。ガキ向けの音楽は「卒業」して、大人向けのものを聞いているボク大人。そもそもその発想がガキっぽいの極みなんだよ。
ちょっと前よくいた「自分が松田聖子を評価するのは歌が上手いからだ」とか言って音楽分かってる顔してたジジイ連中と大して変わんないよ。世の中で
言われてる「大人向け」の99%が、自分は安定成熟した完成品で、新しいものを受け入れたり成長する必要なんてないと思ってる俗物・愚物向けの「高級品」だろ。全く思いつかないが、まだ見ぬ1%のまともなものがあるかもと思ってるオレって謙虚だよなあ。
現代音楽最前線が使い捨てダンスミュージックぐらいに思われてるテクノから派生したエレクトロニカ、IDMみたいな部分と限りなく接近してる時代に、音楽に上下高級低俗大人向けガキ向けなんてものがあると本気で思ってんの?
伝統とか、歴史とか言ってみても、結局突き詰めていけば、財力の差みたいなことにしかならんだろ。まあ自分をインテリエリート上級層だと思ってる法月みたいなやつの価値観なんてそんなもんなんだろうな。<br />
ついでに言っとくと、杉江松恋の噴飯物の「筆が走りすぎ」につじつまを合わせてこじつけたテレビドラマへの言及なんかにしても、本当に話にならん。単に自分によくわからなかったり「インテリエリート上級層」の観点から自分が気に入らない
俗っぽ過ぎると思うものを叩いてみてるだけ。<br />
ハードボイルドジャンルは、常にその時代をリアルに描くために、その時代の風景・カルチャーを描くことをスタイルとしてきたわけで、結構アメリカからのものがかっこいいと思ってきた世代のダフィが『マイアミ・バイス』について話したところで、
若い世代のローソンが自国産の『宇宙船レッド・ドワーフ号』に夢中になってたなんてのはいかにもその時代の英国を描いた気の利いた描写だろ。<br />
結局さあ、法月がダフィ一人称で書かれてる、ぺルトの件やローソンの話を表面そのままに誤読したなんてのは、日本の国産ハードボイルドに見られる一人称=私小説=主人公俺的な考えに基づく、自己陶酔型俺のこだわり全面的正義ゴリ押しみたいなもんしか
読んでこなかくてハードボイルドがそういうものと思い込んでたってのも原因の一つなんだろな。ホントそーゆーのも日本のハードボイルド思い込み誤解の一例なんだけどさ。<br />
こんな「インテリエリート上級層」老人会でしか通用しないような狭量な法月のカルチャー観からの誤読を「解説」などという形で読者に押し付けるのは暴挙としか言いようがない。その他完全に終わった古臭いミステリー的思考の型に無理やり押し込んだ
形での分析や、バカバカしいにもほどがある「迷宮と鏡」こじつけなど、法月綸太郎などというものが現代最新最前線のハードボイルドを語るには全く不適格な人物であることは明白だろう。そもそもがさ、他人の本に属する「解説」なんてところで、
小娘、ガキっぽい、承認欲求など、読者を不快にさせる可能性もある言葉を平気で並べ立てるなんて、私が引っ越す前に近所に住んでた誰彼構わず乳揉んでくるボケジジイと変わんねえんじゃないの。もう外に出さない方がいいんじゃない?<br />
『ポリス・アット・ザ・ステーション』の法月解説というのは、読書のプロ暗黒時代に甘やかされ続けてきたミステリ評論家層がいかに劣化したかを表す見本といえるだろう。翻訳書における「解説」というのは、そもそも日本人にはなじみが薄い
海外の作家や作品について詳しく説明しておくためのものだったのだろうが、長い年月と読書のプロ暗黒時代を経て、どうせ本人読まないんだろうから何書いても許されるミステリ評論家のためのフリースペースへと劣化した。本来の目的に戻り
精々4ページぐらいでまとめろよか、廃止されるのが望ましいというのが私の意見である。<br />
なーんかね、法月についてはしつこいと思ってる人もいるんだろうが、これは近年最大とも言えるミステリ災害なのだ。しかもこの災害、一過性のものではなく、今も作品の後にコバンザメの様に張り付き、あたかもこの作品に対する出版社の正統な評価・評論
のような面をして新たな読者に向け、新たな災害を起こし続けているのだ。この時代の重要作として残り続けるこの作品に、長き未来に亘ってこの汚物は張り付き続けるのだ!ホントふざけんなよ!これがこの法月被害の実態なのだ!
災害は忘れた頃にやって来る。悲惨な法月「解説」のような災害をミステリで二度と起こさないためにも、訴え続け、語り継がれて行かねばならない。法月災害を忘れるな。<br /><br />
「法月災害を忘れるな」をミニ番組か長めのCMぐらいで挟むつもりが思ったより長くなった。早口で読んでね。『てーきゅう』みたいに。こうやってアニメとかサブカルみたいなもんに楽屋落ちで言及すんのが、承認欲求で「筆が走りすぎ」なんだってさ。笑うわww<br />
途中で書いてた、現在シリーズ物が出にくくなっている状況についてなのだが、まあ業界観測駄話は置いといても、少しシリーズ物が見つけにくくなっている状況はある。ただ、作家自体にはそういうものを書きたいという欲求はあり、現在は自費出版でも
電子書籍で簡単に手に入る時代でもあり、そういった方向にも広げて新しい動きも探して行かなければな、とも考えている。その他、最近Down & Out傘下を離れた<a href="https://shotgunhoney.com/">Shotgun Honey</a>からも、Nick Kolakowskiらのシリーズ物がいくつか出てたりとか、そういった
インディーであったりという方向にも多く目を向けて行くべきかとも考える。Eric Beetnerが移籍した<a href="https://roughedgespress.com/">Rough Edges Press</a>とかもまだよく見てないしな。<br />
一方で、ミステリ=謎解きという時代遅れの考えが、探偵など主人公のいるシリーズものばかり重視し犯罪小説を軽視するという形でジャンルの全体像を歪めてきたという結果を現在まで引き摺っていると言う考えから、その辺を区別せず等しく読むべきだ
とも考えるのだが、やはりシリーズキャラクター物がその時代を強く描き出すという考えもあり、そこのところはできるだけこだわって行きたいとも思うのである。あー、とにかく力の限り読め。布団でゴロゴロして読んでるとよく寝ちゃうけど。<br /><br />
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最後に最近の翻訳注目作を二つ。ハヤカワポケミス12月刊行のイーライ・クレイナー『傷を抱えて闇を走れ』。しばらく前一部で注目されてた作品で、一昨年ぐらいかにセールになってるの見かけて買っといたやつが、思いがけなく翻訳出た。持ってるので
多分買わないと思うけど、なんか読むもの捜してる人いたら一応おススメ。そんな悪くないと思うよ。多分だけど。<br /><br />
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
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意外にもこんなのが出た。ホレス・マッコイ『屍衣にポケットはない』。マッコイが日本で出ることなど二度とないと思っていたので、ちょっと嬉しい。まーなんか新潮文庫ノワール原理主義路線みたいな匂いもするけど。昨日本屋行って見つけたばかり。
喜んで買ってから一応解説確認したら杉江…。わざわざ先に読む気もせんけど、災害になってないといいけどねえ。あんたの感想とか、お馴染み○○を連想させるとか果てしなくいらんから。必要な情報だけまとめて真面目にやってくれよなと思うばかり。
<br /><br /><br />
最後の最後に言い訳コーナーです。なんだかんだで、えー?3か月も空いちまったよ…。まあ、順を追って言い訳すると、まず最初は自分のしょーもない無計画性ですな。コミックの方で、かなり入れ込んでてこれ絶対にやらねばならんと思っていた
グラント・モリソン『The Invisibles』に遂に、ぐらいに取り掛かったのだが、まあ時間かかるなと思ってたけどホント途方もなく終わんなくてという感じで、一か月それにかかり切りになってしまったこと。<br />
時間がかかり過ぎるなんていうのはやらない理由にならんし、『The Invisibles』は取り掛かったばかりなんだからこれからも続けて行くもんだが、時間がかかるんならもうちょっと計画的に進めて行かなければいかん。まあそれをどうやって行くかは
コミックの方の話なんで、そっちのサイトで考えを書くつもりだが。問題はこっちの本店。新たにコミックのサイトを始めた時、あまりにも雑でどんぶり勘定だった。当面これまで仕事して来た時間をそっちにつぎ込むわけだから、こっちもまあそれなりに
やれるだろう、ぐらいで行き当たりばったりが過ぎた…。これからはきちんと一日の時間割考えて、バランス的にはコミックサイト寄りになるだろうけど、毎日こっちも必ず書いて進めて行くことにしよう。<br />
と思ったのがそっちが終わった12月の半ば頃か。まあもう年末時期ともなると、自宅警備員でも何かと用事があったり。そういう方針で始めたものの、ちょこまかと外出しなければならなかったりでなかなか集中できん。もう年末近くになり、やあやっとこれで
後は集中できるぞ、と思って帰宅し、ちょっと疲れたんで少し休んでから頑張ろう、とか思ったら、ウィルス性胃腸炎を発症…。前にも罹ったことあったけど、なんだか今回いきなり激症化し、救急車で搬送される事態に…。<br />
そんなわけで年末~正月ぐらいは起き上がれんぐらいで、年越しそばも雑煮おせちも食えんかった。まあイベント要素もグルメ要素も限りなく低い奴なんでそれはいいんですが。今年の正月なんてそれどころじゃない人いっぱいいたんだから、激お腹壊した
ぐらいで不幸面してる場合じゃなかったしな。そこからなんとかお粥ぐらい食べられるぐらいまで回復し、少しずつ起きれる時間にはこっちもやり始め、よし、今日からは本格的に頑張るぞい、と思いPCを立ち上げ、サイトを開いた1月5日の朝。アマゾンへの
画像とリンクが全部消えてた…。<br />
まあ、アマゾンアフィリエイトの仕様変更で、画像リンク、画像+リンクの作成フォームなくなります、っていうのは昨秋ぐらいからわかってたし、なくなったらこんな感じにすりゃいいかぐらいは考えてたんだけど、その辺までの主に自分の不手際による
遅延から立て直しに必死になっていたところで、今まで作ったのもなくなるのかな?なくならないといいんだけどな、ぐらいの願望思考停止で考えないようにしてたんだけど、やっぱなくなりましたな…。<br />
さすがにそのまま知らんぷりはできない状態なんで、そこからはサイトの修正。二つもやってる馬鹿なんで、今日は本店、明日はコミックサイトみたいに一日おきに進め、コミックの方は昨年始めたばかりなんでとりあえず全部できたけど、こっち本店の方は
まだかなり残ってるが…、なんだけど新しい記事も書かねばならんからでやっと再開したのが23日とかだったか。そこからヘロヘロと頑張り、やっとここまでたどり着いたという次第です。<br />
こちら本店の修正については、次回10周年となるんでそこで詳しく書きますが、とりあえず少しずつでも全部やってくつもりです。進行状況としては、とりあえず遡って3年分ぐらい進め、そこからはコミック関連は後回しとして、小説関連の記事から
進めているというところ。なんかもうこれいいかという感じで捨てちゃったものもありますが、重要と思うものについては販売が終了してしまっていても、リンクなし見つけてきた画像のみで直して行っているところです。詳細については次回ということに
なりますが、やってて一つ嬉しい発見として、結構期待してたんだけど終わってしまったと思っていたスプラッタウェスタンが、既刊全作復活し昨年より新作も刊行されていたこと。詳しくは<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/07/wile-e-young-magpie-coffin.html">Wile E. Young / The Magpie Coffin</a>の記事にというところだけど、
次回10周年、その次今年のスプラッタパンクアワードノミネートというスケジュールになるんで、当分騒いでいるかも。<br />
そんなこんなのドタバタ連鎖で長期にわたり中断となってしまいましたが、ここからは以前書いてたような新しい作品やらジャンルの動きを中心という方向で、ぼちぼち頑張ってゆく所存です。いや、ぼちぼちじゃなくそこそこ気合い入れて。
まー3か月も中断すると書かなきゃなんないもんもそこそこ溜まって来るし、過去に中断したあれやこれも再開しなければ、というのもあったりで、ここから本気とかで頑張らねばと思っております。病み上がりかけ状態からそこそこ必死でろくに
休みもなくやってきて、さすがに少々疲れも出てきた感じなんでこの辺で終わります。シレンは力尽きた。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/05/joe-clifford-wake-undertaker.html">Joe Clifford / Wake the Undertaker -現代ノワールと古典の融合- </a>
</span></span>
<br />
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Joe Clifford <br />
●Jay Porterシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/42kirUM"><p>Lamentation</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vZ7wnA"><p>December Boys</p></a>
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<a href="https://amzn.to/49bZJku"><p>Give Up the Dead</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4beuLKB"><p>Broken Ground</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48Yn3CE"><p>Rag and Bone</p></a>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●長編</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3UmH0Pa"><p>Junkie Love</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48SIwgc"><p>Wake the Undertaker</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3OqoD8i"><p>The One That Got Away</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vYTGSh"><p>Skunk Train</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3OsSkW5"><p>Occam's Razor</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HHQH36"><p>The Lakehouse</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vWsPWJ"><p>The Shadow People</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3u6NCqh"><p>Say My Name</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3OpLvV7"><p>All Who Wander</p></a>
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<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-4875714726296711232023-10-28T22:30:00.014+09:002024-02-01T14:10:00.511+09:00Tom Bouman / Fateful Mornings -ワイルドタイムのど田舎の駐在ヘンリー・ファレル・シリーズ第2作!-<style>
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<a href="https://amzn.to/3S6sTfd" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81kL01mKq7L._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回はトム・ボウマン『Fateful Mornings』。2016年に第1作『ドライ・ボーンズ(Dry Bones In The Valley:2014)』が日本でも翻訳された、カントリー・ノワールの傑作、ペンシルヴェニア州ワイルドタイムのど田舎の駐在ヘンリー・ファレル・シリーズの第2作です。<br /><br />
2016年に翻訳が出た『ドライ・ボーンズ』を読んで、大変感銘を受け、これはどうせ続きは翻訳されないだろうが、絶対次が出たら読まなければ、と思っていたのだが、まあなんだかんだで遅れ続け、やっと読んだというところ。『ドライ・ボーンズ』既に
日本じゃ絶版やろ。<br />
しかし、『ドライ・ボーンズ』もアマゾンで★3つとか、まあ日本じゃ私以外誰も評価しなかったぐらいのレベルなんだろ。わざわざレビューとか見る気さえ起らんが。<br />
カントリー・ノワール!カントリー・ノワールについては、前回のおまけのクリス・オフット『キリング・ヒル』のところで簡単に説明したので、そっち読んでくれと思ったが、コピペすりゃいいことなんで以下にもう一度。あ、そこで次回やりにくいから、
とか言ってたのは、『キリング・ヒル』ちょっとイマイチぐらいの評価せざるを得なかったんで、ここに一緒にすると殊更余計に評価低く見えちゃうかも、という配慮です。ハイ。<br /><br />
カントリー・ノワールの開祖は、1980年代から作品を発表している、映画化された『ウインターズ・ボーン』などでも知られる作家ダニエル・ウッドレル。この人自身の命名によるジャンルなので、この人が開祖。アメリカの田舎地方・自然を舞台とした
犯罪小説ジャンルで、この辺に属する有名どころでは、ジェイムズ・リー・バークや、ジョー・R・ランズデールなど。近年翻訳されたものではトム・ボウマンの『ドライ・ボーンズ』。あとドナルド・レイ・ポロックなんかもそこに分類される
こともある。<br />
80年代ぐらいからずっと続くというよりは、近年犯罪ジャンルの中心が地方・ローライフというあたりに広がるにつれ、注目が高まりややブームぐらいの感じになっている。結構バークやランズデールとかは、後付け的に入った感じ。<br />
こういった傾向は、例えばしばらく前のだけどTVシリーズの『ブレイキング・バッド』なんかも、そのしばらく前からアメリカの犯罪小説ジャンルで、田舎町で頭の悪いチンピラとかが適当な覚醒剤を作ってるみたいなのが、お馴染みの風景ぐらいになってきてた
ところで、なるほどこう来たかみたいな感じで出てきたもんで、そういった動きの一環とも言える。<br />
カントリー・ノワールというのは、その辺の動きから再発見的につながっていったものなんだろうと思う。地方・ローライフ傾向がさらにディープとなり、救いようのない貧困やら、ヒルビリーの土着の異なったモラルみたいなものも描かれて行くこととなる。<br />
遡ってルーツをたどれば、フォークナーやフラナリー・オコナーとかのサウザン・ゴシックに繋がるもので、日本じゃあまりにも出ないし情報少ないんで、C・J・ボックスとかとすぐ混乱されるんだが、そういった自然・アウトドア方向のものとは
根本的に成り立ちが違う。むしろ『テキサス・チェーンソー』みたいなもんの方が近いとも言える。<br /><br />
ということ。ちょっと今回色々調べてみて、ドナルド・レイ・ポロックが結構その中心ぐらいの評価も見えてきたんだが、クライム系作家サイドからは、当然リスペクトされているが、文学の方の人というような見方も多いようなので、こういう感じに書いた。カントリー・ノワールの現状については、作品紹介の後、少し詳しく。<br />
日本じゃそもそもノワール自体が、バイオレンス要素の強いサイコサスペンスぐらいに著しく誤解されてて、そこにカントリー乗せて余計に敷居が高くなってんのかもしれない。またその元凶をぶっ叩き始めると長くなるんで省略。前置き長くなりすぎんのよろしくないから。まあ、ノワールについてはクライム全般、場合によってはハードボイルド含むぐらいの範囲で考えればいいんよ。実際のところ。<br />
前から言っとるが、私はまずハードボイルドが大枠で、その中のジャンルとしてクライムやらノワールやらがあるという考えが、一番わかりやすく明確だと思っている。<br />
ハードボイルドとは、日本のJミス脳が思い込んでるような、旧来の謎解き小説の探偵にハードボイルド精神みたいなもんを乗っけたものではない。旧来の謎解き小説が、謎解きをメインにトリックやらそのヒントを出す方法やらという方向でプロットが
組み立てられて作られているのに対し、チャンドラー以降では犯罪をテーマにした小説という考え方に変わり、クイズ的な考え方は縮小し、犯罪そのものの意味や、主題に沿った解決結末が重視されるようになり、その結果現在では主人公探偵が
直接事件を解決する必要さえないというところまで至っている。明らかにそういった進化の現在地点にいるのがトム・ボウマン/ヘンリー・ファレルである。<br />
まーた、前置き長くなっちゃってるけど、それではここからハードボイルド/カントリー・ノワール近年の注目シリーズ、ヘンリー・ファレル・シリーズ第2作、『Fateful Mornings』行きますよ。
</span></span>
<h3 style="clear:left; font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Fateful Mornings</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
物語はまず、ある別荘の空き巣盗難事件から始まる。<br />
ファレルは連絡を受け、現場に到着する。賊が侵入のために割ったと思われる地下室の窓ガラスを見ていると、家主の女性がやってくる。<br />
Rhonda Prosser。ニューヨークに住居があり、こちらは夫婦で持っていた別荘だが、現在は離婚し、彼女のものとなっている。離婚後も生活は主にニューヨークだが、自然環境保護的な姿勢で町の行政運営などに何かと口を出してくる、迷惑厄介なグループの
一員だ。<br />
州警察に連絡したはずだ、という彼女だったが、そこからたらいまわし的に最終的にファレルに連絡が来て、ここにやって来たというわけだ。<br />
前にAndy Swalesの地所での騒ぎに連絡したときには何も対処してくれなかったのに、と苦情を言うRhonda。<br />
Andy Swalesはこの土地の旧家の跡取りで、現在は弁護士をやっている。彼の所有する広大な土地の一部を、Kevin O'Keeffeという男に貸しており、O'Keeffeはそこにトレーラーハウスを置き、Penny Pellingsという女性と一緒に住んでいる。
そこから聞こえてくる音楽がうるさいというのが、Rhondaからの苦情だった。<br />
盗難品は大型テレビ、前夫の所持していた拳銃、酒類や地下室にあった道具など。<br />
これは特定の個人を狙った犯罪ではないだろう。おそらくはドラッグを買う金を作るため、手当たり次第にという空き巣強盗犯罪。犯人が見つかる可能性は低い。<br /><br />
その見込み通り、いくらか捜査をしてみるものの、この件に関してはすぐに暗礁に乗り上げる。<br />
それから、前作の終盤から続く人妻シェリー・ブレイとの不倫にいそいそ出掛け、旦那が帰ってきて裸足で逃げ出したり、自宅の地所に入り込み荒らしまわるボブキャットのアンブッシュ討伐ミッションをこなしたり、というようなファレルさんの
愉快な田舎暮らし日常が描かれた後、今作の本編となる事件へ。<br /><br />
早朝までかかった猫との戦闘から戻ると、親友エド・ブレナンから電話が来る。<br />
フィッツモリスに住むエドのの家に行き、彼に案内されてポーチに行くと、そこには建設業を営む彼の雇用者の一人が椅子に座り込んでいた。<br />
Kevin O'Keeffe。Andy Swalesの地所を借り、Penny Pellingsと一緒に住んでいる青年だ。<br />
「俺は彼女を殺していない」O'Keeffeは言う。<br /><br />
O'Keeffeの話は極めて曖昧で、混乱している。<br />
2日前の夜、酔って帰ったら同居しているPennyの姿がなかった。よくあることだ。そのまま放っておいて、翌日は仕事に行った。だが、それから帰っても彼女は戻っていない。Pennyの車も動かされた様子がない。何度も電話をかけ、思いつくところは探し回ったが、
誰も彼女の姿を見ていない。<br />
誰かを撃ったと思うが、酔っていてはっきりした記憶がない。車もどこに置いてきたのかわからない。<br />
「こんな話をしてるのは時間の無駄なんだ。頼む、Pennyを探してくれ。もしかしたらもう死んでるかもしれない。でも俺が殺したんじゃない。」<br /><br />
Kevin O'KeeffeとPenny Pellingsは、それぞれに問題を抱えたカップルだ。O'Keeffeは飲酒。そしてPennyはドラッグ。<br />
O'Keeffeは生活には問題はあるが、それなりに腕のある大工としてエドに雇われている。<br />
Pennyはあちこちのバーで働くが、すぐに辞めたりクビになったり。ドラッグのせいで帰ってこない夜もある。<br />
二人の間には障害のある子供がいる。だが、CPS(チャイルド・プロテクション・サービス)に親として不適格として取り上げられ、何とか取り戻したいと望むも、生活を改めることができない。<br /><br />
ファレルはひとまずO'Keeffeを、保安官事務所へ連れて行く。<br />
事件性のある事態なのか、逮捕の必要もあるのかも曖昧な状態で、とりあえず保安官事務所に彼を預け、ファレルは事件が起こったのかもしれない現場を見に行く。<br />
O'KeeffeとPennyのトレイラーハウスへ。Pennyの姿はなく、車もそのままだ。一通り見て回るが、何らかの事件が起こったと思われる様子はない。<br />
O'Keeffeが誰かを撃ったかもしれないというペニー・ストリートのアパートへ。ワイルドタイムでも荒廃した地域。だがここで暮らす者は基本的には悪人ではなく、ただ貧しいだけだ。だがそこには誰もいない。急に立ち去ったような様子は見られる。<br />
そこにはドラッグの密売人らしき連中が住んでいた、と管理人の男は言う。<br />
誰がそんな連中に部屋を貸した?家主は誰だ?前は家主がいたが、どこかの会社が買い取った。どういう会社なのかはよくわからないが、みんなそこに家賃を払っている、と男は答える。<br />
前夜何かの騒ぎはあったようだが、銃が撃たれたのかはわからない。怪我人、もしくは死人が出たのかもわからない。<br /><br />
何らかの事件性はあるのかもしれないが、現在のところPennyの失踪以外にははっきりしたものはない。それを自発的な失踪ではなく、何らかの誘拐事件と判断する状況証拠すらない。<br />
ファレルは、Pennyの捜索はするからと説得し、O'Keeffeを住居のトレイラーハウスへ送って行く。<br />
その後、フィッツモリスに住むPennyの親族を訪ね、話を聞くが手がかりになるものは得られない。銃があるのかもしれないO'Keeffeのトラックも見つからない。<br />
しかし、数日後、近隣別管区Tioga Countyの保安官事務所からそこを流れる川から、死体が上がったとの連絡が来る。<br /><br />
O'Keeffeを連れ、そちらに向かったファレル。だが死体はPennyではなかった。<br />
Charles Michael Heffernan。当地で前科も多いドラッグ・ディーラーと目される人物。<br />
銃で撃たれていることから、O'Keeffeが話していた曖昧な発砲の件と関係があるかと考えられ、連れてこられた。だが、O'Keeffeは見覚えはないと答える。<br />
O'Keeffeの銃も、それがあるのかもしれない車も見つかっていない時点では、彼らを単純に結びつけることはできない。<br /><br />
ファレルはO'Keeffeのトレーラーハウスの地主であるAndy Swalesにも話を聞きに行く。<br />
当初は協力的だったSwalesだが、彼自身の私生活に関わる話になってくると不快感を示し、次第に冷淡、敵対的にもなってくる。<br /><br />
エドを通じ、O'KeeffeからPennyの疾走に関係あるかもしれない人物のメモを受け取ったファレルは、それに基づいて捜査を進める。<br />
近郊の都市ビンガムトンにある、治安の悪い地域にあるバー。<br />
そこを探るうちにファレルはある犯罪状況に巻き込まれることになるが、その結果当地の警察とつながりを持つことができる。<br />
Pennyの失踪事件にも親身になってくれるビンガムトン警察の警官だが、何か関連のあることが出てきたら連絡するぐらいが精一杯の対応だ。<br /><br />
だが、そちらからのアイデアで、GPSを使いPennyの携帯の場所を探すことを思いつく。<br />
Pennyの携帯は、彼らのトレーラーハウスからさほど遠くないところで、捨てられたと思しき状況で発見される。<br />
そして、O'KeeffeはPennyの失踪を含む複数の件で、証拠不十分のまま逮捕拘留されることになる。<br /><br /><br />
ヘンリー・ファレル・シリーズ第2作となる今作は、以上のようにすべてが曖昧だ。<br />
同様のことを繰り返している感じになってしまうが、この国のガラパゴスミステリ感覚に対しては、何度でも言っていくしかない。<br />
この作品は根本的にJミスのような、謎が用意され、そのクイズを解くことによって事件が解決されることにより物語が終わる、というような考え方によって書かれていない。<br />
むしろ逆に、いかに事件が解決されないか、ぐらいの発想で書かれているというものかもしれない。<br />
ファレルが暮らすワイルドタイムは、かなり大きくアメリカサイズで見れば、ニューヨーク近郊ぐらいになるのかもしれないが、法の手が届かないというようなものではないが、かなりいい加減にぼやけてなし崩しにフェイドアウトしてしまってるような
ど田舎である。<br />
そこを担当する巡査はただ一人。前作で死亡した助手の代わりは補充されていないし、その予定もないようだ。主人公であるその巡査ヘンリー・ファレルは、まあ言ってみれば普通の田舎のおっさんで、卓越した観察力も推理力もなく、とにかく
思いついたこと総当たり式の捜査方法しか持たない。<br />
そもそもが都会から死体を分からないように捨てに来るような辺鄙な田舎で、こんなおっさん一人しかいなきゃ、まあこうなるわなってもんだ。<br />
だがそれはそういった場所での犯罪をリアルやドキュメンタリズムで描くことで、地方の警察力の欠落みたいなわかりやすうーい社会問題テーマでやってるわけでもない。<br />
雄大な大自然を背景にとか、牧歌的な田舎生活みたいなもんも、まあこじつければ何とかなるかもしれんけど、基本的にはそれ目的で書かれているわけではない。<br />
そんなアメリカの果てみたいなど田舎で、まあ人間的には魅力あるけどそれほど切れ者ってわけでもないただ一人の駐在が、曖昧に事件を解決出来たりできなかったりするミステリというのが、このヘンリー・ファレル・シリーズなのである。<br />
なんでそんなもんを書くのか?ミステリは探偵なり警察なりが謎を解いて犯人を当てて事件を解決するものだろう。なんでそういう風に話を作るのかが根本的にわからない、ってえのがJミス感覚だろ。<br />
言っておくがこれは君らが信じる「ミステリ」へのアンチかなんかでこういう手法を使ったわけでもない。根本的にそんなもん眼中にねえんだから。<br />
なんでそういうことになるかといえば、そりゃあこの国でそうやって進化して行くハードボイルドジャンルがまともに読まれることもなく、阿呆らしいクイズ基準で無視され続けてきたからだ。<br />
例えば、かなり古い話だが、パコ・イグナシオ・タイボの名作『三つの迷宮』。作品のテーマから作者が意図的に二つの解決を用意したなんてことはちゃんと読めば明確なんだが、これに対し二つ解決があるのはミステリ失格、あたかも作者が
どっちにするか決められず二つとも書いたかのような低レベルのこき下ろしが、ボンクラ座談会でお馴染み下卑た半笑いで垂れ流された。<br />
そして近年では、こっちジャンルへの若い世代の入り口ともなりうる長く読み継がれるべき名作ビル・ビバリーの『東の果て、夜へ』に対しては、自称ミステリ評論家による「純文学ノリといちゃもんをつける」なんぞというイキッた中学生の感想文
レベルの幼稚発言が平然と発せられる。<br />
ケン・ブルーウンすらまともに評価できないこんな愚物どもと、クイズオタクカルトと、視野の狭いJミス感覚により、進化変貌し続けるハードボイルドジャンルの実相が正しく伝えられることが妨げられ続けてきた。あー、本格通俗から
男の生き様マッチョ説教、セニョール・ピンクになり果てた日本のハードボイルド複合誤解もあるか。<br />
そういった愚行の積み重ねにより、ちゃんとわかっていればある種流れの必然として、こいうものが出てくることは明確なんだが、そういうものが全然見えてないJミス感覚では、理由もわかんないまま失敗クイズみたいな扱いをされるわけだ。<br />
結局のところさ、小学生が高校生の問題解けないようなもんなんだよ。そこに至る勉強してないんだもん。いや、勉強とかいう言い方も例えも好きじゃないんだけどさ。<br />
あーまだ途中だし、こんな長々と書きたくなかったんだけど、このくらい言わなきゃこれが何でこういうものなのかわかんない人もいるだろ。言ったってわかんないようなのもいくらでもいるだろうけどさ。最も基本的なことを言えば、そもそも本を読むということは
自分の中にある基準みたいなもんに合わせて評価することではなく、まずあるものをあるままの形で理解しようとする事だなんて当たり前のことなんだがな。<br />
まー自分は謎解きがされるミステリが好きだからとでも何とでも言って無視するのは勝手だが、そうやっているうちにこの国じゃどんどん狭い範囲内にあるような本しか入って来なくなって、規格内の決まった面白さしか得られなくなるからね、ってことは言っとくよ。
<br /><br />
ということで、中断ぐらいになってしまったけど、続きです。<br />
第1作では、まあ通常のミステリ的な短期間で、事件が解決したりしなかったりしたのだが、今作はかなりの長期間、始まりから終わりまでで一年以上が経過するというロングスパンのものとなる。Pennyはおそらくは死んでいるのだろうと、誰もが
推測しているが、死体も見つからず、実際のところは事件があったのかどうかすらわからないという状況が続く一方、ビンガムトンの犯罪に関わりがあるのか、ないのかもはっきりせず、しかし、甚だ曖昧ながら確実に何かがあったという状況が
続いて行く。<br />
そしてKevin O'Keeffeは、その中心なのか、あるいは巻き込まれたかもわからない状況に置かれ、救いも得られないまま、世界から見捨てられたように拘留され続ける。<br />
アメリカの果てのような地に住む、底辺の誰からも見捨てられた人々に関わる、誰も真剣に取り組んでくれないような犯罪。<br />
まあもうちょっといいのもいるかもしれんが、とにかく世界にはヘンリー・ファレルのような、そこそこ実直で人情味のある男が必要なのだ。<br /><br />
今作では、前作では親友と紹介されていたがそれほどは出てこなかったエド・ブレナンがかなり多く登場する。O'Keeffeが逮捕されてしまったことで、人手不足となってしまった建築現場をファレルが手伝いに行く。いや、だからこれそういう小説だから。<br />
実際のところ、中盤以降ぐらいからファレルが駐在の仕事が終わった後、ちょくちょくエドの仕事を手伝いに行く話にかなりのページも割かれる。エドは結構芸術家タイプの職人大工で、古い納屋を再現的に建て直すため、使える古くいい材木を探して
解体される古い家屋を渡り歩くようなタイプで、エドの工事が無事に終わるかみたいなのもこの作品の二番目か三番目かぐらいの重要なラインとなってくる。<br />
そして、エドと奥さんのリズとファレルの三人でやってるカントリー・バンドについては、話ぐらいしか出てこなかったと思うが、今作ではちょくちょく練習し、ちょっとしたライブハウス的なバーでの演奏場面も描かれる。<br />
それから、まあもしかしたらそっち気になってる人もいるのかもしれないファレルの人妻シェリー・ブレイとの不倫なんだが、まあネタバレになるんで詳しくは書けんが、まあうまく行かんよね。今作ロングスパンなんで、他の出会いとかもあります。<br />
そして前作からの関係で言うと、前作では事件の中心ぐらいにいたスチュワード一家とその三兄弟が、今作では中盤~後半ぐらいで、非公式にファレルの捜査に協力。縄張りで厄介事は御免なんでスタンスで。ところでスチュワード一家なんだが、
実は原文での綴りはStiobhardで、最初に出てきたときには読めなくて前作の人と気付かなかった。アイルランド系の姓のようだが、日本で言えばむつかしい漢字の名前とかかもね。<br />
あと、うっかり忘れそうになってしまったが、最初の空き巣事件も、後で中心の事件と関わってくるのだが、詳しく書くとネタバレになるので。<br />
その他、今作でもちょくちょく靴脱いで裸足になったり、玄関見えるところでなんとなく一人キャンプ飯など、ファレルさんのゆるい田舎おっさん生活なども満載です。<br /><br />
ここまで書いてきて今更そんな期待をしている人もいないとは思うが、この作品でもなんか凝ったクイズ的謎解きなんてものはなく、いくらか曖昧な部分を残しつつ終わる。<br />
かなり悲壮で暴力的でもある解決部分が、地形的には「崖下」的なところで起こるのも、日本のものとは対極にある「ミステリ」ともいえるかもね。<br />
日本以外の世界のコアなミステリ読者が注目のジャンル、カントリー・ノワールの正統派ヘンリー・ファレル・シリーズ第2作『Fateful Mornings』、いろんな意味で期待通りの素晴らしい作品でしたな。<br /><br />
さて、その後のトム・ボウマン/ヘンリー・ファレル・シリーズだが、2017年のこの作品に続き、2020年に第3作『The Bramble and the Rose』が出版されている。第1作が2014年なので3年おきというペースで、そろそろ次が出るかもしかすると終わりか
というとこだろう。3作契約とかでそれまでとかよくあることだからね。何とか続いてほしいと願うものではあるが。<br />
ちょっと気になるのが、第1作約300ページ、第2作約350ページと続いてきたものが、第3作が約200ページと縮小しているところ。この作品に関してはまあぶっちゃけて言っちまえば、事件とあまり関係ない大工パートがやや長すぎるかという部分もあり、
そういうところバッサリ捨てられたとかでは、みたいな心配も起こってくる。そういうのも含めてのこのシリーズの魅力なんだけどねえ。<br />
やっと読めたところで、この先どうなるかわかんない情報しかなく申し訳ないんだが、とりあえずそこで終わりだったとしても第3作も必ず読んでこちらで報告するつもりですので。できればいい加減ジジイになって森でのお昼寝パートが増大するくらいまで
続けてほしいものなのですがね。
</span></span>
<h4 style="clear:left; font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■カントリー・ノワールの現状</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
カントリー・ノワールについて、最初にいくらか説明は試みたが、カントリー・ノワールはこれこれこういうものだ、というようなお勉強型思考に便利な定義なぞするつまりは全くない。そういったどこまで行っても昨今の状況範囲ぐらいのことしかできない
「定義」の有害さは日本のノワール誤解という形でも繰り返し言ってきたことである。ジャンルを理解把握するには、そこに属する作品をなるべく多く読み続け、その変遷を見ていく以外に方法はない。<br />
まあそんなわけで、以前にもリンクぐらいは紹介したはずの、アメリカの大手・有力・有名な?(多分どれか合ってるやろ)読書サイトGoodreadsのカントリー・ノワール人気ランキングを元に昨今の注目作・作家を少々紹介して行きます。<br /><br />
Goodreadsのカントリー・ノワール人気ランキングなのだが、実は2種類ある。<a href="https://www.goodreads.com/list/show/33262.Country_Noir">Country Noir</a>は、現在331作がリストアップされていて、全て見ることができるが、
<a href="https://www.goodreads.com/shelf/show/country-noir">Country Noir Books</a>は517作のうち上位50作のみ見ることができる。多く見られる方がいいだろうというのが普通の考えだが、ちょっとそこが落とし穴。
331作全て見られる方では、上位作品がほとんど翻訳されていない一方で、ある程度下がるとC・J・ボックスやネヴァダ・バーといった、日本でも知られたアウトドア系の名前が出てくる。上位のものがほとんど把握されないまま、そういった知ってる
名前に飛びつくのはジャンル理解の面から見て大変よろしくない。<br />
日本的に知られてる名前から入る、日本人向けに、というのは結局のところ「商売」向けの考え方。その安直な考え方から長く誤解が続き、どうしようもなくなっているものは山ほどある。実際、日本でカントリー・ノワール傾向の作品が
翻訳される機会があっても、本来ダニエル・ウッドレルや、ドナルド・レイ・ポロック、コーマック・マッカーシーあたりから考えるべきところが、安直なC・J・ボックスと比べれば批判をされる傾向にあるわけっしょ。<br />
入門用としては50作の「Country Noir Books」の方をよく見て作品傾向を理解したうえで、「Country Noir」の331作を、こんなのも入ってるんだなあと見るという方が正しい。まあ上位に関してはそれほど違いはないんで、こちらとしては
双方見ながらでピックアップして行く感じになります。あー、あと事前に言っとくと国産作品を無理やりこじつける気は毛頭ありません。常にそういうのがC・J・ボックスと比べれば以上の誤解につながんだよね。<br /><br />
まずリスト全体の概要から行くと、圧倒的に上位を占めるのは開祖であるダニエル・ウッドレルで、そこに並ぶのがまだ作品数は少ないのだがドナルド・レイ・ポロック。そしていつになったら翻訳出るんだいもう出ないんかい?のLarry Brown、
もうちょい若手のFrabk Billあたりが定番として続き、もう少し下にコーマック・マッカーシーが出てくる。あ、これ作品の総合的評価じゃなくて、あくまでカントリー・ノワールというジャンル方向での評価だからね。<br />
以前見た時はジェームズ・リー・バーク、ジョー・R・ランズデールのハプレナ、Anthony Neil Smithの『Yellow Medicine』あたりも入っていたのだが、多くの新しい作品に押され後退して行ってる感じ。まあ新しいジャンルとして注目され始めた
時で、作品数増やすために後付け的に近いのをあれもこれもと入れて行ってた状態だったのだろう。それに代わり新しい作品が多く上位を占めているということは、ジャンルに動きが多く注目も高いということなのだけど。<br />
あとちょっと興味深いのは前回翻訳のについてちょっと書いた『キリング・ヒル』のクリス・オフット。ミック・ハーディンの前に書いた初期作品が高評価。察するにミック・ハーディンで知名度が上がって、旧作が再版され現在高評価という
事なんだろう。なんかこういうの売れないからでミック・ハーディン始めた感じのあるクリス・オフットなんだが。ちなみにハーディン・シリーズはやや下位にランク。<br />
それではここからは、上位傾向にある作品・作家を個別にピックアップして行きます。<br /><br />
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まずドナルド・レイ・ポロックについては、とにかく新潮文庫から『悪魔はいつもそこに』翻訳出てんだからそれ読めよということ。まあ新潮文庫はすぐ絶版になり、まず再版されず都市伝説化するので早めに絶対手に入れとくべし。もしかすると
低評価付けてる見る目もないやつが早々に売って古本手に入るかもよ。<br /><br />
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そしてダニエル・ウッドレル。カントリー・ノワールと言えばウッドレルで、翻訳2冊出てるんだが、どちらも入手困難。まず圧倒的上位でカントリー・ノワールを代表する作品とも言える『Winter's Bone(邦題:ウィンターズ・ボーン)』(2006)なんだが、翻訳出てるけど
絶版で、買い逃しちゃってずっとチェックしてるんだが古書でも値段下がらず、最近諦めて原書Kindle版買った。500円ぐらいだったしな。改めて言うけど『悪魔はいつもそこに』は絶対買っとけよ。<br />
そして、さらに遡ったデビュー作である『Under the Bright Lights(邦題:白昼の抗争)』(1986)が、谷口ジロー画伯のカバーで出てる。88年の発売だが、文庫なんでまだ手に入りやすそう。そしてこれなのだが、ずっと知らなかったのだけど、実は
三部作の最初の作品らしく、現在は第3作である『Muscle for the Wing』(1988)と第4作『The Ones You Do』(1992)と合わせた『The Bayou Trilogy』として販売されておる。こちらについてはずっと読まなければと思ってきたやつで、いつか必ず読んでやる。<br /><br />
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そして続いていつまでたっても日本で出ないLarry Brown。1951年生まれ、2004年没。1980年代後半ぐらいから消防士として働きながら作品を発表。6冊の長編と、短篇集が3冊あり。やっぱアウトロー文学というような分類なんかな?サウザン・ゴシックに
連なる重要な作家。初期からの『Dirty Work』(1988)、『Joe』(1991)、『Father and Son』(1996)あたりが特に評価が高い。ブコウスキーみたいになんかきっかけぽいやつでもあると、次々出たりすんのかね。もう翻訳期待しないで原書読んだ方が
いいだろうけどね。<br /><br />
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Frank Billに関しては年齢などちょっとよくわからなかったのだけど、ここまでに書いた人たちよりは明らかに若い世代。2011年に短篇集『Crimes in Southern Indiana』でデビュー。2013年には初の長編作品『Donnybrook』を発表。この辺が特に
カントリー・ノワール方面で評価が高い。初期の頃はポロックと並べて名前出ることも多かったように思うが、ポロックより更にクライム、ノワール寄りの作家だという印象。その後も2作の長編小説を発表。他にコミック『The Crow: Pestilence』の
シナリオもあり。現状翻訳出る可能性まずなさそうやし、ずっと読まなきゃと思ってる作家なんでなるべく早く読むつもり。<br /><br />
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あと、気が付かなくてうっかりこの先の未訳の新しい作家セクションに入れちゃいそうになったのが、トム・フランクリン。なんだよ邦訳3冊も出てるじゃん。うち評価高めなのが最初の短篇集『Poachers(邦題:密猟者たち)』(1999)と長編第3作
『Crooked Letter, Crooked Letter(邦題:ねじれた文字、ねじれた路)』(2010)。まあただちに注文しましたんで早めに読もうと思います。それにしても『ねじれた文字、ねじれた路』は時期的に気が付かなかったの多い頃だなと思うけど、もしかしたら
『密猟者たち』持ってて未読のまま忘れてどっかに埋まってるかも…、ま、いいか。<br /><br />
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それから、1935年生まれで70年代から2000年代ぐらいの間で多くの著作のある米国サウザン・ゴシックに属する作家Harry Crewsの『A Feast of Snakes』(1976)が、両方のリストで上位に入っている。日本じゃ大昔にエッセイ集が一冊出て絶版ぐらいだが、
結構重要な作家らしい。特にこの一冊が入ってるというのは、トンプスンの『Pop.1280』が一冊入ってるのと同じ現象かもね。これも読んでみたいなあ。<br /><br />
大体これにコーマック・マッカーシーを加えたあたりが、カントリー・ノワールのもっとも代表的な作家。あとコンセプト的にはフォークナーや、フラナリー・オコナーとか。<br />
で、ここからは最近注目の集まっている新しい作家・作品という方に移ります。<br /><br />
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まずBrian Panowichの2015年作品『Bull Mountain』。これがデビュー作だが、ジョージア州東部を舞台としたこの作品で一躍注目に。ちょっといまいちわからんのだが、とりあえずこれと続く第2作『Like Lions』(2019)は、Bull Mountainシリーズになって
いるらしい。のだが第3作『Hard Cash Valley』(2020)もBull Mountainというところが舞台となってるみたいだし?というところ。スペイン、フランスでも翻訳が出版され、TVシリーズのオファーもあったそう。2024年発売の第4作も既にアナウンスされており、
ここからどんどん勢いづいていきそうな、早めに押さえとくべき作家。<br /><br />
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David Joyの『Where All Light Tends to Go』(2015)は、エドガーにもノミネートされた作品。『ウィンターズ・ボーン』+ブレイキング・バッドなんて宣伝文句もあり。1983年生まれでまあまあ若手というところか。現在までに小説は5作で、割とコンスタントに
作品も発表出来てる感じ。その他ノンフィクションの著作もあり。内容までちょっと把握できないんだが、ヨーロッパ作品の翻訳結構多数。『Where All Light Tends to Go』はビリー・ボブ・ソーントンらの主演で映画化進行中らしいので、そっちからの翻訳の可能性
あるかも?ないかも?<br /><br />
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ここでまた、翻訳出てたの気付かなかったが出て来ちゃうんだがが、ロン・ラッシュ。『Serena(邦題:セリーナ)』(2008)は、映画化されたんで翻訳出たケースのやつ。あー、これまずワシがスルーしちゃうタイプやな。とりあえず古本見つけたら読んでみっかな。
なんかこれだけ扱い違くない?いや、ちゃんと読むよ。でも読まなきゃなんないものさすがに多くなりすぎて…。1951年生まれで、1998年の短篇集『The Night The New Jesus Fell to Earth and Other Stories from Cliffside, North Carolina』でデビュー。
2002年『One Foot in Eden』からは長編も出版され始め、現在までに8作。詩作も多く、短編小説の評価も高い。<br /><br />
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William Gayは新しい作家かと思ってたんだけど、1941年生まれで、2012年には亡くなっていた。1999年長編作『The Long Home』でデビューし、亡くなるまでに短篇集なども含め、7冊の著作を出版。だが死後に見つかった作品が、その後5冊も出版されている。
これも絶対ちゃんと押さえとく必要のある作家だな。必ず読むです。<br /><br />
というあたりがカントリー・ノワールというジャンルの現状です。ここから色々読んで、もっと深く探って行かなければというところ。<br />
最初の方で言ったけど、誤解を広げるだけの国産作品の強引なこじつけはやるつもりもありません。なんだが、前回にやったクリス・オフット『キリング・ヒル』の解説…。いい加減気力尽きてたし、話にもならないんで無視したけど、なーんか
カントリー・ノワール横溝正史みたいなデタラメな誤解が広がりかねないレベルのこの国のミステリ言説なんで、やっぱりここはきちんとバカにしとかないと。<br />
そもそも書かれた時代・時代背景が全然違うんで、どういうレベルでもそんな単純な比較できるわけない。もし横溝正史持ち出すんなら、もっと時代の近いサウザンゴシック、フォークナーやフラナリー・オコナーあたりと比較できるんなら比較して、
というような段階踏んでやっと出せるもんだろ。いつまでもお馴染みの知ってる本列挙が通じると思うなよ。こいつらのワンパターンの「○○を連想させる」が、マーク・グリーニーに比べればみたいな底辺レビューの発生の源なんだからさ。
ずいぶん前のヤングアダルト爺もそうだけど、後先考えず適当な思い付き並べてんじゃないよ。子供向けクイズじゃねえんだから、イマドキ見立て殺人なんてある方が異常だわ。異世界転生レベルのファンタジーやろ。話にもならんよ。
こんぐらいでいいだろ、無駄な時間使わすなや!<br />
まあなんだかんだ言っても、どうせ日本じゃカントリー・ノワールなんて定着しないし、新し物好きが飛びついてみても安直な日本的解釈に歪められて行って、誤解に誤解、いい加減なパロディのつもりを重ねて、いつの間にかセニョール・ピンクに
なり果てていたみたいなもんが精々なんで、もう入って来ない方がましなんだろうね。下手にカントリー・ノワール=横溝正史みたいな解釈が流通して、まーたJミスクイズ感覚で「ミステリとして」失敗クイズ扱いされたり、「見立て殺人もトリックもない」
なんて見当違いの戯言で批判される惨事が起こるぐらいならない方がましだわ。ん?アンタそんな意味で言ってない?ああ私アタマ悪いんでそう聞こえました。こーゆー風に歪められっからいい加減な思い付き「解説」なんてところで垂れ流すなって話。<br /><br />
「カントリー・ノワール・ブーム」というようなものは、外的、読者サイド的には映画『ウィンター・ボーン』や、ドナルド・レイ・ポロックのような作家の登場により発生したものだろう。だが、作家、創作サイドから見れば、近年のローライフ、地方
というような視点でアメリカ社会を見るというハードボイルド/クライムジャンルの傾向・流れが必然的ぐらいにたどり着いたものとも言える。ジャンルとしてはちょっと別物ではあっても、ウィンズロウのカルテル三部作を含む、メキシコ国境周辺作品の増加や、
更に広く見れば、前回やったエルロイの社会の底辺の毒のような偏見・憎悪が社会全般に影響し動かしていくというような見方もそれらの動きと無縁ではない。<br />
カントリー・ノワールはこのブームによりある程度は定着し、これからもこのジャンルに新しい作家・作品が登場してくるだろう。だが、これはハードボイルド/クライムジャンルの終点というわけではない。あちこちで小規模に同人誌的に出されるアンソロジーなどを
見れば、様々な方向に新しい模索が試行錯誤されている。ウィンズロウの現在進行中の新三部作も、後に振り返ってみれば新しい動きの里程標ぐらいになるのかもしれない。<br />
現在この地点のカントリー・ノワールは、そういう未来を見て行くためにも大変重要なポイントだ。本当はハードボイルドジャンルだけじゃなくて、ミステリ全般という視点においてもなんだけどねえ。まあどうでもいいや。
</span></span>
<br /><br /><br />
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<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px;">■神は俺たちの隣に/ウィル・カーバー</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
直感ナリ!<br />
もう10月ぐらいになってくると、書店に行っても年末クソランキング向けの本が、恥も外聞もなく業界事情内幕はらわたまで晒す感じで並んでるんだが、そんな紅白クイズ合戦に埋もれる感じで新刊に並んでたのがこいつ。こっち向けジャンル関連の、ハードボイルドやらノワールやらの
キーワードは一切書いてないが、直感的にこいつは私が読んで面白いやつ!と訴えるものがあり、直ちに購入し、帰って読みかけのやつ一時停止にして、すぐ読み始める。<br />
こうして英国ノワールの挑戦的意欲作と出会うわけである!日本のアマゾンでは現在もはやお約束通りの★2.5の低評価作品だ!何言ってんだか見てないが大笑いだぜ。<br /><br />
まあもしかしたらちょっとわかりにくいのかもしれない、この作品の構造みたいなもんから説明してみよう。あ、やっぱこれ<span style="color:#ff0000;">ある種のネタバレ</span>なんでご注意を。<br />
中心となるのは「俺」という語り手。こいつは爆弾の入ったバッグを持ち、いつスイッチを押すかと考えながら、来る日も来る日も環状線の地下鉄に乗り続けている。<br />
そしてこれとは全く無関係に見える、実際無関係な三つのストーリー。こっちの内容についてはとりあえず今はいい。<br />
そして最終的にはこの三つのストーリーの中の人物たちが、この爆弾犯の地下鉄に乗り合わせることになるが?という話。<br /><br />
これは「神」についての話。これについては「俺」の語りの中でもそういった方向が何度も言及されている。あらゆる宗教的な方向ではなく、漠然と創造主的な意味での神。<br />
まずこの作品を批判してるような人も思い浮かべたのかもしれない、上のあらすじから想像されるような一般的な「正しい話」みたいのを考えてみよう。<br />
地下鉄で爆弾テロが今にも行われようとしており、そこに全く背景の違う数人の人物がたまたま乗り合わせる。そこでそれまで全く関係のなかったそれぞれの人たちの地下鉄に乗るまでの経験や、直前までの行動、思考がピタゴラスイッチ的に組み合わさり、
テロが阻止される。<br />
この奇跡はどうして達成されたのか?それは神の采配であり、神の意志!もしかしたら作中でもそんな風に説明されるかもしれない。<br />
でも、その神は何処にいる?それがフィクションである限り、常に「神」=「作者」なのだ。<br /><br />
これはそんな「神」が、存在はしてるけど仕事を放りだしちゃった世界。<br />
そこで、まず「俺」。こういったサスペンス傾向の作品では、犯人の正体を隠す目的で、一人称の語りがよく使われる。その一方で、一人称で語られる作品では語り手=作者という短絡的な読まれ方をすることが多い。そこで本来なら作品傾向的にはそんな読まれ方をされることがまれなタイプのこの一人称に、作者=「神」が混入される。そこで語られるのは、自分の本来の役割と全く無関係に「神」の代弁者の役まで押し付けられた、どうやってもその役に一致しない「俺」の混乱。<br />
そして、そもそも同時多発テロであることが最初から読者に知らされているこの作品中で、この「俺」はなんで何日も今押すかと考えながら爆弾を抱えて地下鉄に乗り続けているのか?<br />
それは他の話が終わらなくて何日もかかっているから。本来ここのつじつまを合わせるべき「神」が、仕事を放棄し、それでも結末地点が決まっているこの世界では、その役割が決まっている「俺」は、あらかじめ決められているその行動を続けるしかない。
<br /><br />
そして二つの天使の話。良い天使と悪い天使。<br />
例えば、感動の実話とか、奇跡の実話とかあるだろう。だがその「実話」には必ずその伝え手、執筆者=作者=「神」の手が入っている。<br />
これは単純に嘘の情報が書かれているというようなことではない。中心テーマとなるものが読者にストレートに伝わるような形での強調、理由付け、誤解を招きそうな部分の修正、省略などなどは、こういう作品には付き物だ。<br />
「神」が仕事を放棄してしまったため、そういった加工がなされず、ただあったことがそのまま放り出されたことによる、いまいち感情移入もできないのが良い天使の「感動の実話・奇跡の物語」。<br />
もう一方の悪い天使の物語でも、それをサスペンスホラーとして読ませるような調整がなされず、また善悪の対比、モラル的な安心やカタルシスが得られるような解決もグズグズなまま放り出される。<br />
そして脳の故障によりもう一人の自分と闘争し続けるデイブ。こちらについてはのちほどで。<br /><br />
この三つのストーリーからの人物たちが、もはややっつけぐらいの理由付けで、問題の地下鉄へと集合する。<br />
ちゃんと「神」がコントロールしていれば、絶対に起こらない小便漏らしキャラ被り。<br />
後にこの物語について回想する形で語り手になるのかもしれない「目撃者」はおざなりに確認だけしてとっとと帰る。<br />
そして結末へ向かい、そこに存在する「神」の思考が溢れ出す。多数の「if」。パラレルワールドのこうなったかもしれない彼らの運命。その洪水により、しばらく時間を置けば、それぞれがどうなったか忘れてしまいそうな勢いで
埋め尽くされる。<br /><br />
最後にデイブの話。<br />
ドストエフスキー的自己との対話みたいなのを、錯乱しぶっ壊したようなドタバタも面白いんだが、ここで重要なのは時々出てくるその隣人。<br />
悪意はなく、実際にはいくらかも心配はしている、壁越しの野次馬。こいつは我々「読者」だ。<br />
それはもう最後の数行で明らか。このくらいの興味と関心で本読み終わってる野次馬の皆さんいません?というような作者からの悪意もやや感じられたり。<br />
しかもこの「隣人」、時々デイブ側から、結構バカっぽい日常も暴露されてるぞ。え?そっちから聞こえんの?いやーん、それは勘弁してくださいよ。<br />
作者によるあとがきでは、このデイブの物語を加えることでこの作品は完成したということだ。まあこんな意味でこの作品の原題は『The Daves Next Door』となったわけだね。<br /><br />
書棚がいくら馬鹿げた手を触れる気さえ起らない紅白クイズ合戦になろうと、なんかまぐれ当たり的に出たこういう作品に巡り合えることもあるから、書店に行くのを諦められない。今買うべき作品はこれだぜ。<br /><br />
話は分かったけど、それにどういう意味があるんだ、とかなにがなんでも否定する抵抗を試みてるご意見番気取りもいるのかもしれん。そんなこと言ってっからお勉強要素と教訓要素がなけりゃ本もまともに褒められない「ダメな大人」になっちまうんだよ。<br />
新しい試みはいつだって面白い。そしてこの作品は、作者の意図さえ把握できれば、そういった方向ではあまりブレもなくきっちりできており、大変楽しく読める。<br />
あっ、もしかしたらそれを読み解くクイズがこの作品の趣旨だったか?うーん、そうするといくら何でもネタバレしすぎたか…。ごめんよう。<br />
まあとにかくこれで正しく、遂にノワールの謎解きがナンカを超えた!ってことで。<br /><br />
あと、私がこの本のどこにも書いてないノワールを連発してんのに引っかかってる人いるのかも。いや、あんた曖昧に理解したつもりになってる雰囲気レベルでしかないもんや、ノワール原理主義者どもの言ってたキョーハク観念云々みたいな話にもなんねえ
定義に引っ張られてるだけだよ。<br />
単純に言えば、英国ノワールの鬼才ニコラス・ブリンコウの延長線で考えればいい話。<br />
そして、何より既存の予定調和の物語の破壊というのは、全てのノワール作家に内在する衝動だってこと。<br />
安直に、お勉強感覚で簡単にノワールを理解できると思うのは諦めろ。なんとなくの雰囲気や、過去のもんしか規定できない定義や、うっとおしいサブカル世代の「カメラに向かってオナニーするなんてすごい!」レベルの結局私小説至上主義価値観基準やら。<br />
ノワールを便所の裏の石ひっくり返して出てきたジメジメした暗黒みたいなもんと思い込むのはもう勘弁してくれ。<br />
とか言ってみても、結局この国じゃ日本風に捻じ曲げられた思い込みを重ね続けるうちに、結局ノワール版のセニョール・ピンクか、腐女子向けのかっこつけなんちゃってぐらいになり果てんのがオチだろうけどさ。<br /><br />
作者ウィル・カーヴァーについては、訳者あとがきでいくらか説明もされてるが、こりゃまた何とか読まなければならない作家を追加されたようだ。どうせ、扶桑社は他の作品出してくれないだろうしな。多分この時期紅白クイズ合戦の裏番組として、変わり者しか
読まないだろうけど、って感じで出したんだろうけどな。ほらっ、変わり者大喜びしてるよ!<br />
カーヴァー作品については、2009年から3作プラスが出たInspector January Davidシリーズが最初だが、大手ランダム・ハウスからでなんか高いし、そっちで打ち切られてから5年後インディーで再開したあたりのから読むのがいいかと思ってる。現在4作まで出てる
Sergeant Paceシリーズや、単独作品など。なんか今回だけでどんだけ読まなきゃなんない本積み上げてんだか、という話なんだが、こっちのウィル・カーヴァーも新しい英国方面の突破口として注目して行きたいと思いますのだ。<br /><br /><br />
なんか色々書いてたらまた長くなってしまった。あれの関連でこれ、これも面白かったから書いとこうとか、まあいつものように計画的無計画でやって行ったわけですが。なんか自分内でごたごたしてたわけですが、新しい作品を紹介して行くという方で
いくらか軌道に乗って来た感もあるんで、もう少しペースを上げなければと思っております。翻訳作品については、新しいので書く意味がありそうなのがあったときに。そもそもそっちの方にあんまり時間使えずたいして読めない現状だしな。わりとこの辺で年内終っちゃって年明けまで沈黙みたいなことも多かったけど、今年はもう少し頑張るので。またです。<br /><br /><br />
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<b>※追記</b><br />
これ書き終わって数日後、今日本屋行って来たら「カントリー・ノワールの現状」のとこで翻訳ないと嘆いていたハリー・クルーズが出てました。『ゴスペルシンガー』。扶桑社紅白クイズ合戦の強力な裏番組第2弾!あれ?アマゾンで見たら明日発売となってるけど、今日11月1日
に買えたぞ?まだ出たばっかなんで、お約束の低評価★2.5ぐらいも付いてないっすね。まあどうせそうなんだろけど。買ったばかりなんでもちろん読んでないけど、これは必ず買いです!次回やろうかと思ったけど、もったいないんで急いで読むようなことしたく
ないし、これが必読なんて当たり前のことなんで。まだ今年も2か月あるし、まだ紅白クイズ合戦の裏番組あるかもね。ちゃんと毎週一回は本屋に行こうっと。
</span></span>
<br />
<br />
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<div style="margin-bottom:20px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Tom Bouman / Henry Farrell</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3H8vGOE"><p>ドライ・ボーンズ</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left; margin-bottom:20px;">
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vpbhlS"><p>Dry Bones in the Valley</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/47nHaIS"><p>Fateful Mornings</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47o3YrS"><p>The Bramble and the Rose</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Will Carver</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48yJEFu"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/812u4+f57jL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48yJEFu"><p>神は俺たちの隣に</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Detective Sergeant Pace</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47keFeZ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/8134J3F-EOL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47keFeZ"><p>Good Samaritans</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3H9npKq"><p>Nothing Important Happened Today</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3H5VtqM"><p>Hinton Hollow Death Trip</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vl1zAR"><p>Psychopaths Anonymous</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Detective Inspector January David</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41TE6Di"><p>Girl 4</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/47nOW5x"><p>The Two</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tGRTjP"><p>The Killer Inside</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41LPFMA"><p>Dead Set</p></a>
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<div style="clear:left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●その他</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3H5wXpI"><p>The Beresford</p></a>
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<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ジェイムズ・エルロイ新LA四部作、第2部『This Storm』である。<br />
現在日本に翻訳されていないミステリジャンルの作品で、最も重要なものがこのエルロイ作品であり、そんなことも理解できんような奴はミステリなんぞ語る資格もねえ。早く閉じてとっとと帰れ。<br />
本来ならこんなわけのわからんチンピラが読んだよ~などと気楽に語れるもんではないんだが、いつまで待っても翻訳出ない状況じゃしょーがないだろ。まあ様々な状況に阻まれて遅れ続けているだけだと、そのくらいには日本の出版文化も信頼したいところでは
あるのだが。<br />
だが、たとえ翻訳が出たとしても、まともにこの作品を語れる奴がいるのか?というのも現在本当にどうしようもなくなってる事実。オフザケ読書のプロや、クイズオタクカルトみたいなもんが気軽にクイズ気分で近寄っていいもんじゃねえんだよ。<br />
ジェイムズ・エルロイというのは、今日まで続いているミステリというものの歴史の中で、現在最前線でその可能性を広げ続け、疾走を続ける唯一無二の孤高の作家である。稚拙な自分が知っているような型にはめ込むような方法で理解できる作家ではない。
その作品に先入観を捨て、真摯に向かい合う者だけが、その高みの一端に近づくことができるのである。そのくらいの気持ちで、まあ微力にもほどがあるくらいなんだが、全力でその欠片ぐらいお伝えしたいというところです。
</span></span>
<h3 style="clear:left; font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■This Storm</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
まず最初に言っとかなければならんのは、この作品、前作新LA四部作第1部『Perfidia(邦題:背信の都)』に直結する作品。前作が1941年12月29日で終わり、今作は1941年大晦日から始まる。ストーリー的にももちろんその直後から続いて行くので、
<span style="color:#ff0000;">前作については完全にネタバレ</span>という形になる。前作読んでない人はいきなり読むと損するよ、ということは最初に伝えとくからね。<br />
あと、人物名等に関しては、前作その他に登場した人については、日本語カタカナ表記に努めるが(忘れてたらごめん)、新登場については面倒なので英語表記のままとなります。<br /><br />
というところで、さて新LA四部作第2部『This Storm』。前作の終盤では、ダドリー・スミス、ヒデオ・アシダらがメキシコで行動する展開となったが、今作では更にメキシコに関わる動きが広がる。そしてまず、プロローグ部分では、
メキシコからの海賊放送という形で、その時点のメキシコの政情がかなりぐちゃぐちゃに語られる。<br />
もしかすると、いきなりこれで引っかかっちゃう人もいるかもしれんが、こーゆーのは中でも一番わかりにくいところなんで、ざっと読めばいい。内容的には、それに遡る左翼政権からのカトリック教会の弾圧後、右傾化しナチスシンパになった
カトリック内のヤバい部分からの、ジャップ、チンクなどへの差別意識もむき出しのかなりヤバいその状況下のアジ放送的なもの。この時点であまりよくわからなくても、後々関係する動きが出てくればなんとなく把握できるので。<br />
第1部では利権的な部分と、日本人-日系人対米破壊工作グループの潜伏地という方面ぐらいしか出てこなかったメキシコ方面だが、第2部ではそれらにも深く関わる形で、これらの政治勢力がストーリーに関係してくる。<br /><br />
第2部でも前作同様に、4人の人物それぞれの視点からのエピソードが順に入れ替わる形で、全体のストーリーが語られて行く。<br />
そして最初に登場するのは、エルマー・ジャクソン。前作では何かメインストーリーから少し外れたぐらいの地点から、ひょうひょうとマイペースで自身の売春組織を切りまわすぐらいで、ケイ・レイクの友人というぐらいしかストーリーには
関わってこなかったエルマー・ジャクソンだったが、第2部では物語の中心となる人物の一人として動き始める。<br /><br />
<b>エルマー・ジャクソン/(Los Angeles, 9:30 PM, 12/31/41)</b><br />
大晦日の夜、エルマーはマイク・ブルーニング、ディック・カーライルとの三人体制で張り込みを行っていた。嵐の大晦日。強い雨が降りしきる。<br />
標的はトミー・グレノン。複数にわたるレイプ犯としての指名手配が表向きだが、実際の理由としては、数日前のダドリー・スミスへの傷害容疑らしい。(前作終盤に起こった事件だが、本当の犯人はケイ・レイク。)<br />
トミーへの餌に使うのは、エルマーのガールフレンドのひとり、エレン・ドルー。トミーが美脚に目がないのは調査済みだ。<br />
ラジオからは、カウント・ベイシーを呼んだ警察主催のシティ・ホールでのニュー・イヤーズ・イヴ・パーティーの騒ぎが聞こえてくる。<br /><br />
現在のエルマーの状況が描写されるのに被せて、回想のように彼の出自が語られる。<br />
ノースカロライナ州ウィッシャーツ。クランの町。クランの父に、兄。兄Wayne Frankは、クランに入り、その後は放浪し、西海岸へ流れて行った。<br />
エルマーは、海兵隊に入り、ニカラグアへ。そこで売春商売を仕切るノウハウを憶える。そこでボスの友人だったジム・二挺拳銃・デイヴィスと出会い、意気投合してL.A.警察に誘われる。<br />
エルマー・ジャクソンは、実在の悪名高い警官だそうだが、ちょっとネットで簡単にという風には情報は見つからなかった。おそらくニカラグアの話や、こちらも実在のジム・デイヴィスとの関係などは本当なのだろう。ただ、この話で
重要な存在となる、兄Wayne Frankはもしかするとフィクションなのかもしれない。<br /><br />
無線が音を立てる。奴が来た。隣のフェンスを越えて入った。お前は正面から行け。<br />
エルマーは車から飛び降り、目標の家へ走る。家へ入る。裏から回ったマイクとディックが合流。<br />
トミーの泥の足跡。上階からの床の軋み。足音。<br />
エレンの悲鳴。全員が階段を駆け上がる。ガラスが割れる音。エルマーは表のドアに戻る。<br />
北へ向かって走るトミー。エルマーは追いすがらその背に銃を撃つ。トミーのポケットから何かが落ちる。<br />
マイクとディックも銃を撃つ。だが、もうトミーには追い付けない。<br />
エルマーはさっき見た地点に向かい、トミーが落としたものを拾う。赤い革製のアドレスブック。<br /><br />
エレンを自宅へ送り届けた後、エルマーはトミーの住んでいたホテルに向かう。Gordon Hotel。<br />
トイレもない殺風景な部屋。クローゼットは空。引き出しを開ける。<br />
スペイン語会話の本。ティファナのドンキー・ショーの写真。ナチの腕章。日章旗。鉤十字のタトゥー・ステンシル。<br />
エルマーは、トミーのアドレスブックを開く。住所はなく、フルネームもない。<br />
ひとつの番号に覚えがあった。Eddie LengのKowloon。フォー・ファミリー系列の中華料理屋だ。<br />
部屋の電話から、署に電話。出た通信係にアドレスブックの電話番号を読み上げる。<br />
ひとつに心当たりがある。シド・ハジェンズの勤めるヘラルドの前の公衆電話。賭け屋の連絡用。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
2番目に登場するのは、前作から引き続きのダドリー・スミス。<br /><br />
<b>ダドリー・スミス/(Los Angeles, 11:30 PM, 12/31/41)</b><br />
大晦日の夜、ダドリーはシティ・ホールのニュー・イヤーズ・イヴ・パーティーにいた。<br />
軍服を身に着け、刺された腕を三角巾で吊っている。ダドリー自身はこの傷は、中華街のエース・クワンと敵勢力の抗争に巻き込まれたのだろうと、内心考えている。<br />
彼の横にはクレア・デヘイブン。そしてテーブルには大司教J・J・キャントウェルや、ジョー・ヘイズ司祭、コフリン神父。<br /><br />
彼は最近の出来事を回想する。ヘロインを狙ってメキシコバハへ。マイク・ブルーニング、ディック・カーライル、そしてヒデオ・アシダとともに。<br />
カルロス・マドラーノにはやられたが、ささやかなお返しに車ごと吹っ飛ばした。<br />
コフリン神父はマドラーノの後継を知っていた。Jose Vasquez-Cruz。反赤、反ユダヤのファシスト。<br />
もうすぐ会うことになるだろう。ダドリーは間もなく、クレアを伴いメキシコに赴任する予定だ。<br /><br />
ビル・パーカーの姿も見える。やつれた様子。<br />
フジオ・シュドーの件では、アシダを引き込み、彼を出し抜いた。<br /><br />
ダドリーは時計を見る。PM11:51。マイクとディックは何処だ?ぼんやりエルマー・ジャクソンは何処だ?トミー・グレノンは何処へ行った?<br />
レイプ犯トミー。ダドリーの密告屋、ヒューイ・クレスマイヤーのダチトミー。カルロス・マドラーノのウェットバック商売の片棒担ぎトミー。<br />
ダドリーが米軍SIS大尉の身分をもって行うメキシコでのプラン、ヘロイン密輸、ウェットバック、日本人拘留者の奴隷売買、その総てをぶち壊しかねない。<br />
ゆえにトミーは死ななければならない。<br /><br />
新年のカウントダウンが始まる。<br />
ダドリーは星条旗とアイルランド旗を振る。<br />
マイクとディックが入ってくる。トミーを捕まえたか?彼らは首を振る。NO。<br />
そして1942年が明ける。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
3番目の主人公は、ジョーン・コンヴィル。前作でビル・パーカーが執着し、ストーカーしていたあの赤毛の女性。<br /><br />
<b>ジョーン・コンヴィル/(San Diego, 12:15 AM, 1/1/42)</b><br />
ジョーンは、El CortezホテルのSky Roomでのパーティーで新年を迎える。スタン・ケントン楽団の演奏でジューン・クリスティが歌う中、出口へ向かう。<br />
エレベーターを降り、混んだロビーを抜け、駐車場へ。雨に濡れながら自分の車を見つけ、乗り込む。<br />
まずヒーター、ワイパーを動かし、煙草を点けて、湾岸道路を北へ。<br />
彼女は真珠湾攻撃の日に、軍隊に志願した。<br />
生物学の学位が有利に働いた。海軍看護隊。戦艦勤務が待っている。<br /><br />
ジョーンは、ウィスコンシン州モンロー郡出身。彼女の父は消防士だった。森林火災に巻き込まれ、亡くなる。<br />
合衆国森林局の調査では、「放火である証拠はない」。<br />
だが、ジョーンは納得しなかった。鑑識学を学び、独自に調査する。<br />
検出された航空燃料の痕跡。調査はひとりの容疑者をあぶりだす。Mitchell A. Kupp。自称発明家。リンドバーグの友人。<br />
だが、彼女の力ではそこまでだった。ジョーンは鑑識学を捨て、看護学へと進む。そして真珠湾攻撃。<br /><br />
豪雨により視界が悪化して行く。雷光が走る。ヴェネツィア大通りの標識。右へ曲がる。<br />
飲酒による知覚反射能力の低下。突然の光に目が眩む。ヘッドライト。<br />
目を押さえ、ハンドルを失う。彼女は光と大きな何かと衝突する。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
そして最後、4人目は前作で登場した日系鑑識官、ヒデオ・アシダ。<br /><br />
<b>ヒデオ・アシダ/(Los Angeles, 2:30 AM, 1/1/42)</b><br />
アシダの物語は、市警察地下の留置場、フジオ・シュドーの房の前から始まる。護衛役として同行しているのはリー・ブランチャード。<br />
眠っているシュドーを見ながら、アシダは自分がダドリー・スミスの意に沿って、証拠を捏造することで、シュドーをワタナベ事件の犯人に仕立て上げることに一役買ったことを思う。<br />
お陰で自分と家族は拘留から逃れ、ホテル暮らしができている。<br /><br />
アシダはビル・パーカーからの呼び出しで、交通事故現場へ向かう。ヴェネツィア大通り。<br />
2台の車の衝突事故。36年型ダッジ・クーペは、運転手側のドアが外れている。それが運転していた女性を助けたようだ。<br />
地面に血まみれの四つのシート。四人のメキシコ人男性が死亡。フロントシートとバックシートに二人ずつ。<br /><br />
ビル・パーカーが到着する。パトロールカーから降りるとき、空の酒瓶が転げ落ちる。<br />
アシダは目を逸らす。くぐもった悲鳴。トランク。少し開いている。<br />
アシダはトランクを開ける。小さな男の子。スペアタイヤの下敷きになり既に死んでいる。女の子。何か喋り、血を咳込む。<br />
アシダは女の子を抱き上げる。その手の中で息絶える。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
4人の主人公の話はこのように始まり、そしてこの順番で交互に語られて行く。<br />
後はそのへんごちゃごちゃにしてある程度のところまで、あらすじという感じでまとめて行くので。<br />
あと、ここまでで気付いたんだけど、前作の時点からそうだったのだろうと思うけど、他の3人は主にファーストネームで書かれるのだが、ヒデオ・アシダのみ姓であるアシダが主に使われている。この辺、エルロイってちゃんと日本人の習慣的なところまで
把握して書いてるんだなと思う。<br /><br />
まず、エルマー・ジャクソン。彼は拾ったトミー・グレノンのアドレス・ブックを捜査課には提出せず、個人的にその内容を調べ始める。<br />
ダドリーのチャイナタウンにおける捜索に駆り出され、そこで寄り道をして、Eddie Lengが彼の店で惨殺されているのを発見する。<br /><br />
留置場で目覚めたジョーン・コンヴィル。そこにビル・パーカーが現れる。ジョーンは、パーカーが自分をストーカーしていた男だと、すぐに気付く。<br />
事故で死んだ四人のメキシコ人は、いずれも複数の犯歴のあるウェットバック。<br />
パーカーはそれらの事故死を不問とする代わりに、彼女がかつて学んだ技術を活かし、鑑識課で働くことを半ば強制的に提案し、ジョーンもそれを受ける。<br />
そして、車のトランクで死んでいた二人の子供については、ジョーンには告げられず、秘匿される。<br /><br />
ヒデオ・アシダは、リー・ブランチャードと護衛の任を交代したエルマーとともに、新たに通報を受けた現場へと到着する。<br />
グリフィス・パークのゴルフ場で、大晦日からの豪雨により土砂崩れが発生し、白骨化した死体が収められた木箱が発見された。<br />
遺体は男性のもので、その様子から殺害されたものと、アシダは判断する。木箱が焼け焦げていることから、それは1933年に発生したグリフィス・パーク火災に、何らかの形で関係するものと思われる。<br />
1933年のグリフィス・パーク火災。それはエルマーの兄、Wayne Frankが死亡した場所だった。<br /><br />
遺体と箱は所の鑑識課ラボへ運ばれ、そこで綿密な調査が始まる。新たに鑑識課に加わったジョーン・コンヴィルも、そこに参加してくる。父の火災による死が鑑識学に入るきっかけだったジョーンは、グリフィス・パーク火災に関係があると思われる
遺体の捜査に熱が入る。<br /><br />
米軍SIS大尉としてメキシコに赴任したダドリー・スミスは、カルロス・マドラーノの後継Jose Vasquez-Cruzとも知り合い、当地での地歩を徐々に固めて行く。<br />
破壊工作を目論む第5列の捜査を進めるうち、現地の大使館員で現在行方をくらましているKyouho Hanamakaという男に目をつける。<br />
Hanamakaの住居を捜索に行ったダドリーは、そこに隠し部屋を見つける。その中には、ナチスの旗、旭日旗、ソ連邦の旗、スペインのフランコ政権のナチス旗、KKKの旗、イタリアのレッドシャツ大隊の旗などが飾られ、ナチスの制服、日本の海軍服
といったものもしまい込まれていた。<br />
ダドリーはその中で、純金の銃剣を手に入れる。その柄には鈎十字が彫り込まれていた。<br /><br />
ここで登場するKyouho Hanamakaという日本人。ハナマカってどういう漢字だろう、まあそもそも考えてないんだろうな、と思って読んでいたら、終盤このHanamakaとヒデオ・アシダが対峙する場面があり、そこでお互いの名前を
呼ぶところが一度だけ漢字で表記される。それによると、これは花丸。少し調べてみたが花丸にハナマカという読み方は見つからなかったので、根本的に間違い・勘違いの類いなのだろうと思う。ちなみにアシダは芦田。<br />
このHanamakaの隠し部屋の、反米主義と不寛容思想の混乱のような状態は、本作のテーマ・中核といった部分に大きく関わるものである。<br /><br />
ダドリー・スミスのメキシコパートの序盤であるこの辺りで、クレア・デヘイブンがジョーン・クラインという15歳の家出少女と出会い、何かと面倒を見るうちに、クレアの養女的扱いで、メキシコ-アメリカをともに行動するようになる。<br />
ジョーン・クラインというのは、アンダーワールドUSA三部作最終作『Blood's A Rover(邦題:アンダーワールドUSA)』に登場する左翼運動の中で暗躍する謎の女。前作『Perfidia』では、ブラックダリア べス・ショートがダドリーの
隠し子とて登場したのに続き、過去作のキャラクターの出自が明かされる。<br />
ところでこのジョーン・クライン、ジョーン・コンヴィルと同じジョーンで、後々結構読んでて混乱するのだが、エルロイもそのことには後で気付いたようで、主に登場するダドリーパートでは、時々ヤング・ジョーンとか書いて
区別している。俺のキャラクターいっぱいいるからな、てへっ、ってところで勘弁してやれよ。<br /><br />
エルマー・ジャクソンは、署内でEddie Leng殺害に関係があると目されている日系人拘留者を、市警本部長ジャック・ホラルの暗黙了解の元、エース・クワンが半ば報復目的で、陰惨に拷問しているところを見つけ、思わず止めに入る。<br />
このことからエース・クワンとの間に個人的に確執が生じ、更に後にエルマーの反ダドリー・スミス的行動にもつながって行く。<br /><br />
グリフィス・パークの白骨死体は、失踪人届のリストなどの照合から、Karl Tullockという人物に特定される。その背景を調べて行くと、グリフィス・パーク火災にさらに遡る1927年に発生した、金塊輸送列車強盗事件への関与が
浮かび上がってくる。<br />
更にそれを決定的としたのは、遺体の着衣の残存から発見された金の欠片。そこに刻まれた数字からアシダは、それが示す貸しロッカーを特定し、そこに一本の金塊とTullockとエルマー・ジャクソンの兄Wayne Frankへ宛てたメモを発見する。<br />
「お前らは死んで、俺は死んでいない。俺はお前らが手にれられなかったものを手に入れた。30ポンドの純金。お前らはこのために死んだ。」<br />
アシダはこれらの情報と金塊を、個人的に秘匿する。<br /><br />
だが、鑑識作業に加わっているジョーン・コンヴィルも、独自に遺体と金塊輸送列車強盗事件の関係を突き止め、アシダが発見されていない盗難された金塊の行方を探っていることにも気付く。<br />
鑑識学を学んでいる時点では、その権威のひとりとしてヒデオ・アシダを尊敬していたジョーンなのだが、実物に会い、ダドリー・スミスの手下ぐらいの立場で、度々呼び出されてはメキシコに向かう様子などを見て、尊敬の念は割と早期に失せ
鑑識技術はともかくとして、人間的には侮り始める。<br />
また、当初は微妙にビル・パーカーの愛人的立場だったジョーンだったが、次第にダドリーとも近くなり関係を結び、両者暗黙の了解の上、ビル・パーカー、ダドリー・スミスの間で三角関係となる。<br />
アシダは、ジョーンとダドリーが接近する様子を知り、隠しては行けないことを悟り、ダドリーに金塊強盗事件について話し、その探索は三者共通の秘密となって行く。<br />
また、ダドリーが見せびらかすKyouho Hanamakaの隠し部屋で手に入れた純金の銃剣も、アシダにより盗まれた金塊から作られたものであることが確認される。<br /><br />
メキシコの路上で、ダドリー・スミスは拳銃を持った左翼系のスローガンを叫ぶ暴漢に襲撃される。その時、路地から現れた痩せた男がショットガンで暴漢を倒し、ダドリーの命を救う。<br />
後に彼を救った男がSalvy Abascalという人物だと知り、お互いに知り合い、その後多く連携して活動して行くこととなる。この人物がダドリーのメキシコでの運命を大きく動かして行くこととなる。<br />
Salvy Abascalは実在した、メキシコのローマ・カトリック極右の政治組織National Synarchist Unionの活動家である。<br /><br />
そしてLAでは、黒人街のジャズクラブKlubhausで、市警の外国人対策班、日系人の逮捕拘留・資産の押収などに当たっていた新たに雇用された警官ジョージ・カペックと、ウェンデル・ライスの二人がもう一人のメキシコ人とともに殺害されるという事件が
勃発する。<br />
鑑識として捜査に当たるアシダとジョーン。<br />
そしてエルマー・ジャクソンは、新たな名前などを追加したトミー・グレノンのアドレス・ブックを、階上のベッドで発見されるよう仕込む。<br />
Klubhausの持ち主は、黒人活動家、説教師のMartin Luther Mimms。市警本部長ジャック・ホラルとも強いパイプを持つ。<br /><br />
ジョージ・カペックとウェンデル・ライスは、うまく入れられないんで抜けてたけど、この作品の最初の方から背景的なところで暴れている。前作終盤あたりだったと思うけど(見つからん…)、誰かが警察の人員不足解消のための補充要員として、
候補者リストを見て、こんなのしかいないのか、と思ってた中にいた二人のはず。<br />
そういえば、トミー・グレノンについても前作で出てきたと思って日本語カタカナ表記にしてあるけど、見つからず、もしかしたらヒューイ・クレスマイヤーのムショ仲間でダドリーの密告屋っていうことで、設定の似ているトージョー・トム・チャスコと
混乱してるかもしれんと思い始めてたり…。<br />
まあエルロイのキャラクターいっぱいいるからな、てへっ。<br /><br />
大体これで250ページぐらい、全体700ページ近くなんで、3分の1強ぐらいか。まあ、250ページ以下で終わる本も山ほどあるんだが。<br />
ただ、ここでは4人のキャラクターにより、4つのストーリーが語られているわけなので、それぞれに分ければ60ページと少しという感じで、まだまだ序盤。しかしその一方で、エルロイの切り詰め、圧縮された文体では、通常の小説よりも
かなり情報量も多くなるわけで…、とか細かいとこ考えてても仕方ないか。<br />
とりあえず、ここまでに出てきた、1927年の金塊輸送列車強盗事件、1933年のグリフィス・パーク火災、そしてここで発生したKlubhaus殺人事件が物語の軸となって行くというわけなので、そこまではあらすじとして
まとめとかなければで、やや強引にこの辺まで進めた。<br /><br />
多く省略したところでは、エルマー・ジャクソンのトミー・グレノンのアドレス・ブックからの独自調査。グレノンのホテルの遺留品などからも第五列との関わりを嗅ぎ付けたエルマーは、その方向を強調する形でアドレス・ブックに
手を入れ、Klubhausの事件現場に残してくる。<br />
一方、グリフィス・パーク火災については、発生当時左翼グループによる放火の可能性が疑われており、エルマーはその方向にも探りを入れ始める。だが、その火災事件・金塊強奪事件への彼の兄Wayne Frankの関係は、
アシダ-ジョーンらの間で留められ、エルマーには伝えられない。<br /><br />
ダドリー・スミスは、自身の計画のため、メキシコ国内における人脈・地盤作りに向けて動く。その一方で、それに影響を及ぼす可能性もある第五列のメキシコ国内における動きにも探りを入れる。ダドリーのスタンスは、こちらに取り込み
利用できるものならば手を結ぶ、ぐらいのもの。ヒデオ・アシダは、ダドリーのメキシコの行動にも強い懐刀となって行く。<br />
また、前作ではワタナベ事件の真犯人がジム・二挺拳銃・デイヴィスであることは、ビル・パーカーのみに伝えられたものだったが、今作ではダドリー・スミスもそれを知るところとなり、その情報は次第に市警内部に広がって行く。だが、それが
何かを変えることはなく、公式には犯人はフジオ・シュドーのままなのだが。<br /><br />
調査が進むにつれ、金塊輸送列車強盗事件とグリフィス・パーク火災の間には、共通した人物の暗躍などの繋がりが見えてくる。更にそれらの人物とKlubhausの関わりも。<br />
また、殺害されたカペック、ライスの二人が、拘留した日本人から押収した銃器を、大量に横流ししていたことも発覚し、市警上層部ジャック・ホラルからはKlubhaus殺人事件に、問題が拡大しないような綺麗な解決が求められる。<br />
ナチス信奉者、左翼活動家、日系人テロリスト、様々な思想・人種の混濁は、メキシコの地での、全体主義思想によって結びついた、ナチズムとスターリニストの戦後を見据えた結託に繋がって行く。<br />
それぞれの思惑によって行動する、4人の物語は、それぞれの方向から戦時下のLAの水面下の暗黒の動きを浮かび上がらせて行く。<br /><br />
<p style="border:2px solid #cccccc; margin-bottom:30px;"></p>
ここで、少し前シリーズアンダーワールドUSA三部作まで遡って、エルロイ作品には何が書かれているのか、どう誤読されるのかについて確認して行きたい。<br />
アンダーワールドUSA三部作で、結構起きていると思われるのが、ケネディ暗殺の真相!みたいな安直な誤読。そんな安手のテーマのためにエルロイが小説を書くわけねえだろ。<br />
ここで描かれているのは、アメリカの底辺レベルのところから湧き上がってくる、差別偏見、不寛容、貧困、憎悪、欲望といったものが、社会上層まで充満し、それが暴力として形を取り、ケネディやマーチン・ルーサー・キングを
殺すという構造である。<br />
そこのところを、物語の結末から歴史のお勉強レベルで表層的に理解したつもりになっていると、この新LA四部作についてはそもそも何が書かれているのかさえ見失う。<br /><br />
ではこの新LA四部作では何が書かれているのか?<br />
それはアンダーワールドUSA三部作で描かれたものと同様の、社会の表面下、水面下のすぐそこでうごめいている日常的レベルの暗黒を、戦時下という特殊状況において、更に凝縮された形で描くのがこの新LA四部作なのだ。<br />
戦時下、「社会正義」のみが大手を振って歩き、モラル的、コモンセンスとしての「正義」など容易に踏みにじられる状況。<br />
そもそも根本的な警察の役割とは何か?それは社会秩序の維持。その本来の目的と、コモンセンスとしての「正義」が一致したときのみ、一般的な感覚で言うところの、正義が執行される。<br />
前作『Perfidia(邦題:背信の都)』においては、いつも一つの「真実」と、社会に示される「犯人」は一致しない。<br />
「犯人」は苦渋の決断として「会議室」で決定されるわけでもなく、「事件は会議室で起こってるんじゃない!」と怒る都合のいい正義漢もいない。<br />
各方向から示される容疑・証拠は、クイズの正解に導くヒントなどではない。単なる警察内の腐敗にとどまらない、「真実」と「犯人」の一致さえ意味を持たない、社会全体の腐敗・背信を描き出すためのものだ。<br />
実は、この新LA四部作になってからは、作品全体のスタイルはある意味クラシックな謎解きミステリに近くなっているようにも見える。それは馬鹿らしい「原点回帰」みたいなものではなく、徹底的に切り詰め、圧縮された、現在のエルロイの
記述スタイルから来るもの。<br />
このスタイルにより、細かい風景描写などは省略され、またあるいは雑多な手順や手続きも省かれ、証拠や容疑者の尋問に至る。また時系列順に並んだ4人の視点が交互に出てくるスタイルからの、割と重要なことが起こっていないパートでの
これまでの事件関係の容疑者・証拠などのまとめおさらい的なものが繰り返されるといったもの。後者に関しては意図的にその謎解きミステリ手法を取り入れてるのかも。<br />
だが、先に書いたようにここから導き出されるものは、謎解きクイズの答えとしての「真実」といったものではなく、その「真実」すら大きな意味を持たなくなる状況である。<br /><br />
そして今作『This Storm』においてもそれは同様。物語の終盤では、「真実」が明らかになるが、それはこの作品の「答え」などではない。<br />
四部作第一部では、戦時下の社会の腐敗・背信が描かれたが、第二部ではさらにその上に、反米主義という一点で左翼活動家とナチ信奉者という異物とも思えるものが結びつき、それが犯罪という形をとる上で、KKKや黒人運動までが
合流してくる混沌を描いて行く。<br /><br />
This storm, this savaging disaster.<br /><br />
タイトルにもつながる、作中で何度も繰り返される、この混沌の状況を表す本作のテーマである。<br /><br />
(作中では英国の詩人の言葉だと書かれているが、実は多くの部分はエルロイの創作であることが、インタビューで語られている。
(<a href="https://www.bigissuenorth.com/reading-room/2019/06/author-q-a-james-ellroy/#close">Big Issue North/Author Q&A: James Ellroy.</a>))<br /><br />
ジェイムズ・エルロイは、悪と暴力を作品テーマとする異端の文学者だ。<br />
しかし、それらが人間存在の根源に関わるものとして、(まー異論があるなら日本以外で)世界の文学作品のテーマ、トレンドとなる昨今では、もはや異端ではないのかもしれない。<br />
だが、それらの中でも、ミステリ・エンタテインメント・ジャンルに活動の場を置くことで、最も尖鋭的で突出した形でそれを表現しているのが、ジェイムズ・エルロイであり、その意味では常に異端の作家だ。<br />
ジェイムズ・エルロイこそが現代最強の文学者であり、ミステリ作家だ。ジェイムズ・エルロイは何が何でも読まれ続けなければならない。そんなのあたりまえのことなんだよ。<br /><br /><br />
というところで、ジェイムズ・エルロイのその後・近況。<br />
まず最初に、ここまで延々「新LA四部作」と書いてきたが、実は五部作になることがごく最近発表された。<br />
いや、知ってる人は知ってるだろうし、ここでビックリみたいに発表するような形にするつもりではなかったのだけど、なんか最初の勢いにうまく入れられなくて…。実はずっと、四部作と書くたびにホントは五部作なんだけどなあ、と
引っ掛かっていたのだけど…。まあ、新情報で知らん人もいるだろうから説明なしには書けんし、というところで…。<br />
つーわけで、新LA五部作となりました。<br />
それが発表されたのは、間もなく、というかそれまでに書き終わってアップできんのかなというところなんだが、本年9月12日に世界に向かって放たれるエルロイ最新作『The Enchanters』の出版に際して。世に名高いマリリン・モンローの
変死から始まるこの作品は、当初別の独立作品かと思われていたのだが、これが第三作として入り、新LAは五部作となることが、出版社・編集者を通じて発表された。<br />
当方としては、やっと第二部読んだところで第三部来てくれたか!というところなんだが、実は第二部『This Storm』とこの作品の間には一冊単独作品として『Widespread Panic』(2021)が出版されている。アンダーワールドUSA三部作に登場した
LAの私立探偵フレッド・オターシュが主人公ということで、エルロイによるクロニクル全体の外伝的作品になるのだろうと思っていたが、最新作の内容説明あらすじの中にもオターシュの名前があることから、作中でこっちの事件についての
言及があるやもしれず、まずこっちから読まねばならんだろうな。<br />
というわけでやっとエルロイの続きに乗れたボクは、ワクワクドキドキの毎日です。エルロイが現在も現代ミステリの最前線を驀進中なのは見ての通り。誰かのマネして「エルロイは○○がピーク」とか吹かしてるひょっとこがいたらケツ蹴っ飛ばしとけや。<br /><br />
</span></span>
<h3 style="clear:left; font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■ミステリは迷惑しとる!何とかしてくれ!</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ここで、いつまでたってもエルロイの続きの翻訳が出ない、もしかしたらもう出ないんじゃないかという、日本のミステリ状況を確認し、改めてその戦犯どもを糾弾しておきたい。というわけで、まずは現在の日本のミステリ状況を示した次の図を見るべし。<br /><br />
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEje0QAC0J6q66WPDu5Iir_E-lCRdJj2KCRN8MUyyebPB7EempYvKLzvQq2O2TSivvWpXe0KntUURXu-R5cjxlQ1Imi02FiMZSiB3qz0iEzkPCNoQgoWG2vnM4dv6FAetURu53Mmg3dHLLzM6286klaI7bchLwvrawPfu4t_os4Femn8Sh28B-svaEyG2WA/s1600/TheStorm_01.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="400" data-original-width="1000" width="550" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEje0QAC0J6q66WPDu5Iir_E-lCRdJj2KCRN8MUyyebPB7EempYvKLzvQq2O2TSivvWpXe0KntUURXu-R5cjxlQ1Imi02FiMZSiB3qz0iEzkPCNoQgoWG2vnM4dv6FAetURu53Mmg3dHLLzM6286klaI7bchLwvrawPfu4t_os4Femn8Sh28B-svaEyG2WA/s1600/TheStorm_01.jpg"/></a></div>
まあわかりやすくするために、色々比率とかは適当なんだが、説明すると、まず上段が国産ミステリで、下段が海外ミステリ、左の方で縦に区切ってる左が戦前で、右が戦後。で、右端が現在という形になっている。<br />
まず赤部分から説明すると、日本で一般的に自分をミステリファンだと思ってる人の認識する「ミステリ」。主に戦後の国産ミステリを読み、海外ミステリというのは戦前のクラシック、アガサ・クリスティやコナン・ドイルぐらいまで。<br />
最初にこっちからまとめちゃうと、この「ミステリ」認識は日本国内のみで通用するもので、日本で多く言われるような「犯人聞いちゃったらもう読む意味がない」ような謎解き・パズル・クイズ型のミステリはクラシック・ジャンルの
もので、現在そのようなものは日本以外では書かれていない。<br />
まあそんなこと言ってみても、この辺の層についてはどうすることもできないんだが、せめて国内のみで通用するガラミスという認識で、Jポップぐらいの感じで「<b>Jミス</b>」とでも呼ぶくらいの礼儀は示してくれ。
図を分かりやすくするため、同じぐらいの高さにしてあるが、翻訳されないものも含んだ実際の出版総量で言えば、海外の方が10倍以上でも少な目ぐらいの比率なんだし。<br />
まあホントどうにもなんないところなんで、この部分についてはとりあえず他を説明するための前置きということで。<br /><br />
次にピンク部分は、戦後から2000年ぐらいまでの海外ミステリで、もちろんすべて翻訳されているわけではないが、ミステリとして認識されているもの。この辺にもハードボイルドの本格通俗など愚行は多いんだが、まあまあミステリジャンル全般が薄く広くぐらいには
認識されていたんじゃないかと思う。ここの細かいところまで文句言い始めたら話進まなくなるんで、とりあえずこれはこれで。<br /><br />
そして大問題の2000年頃から現在に至る、<b>読書のプロ暗黒時代</b>。世紀の愚発言として記憶されるべき「ジム・トンプスンを一位にしたのはまずかったネ」に象徴されるこの時代、「ミステリ評論」なるものは底辺まで劣化する。
具体的にはこの能無しどもが主導する馬鹿げたミステリランキングにより。<br />
「ジム・トンプスンを一位にしたのはまずかったネ」。これがどういう意味か?「所詮読者は馬鹿なんで、文学的だったりするもんにはついてこれないんで、そういうのは無視して誰でもわかる「売れる本」基準でランキング作りましょ」ってことだ。<br />
で、どうなった?売れる本選んで翻訳ミステリが隆盛したんかい?結果は果てしない右肩下がりで、翻訳ミステリはもはや絶滅寸前だ。<br />
要するに、「売れる本」なんて言ってみたって、本当の基準も目安もない。ただ唯一手掛かりとなるのは、日本の売れる本Jミス基準。ジェフリー・ディーバーを世界のミステリの最高峰に持ち上げるような珍妙な翻訳ミステリ史を作り上げる迷走を続けた挙句、結果的にはJミス基準に媚びた謎解き重視のランキングへと劣化する。そこで日本のミステリ評論のなかで雌伏し続けていた諸悪の根源、日本以外には存在しない
「本格ミステリ」なる教義を崇拝するクイズオタクカルトが隆盛を謀ってくるわけだ。<br />
だが、何度も言うが、海外のミステリはもはや戦前のような謎解き・パズル・クイズメイン、教団の言うところの「本格ミステリ」などでは書かれていない。しかも「ジム・トンプスンを一位にしたのはまずかったネ」以降排除される「売れない本」傾向も
決まっている。そこに加えて、ただ前時代(ピンク部分)の評論をよく考えも検討もせず、右から左に流用するばかりの(例:本格ハードボイルド「御三家」)無能な自称ミステリ評論家の跋扈。<br />
結果翻訳出版以前に、日本で海外ミステリと認識されているものの総量自体が右肩下がりに減少して、限られた範囲以外はわからなくなってしまっているというのが、図のブルー部分<b>読書のプロ暗黒時代</b>。<br />
以前にも何度も書いたと思うが、現代のミステリにおいて、ホロヴィッツ以外に評価すべき作家が見つからないのではない。ホロヴィッツしか選べない連中によってランキングが作られているだけの話で、そのランキングが日本の海外ミステリに
関する基準となっているのが、現在の日本の悲惨なミステリ状況なのだ。<br /><br />
そして、現在そこから外れた白の空欄となってしまった部分に存在する最も重要な作家が、ジェイムズ・エルロイなのだ。<br /><br />
まあこういうこと言っとると、<br />
私は言いたい(タメ改行X2) 犯人当て謎解きミステリーのどこが悪い!(太字、フォントサイズ+5)ドヤッ!(フンス!)<br />
みたいな人出てきそうだが、んーまあ、別にいいんじゃない?<br /><br />
私は犯人当て謎解きミステリーが悪いとは言っとらん。それが好きならそれ読んでりゃいーじゃん。<br />
だが日本以外のミステリはその基準じゃ絶対語れんということだ。<br /><br />
君らが「ミステリ」だと思い込んでいるパズル重視のミステリは、遥か昔に終わっている。<br />
そこに代わって現れた、ハメット、チャンドラー以降、ハードボイルドジャンルを中心に、ミステリの最もシリアスな部分は、常に小説・文学という方向に進化し続けている。<br />
はっきり言って君らがクリスティ、ドイルに留まり続けてミステリを語っているからって、ハードボイルドは既にハメット、チャンドラーだけ読んでりゃ語れるもんじゃなくなってるんだよ。<br />
謎解き=頭脳労働、ハードボイルド=肉体労働、みたいな幼稚の極致の分類なんて、もはや東大生がクイズ解くのを見て「かしこいねえ」とか感心してる層ぐらいまでが限界だろ。<br /><br />
ミステリは文学と同じく生き物だ。君らがどんなにそのままでいてくれと望もうが、それを作る作家たちは常に高みを目指し、進化し続け、同じところにはとどまらない。<br />
そしてその進化の最先端にい続けるのがハードボイルドジャンルであり、それゆえ文学者たちもそこに惹かれ、ハードボイルドの創作を試みる。ノーマン・メイラー、トマス・ピンチョン、などなど。近年のコーマック・マッカーシーや、
ドナルド・レイ・ポロックに至ってはその境界すらが、限りなく下がってきている。<br />
言ってみりゃあ、そうやって進化し続けている部分こそが「本格」ミステリであり、旧来の謎解きメインのものが「通俗」ミステリ、「大衆」ミステリ、ってとこだろう。<br />
そしてその最先端に立つ作家が、ジェイムズ・エルロイなのだ!<br /><br />
しかし、まあ以前から言ってるように、私は日本でハードボイルドが翻訳出版されるためにこんなことをやっているわけではない。もうそんなの当の昔に諦めたよ。安心して<b>Jミス</b>読んで、<b>Jミス</b>ファンでいてくれたまえ。<br />
こんな国はケン・ブルーウンやジェームズ・リー・バークのような優れた作家・小説が翻訳されるには、全く値しない。<br />
2000~10年代に輝きを放つAnthony Neil SmithのBilly Lafitteや、Ray BanksのCal Innesはこんな国に翻訳されるには、あまりに美しすぎる。<br />
エイドリアン・マッキンティも、あんな汚物を平気でケツに塗りたくって出版されるような状況なら、いっそ翻訳なんてされない方がよかったとさえ思う。<br />
だがジェイムズ・エルロイは別だ。<br /><br />
ジェイムズ・エルロイは、たとえこの国のミステリ状況がそれにそぐわない脱力ナゾトキランドで、それを受け止められる読者がどんなに希少でも、絶対に翻訳出版されなければならない作家だ!<br />
ジェイムズ・エルロイの翻訳出版が止まってしまうことは、日本の出版文化に関わる損失だ。<br />
そのくらいわかっていて、出版のために頑張っている人たちが僅かといえどもいてくれることを、私は信じているよ。<br />
前にも書いたけど、それが遅れている要因としては翻訳の問題ではないのか?これは日本にエルロイを翻訳できる能力がある人がいないなどと言っているわけではない。だが、これだけの難易度の高い作品なら、それなり一流ランクの
翻訳者が必要になるし、そういった人がこれだけの大作を手掛けるだけの、時間なり、環境を作ることが難しいのではないか、ということだ。<br />
まあしばらく前まではこの国のミステリ状況のあまりの惨状に、もうエルロイも出ねえのかよ、バカヤロー、ぐらいに思っていたが、今はいつか必ず出ると信じたい気持ちになっている。<br />
どうかそれだけは頼むよ。日本でちゃんとジェイムズ・エルロイだけは出して下さい。<br /><br />
えーと、各方面への無差別暴言罵倒に関しては、いつもの通り全く反省してないんだが、ちょっと話の都合上、Jミス十把一絡げにし過ぎたのはちょっと悪かったかな、と思っている。<br />
こんな状況で苦戦してる作家の人や、なかなか出版の機会が得られないような人が、もしここを見るようなことがあって、傷ついたようならごめんなさい。少し言い過ぎました。<br />
き、気にしてないんならいいんだけど…。一応謝っとこうと思っただけよ!べ、別にあんたのことなんかなんとも思ってないんだからねっ!勘違いしないでよねっ!<br /><br /><br />
</span></span>
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<h4>■キリング・ヒル/クリス・オフット</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
既に長くなりすぎてて、ここでおまけを入れるのも何なんだが、次回これやりにくい事情があるんでここに押し込みます。<br />
クリス・オフット『キリング・ヒル』。えーとこれ、前々回に最後に2020年代ぐらいのハードボイルド注目みたいのを、いくつか並べているときに、実はこれも目をつけてて入れとこうと思ったら、翻訳が前の週ぐらいに出てたのに気付き、本屋行って
買ってきて読みました。<br />
まず、読み始めて最初のあたりで、これはカントリー・ノワールだな、と気付くのだが、まあこっち的にはおなじみだが、日本じゃ全く出ないし、あんまり浸透してないかと思うんで、ここで少し解説しとく。<br />
カントリー・ノワールの開祖は、1980年代から作品を発表している、映画化された『ウインターズ・ボーン』などでも知られる作家ダニエル・ウッドレル。この人自身の命名によるジャンルなので、この人が開祖。アメリカの田舎地方・自然を舞台とした
犯罪小説ジャンルで、この辺に属する有名どころでは、ジェイムズ・リー・バークや、ジョー・R・ランズデールなど。近年翻訳されたものではトム・ボウマンの『ドライ・ボーンズ』。あとドナルド・レイ・ポロックなんかもそこに分類される
こともある。<br />
80年代ぐらいからずっと続くというよりは、近年犯罪ジャンルの中心が地方・ローライフというあたりに広がるにつれ、注目が高まりややブームぐらいの感じになっている。結構バークやランズデールとかは、後付け的に入った感じ。<br />
こういった傾向は、例えばしばらく前のだけどTVシリーズの『ブレイキング・バッド』なんかも、そのしばらく前からアメリカの犯罪小説ジャンルで、田舎町で頭の悪いチンピラとかが適当な覚醒剤を作ってるみたいなのが、お馴染みの風景ぐらいになってきてた
ところで、なるほどこう来たかみたいな感じで出てきたもんで、そういった動きの一環とも言える。<br />
カントリー・ノワールというのは、その辺の動きから再発見的につながっていったものなんだろうと思う。地方・ローライフ傾向がさらにディープとなり、救いようのない貧困やら、ヒルビリーの土着の異なったモラルみたいなものも描かれて行くこととなる。<br />
遡ってルーツをたどれば、フォークナーやフラナリー・オコナーとかのサウザン・ゴシックに繋がるもので、日本じゃあまりにも出ないし情報少ないんで、C・J・ボックスとかとすぐ混乱されるんだが、そういった自然・アウトドア方向のものとは
根本的に成り立ちが違う。むしろ『テキサス・チェーンソー』みたいなもんの方が近いとも言える。<br />
ちょっと説明前置き長くなってしまったんだが、作者クリス・オフットは、元々地元ケンタッキー土着という感じの、短編小説やバイオロジー的な作品、ノンフィクションなどの文学寄りの作家で、あとはTVシリーズの脚本がいくつか、というキャリア。
最初のエンタテインメント・ジャンルの作品ということで、結構期待してて読み始め、おうカントリー・ノワールかい、とさらに期待も高まったんだが…、えーやや微妙…。<br />
どうも主人公ミック・ハーディンという人が良く見えない。なんかうまく言えないんだけど、いわゆる「人間が描けていない」的な純文学説教的なことではなく、なんか側だけ書かれてるんだけど中身が書かれていないような妙な印象。もしかしたら
翻訳のせいかもぐらいにまで引っ掛かりながらしばらく読んでて、結構進んでから気付いた。とりあえずこの作品については、この人のキャリアで考えるべきは文学方向ではなくTVシリーズの脚本の方。<br />
そういう脚本がどう書かれているのかまでは知らないが、例えばマックス・アラン・コリンズとかがよくやってたそっちからのノベライゼーションみたいなのから、逆算的に考えるとわかる。そういうもんでは既に役者が演じているキャラクターだから、
そこんとこ書き込み過ぎてもキャラが変わっちゃうんで、あんまり中身は書かれず、そっちの元の方で補完して、というかできてる感じで読める。この主人公ミック・ハーディンは、そんな感じで書かれている。つまり実際にはないTVシリーズの
ノベライゼーション作品的印象。<br />
なーんか名前とかは思い出せなくても適当にそういうので見た外国の役者とかを当てはめ、イメージして読むと割としっくり読めるかも。あと別のキャラクターメインのシーンに、ちょくちょく切り替わるあたりもTV的かも。もしかすると、TVシリーズの
プロモーション的に作ったけど売れなかったのを小説に直して出したのかもしれない。<br />
ストーリーその他については、カントリー・ノワール方向をきっちり押さえている感じだけど、若干TV方向にライトな感じかも。ライト・カントリー・ノワールとかな。<br />
わざわざ取り上げた割には、あんまりおススメしている方向でなくて申し訳ない。まあ自分としては、こういう方向のものがあるなら、カントリー・ノワール展開の一形態として押さえときたいところなので、まあ翻訳で簡単に読んでおけてよかったか
というところなのだが。とりあえず、第1作は仮想TVノベライゼーションっぽくなってしまったが、元々書けない人でもないだろうし、第2作以降は立て直してもっと小説作品として書いてくるということもあるかもしれないしね。<br />
クリス・オフット/ミック・ハーディンシリーズ、次も翻訳出るなら、自分的には読んでおきたいというところです。<br />
あと、このクリス・オフットという人Wikiによると、マイケル・シェイボン編集のコミックのアンソロジー『Noir』というのに参加してるとのこと。Dark Horse Comicsから出てるのに同タイトルのがあるんだが、これのことなのか、イマイチはっきりせん。
Dark Horseのやつに関してはそのうち読む予定なので、そこにいたらまたクリス・オフットについてちょっと書くことになるかも。<br /><br /><br />
で、終わりっす。なんかさすがにジェイムズ・エルロイともなると、書き始めるとのめり込み過ぎて、頭があんまり他に回らなくなり、コミックの方もペースが落ち、仕方ないんでしばらくそっちを休んでこっちに集中しました。なんかまだ言わなきゃいかんこと
山ほどある気もするけど、かなり疲れたし、今回はこのくらいで。『ぼっち・ざ・ろっく』の新刊も出たことですし、マンガ読んで少し休んでまた頑張るです。まあ、読む方もご苦労さんでした。
</span></span>
<br />
<br />
<br />
<div style="margin-bottom:20px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■James Ellroy<br />
●新LA五部作</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NMzOaH"><p>合本 背信の都</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left; margin-bottom:20px;">
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</div>
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<a href="https://amzn.to/48EfW1G"><p>This Storm</p></a>
</div>
<div class="amList">
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</div>
</div>
<div style="clear:left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Widespread Panic</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47Essxr"><p>Widespread Panic</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-32161695817902969262023-08-18T18:00:00.002+09:002024-01-06T11:24:44.519+09:002023 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!<a href="https://amzn.to/47voDdv" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81B58RCfOZL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今年もやってきましたSplatterpunk Award!もうすっかり個人的に夏の風物詩となり、この発表を待ちかねていた人も日本に数人でもいるかもしれない、いてくれたらいいなあと思うSplatterpunk Awardです!…いや、私も前回、次はアレでーす、とか言って
終ってから、いや待てアレの前にコレあるじゃん!と思い出したぐらいだったりするのですが…。<br />
コロナの影響によりしばらくオンライン開催を余儀なくされ、昨年よりやっと復活したテキサスオースチンでのキラーコン。今年もめでたく開催され、8月11-13日開催の中日12日に各受賞作が発表されました。<br />
出版業界全体が停滞を余儀なくされた感のある時期、スプラッタパンク、エクストリームホラー・ジャンルもかなり沈滞した状況だったことが、ノミネート作品数の縮小からもうかがわれた2022年。しかし、各受賞作を少し詳しく調べてみれば、確実に
この先の新たな展開を担って行くだろう力強いラインナップ。各受賞作発表の後、それぞれの作品、作者について解説して行きます。
<br /><br />
<b>2023 Splatterpunk Award</b><br /><br /><br />
<a href="https://amzn.to/47voDdv" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81B58RCfOZL._SL1500_.jpg"/></a>
【長編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>Playground by Aron Beauregard (Independently Published)</b></li>
<li>The Television by Edward Lee (Madness Heart Press)</li>
<li>Faces of Beth by Carver Pike (Independently Published)</li>
<li>Last of the Ravagers by Bryan Smith (Thunderstorm Books / Death’s Head Press)</li>
<li>Mastodon by Steve Stred (Black Void Publishing)</li>
<li>Ex-Boogeyman (Slasher vs The Remake) by Kristopher Triana (Bad Dream Books / Thunderstorm Books)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/48D7Aau" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81VHsR4WicL._SL1500_.jpg"/></a>
【中編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>Plastic Monsters by Daniel J. Volpe (Independently Published)</b></li>
<li>Charcoal by Garrett Cook (Clash Books)</li>
<li>Grandpappy by Patrick C. Harrison III (Independently Published)</li>
<li>Mr. Tilling’s Basement by Edward Lee (Deadite Press)</li>
<li>#thighgap by Chandler Morrison (Cemetery Gates Media)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/3NRuyTk" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1PZEWlgpqL._SL1500_.jpg"/></a>
【短編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>“Jinx” by Bridgett Nelson (from A Bouquet of Viscera)</b></li>
<li>“Just Another Bloodbath at Camp Woe-Be-Gone” by R.J. Benetti (Independently Published)</li>
<li>“Of The Worm” by Ryan Harding (from Splatterpunk Zine issue 13)</li>
<li>“My Chopping List” by Stephen Kozeniewski (from Counting Bodies Like Sheep, The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>“Gutted” by Bracken MacLeod (from Splatterpunk Zine issue 13)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/3NRuyTk" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1PZEWlgpqL._SL1500_.jpg"/></a>
【短編集部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>A Bouquet of Viscera by Bridgett Nelson (Independently Published)</b></li>
<li>Always Listen To Her Hurt: Collected Works by Kenzie Jennings (Blistered Siren Press)</li>
<li>Mr. Tilling’s Basement and Other Stories by Edward Lee (Deadite Press)</li>
<li>Horrorsmut by Christine Morgan (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Pornography For the End of the World by Brendan Vidito (Weirdpunk Books)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/3S8Fajq" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81gSTmG8ApL._SL1500_.jpg"/></a>
【アンソロジー部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>Camp Slasher Lake, Volume 1 edited by D.W. Hitz and Candace Nola (Fedowar Press)</b></li>
<li>Human Monsters edited by Sadie Hartmann and Ashley Sawyers (Dark Matter Ink)</li>
<li>Counting Bodies Like Sheep edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Call Me Hoop edited by SC Mendes & Lucy Leitner, created by Drew Stepek (Blood Bound Books)</li>
<li>Czech Extreme edited by Lisa Lee Tone and Edward Lee (Madness Heart Press)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Monica J. O’Rourke</li>
</span></span></ul>
<br /><br />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
まず長編部門Aron Beauregardの『Playground』。Aron Beauregardは、昨年第5回のSplatterpunk Awardでは、短篇集部門で『Beyond Reform』が受賞しています。新勢力が遂にトップを取ったという感じか。<br />
このAron Beauregardという人、アマゾンで見てもこの数年の間に非常に多くの作品をリリースし、精力的に活動しているのがわかるのですが、さらに深く、本人の<a href="https://www.abhorror.com/">ホームページ</a>を見てみると、
小説作品のみならず、様々なグッズ販売などにも力を入れていることがわかります。多分カバー画含め、ビジュアル部分を自分ですべて担当しているのではないだろうから、そういうアーティスト的なところをオーガナイズできるような
コネクションなどあるのだろうな。日本のコミケ・同人誌的なカルチャーと同じような、インディー・ホラー・カルチャーみたいなものの一端がうかがわれる感じ。<br />
あちこちのインディー・ホラー・パブリッシャーが苦しい今のような状況では、こーゆーワンマンアーミーが暴れて、ジャンルを牽引して行くのだろうな、という感じ。<br /><br />
中編部門Daniel J. Volpeの『Plastic Monsters』。昨年第5回では長編・中編部門に作品がノミネートされたが、受賞は逃したDaniel J. Volpeが雪辱を果たす。自らの美に執着する女性と刑務所帰りの狂った医者というかなりヤバそうな話。<br />
こちらも個人出版のDaniel J. Volpeの<a href="https://www.djvhorror.com/">ホームページ</a>を見に行ってみると、Beauregardほどではないけど、グッズ販売も行っている様子。こういうムーヴメントから新しいアーティストとかも
出てくるのかなとも思ったりする。<br /><br />
短編・短篇集部門は注目の新進女性作家Bridgett Nelsonによるデビュー作品集『A Bouquet of Viscera』と収録作「Jinx」。その後、今年になり2冊の中短篇集ぐらいなのかな、を同じく自費出版し、あちこちのアンソロジーでも活躍中。まだ長編はないようです。<br />
著者写真を見ると、なんか名前出てこないお笑いの人にちょっと似た感じ。多分カラコン入れてて、目元修正疑惑も…って女性だけ容姿についてごちゃごちゃ言うなよ!でも結構大々的にフィーチャーしてるし。ちなみにBeauregardなんて自分とこでグッズ販売してる
泥棒マスク被っててツッコミ入れる気も起きんし、Volpeはつまんない帽子サングラスだし…、と思ったらアマゾンのやつ左右反転してある?素顔どんなかわかるかと思って画像検索してみたら、反対向きのやつが出てきて気付いたのだけど。幾多の難事件を
解決してきた名探偵オレじゃなきゃ見逃しちゃうね、ってやつ?もしかしたら彼女特定できるかも、と思ってサングラス拡大してみたら映ってたのお腹と下半身でした。多分車の中で格好いい感じに自撮りしたものと思われます、ってホラ、詳しく見て行くと
可哀そうな感じになってっちゃうじゃん!<br />
Bridgett Nelsonさんの<a href="https://bridgettnelson.com/">ホームページはこちら</a>です。<br /><br />
アンソロジー部門はFedowar Press発行D.W. Hitz及びCandace Nola編集による『Camp Slasher Lake, Volume 1』。本作に続き、昨年10月に『Volume 2』も出版されています。<a href="https://fedowarpress.com/">Fedowar Press</a>は、D.W. Hitzにより2020年に設立された
ホラー系インディーパブリッシャー。D.W. Hitzによる作品と、その他の作家の作品、アンソロジーなどを精力的に発行しているところ。これからジャンルの中でそれなりの存在感を示してくるところになるかも。<br />
ちなみにD.W. Hitz氏の著者写真は…、いや、もうそういうのやめた方がいいよ。<br /><br />
やはり少し勢いが落ちているのかも、という状況でも、きちんと調べてみれば、色々新しい動きも見えてくるし、何とかしてこれ読めないかな、という感じになってきますね。なんかハードボイルド/クライム方面でぎちぎちになっている読書スケジュールだけど、
何とかタイミング見て押し込めないかと。<br />
まあそんな感じで相変わらずどうしてもホラージャンルは基本専門外となってしまう私ですが、なかなか日本に作品が翻訳される機会もないこのジャンルの、日本国内における継続にいくらかでもお役に立てたならと思います。<br />
2023年はマッキンティ待望のショーン・ダフィ新作を始め、ハードボイルドジャンルでも大きな動きが見られているように、きっとこっちスプラッタパンクジャンルも活性化され、来年のSplatterpunk Awardは、また盛況を取り戻してくれるものと
期待しております。ではまた来年第7回のSplatterpunk Awardで。<br />
という感じで、今回はコレになりましたが、次回は本当にアレになります。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/03/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/09/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/03/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/08/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/02/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/08/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/02/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/08/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/03/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/08/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2023/02/2023.html">2023 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a>
</span></span>
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<br />
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<a href="https://amzn.to/3tGV8ry" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91bE2SWLfaL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回はMatt Coyle作『Yesterday’s Echo』。2013年より開始され、現在第10作まで出版されているRick Cahillシリーズの第1作です。<br />
なんだかんだゆうても、特に昨今、10作まで続いているというシリーズはあまりなく、ある意味現在、2010~20年代を代表するシリーズぐらいの視点で考えるべきではないかと思っています。<br />
近年のハードボイルドの特徴、というには少々例とするものが足りないかもしれないが、Alex SeguraのPete Fernandezや、 Joe CliffordのJay Porterなど、主人公が私立探偵になる前から始まるという傾向が
あり、この主人公Rick Cahillも第1作の時点では私立探偵ではないところから始まっています。うーん、やっぱこれ現在の傾向として少し前のあたりから考えるべきかも、というあたりはまた考えるにして、とにかく現在を代表するのかもしれないRick Cahillシリーズ第1作『Yesterday’s Echo』です。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Yesterday’s Echo</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
主人公Rick Cahillは元警官。かつてはサンタ・バーバラ警察に勤めていたが、8年前、妻が殺害されその容疑が自身にかかり退職することになる。証拠不十分などにより逮捕起訴は取り下げられたが、事件は未解決で、その後も彼を
犯人と疑う者は多い。事件の際はマスコミでも大きく報道され、苦しめられた。<br />
警察を辞めた後は、故郷であるラ・ホーヤへ戻り、学生時代からの親友Thomas Muldoonの経営するレストランMuldoonの共同経営者となり、当地の資産家の息子であるThomasが、様々な冒険に走り回っている間、
店長として店を切り盛りしている。<br />
既に亡くなっている彼の父親も、かつては警官だったが、汚職により警察を追われる形で退職している。<br /><br />
物語は彼が働くレストランMuldoonから始まる。この作品、各章の冒頭に四角い囲みで「Muldoon's」と入っており、それは場所というより主人公Rick Cahillの立場を示す意図のものらしいが、なんかはっきりしない。何故かと
いうとこの第1作、最後に至るまですべての章の最初に入るのは、この「Muldoon's」だけだったりするので。<br /><br />
ある夜、Cahillはレストランでバーに座っている美しい黒髪の女性に目を惹かれる。<br />
だが、こちらを見返してきたその眼差しの意味を判断する間もなく、レストランには厄介事が持ち上がる。<br /><br />
サン・ディエゴ市長の妻、Angela Albright。<br />
見るからにしたたか酔っていて足元のおぼつかない彼女は、バーの入り口で誰に向けてでもなく呟く 。「彼は遅れてるようね。」<br />
「市長ですか?」Cahillは彼女の腕を支えて、テーブル席へ案内する。<br />
「いいえ、違うわ。彼なら今L.A.で資金と票集めに走り回ってるわ。」<br />
彼女の夫は、現在カリフォルニア知事選へ打って出ようとしているところで、その妻が公共の場で泥酔状態を晒すのは好ましくない。何より彼ら夫妻はこの店の上客だ。<br />
「彼は何処なの?」<br />
「どなたですか?」<br />
「悪魔よ!」<br />
Angelaは席を立ち、バーから出て行きその途上でバッグの中身を落として行く。口紅、鍵、財布、携帯、そして分厚い封筒…。<br />
顧客受付のKrisがそれらを拾い集め、手渡された後、Angelaは入り口のソファに座り込み泣き出してしまう。<br />
Cahillは、タクシーを呼び、何とかAngelaを家へ送り届ける。<br /><br />
だが一つ問題を解決しても、レストランの仕事は終わらない。続いて女性用のトイレが故障しているとのクレーム。<br />
そちらの対応に奮闘しているとき、Cahillは最初にバーで見かけた女性と行き交う。<br />
市長の妻について話を振った来た彼女は、レポーターの類か?<br />
彼女は自身をMelodyと紹介する。<br /><br />
しばらくの後、Cahillがバーを通りかかると、Melodyの隣には一人の男が座っていた。<br />
スポーツコートの袖からのぞく腕の入れ墨から、刑務所帰りかと推測される、あまりこのレストランでは見かけないタイプ。<br />
話してくる男に対して、Melodyはあまり居心地よさそうには見えないが、それはこちらが口出しする問題ではないだろう。<br /><br />
そしてまた、しばらくの後、レストランにはまた一人の客が現れる。<br />
高級スーツを纏った体格の良い中年の男。入り口で迎えるCahillを無視し、バーへ進む。<br />
その時、トイレからMelodyの隣にいた男が出てくるが、入ってきた男を目にすると、それを避けるように店から出て行く。<br />
スーツの男は、まっすぐMelodyへと向かって行き肩に手をかける。<br />
助けを求めるように、「まだ食事はできるかしら?」と問いかけてくるMelody。<br />
Cahillは二人をレストランの席に案内し、メニューを手渡す。<br /><br />
彼らに飲み物を運んで行ったとき、Cahillはスーツの男から声を掛けられる。<br />
「この店のオーナーは来ているかね?」<br />
「私はこの店の共同経営者ですが。」と応えるCahill。<br />
「それは妙だな。現在売却されているこの店の登記にはMuldoon氏の名前しかなかったがね。」<br />
寝耳に水の話にCahillは言葉を失う。Muldoonを売却?<br />
「まあもし職に困るようなら訪ねて来給え。」<br />
男はCahillに名刺を渡す。そこには何の肩書もなく、Peter Stoneという名前と電話番号のみが記されていた。<br /><br />
突然のレストラン売却の話に衝撃を受けたCahillは、その場を別のウェイターに任せ、事務所へ戻る。<br />
Thomas Muldoonへ電話をかけようという考えが頭をよぎるが、彼は現在確実に圏外のヨセミテの岩壁だ、と思い直す。<br />
そうこうしているうちに、彼らを任せたウェーターがやってきて、彼らは食事をキャンセルして帰ると言っているが、と告げる。<br />
出口へ向かったCahillは、精算を待つStoneが離れようとするMelodyの腕を強引に引き寄せているところに出くわす。<br />
深く考える間もなく、CahillはStoneの手首をつかみ、ひねり上げる。解放されたMelodyは、出口から外へ逃げて行く。<br />
「精々職探しに励むことだな。」捨て台詞を残し、立ち去るStone。<br /><br />
疑問と不安を抱えながら一日の仕事を終え、レストランを閉めて帰宅しようとしたCahill。<br />
近くの暗がりに人影があることに気付く。Melody?<br />
レザーコートを羽織り、靴はヒールからテニスシューズに替え、サンフランシスコ・ジャイアンツのベースボールキャップを目深に被ったMelody。顔には殴打の跡?<br />
「大丈夫か?Stoneにやられたのか?」<br />
彼女はそれを否定するが、誰かに追われているのでどこか安全なところに連れて行ってほしいと頼んでくる。<br />
警察には行けない、と言うMelody。<br />
疑問は多く、巻き込まれたくないという気持ちも強いが、明らかに不審なSUV車がうろつくのを見止め、彼女を自分の車に乗せる。<br /><br />
尾行車を何とか撒き、自宅へMelodyを連れ帰るCahill。いったいどういう事情なのかと問い詰める。<br />
自分はチャンネル5のレポーターで、知事選を目指す市長の取材のために来た、と話すMelody。<br />
顔は情報提供者とのいざこざで受けた傷だ、Stoneとは昔付き合いがあり、ここを久しぶりに訪れた機会に会ったが、あまり良い再会にはならなかった、と続けるMelody。<br />
腑に落ちない部分は多かったが、その場の雰囲気や彼女の魅力に負け、彼女と関係を結ぶうちに話は曖昧なままになる。<br />
明け方、彼女がベッドを出るのに気付いたがそのまま目をつぶり、出て行くに任せる。<br />
翌朝、目覚め、彼女がいなくなっているのを確認し、少し安堵するCahill。<br />
彼女が被っていたベースボールキャップのみが残されていた。<br /><br />
レストランへ出勤したCahill。開店早々に二人組の不審な男がやってくる。「女は何処だ?」<br />
Stoneの配下らしき二人組は、その日は店にやった来たThomas Muldoonの協力で、無難に追い返せた。<br />
レストラン売却の件で、Thomasを問い詰めるCahill。経営上の問題でやむを得ないというThomasだが、自身も出資しMuldoonを自身の店にしたいという希望を持つCahillに、一切の相談もなしに方針を決定した彼に
不満と不信を抱かざるを得ない。<br /><br />
Muldoonの件も大問題だが、それ以前に店に現れた二人組の様子から、Melodyの身がまず大きな心配となり、彼女が泊っていると思われるモーテルへ向かう。<br />
Cahillが到着すると、そこは警察の現場保護テープで囲まれていた。殺人事件?<br />
まずMelodyの身を案じたCahillだったが、被害者は男性。前夜、MelodyがStoneが現れる前に会っていた男だった。<br />
その後、電話で警察に呼び出され、そこでCahillは彼自身が容疑者となっていることを知らされる。<br />
現場には全く身に覚えのない、Cahillのものである、ベースボールキャップが残されていた…。<br /><br /><br />
説明の都合上、三人称で書いたけど作中ではすべてRick Cahillの一人称で語られる。<br />
まず主人公の特徴としては、非常に、というくらい「普通の男」だ。前述の通り元警察官であるのだけど、それすらあまり彼の行動に反映されて来ないぐらい。<br />
とにかく、小説の主人公のように考えて行動しない一般大抵の人ならこうなっちゃうだろうな、という感じに、読んでる方としては、今家に帰るのまずいんじゃない?と思うようなところで普通に帰ったり、その後も明らかに怪しいMelodyにいいように振り回されたり。まあ一人称でひたすら事件に振り回されている状況という場合でもあるのだが、本来スポーツマンで、そこそこの腕っぷしもあるのも、いざというときまであまり感じられなかったり。<br />
何かよく考えてそういう方向で作られた「普通の男」というよりは、自分が大きな事件やら災いに見き込まれる可能性とかさっぱり考えずに生きている、世間一般我々同様の感じの「普通の男」感。<br /><br />
物語はこの後、事情もわからないままMelodyを取り巻く殺人事件まで起こるような状況に巻き込まれた主人公Rick Cahillが全方向からひたすら追い詰められていくという方向で展開する。<br />
まず警察に行っても、向こうは根本的にCahillという人物をよく思っていない。前述の通り、彼の妻を殺害したという容疑は完全には晴れていないし、彼の父親は当地の警察を好ましからざる状態で退職している。<br />
職場であるレストランでは、本来味方であるはずのThomas Muldoonが一方的に売却話を進め、また、事件の容疑者としての追及やら、レストラン内で起きた事件がマスコミにすっぱ抜かれるなどで、店の信用も失墜し、従業員からの信頼も失い、居場所を失って行く。<br />
自宅に帰れば、不法に押し入られ家探しされた形跡もあり、外を見れば常に監視の目が光っている。<br /><br />
この辺を読んでいて、まあそんなこと考えるのは私だけかもしれんが、ある不安が頭をよぎってくる。<br />
まず前提として、私はこの作者Matt Coyleという人を全く知らない。そしてこのシリーズがそこそこ売れているということも、考えようによってはマイナスに動く可能性もある。<br />
そしてこの主人公、とりあえずこれまでの生活、レストランの店長という立場を守ることに何よりも執着する行動。<br />
もしかしてオレ、いまなんか間の抜けたお仕事ドラマの「店長が逮捕?お店の最大のピンチ!次回最終回15分拡大スペシャル!」みたいなもんを読まされてるんではないか?そして、人気女優さん演じるフロアマネージャー
みたいなのがぼろぼろテレビ泣きして、なんか中学校の学級会レベルのこと叫んで、それに心動かされたみんなが奮起することで事態は改善し、店長の無罪につながる証拠が見つかり、警察も見方を変え、真犯人がつかまりみんな元通りで
めでたしめでたし、ただし店長は、これを機にお店をもっと成長させるために武者修業の旅に出ることを決意し、みんなに見送られて空港から旅立って行く。「必ず世界一の店長になって帰ってくるぞ!」みたいなことになる
もんを読まされているのではないか、という恐怖!<br />
だが、皆の衆、安心されよ。そこまでひどいことにはならなかった…。<br /><br />
後半、そこまでに様々なものを失い、主人公Rick Cahillは生き残りぐらいのものを賭け、独自に手がかりの断片を追い捜査を始める。そして過去に隠された、冒頭の展開からも予想されるような、市長の選挙活動にも関わって行くことになる、暗い秘密を発見して行く。<br />
そして、そこでそれまでに積み重ねられてきた、徹底的に追い詰められる「普通の男」、というストーリーが生きてくる。<br />
殺人、彼を追い詰めた事件の証拠が次々と明らかになってきても、彼にはそれをどうすることもできない。これをどこへ持って行く?誰が信頼できる?もはやそんな相手は何処にもいない。<br />
丁寧で読みやすくはあるが、特に文章表現などに突出したところがあるとは思えないMatt Coyleが、どこまでこれを意図的に仕込んだのかは、今ひとつわからない感じではある。<br />
後半、そのような状況で、以前一時的に交際があり、いまだに好意を寄せてくれている女性を、少々の罪悪感を持ちながら度々頼るクズっぷりを見せるのだが、それももしかしたら作者の地なのかもと
思えて来たりもするのだが…。<br />
いずれにしても、この作品は日本のお仕事ドラマレベルの登場人物たちにのみ都合のいいハッピーエンドでは終わらない。現代のハードボイルドの一つのスタイルともいえる、主人公=探偵が部外者でいることが
許されない苦い結末で終わる。そして、この作品中ではCahillの妻の殺害事件の真相などについてはまだ語られることはないが、なぜ彼がアリバイ証明などで身の潔白を立てられず、いまだに容疑者とされているのか
の理由については彼の口から語られることとなる。それらもまた現代のハードボイルドの特徴を色濃く表したものだろう。<br />
そして最後には、CahillがMuldoonの店長といった元の生活に戻ることはなく、私立探偵を始めたことが告げられ、物語は終わる。<br /><br />
このシリーズにはあのBrash Booksの創設者であるゴールドコンビの片割れ、ベストセラー作家リー・ゴールドバーグから、ロバート・B・パーカーとロス・マクドナルドのハードボイルドの後継者、という賛辞も
寄せられている。<br />
…えっと、悪口?<br />
まあ、レストランの店長を8年も務めたRick Cahillが、延々と飯の話を始める可能性は無きにしも非ずだが…。しかし、シリーズ出発時点で色々なものを背負ってるCahillが、日本の駄目親爺どもが大好きだった
「オレが言えないことを言ってくれる!これぞ男の生き様ハードボイルド!」の、マッチョ説教全開の初期スペンサーになることは少し考えにくそうな気はするがね。<br />
だが、このRick Cahillシリーズがもし21世紀のスペンサーになるなら、それはそれで一つ押さえておかなければならんだろう。好き嫌いは別として、一時代を代表するシリーズであることは確かなのだから。
もしこのシリーズを日本に翻訳しようと考えているような出版社があるなら、念のために男の生き様を強く表した、バカボンの親父風「~なのだ」口調をお勧めしとくよ。<br />
あー、あとロスマクもあんのか。うーん、とりあえずこの作品からはあんまりロスマク要素感じられないんだが?とりあえず、亡くなってる父親の問題とかあるので、もしかするとほらエディプス的?とか家族の問題的方向も
出てくんのかもね。あととりあえずこの第1作については、それほどナゾトキ的な方向ではないんだが、もしかすると先々、「遂に本格ミステリ(?)の謎解きを越え」たり、どこぞのこじつけ屋が「本格ミステリ(?)にしてハードボイルド」と言い出すような方向に退化して行くのかも…。<br /><br />
という感じで、なんとなく手放しではおススメできないという感じになっちゃったかもしれないが、うーん、少しマイナス方向で書きすぎたか?この第1作をちゃんと最後まで読めば、作者Matt Coyleがこのシリーズを決して温い方向ではなく、主人公Rick Cahillが常に厳しい状況で闘って行くものとして考えているのははっきりとわかる。このRick Cahillシリーズは、どういう形にせよ、この2010~20年代のハードボイルドをを何らかの形で代表するシリーズとなっているのは確実である。そういう方向でこれについては、少なくとも私だけはきちんと追って行かねば、と思っております。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■2010~20年代のハードボイルドについて</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ここでこれからやって行きたいという方向も含めて、色々断片的には書いてきたりはしたけど、改めて2010~20年代のアメリカを中心としたハードボイルドについてまとめておこうと思う。本当は英国その他の動きというのも
これらと不可分ではあるのだけど、またそれぞれのお国事情とかもあるんでとりあえずは置いといて。<br /><br />
また、大前提として自分はハードボイルド、ノワール、クライム、といった作品をジャンル内小ジャンルとしては区分けするが、大枠としてはすべてハードボイルドとして扱って行く。これについて話し始めるとかなり長くなるので、
ここではやらないが、歴史的に見てもこれらは不可分であり、これらを思い込みで別ジャンルとして扱おうとしてきたことに今日の多くの混乱があると思っている。ハードボイルドが男の生き様セニョール・ピンクになり果てたり、ノワールがサイコスリラー方向に誤解されてるみたいなこととかな。<br /><br />
最初にこの時期のこのジャンルの作家として、自分が最も重要だと思うあたりから明確にしておこう。<br />
まず、ジョニー・ショーとJoe Clifford。ショーはJimmy Veeder Fiascoシリーズ、CliffordはJay Porterシリーズと、両者ともシリーズ作品を出していたが、残念ながら双方とも既に終了の様子。しかしながら、その後も
単発作品を出し続けている。ユーモアを含んだテンポのいい快作のショーと、自身ドラッグ中毒から復帰した経歴もありやや重めの作風のCliffordと、タイプは違うが、現在のこのジャンルで最も注目すべき作家であると
思う。というか以前から思ってて「未訳おススメ」を含めあちこちで書いているのだけど、ちゃんと作品紹介できてなくてスマン。今後もっとちゃんとやってきます。まずこっちでも未紹介のままのJay Porterは
一刻も早くちゃんと書かなければというところなのだが…。<br /><br />
続いてこれも何度も言ってるChris CherryシリーズのJ. Todd Scott。いろんな意味で重要なシリーズだと思っているんだが、まだ手つけてなくて申し訳ない。まずこれからかなあ?<br /><br />
そしてこちらも何度も言ってるEric Beetner。探偵・刑事などを主人公としたシリーズは今のところなく、クライムノヴェル方向なのだが、同時に注目していくべきこのジャンルの重要作家。Beetnerについては、最近
Down and OutからWolfpack Publishing傘下のRough Edge Pressに移籍していたのだけど気が付かなくて「未訳おススメ」のところが繋がってない状態がしばらく続いてて申し訳なかったす。さっき直したので…。
McGrawシリーズと、Lars & Shaineシリーズ、どちらもお得価格の合本になって再版されています。というか、Beetnerって昔から言っててすっかりやったような気分になってたけど、結局まだ一度もちゃんとやってないじゃん!
Beetnerさん、色々ホントにごめん…。<br />
初登場の<a href="https://roughedgespress.com/">Rough Edge Press</a>だが、結構アクション方面力入れてそうで、もっとよく見とかなきゃというとこです。<br /><br />
この辺で日本でも翻訳あるやつに行っとくと、まず現在先頭を走っているS・A・コスビーに関しては、とりあえず最新刊も出るんだろうと思う。<br />
続いて『シー・ライズ・ショットガン』(邦題野暮ったすぎてもう書くのやだ。ショットガンなんてエロ意味以外で普通に使ってるじゃん!)のジョーダン・ハーパーなんだが、新作出てるけどこのまま翻訳止まる可能性大かも。<br />
『11月に去りし者』が結構評価良かったルー・バーニーだけど、未訳残したままだし、もうないかも…。<br /><br />
かつて当方で勝手に「新世代ハードボイルド」と期待した<a href="http://www.polisbooks.com/">Polis Books</a>勢だったのだが、Dave White、Alex Segura、Rob Hartら、いずれのシリーズも終了している。ちょっと今現在シリーズ物は出しにくい感じになってるのかも、とちょっと思ったりするが。Dave Whiteについては新作がないのだが、Alex Segura、Rob Hartについてはこちらもその後も単発作品は出ている。<br />
Polisといえば、結局まだ手つけてないEryk Pruittがいたり、ジョニー・ショー、Joe Cliffordの単発作品も出てたりと、まだ要注目パブリッシャーなのだが、こちらももっとよく見て新しい作家探すべきかと思ってます。少しシリーズ物以外もよく見る感じで。<br /><br />
ここでRick Cahillの<a href="https://www.oceanviewpub.com/">Oceanview Publishing</a>。ここはJoe CliffordのJay Porter出てたりもするのだが、なんか結局いまだにその他にはRob LiningerのMortimer Angelぐらいしかチェックできてなくて申し訳ない。
Oceanviewに関してはホームページでシリーズカテゴリがあるくらいシリーズ物には力入れてるんで、またなんか見つかるかも、と思ってます。<br /><br />
そしてここでなんか割とお馴染みっぽい<a href="https://www.brash-books.com/">Brash Books</a>。旧作復刻を主な使命としているBrashなのだが、やっぱ少々デジタルバブル後でパブリッシャーがポシャることも多く、行き場を無くした比較的新しい
作家作品なども登場してきている。Leo W. BanksのWhip Starkシリーズとか、2017年からで結構最近のもの。ゼロ年代ではHarry HunsickerのLee Henry Oswald三部作(2005-07)が最近登場。90年代からになると、日本でも最初だけ出たダグ・J・スワンソンの
ジャック・フリッポや、マイクル・ストーンのストリーターもフルシリーズ再版されているので、その辺から現在につながるあたりを強化できるかというところ。Brash Booksに関しては、そういう作家の新作も出していたりするので、そういう意味でも
要注目ナリ。<br /><br />
むむむ…。なんかとりあえずやっとこうと思ったのですが、やってみると最近あまり積極的に新しいもん調べられてないかも、ぐらいの事実浮かび上がってきたり。またちょっと<a href="https://neotextcorp.com/">Neo Text</a>あたりの勢いありそうなとこから知らない作家のを片っ端から読むぐらい始めた方がいいのかも。実際にはこうやって今思いつくのを上げてみたあたりでもきちんと追ってくのは大変だったりというぐらいなのですが。まあとりあえずこの辺であげたのは若干停滞しているところあるかもしれんけど、確実に今のもので、こういうところをちゃんと追って行くところから先も見えて来るもんなのだろうけど。<br />
こんな感じで現代の、って辺りをちゃんと追いつつ、日本では出ない重要作家、ブルーウンやら、やっとやったジェームズ・リー・バークやら、スウィアジンスキーといったところも定期的に読んでいきたいというのが現在の方針です。あ、あと
ジェイムズ・カルロス・ブレイクも。なんか抜けてるの山ほどありそうだな…。<br /><br />
なんか今年の暑さでかなりダウンしてしまい、どうしようもないんで数日休みにしてやっと復帰という感じで今回結構アップダウンあった感じかも。まあここからまた頑張ろう。次回はアレが来ます。
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<br />
<br />
<br />
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■Matt Coyle / Rick Cahillシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3RRtz6X"><p>Yesterday's Echo</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TWYscy"><p>Night Tremors</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48FEBTu"><p>Dark Fissures</p></a>
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<a href="https://amzn.to/423SmcN"><p>Blood Truth</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aJ0YJD"><p>Wrong Light</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NT76W1"><p>Lost Tomorrows</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H9NyJ5"><p>Blind Vigil</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41M2fvs"><p>Last Redemption</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vhFvqP"><p>Doomed Legacy</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48J1lSI"><p>Odyssey's End</p></a>
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■Eric Beetner : McGrawシリーズ / Lars and Shaineシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48LtR6f"><p>McGraw: The Complete Series</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3txkPLe"><p>Lars & Shaine: The Complete Thriller Series</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSfe8Y"><p>多元宇宙りんご町2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NOKTbx"><p>多元宇宙りんご町3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S6QYCu"><p>多元宇宙りんご町4</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PzXjt"><p>多元宇宙りんご町5 りんご町ラップバトル</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3viIvTS"><p>多元宇宙りんご町6</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H7FKHF"><p>半グレVSノーマスクカルト コロナ日本の内戦2021</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RKMBvH"><p>みなさまのキルスイッチ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tz4DsV"><p>5Gマンを殺せ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47sn4Ns"><p>Stay Sitty</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RO68vl"><p>忘れ死神ぴよ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47pbx1p"><p>宝くじ販売員の戦争</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PBgiy"><p>空からの死、地からの命 あいつは戦争がえり3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSkFF1"><p>高く立て、低く這え</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aN853S"><p>僕とじいちゃんと彗星Z</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vx1Kcl"><p>シュレッドタワーと哀しい人たち</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48nqYbW"><p>コロナ日本の内戦</p></a>
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<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-5191089765016604462023-07-04T22:30:00.003+09:002024-02-13T11:14:51.007+09:00Adam Howe / One Tough Bastard -80'sアクションムービー・オマージュ!毒笑バイオレンス・コメディ!-<style>
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<a href="https://amzn.to/41PNF5T" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81b5j00stqL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回は、読んだのしばらく前になるのだけどなかなか書けなかったAdam Howe君の2021年の大傑作『One Tough Bastard』です。<br /><br />
えーと、なんかいろいろすみませんでした。と、必要あるのかないのかわからんけどまず謝っておこう。少し、日本の間違ったハードボイルド観を修正せねば、という考えにのめり込み過ぎていたのですが、ここから
方針を戻し、日本でまず翻訳されないだろう作品、翻訳が止まってしまったシリーズの続きを紹介する、という本来の路線に戻して行くつもりです。<br />
まあそれにぼんやり気付いてきたらしかったのは前回なのですが、元々は1950年代ぐらいのミステリ評論により「通俗」扱いされている類の作品の再評価、的なことを予定していたのですが、なんか違うなという気分がして
その次のつもりだったロビショーを持ってきたわけです。で、それが終わって次は、と続きを書き始めたわけですが、やっぱりなんか違う感じがしてきて、そこでよく考えてみたわけです。<br />
つまりはコミックの方で、何とか一つでも多くの作品を紹介したいと頑張っているうちに、結局自分が本当にやりたかったことというのは、こういうことなんだなあと気付いたということ。<br />
もう一昨年前になるのか、あの現在ハードボイルド最前線ぐらいに位置するエイドリアン・マッキンティの著作の出版物に属する「解説」などという重要なところに、全く見当違いの法月綸太郎ごときが現れ、
見当違いも甚だしく読者を間違った自分の考える方向に誘導しかねないようなゴミ文章を尊大に並べるというような事態に心底憤慨し、なぜこのような蛮行が平然と行われるのかと考慮してみたところ、何よりも
本格ミステリを頂点に抱くようなクイズオタクカルトの幻想がミステリ全体に押し付けられていることが最大の問題なのだが、それに加えて「本格ハードボイルド」などという愚考から今日に至る間違いの積み重ねだらけで
セニョール・ピンクみたいなもんにしかたどり着けないところにまで迷い込んだ、日本のハードボイルド言説にそれを許した原因があるのだ、と気付きそこを正さねば、と躍起になっていたのですが、まあ自分のやりたいことって
それじゃないよな。<br />
まあそんなわけで、ご覧の通り全く怒りは収まっていないし、問題は何一つ解決されていないわけだから、まあ折に触れ日本のミステリ評論については罵倒するし、法月綸太郎は馬鹿にし続けるけど、基本的には作品紹介を第一に
頑張って行きたいと思います。<br />
まあ色々遅れ続けて結局何もやってないも同然なので、謝るほどのこともないのかもしれんけど。とりあえず自分に。<br /><br />
そんなわけで今回は、せっかく読んだのに書けていなかったAdam Howe『One Tough Bastard』。まあAdam Howe君の書くものはもれなく大傑作ですから。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■One Tough Bastard</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
この作品については、そこのところがやや複雑なので物語開始以前の状況・キャラクターについて先にまとめておきます。実際には話を進めながら説明されて行く事項なので、若干本来の形を崩してしまうかもしれないけど。
<br /><br />
主人公の名はShane Moxie。落ちぶれた80年代の筋肉俳優。南部のレッドネック出身のクズの中のクズである。<br />
80年代の筋肉スターに憧れ、見当違いの思い込みで突っ走っているうちに、大まぐれで幸運をたまたま引き当てて映画主演デビュー。実は税金対策のための損失を作る失敗映画を意図した制作側の思惑とも反するぐらいの
中の下ぐらいのヒットを収める。<br />
だが、そんな幸運がいつまでも続くわけもなく、続く数作は低迷を続ける。しかし、そこで彼のキャリアでも最大の、本物のヒット作と巡り合う。<br />
それが『Copsicle』。<br />
石器時代の警官とその相棒のチンパンジーが、悪漢を追ってタイムスリップし、現代のニューヨークで大暴れするという映画は、大スクリーンにて大成功を収める。<br />
相棒のチンパンジーBoo役のDukeの人気により…。<br />
Dukeは、ある実験施設で遺伝子操作などにより産み出された天才チンパンジー。人間の言葉を理解し、手話によりコミュニケーションも可能。<br />
しかし、その施設では単に実験動物として扱われ、劣悪な環境で悲惨な生活を送っていた。<br />
それを救い出したのは、その研究施設の違法性、動物虐待の実態を調査していた環境保護団体。その主催者である女性Lornaは、以後パートナーとしてDukeに付き添い、後には結婚にまで至る。<br />
人間の言葉を完全に理解し、コミュニケーションもとれるチンパンジーDukeは、各マスコミでも大きく取り上げられ大人気となり、そして映画俳優としてデビューとなったわけである。<br />
だが、持ち前の傲慢と頭の悪さで、あくまでも人間様が主演であると思い込むMoxieは、撮影現場でも何かにつけDukeに嫌がらせを謀り、両者の関係は最悪となる。<br />
映画は大ヒットとなったにもかかわらず、Moxieは続編への出演を拒み、以後は駄作以下レベルの作品に出演を続け、下降の一途をたどる。<br />
一方Dukeは、人気も衰えることなく様々な映画への出演を続け、すっかりハリウッドスターへの仲間入りを遂げている。<br />
だが、3か月前、彼の最愛の妻Lornaが交通事故により死亡するという不幸が起こり、以来Dukeは公の場には現れず、引きこもっているらしい。<br /><br />
とまあ、以上のような状況から、この物語は始まる。<br /><br />
まず登場するのは堕落した私立探偵Harry Dorfman。<br />彼は今、往年の筋肉系スターKlaus Kaiserの経営するレストランの、大ヒットサメ映画に出演したサメの泳ぐ巨大水槽の横の席で、Kaiserと向かい合っている。<br /><br />
Klaus Kaiser、生きた伝説。元東ドイツの、柔道、レスリング、ウェイトリフティングの3種の競技を制覇したオリンピック選手。1976年のモントリオール大会で、選手宿泊先ホテルを警護する1ダースのKGBと、さらに1ダースの
スペツナズ(特殊任務部隊)を素手で始末し、西側へと亡命してくる。<br />
亡命後、彼が向かったのはハリウッド。80~90年代を通じ、数々の興行記録を塗り替えるヒット作を連発し、巨万の富と名声を築いて引退。現在は自身のレストランチェーンのフランチャイズを中心とした実業家として、
政界にも手を伸ばし始めている。<br />
現在は60代後半に差し掛かっている今も、フランク・フランゼッタのイラストから抜け出てきたような体躯を、John Phillips of Londonのスーツに包んでいる。<br /><br />
彼の隣に座る金髪ショートヘアの美女は、Malina Kaminski。全米ボディビルチャンピオンの身体を、マイクロドレスで包み、ダイアモンド・ダガーのイヤリングを玩んでいる。<br /><br />
Kaiserに向かい、ひとしきりお世辞を並べた後、では商談を、とDorfmanがポケットにあるものを取り出そうと手を入れた時、「動くな!」の声とともに頭にデザートイーグルが突きつけられる。<br />
Kaiserのボディーガード、Nelson Rhodes大佐。数々の残虐行為で群を不名誉所帯となった後、以前より関係の深かったKaiserのもとで警備会社を営んでいる。<br />
「心配するな、Rhodes大佐。Dorfman氏は私の大ファンだと言っていたのが聞こえただろう。」<br />
Kaiserのとりなしで、ポケットから恐る恐る携帯を取り出し、テーブルに置くDorfman。<br />
「そちらの録画映像をご覧ください。」<br />
Malinaがイヤリングのダイアモンド・ダガーを携帯に突き立て、Kaiserに手渡す。<br />
Kaiserは、携帯の録画映像をしばらく無表情に眺め、やがてそれをそのまま握り潰す。<br />
「オリジナルは安全なところに保持されています。」やっとで言うDorfman。<br />
「これで何が欲しいのかね、Dorfmanさん。」<br />
「私は強欲な人間ではありません。適正価格にてお譲りします。」<br />
Malinaが声を立てて笑い、KaiserはDorfmanの言葉を繰り返す。<br />
「適正価格…か。」<br />
「しばらく考える時間をもらえるかね?」<br />
「もちろんですとも!ゆっくりお考え下さい。」安心したように立ち上がるDorfman。<br />
DorfmanはRhodes大佐の後に従い、地下階からの階段を上って姿を消す。<br /><br />
スーツのポケットから出した葉巻に火を点けるKaiser。<br />
しばらくの後、彼らの横のサメの水槽に、下着姿でアキレス腱を切られたDorfmanが沈められてくる。<br />
直ちにサメが襲い掛かり、手足から食いちぎり始める。<br />
戻ってきたRhodes大佐が、Kaiserに映画館のチラシを手渡す。<br />
「閣下、Dorfmanがこれを持っていました。」<br /><br />
<b>『COPSICLE』</b><br />
20周年記念上映!The Lazarusにて!<br />
Duke&Shane Moxie来場!<br /><br />
Kaiserはそのチラシに葉巻の火を移し、燃やす。<br />
「手配しろ。」とRhodesに告げ、視線をサメの食事に戻す。<br /><br />
Shane Moxieは劇場The Lazarusの裏で、Bobの到着を待っていた。<br />
「どこにいるんだ?Bob?」電話に向かって怒鳴るMoxie。開演までもう時間もない。<br />
「着いたぞ!」声が電話と、後ろから聞こえる。振り向くとBobの汚いトラックがこちらに向かって近づいて来ていた。トラックの横腹には「ネイチャーボーイ ボブ 動物教練&野生動物派遣」その他宣伝文句が、掠れた
ペンキの文字で辛うじて読める。トラックの中からは動物の唸り声と、壁を叩く音。<br />
劇場の裏口が開き、若い従業員が顔を出す。「あと5分ですよ。Moxieさん。Dukeさんはまだですか?」<br />
「ああ、大丈夫だ。Dukeなら今到着した。」<br />
疑わしげな目でトラックを一瞥するが、何も言わず戻る従業員。MoxieはBobに金の入った封筒を手渡す。<br /><br />
The Lazarusに『COPSICLE』20周年上映の企画を持ち込んだのはMoxieだった。<br />
渋るオーナーのPapadakisを、Dukeと揃ってステージに立つことを条件にやっと説得した。<br /><br />
今夜のThe Lazarusは満員だった。様々な『COPSICLE』のコスプレをした観客たちが、上映とそれに先立つ出演者たちの登場を待ちかねている。<br />
MCとしてステージに登場したPapadakisが、簡単な紹介の後、Moxieを呼ぶ。<br />
自身のテーマ曲、リック・デリンジャーの「リアル・アメリカン」が響き渡る中、颯爽と登場!これほどの観客の前に立つのは、コミコンに出入り禁止になって以来だ!<br />
微妙なざわめきと、おざなりの拍手の中、唯一人の熱狂的なMoxieファンの、かなりヤバめな女性のみが大盛り上がりし、「お子様のお客様もご来場なので…」とたしなめられる。<br />
続くPapadakisによるMoxieへのインタビュー。<br />
微妙なざわめきと、おざなりの拍手の中、唯一人の熱狂的なMoxieファンの女性のみが盛り上がる…。<br /><br />
そして、いよいよDuke登場となり、客席はにわかに活気立つ。「Duke!Duke!Duke!」<br />
最愛の妻であるLornaの突然の死以来、一切公の場に姿を現さなくなったDuke。呼び声に答えてステージに現れた彼は…。<br />
かつて黒々と光っていた毛並みは乱れ、灰色のものが目立つようになり、その顔は一気に老いたようにしわが増え、練り歯磨きのCMにも起用されたトレードマークの白い歯はすっかり黄色くなり、一度はGQマガジンの
ベストドレッサーに選ばれた彼が大人用紙おむつ一枚という姿でステージの中央に進んできた。<br />
妻の死は彼をここまで打ちのめしたのか…。変わり果てた彼の姿に、観客席が息をのむ…。<br />
Moxieは彼に歩み寄り、手を差し出す。「やあ、Duke。」<br />
チンパンジーは、その手の匂いを少し嗅いでいたかと思うと、いきなり恐るべき力で握りしめる!<br />
関節の外れる音!痛みに思わずその場に膝をつくMoxie。チンパンジーはそのMoxieに馬乗りになり、首を絞め始める!<br />
袖からBobがステージに駆け込んでくる。「やめろ!Jojo!Jojo!」<br />
「誰だJojoって…?Moxie、お前…!」<br />
Papadakisがステージ上のDukeの正体に気付いた時、客席の入り口ドアが開き、二人の男が入ってくる。<br /><br />
ダスターコートを翻し、二人の男は中央通路をまっすぐステージに向かって駆けて来る。顔にはMoxieのラバーマスク?<br />
これは何かの演出?戸惑う観客。Papadakisは混乱しながら言う。「サインが欲しいなら上映後にしてくれ!」<br />
「こいつがサインだ!」<br />
Moxieマスクの男はそう叫ぶと、ダスターコートに隠していたヘッケラー&コッホ サブマシンガンをステージに向かって乱射する!<br />
Papadakisがペキンパー映画のように血を見き散らしながら倒れ、続いてBob!<br />
館内はパニックに襲われた観客たちにより、大混乱へ…。<br /><br />
「やあ、Shane。」<br />
聞き覚えのある声に、Moxieは病院のベッドで目覚める。<br />
まず自分のベッドの上での状態を見る。あちこちに包帯、手には点滴が繋がれ、横では心拍系のモニターが音を立てている。痛む頭に手を当てると、そこには包帯がターバンのように巻かれている。<br />
「俺の髪…?」自慢の独特の髪形を心配するMoxie。<br />
「君の髪は無事だ。」訪問者が応える。<br />
一体誰が見舞いに来たのだろうと、逆光ででよく見えなかったシルエットに目を凝らす。Duke?<br />
そこにはチンパンジーのDukeが、ツイードのジャケットに黒のタートルネックという、『ブリット』のマックイーンのようなファッションで座っていた。<br />
「気分はどうだ?」心配げに見つめるDuke。<br />
Moxieは横にある水の入ったジャーを指さす。Dukeはそこからコップに水を汲み、Moxieを助けてそれを飲ませ…。<br />
Moxieはその水を盛大に噴き出し、驚愕の目でDukeを見つめる。<br />
「お前…喋ってる!な、なんで…?なんでお前が喋ってるんだ??」<br />
Moxieの知っているDukeは、人間の言葉を理解し、コミュニケーションが取れると言っても、手話を使ってという方法で、発声することなどはできなかったはずだ?<br /><br />
「最新技術の成果だ。私も開発に協力した。手首にマイクロチップが埋め込んであり、手話を翻訳して音声で出力する。」<br />
「それで、その声。それは…、おい、そりゃケヴィン・スペイシーか!」<br />
Dukeは赤面する。「うむ、最近の、その、事件の前にだな。今クリストファー・プラマーに再録音してもらっているんだが、遅れていてな。」<br /><br />
「で、何しに来たんだ、Duke?俺にとどめを刺しに来たのか?」<br />
「いや、君に謝罪しなければと思ってな…。今回の映画館の事件、あれは私を狙ったものだと思う。」<br />
そしてDukeはその理由をMoxieに説明する。彼の妻Lornaの死は事故ではなく、仕組まれたものだ。ボランティア団体の主催者として活動するLornaは、ある調査の過程で重大な問題を発見し、それが公表されることを
恐れた者により殺された。今、その犯人はその事実を知っているかもしれない自分の殺害をも謀っている。<br />
それを聞いたMoxieは憤慨する。今回の事件は、相手が俺のマスクを被っていたことからわかるように、俺に向けた個人的なものだ。<br />
「お前は暗殺未遂から生還したという、俺の新しい功績を横取りするつもりか!」<br />
「そうは思わないがな…。」<br />
Dukeは顔をしかめてそう言い、リモコンを取って病室のテレビをつける。<br /><br />
テレビではThe Lazarusの銃撃事件が報道されていた。現在の現場の状況に続き、劇場の観客が撮影した事件当時の映像が映し出される。<br />
襲撃者の銃弾に、Papadakis、Bobが倒れる!そして襲撃者はMoxieとチンパンジーJojoに銃を向ける!その時!<br />
Moxieは躊躇いなく、チンパンジーJojoを自分の前に抱え、盾とする!Jojoはすべての銃弾を受け、血と肉片が飛び散る!<br />
その勢いに押され後方へ吹っ飛び、MoxieはJojoの死体を抱えたまま、スクリーンを突き破って消える…。<br />
「捜査本部によると、殺害されたチンパンジーはDuke本人ではなく、Moxieが記念上映開催のために雇った容姿の似ているチンパンジーで…」<br />
Moxieはテレビを消す…。<br />
点滴などを勝手に外し始めるMoxieに、Dukeは「どうするんだ?殺し屋が待ち構えているんだぞ?」と心配するが、<br />
「自分のことは自分で面倒みられる!」と強引に退院する。<br /><br />
Moxieが戻ったのは自身が経営するバーF. U. B. A. R.。<br />
数々の自身が出演した映画の記念品が飾られているその店を任せているMannyが、今となっては唯一の味方か。<br />
現在はその2階を住居兼ジムに改造して暮らしている。<br />
だが、やっと戻った自宅も再び新たな二人組の殺し屋に襲撃される。<br />
「奴は何処だ?」<br />
絶体絶命のMoxieを救ったのは、殺し屋たちが探していたDukeだった…。<br /><br />
こうしてなんだかんだで、人間の基準で言ってもインテリに属するチンパンジーDukeと、猿基準で言っても底辺ぐらいのMoxieは、仕方なく共闘し、彼らに迫る脅威へと立ち向かって行く。<br />
敵は地位名誉資産腕力、あらゆる面でMoxieを遥かに凌駕するKlaus Kaiser!<br />
Kaiserが求める秘密とは何なのか?MoxieとDukeはこの窮地から脱出できるのか?<br /><br /><br />
今回も結構苦労した…。<br />
実は物語としては単純だ。かつてヒット作を産み出したコンビ。片やその知性と演技力でスター街道を進み続けたチンパンジーと、落ちぶれ続けた筋肉俳優。今は実業家としても成功を収めている、往年のトップスターの
重大な秘密に関わってしまったために命を狙われる羽目になり、元々仲が悪かった二人が共闘して行くアクション・コメディ。<br />
なーんかあらすじだけをハリウッドにもっていけば、都合よくあちこち整形されて、笑いあり涙ありのそこそこヒット作が狙えるかもぐらいの話。<br />
だが、天才Adam Howeはそんな温いところで満足する男ではない。<br />
ありとあらゆるところに下品でブラックな毒をぶち込み、激笑劇薬バイオレンス作品として仕上げている!<br />
何とかその片鱗ぐらいでも、輪郭ぐらいでも伝えなければ紹介する意味もない!<br /><br />
大幅にカットせざるを得なかったものとしては、初登場時に1ページ半にわたって描写されるShane Moxieの奇怪極まりないファッション。病院で目覚めたMoxieが、まず自分の髪を心配したのが何故なのか、本当は
ここを省略してしまうとわからないのだが…。あと常に首から下げている手榴弾、…型のウィスキーが入っている水筒というのも重大な伏線だったりするのだが。<br />
その他、ネイチャーボーイBobや、Mannyについても相当ブラックな笑いどころが仕込まれているのだが。あと、中盤から活躍する唯一の熱狂的女性ファンとか。<br /><br />
この作品、実はHowe君の前作となる『Tijuana Donkey Showdown』のあとがきに書かれている、それより先に手掛けられていたが難航して中断していた作品とみて間違いないだろうと思うのだが、こっちの序盤を説明する
苦労などから見ても、その難航が少し垣間見えるように思える。<br />
そりゃ当然ここでは省略せざるを得ない1ページ半にわたるMoxieのファッションの描写にも代表されるような、意図的な冗長な記述も随所にあり、また、MoxieとDukeの過去についても挟まれながら進行して行くので、
私のようにHowe君を絶対的に信頼している読者以外には、ここまで紹介した辺りの序盤はやや展開がもたついているように感じられるかもしれない。<br />
だが、ここからは怒涛の展開だ!ここまで読んでHowe君の文体にも慣れた我々を止めるものなどない!<br /><br />
この先の展開として、二人がKaiserのレストランに乗り込む場面があるのだが、その入り口に展示された数々の80~90年代のアクション映画からの武器の描写にはなんと2ページが割かれる。<br />
通常の読者なら、こいつ本当にその辺の映画が好きなんだろうな、と思うところだろうが、Howe作品のファンなら直ちに別の展開を察する。<br />
こいつこれ使う気だな。<br />
それがどうなったかについては、終盤に登場する爆笑もんの以下の描写を紹介しよう。<br /><br />
Already Shane looked like the bastard offspring of one-man army and one-man band.<br /><br />
後半には「THE WORLD IS YOURS」の飛行船で逃げるKaiserを、『スピード』のバスで追跡する激アツ展開もあり!<br />
次々と立ち塞がる強敵、Nelson Rhodes大佐!Malina Kaminski!を乗り越え、遂に奴らはKlaus Kaiserにたどり着く!<br />
この物語の主人公、我らがヒーローShane Moxieは、物語全体を通じ結末に至るまで一切の人間的成長など遂げることはなく、クズの中のクズでい続ける。<br />
だが、この物語を最後まで追って行った我らはその結末で、あるキャラクターと同様に、いささかの賞賛と愛情を込めて呟くだろう。<br />
「Shane... fuckin'... Moxie,」<br /><br />
巻末には「特典」として、作品解説を含むShane Moxieフィルモグラフィーもあり!<br />
あとがきではやや自嘲的に、この作品をメジャー出版社に持って行ったが、断られ自費出版で出版したことが語られる。<br />
かつては国営放送で『モンティ・パイソン』を放送した大英帝国の出版社も、これほどの天才の作品を出版できず、安全安心作品を垂れ流すリーマン保護地帯に堕したというわけだ。悲しいねえ。<br />
2021年に出版された今作以降、自費出版としても出たAdam Howe作品はReggie Levineものの中編『Of Moose And Men』のみ。<br />
何とか年一作ぐらいでもAdam Howeの長編が読める体制にならんもんかね、と思うと同時に、これほどの大傑作を紹介することも怠り、法月ごときにかまけていた自身の愚行も深く深く反省するものである。土下座もんだよ。
これからは心を入れ替えるぐらいの勢いで作品紹介を第一に頑張って行くものでありますよ。ホントに。<br />
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■その他</h3>
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<h4>台北プライベートアイ (紀 蔚然:2011)</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
一昨年翻訳が出版され、本来ならこのハードボイルド廃人としては早急に押さえるものだったのだが、まあ例の近年のクイズオタクカルトを中心としたマッチポンプ的な華文ブームがあり、すっかり華文アレルギーとなって
しまい、こんなの読んだらくしゃみ鼻水止まんなくなるかもで、私同様なかなか手を付けてない人も多いかと思うこの作品。<br />
しかしながら、なんかうっかりでおススメに紛れ込んできたこれをぼんやり眺めているうちに、もしかしたら日本の間違った「本格ハードボイルド」思想に歪められていない、新しいアジアン・ハードボイルドが読めるかも、
という可能性が浮かんできた。とりあえず恐る恐るレビューなど見てみると、「ミステリーとしてはイマイチ」とか「ハメット、チャンドラーを考えると」とかの方向でやや否定的評価。それこそこちらの望むところだ!参考になるレビュー。
と結構な期待を持って、割と安い古本もあったんで早速購入したわけである。<br />
あ、一応先に書いとくと、レビューに関してはその時点でざっと見ただけで、その後は見てない。これから書くことが野良レビューの人たちへの個人攻撃になるのも良くないんで、あくまで曖昧な記憶の上での、
その辺からのイメージということで。<br /><br />
で、感想としては、んーまあ、普通に楽しめる一般的な良作だと思うけど、こっちの期待に応えてくれるものではなかったか…。<br />
前半の方、依頼人を前にしている場面で、なんか白昼夢のように自身についてのモノローグが始まっちゃったり、喫茶店から町を眺めていたりするあたりじゃ結構期待させてくれたんだけど、後半犯人を探して行くあたりからは、
なーんかひたすらミステリ。ミステリすぎるよ。<br />
こんなミステリなミステリ作品がどうして「ミステリとしてはイマイチ」的なレビューをされているかはすぐわかる。要するに、なぞなぞルール違反。「この中に犯人はいない!」とか「ササエルの中には誰もいない」とかの
類い。この辺までに出てきた人以外から犯人出してきたんでクイズしっかくー、という話っすよ。<br />
「ミステリとして云々」だとか、「筆が走りすぎー」みたいなどうとでも取れる上から批評目線みたいなのは、本当に風評被害としか言いようがない。最初にこういうのがあれば、後から来た人はミステリ弱者と追われたくない、
みたいな心理が働き、なんか自分で考えたミステリとして弱い部分を持ち上げてみたり、素直に楽しく読んだのにやや及び腰みたいになったりと、風評被害の連鎖が続いて行くわけだ。全く迷惑行為としか言いようがない。
クイズオタクカルトによる迷惑行為撲滅!STOP!THE クイズオタク!やりたかったら大昔作品かルールに従って書いてる国内作品だけにしてくれよ、てとこじゃない?<br />
で、ハードボイルドってとこなんだがな。ほら、よくいるじゃん、ハルキ翻訳のチャンドラー一冊読んで、『マルタの鷹』は映画版を観て、ハードボイルドわかった!って思う人。まあ、あんたがそういう人だとは言ってない、
ようで言ってるかもしれんけど、ハメット、チャンドラー言えばハードボイルド認否定できると思われてもな。ハードボイルドってもう1世紀近く延々と進化発展し続けてるんだからさ。美空ひばりで現代の
J-POPとか全否定するようなのと大差ないこと言ってるってわかってる?<br />
まあハードボイルドある程度でもわかってれば、この呉誠先生がルーザー探偵の一つのバリエーションだなんて当たり前。頭っからハードボイルド否定されるようなもんじゃない。ただ、先に書いたように、後半ひたすら一本道
ぐらいに犯人探索するのはねえ…。<br />
例えば、まあ今どき、よりかなり以前くらいからのハードボイルドでも後半のこれ、半分以上は捨てて、もっと話が動く別の展開考えるだろう。ケン・ブルーウンなら8割がた以上捨てるんじゃない?<br />
ブルーウン/ジャック・テイラーなら、こいつが絶対に犯人だ!と決めつけて(そのくらいの思考で決めつけられる容疑者いるよね)、誤爆でシャレにならないぐらいの暴力沙汰引き起こすとか。バーク/ロビショーなら、
重大事実発覚!で章が終わり、次の章でそれ追っかけるのかと思ったら、翌朝起きて釣り餌店の用意をしていると…、みたいな感じでルービックキューブをぐるんとひっくり返すような感じでまた別の面から始めさせられるような展開になったりとか。
マッキンティなら、事件現場が繋がり縦横の線が引けたあたりで、「わかりやしたぜ!この野郎ベルファストにでけえFUCKを書こうとしてるんでさ!」「いや待てよ、このサイズでFUCKだと、Kが海に落ちちまわねえか?」
みたいに脱線させてみたりとか。そういやこの分類の事件で、ジャック・テイラーで、「そんなこと考えて人殺す奴いるわけねえだろ。バーカ!バーカ!だからおめえはジャック・テイラーなんだよ!」ぐらいに言われて、
警察全然取り合ってくれなくて、仕方ないから自分で始末しに行く、みたいなのあったな。<br />
ちょっときつい言い方で悪いんだけど、やっぱこれじゃあハードボイルド未満の「ミステリ」にしかなってないと思う。<br />
なんとなく想像できるんだが、この人ミステリというのは基本的に好きで色々読んでいて、ハードボイルドも日本みたいな偏見なく、それこそブルーウンぐらいまで読んでて、自分で書いてみようと思ったとき、自分と重ね合わせやすい
一人称で、台湾の自分が見た風景なんかを描きながらという感じで、そういうスタイルの多いハードボイルド型を選んだのだと思う。ただ、あんまりうまく言えないけど、どこかハードボイルドを書き続ける人とは
異質なのではないかと思う。あー別に男の生き様セニョール・ピンクみたいなもんじゃねーから。なんか社会の歪みとかを犯罪を通じて表現しようとかかな。別にそういうことを考えていない人とは思わないけど、
そっちの方向で表現を考える人ではないのではないかと。<br />
デビュー作なんてそんなにうまく書けるもんじゃないのだから、割り引いて読むぐらいが正しいと思うのだけど、なかなかハードボイルド方向で期待できるとは言い難い。やっぱ後半半分捨てて…とかいう感じになっちゃう。<br />
おそらく今後作家活動を進めて行く過程で、もっと謎解きに特化した方向か、それとも逆に文学方向に向かうかどちらかで、ハードボイルドという方向で進化して行く可能性は、あまりなさそうに思えるのだが。<br />
まあどこまで行ってもハードボイルドという基準で、みたいな話のことで、そういうことを言わなければ、大抵の人が楽しく読める「ミステリ」なので、あんまり突っ込んだ口やかましい感じのことをくどくど書くのも
やや気が引けるんだが。しかしまあ、一応帯とかにもハードボイルドとか書いてあるんだし、「ハメット、チャンドラー云々」みたいな話にもなんないところからじゃなくて、今のハードボイルド視点からのレビューも
一つぐらいあってもいいんじゃないの?<br />
とりあえず、同じ呉誠シリーズで第2作も出ているそうで、翻訳されるなりで読むことができるなら読んでみたいぐらいには思ってます。別に私が読みたい作品を書いてくれなさそうと言うだけで、悪い作家ではないと思うので、まあ頑張ってください。<br /><br /><br /></span></span>
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<h4>新刊情報</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
遂にあれが出ます!エイドリアン・マッキンティ ショーン・ダフィ第7作『The Detective Up Late』!2023年8月8日!現在発表されているのは、旧X-BOX並みサイズの殴れば人も殺せるアメリカ巨人族向けハードカバー版と、
オーディオCD盤のみですが、秋ぐらいには通常人類向けペーパーバック版も出てくるかと思うので、もう日本でちゃんと出るのかわからん状況ゆえ、なるべく早く読んでお伝えしたいものだと思っています。<br />
日本で、早くて再来年ぐらいに仮に出るとしても、もう法月大先生出したんであとはどうでもいいぐらいの認識で、「解説」みたいなところに、昔あったような僕のベルファスト滞在記ー誰だお前的な適当なもんや、下手すれば
ジャニーズか歌舞伎俳優でも連れてきそうなところではなく、それがその作家の日本版書籍の一部として、いずれ絶版になって古本でしか流通しなくなるぐらいの将来になっても残り続けるものなのだ、という一般常識がある
出版社から出版されることを切に望みます。だから簡単な作者近況と著作リストぐらいありゃいいんだって。<br /><br />
その他、6月6日に出たコスビー『All The Sinners Bleed』。今作も各方面より絶賛の嵐で、コスビー快進撃はまだまだ続行中。これは翻訳出るんじゃないの?<br />
翻訳の方では、やっと日本で出たんかいのドナルド・レイ・ポロック『悪魔はいつもそこに』。まあ文庫の方が安いし流通も多いだろうから文句ないんだけど、そもそもは白水社あたりの文学枠で出るべき作家なのだと思うのだが。
まあ大昔にホレス・マッコイ『彼らは廃馬を撃つ』が角川文庫の映画枠で出たような現象かと。あと、ロス・トーマスはこっちでどうこう言う必要もないか。どっちも新潮文庫で、翻訳末期ぐらいの状況で頑張ってくれてる
とこですかね。ロス・トーマスまだ未訳あるし出せばそこそこ売れるだろうから、新潮ブランドぐらいの顔してまた出せばいいんじゃない?その他、若干気になってるのも出てますが、読んで必要あると思ったらなんか書きます。<br /><br /><br />
</span></span>
<h4>戸梶圭太最新情報</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
すいません、最近こっちのほうバタバタしていて、年が明けてから戸梶先生情報の方が抜け落ちていました。他意は全くないです。ごめんなさい。<br />
多元宇宙りんご町シリーズは1月(もう半年前じゃん!)に最新刊6巻が出て、そこから一旦執筆活動は中断のようで、最近はアニメーション製作に注力しているそうです。小説が出なくても戸梶先生の活動については、極力
追って行きたいと思っています。<br />
では13分の大作アニメ『Multiverse Apple Town Japanese Independent Animation 多元宇宙りんご町 民生委員とヒマラヤタワー with English Subtitle』をご覧ください。<br /><br />
<iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/qg3ubYVp6t0" title="YouTube video player" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" allowfullscreen></iframe>
<br /><br /><br />
まあそんなこんなで(適当まとめ慣用句)、またこちら本店の方も元に戻す感じで頑張って行きたいと思います。なんかちゃんと考えれば、書かなきゃいけないのに書けてなかったもんも山ほどあるわけで。なんか仕事を辞めて
憑き物が落ちたのか、眠ってた奴が勢力を取り戻したのかはわかりませんが、まあ他に誰も考えてくれないハードボイルドの現在や未来について伝えられるというような方向でやっていければと思います。中断しているあれとか
あれも復活できないかと。<br />
当面、コミックサイトの方を何とか早く形にできないもんかと注力する方針なので、あんまり早い更新はできないかと思いますが、なんとか時間作ってこちらはこちらで頑張りますので。まあクラシック作品についてはまた考えます、という感じで。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2016/09/adam-howe-die-dog-or-eat-hatchet.html">Adam Howe / Die Dog or Eat the Hatchet -期待の大型新人のカントリー・ノワール!- </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/04/adam-howe-tijuana-donkey-showdown.html">Adam Howe / Tijuana Donkey Showdown -われらがポンコツヒーロー再登場!!-</a>
</span></span>
<br />
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Adam Howe<br />
●One Tough Bastard</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3U7PVnB"><p>One Tough Bastard</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Reggie Levineシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47vs7N7"><p>Die Dog or Eat the Hatchet</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47stdJH"><p>Tijuana Donkey Showdown</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3voceen"><p>Wrestle Maniacs</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3H9xnve"><p>Of Moose And Men</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●その他</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48shMD5"><p>Black Cat Mojo</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48shPyL"><p>Scapegoat</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■ササエルの中には誰もいない</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TO6PHo"><p>ササエルの中には誰もいない 1巻 (まんがタイムKRコミックス)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TQ4pIl"><p>ササエルの中には誰もいない 2巻 (まんがタイムKRコミックス)</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
</div>
<div class="amList">
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</div>
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<a href="https://amzn.to/3NOKTbx"><p>多元宇宙りんご町3</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S6QYCu"><p>多元宇宙りんご町4</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41PzXjt"><p>多元宇宙りんご町5 りんご町ラップバトル</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3viIvTS"><p>多元宇宙りんご町6</p></a>
</div>
</div>
<div style="clear:left;">
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-17922924784074687422023-06-01T01:30:00.003+09:002024-02-01T14:15:58.257+09:00 James Lee Burke / Cadillac Jukebox -デイヴ・ロビショー第9作!-<style>
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<a href="https://amzn.to/3HbT79X" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/51F1q6pZd8L.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回はあのジェームズ・リー・バークのデイヴ・ロビショー第9作『Cadillac Jukebox』が満を持して登場!<br />
…あ、いや満を持してとか言ってみたけど、実は前回言ってたように別なのを予定してたんだが、1か月ほど別サイト立ち上げに集中してて、なんか継続が途切れちゃって気分的には再開という感じなので、
やっぱこっちからやろうかと。<br />
あと、こんな重要作がこんなに遅れたのは、最初さすがにバークは読む自信がなく先延ばしにしていて、そのうちにもったいない病でとっといた翻訳出た最後の『Burning Angel(邦題:燃える天使)』が行方不明になり、
引っ越しで一旦発見したがまた行方不明になりみたいなドジっ子行動を繰り返してきたせいなんだが、遂に読んだ!翻訳が途切れた第8作の次のこれ!<br />
ここから私のバーク/ロビショーは再開されるのだ!<br /><br />
常々私が罵倒している日本のハードボイルド観の大間違い元凶に、本格ハードボイルドというのがある。例のハメット-チャンドラー-ロス・マクドナルドという昭和の交通標語。もし仮に、歴史改変パラレルワールドSF的な
世界で、この本格ハードボイルドなる概念が正しく運用されるなら、続く本格殿堂の座にはジェームズ・クラムリー、そしてこのジェームズ・リー・バークが座っているはずだ。ジェームズ・リー・バークというのは、
それほどにハードボイルド、いやミステリーにとって重要作家である、ということをまず宣告しておく!<br />
そしてこれがそのジェームズ・リー・バークのデイヴ・ロビショー、日本では角川書店の都合のみの理由で失われた続き、第9作『Cadillac Jukebox』である!
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Cadillac Jukebox</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
物語はまずこの作品-事件の中心となるAaron Crownという人物の紹介から始まる。<br /><br />
Aaron Crown。北ルイジアナから流れてきた樵夫一家の出。スキンヘッドに先祖返りしたような体躯。悪臭と、常に暴力の匂いを放ち誰も目を合わせたがらない男。コミュニティの一員だと誰も思わない貧乏白人の底辺。<br />
かつてKKKに所属していたが、何らかの理由で追放されたとの噂もある。<br />
だが彼がNAACP(全米黒人地位向上協会)のルイジアナのリーダーを、その家の外から狙撃し、殺害するようなことをするとは誰も思っていなかった。<br />
彼はそれにより有罪をを宣告されアンゴラ刑務所に送られた。彼を弁護する必要があると思ったものなどいなかった。彼もその罪を否定しなかった…。<br /><br />
それは選挙の年の初秋。ある土曜の朝、ロビショーは自分の地所に沿った道路を、Buford LaRoseと妻のKarynが、まるで健康雑誌の写真から抜け出したようにジョギングしてくるのを見止めた。<br />
私の所に来たわけじゃないだろう、と自分に言い聞かせロビショーは彼らが通り過ぎるのに任せ、釣餌店に足を向けた。<br />
「やあ!」Bufordが呼びかけて来るのが聞こえた。<br />
「やあ、どうしたんだ?」ぎこちなく応える。<br />
「Aaron Crownからまだ連絡は来てないか?」<br /><br />
「何故だ?」<br />
「彼は自分の話を聞いてくれる心優しい男を探しているらしい。」Bufordは20年前の80ヤードラインを越えたルイジアナ州立大のクォーターバックの笑みを浮かべ、ウインクした。<br /><br />
「Aaronは無実を主張することに決めたようだ。」<br />
「彼の話を買う映画屋が現れたそうだ。話は見えてきただろう?」<br /><br />
名家に生まれ、心理学の学位で大学の教授職に就き、Aaron Crownの事件についての本を書いて名を売り、次の州知事を目指しているBufordにはAaronの動向を気にする理由があった。<br />
そしてロビショーには、かつてKarynと関係があり、自分が一方的に背を向けたという負い目があった。<br /><br />
ロビショーはアンゴラ刑務所でAaron Crownと面会する。厳重に拘束されて面会室に来たAaronのそれを少し外してくれるよう看守に頼み、二人で中庭に出て話す。<br />
「俺はやってねえ。」<br />
「あんたは不抗争の答弁をしただろう。」<br />
「俺の事件を担当した豚野郎がやったんだ。これはどうにもならないと言って。」<br />
「奴らは俺に40年の刑をよこした。俺は昨日で68だ。」<br />
「連邦裁判所に嘆願すれば、刑の軽減が望めるはずだ。」<br />
「そんなことすりゃあ色付きと一緒の房に入れられ、寝首を掻かれるのがオチさ。」<br /><br />
「何故俺に電話しようと思ったんだ?」ロビショーは尋ねる。<br />
「あんたは俺の娘をヘンダーソン沼で助けてくれた。」<br />
「なるほど…。だが俺に何かできるとは思えないんだがな、Aaron。殺人現場で見つかったライフルには、あんたの指紋があったんだろう?」<br />
「あれは盗まれたんだ。指紋は銃床に親指のが一つだけ。なんで夜中に黒んぼを殺しに行った白人が、てめえのライフルを現場に置いて来る?なんでトリガーの指紋を拭いて、銃床に指紋を残してくる?」<br />
「あんたは訴追なんてされるはずがないと思ったんだな。」<br />
「俺はやってねえ。」Aaronは言った。<br />
「私はあんたの助けにはなれない。」<br /><br />
だが、Aaronの件はロビショーに付きまとい続ける。<br />
同僚の刑事ヘレン・ソワローと、警察官殺害事件の目撃者とされるニューオーリンズの犯罪常習者Mingo Bloombergの拘束に向かったロビショーは、その男の口からもAaronには関わるな、と警告される。<br /><br />
そして、Aaronの事件の映画製作のため、ニューオーリンズに滞在していた脚本家が、売春婦とのことの最中に殺害されるという事件が起こる。脚本家が自分の楽しみのために、密かに回していたビデオカメラが、
プロの殺し屋と思われる黒人の巨漢を捉えていた。<br /><br />
ラファイエットの地下道エリアでさびれたバーを経営する、Aaronの娘Sabella Crownは、父の窮状を自業自得だというように突き放す。<br />
ニューオーリンズで裏稼業も含む多くの事業を束ねる顔役Jimmy Ray Dixonは、Aaronを自分の兄を殺した敵と憎んでいる。<br />
Aaronの映画を企画中の映画監督Lonnie Feltonは、ロビショーにAaronの無実証明に協力してくれと訴える。<br />
LaRose家の友人として、彼らの間を謎の目的でうろつく60年代ヒッピーカルチャーのカリスマClay Mason。<br />
そして、いつものように自分を取り巻く厄介事を話していたかつての相棒クリート・パーセルが、Jerry Joe Plumbを連れて来る。<br /><br />
Jerry Joe Plumbとロビショーは子供時代の友人だった。彼とロビショーの母親が洗濯場へ行っているとき、Jerry Joeはロビショーの家で母親を待っていた。
だがある出来事をきっかけに彼がロビショーの家へ来ることはなくなった。<br />
父親はなく、二人暮らしの母親が亡くなると素行は荒れ、やがて退学というコースをたどる。<br />
少年時代からブーレとダンスの名手だったJerry Joeは、踊るようにロビショーの釣餌店に入って来る。<br />
クリートは、この地の様々な部分と繋がりがあるJerry Joeから何かを聞き出せるかと思い、連れてきたのだが、はぐらかせるような話しをするばかりで要領を得ない。<br />
「どうだ?デイヴ、この店にジュークボックスを入れてみるってのは?いい業者と付き合いがあるんだよ。」<br />
そして立ち去る間際に言う。Aaron Crownの件には関わるな、と。<br /><br />
一連の動きに深くかかわっているはずだが、背景も動機も不透明なまま発生した事件で拘束されるMingo Bloombergの謎の動き。<br />
ロビショーの懐柔を図り、しきりに干渉してくるBuford。<br />
別の思惑を持って接近するKarynを挟みLaRose家との関係はよじれて行く。<br /><br />
そしてJerry Joeの口から語られる過去。<br /><br />
謎の殺し屋は不明の意図によりその地を去らず、バイユーに潜伏し続ける。<br />
更にベトナム戦争から深い傷を負う、裏社会にも深いつながりを持つ実業家Dock Greenの関与も見えて来る。<br /><br />
正体も明らかでない様々な意図、利権、愛憎が絡み合う迷宮に取り巻かれるロビショー。<br />
そしてAaron Crownがアンゴラ刑務所を脱獄する…。<br /><br /><br />
勘違いしている人がいるかもしれないので、はっきり言っとくが、これはロビショーがAaron Crownの無実を証明する、といった方向へ進むストーリーではない。<br />
キャラクターとしての役割などは全く異なるが、作品全体の構造から見た位置づけは大鹿マロイに近いものかもしれない。<br />
ロビショーはAaron Crownの境遇に対し、同情やいささかの義憤も感じてはいるが、だからと言って外からの安全なポジションで世の中を単純に善悪に分けたストーリーに捻じ曲げ、商売をするような映画屋の「正義」に
与するものではない。言ってみれば先に勘違いするなといった方向のストーリーが、こういう映画屋の作るような、「安心して読めるミステリー」なんだろな。<br />
Aaron Crownのような人間は、社会の被害者であろう。だがロビショーは、自身がその社会の構成要素でもあり、間接的には加害者に属してしまうかもしれないことを知っている。しかしだからと言ってそこから逃避し、
責任から目を逸らして「世の中はそういうものだ」というような言い方で自己正当化することなく、そこに痛みを感じ続けることができる人間である。<br />
ロビショーは、地域の一警察官であることが限界な立場からはAaron Crownの事件に介入することはできない。しかし、様々な本来は違う方向を向いた力が、ある利害を持って結びつき強引に捻じ曲げたような事実は、
自身からあちこちに歪みを発生させる。そしてその綻びを修正しようとする動きが彼を巻き込んで行くが、そこに屈せず歪みの正体に向き合って行くのがデイヴ・ロビショーなのだ。<br /><br />
若干強引なAaron Crown=大鹿マロイという位置づけに倣えば、この作品のもう一人の重要人物であるJerry Joe Plumbはテリー・レノックスとも言えるかもしれない。キャラクターや、事件への関わりなどでは
全く違うが、前作『燃える天使(1995:Burning Angel)』のソニー・ボーイ・マーサラスと、物語内ポジションという視点からは近いのではないかと思う。もしかしたら『長いお別れ』の最後で去ったテリー・レノックスが
再び戻ってきたような、既に何らかの「罪」や因縁を背負ったキャラクターが、マーサラスやJerry Joeなのかもしれない、とついさっき気付いた。<br />
タイトルの『Cadillac Jukebox』はJerry Joeがロビショーの釣餌店に勝手に持ってきて強引においていったジュークボックス。Jerry Joeが愛するキャデラックの曲のみが入っている。<br />
Jerry Joeの重い過去と、それに引き摺られ続けている現在。Jerry Joeの装う伊達男の外見にカスタマイズされたような過去のヒットナンバーは、その深すぎる傷を自分に対して覆い隠し、できれば虚飾の過去と
それを入れ替えたいという思いとして悲しく響く。<br />
そしてそれは、過去を覆い隠して、Aaron Crownという生贄の上に新たな現在を構築しようとする試みが、その過去の歪みにより破綻し、事件という形で浮かび上がってくるこの物語全体にも呼応し、響いて行く。<br /><br />
今回のあらすじをまとめるのは、今までで一番難航したかもしれない。未訳作品ゆえになるべく本来の雰囲気を伝えたいと思い、序盤はなるべくオリジナルに忠実に再現し、徐々にフェイドアウトする感じで簡略化して
行って作品の方向性がわかるあたりで止めるというのが、自分の考えるやり方なのだが、この作品ではそれが全く通用しなかった。<br />
まず最初のBuford LaRoseのくだり書いて、次にAaron Crownに面会に行くところを書いて、最低Jerry Joe Plumbが出てくるところまではやんなきゃなんないだろうぐらいに思っていたのだが、まあそこまでが大変。<br />
実は今回かなり重要な部分まで省略している。最初の方で出てきたMingo Bloombergなのだが、一旦拘置された後、釈放され、脚本家が殺される事件の目撃者である売春婦の失踪にかかわる事件で再び収監され、というのが
Jerry Joe登場までに起こっている。最初の警察官殺害事件の目撃者というのも結構大きく本筋に関わる事件だし。<br />
そして完全に省略せざるを得なかったのが、序盤にロビショーの釣餌店に何らかの意図をもって現れた謎のメキシコ人の件で、これはJerry Joe登場の前ぐらいにロビショーとヘレンがメキシコに行ってひと段落している。
ひと段落はしているが、その時のやり取りがあちこちで浮上して来たり、最終的にはかなり重要になってきたりする。<br />
その他、そこに至るまでにBufordとKarynのLaRose夫妻とは相当色々あるし、ここまでを読んで、あれ?今回はブーツィーやアラフェアやバティスト出てこないの?ぐらいに思った人もいるんじゃないかぐらいなのだが、ちゃんと普通に出て来るから。この辺までに書いた釣餌店のとこでは大抵バティストいるし。あとクリート・パーセルもっと前からいっぱい出て来るし。ブーツィーとはKarynのことで夫婦生活のやや危機ぐらいになるし。あー人によってはそこ解説とかで外せないものぐらいの勢いで書くかもね。<br />
その辺全部省略しなければ果てしなく長くなっちゃうから、バッサリと切って重要人物の名前と立ち位置ぐらいを箇条書きぐらいにして、やっとJerry Joe出てきたぞ、となったら省略したところにかなり関わるんで、
やり取りほとんど書けないとか。とにかくこれだけは、で本当はかなり複雑なDock Greenの名前だけ出して、ええいここまでだ、ぐらいの感じ。大体そこまでで4分の1強ぐらいか。Aaron Crownの脱獄は
中盤か後半近くぐらいだったと思う。<br />
こういった作品については、あらすじの書き方も再考しなければならないとか思うが、それがこんな感じの一旦書いてから崩れた注釈入れるような形なのかもね。<br /><br />
こういう作品に対して「複雑なプロット」とか言ってなんか言ったような顔する輩いるだろう。ほらいたいた、そこの思いっきり威張り腐ったこじつけ屋。<br />
そもそも小説の評価で一番先に出て来るものと言えば作品のテーマだ。それを置いといてプロット云々というような本の読み方、分析評価の仕方が創作教室でもないどこから来るのか?それはナゾトキクイズ小説だ。
元々テーマがナゾトキぐらいでまともな文学なんぞに対抗できないナゾトキ小説を評価して価値あるものに見せるための手段として編み出されたのが、過剰なプロット云々評価なんだよ。
まあな、クイズの出来を考えるための方法として、ここで証拠が見つかって~、ここで手掛かりが見つかって~、これらを組み合わせればここで合理的に犯人が推理できま~す、みたいな組み立てを見るのは有効な手段
だったかもしれん。だが何度でも言うがそんな方法で書かれてるミステリなんて遥か昔に終わってんだよ。<br />
現代の、っていうか結構昔からの<u>日本以外</u>のミステリ小説のプロットは、そんなナゾトキ目的では作られていない。最終的に犯人なりが明らかにされるまでにいかにドラマを作り上げるか、という方向だろう。
それを、○○さんが殺されてこうしてこうなってこう解決されましたー、ハイ「○○殺人事件」みたいなとこまでナゾトキメインに簡略化して、「ミステリとして」評価しようみたいなのが、このプロットプロットの
正体なんだよ。バカバカしい。<br />
外国の作家にさあ、「あなたの作品の複雑なプロット構成に感服しました。」とか偉そうに言ってみ。せいぜいこいつ積み木でボクのおうち作るレベルでレゴで作ったお城に感心してるんだろうなあ、<b>日本の小説って
レベル低いんだなあ</b>、ぐらいに思われるのが関の山。場合によっちゃあ、どこの創作教室の作文先生気取りだこの阿呆が!ぐらいにブチ切れるかもしれんよ。<br />
この作品『Cadillac Jukebox』のプロットは、確かに大変複雑だ。だが、それは何処まで行っても難しいクイズを作るためのものじゃない。そしてジェームズ・リー・バークもそんなことで褒められて喜ぶほどの安物作家じゃないってことだ。<br />
あーそうそう、ついでに言っとくと、最近気付いたんだけど、世の中の大抵のミステリ小説って「迷宮」と「鏡」でこじつけられるんじゃね?<br />
ミステリ小説のこじつけには「迷宮」と「鏡」の二語があれば事足りる、とかな。<br /><br />
まあ馬鹿話は置いといて、この作品はこのように多くの人物が登場し、それらが入り組んだ複雑な構成でできている。かなり時間を遡った過去、もうちょっと最近の過去、さらにはシリーズに一貫して現れるベトナム戦争の傷、
などの多くの過去がそれらの人物と絡み合い、それらがこの地に法とは無関係にそれぞれの関係に都合の良いルールや規範ぐらいのものを作り上げている。ロビショーは、常にそれは俺のルールではないと突っぱねる。
だが、ロビショー自身の立ち位置は常に不動でも、その複雑さや闇の深さに自身がどこを向いているかさえわからなくなってくる。「真実」がわかれば世界が元通りに復旧されるわけではなく、それは多くの場合彼自身をも
巻き込む一つの崩壊のきっかけにしかならない。それが彼のいる世界だ。そしてその崩壊の中で、可能であれば罪ある者さえ救おうと戦うのが、デイヴ・ロビショーなのだ。<br /><br />
前作となる『燃える天使(1995:Burning Angel)』が翻訳されたのが、2002年。日本の翻訳ミステリ評論はどこぞの痴呆評論家の類が発した「ジム・トンプスンを一位にしたのはまずかったネ」に象徴される読書のプロ
暗黒時代に突入している時期だろう。クソランキングの基準は「謎また謎、どんでん返しに次ぐどんでん返し、クイズに次ぐクイズ」に定められ、野良レビューではよみにくい児童やわからない児童が大手を振って
我が物顔で歩き、果ては「ミステリと思って読んだらミステリではなくハードボイルドだった」などという小学生感想文レベルがレビュー面をするほどに劣化する。「ミステリとして」などという利いた風な言い方で
クイズ基準ばかりが評価され、その形を意図的に崩しているものに対してあたかも失敗した出来損ないであるような評価を下し、自分が「ナゾトキのためならいくらでも人を殺していいけどその過程を書くのはお下品ザマス」
ぐらいのことを言ってると全く気付かないまま作中に出て来る暴力描写を批判する。最初に角川書店の都合といったけど、こんな時代にこんな極上ハードボイルドを出してきちんと評価されるわきゃないよな。<br />
そして一方ではハードボイルド言説の方も救いがたい惨状。どこかのパラレルワールドの「本格ハードボイルド」なる概念が正常に運用されている世界では、とっくにバーク作品が殿堂入りされ、新たに登場した
まさに規格外のケン・ブルーウンを、本格ハードボイルドとするか、いやそもそもその概念自体を見直すべきではないか、ぐらいの議論が交わされてるところだが、こちら死んだ世界線では稚拙なセリフ抜き書き集レベルでの
ハードボイルド精神解釈に明け暮れてるうちに、もう夜明けなんて来ないんじゃないですかねえ状態。結局の所さ、ほらあれよ、『ワンピース』に出て来る赤ちゃんオヤジ。あれが日本の本格ハードボイルドってやつの
成れの果てでしょ。パロディとかでもなんでもなくてさ。令和の交通標語はハメット-チャンドラー-マクドナルド-パーカー-オダでいいんじゃねーの。<br /><br />
だが、いかに日本がバーク作品が翻訳される価値すらない国に成り下がっても、当然ながらその作品の絶対価値は全く変わらん。これこそが本当に読むべき価値のある小説だ!今後は何が何でもジェームズ・リー・バーク/
デイヴ・ロビショーを読み続けるものである!よし!Kindleの中にちゃんと専用フォルダも作ったし、今度は絶対に紛失しない…はず…。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Holland Family Saga</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ここで前回、クロニクル的に書かれた犯罪小説の件でちょっと触れたジェームズ・リー・バークのHolland Family Sagaについて。<br />
ロビショーシリーズでも南北戦争から現代にいたる様々なその土地の過去を作品に取り込んでくるバークが、このジャンルに挑むのは必然ぐらいのものだが、それがこのHolland Family Saga。シリーズとしては2014年から始まり、
現在までに5作が刊行されているのだが、それに先行するHackberry Hollandシリーズ3作、日本でも2作が翻訳されたBilly Bob Hollandシリーズ4作もこれに属する作品ではないかと思う。<br />
どの辺からこの構想が始まったのかはわからないけど、Billy Bob Holland4作の後、1971年に書かれた『Lay Down My Sword and Shield』の主人公Hackberry Hollandをシリーズとして復活させた2009年にはスタートしていたの
ではないかと思う。実際Holland Family Sagaの第1作である『Wayfaring Stranger』は出版社によってはHackberry Holland第4作になっていたりするので、そこに直結する形で開始されているのは明らかだろう。
なんだかんだ言ってもホント私厄介なやつなんで、シリーズちゃんと読むのを楽しみにしててちゃんと調べてないので曖昧で申し訳ないんだがね。現在最新作である『Every Cloak Rolled in Blood』は、バーク自身の
家族に起こった痛ましい事件を元にしているそうなので、多分シリーズもそこで終わりなのかと思われる。シリーズ詳細については、以下のジェームズ・リー・バーク著作リスト参照ということになるのだが、
これもロビショーと並んで必読以外に言いようないだろう。なるべく早く『Lay Down My Sword and Shield』から読みますんで。<br />
何度も言うが、このクロニクル的に書かれた犯罪小説というのは、現代ミステリにおいて最も注目すべきぐらいのトレンドなのだが、日本では上記のような愚鈍どもの商売フィールドであるミステリ評論内では完全に
無視されてる。諸悪の根源であるクイズオタクカルトなんてものは最初から当てにも何にもならないが、本来なら目を向けるべきセクションがセニョール・ピンクへの道を邁進していたり、ジャンルの発展を妨げるだけの
ノワール統制なんぞをやってる始末だ。どう考えたって読みたい本が出る確率がSSRより遥かに低いこんな国の翻訳ミステリなんてもう見切りをつけるしかないじゃん。無課金でももう少し出るでござるよ。神崎アーデルハイド。
<br /><br /><br />
<h4>■James Lee Burke著作リスト<br /><br />
〇Dave Robicheauxシリーズ</h4>
<ol>
<li>The Neon Rain (1987) 『ネオン・レイン』</li>
<li>Heaven's Prisoners (1988) 『天国の囚人』</li>
<li>Black Cherry Blues (1989) 『ブラック・チェリー・ブルース』</li>
<li>A Morning for Flamingos (1990) 『フラミンゴたちの朝』</li>
<li>A Stained White Radiance (1992) 『過去が我らを呪う』</li>
<li>In the Electric Mist with Confederate Dead (1993) 『エレクトリック・ミスト』</li>
<li>Dixie City Jam (1994) 『ディキシー・シティ・ジャム』</li>
<li>Burning Angel (1995) 『燃える天使』</li>
<li>Cadillac Jukebox (1996)</li>
<li>Sunset Limited (1998)</li>
<li>Purple Cane Road (2000)</li>
<li>Jolie Blon's Bounce (2002)</li>
<li>Last Car to Elysian Fields (2003)</li>
<li>Crusader's Cross (2005)</li>
<li>Pegasus Descending (2006)</li>
<li>The Tin Roof Blowdown (2007)</li>
<li>Swan Peak (2008)</li>
<li>The Glass Rainbow (2010)</li>
<li>Creole Belle (2012)</li>
<li>Light of the World (2013)</li>
<li>Robicheaux (2018)</li>
<li>The New Iberia Blues (2019)</li>
<li>A Private Cathedral (2020)</li>
</ol>
<h4>〇Billy Bob Hollandシリーズ</h4>
<ol>
<li>Cimarron Rose (1997) 『シマロン・ローズ』</li>
<li>Heartwood (1999) 『ハートウッド』</li>
<li>Bitterroot (2001)</li>
<li>In the Moon of Red Ponies (2004)</li>
</ol>
<h4>〇Hackberry Hollandシリーズ</h4>
<ol>
<li>Lay Down My Sword and Shield (1971)</li>
<li>Rain Gods (2009)</li>
<li>Feast Day of Fools (2011)</li>
</ol>
<h4>〇Holland Family Saga</h4>
<ol>
<li>Wayfaring Stranger (2014)</li>
<li>House of the Rising Sun (2015)</li>
<li>The Jealous Kind (2016)</li>
<li>Another Kind of Eden (2021)</li>
<li>Every Cloak Rolled in Blood (2022)</li>
</ol>
<h4>〇その他</h4>
<ul>
<li>Half of Paradise (1965)</li>
<li>To The Bright and Shining Sun (1970)</li>
<li>Two for Texas (1982)</li>
<li>The Lost Get-Back Boogie (1986)</li>
<li>White Doves at Morning (2002)</li>
<li>Flags on the Bayou (2023)</li>
</ul>
<h4>〇短篇集</h4>
<ul>
<li>The Convict (1985)</li>
<li>Jesus Out to Sea (2007)</li>
</ul>
<br /><br />
まあこんな感じで、何とかこっちの方も再開となりました。まあ以前からもこのくらい空くのは多かったのだろうし、自分の感覚ほど長い中断ではなかったのかもしれんけど。とりあえず、昼間はコミックの方頑張って、
夜に時間取れたらこっちもぼちぼちやってく、ぐらいのペースでやっていければと思うのだけど、なーんか途方もなく時間かかること始めちゃって、結局昼夜かかりっきりでこっちに手が回らなかったりなどしばしば。
まあハードボイルドに関しても書かねばならないことも山積みですので、何とかやりくりしてやっていこうと思いますので、また気が向いたら見に来てください。あとまあコミックの方でやっと書いた
<a href="http://cateatcatcomics.com/2023/04/25/reckless/">ブルベイカー/フィリップスの『Reckless』</a>は、ハードボイルド的にも大変重要作なので、それくらいは読んでくれや。そんなとこですかな。
</span></span>
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■James Lee Burke<br />
●Dave Robicheauxシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RPqwvX"><p>The Neon Rain</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48GNsV8"><p>Heaven's Prisoners</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41LNMzq"><p>Black Cherry Blues</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3NSjBBc"><p>A Morning For Flamingos</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/48FYWbp"><p>A Stained White Radiance</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41V2Fj5"><p>In the Electric Mist With Confederate Dead</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3SaiEGV"><p>Dixie City Jam</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/4aZBfNl"><p>Burning Angel</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3H7KXiH"><p>Cadillac Jukebox</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/491oU9B"><p>Sunset Limited</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tAdOt5"><p>Purple Cane Road</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/41M9m78"><p>Jolie Blon's Bounce</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3NSkvgM"><p>Last Car To Elysian Fields</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48HGuPx"><p>Crusader's Cross</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H72Aze"><p>Pegasus Descending</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3SbIjz2"><p>The Tin Roof Blowdown</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RMAZIw"><p>Swan Peak</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vwFbVc"><p>The Glass Rainbow</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TMuibZ"><p>Creole Belle</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vzyX6Y"><p>Light of the World</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TOddhQ"><p>Robicheaux: You Know My Name</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RRreIW"><p>The New Iberia Blues</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3ROee7d"><p>A Private Cathedral</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S5vCWi"><p>Clete</p></a>
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</div>
<div style="clear:left;">
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47k3cfy"><p>ネオン・レイン</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tH8kwC"><p>天国の囚人</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aDNAq2"><p>ブラック・チェリー・ブルース</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48K6uK4"><p>フラミンゴたちの朝</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vkdcbg"><p>過去が我らを呪う</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48lNYYU"><p>エレクトリック・ミスト</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3OfWu3J"><p>ディキシー・シティ・ジャム</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S8QXOI"><p>燃える天使</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Billy Bob Hollandシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NUUw8G"><p>Cimarron Rose</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TOh5PU"><p>Heartwood</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48FBhrw"><p>Bitterroot</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48klnTC"><p>In The Moon of Red Ponies</p></a>
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</div>
<div style="clear:left;">
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TQdUHz"><p>シマロン・ローズ</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48lPXfO"><p>ハートウッド</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Hackberry Hollandシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aPnCAb"><p>Lay Down My Sword and Shield</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aNlfOk"><p>Rain Gods</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48Izd1T"><p>Feast Day of Fools</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Holland Family Saga</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tJt5rq"><p>Wayfaring Stranger</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48nGRPA"><p>House of the Rising Sun</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48zsO9k"><p>The Jealous Kind</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RPL2wj"><p>Another Kind of Eden</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48nI49E"><p>Every Cloak Rolled In Blood</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●その他</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NUHCr3"><p>Half of Paradise</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aJyjEd"><p>To the Bright and Shining Sun</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RRigvo"><p>Two For Texas</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vt88BB"><p>The Lost Get-Back Boogie</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47sCBNg"><p>White Doves At Morning</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tHKv7J"><p>Flags on the Bayou</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●短篇集</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41RLxuK"><p>The Convict And Other Stories</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48ivPem"><p>Jesus Out To Sea</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RM49rq"><p>Harbor Lights: A collection of stories</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-3648200948709381862023-04-10T15:24:00.002+09:002023-04-10T15:24:19.421+09:00コミック専門サイト(支店)新設しました<div class="separator" style="clear: both;"><a href="http://cateatcatcomics.com/" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="120" data-original-width="1240" width="550px" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgjICR8p6Tz7L2NVwsTnG5dE-JV0P-w6YcNaS2MAj_L5OM87SfwKiNvevkjtFx7-bcB0OIts2tnevVxhfBmtLI6OTTgUIUsP9p01icIBU6FxHWFhkCoTgZFwluDuLHA-23WNPj_2chmfZqzQQBSWXUeCk2KYoT2-AZdjnO5HOaw5-qLHfK_alVbT6nR/s1600/headder_02.jpg"/></a></div>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
この度、色々と思うことがあってコミック関連の別サイトを立ち上げました。今後こちらは主にハードボイルド関連の記事のみでやって行くこととなります。その辺の色々思うことなどについては、こちらの記事をご覧ください。<br /><br />
<a href="http://cateatcatcomics.com/2023/03/30/introduction/">Cat Eat Cat / こいつはなんでこんなことを始めたのか?</a><br /><br />
こんなもたもたして一つのサイトでもろくに更新できないやつが二つも作ってどうすんの?てところですが何とか頑張って行かねばというのみです。<br />
こちらにつきましては、今後も従来通り、日本じゃ翻訳される見込みもない作品について熱く語ったり、無差別全方向に罵倒を飛ばしながらもたもたやって行きますので宜しくお願い致します。<br />
なーんか、これから頑張るぞい、と思ったところでキーボード壊れたり、うっかりiTunesの音楽全部消しちまったりと、かなりバタバタしながらのサイト立ち上げでなんか疲れ果ててしまったので、
ちょいと短めで終わらせてもらいます。うわ、これからっちゅーところで疲れた終わりはねーだろ…。んまあ一休みしたらどちらも頑張るんで。では。<br /><br />
<a href="http://cateatcatcomics.com/">Cat Ear Car -君のせいで猫もなくした コミック支店-</a>
</span></span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-79133029816106514642023-04-03T19:00:00.002+09:002024-01-08T13:39:24.353+09:00James Carlos Blake / The Wolfe Family -ブレイク渾身の新シリーズを読め!-<style>
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<a href="https://amzn.to/4aQLdR1" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81u-mbAqJKL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回は前々から言ってて、やっとという感じのジェイムズ・カルロス・ブレイクのWolfe Familyシリーズ。その第一回という感じで、#0『Country of the Bad Wolfes』と#1『The Rules of Wolfe』について書きます。<br />
という感じでやろうというのは最初から決まっていたのだが、さて、具体的にどうやるかについては少し悩んでしまった。単純に出版された順番で行けば、#0 『Country of the Bad Wolfes』(2012年)、#1『The Rules of Wolfe』
(2013年)ということで#0からやるのが順当なところなのだが、実はこの『Country of the Bad Wolfes』という作品、先だって未訳おススメのところで書いたように、19世紀初めから20世紀初頭メキシコ革命勃発期までの
約100年に亘る大作であり、かなり歴史小説的な側面もある作品でもあって、いつものように単純に出だし部分のみを紹介するというやり方ではあまりに中途半端になってしまい、またその一方で、シリーズ中で#0とされて
いることからもわかるように、#1から始まる物語の前日譚となるものであり、そういう意味でも先に知っておくとよい話であるわけで、双方を考えるとそれについて書くとなれば簡単なあらすじにせよ、全編を紹介するというのが
妥当ということになるだろうと思うわけである。<br />
しかしながら、結構な大作ゆえ簡潔にまとめてもそこそこ長くなるし、また全面的ネタバレとなるとやっぱ読みたくない人もいるかもしれんし、ということで、今回は#1『The Rules of Wolfe』について紹介した後に、
ネタバレしちゃうけど読みたい人は、という感じで#0『Country of the Bad Wolfes』について書くという形でやって行きます。あと、まあ『Country of the Bad Wolfes』という作品は繰り返しいっとるように、
犯罪小説というよりはWolfe一族を近代メキシコ史のなかで書いた歴史小説的側面も強いので、自分のような根気だけが取り柄の変わりもん以外にはそっちから始めろというのもちょっときついかという思いもあるので。
しかしながら、特に日本のクズレベルの評論家がそういう言い方が自分の見識かなんか示せると思って言う「何作目がシリーズ最高傑作」みたいな口車に乗せられて、前後関係が重要になる現代のハードボイルドシリーズを、
途中から拾って読むような読み方は本当にクソだっつーことははっきり言っておく。このシリーズに関しては#0からは少しきつくても、最低#1からは順番に読むべし。<br /><br />
ジェイムズ・カルロス・ブレイクについては翻訳が3冊あるのだけど、そちらに書いてないことやその後について、まず簡単にまとめて行きます。1947年、メキシコ タンピコに米国より移住した3世として生まれる。祖先は
アメリカ人、イギリス人、アイルランド人、スペイン人が混淆した家系で、その中にはメキシコで捕縛、処刑された英国出身の海賊もいるそうです。少年時代をメキシコシティで育ち、大学教育は米国で受け、米国での
軍歴もあり、現在はアメリカ市民として帰化しています。<br />
1995年『The Pistoleer』でデビューした後、2005年までに19世紀から20世紀初頭あたりまでの時代背景でアメリカ-メキシコ国境近辺が舞台の犯罪小説を9作発表。うち第6作から第8作までの3作が翻訳されています。
その後7年の間を置き、2012年より開始されたのがこのWolfe Familyシリーズということになります。この7年の沈黙については作品について紹介しながらのちに考察して行きます。<br />
というところで2013年に出版されたWolfe Familyシリーズ#1『The Rules of Wolfe』から始めて行きます。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■The Rules of Wolfe</h3>
<a href="https://amzn.to/4aQLdR1" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81u-mbAqJKL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
この作品のプロローグは、Wolfe一族のひとりであるRudyという青年の一人称で始まる。物語の冒頭で、現在21世紀初頭のWolfe一族の状況の一部がかなりラフに語られ、それによると彼らはRudyの住むアメリカ側テキサス州
南東部のメキシコ国境のリオ・グランデ川沿いの彼らの地に暮らす者と、メキシコ、メキシコシティに在住しそちらで社会の表裏で力を持つ者たちに分かれているということだ。この作品内に登場するのは、
そのうち米国内テキサス側の一族となる。<br />
メキシコ側のWolfe一族の裏稼業の中には、そちらの犯罪社会への武器の供給があるのだが、その商品をリオ・グランデ川を越えて密輸するのが、テキサス側のWolfe一族であり、現在その実行役となる一族の若手が
この語り手のRudyとその兄のFrankである。<br />
彼らの取引先の主なものは、メキシコ側のWolfe一族となるのだが、時にはそちらから紹介された組織と直接取引をする場合もある。そんな例外的な取引に彼ら二人が向かうところからこの物語は始まる。<br />
船で取引地点に向かった二人は、そこで不穏な気配を感じる。案の定、待ち伏せていた船から彼らに向かって銃が発射され始める。取引相手の裏切り。こちらを皆殺しにして金を払わず武器を手に入れようという算段だ。<br />
二人は彼らの勝手知ったる複雑な地形の水路へと敵を引き込み、こちらの素性を一切明かすことなく敵を殲滅する。ちょっとした厄介なアクシデントだが、初めてでもなく想定内の事態を処理するというところだ。<br />
このプロローグのエピソードは、21世紀初頭現代のWolfeファミリーの陣容の一端を見せるためのもので、今作のその後の物語につながるものではない。そして、この物語の主人公はプロローグで一人称で語っていたRudyではなく、
その中で言及されていた、彼らの年下やっと20歳を迎えたぐらいのEddie Gatoという青年である。<br /><br />
そしてプロローグに続く本編は、このEddieの物語から始まる。ここで混乱のないように説明しとくと、この作品はそれぞれに中心となるキャラクターの動きを追った章ごとに分かれている三人称記述により語られるが、
その後も登場するRudyパートのみが一人称記述という形になっている。<br />
Eddieは、メキシコ北西部、ソノラ州にある組織の所有する牧場で見張り塔の上にいた。彼がこの牧場に来てからもう2か月になる。「牧場=Rancho」と言ってもここでは何らかの家畜が飼育されているわけではない。彼の所属する
麻薬カルテル-ボスであるLa Navajaの組織が所有し、その中にある邸宅で客をもてなしたり、ボスや幹部たちがパーティーで馬鹿騒ぎをするための施設だ。屋敷内には通常、そこを管理するための人間と料理人数人、そして
Eddieを含む見張りが四人いるだけ。周囲には何もなく、何の楽しみもないこの土地に見張りとして送り込まれてくるのは、組織に入って間もない下積み最下層の一兵卒。あまりの退屈さに逃げ出したり、厳格な規律を破り
処分される人間は後を絶たないが、ここで定められた任期を務めあげれば、そこから組織の一員としてスタートできる。<br />
なぜWolfeファミリーの一員であるEddieが、他の組織の最下層メンバーとして働いているのか?実はWolfeファミリーには、大学へ行き学位を取得した者以外はファミリービジネスに加われないという厳格なルールがある。
Eddieは、身体頭脳を含む様々な能力により若くして身内内では認められる実力の持ち主だが、この掟によりいまだファミリービジネスに参加できず、その不満から家を飛び出し勝手に他の犯罪組織に加わったというわけである。
しかし、また一方で一族にはそのビジネスについて秘密にするという不文律の厳格な掟があり、Eddieもそれは守り、偽名を使い自らの出自については隠している。<br /><br />
そして、牧場ではまた今日から幹部たちのパーティーが開かれる。パーティーと言えばつきものなのは女。ボスや幹部たちと一緒に大勢の女が送り込まれてくる。そんな中で、Eddieには前回のパーティーから気になっている
女が一人いた。女の名はMiranda。大勢の中でも目を惹かれる美しい女だが、それだけではなく、ほかの女たちとはどこか違う雰囲気がある。プールでの馬鹿騒ぎに加わらないだけでなく、どこか特別扱いされている様子もある。<br />
見張りの一兵卒がパーティーの女に手を出したりすればただでは済まないのは当然だが、そんなものに止められるEddieではない。様々に策をめぐらせて彼女に接近し、遂に深夜Mirandaの部屋に潜り込み、一夜を共にする。<br />
実はMirandaは今回のパーティーでは遅れて翌日到着予定の、組織のナンバー2Enriqueの女であり、故郷の田舎町で目を付けられ半ば無理やり連れ去られ現在の境遇にあった。<br />
明け方、不穏な気配に目を覚ますEddie。予定より早く到着したEnriqueが、まっすぐMirandaの部屋へやってくる。選択の余地もなく乱闘になり、EddieはEnriqueを殺してしまう。<br />
組織のナンバー2を殺せば、当然何ら弁明の余地もなく殺されるのみ。残されたチャンスは逃亡しかない。今のところはこの状況は誰にも察知されていない。二人は、牧場にある中でも追っ手を振り切れる可能性の高い
ボスの車を盗み出し、メキシコの荒野へと逃亡する!<br /><br />
組織はメキシコでも有数の麻薬カルテル、ただ距離を離しただけでは逃げ切れるものではない。Eddieは国境を越え、アメリカへの逃亡を目指す。<br />
翌朝になり、Enriqueの死体を発見した組織は、ボスの命令下、組織を総動員して直ちに二人の追跡を開始する。<br /><br />
そしてEddieの故郷、テキサスのWolfe一族の地。一族でも最高齢の女性、Catalinaは、Eddieが組織から逃亡したという情報を受け、RudyとFrankをメキシコへと派遣する。Catalinaは、Eddieの名付け親でもあり、
彼に期待し常々目をかけており、実はEddieの出奔後も密かに見張りを付けその動静を窺っていた。<br />
そっちを後に紹介するところでなんだけど、#0『Country of the Bad Wolfes』を読んでいると、ここでCatalina登場か!という感じになる。#0と#1の間には100年の期間がありCatalinaはそれをつなぐ唯一の人物である。
実は『The Rules of Wolfe』では彼女がこの主人公をEddieと名付けた理由については言及されていないのだが、『Country of the Bad Wolfes』を読むとその理由、彼女のEddieに向ける期待などが明らかになる。<br /><br />
追跡の先鋒を倒したEddie。だが、それくらいでは組織を振り切ったことにはならない。Eddieは彼らの死体から携帯を奪う。だが、これを使うことはできない。組織のメンバーの携帯には当然追跡装置が仕掛けられているからだ。
実はメキシコの犯罪組織へのこの手の追跡システムの供給元はWolfe一族の係累であり、Eddieも自身の興味から叔母にあたる経営者の女性からそのシステムについて学んでいた。その携帯を起動すれば信号が発信され、
追跡者に彼らの位置が知られる。だが、追跡を振り払い国境を越えれば、彼らを素早く救援してもらえる命綱にもなりうる。勝手に飛び出したEddieから家族に救援を求めることはできない。だが、一か八か、Eddieは一族に向け、
そのコードナンバーのみを伝える。<br /><br />
と、まあこんなあたりで。馬をSUV車に乗り換え、GPSなど今風の仕掛けもめぐらせた、以前からのブレイクファンも全く期待を裏切られることのない、まさに「現代版」ジェイムズ・カルロス・ブレイクって感じの、アツい手に汗握る、
国境を目指すアウトロー・アクションである。この#1から読み始めてWolfe Familyシリーズを追って行っても多分全く問題ないのだろうし、実のところを言うと、このシリーズ#1からMysterious Press/Grove Atlanticで
2013年から出てるのだが、#0『Country of the Bad Wolfes』はその前年2012年にCinco Puntos Pressというメキシコ関連の文学系書籍を出版しているらしいミステリ分野ではないところから出ていて、本格的にシリーズに
加えられる形でGrove Atlanticから再版されるのは2020年になってからということで、本国でこのシリーズを読んでいた人たちも多くはこの#0を読まないままシリーズを読み進めていたのだろうと思う。そんな微妙な
ポジションの#0なのだが、それはそもそもがブレイク自身の構想なのだから当然なのだが、やはりそちらを知っていた方がこのシリーズをより楽しめるものである。そんなわけで、かなり要約はするものの、<span style="color:#FF0000;">全面的にネタバレ</span>
という形で、続いて#0『Country of the Bad Wolfes』です。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Country of the Bad Wolfes</h3>
<a href="https://amzn.to/3TQOgSU" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81riJAyq0EL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
えーと、見出しだけ見て飛ばして読んできた人がいるといけないのでもう一度言うけど、ここからは<span style="color:#FF0000;">ネタバレするので注意</span>してください。ということで、では最初に次の画像を見てもらおう。<br /><br />
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhyHwOADvFbgKJJK24CmpgKqXOgE22MnbiDVNYf15fjyljdG4veM9RsuZJ2k2aIkQ0aoKhLhibUpoVmJPxAh3SB29S-Hkllm3-oxjikfI8DWIhLffGbDDOZiYZmkGcGPMwQsZZlalIx7-lDU7kqRVxpcL0BQ6MYHhz8txmskDrlIiFt9tnYxMQkP25D/s1600/wolfefamiry_01.PNG" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="2160" data-original-width="1620" width="550px" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhyHwOADvFbgKJJK24CmpgKqXOgE22MnbiDVNYf15fjyljdG4veM9RsuZJ2k2aIkQ0aoKhLhibUpoVmJPxAh3SB29S-Hkllm3-oxjikfI8DWIhLffGbDDOZiYZmkGcGPMwQsZZlalIx7-lDU7kqRVxpcL0BQ6MYHhz8txmskDrlIiFt9tnYxMQkP25D/s1600/wolfefamiry_01.PNG"/></a></div>
<br /><br />
この作品全5部に分かれていて、各部の冒頭にそこまでで語られるWolfe Familyの家系図が掲載されている。話が進むにつれその家系図は大きくなって行くわけで、その最後第5部冒頭の家系図をかっぱらってきたのが下の画像である。
いや、ほんとはダメなんだけど。ごめんね。<br />
この作品にはこの家系図に書かれた人物が全て出てくる。と思う。ちゃんと照らし合わせたわけじゃないんでやや腰砕けだが…。この時代のことで、多くは生まれてすぐ亡くなったり、子供の頃に死んでしまったりで
数行~1ページぐらいがかなり多いのだが、それでもこの量である。実際の分量で言えば、これを除くブレイク作品の倍。翻訳が出ているのが文庫大体400~450ページぐらいなので、そのボリュームでの上下2分冊というところか。<br />
そして、#1の現代ではメキシコの裏社会に大きく手を広げているらしいWolfe Familyだが、最初から犯罪一家だったわけではないので、この作品も犯罪小説というよりは、一族を中心に書かれた約百年にわたる歴史小説、
といった傾向が強い。<br />
まあ、何をくどくどと言ってるのかというと、これこういうやつだから、読み始めて思ってたのと違うー、とか言ってぶん投げんなよ、という話。実際自分も、うーこのパートそろそろ終わんねえかなみたいな気分で読んでた
ところもあるし。あ、主にロマンス部分ね。一族が拡大する過程では色々恋愛とか結婚とかあるから。<br />
約百年にわたる歴史小説的なやつということで、メキシコのその辺の歴史についてはちょっと詳しくなれます。ウィキペディアとかでメキシコの歴史見ながら読むとより楽しめる部分も多いです。自分もそんな感じで読んだ。
ブレイクの意図のなかでもメキシコの歴史について書くことは大きな比重を占めてると思うし。あー、でももし日本でこれ翻訳出たりすることがあった場合は、ほらいつも言ってるお勉強要素がないと本も褒められない
駄目な大人が出てきて、その辺を得々と語るような本がつまらなく見える解説長ったらしく書いたりするんだろうねえ。そんなの要らねえから。<br />
なんだかんだ言っても、こういうのがむしろ好きという人もいるだろうから、そういう人なら多分楽しめるんで、ネタバレなんぞ読まずに本編を読むことをお勧めします。そして私同様ロマンスパートではうーとなる人も
ある程度あらすじわかってれば、これから先面白くなりそうだからな、と思って乗り越えられるかもしれんし。結局のところ、作品自体に何ら問題はないんだが、読む人を選ぶかもしれんし、この先読めば必ず楽しめるはずの
人がここで躓いたらやだな、という考えでのネタバレなんで、その辺考えて読む読まんを決めてください、ってところです。<br /><br />
先に書いた通り、この作品は5部に分かれており、大体半分に分けた前半が1部と2部、後半を残り3分割というぐらいの構成になっています。各部に分けて簡単にあらすじを紹介していきますが、ここから結構長くなるな。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">【第1部】</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
第1部のさらに前に数ページのプロローグがあり、そこではこの一族の開祖ということになるRoger Blake Wolfeについて書かれます。<br />
Roger Blake Wolfeは、1797年、英国海軍の家系に生まれる。家族同様に海を愛する若者として成長するが、そのアウトロー気質から海軍には留まれず、英国を飛び出し大西洋を荒らしまわる海賊として名を馳せるようになる。
1826年、英国より賞金首をかけられた彼は、米・南米海岸を拠点とすべく大西洋を渡る。だが、米大陸目前で、船は難破し米東海岸ニューベッドフォードへと流れ着く。そしてニューハンプシャー、ポーツマスで、当地で出会った
女性Mary Margaret Parhamと結婚する。しかし、海賊への誘惑が抑えられない彼は、船を手に入れ、妻を残し再び船出する。夫不在のまま、Maryは双子の男児を出産。そしてその6か月後、彼女はRoger Blakeがメキシコの地で
捕縛され、処刑されたとの報せを受ける。<br />
そして、ここで生まれた双子からWolfe Familyの物語は始まるのだ。<br /><br />
双子はそれぞれSamuel Thomas、John Rogerと名付けられる。二人そろって頭も切れ、喧嘩も強いという感じに育って行くのだが、成長するにつれ二人の性格には違いがあらわれてくる。弟であるJohn Rogerが勉強熱心で
あるのに対し、兄Samuel Thomasは父のアウトロー気質を受け継ぎ、夜には家を抜け出し少年時代から酒場や売春宿に入り浸る放蕩ぶりを示す。兄弟仲の良さには変わりはないのだが、その違いは、日本で言えば高校を卒業する
という時期に二人の道を分けて行くことになる。兄Samuel Thomasは船乗りを目指し、弟John Rogerは法律学校への進学を決める。だが、彼らの卒業まであと2か月を残し、母Maryはその人生で初めて病に伏し、そのまま亡くなる。
もう残すものもなくなった二人は卒業とともにその地を去ることを決意し、出立に先立ち、二人そろった写真を撮影し、それぞれが一枚を手にし、再会を固く約束し別れる。<br />
だがその直後、船に乗るポーツマスの港町へ到着し、宿を取ったばかりのSamuel Thomasに、その後の人生を大きく変える出来事が起こる。<br /><br />
えーと、この後に起こる出来事については、もう読んだ時点から読んでない人に伝えるときになんかうまくはぐらかせてお楽しみにしたいなあ、と思ってたんだが、まあこういう形でやると書かないわけにはいかんなというところで
ちょっと悔しいし、お楽しみを取ってしまうようで申し訳ないんだが。いや、色々ネタ的な意味でさ。とりあえず日本においてはシリアスなフィクションを書く時にはこれは絶対に使わない。ヒント:ちこくちこくー。<br /><br />
宿に荷物を置き、夜の街へ散策に出かけたSamuel Thomas。薄暗い路地の角を曲がったところで、逆方向から来た男と激突してしまう。相手はこの町の巡査。強打し鼻をつぶされた巡査は怒り狂い殴り掛かってくる。
相手は警官となればこちらが殺されてしまっても犯罪者だと言い張れば通ってしまう。生命の危険を感じ、Samuelは所持していた銃で相手を撃ち殺してしまう…。<br /><br />
という次第。まあ実際にあった事件レベルでもこういうのありそうに思えるが、日本でシリアスなフィクションの重大な場面でこのシチュエーション使うやつまずいないだろうな、ってちょっと横道でした。<br /><br />
正統防衛とはいえ、目撃者すらいないところで警官殺しが通るわけはない。Samuelは宿に荷物を取りに戻ることすらせずに、そのまま逃亡する。行き場もなく彷徨ううちにSamuelはメキシコとの戦争のための新兵募集所を
見つけ、氏名を偽って入隊する。<br />
そしてSamuelはテキサスへと送られるが、軍隊内での貧富身分階層による差別待遇に嫌気がさし、仲間とともに脱走し、国境を越えメキシコの義勇軍に参加する。だが、続く米墨戦争はメキシコが大敗。Samuel達メキシコ義勇兵は
捕縛され、処刑されなかった者は顔に「M」の烙印を捺される。生き残った者達の一人であったSamuelだったが、収容所から解放された後も帰る場所すら失い、メキシコシティの路上で生きる気力すらなくし無気力に
横たわる。<br />
そのまま死を待つばかりであったSamuelを救ったのは、近くのカフェの娘Maria Palomina Blanco Lobnosだった。アメリカ軍によって焼き付けられた「M」は、不名誉と軽蔑の烙印だったが、メキシコ民衆から見れば、祖国の
ために戦った英雄の証だった。彼女の父の家に保護され、手当てを受け回復したSamuelはその店で働くようになり、やがてMariaと結婚しメキシコシティに根付いて行くことになる。<br /><br />
序盤Samuel Thomasの物語がここまで語られた後、続いてはJohn Rogerの物語が始まって行く。ここからしばらくはJohn Rogerの話となり、Samuel Thomasのその後について語られるのはかなり後となる。<br />
ハノーバーで学校に通い始めたJohn Roger。船に乗ったのち、寄った港ごとに手紙を送ると言っていたSamuel Thomasだったが、一向に彼からの手紙は届かない。彼の性格を知るJohnゆえ、さほど心配せず、そのうちこちらに
現れ音信不通の説明をしてくれるだろうと思っていたが、半年が過ぎ、更に初年度の試験が終わるころになっても連絡が来ないことにさすがに不安になり、乗った船が難破したなどの可能性も頭に浮かび、当地の
港湾事務所に連絡を取ってみる。Samuelの乗った船が再びポーツマスに寄港する時期を知り、そこに合わせて港町へ向かう。しかし、そこでJohnはSamuelがそもそもその船に乗ってすらいなかったことを告げられ愕然とする。
その後も手を尽くして調べるが、Samuelの消息は一切掴めず、失意のうちにJohnはSamuelの捜索を諦める。<br />
唯一の肉親である双子の兄を失い沈むJohn Rogerだったが、その一方で勉学には励み、学業では優秀な成績を収め、運動能力にも秀でた彼は、学校のフェンシングチームでも活躍する。やがて卒業を迎えたJohnは、同級生で
フェンシングのチームメイトである、ニューハンプシャーで法曹界の名家の子息の親友、James Davision Bartlettの父の法律事務所に弁護士として勤めることとなる。James Bartlettとその家族との親交が深まる中で、
JohnはJamesの妹Elizabethと恋仲になり、やがて結婚する。<br />
なかなか子供が生まれないことが唯一の悩みではあったが、二人の結婚生活は順調に続いていた。そんな中、Elizabethには叔父にあたるRichard Davisonが久しぶりにBartlett家を訪れる。一族の中でも変わり者の彼は、
メキシコとの貿易会社を設立し経営していた。拡大するメキシコとの貿易の中で、現地でのマネージメントに携わる人材を探していたRichardは、John Rogerの有能さに目を付け、仕事を持ち掛ける。夫婦ともに
新たな地とそのビジネスへの期待に魅せられた彼らは、これを受けメキシコへ渡る。そして、メキシコへ到着して間もなく、Elizabethが妊娠し、彼らの間に待望の第一子John Samuelが産まれる。<br /><br />
こうして、様々な運命の変転によりそれぞれの事情でメキシコの地に立つことになった双子。そして、John Rogerには更なる運命の転換点が訪れる。<br />
John Rogerのメキシコ赴任により、輸出時の損失などの問題も改善され、貿易会社は業績を伸ばして行く。そんな中、Johnはある大物荘園主との取引の中に継続されている明らかな不正があるのを発見し、その荘園主との
取引を中止する。しかし、暴力や強奪まがいの手段で勢力を伸ばしてきた悪徳荘園主は、それに怒り、息子とともにJohnの自宅へ押しかけ、強引に決闘を挑む。死闘の末、親子を倒したJohnであったが、重傷を負い
片腕を失う。<br />
しばらくの後、荘園主の未亡人が療養中のJohn Rogerを訪れる。夫と息子に虐待され奴隷扱いを受けてきた彼女は、彼らから解放してくれたJohnに対して感謝の念さえ抱き、自分は引き継ぐ気のない荘園を破格の値で
譲りたいと申し出る。こうしてJohn Rogerは、メキシコの地にWolfe Familyの土地となるBuenaventuraを手に入れることとなる。<br /><br />
というところで第1部了なのだが、まだ第1部なのにメチャ長ッ…。まあ最初は詳しく書かなきゃなんないというところはあるんだけど。第2部以降はもう一段階要約度を上げて行きますんで引き続きお付き合いください。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">【第2部】</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
第2部はほぼこのBuenaventuraでの話となる。この荘園を手に入れた当初は、まだ貿易会社とも兼業という状態で、主にアメリカ大使館からリクルートした信頼できる部下を通じてという形でやっていたが、南北戦争が勃発したり、
港が一時期フランス領になったりなどの政変を経るうちに、社長のRichard Davisonが亡くなるなどの事情もあり、John Rogerの仕事は荘園経営に絞られて行き、アメリカとの関係も薄くなって行く。<br />
Buenaventuraを手に入れ、その広大な土地を探索するうちに、John Rogerはそこに地元の者がほとんど行くこともない入り江があることを知る。そこへ向かう川はあまりにも曲がりくねった急流で、そこを乗り越えられた者は
過去に存在せず、陸路は全く開かれていない豹などの危険な野生生物が棲むジャングルであるため、その状態で残されていた。<br />
John Rogerは、遠征隊を組んでその入り江を見に行く。やっとで到着したJohnは、その美しさに一目で惚れ込み、そこまでの道を開きそこに別邸を建てるに至る。Elizabethもすっかりそこが気に入り、余暇は夫婦でそこで過ごすようになり、
JohnはElizabeth号と名付けた帆船も入り江に浮かべるようになる。<br />
第一子John Samuelは、幼少より馬を愛し、のちに荘園の厩舎を管理するようにもなるのだが、それ以外は比較的インドア派で入り江には興味を示さず、夫妻がそちらに向かうときは家で留守番をしていることが通例となる。<br /><br />
そしてElizabethは再び妊娠し、Wolfe家には第2の双子が誕生する。だが、この出産によりElizabethは命を落とし、それが原因で長男であるJohn Samuelは母を奪ったこの双子を憎むようになる。また、Elizabethのこの地への
埋葬をめぐる対立から、アメリカのBartlett家との関係は完全に断たれることとなる。<br />
双子はそれぞれJames Sebastianと、Blake Cortezと名付けられる。母を失った二人のために、不幸な生い立ちを持ち、6日前に自らの子を毒蜘蛛に噛まれて亡くした14歳の少女Marina Colmilloが乳母として雇われる。Elizabethを
失った悲しみ、落胆からJohn Rogerはこの双子にほとんど構うことなく、双子は乳母のMarinaと、Wolfe家のメイド長であるJosefinaを親代わりとして育てられる。<br /><br />
このような複雑な出自を持った双子だったが、周囲の目を全く介さず、という感じで二人そろえば何でもできるという天才悪ガキとして育って行く。まずは屋敷内をすべて把握し、叱られて部屋に閉じ込めても大人にはわからない方法で
すぐさま抜け出し、二人を別々に閉じ込めてみてもいつの間にか合流して二人で遊んでいるという始末。成長してくるにつれ、町では喧嘩で負け知らずの一方、屋敷内の図書室の蔵書を片っ端から読み漁り、様々な知識を
蓄えて行く。<br />
やがて彼らも14歳になり、領地内の様々な場所へ少々危険とも思われる冒険を繰り返すようになっていたが、そんなある日、双子があの誰にもできなかった入り江への川下りを準備しているらしいことが発覚する。
さすがにJohn Rogerも彼らを書斎に呼び、もしそんなことをやろうとしているなら絶対にやめるように諭す。双子はにっこり笑って、「はい」と父に返答し、翌朝早く出発し川下りに向かう。今まで誰をも寄せ付けなかった
激流だったが、卓越した運動能力の二人はそれを乗り越え、かつては両親が愛したが、母の死後誰も足を踏み入れることのなかった入り江へと到達する。<br /><br />
ここで第2部終了。第1部よりいくらか短く書けたか。とりあえずここで半分というところですが、この『Country of the Bad Wolfes』という作品、大雑把に言うと前半が海賊Roger Blake Wolfeの双子の息子の話で、後半は
ここで産まれた第2の双子を中心とした話となって行く。それにしても、読んでるときは双子が川下りに行くときは、おお、あの入江か、という感じになったのがあらすじで省略しちゃうとその間の時間が物語内時間的にも読んでる実時間的にも飛んじゃって、すぐ後になってなんか味気なくなっちまうっす。なんかごめん。<br />
というところでこのへんで半分だけど、どうかね?もうこんなやつのあらすじ読んでないでちゃんと読んでみないかね?もったいないよー。まあとりあえずは始めたもんなので、このままネタバレして行きますが。
では続いて、第3部です。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">【第3部】</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
1884年、John Rogerはメキシコに渡って30年目にして初めてメキシコシティを訪れる。妻Elizabethとも常に行ってみたいと話していたが結局叶わず、この度政治経済的な用件での訪問が初めてとなってしまった。
時代は19世紀で、この時期には鉄道も敷かれていたが、John Rogerくらいの金持ちでもそのくらいの旅行は結構大変だったということだろう。この辺の政治経済的な話というのは、メキシコ史にストーリーが
絡むところなんだが、そちらについても書いていると途方もなく長くなってしまうので、最低限ぐらいを残して省略している。いや、そういうのもあるからちゃんと読んでよね。<br />
会合の後、一足早く宿に戻ることになり一人メキシコシティの街を歩いていたJohn Rogerは、近くのカフェから懐かしいメロディが流れてくるのを耳にする。少年時代、双子の兄Samuel Thomasと演奏していた
ホーンパイプの「Good Jolly Roger」。John Rogerは曲が聞こえてくるカフェに進み、ドアから店内をのぞき込む。ホーンパイプを奏でていたのは、30歳ぐらいと思われるがっしりした体格の男だった。
だが、John Rogerは彼の容貌に明らかな兄Samuel Thomasとの近似を認める。はるか昔に死んだものと諦めていたSamuel。だが実はこの地で生きていたのか?<br />
John Rogerは店に入り、その男性に話しかける。<br />
「今聞こえてきた曲。それは誰かに習ったのかね?」<br />
「はい。お好きな曲でしたか?」<br />
「それを教えたのは君のお父さんかね?」<br />
「はい…。なぜそれを?」<br />
「彼と話したい。いや、聞いてくれ!私は彼を知っているし、彼にどうしても会わなければならないんだ!」<br />
「残念ですが…。父は既に亡くなっています。父は10年前に亡くなりました。」<br /><br />
いやはや…。ついに生き別れの兄弟が再会!と思ったところでこの残酷な事実。読んでいてかなり、ああ…、って感じになったんだが、それをこうやってネタバレしちゃうのもかなり心苦しいっす。<br />
Samuel Thomasは10年前、近所の子供を助けて犬に嚙まれ、狂犬病を発症し亡くなっていた。妻Mariaと結婚し、三人の子供を儲けカフェの主人として暮らしてきたSamuelだったが、妻にさえも米墨戦争以前のこと、
なぜ軍隊に志願したか、実は双子の弟がいることなどは一切話さなかったということだった。<br /><br />
Samuel Thomasが遺した三人の子供。まずそこにいたのは長男のBruno Tomas。一旦は軍隊に入ったが、父Samuelが亡くなった後は、祖父の代から引き継がれてきた店と家族のため除隊し、店の切り盛りに携わってきた。
誠実な人柄の働き者で、のちにBuenaventuraに移ってからは、軍隊で培った馬の知識を持って、そのころには父の下で経営事務などを執り行うぐらいまで成長したがとかく人を寄せ付けない性格のJohn Samuelとも
その共通の馬へ関心で唯一ぐらいに信用される人物となる。<br />
そして次女のSofia Reina。見た目も美しく性格も優しい申し分のない女性なのだが、とにかく何かの呪いぐらいに結婚運が悪く、20代後半であるが独身。それまでにもう4回も結婚しており子供に恵まれたこともあったのだが、
いずれも病気や事故などで全員が亡くなっている。もはや何かの運命としか思うしかなく、既に結婚は諦めている。<br />
そしてもう結婚して家を出ているBrunoの姉にあたる長女のGloria Tomasina。Sofia Reinaとは正反対というような奔放な女性で、17歳だった1867年、ある男性と5か月の婚約の後、一夜にして別の男と結婚する。その日、
Gloria Tomasinaは親友の女性の結婚式に出席する。相手はかなり年上のアメリカ人で醜怪な面相の大男Edward Little。後にメキシコの大統領になり、独裁者となるポルフィリオ・ディアスの友人にして、腹心。結婚パーティーで、
GloriaはLittleの息子Louis Welch Littleに言い寄られ、それを見た婚約者が怒り、二人はその場で決闘になりGloriaの婚約者は敗北し死亡する。GloriaはそのままLouisと結婚し、メキシコシティを去る。<br /><br />
兄Samuel Thomasと再会できなかったことは残念だが、思ってもみなかった係累に出会えたことに大変喜んだJohn Rogerは、母子にBuenaventuraに来て一緒に暮らすことを提案する。だが、Samuel Thomasの妻であり二人の
母親であるMariaは、生まれ育ったメキシコシティを離れたくないと告げ、次女Sofia Reinaが母とともに残り、BrunoのみがBuenaventuraへ行くことになる。<br /><br />
第3部はここで再発見され合流するもう一つのWolfe一族の話となる。ここで新登場した人物たちや、のちの独裁者ポルフィリオ・ディアスとの関係が、この物語をさらに深くメキシコ史と連動させる展開となって行く。
そして物語は第4部へ。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">【第4部】</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
入り江への川下りを成功させた双子、James SebastianとBlake Cortezは、しばらくの後の帰還後、父から月に一度は戻ることを条件に入り江を自分たちのものにする。こいつらこれぐらいで譲歩しないと帰ってこなくなるからな。<br />
John Rogerが行かなくなって久しい入り江はすっかり荒れ果てており、二人はまずそこに父が建てた短期滞在用の家をリフォームし、自分達が使えるようにする。次にかつては母の名が付けられていたが、それももはや
読めなくなっていた見捨てられた船。あちこちを修復し、彼らの乳母であり、実はそのころには二人の愛人ともなっていたMarinaの名を付ける。<br />
二人には計画があった。川下りの際、急流を抜け河口近くで見たクロコダイルの生息地。その皮による商売。二人はその皮を手に入れ、改装した船で近くの港へと向かう。しかし、その港町の工場をを持つ鰐皮の加工業者は、
とんでもない悪党だった。上質の皮はそれなりの値段で買い取るが、後に売り手の跡をつけ相手がその鰐皮の猟場についたところで殺害し、その場所を自分たちの物とする。双子は取引の後、尾けられていることに気付き、
自分達の入り江の勝手知ったる地形に誘い込み、追尾者全員を始末する。更に、直ちに港町に取って返し、深夜に紛れ一味を全滅させて工場を燃やす。<br />
双子の新たな取引相手となったのは、その悪徳業者により港町への進出を阻まれていた中国人業者。それを壊滅させたのがこの二人であることも察知した中国人は、双子と良好なパートナーシップを結び、更に高価で取引される
フカヒレの供給も持ち掛ける。<br />
鰐皮とフカヒレの取引で、港町を一つの拠点として富を蓄え始めた双子だったが、常に自らの本拠地である入り江に戻るときには追尾に気を付け、自分たちの本当の素性については隠し続けていた。<br /><br />
一方、Buenaventuraへ移ってきたBruno Tomasは、John Samuelからも馬の管理の仕事も任され、この地に落ち着き結婚もする。あと、書いてなかったけどJohn Samuelも既に結婚していて子供もいる。Brunoの結婚式から
一月後、John Samuelの息子、Roger Samuelの5歳の誕生祝が開かれ、双子も入り江から戻り、参加する。だが、悲劇はそこで起こる。<br /><br />
パーティーの中で、John Samuelは新たに手に入れた馬を披露する。だが、その中の一頭が手の付けられない暴れ馬で、Brunoを始めとする全員が困り果てていた。そこに現れたのが双子の片割れJames Sebastian。
その暴れ馬を見事に乗りこなして見せる。そしてパーティーの主役であるRoger Samuelを拾い上げ、一緒に馬の背に乗りもう一回り。だがその時不意に馬が沈み込み、二人は中に投げ出される。激しく地面に叩きつけられ、
片腕を骨折したJamesが体を起こしてみると、馬は片足を折って地面でもがき苦しみ、Roger Samuelは首を折り地面の上で息絶えていた。<br /><br />
事故であったにせよ、息子を殺した双子へのJohn Samuelの憎しみはさらに深いものになり、双子もその場を去った後は、定期的な入り江からの帰還も途絶えることとなる。<br />
6か月後、戻らない双子に心を痛めたJohn Rogerは、Brunoに二人の助手を付けて入り江へ向かわせる。かつてJohn Rogerが開いた道も既に無くなり、双子以外には困難極まるジャングルの陸路を抜けて入り江にたどり着いた
Brunoだったが、双子は不在で会うことはできず、家に手紙を残して戻る。<br />
Brunoからの手紙を読んだ双子は、屋敷へと戻るようになったが、親代わりとして育ててくれたMarinaとJosefinaにのみ会って帰る訪問が続く。そんなある日たまたまキッチンに現れたRoger Samuelの母親であるVictria Claraに
出会ってしまう。Victriaは息子を失った悲しみはあるが、それで姿を現さなくなった二人にも心を痛めており、再会を喜び一月後のもう一人の息子Juan Soteroの初聖体には必ず参加するよう二人に約束させる。<br /><br />
一方、荘園にはある問題が持ち上がっていた。荘園には代々引き継がれるmayordomoと呼ばれる管理人、執事的な職があり、BuenaventuraではRynaldoという人物がその職に就いていた。これはJohn Roger以前の悪徳荘園主から
引き継がれたものだったが、Rynaldoは真面目な人物で、John Rogerも安心して彼にその仕事を任せていた。だが、彼もさすがに高齢になり、後継を考える時期になり以前より懸念していた問題が目の前の急務となる。<br />
彼には二人の息子がいた。長男のMauricioは多くの面で優秀で、その仕事を任せうる人物だったのだが、その優秀さが災いしてか、軍隊に入り自身の力での出世を望み、その時期にはそれも実現され自身の部隊を持つ将軍にまで
昇り詰めており、荘園の仕事を引き継ぐ気持ちは全くなかった。残された選択である次男Alfredoは、性格的にも優柔不断、アルコールの問題も抱えていて、とてもそのような責任ある職を任せることはできない。
困り果ててRynaldoはJohn Rogerに相談し、話し合いの結果、mayordomo職は例外として家督として息子に引き継がないということで同意した。すっかり安心したRynaldoだったが、その職は当然自分に引き継がれるものとして
疑わないAlfredoにその決定を話す機会のないまま急死する。<br />
Rynaldoの死後、AlfredoはJohn Rogerに呼ばれ、Rynaldoとの話し合いの結果、mayordomo職は家督として彼には引き継がず、Brunoが務めることになると告げられ愕然とする。そして代々引き継がれてきたmayordomoを、彼、
そして一族から奪い去った者として、Alfredoの憎悪はJohn Rogerへと向けられて行く。<br /><br />
そして1886年6月25日。Juan Soteroの初聖体の日。<br />
John Rogerはその朝キッチンにより、Josefinaに双子が来たら初聖体の後、自分のところに顔を出すようにと伝えるように告げる。双子は父がその場を去ったのを見計らったように現れ、体を洗い正装してから少し遅れて
教会に到着する。John Samuelと顔を合わせるのを避け、父からの言いつけを無視して儀式が終了すると直ちに教会から去る二人。だがその途上、Blake Cortezが足を止め、振り返る。<br />
「どうも妙なもんを見た気がする。」<br />
二人は直感に従い、来た道を教会に向かって戻り始める。<br /><br />
Alfredoはその日の朝からJohn Rogerを密かに追い続けていた。父の死を利用して自分からmayordomoの座を奪い去った憎き男。酒の力を借り復讐を実行に移す機会をうかがっていた。だが、彼が教会から出てきた今を
逃せば次のチャンスはなかなか訪れないだろう。<br />
AlfredoはJohn Rogerに歩み寄り、その胸にナイフを3度突き立てる。<br /><br />
崩れ折れるJohn Roger。悲鳴。双子は一歩遅れてその場に駆け付ける。やった奴はどこへ逃げた!?周りを取り巻く群衆が指さす。Alfredoを追い詰めた双子は彼の手足の腱を切り、近くにあった豚小屋に放り込み
生きたまま豚に食わせる。<br /><br />
John Rogerはそのまま亡くなる。父の仇を取った双子。だが、そのあまりにも凄惨な方法は新たな問題を引き起こす。Alfredoの兄Mauricioは今は自身の部隊を率いる将軍だ。彼に非があったとしてもそのあまりにも残酷な
殺され方には怒りを燃やし、報復の手を向けてくる。<br />
双子は生まれ育ったその地を去る決意をする。出立に先立ち、幼いころからの屋敷内の探索で見つけていた父の机にしまわれていた父と兄Samuel Thomasの写真と、父が若い頃より折に触れ書き続けていた個人的な手記を
持ち出す。John Rogerは自身の父が海賊であったことを誰にも告げていなかったが、二人だけはその手記を盗み読むことで知っていた。<br />
双子は育ての親であるMarinaとJosefinaにのみ別れを告げる。だが、育ての母にして二人の愛人であるMarinaは彼らに追いすがり、双子はその逃亡に彼女も連れて行くことになる。そして三人は入り江へ向かう。<br /><br />
危惧していた通り、Mauricioの軍は直ちにBuenaventuraに押し寄せる。その家長を殺害した非はあり、派遣されてきた腹心は慇懃にふるまってはいるが、その裏にこの件をただで済ますつもりはないのは明らかだ。
そもそも双子を憎んでいたJohn Samuelは、ためらいもなく処刑を実行した彼らを売り、軍隊を入り江へ向かわせるが、既に双子は船出した後だった。彼らを捕まえられなかったことで怒りの矛先はBuenaventuraへと向けられ、
その地への軍の圧力は次第に高まって行く。<br /><br />
このBuenaventuraへの危機を救ったのは意外な人物だった。<br />
Brunoはこの危機について書いた手紙をメキシコシティで母とともに暮らす妹Sofia Reinaに送る。そしてそれは更に家を出た後も妹とだけは手紙で連絡を取り合っていた姉Gloria Tomasinaに伝えられる。大統領となった
ポルフィリオ・ディアスと関係が深いLittle家は、現在は自らの荘園も持ちそこで暮らしていた。そしてこの弟も暮らす血縁の地の迫りくる窮状は、ディアスの秘密警察の長となっていたEdward Littleに伝えられる。<br />
話を聞いたEdwardは、誰にも告げず馬で荘園を出て、将軍Mauricioの軍の基地へと向かう。そして周囲の地形を探り格好の地を見つけるとそこに潜み、宿舎から出たMauricioを狙撃し、暗殺する。<br />
将軍Mauricioの突然の死により、頭を失った軍はその地の包囲を解き撤退し、Buenaventuraの危機は去る。<br /><br />
Gloria Tomasinaの電撃婚のエピソードから、悪党一味ぐらいのあまりよくない印象を持っていたLittle一家で、これはディアスとのコネで裏から政治的に手をまわして、という展開を予想して読んでいたところで、
このEdward Littleの意外な行動。さすがブレイク、いいキャラを作るのう、とここからEdward Littleの印象を180度ぐらい変えて続きを読んだのだが、ここにきてもう少しこの『Country of the Bad Wolfes』の
執筆出版の経緯を知りたいと思ってブレイクのインタビューなど探していたところ、意外な真相が発覚!実はこのEdward Little、ブレイクの1997年出版の長編第3作『In the Rogue Blood』の主人公のひとりだったのだ!
あっ、違う。邦訳タイトル何気に似てるけど『荒ぶる血』じゃない。オレも一旦そう思って本引っ張り出してきた。未訳!『In the Rogue Blood』の最後では19歳だったEdwardのその後がこの作品には書かれていたのだ。
くぅ~、これを先に読んでいたら遂に奴が動いた!ぐらいにワクワクして読めるところだったのに。未読の人は併せてというか、こっちを先に読んどくことをお勧めします。ワシもなるべく早く読む。<br />
それにしてもインタビューの中でもブレイクが言っていたのだが、この作品で書きたかったことの一つには独裁者ディアスのことがあり、あちこちにその辺の記述もあり、またLittle一族についても色々書かれているのだが、
やっぱこういうあらすじでは省略するしかない。いや、だから本編ちゃんと読んでくれって。<br /><br />
一方、逃亡した双子とMarinaのその後。入り江での鰐皮とフカヒレの取引で貯めこんでいた彼らは、当面金に困ることもなくメキシコのあちこちの町を素性を隠して渡り歩いていた。移動手段は船なので、港町か。
町々で二人はギャンブルの場に向かい、まあこの二人だからその辺の才もあり更に財を増やす。大きなギャンブルとなれば土地の権利なども賭けられ、それらを手に入れても売って金に変えていた二人だったが、唯一
その中にあったアメリカの土地だけは手元に残していた。<br />
順調に進んでいたギャンブル行だったが、ある町でかなりの金を貯めこんでいると目を付けられ、深夜借りていた家を襲撃される。返り討ちにして襲撃者を皆殺しにした双子だったが、中にはその地の警官も含まれており、
このままではこれでメキシコ内のお尋ね者となると考え、彼らは国境を越え、アメリカへ渡る。そして土地の権利書を持っていたブラウンズビルに立つ。<br /><br />
というわけでまたかなり長くなってしまったが、怒涛の第4部だったので仕方ないか。しかしこの第4部、かなり登場人物が多く、省略したあらすじではなおもわかりにくくなると思うんだが、なんとかついてってください。で、続いてまた怒涛の最後第5部である。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">【第5部】</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
双子が手に入れた土地は、リオ・グランデ川沿いの人里離れた雑木に一面覆われた荒れ地で、普通に見れば何の使い道もないぐらいの土地だったが、あの入り江で暮らしてきた二人にとってはこれからいくらでも可能性が
ある場所だった。<br />
まずは川岸に見つけた高台に彼らの家を建てることから計画し始めたが、そんな折、Marinaが妊娠していることがわかる。どちらが父親なのかはわからないが、産まれてくる子のことを考えれば社会的な形で父親母親を
明確にしなければならない。二人はコインを投げて、James SebastianがMarinaと結婚し、父親となることを決める。三人での関係が無くなってしばらくの後、Blake Cortezはブラウンズビルに借りた家での手伝いに雇った
少女Remediosと関係を結ぶようになり、やがて結婚。双子が極めて近しい関係は変わらないが、彼らの周りには家族が広がっていくこととなる。<br />
ブラウンズビルに落ち着いてしばらくの後、Marinaは彼女にとっても恩人で母のように思っているメイド長のJosefinaが気懸りで、手紙を書きたいと望み、双子もこれを了承する。既にBuenaventuraを去ってから7年が経過していた。
Brunoからの名で届いた返信には、彼らの無事を喜ぶ一方、Josefinaが2年前に亡くなったとの悲しい報せもあった。こうして彼らの間には手紙による関係が復活し、やがてBrunoからの紹介でメキシコシティのSofia Reinaとの
文通も始まり、3地点が手紙により結ばれてゆくこととなる。<br /><br />
かねてからの計画通り、双子は自分達のみの手でリオ・グランデ川岸の高台に家を建てる。次は何をするかと考えていたところで、深夜彼らは自分たちの土地の川岸に不審な動きを見つける。リオ・グランデ川を挟んだ
対岸メキシコとの密輸者たちだった。姿を見せると問答無用で襲い掛かってきた集団を、一人を残し返り討ち皆殺しにし、残った男にここは俺たちの地所だからここを使いたかったらきちんと交渉しろ、と伝えて帰す。<br />
双子が待ち受ける交渉の場に現れたのは、意外な人物だった。地元の有力な実業家で、政財界にも顔が広く、Mr.Wellsとして親しまれているJim Wells。しばらくお互いを探り合いながら話すうち、双子の人物を見抜いた
Wellsは意外な提案をする。その密輸を仕切っているのは彼が保安官助手に任命した男だったのだが、その後の素行が悪く、近隣のメキシコ系住民から苦情が出ている。簡単にバッジを取り上げられない事情もあり、
もしお前らがそいつを密かに始末できるなら、密輸商売はそちらが好きにやっていい。<br />
そして二人はその保安官助手を暗殺し、自分たちの土地で密輸商売を始める。当初の主な荷は酒だったが、商売を続けるうちに儲かる商品は武器と見抜き、そちらを主に取り扱うようになってくる。信用できる男たちを雇い、彼らの商売は隆盛して行く。
その一方で、Mr.Wellsとの親交も深めていった彼らは、空いてしまった保安官助手の地位のオファーも受ける。一方では違法な密輸商売をやりながらも、弱者から搾り取るよりその土地の安全平穏を守る方に注力できる
二人は地元での信頼も高めて行く。<br />
双子は稼いだ金で隣接する川沿いの土地を買い続け、遂には海に達する。そして二人はそこに家を建てる。かつて入り江で暮らしたような海岸の家を建てることはかねてからの彼らの夢だった。二人の子供たちも増え続ける一方、
リオ・グランデ川の対岸にLittle家が土地を得て、Sofia Reinaによる仲介などを経て両家の親交は深まり、リオ・グランデ川沿いのWolfe一族はさらに拡大して行く。そして、双子はMr.Wellsに掛け合い、彼らの地に
正式に名前を付ける。やがて新しい地図には最も新しい町としてWolfe Landingの名が記されるようになる。<br /><br />
ここでCatalinaが登場する。『The Rules of Wolfe』に一族最高齢の女性として君臨していたあのCatalinaである。Gloria Tomasinaの孫娘、Edward Littleの曾孫としてLittle一族に産まれる。Edward Littleは一族の荘園に
帰っても、外れのお気に入りの土地で独りで過ごすことが多く、またかつて北米ネイティブアメリカンに頭の皮をはがれたという怪異な容貌もあり、一族の特に子供たちはあまり近寄ろうとはしなかった。そんな中、唯一
CatalinaだけがそんなEdwardに懐き、Edwardもそんな曾孫を特別に愛していた。<br />
Catalinaが最初に登場するとき、彼女は後に曾祖父Edwardについて孫たちに語ったというような記述があり、そういったものこの作品中でこれだけで、そこを読んだとき彼女がこの作品と後のシリーズを繋ぐ人物となるのだろう
ということは誰もが思うことだろう。そして、『The Rules of Wolfe』において彼女自身が産まれてきた将来を期待する男児に「Edward」という名前を付けた理由もここに由来するものである。更にかなり遅ればせに
作者自身のEdward Littleに対する思い入れも知ると、うーん、とにかくなるべく早く『In the Rogue Blood』読まなきゃなあ、というところである。<br /><br />
時代は20世紀に入り、次第にメキシコ革命の波が押し寄せて来る。<br />
世情不安に便乗した野盗なども横行する状況を危惧したEdward Littleは、Catalinaを含むまだ幼い子供たちを護衛を付けてリオ・グランデのLittle家の地所へ避難させようと考え、列車に乗せ送り出す。
だが、その列車が革命に便乗した野盗まがいの暴漢たちに襲撃される。いとこ達、護衛が次々に殺され、連れ去られる中、彼女自身も暴漢たちにより輪姦される。だが、ことが終わりその後彼女を
殺すつもりであった残っていた一人を逆に射殺し、独り線路を歩いて安全地帯へと逃げ、その後保護されWolfeの土地へと送り届けられる。<br /><br />
そしてメキシコ革命は、刑務所に収監されていたWolfe一族に深い憎悪を滾らせる者を開放する。<br />
この発端となる出来事は、実は第2部に書かれているのだけど、ここでまとめた方がわかりやすかろうと思い、そっちでは省略していた。双子を出産しElizabethが亡くなった後、John Rogerはその寂しさと欲望に駆られ、
家中の女中たちに手を出すようになっていたのだが、そのうちその一人が妊娠する。John Rogerの子を出産した女中は、事情を含められた男性と結婚し、金を渡されよその地へ移りその後は平穏に暮らす。だがJohnがそのことに
ついては知らず妊娠させてしまった次の女中には、実は軍隊に行って離れていた夫がいた。彼女はそれを夫には隠していたが、産まれた子を見ればそれが夫婦の人種血統からの者でないのは明らかだった。荒れ狂い、酔いつぶれた
夫は町に現れたJohn Rogerの姿を見て襲い掛かる。襲撃者から身を守るため、相手を殺してしまったJohnは、後に真相を知って愕然とする。母子は金を渡され離れた地に送られ、Johnはその後は女中に手を出すことはなくなる。
まあJohnに関しては、その後娼館通いをするようになり、その辺のエピソードもあるんだが、そっちは省略。<br />
産まれた子はJuan Loboと名付けられる。母子家庭であり、容貌から一目でわかる彼の出自は、差別攻撃の対象となり、押し込められた怒りは彼を狂犬のような行動に駆り立て、必然的な結果のように彼は刑務所へと送られることとなる。
幼い頃より、母は彼にお前の本当のお父さんは大金持ちなんだ、と言い続けていた。ではなぜ俺はこんな社会の底辺に追い込まれているのか?John Rogerへ、そしてWolfe一族へ煮えたぎるような怒りを燃やし続けてきた
狂犬が、メキシコ革命の混乱の中、刑務所より解き放たれる。<br /><br />
刑務所で知り合った仲間を引き連れてJuan LoboはBuenaventuraへと向かう。何の備えもなかったBuenaventuraは、数人の暴漢によりあっけなく蹂躙される。John Samuelの命で脅迫されたBrunoは、リオ・グランデの双子の
ことを話してしまい、住所が書かれた手紙も渡す。だがJuanは即座に約束を違え、John Samuelを殺害し、その首を持ってリオ・グランデへと向かう。<br /><br />
Juan Loboが到着したとき、双子は子供達とともに海岸の家に居た。全く気付かないうちに家は取り巻かれ、火を放たれる。双子はそれぞれに子供達を守りながら賊と戦い脱出の道を探る。居合わせたCatalinaも、同年代のいとこの
少女を助けながら独力で脱出する。死闘の末、全ての襲撃者は倒される。だが、双子ももはや助からないほどの深手を負う。<br />
James SebastianとBlake Cortezは月に照らされた海岸に並んで座り、語り合い、そして夜明けとともに息絶える。<br /><br />
双子の最期はいかにもジェイムズ・カルロス・ブレイクって感じで、ベタかもしんないけど泣ける。なんかもうやり切ったぐらいの感じだけど、ここからこの2作によるWolfe Familyシリーズの開幕について少し考察します。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Wolfe Familyシリーズについて</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
なんかこれでこのシリーズが少しでも読まれれば、という思いで結構頑張って延々と書いてきたわけだけど、まあこんなの全部飛ばしちまっても一向に構わんよ。むしろそっちが正しい本の読み方だろうし。<br />
かくして、この前日譚である『Country of the Bad Wolfes』が終わったリオ・グランデの「バッド・ウルフの地」から第1作『The Rules of Wolfe』は始まるわけである。『Country of the Bad Wolfes』については、
一族の歴史という視点で書かれた作品なわけで、長い年月を扱う関係で一方ではやや簡潔で盛り上がりに欠けるところがあり、その一方でやや読むのが面倒になる家族の細々したことが長く書かれていたりで、
若干読みにくいものではあるのだけど、総体としてみれば、このあらすじに綴った様に波乱万丈の一族の百年にわたる運命を描いた読みどころも大変多い作品である。<br />
そして誰でも気づくのはこの一族の歴史の最初と、作者ブレイク自身のルーツの類似。というかそれわからせるために最初に改めてブレイクの略歴みたいなの書いたんだけど。インタビューでも明言していたが、ブレイクは
このシリーズを自身のルーツと重ね合わせたところから始めているのだ。そういうところからも彼がこのシリーズを自身をも含めたメキシコ-アメリカの歴史をも包括するような作品として構想しているのだろろうと
いうことが伺われる。<br />
あと、飛ばしちゃった人のためにももう一度書いておくと、この作品にはブレイクの未訳である長編第3作『In the Rogue Blood』の主人公のひとりであり、作者の思い入れも深いEdward Littleが登場し、そちらの作品の
その後が書かれる。そんなところからもこのシリーズを自身の集大成ぐらいに考えていると思われるブレイクの意気込みも垣間見えるものである。『In the Rogue Blood』に関しては、併せて必読ぐらいのものだし、
シリーズ進行につれて今後もそういったものが出てくるのかもしれんね。<br />
そして続く『The Rules of Wolfe』については、まさにあのブレイク作品の舞台が現代に移されたというもので、これから現代のメキシコ国境や、麻薬カルテルなどがどう描かれてゆくのか今後も本当に楽しみなシリーズ
である。シリーズでは現代のメキシコについて書かれる一方で、空白になっている20世紀約百年のWolfe一族についても徐々に明らかにされてゆくらしい。<br /><br />
ところでここで気になるのは、まず前作から『Country of the Bad Wolfes』の間の7年の沈黙、そして両作の間の20世紀の百年、もしかしたら当初の構想では『Country of the Bad Wolfes』の後、同形式でその百年を
書くつもりだったのではないか、という疑問である。<br />
そんなわけでその手掛かりを求めて、インタビューなど探してみたのだが、残念ながら後者の手がかりになるようなものは見つからなかったのだが、前者についてはいくらかの言及もあった。長編第9作である
『The Killings of Stanley Ketchel』が2005年に出版された後、ブレイクはしばしの休暇を取ろうと考え、数年ぐらいの間アメリカ、メキシコの各地を旅行していたそうである。そんな中でこの大作の構想も持ち上がって
来たのだろう。<br />
後者については真相は不明だが、なんだかこのくらい歴史にこだわった形で書くなら、続きは次の時代へというのが普通の発想に思えるのだが。少なくとも『Country of the Bad Wolfes』終盤でシリーズを次へと繋げる
キャラクターとしてCatalinaを出した時点では、もう現在見られる続きは百年後の現代から始まるという形はブレイクの中で決定されていたのだろうが。最近読んでいるかのジェイムズ・エルロイの新暗黒LA第2作
『This Storm』(まああまりの大作である一方であの狂文体で、あれをひたすら原文で読み続けるほどの気力は無く、他の本と並行してみたいな読み方でまだ半ばぐらいなのだが…。)の冒頭では、前作終盤から引き継がれる
メキシコ方面に大きく広がる内容に合わせ、あの狂文体で20世紀前半第二次大戦近辺のメキシコの状況が語られる。そういうのを読むと、これもブレイクの手によるWolfe Familyの一環として読んでみたかったな、
と思ったりもするのだが。ところで今気付いたんだが、エルロイの続き、もしかしたら文春でも出したいとは思っているけど、もうあんな大変なの翻訳する人がいないとかなんじゃないか?もしかするとだけど。<br /><br />
何とかこのシリーズの魅力、重要性とこれからの期待を伝えようと頑張っているつもりなんだが、結局「スゲー、オラわくわくすっぞ!」ぐらいにしかなってないような気もするんだが、とりあえず、スゲー、オラわくわくすっぞ!
以下、本当にこれいつ書けるんだか、みたいな気分になってた頃少し先出ししていたこのシリーズの重要性に関する2点をもう一度少し詳しく書いて行きます。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">時代、地域という観点からクロニクル的に書かれた犯罪小説</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
時代、地域に焦点を当て三部作、四部作、あるいはシリーズとしてクロニクル的に犯罪小説を書くという手法は、言うまでもなくたまたま直前に名前出てきたジェイムズ・エルロイの1987年の『ブラック・ダリア』から続く
暗黒LA四部作から始まる。それに呼応するようにまず1990年から開始され99年までに7作が発表されたのがローレン・D・エスルマンによるThe Detroit novels(未訳)。更に1996年からはジョージ・P・ペレケーノスにより
DC四部作が始まり、1999年にはエルロイから深く影響を受けた英国作家デイヴィッド・ピースがヨークシャーを舞台としたレッドライディング四部作を開始する。そして2005年にはあのドン・ウィンズロウによる
カルテル三部作が開始。2006年からは北欧スウェーデンよりイェンス・ラピドスによるストックホルム三部作が発表される(第1作以外は未訳)。そして2012年から開始されたこのジェイムズ・カルロス・ブレイクによる
Wolfe Familyシリーズも明らかにこの作品群、流れに属するものである。<br />
そして日本にはほぼ伝わっていないこの流れに属するものとしては、あの大御所ジェイムズ・リー・バークによるHolland Family Sagaというものもあり、これについては近日中にジェイムズ・リー・バーク作品について書く
予定なので、そちらでもう少し詳しく。更にあの続刊の発行が切に待たれるエイドリアン・マッキンティによるショーン・ダフィシリーズ!私はこれはちょっと変則的な形でここに属するベルファストシリーズだと
見てるんだがね。まあ日本のほとんどの人はあのお偉い法月綸太郎が言うんだから間違いなし、て感じでこじつけゴミ解説に書かれていた様に今後のシリーズは、成熟し安定してナゾトキに専念する警察小説になると
思い込んでるんやろけどね。<br />
こうして並べてみれば、この流れはもはや現代ミステリという観点から見ても一つのジャンルを形成するぐらいのものだが、日本ではこれを系統的に考えるような動きはほぼ皆無である。んまー日本のイマドキの
「ミステリ評論家」みたいな連中にやらせても、おそらくは先頭にル・カレのスマイリー持ってきて、間にミレニアム押し込んで、さらには日本から二部作でもいいやぐらいになんかねじ込んで曖昧に「ミステリ」って
形に薄めて、おなじみのあんまり方向性のない知ってる本列挙に終わるのが関の山だろうけどね。なんか昨年出たポール・オースターでも、ハードボイルド-文学って観点ならもっと明確なところでそれやらかしてるやつ
いたじゃん。
</span></span>
<h4 style="font-size:15px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">メキシコ国境と麻薬カルテル</h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
この辺についてはまだきちんと把握できてるとは言えないんだが、少し前のカントリーノワール的な流れからも、近年ハードボイルド/犯罪小説ジャンルでメキシコ国境ものが重要なポイントとなっている印象はある。
メキシコ国境ものと言えば少し前のところでは、例えばコーマック・マッカーシーの最近再版されて原題通りになった『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』
で描かれたメキシコのイメージがあり、自分的に思い入れのあるものとしては、ジョニー・ショーの未訳作Jimmy Veeder Fiascoシリーズ第1作『Dove Season』でも同じような印象なのだが、その後完結したウィンズロウの
カルテル三部作以降、強力な犯罪組織であるメキシコ麻薬カルテルという要素が加わり、犯罪小説ジャンルとしても大きく変化してきているようである。ここでカルテルが幅を利かせている状況の現代メキシコを描いたWolfe Family
シリーズもその変化を見る大きな一例ということになるだろう。今のところここで他に挙げられる作品としては、以前より注目していた J. Todd Scottのテキサス国境あたりを舞台としているChris Cherryぐらいしかないんだが、
こちらについてもなるべく早くもっと深く探って行きたいというところである。<br />
あーあとここでちょっとお詫びなのだが、前にこの辺について書いたとき、ちょうどそのころ見つけていたCraig JohnsonのWalt Longmireシリーズもこっちに属するように書いてしまったのだが、よく調べてみるとまあ同様に
アウトドア的な地方保安官もののようなのだけど、ワイオミング州とかまた別の地方ものでメキシコ国境とは関係なかった。すんません。ただNetflixでもやってて19作だか出てて、米版のみならず英版も出版されているような
人気シリーズなんで、こっちも何とか早く読んで出来たらこっちにも書きたいもんですが。<br /><br />
ジェイムズ・カルロス・ブレイクWolfe Familyシリーズを読むべし。結局それを訴えんがために長々とあの手この手で書いてきたわけだし、それに尽きるだろ。
本来であれば、これは翻訳されてもっと読みやすい形で多くの人に読まれるべき作品である。これはいわゆるニューヨークのビッグ5から出ているメジャー作品というようなものではないし、広く万人に受けるものでは
ないかもしれない。だが、かつてブレイクの作品3作が翻訳され、それに感銘を受けた者が多く存在するこの国なら、必ずこの新たなブレイクのシリーズに大きく期待する者も多いはずだ。そしてこれはその期待に必ず
応えうる作品である。<br />
Wolfe Familyシリーズ、今後も追って行きますんで。<br /><br /><br />
なーんか色々とバタバタしていたり、フラフラしていたりと、なかなか集中できなかったり時間をうまく作れなかったりという時期だったのですが、まあとにかくできたという感じです。途方もなく長くなってしまって、
書く方も大変だったけど、読む方も大変か。というかこんなの全部読む奴いるのか?まあいいか。ちょっと余力もない感じなので、今回はこれで。今後の予定については、コミック関連の方で近々、数日中ぐらいに
ちょっとしたお知らせがあります。こちらハードボイルド関連では、次ジェイムズ・リー・バークの予定だったんだけど、ちょっとこれ先にやっといた方がいいか、というのがあるのでそちらをやってからとなります。
ということで今回は終わり。ではまたよろしく。<br /><br /><br />
<h4>■James Carlos Blake著作リスト</h4>
<ol>
<li>The Pistoleer (1995)</li>
<li>The Friends of Pancho Villa (1996)</li>
<li>In the Rogue Blood (1997)</li>
<li>Red Grass River (1998)</li>
<li>Wildwood Boys (2000)</li>
<li>A World of Thieves (2002) 『無頼の掟』</li>
<li>Under the Skin (2003) 『荒ぶる血』</li>
<li>Handsome Harry (2004) 『略奪の群れ』</li>
<li>The Killings of Stanley Ketchel (2005)</li>
</ol>
<h4>●Wolfe Familyシリーズ</h4>
<ol>
<li>Country of the Bad Wolfes (2012)</li>
<li>The Rules of Wolfe (2013)</li>
<li>The House of Wolfe (2015)</li>
<li>The Ways of Wolfe (2017)</li>
<li>The Bones of Wolfe (2020)</li>
</ol>
</span></span>
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■James Carlos Blake<br />
●The Wolfe Family</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tNuj4X"><p>Country of the Bad Wolfes</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41R6QMN"><p>The Rules of Wolfe</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NTucf2"><p>The House of Wolfe</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tNuAov"><p>The Ways of Wolfe</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47sMfQe"><p>The Bones of Wolfe</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●長編</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48nzp6R"><p>The Pistoleer: A Novel of John Wesley Hardin</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/4aKjvoT"><p>The Friends of Pancho Villa</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48p1uee"><p>In the Rogue Blood</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/41P8vlY"><p>Red Grass River: A Legend</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3vnEk9j"><p>Wildwood Boys</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3RNFpPh"><p>A World of Thieves</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3vp4J6O"><p>Under the Skin</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3S8HoiF"><p>Handsome Harry</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tTo3sl"><p>The Killings of Stanley Ketchel</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●短篇集</span></span></h4>
<div class="amList">
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</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-20470766440024657202023-02-21T00:30:00.002+09:002024-01-08T15:37:04.417+09:002023 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表!<style>
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<a href="https://amzn.to/41OIZxb" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81wfD5j45CL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
毎年、何周年の次の恒例となっておりますスプラッタパンクアワードです。なんか最近更新が遅すぎてこればっかりやってる印象になってるかもしれんが。第6回となる本年2023年のスプラッタパンクアワード、
ノミネート作品が、2月8日、例年通り<a href="https://www.briankeene.com/news/2023-splatterpunk-awards-final-ballot">Brian Keeneのホームページ</a>にて発表となりました。<br />
昨年8月には2年ぶり、やっとで本開催となったテキサス キラーコンでの受賞作発表ができたスプラッタパンクアワードでしたが、やはり2022年は業界全体もコロナ状況からの厳しい状態が続いていたようで、長編部門のみ6作品がノミネートされましたが、他部門は各5作品と若干のスケールダウンを余儀なくされている感じです。<br />
以下が各部門のノミネート作品です。<br /><br /><br /><br />
<b>2023 Splatterpunk Award ノミネート作品</b><br /><br /><br />
【長編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Playground by Aron Beauregard (Independently Published)</li>
<li>The Television by Edward Lee (Madness Heart Press)</li>
<li>Faces of Beth by Carver Pike (Independently Published)</li>
<li>Last of the Ravagers by Bryan Smith (Thunderstorm Books / Death’s Head Press)</li>
<li>Mastodon by Steve Stred (Black Void Publishing)</li>
<li>Ex-Boogeyman (Slasher vs The Remake) by Kristopher Triana (Bad Dream Books / Thunderstorm Books)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【中編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Charcoal by Garrett Cook (Clash Books)</li>
<li>Grandpappy by Patrick C. Harrison III (Independently Published)</li>
<li>Mr. Tilling’s Basement by Edward Lee (Deadite Press)</li>
<li>#thighgap by Chandler Morrison (Cemetery Gates Media)</li>
<li>Plastic Monsters by Daniel J. Volpe (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【短編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>“Just Another Bloodbath at Camp Woe-Be-Gone” by R.J. Benetti (Independently Published)</li>
<li>“Of The Worm” by Ryan Harding (from Splatterpunk Zine issue 13)</li>
<li>“My Chopping List” by Stephen Kozeniewski (from Counting Bodies Like Sheep, The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>“Gutted” by Bracken MacLeod (from Splatterpunk Zine issue 13)</li>
<li>“Jinx” by Bridgett Nelson (from A Bouquet of Viscera)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【短編集部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Always Listen To Her Hurt: Collected Works by Kenzie Jennings (Blistered Siren Press)</li>
<li>Mr. Tilling’s Basement and Other Stories by Edward Lee (Deadite Press)</li>
<li>Horrorsmut by Christine Morgan (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>A Bouquet of Viscera by Bridgett Nelson (Independently Published)</li>
<li>Pornography For the End of the World by Brendan Vidito (Weirdpunk Books)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【アンソロジー部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Human Monsters edited by Sadie Hartmann and Ashley Sawyers (Dark Matter Ink)</li>
<li>Camp Slasher Lake, Volume 1 edited by D.W. Hitz and Candace Nola (Fedowar Press)</li>
<li>Counting Bodies Like Sheep edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Call Me Hoop edited by SC Mendes & Lucy Leitner, created by Drew Stepek (Blood Bound Books)</li>
<li>Czech Extreme edited by Lisa Lee Tone and Edward Lee (Madness Heart Press)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Monica J. O’Rourke</li>
</span></span></ul>
<br /><br />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
第6回となる今回、まず目につくのはこのジャンルではもはや巨匠ぐらいのポジションにあるエドワード・リー作品。長編、中編とそちらを含む短編集と、さらには共同編集のアンソロジーまでノミネートされている。
同時に、もう終わってしまったかと思っていた<a href="https://deaditepress.com/">Deadite Press</a>からのリリースも。Deadite Pressについては復活か?とホームページも見に行ったのだが2021年にでた最後のところから更新はなかったのだが、
アマゾンで検索してみると、昨年あたり出ているは出ているがリー作品の復刻っぽいのだけ。こちらで責任感にさいなまれつつ手が回らず放置中の『White Trash Gothic』現行3作もDeaditeに収まったようで、それは
よかったのだが…。この感じから見てDeaditeは完全復活とかいうわけではなく、エドワード・リーからの働きかけか話し合いによるリー作品限定というところなのだろう。こっからまた頑張るんで、そっち関連の
何とかしてもらえんかね。よっしゃ!そういうことならうちも協力しまっせ!的な。いくらかリー本人の出資とかもあったかも。そしてこっからまた頑張るリー先生のもう一つが<a href="https://madnessheart.press/?v=24d22e03afb2">Madness Heart Press</a>。
2019年発足の新興パブリッシャーだが、既に多くの作品を出版しており、これまであまり聞かなかったが、リー効果により注目も高まるのかもしれない。なんかホームページ色々見てたら、Splatterpunk、
Folk & Religious Horror、Bizarroの他にExperimental Horrorなんてのもあり、結構気になる感じ。Experimental Horror的傾向なのがBizarroかと認識していたのだが、ホラージャンルも日々進化しとるのだね。<br />
こんな感じで終わったと思ってたものが復活してきたり、新たな勢力が出現してきたりなど動きが激しいホラー系インディーパブリッシャー業界なのだが、昨年今年と落ち込んできているのが、一昨年
スプラッターウェスタンで大いに気を吐いたDeath’s Head Press。今年は唯一同シリーズ作品として<a href="https://thunderstormbooks.com/thunderstorm/">Thunderstorm Books</a>との共同出版によるBryan Smithの『Last of the Ravagers』がノミネートされているのみ。
ちなみにThunderstorm Booksというのはホラー作品のハードカバーの豪華版、サイン本など、プリント方向に特化したパブリッシャーらしく、『Last of the Ravagers』も現在出ているのはそちらのプリント版のみで、
またスプラッターウェスタンも昨年まではKindle版ではシリーズとしてずらりと並んでいたのが無くなり、多分売れ線かなんかのがバラで出ている感じに変わっている。とりあえず、Death’s Head Pressは
スプラッターウェスタンシーズン2を準備中ということなので、期待して待ってみよう。結局3冊しか読めずにこの状況になってしまったがスプラッターウェスタン期待しとるんよ。<br />
あと、ほんとにざっとなんだけど色々見てて気になったのが、アンソロジー部門の<a href="https://www.bloodgutsandstory.com/">Blood Bound Books</a>からの『Call Me Hoop』。どうも同じ設定・世界観を使っていろいろな作家が書くという形のものらしく、これは
シーズン1となっている。テレビシリーズを模した感じのこの形のものとしては、ずいぶん昔にリー・ゴールドバーグプロデュースの<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2014/05/the-dead-man.html">『The Dead Man』シリーズ</a>について書いた他、クライム方向ではDown & Outが
やってるのをなんかのついでに言及したぐらいなのだが、最近自費出版ぐらいのところでもある程度こちらの知ってる名前ぐらいのを動員してこれをやってるのをいくつか見つけたりして、結構気になってる。
この『Call Me Hoop』も含めてこの辺のシリーズ諸々、いつかまとめて書けるといいんだけど…。版元Blood Bound Booksは、最近TRPG部門も立ち上げたそうで、これからもなんか面白いことやってくれそうやね。<br />
本当はもっと前に言及しなければいけなかったのだけど、話の流れで後になってしまって申し訳ないのが、J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARDのMonica J. O’Rourke。この人このジャンルで100を超える
短編作品をあちこちで出しているスプラッタパンクの重鎮。主に短編作品というのは長編主体の作家に比べどうしても目立たないのだが、業界では深くリスペクトされている実力派作家らしい。従来のホラージャンルとは
一線を画すスプラッタパンクジャンルの女性作家の草分け的な評価もあるのかも。これまでのJ.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD作家は一応邦訳作品があったのだが、Monica J. O’Rourkeさんに関しては、
翻訳されたアンソロジーに入っているものがあるのかもしれないが、とりあえず確認できなかったので、英語表記のままとしました。<br />
昨年、今年とどうしても落ち込み傾向と言わざるを得ない感じのスプラッタパンクアワード。しかし、やはりこれはコロナ状況が大きく影響したものであるのは明らかだろう。ハードボイルド/クライム方面でも
今年はその状況下雌伏していた作家たちの新作が次々とアナウンスされていることは既に伝えたとおりである。こいつらの2023年の復活へ向けた動きも既に大きく始動しているのかもしれない。いくら小パブリッシャーが
倒れてもすぐに新たな者が立ち上がる不屈不撓のジャンルなのだ。今回リンクのためにアマゾンで調べた各作品はいずれも100を超えるレビューが寄せられている。インディーパブリッシャーの小説作品が、これほどの
レビューを集めるのは生易しいことではない。このジャンルがそれだけの熱量を持っているということを示す如実な例だろう。こいつらは必ず復活し、外的要因による落ち込み以前の勢いをすぐに取り戻すだろう。
そしてこれまでに述べてきたように、たとえ低迷期であっても見るべきところは非常に多い。この中のいずれの作品がその中から突出し、次の時代への橋渡しとなるのかを刮目して待て!スプラッタパンクアワード
各受賞作の発表は、本年テキサス州オースチンで例年通り行われるキラーコン内にて8月12日ということ。発表されたらまたなるべく早くこちらにも掲載いたしマース。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/03/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/09/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/03/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/08/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/02/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/08/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/02/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/08/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/03/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/08/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a>
</span></span>
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■2023 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品<br />
●長編部門</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vnGC8x"><p>Playground</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TRGw33"><p>The Television</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TYCdmy"><p>Faces of Beth</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41Rdp1N"><p>Last of the Ravagers (Splatter Western)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RNC2If"><p>Mastodon</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vsbIvX"><p>Ex-Boogeyman</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●中編部門</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3HbV46o"><p>Charcoal</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NVpUDM"><p>Grandpappy</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NQAOuA"><p>Mr. Tilling's Basement & Other Stories</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41RdJ0G"><p>#thighgap (My Dark Library Book 2)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aKDgN7"><p>Plastic Monsters</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●短編集部門</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47lX4Ud"><p>Always Listen To Her Hurt: Collected Works</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S6vyWa"><p>Mr. Tilling's Basement & Other Stories</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48rrvtm"><p>Horrorsmut</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aJzjIp"><p>Pornography for the End of the World</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●アンソロジー部門</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41OIZxb"><p>Dark Matter Presents Human Monsters: A Horror Anthology</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RSxccV"><p>Camp Slasher Lake: Volume One</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RSaLnU"><p>Counting Bodies Like Sheep: Extreme Horror Anthology</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48qmcKz"><p>Call Me Hoop: Season 1</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RRa8uN"><p>Czech Extreme</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
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Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-85237745504365725242023-02-14T00:00:00.002+09:002024-01-08T23:57:11.907+09:00ブログ9周年ということで<a href="https://amzn.to/3vjrxon" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="250" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71LLOWgtqAL._AC_SL1411_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
9周年おめでとうございます。有難うございます。なんか時々でも読んでくださる皆様のおかげで時々書きながら9年間も続いてまいりました。あと、なんか書かずにいられないという私自身のかなり頭のおかしい部分でしょうか。
狂気、とか書こうとして、やっぱり格好良すぎるので止めました。所詮は、絶対掻いちゃダメだよ!と言われながら血が出るまで掻いちゃうような子供のアホさレベルのもんでしょうから。あっ、念のために言っとくと
変換間違えてないよ。<br />
しかしまあ、考えてみればこんな出鱈目が9年も続いて、いくらか読んでくれる人がいるということから考えて、クソどうせオレ意外こんな風に思ってる奴いねえんだろうが腹立って収まらんから好き勝手に言うからなオレんちだし
モードで散々並べてきた悪態も、実際にはいささかの少数派の時代的気分みたいなもんには沿っていたのかもな、と思ったりもする。いや、日本に海外のハードボイルド読者なんてそれほどいるとも思えないし、もう少し
広い海外のミステリエンタテインメント読者みたいな層で。例えばさ、ベタベタの人間関係を軸に湿度の高い気持ち悪い話を進めて最後泣かせでまとめていい話気にした「感動作」みたいな日本製よりも、洋画・海外ドラマを
好む層って少なからずいるわけじゃない。本を読む人でも同じこと。そういう層に全く応えるような本を出版できない、または売ることができない業界への不満というものが高まっており、まあこのハードボイルド廃人の
不満鬱屈みたいなもんもそれと同調してたんだろうなあ、ということ。世の中には私同様本屋の日本作家コーナーなんて向かいから別のボンバーマンが来た時の迂回路でしかない、という人だってまだゴマンというほどではない
にしろ居るわけだ。それ全部切り捨てりゃあそら右肩下がり止まらんわな。その他、私が常々馬鹿にしとる下劣なサブカル層に触発され、結局この国なんて馬鹿の方が人口比率高いんだからいくら馬鹿っぽく言っても許されると
思い込んだ馬鹿どもによる、よみにくい児童や○○の一つ覚えマーク・グリーニーにくらべればに代表されるような著しいレビュー感想なんかの劣化への怒りとかもあるのかもな。<br />
いや、なんかワシが時代の意見を代表してる、とか思ってるんじゃなくて、好き勝手に世の中みんな怒ろうがオレ言うかんな!とかいきってみても結局その一部なんかもしれんねえ、ということ。こんな世界の末端
ブログなんて世の中に何の影響もないだろうが、それでも例えばマッキンティが日本に入ってきたときに、阿呆どもの好き勝手に密室サイコークイズオタク基準ばかりで評価され、挙句に第5作『レイン・ドッグズ』は
「島田ショック」によって書かれた!みたいな陳腐極まりない妄想が大手を振って歩くような状況をいくらかでも抑えられたんじゃないか、とか思いたいとこだけどね。<br /><br />
と、まあとりとめもない感じですが、とりあえず9周年について思うことあたり、いくらかまとめられたかな。実はここまで来るの結構大変で、これもう何度も書き直してます。まあ、まずちょっとここんところ、寒い、
体調悪い、忙しい、の三要素が絡み合いなかなか書けないところなんですが、9周年近づいてきて何とかせねば、と思い出したように2~3行書いてみるのですが、まあ気付くとまた日本のミステリ界を停滞させて殺した
クイズオタクカルトへの罵倒に流れて行って、こんなクソダラダラ書いてるヒマねえと消すようなばかりでなかなか進まなかった。あと特に昨年本当に頭にきたマッキンティの著作をこの先長きにわたり汚染し続ける
ことになるクイズオタクカルトの親玉法月綸太郎によるこじつけ解説事件とかな。でも本当にそういうことに時間使うのはもはや無駄としか言いようがない。書かねばならないことが山ほどある。そういう方面の批判については
これから書くものの中で続けて行くけど、個別に翻訳出版されたものの解説やら帯・売り方なんかに文句付けてんのは本当に無駄だ。結局のところ、法月みたいなもんに解説書かせるのが日本のミステリ読者に対する
ローカライズになると思うほど頭の悪い連中が日本の出版業界ってわけやろ。<br />
たださあ、やっぱ日本で知られてるミステリ観って、特に近年のポンコツ評論家どもによって都合の良いクイズ方向のバイアスかけられてるわけじゃない。そういうものについては何とか批判修正をしていかなければ、
根本的にこっちの話すら通じない。で、お前の意見だってまた別のバイアスかかってんじゃねえの、って意見もあんだろ。もちろんそんなもんやろ。ただ歪んでるもんを思いっきり逆方向に歪めれば、少しは正しい形が
見えてくるんじゃないすかねえ。<br />
例えば、最近の日本のミステリ系出版社の翻訳出版物って、版権の取りやすさやもしかしたらその価格と、日本のクイズ偏向に合わせた形でイギリス物が多いわけじゃない。なんかそこにすっかり便乗して
今やミステリの中心はイギリスに移ったぐらいのこと垂れ流してるヌケ作いそうじゃない。そんなわけねえだろ。相も変わらず世界のベストセラーの中心はアメリカで、どこの国の作家も(まあ日本は知らんけど)
アメリカで売れるってことを目指してる。そんな状況で、まあ日本じゃ困窮して作家を断念しかけたとごり押しされてる、マッキンティの断筆騒動も起こったわけじゃない。そういう反論されて、日本なんだから
日本人の好むものが正しい、アメリカや世界なんて関係ない、なんて思考停止開き直りするようなのがバイアスだって言ってるわけですよ。いっそミステリ鎖国でもすれば?<br />
ただな、いっつもこうやって「本格ミステリ」みたいなもんを罵倒した後で思うんだけど、いや、オレ別にそういう作品自体が嫌いなわけじゃねえんだけど、ってこと。別にこれはそういうのが好きな層に向けての
エクスキューズでもなんでもなくさ。だってまあミステリを愛好する多くの人と同じように、自分なんかも子供のころ読んだ子供向けシャーロック・ホームズとかから入ってきたわけだしさ、そういうもんが嫌いなわけない。
アホなお子様じゃあるまいし、そういうのを卒業してハードボイルドに入ったなんて意識もないしな。だが、考えてみれば多くの人が持ってるのかもしれないそういう「いや別に嫌いなわけじゃないから」みたいな感覚が
ここまで見当違いな「本格ミステリ」なんて概念をのさばらせた原因なのかもしれん、とか思ったりする。どういったってそういったトリック謎解き重視の小説なんてものは、世界的に見れば前世紀の前半の前半ぐらいのところで
衰退したもので、「本格」などという大仰な名前でミステリの頂点に立っているようなものでは決してない。まあ日本の翻訳ミステリなんてものはもう終わったも同然だが、少なくともあんたの意識からそんなバカげた
概念抹消しなきゃまともに海外のミステリなんて読めやせんぜよ。世界のミステリの基準って、謎また謎、どんでん返しに次ぐどんでん返し、クイズに次ぐクイズみたいなもんじゃないでごわすから。<br /><br />
なんかやっと話をまとめて今後の方針を書こうと思ったところで、また罵倒方向にシフトしてしまいました。すんません。ここから仕切り直して現在進行形やら、今後の予定のような前向きなことを書いていこうと思います。
えーと、とりあえず、現在はまたしばらく中断中のような状態になっているのですが、基本的には次に向けて進行中です。やってんのは以前に予告もしたジェイムズ・カルロス・ブレイクのWolfe Familyシリーズ#0、#1という
ところなのですが2冊を一度に、というのと結構な大作というのもあり時間がかかっているのに重ね、先にもちょっと書いたようにここのところ、寒い忙しい、寒い体調悪いのコンボが交互に発生して停滞しとるような状態で、
更に先月後半あたりは、歯を抜いたところで、全国的には知らんけど東京地方で寒さ一段階アップみたいのが来て、あーなんかこの二日ほど帰ってPC立ち上げるけど結局なんもしないで寝てるな、と思ってたところで
蕁麻疹発症。結局抜歯後の痛みor化膿止めが原因だったのですが気付かず、二日ほどでやっと立ち直ったところで忘れてた薬をまた服んで再発症というようなスラップスティックなことをやってほぼ一週間つぶしてしまったりも
しておったわけです。てへっ。しかしまあなんだかんだゆうても外的要因による停滞みたいなもんなので、そのうち何とかなるでしょ。と思います。<br />
最優先でやらなければならないこととして、まずブレイクの大作Wolfe Familyシリーズがあり、続いてやっとのジェイムズ・リー・バークのロビショーの続き。とにかくこの二つを終わらせなければ。こういうものとしては、
まあ日本で翻訳出るのほぼ絶望的やろな、ってとこの現代ミステリ/文学の超重要作家ジェイムズ・エルロイの新LAの続き『This Storm』!!!!まあ超大作ゆえまだ半ばってとこだし、年内に書けるかもわからんぐらいに前が
詰まっちゃってるけど。これが読めずクイズに次ぐクイズばっかり押し付けられてる日本のミステリ読者ってなんて不幸なんだろう。まあ出たら出たでプロットがプロットが、ぐらいしか言えん視野狭窄の老害が偉そうなこと
言い始めるのかもしれんけどな。このプロットプロットみたいのもとことん馬鹿にしたいんだが時間がねえ!<br />
そして、前にマイク・ハマーのところでぶち上げた…、つもりだけどちゃんと伝わってんのかな?まあいいや。ハマー前後の「通俗」なるレッテルを貼られ見捨てられている作品の見直しと、80年代以降のハードボイルド史の
再考。これは何としてもやらねばならんのです。改めて考えるとハードボイルドってのはどんだけひどい扱いをされてきたのか。底の浅すぎる考えで「本格」なる呼称で御三家みたいなもんを祭り上げ、それ以外の作品は
価値がないように扱い、見当違いの精神論で軛をかけ続けた挙句、もう評論家どもにとって説明が面倒になったら太古の文学的定義やら語源を持ち出して終わったことにされる。世の中にここまで愚劣な評論家どもによって
捻じ曲げられ踏みにじられてきたジャンルって他にあるのかい?どのくらい大雑把な見方でも現代ミステリの最重要作家であるドン・ウィンズロウだって出自はハードボイルドなんだぜ。なに?ウィンズロウは「成熟」「安定」
してハードボイルドを「卒業」したの?アホか!<br />
80年代以降としているのは、それ以前、70年代あたりの作品がもはや手に入りにくいから。なんか日本的にハードボイルドの最大事件のように扱われ、以降ハードボイルドが終わったかのように言われる根拠ぐらいになってる
「ネオ・ハードボイルド」についてももっと検証すべきなんだが…。まあ数多く復刻されておりKindle版なども手に入りやすい40~60年代作品と、日本でも翻訳が多くこのハードボイルド廃人の古書店のバックヤードレベルの
部屋に貯蔵されている80年代以降作品の両輪で詰めていこうというところなのだが、過去作品も読めば発見も非常に多く、70年代のブランクもおぼろげに見えてきたり、さらに未来へ向かう様々な系統も垣間見えたり。なんか
あんたが本当に読みたかったハードボイルドってこれだったんじゃない?みたいな発見もあったりするので、順番入れ替えるかもぐらいのもあったり。別に誰も読んでくれなくても勝手にわめくよ。オレんちだし。
現実に音出てないから近所迷惑にもなんないし。<br />
さて日本のクソ状況から読めなくなっている重要作家、過去作品・馬鹿げた歴史の再考に続き、大変重要なのが現在進行中の新しい作家・作品群だ。日本的にかろうじて紹介されているところでは、S・A・コスビーの最新作については
何とか翻訳出るようだが、コロナ状況が幾分か落ち着きを見せてきたことで今年あたりは停滞していた作家の新作も発表されて来ている。あの冗談ハーパーについての新作については昨年お伝えし、うち1冊はすでに先秋
発売されているが、同様にしばらく沈黙の続いていたルー・バーニーも秋に出る新作がやっとアナウンスされてきている。そして涙物の(ほんとにこれ聞いて泣いた!)あのドゥエイン・スウィアジンスキーが遂に復活!!!
秋には最新長編と、年内には短編集となんかコラボ作品(また世界のパタヤんか?)が出版されることが発表された!!!そして日本に全く伝えられないところでは、ウィンズロウ カルテル三部作に続く形で一つのトレンドになっている
メキシコ国境ジャンル。なんとか早くこのジャンルに取り掛かり外郭ぐらいでも把握せねば。こういうのも少し前に遡れば、小ブームとなっていたカントリー・ノワールと繋がるところもあるわけで、そういうところは
きちんと追っていかなければならんのだ。さらに英国の最新ムーブメントであるこっちで勝手に新スコットランド一派とか呼んでる作家群も押さえねばならんし、前々から要注目としながら放置してきたJoe Cliffordと、
Oceanview Publishing作品。本当ならすでに読んでる個人的に最注目のAnthony Neil Smith『The Butcher's Prayer』とAdam Howe『One Tough Bastard』についても絶対に書かねばならんのだが…。ああ!勝手にオレ内殿堂入り
絶対面白い作家に認定して延々後回しにしているジョニー・ショーも今年こそは次を読んで絶賛しなければ(読まなくても絶賛確定)!あとちゃんと読めてなくて本当にごめんのAll Due Respectやら各アンソロジーやら本当に
きりがない。これほど伝えねばならないことがあるのに語る価値すらないゴミクソ解説やら頭おかしいクイズオタクカルトの批判なんてやってられるか!あーでもその辺にすっかり洗脳されたようなのが来た時のために
そういうもんじゃねえからときちんと意思表示の必要があるし。いっそヘッダーあたりに「私は「本格ミステリ」を標榜するクイズオタクカルトをとことん馬鹿にしています。」とか標語っぽく掲げとくかね。<br /><br />
えーと、ここからやっとコミックのことです。本当にごめん…。いや、諸般の事情でハードボイルドに入れ込み過ぎてただけで、コミックについて書くのをやめようなどとは一瞬も思ってないし、あー何とかもっと
たくさん読めないもんかと苦闘しながらあれこれ読み続けております。例えばなんつーかもっと視野を広げて客観的みたいな考えで文化的重要度を考えれば、実はコミックの方が紹介すべき優先度は高いんじゃないか、
とさえ思う。所詮文字だけで書かれたもんの方が偉いと思うなんて子供の発想だよ。<br />
時間がないとか、個人的なこだわりで他に注力して余裕がないというのも本当だが、やっぱよーく考えてみると、そのあまりの膨大さなどにを前に、日本に海外のコミックを紹介する困難さ、敷居の高さに屈してる
部分もかなり大きいのだろう。結局のところ例え一日一作品を紹介し続けて行ったとしても、どのくらいやれば本当に伝えるべき土台ぐらいまで到達するのかわからないぐらいのもんだし。<br />
かなり昔のことだけど、日本にはこれだけの規模のマンガがあるのだから海外のマンガを持ってきたって売れるわけがない、などと「正論」を当たり前のように吹く輩を見てかなりイラッと来たのを思い出す。そらそうだろ。
だからどうした。以前にも書いたが海外のコミックというのは「売れる/売れない」などということがことに創作物の価値とは全く関係ないという何よりの実例だろう。実際、この国で翻訳して商売をするということが
成り立たないというだけの話で、海外ではきちんと商売になっているわけだし、日本のマンガを山程読んでいる自分が確信をもって言うが、日本の作品に全く劣るものではないし、そもそも広い世界では日本のものと
比べても高い水準にあるものが山ほどあり、様々な方法論が取り入れられ日々マンガ=コミック全体の水準を高め続けているのだ。<br />
なーんか、このコミックについてのパートを途中まで書いてから、また時間が取れず4~5日放置していたのだが、その間にある考えが浮かんできているのだが、実行するかしないかはまだ少し迷っている。まあ多分今の
自分の状況を考えるとできるの今のうちぐらいだからとりあえず時期が整ったらやってみるかな、と思っている。まあ曖昧なことで申し訳ないが、結局折れてこのまま続くということになるかもしれんけど、まあ
それでも現時点で次に考えてたブルベイカー/フィリップスの『Reckless』と、結局日本にほとんど紹介されたことのないレジェンド作品『Scalped』ぐらいはなるべく早期に書くつもりですので。<br />
なんか尻つぼみっぽくなってしまったのだが、とにかくコミックに関してはたとえ独り相撲になったとしてもなんかやらなければならん、という気持ちだけはとりあえずあるということですかな。<br /><br />
結局、ハードボイルド小説に関しても、コミックに関しても、やろうと思ってることは明確だけど、体が追いついていかなかったりしているうちに、まあオレ程度が何言っても何が動くわけでもなしどうでもいいんじゃねーの。
的投げやり思考に陥ってしまうところを、なんとか前に進めなければと自分にブーストかけてるというのがこの9周年の内容なんでしょうね。このくらいのところで何言っても大して意味はないというのは事実だとしても、
何もやんなきゃ0なのが少しでもやれば0.0000000000000000000000000000000001ぐらいになるかもしれんだろ、ってのがやってんのかやってないのかわかんないぐらいになっても9年続いている理由なんだろ。<br />
自分が言ってる日本の翻訳ミステリ全般に対する批判というのは中身も根拠もあるものだけど、結局自分の方がなかなか動けずその中身の方をうまく提示できず、結果的に罵倒批判ばかりが先走ってしまうという焦りが、
全体的にはほとんど進まないままの最近のハードボイルド小説寄りの傾向になっているのだろう。そう思っているところであの「法月綸太郎こじつけ解説事件」のような言語道断レベルが大手を振ってまかり通り、
またしても罵倒ばかりが先走る始末。その一方でコミックについてはそんな批判などが起こるほどの土壌すら成立していないないまま。そりゃあいくらか言いたいことぐらいはあるが、そんなミクロレベルのところで
なんかもめてみても足踏みどころか後退にすらなりかねんぐらいの状況だろ。<br />
まあそんな感じで今後も0.00000000000000000000000000000000000000000000000000000000001ぐらいでも状況を前に進めるために虫レベルの微力ではありますが頑張ってまいりますです。<br /><br />
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「法月綸太郎こじつけゴミ解説優良図書汚染事件」のような所業が平気で行われる状況に心底絶望し、もう日本で出るものに関しては一切言及しない、とまで一旦は言ったが、やっぱりそれでも数少ないながらも
翻訳出版されるすぐれた作品はそれがどれほどひどく汚染されてしまったとしても、こんな世界の末端でハードボイルド愛を叫ぶ虫けらよりもはるかに有効な一手であるのだろう。どんなにひどいものだったとしても
解説がゴミ、帯がゴミぐらいまで罵倒を簡略化して言及すべきなんだろうと思う。<br />
これに関しては別に批判するようなところは特にはないんだけどね。ポール・ケイン作『七つの裏切り(原題:Seven Slayers)』。未訳ハードボイルドのレジェンド作品が翻訳されてよかったね。どうしても読みたくて
結構昔にVintage Crime/Black Lizard版のプリント版買って、もう少し最近にはデジタル版も買ったけどいまだに放置してるやつです。原書の方を読むと思うけど、とりあえず日本で出る機会あってよかったね、
ということで買いました。なんだかんだ言っても今年はいくらか、もうどうせ出ないんだろ、ぐらいに思ってたものも出るようですね。なるべく穏便によかったねと言えるような形で出版されることを
心より願っております。<br /><br />
まあそんな感じでってどんな感じだよ適当にまとめるなよ、ぐらいのとりとめのない感じですが、9年間有難うございました。今後もできる限りは頑張って行きますので、時々見に来てね。
<br />
<br />
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ケン・ブルーウンは21世紀のレイモンド・チャンドラーだ。<br /><br />
例えば「21世紀のチャンドラー」、あるいは「第2のチャンドラー」といった呼び名はどのような作家・作品に与えられるのだろうか?チャンドラーを思わせる作風の作家?チャンドラーをコピーした作品?<br />
レイモンド・チャンドラーとは、(それが自ら望んでその道に進んだかどうかは別にせよ)それまで大衆向け娯楽という中でも低い位置にあったような犯罪小説・私立探偵小説というようなジャンルの中で、それが持つ独自の価値を見出し、ハードボイルドを文学として語れる位置まで推し進めた作家である。「第2の~」、「21世紀の~」などという呼称は当然単純に作風が似ている程度の作家・作品に与えられるべきものではないだろう。いや、むしろそう呼ばれるに値するほどの作家が、前のものと同じ形をしていることの方がおかしいのだ。<br />
チャンドラーから約50年を経て、前世紀末に登場した作家がケン・ブルーウンだ。その50年の間にミステリ、ハードボイルド、犯罪小説のみならず、文学そのものも大きく形を変えている。そのチャンドラー時代とは全く様変わりをした現在進行中の土台に立って、さらに自身のバックボーンであるアイルランド文化・文学をも取り込み、ハードボイルドをさらに推し進め得た作家がケン・ブルーウンであり、ゆえに彼こそが真の意味で「21世紀のレイモンド・チャンドラー」と呼ばれるにふさわしい作家なのだ。<br /><br />
だがな、所詮は「21世紀のレイモンド・チャンドラー」なんて本を売りたい出版社や三文以下ミステリ評論家が使いたがるような安キャッチコピー与太だ。ケン・ブルーウンは、既にケン・ブルーウンとして偉大だ。本来ならここで全てのミステリファンと言うべきところだろうが、日本じゃ到底無理だろう。だが少なくともケン・ブルーウンは全てのハードボイルドファンにとって必ず読まなければならない作家だ!君がハードボイルドファンなら何がなんでもケン・ブルーウンを読め!<br />
近い将来、英米ではブルーウンから深く影響を受けた作家が次々と登場し、その名は伝説に高められ、30年だか50年だか70年後ぐらいには日本でももったい付けた長ったらしい解説を追加され、高価なハードカバーとして翻訳される日も来るかもしれない。だが、我々は本当にラッキーなことにこの偉大なる作家と同時代というときに生きられたのだ。同時代にこれほどの作家が存在しているのに読まないということは損失でしかないし、そう思いもしないような奴に本を読む資格などない!何が何でもこの偉大な作家の作品を読め。ケン・ブルーウンを読み続けるのだ!<br /><br /><br />
前置きが結構長くなってしまったが、ここからケン・ブルーウン ジャック・テイラーシリーズ第6作『Cross』です。いや、前の続きからと思って見たところ、第5作『Priest』やったのって5年前じゃん。まあその間に、個人的にはブルーウン作品としてはトム・ブラントのWhite Trilogyを読んで、結局いまだに第1作についてしか書けていなかったりもするのだけど。<br />
ジャック・テイラーについては何としても読んだら書かなければならんという思いもあり、なんかいろいろこじらせて自分の中で不必要なまでに重くなってしまっていたのだけど、まあ少し時間ができたことで手前に重なっていた本が比較的早めに片付き、うまく読むタイミングができて、いざ!と読んでみると…、ああなんとオレの頭は重くて硬く、それに比べて本というものは軽やかなことか。5年のブランクや色々なつまらない思い込みなど直ちに消し飛び、作品のあまりの素晴らしさ、読む楽しさにのめりこみ、ほろほろと涙を流しながら読みふけってしまったのでした。<br />
というわけでずいぶん間が空いてしまったが、このブログ的にはここから再開されるケン・ブルーウン ジャック・テイラーシリーズ。まずは書いていなかった第5作『<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/02/priest-5.html">Priest</a>』の結末から。<br /><br />
以前にも書いたことだが、この作品でも様々にちょっと粗雑な捜査をしてみるジャックさんだが、確証は得られず、手をこまねいているうちに事態は彼の手の届かないところで最悪の結末を迎える。<br />
だが、それはそれ。事件は彼自身には深刻な被害を与えぬままに決着し、虚しい気持ちのみを残す。<br />
だがその後、最後に唐突のようにこの作品のあまりにもショッキングな結末が描かれる。<br /><br />
数日後、いつものようにちょっとした散歩に出かけたジャック。今日は気分転換に海でも見に行こうか。バスが出るまであと10分か。<br />
バス停に歩み寄るジャックに、どこかから現れたもうすっかり彼の相棒となったコーディーが合流してくる。<br />
「やあ、ボス。」そしてコーディーは続ける「ちょっといい考えがあるんだが…。」<br />
だがその「いい考え」が何だったのかは聞くことはできなかった。<br />
奇妙なな破裂音。<br />
そしてコーディーの胸から血が噴き出す。そしてもう一発。<br />
狙撃?何処から?誰が?なんでこんなことを?<br />
何も考えられぬまま倒れたコーディーの手を握り、涙を流すジャック。握り返すコーディーの力が徐々に消えて行く。<br />
「あなたの息子さんね。」と彼らに歩み寄り、しきりにジャックの肩をさする女性の声のみが聞こえる…。<br /><br />
作中で最初は不信感を抱きながらも、徐々に信頼感を寄せるようになり、やがてコーディーを息子のように思い始めるジャック。第4作『The Dramatist』の衝撃的なラストのこともあり、ジャックにそういう救いが
できることが読んでる側としては逆に不安要因になってくるのだが、やはりこうなってしまったか…。<br />
この衝撃の結末から、そんなに間を置くべきではなかったのだが、とにかく何とか読めました第6作『Cross』です。<br /><br />
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<b>【Cross】</b><br /><br />
昔のを見てみたら翻訳出たのの続きだったので、人名なども頑張って日本語カタカナ表記にしてあったか。基本的には発音わからないのとかあると面倒だからやらないのだけど、このシリーズに関してはできるだけ頑張ってみます。
<br /><br />
狙撃されたコーディーは意識不明の重体で入院している。毎日コーディーの様態を見るため病院を訪れるジャック。コーディーを撃った犯人については前の事件の関係者を始めとして何人かが頭に浮かぶが、その所在を探す
気力も出せないまま。<br />
罪悪感、虚無感に打ちひしがれながらゴールウェイの街をさまよい歩くジャックに、追い打ちをかけるように寄ってきたのは宿敵マラキ神父。苛立たせるばかりの小言や説教、最近の不平などに続き、「あの十字架事件など
どう思ってるんだ」と告げる。<br />
ゴールウェイでは若い男性の死体が十字架に打ち付けられて放置されるという陰惨な事件が話題になっていた。新聞でみたような記憶はあるが、自分が正気を保っているのに精いっぱいの状態のジャックにはさしたる関心もない。
<br /><br />
第1作から登場しているジャックがゴールウェイを歩いていれば何処からともなくぐらいに現れるマラキ神父。相変わらずのヘビースモーカーなのだが、2007年の本作の頃にはゴールウェイでも公共の場所での
喫煙が禁止されてきている。しかし、おい、ここは禁煙だぞ!と言われようものなら、やかましい!と怒鳴り返すような、どこが神父だよぐらいの暴君である。<br />
街を歩きながらあちこちのパブに立ち寄るジャック。酒を注文するが、その前に座り続け、手を付けずに店を出る。前作から続いている儀式のような禁酒行為。<br /><br />
家に帰り、ひと眠りしようかと思ったところでこちらもおなじみの女性警官リッジが訪ねてくる。翻訳のない第3作からの登場で、日本的にはおなじみでないが。<br />
女性警官としての警察内での立場や先行きへの不満を並べるリッジ。そして彼女も例の十字架事件を持ち出す。<br />
「あの事件を解決するぐらいの手柄があれば、先の展望も開けてくるんだ。あの犯人を見つけてよ。」<br />
どいつもこいつも十字架事件だ…。<br /><br />
この作品では前半約3分の一ぐらいまでが、ジャックの一人称と交互にその十字架事件の主犯の一人称で語られる。正体不明のその犯人は少女で、自殺未遂から回復しある憎悪と使命感に駆られて犯行へと向かう。
病院のベッドで目覚めたときから、彼女の視界の隅で不意に燃え上がり、目を向ければ消える彼女のみに見える炎。その存在が彼女に行為の正当性とその達成を約束する…。<br /><br />
そして、またゴールウェイの街を歩き回り、パブに立ち寄ったジャックに見知らぬ男が近づいて来る。「あんたジャック・テイラーだろう?仕事を頼みたいんだが。」<br />
犬を盗まれた。犬好き仲間の話では、どうもあちこちで犬を盗んで回っている奴がいるらしい。犯人を見つけ出してくれないか。<br />
「なんで俺みたいな奴にそんな仕事を頼むんだよ?」「あんたはいいやつだって聞いてる。」<br /><br />
他人からの頼みごとばかりが重なって行くが、当の本人ジャックはコーディーを撃った犯人を探す気力も出ない。そんなジャックに、またも見知らぬ男が近づいて来る。「あんたジャック・テイラーだろう?」<br />
今度は若い男。明らかに酔っている。男の名はヒートン。最近警察を解雇され、同様に警察から追い出され私立探偵的な仕事をしているジャックの生き方に憧憬を抱いている。<br />
あんたのことを尊敬している。あんたみたいになりたいんだ。俺に何かやらせてくれ。<br />
ジャックの頭をコーディーのことがかすめる。そして酒で破滅に向かっている男への憐れみと関わりたくないという気持ち。酒に溺れてそこを逃げ場としていたかつての自分のような。<br />
深い考えもなく、半ば厄介払いのような気分で、ジャックは彼にやる気もなかった犬泥棒犯の捜索を任せる。<br /><br />
そんな中、ジャックはかつて住んでいたホテルの優しいオーナーミス・ベイリーの遺産として譲り受けた自分の住んでいるアパートに、高額での売却の申し出を受ける。ゴールウェイを深く愛しながらも、自分を取り巻く
様々な問題にうんざりしていたジャックは、アパートを売ってアメリカへ行くことに希望を見出し始める。<br />
おい、ミス・ベイリーからの遺産をそんなに適当に売っちゃっていいのかい?という突込みが出るところだが、ここまでジャックさんと付き合ってくれば、まあこの人そういう人だからなあ、ぐらいはわかるもんでしょう。<br /><br />
ゴールウェイを去る前に、もう唯一ぐらいになってしまった友人であるリッジの頼みぐらいは何とかしてやらなければ、と思いジャックは十字架事件の捜査に乗り出し、被害者の家族に会いに行く。しかし、まあこういう正攻法の
捜査をジャックさんがやれば、という通例通りぐらいにグダグダになり、被害者の妹に非難されるだけで何の収穫もなく帰ることになる。<br />
そしてコーディーの入院する病院から緊急の連絡。急いで駆けつけると、そこにいたのはコーディーの両親だった。父親はジャックを激しく非難し、ジャックはコーディーの病室に入ることもできなくなる。<br /><br />
さらに深く落ち込み、再び酒に手を出す寸前まで追いつめられるジャック。<br />
一方で、元警官ヒートンは、ジャックに手がかりを見つけたと告げたのち、体に犬を縛り付けた溺死体となり川で発見される。<br />
そして、ジャックも会った十字架事件の被害者の妹は、犯人の手により彼女自身の車の中で焼死させられる…。<br /><br />
今回に至るまでの過程で、友人関係をすっかり失い、残るのは女性警官リッジぐらいになってしまっていたジャックさんだが、今作では後半から、第4作『The Dramatist』で刑務所から依頼してきた元ドラッグ・ディーラーのスチュアートが出所してくる。刑務所での経験から禅思想に目覚めた彼は、精神的な面も含めジャックさんの支えとなってくれる。<br />
また、今作ではコーディーが入院している病院で出会ったセラピストの女性ジルが登場し、相談がてらデート的な食事に行ったりもするのだが、今後関係が発展する可能性もあるのかもしれない。<br />
一方で、ますますぶっ壊れ具合の高まるジャックさんは、長年ハーリングやら警官やらの経験で頭を殴られすぎたせいで、片耳が不自由になり補聴器が必要となってきたりもする。<br /><br /><br />
遂にノワールが「本格ミステリ」の馬鹿げた謎解き崇拝をとことんコケにした!<br /><br />
捜査-犯人特定、約1ページ!いつだって本当に重要なのは犯人がだれかなんてクイズじゃなく、事件・犯人にどう決着をつけさせるかだ。<br />
変わりゆくゴールウェイへの思いなども多く書かれた、ジャックさんの彷徨というようなペースで進む作品で、あらすじ的な形を作るのに作品の半分ぐらいを書いてしまった感じだが、まあいいか。それがケン・ブルーウン/ジャック・テイラーシリーズなのだよ。「ミステリ」というジャンルに属するもので、それに沿ったあらすじの書き方をすればこういう形になってしまう。だがもちろん、この後の展開は、犯人見つければププッとかいけつな、お気楽犯人当てクイズ小説のようにはいかない。<br /><br />
「あんたはいい奴だって聞いてる。」<br /><br />
そこらをうろついているジャックを見つけて仕事を頼んでくる相手に、なんで俺なんかにそんな仕事を頼むんだ?と問いかけたときに返ってくる答えだ。これまでの作品でもたびたび繰り返されてきたやり取りである。<br />
確か野良レビューだったし何度も引っ張り出すのも少し気の毒かとも思うが、以前に第1作だったかを読んだ感想でなんでこんなやつに仕事を頼むんだ、とか言ってるやつがいて非常に憤慨したのを思い出す。まあ「読書のプロ」
全盛期で上から目線で半笑いでツッコミ入れるのがカッコイイと思ってた時代のもんやろけど。<br />
ではここで逆に信頼できる、安心して頼めるというようなものがどんなものなのかリアルに考えてみようではないか。まず実績からの評判、多くの依頼を解決しているというようなところから個人経営の私立探偵ではなく、大手で
あっちこっちに支社とかもあるぐらいが望ましい。警察OBなんかも多くいるところ。そしてそうやって信用を売っているところは、単に料金が高いのみでなく、こちらにも信用を要求してくるかもしれない。役所仕事的なこちらの身元
確認はもちろんのこと、料金を取りはぐれないように収入やら資産などについても聞いて来るかも。つまり信用を売り物にするとは、そういうことだろう。<br />
例えば警察に行かない、ということは単純に依頼内容が違法だからということではないだろう。事件としてそれほど真剣に取り組んでくれるとは期待できない問題、あまりにも曖昧で警察に事件として取り合ってもらえるか
疑問な問題、家族の問題などそれほどの大事にしたくない問題、などなど。上のような「信用・安心」に行く人もいるかもしれないが、多くの人にとってはそれも警察同様に敷居の高いものかもしれない。そしてそんな自分の
問題を半ば愚痴として話していると、相手がそういうことをやってくれる奴を知ってるよ、と言う。そしてその相手はそいつの人となりを説明した後に、最後にこう付け加えるのだ。あいつはいい奴だよ、と。<br />
我々を取り巻く世界はどんな幻想でごまかそうと、そういった様々な意味での高価な「信用・安心」が必要とされる世界だ。そしてそんな世界であてもなく困っている者が頼ってくるのが、どうこじつけても善人とさえ言い難く、
全く誉めるところも見つからない「いい奴」、ジャック・テイラーなのだ。<br />
なんかすっかり忘れていたけど、これ書いてて思い出したな。名作『モブサイコ100』の9巻で、イカサマがばれて追いつめられた霊幻新隆にモブが最後に言うセリフ。「僕の師匠の正体は『いいやつ』だ」あれも読んで
泣いた名場面。今の世界が求めるのは卑しい街を行く、卑しく汚れた「いいやつ」なのかもしれない。<br /><br />
ケン・ブルーウン/ジャック・テイラーシリーズは、安手のランキングに並ぶような「ミステリ」に慣らされたような考えで読める作品ではない。主人公/探偵は、いかなる安定した立場や高見にもおらず、怒りと暴力の
暴風雨の中で犯人、被害者と同じように翻弄され、そして悲劇的で陰惨な結末の一部となる。だが、これこそがミステリ-犯罪小説-ハードボイルドの正統的な進化の、最も先鋭な姿の一つであることはゆるぎない事実である。
ケン・ブルーウン/ジャック・テイラーを読め!<br /><br /><br />
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現在のところブルーウン最新作は、昨年出た非シリーズ物の『Callous』。ジャック・テイラーシリーズは、その前年2020年に第15作『A Galway Epiphany』が出ています。<br />
ケン・ブルーウンに関しては、とにかくジャック・テイラー、トム・ブラントの2シリーズを読まなければというのが強くて、あまりほかに目が届いていなかったのですが、最近、2006年に出た初期の中編5冊と短編集1冊をまとめた
『A Fifth of Bruen: Early Fiction of Ken Bruen』というのがかなりお得価格でKindleで出ていたのを見つけて慌てて買いました。おススメです。しかしブルーウンはよく見ると、非シリーズ作品も結構コンスタントに
多数出しているので、そっちの方ももっと気にしていかんとと思っています。その他、『Priest』の時に書いたアイルランド製作のジャック・テイラーTVシリーズについては、以前の第9作以降は現在までのところ
作られてはいないようです。<br /><br />
<b>■ケン・ブルーウンが選ぶノワールベスト10</b><br /><br />
ブルーウン関連では、前から書かなければと思って放置していたのが、2015年Publishers Weekelyに掲載されたブルーウンによる
『<a href="https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/tip-sheet/article/67271-10-best-noir-novels.html">10 Best Noir Novels</a>』という記事。タイトルでわかるようにブルーウンセレクトによるノワール作品10選です。個人的な好みによる、と断っているように、一般的なおなじみのものとはかなり異なっており、そういうものから想定されるクラシック作品は比較的少なく、現代のこれからという作品を多く選んでいるところがブルーウンらしく、信用できるなあという感じ。ただ英国クラシック方面の、James R. Langhamの作品や、Derek Raymondの初期作品などは現在入手困難な状態のようで、やっぱ英国との距離を感じてしまうところもあったり。<br />
日本に翻訳されたものとしては、ジェイソン・スターの『Cold Caller』。これ邦題がひどすぎて書く気になれないのでわからない人は自分で調べてください。5位のウィルフォードは『危険なやつら』という邦題で翻訳あり。クレイグ・ライスのは邦題『幸運な死体』というところ。<br />3位には当方でも亡くなった時に追悼記事っぽいのを書いたけど例によってその後は放置状態のTom Piccirilli作品があり、今見て改めてちょっとへこんだり。反省してます。2位のDonato Carrisi『The Whisperer』はどこかでかのPaul D. Brazillも薦めてたやつでチェックしといたんだけど結局いまだに手つかずだったり。まあそんな中で1位のRob Leininger『Killing Suki Flood』(1991年)だけはなんとか一昨年ぐらいに読んだのでした。<br />
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主人公Frank Limosinは50代ぐらいだったかの結構な歳の男。とある事情である山を目指しキャンピングカーを走らせていると、荒野の真ん中でグラビアから出てきたみたいな18歳のギャルがパンクで立ち往生しているのに出くわす。
どこから見てもゴージャスという感じの女だが、Frankは関わり合いになりたくなかった。なぜなら彼の運転するキャンピングカーには訳ありの現金が隠されていたのだ。<br />
その女の子の名前がタイトルにも入っているSuki Flood。見捨てるわけにもいかず、やむなく助けているうちに、FrankはSukiがある凶悪なギャングから逃げていることを知る。巻き込まれることに腹を立てていたFrankだったが、
遂にギャングが彼らに追いつきSukiが連れ去られたとき、彼はそのどこからも助けられるあてもない彼女を、自らの力で命がけで救い出す決意をする。<br />
全編ギャング VS Suki&Frankというシンプルな構図の中で、話が二転三転し、印象深いシーンも多い大変楽しめる作品。<br />
作者Rob Leiningerについては、まだよく調べてないんだが、デビューはこの作品のひとつ前で同年の1991年。現在は未訳おススメのところだったかで名前だけ出したOceanview PublishingからのMortimer Angelシリーズが7作まで
刊行中。この辺も現在進行形作品として、早くちゃんと読まねばというところです。<br />
だがこれがブルーウンが選んだ1位?なんて考えはそもそもが大して意味がない。こういう「ベスト10」みたいなのを凡庸な評論家風情に振れば、な~んかおなじみの「定番名作」みたいなのをちょっと順番変えて並べなおした
だけみたいなどこ向けだかわからない見識とやらを示したつもりの退屈なものが出てくるのがオチだが、こいつはちょっと本棚の手が届く範囲から思い付きのお気に入り10冊を持ってきて並べたみたいな、いかにもブルーウンらしい
肩の力の抜けた感じの「ベスト10」なのだ。何よりも気軽に手に取れ、ジャンルの先の展望も考えられるような新しい作品が多いところも嬉しい。2015年ということでちょっと古くはなってしまったが、これから読んで行く本を
見つけられる実のあるベスト10です。<br /><br />
<b>●ケン・ブルーウン著作リスト</b><br /><br />
<b>Jack Taylorシリーズ</b>
<ol>
<li>The Guards (2001) 『酔いどれに悪人なし』</li>
<li>The Killing of the Tinkers (2002) 『酔いどれ故郷にかえる』</li>
<li>The Magdalen Martyrs (2003)</li>
<li>The Dramatist (2004)</li>
<li>Priest (2006)</li>
<li>Cross (2007)</li>
<li>Sanctuary (2008)</li>
<li>The Devil (2010)</li>
<li>Headstone (2011)</li>
<li>Purgatory (2013)</li>
<li>Green Hell (2015)</li>
<li>The Emerald Lie (2016)</li>
<li>The Ghosts of Galway (2017)</li>
<li>In the Galway Silence (2018)</li>
<li>Galway Girl (2019)</li>
<li>A Galway Epiphany (2020)</li>
</ol>
<b>Tom Brantシリーズ</b>
<ol>
<li>A White Arrest (1998)</li>
<li>Taming the Alien (1999)</li>
<li>The McDead (2000)</li>
<li>Blitz (2002) ※映画化『ブリッツ』(2011)</li>
<li>Vixen (2003)</li>
<li>Calibre (2006)</li>
<li>Ammunition (2007)</li>
</ol>
<b>Max Fisher and Angela Petrakosシリーズ</b>
<ol>
<li>Bust (2006)</li>
<li>Slide (2007)</li>
<li>The Max (2008)</li>
<li>Pimp (2016)</li>
</ol>
<b>その他</b>
<ul>
<li>Funeral: Tales of Irish Morbidities (1991)</li>
<li>Shades of Grace (1993)</li>
<li>Martyrs (1994)</li>
<li>Sherry and Other Stories (1994)</li>
<li>All the Old Songs and Nothing to Love (1994)</li>
<li>The Time of Serena-May & Upon the Third Cross (1994)</li>
<li>Rilke on Black (1996)</li>
<li>The Hackman Blues (1997)</li>
<li>Her Last Call to Louis MacNeice (1998)</li>
<li>London Boulevard (2001) 『ロンドン・ブルーヴァード』※同名で映画化(2010)</li>
<li>Dispatching Baudelaire (2004)</li>
<li>American Skin (2006) 『アメリカン・スキン』</li>
<li>Once Were Cops (2008)</li>
<li>Killer Year (2008)</li>
<li>Merrick (2014)</li>
<li>Callous (2021)</li>
</ul>
<ul>
<li>A Fifth of Bruen: Early Fiction of Ken Bruen (2006) 初期作品Funeral: Tales of Irish Morbidities (1991), Shades of Grace (1993), Martyrs (1994), Sherry and Other Stories (1994),
All the Old Songs and Nothing to Love (1994), The Time of Serena-May & Upon the Third Cross (1994)の合本</li>
</ul>
<br /><br /><br />
<b>■その他おまけ的なやつ</b><br /><br />
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以前に書いたものの絶版になってしまっていた作品が復刊されたのを最近見つけたので、ここで紹介しておきます。まずは2015年とかに書いた『<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2015/04/the-drifter-detective.html">The Drifter Detective</a>』。第二次大戦直後ぐらいの時代が舞台で、厩車を車で引いて
その中で寝泊まりしながら街を渡り歩くという変わり種の私立探偵Jack Laramieが主人公の中編シリーズ。作品ごとに作者が交代するという形で全9作出版されたシリーズが、この度2分冊に納められ再刊されました。
元はBeat To a Pulpから出版されていたが、今回はUncle B. Publicationsというところから、Uncle B. Publications, LLC Bookというアンソロジーシリーズの中からで、そっちのアンソロジーシリーズも何気に気になるので、
もう少し見て何か書くこともあるかも。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/48HBlHl" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/913OmTnvVQL._SL1500_.jpg"/></a>
そして戸梶圭太先生の方は、多元宇宙りんご町シリーズの新作が発売。『多元宇宙りんご町5 りんご町ラップバトル』。結構読まなければというものが多く、またストップしてしまっているのだが、りんご町シリーズかなり好きなので、ちゃんと追いついて行かなければ。今回結構大作で、一つ区切りなのかもしれんが、りんご町シリーズまだまだ続くようです。「読めば読むほど友達が増えていく」シリーズ!いや、作品内での話だろうけど。<br />
更に!この度、ほんの数日前ですが、戸梶先生の徳間書店より刊行されていた作品がまとめて電子書籍として復刻!中でも『ザ・ビーチキーパー』は、既になくなってしまっているプラットフォームより電子書籍版のみで刊行されていた作品ということで、知らなかっった人も多いやつじゃないかと思います。自分も知らんかった。下のリストに並べておくので詳細はそちらから。
<br /><br /><br />
なんかかなりごたごたになって面倒になったりしましたが、とりあえずはまだ続いて行きます。なんかいろいろごめんなさい。<br />
以前書いてた80年代以降のハードボイルド史的なものは、とりあえずは進行中です。多数の再読含め、あれとかこれも読んどかなきゃで、結構時間かかると思いますが、ここからいい加減にされたことが今現在も尾を引いてる
という思いは強いので、何とかまとめなければと思っています。<br />
結局のところ、戦後ぐらいの時代の文化状況でミステリが文学に対抗するために打ち立てた理論武装みたいなもんが、その後クイズオタクどもに教典として祭り上げられ維持され続け、更に時代が進めばただただ出版社と本屋の
売上戦略にべったりな能無し寄生虫どものその場しのぎのブーム繰り返しで道筋も曖昧になり、結局はほかに当てもなくなり声がでかいクイズオタクの言いなりに従っているうちに見捨てられ右肩下がり続けて終わって行く
日本の翻訳ミステリ状況。原書がお手軽に手に入る時代故、そんなもん勝手に沈没しろってとこですが、それなりに良い作品読んで育ったもんとしてはせめて一矢ぐらいは報いたいもんですよ。<br />
80年代以降の整理の一方で、やっぱりハマーと同時代の「通俗」に関しても思うところ多く、ぼちぼちとその辺のものも読んでみると一作ごとに発見も多かったり。そしてまた現在進行中最前線のものについても、
いかなる作品であるのか今現在ジャンルがどのような方向に向かっているのかを見て行かなければというところ。そういうところで最近読んだものとして、80年代名前だけは伝わりながら未訳のままのマックス・アラン・コリンズ
『Quarry』シリーズと、現在進行中のMatt CoyleのRick Cahillシリーズについては、何とか未訳おススメの方にアップしました。「通俗」に関しては、ハマーのところでも今一つ書ききれなかったのでいくつかまとめて
やりながら方針を考えられればと。<br />
今後の予定としては、当面最優先のものはジェイムズ・カルロス・ブレイクWolfeファミリーシリーズと、続いてジェイムズ・リー・バーク、ロビショーの翻訳終了後作品か。コミックの方も
やめるつもりはないんだが、その辺考えると次は年越してからになりそうだけど。<br />
その他の近況としては、遂にPCを買い換えました。うわーなんでも当たり前ぐらいに普通に動くー。また少しは画描いて遊ぼうっと。それからさすがに何とか仕事も見つけました。しかしやっぱ何かとめんどくさいんであまり個人的な
ことは書かない方がいいかな。今後は。あと数日前に以前まだ翻訳出てない頃英語のKindle本多く買ってるつながりかでしつこくアマゾンのおススメに来て心底うざかったMWなんちゃらの本が、新作出たんか知らんけど
またおススメに来たんで全力で表示履歴を削除して自分のアマゾンから抹消しました。なんか本屋で見てる感じだとこの辺が談合と空気読みの年末クイズ本ランキングで上位に押し上げられるんやろね。まあ知ったことか。
と、結局また悪態で終わるのでした。懲りない面々。
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2014/11/magdalen-martyrs-3.html">Magdalen Martyrs -ジャック・テイラー第3作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2015/07/the-dramatist-4.html">The Dramatist -ジャック・テイラー第4作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/02/priest-5.html">Priest -ジャック・テイラー第5作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/08/ken-bruen-white-arrest-white-trilogy1.html">Ken Bruen / A White Arrest -White Trilogy第1作!トム・ブラント登場!!-</a>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Ken Bruen<br />
●Jack Taylorシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48lWh6Q"><p>The Guards</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S7Hxmy"><p>The Killing of the Tinkers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48IuaPc"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51RRKeRcdvL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48IuaPc"><p>The Magdalen Martyrs</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vslb6t"><p>The Dramatist</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NTir8i"><p>Priest</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JtYiB"><p>Cross</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3Sdmb7q"><p>Sanctuary</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47qRfEQ"><p>The Devil</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RPTYCb"><p>Green Hell</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48r8irE"><p>Galway Girl</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3SaugcY"><p>A Galway Epiphany</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/4aKVxtE"><p>Galway Confidential</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Tom Brantシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vA71Qr"><p>The White Trilogy: A White Arrest, Taming the Alien, and The McDead</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3OhE3M3"><p>Blitz</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aHnvGN"><p>Vixen</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vrGuF7"><p>Calibre</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3ROftDk"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51JZDBth2qL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3ROftDk"><p>Ammunition</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Max Fisher and Angela Petrakosシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3SaYNaD"><p>Bust</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NSO95H"><p>Slide</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TSAbob"><p>The Max</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47mb941"><p>Pimp</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●その他</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48mt4sz"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/815Zrgs3JAL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48mt4sz"><p>A Fifth of Bruen: Early Crime Fiction of Ken Bruen</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41RjITl"><p>Rilke on Black</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NTFFLJ"><p>Her Last Call to Louis MacNeice</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S9Any4"><p>London Boulevard</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S7MOKS"><p>Dispatching Baudelaire</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aPwHZs"><p>American Skin</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RRnC9R"><p>Once Were Cops</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NPoQBh"><p>Tower</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vs95Kn"><p>Merrick</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48muG5B"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81RXvaJR6NL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48muG5B"><p>Callous</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■ケン・ブルーウンが選ぶノワールベスト10 (2015年Publishers Weekely)</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tJ1A18"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71sO+cHpaFL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tJ1A18"><p>Dark Passage/David Goodis</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48H5Pcs"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71TmRS3K9tL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48H5Pcs"><p>Cold Caller/Jason Starr</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RPTlZ9"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/61PVrs8PDYL._SL1333_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RPTlZ9"><p>The Lucky Stiff/Craig Rice</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vyXg4Z"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81fPwMx2gKL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vyXg4Z"><p>A Swollen Red Sun/Matthew McBride</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H8naPI"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51be-xGQPsL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3H8naPI"><p>The Shark-Infested Custard/Charles Willeford</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48pIyMj"><p>He Died with His Eyes Open/Derek Raymond</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vo1UCR"><p>The Fever Kill/Tom Piccirilli</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aYU4QG"><p>The Whisperer/Donato Carrisi</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vkJumw"><p>Killing Suki Flood/Rob Leininger</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vp6DV8"><p>The Collected Adventures of the Drifter Detective: Volume One</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TMDA80"><p>The Collected Adventures of the Drifter Detective: Volume Two</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSfe8Y"><p>多元宇宙りんご町2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NOKTbx"><p>多元宇宙りんご町3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S6QYCu"><p>多元宇宙りんご町4</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PzXjt"><p>多元宇宙りんご町5 りんご町ラップバトル</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H7FKHF"><p>半グレVSノーマスクカルト コロナ日本の内戦2021</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RKMBvH"><p>みなさまのキルスイッチ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tz4DsV"><p>5Gマンを殺せ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47sn4Ns"><p>Stay Sitty</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RO68vl"><p>忘れ死神ぴよ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47pbx1p"><p>宝くじ販売員の戦争</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PBgiy"><p>空からの死、地からの命 あいつは戦争がえり3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSkFF1"><p>高く立て、低く這え</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aN853S"><p>僕とじいちゃんと彗星Z</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vx1Kcl"><p>シュレッドタワーと哀しい人たち</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48nqYbW"><p>コロナ日本の内戦</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TYYG2S"><p>ザ・ビーチキーパー</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47w80yq"><p>ドクター・ハンナ 死と踊る美人女医</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TQ5AYe"><p>東京ライオット</p></a>
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<a href="https://amzn.to/493gf6z"><p>迷宮警視正</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S8Sa8t"><p>迷宮警視正 最後の秘境</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3ScfkuV"><p>アウトリミット</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PyCcu"><p>見当たり捜査官</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41RMIdj"><p>劣化刑事</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-70614421113898197742022-09-22T22:00:00.003+09:002024-01-10T21:40:40.727+09:00Mickey Spillane / Black Alley -スピレイン最後のマイク・ハマー!-<style>
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<a href="https://amzn.to/3NYL8AS" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81rgjbLQyZL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回は1996年に出版されたミッキー・スピレイン『Black Alley』。スピレイン本人による最後のマイク・ハマーです。<br />
いや、ここまで来るの長かったな。2年だか3年だったかもしれないぐらい前の正月あたりに、マイク・ハマーを順番に再読し、翻訳されていないこの最後の作品までたどり着かなければならない!と思い立ち、
んまあ思い立ったんだけどその時期翻訳とか日本の本あんまり読めない時期で、特に序盤はモタモタしながら、何とか昨年やっと邦訳最後の『殺す男』まで読み終わり、今年になってやっと念願のこの作品に
たどり着いたということでした。今回は、この最終作のみならず、かなり不当に貶められているところの多いこのマイク・ハマーシリーズについてもとことんやるつもりでおります。<br />
しかしながら、ハードボイルドでは有数のビッグネームであるマイク・ハマーながら、現在翻訳はすべて絶版状態。ここは本編に入る前にこのマイク・ハマーについて簡単に再確認しておきたいと思います。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">■マイク・ハマーとは何者なのか? Part1</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ここでは簡単に概略を説明し、本編紹介の後に、Part2としてさらに深くマイク・ハマーについて考察して行きます。<br />
マイク・ハマーの初登場は1947年『I, the Jury(邦題:裁くのは俺だ)』。スピレインは元々はこのキャラクターをコミックシリーズ用のMike Dangerとして企画していたが、なかなか売れず、金にも困っていて
小説として売ることを考え、マイク・ハマーと名を変え、9日間で書き上げたのがこの『I, the Jury』ということだ。<br />
そして『I, the Jury』は、続く朝鮮戦争のGIなどを中心に大ベストセラーとなる。ちょっと期間などの資料がないのだけど、『I, the Jury』に続く初期のマイク・ハマーシリーズは長期に亘りアメリカのベストセラー
リストのトップ数位を独占していたそうである。<br />
しかし、ベストセラーになる一方で、マイク・ハマーシリーズは、その過剰な暴力・エロティック描写で激しい非難を浴びるようになる。また、60年代ぐらいにはスピレインのタカ派、共産主義嫌いのスタンスも
批判の対象となってくる。マイク・ハマーが単純なアメリカンヒーローだったことなどただの一度もない。作中でもその立ち位置はある種メタ的に扱われていて、ハマーはニューヨークのマスコミの有名人ではあるが、
そこには常に「人殺し」などの悪評が付きまとっている。<br />
念のために付け加えておくと、マイク・ハマーの批判の対象となった「過剰なエロティック描写」は、当時としてで今見れば云々、などというエクスキューズは必要なく、なんか想像されるような日本のゲス本の
レイプやSMをエロティシズムだと思っているようなものでは決してない。またタカ派というスタンスにしても、日本の論者や作家にしばしば見られるような保守政党にすり寄る政治方向のものではなく、シンプルに敵国ソ連・共産主義勢力に怒りを燃やすというような軍人方向のものである。<br /><br />
以下、スピレインによるマイク・ハマーシリーズ全13作のの一覧です。<br /><br />
<table style="border:solid 1px #000; border-collapse:collapse; width:95%; margin:10 auto;">
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">I, the Jury</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">裁くのは俺だ</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1947年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">My Gun Is Quick</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">俺の拳銃は素早い</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1950年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">3</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">Vengeance Is Mine!</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">復讐は俺の手に</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1950年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">4</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">One Lonely Night</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">寂しい夜の出来事</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1951年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">5</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">The Big Kill</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">大いなる殺人</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1951年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">6</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">Kiss Me, Deadly</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">燃える接吻を</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1952年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">7</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">The Girl Hunters</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">ガールハンター</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1962年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">8</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">The Snake</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">蛇</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1964年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">9</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">The Twisted Thing</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">ねじれた奴</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1966年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">10</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">The Body Lovers</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">女体愛好倶楽部</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1967年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">11</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">Survival... Zero!</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">皆殺しの時</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1970年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">12</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">The Killing Man</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;">殺す男</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1989年</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">13</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:35%; padding:5px;">Black Alley</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:40%; padding:5px;"></td>
<td style="border:solid 1px #000; width:18%; padding:5px;">1996年</td>
</tr>
</table><br /><br />
今回の『Black Alley』以外の12作のうち、2を除く11作は早川書房から。全部絶版だけど。2に関してはまあまず手に入らないぐらいのものだが、原書電子書籍版がお手軽に手に入るのでそちらで読むのがおススメです。<br />
シリーズは1952年の第6作『Kiss Me, Deadly』の後一旦中断し、10年後の1962年に『The Girl Hunters』で再開される。『The Girl Hunters』はある事件の調査過程で秘書ヴェルダが死亡し、以来何もかもやる気をなくし
7年間アル中のホームレスとなっていたマイクが、ヴェルダが生存しているとの情報を得て、その救出のために復帰するという形で始まる。かなり雑な分類だが、第6作までが第1期、第7作から11作『Survival... Zero!』
までが第2期、そして残る12、13作が第3期と考えられると思う。第3期については、本編あらすじなどの後に説明する。<br /><br />
ハマー以外のシリーズの主要キャラとしては、まず誰でも知ってる美人秘書のヴェルダ。ただの秘書ではなく、自らも私立探偵免許を持ち、もちろん銃も携帯し、あらゆる面でハマーをバックアップする。ハマーからは
延々結婚の約束も取り付けているのだが…?<br />
そしてハマーの軍隊時代からの親友、ニューヨーク市警のパット・チェンバース警部。基本的にはハマーを信頼し、様々な面で協力するが、ハマーの宿敵である地方検事との間にはしばしば挟まれ、苦しい立場になる。
これは法に則って警察が解決するからな!乱暴なことはするなよ!殺すなよ!と常にハマーには言い続けているが…?シリーズすべての作品に登場するが、中でちょっと異色作であるニューヨーク以外が主な舞台となる
第9作『The Twisted Thing』のみ出番少なめ。<br />
その他、2~3作に連続して登場するキャラもいるが、ハマー以外の主要なキャラクターはこの二人のみ。<br /><br />
マイク・ハマーシリーズの大きな特徴は、そのほとんどが依頼人がいるものではなく、独断での行動での捜査ということだ。それゆえ何物にも縛られることなく、自分の考え・判断で行動できる。事件の発端となるのは、
友人や知り合いが殺されたというものが多く、シリーズ作品の多くはある種の復讐物語という形になっている。<br />
依頼人なしで捜査してマイク・ハマーはどうやって生計を立ててるんですかー、などと言っていまだにリアルからのフィクションへの稚拙なツッコミで笑いが取れると思っているサブカル原人がまだ
生存しているかもしれないので念のために言っとくと、もちろん小説にはなっていない日常での依頼人のいる仕事で稼いでいるのだ。マイク・ハマーはニューヨークでもっとも有名な腕利きの探偵なのだよ。<br /><br />
マイク・ハマーの捜査方法はある意味独特だ。事態の最もヤバい部分に単身乗り込み、これはこのマイク・ハマー様が調べてる事件だぜ!と知らしめ、自分を餌にし、当然自分も命を狙われながら事態を動かして行く。
手掛かりを追っているうちにそうなって行くというケースというのが主なパターンだが、大体最終的にはこの形になり結末へ向かって行く。<br />
日本における主なマイク・ハマーの評価というのは、アメリカのモラル的な批判をそのまま転用した上に、見当違いのクイズ基準評価まで乗せた語る価値すらないようなものだが、その中にはマイク・ハマーシリーズの
欠点はハマーが手掛かりを偶然見つけることだ、などというようなものまである。まあ全作通して読んだが、本当にそんな「偶然」などというようなものがあったとは全く思わない。なんか犯人当てクイズの
探偵が超人的な観察力みたいなチート能力で都合よく見つけるものを、ハマーがたまたま目にして「偶然」見つけるぐらいのものだろう。そんなにマイク・ハマーを貶めたいんかね。<br /><br />
俺の怒りで俺が裁く!マイク・ハマーのテーマはシンプルだ。そしてこの「俺が裁く」イズムは、アメリカのエンターテインメントにその原型として大きく影響を及ぼして行く。ハリー・キャラハン、ポール・カージー、
そしてランボー。これらはすべてマイク・ハマーの末裔だ。<br />
マイク・ハマーのヒットにより、多くの模倣作品が生まれたと言われている。それについては後述するが、この「俺が裁く」イズムを引き継いだ作品として重要なのは1969年から開始される『The Executioner』死刑執行人
マック・ボランシリーズだ。このヒットによりアメリカにメンズアクションアドベンチャー小説ブームが広がり、現在のマーク・グリーニー グレイマンシリーズなどにもつながって行くのは動かしがたい事実である。なんかさあ、これを言うとそれはウェスタンやフロンティアスピリッツに由来するもので~とかもっともらしく言ってくる奴いそうじゃない?だがマイク・ハマーのそれは、社会や集団の意思や利益には関係なく、
俺の怒りで、俺の正義で俺が裁く、それが法に合わなくてもこの手で銃弾をぶち込むというもので、これをやって歴史に残るほどのベストセラーにしたのはマイク・ハマーが最初なのだ。反論するなら、TVとかの「社会学者」程度の曖昧なイメージではなく、ちゃんとした例証を持ってきてもらおうじゃないか。あーなんなら鳥獣戯画起源説でもいいよ。<br /><br />
以上、かなり長くなってしまったが、これがマイク・ハマーの概要ぐらいのものである。ハマーに関連してはまだ山ほど語らねばならんことがあるのだが、とりあえずは今回のスピレインによるマイク・ハマー最終作『Black Alley』について語った後に。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">【Black Alley】</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
マイク・ハマーは死の縁より戻ってくる。<br /><br />
ニューヨークのマフィアPontiファミリーの調査に携わっていたハマーは、そのボスLorenzo Ponti襲撃計画の情報を聞きつけ、港へ向かう。だが、その情報は既にボスには筒抜けになっていた。ボスが安全にその場を
離れる一方で、現場では銃撃戦が勃発。ボスの息子Aziがハマーの姿を見つけ、腹に二発の銃弾を撃ち込む。ハマーも常に手放さない45口径コルトオートマチックの銃弾でAziの頭を吹っ飛ばすが、その場で意識を失う。<br />
そしてそこへ、様々な事情から職を去り、アルコールに溺れていた元医師のRalph Morganが通りかかり、瀕死のハマーを発見する。ほぼ絶望的に見えたマイクの状態だが、もしかすると助けられるかもしれないと、
ほぼ気まぐれのように思ったMorganは、フロリダにある自宅にハマーを運び、治療を施し彼の命を救う。<br /><br />
冒頭、意識も朦朧とした状態で目覚めたハマーのモノローグから始まり、徐々に回復しながら状況を把握して行くという流れで、以上のような経緯が語られる。何とか意識もはっきりし、自分の今の状態を把握したところで、
本来なら大きな病院に移って治療をすべきだろうが、現在は医師免許を持っていないMorganが治療をしたことが明るみに出れば彼が罪に問われることになる。そんなわけでハマーはMorganの家にとどまり、彼の世話を受けながら
治療回復に専念することになる。<br /><br />
Morganが持ってきてくれた新聞によると、ハマーは港での銃撃戦の中で撃たれ、海に落ちて死亡したと報じられていた。しばらくは死んだことにして静養するしかないな、と思っていたところで、Morganの家の電話が鳴る。
そこから聞こえてきたのは、パット・チェンバースの声だ。<br />
よう、マイク。なんで居場所が分かったかって?警察をなめるなよ。<br /><br />
彼らの軍隊時代の情報部の上官であるMarcus Dooleyが撃たれた。それがパットからの連絡だった。<br />
犯人と目されているのは、ハマーが関わっていたPontiファミリーのUgo Ponti。そしてDooleyは近年Pontiファミリーで仕事をしていたらしい…。<br /><br />
まだ動ける状態ではない身体を引きずり、ハマーはニューヨークへ戻り、Dooleyが入院している病院へ向かう。<br />
もはや生きているのが不思議ぐらいの状態で、Dooleyはハマーと最後に話すために辛うじて命を繋いでいた。<br />
そしてDooleyはハマーにのみ伝えられる秘密を話し始める。<br /><br />
この時代、マフィアのドン共は心配している。世代交代を待ちきれない若い世代が、奴らの得意なコンピューターを使ってファミリーの財産を自分たちのものにしちまうことをだ。<br />
それで奴らは考えた。すべてコンピューターから届かない現物に換えて、奴らから見つからないところに隠しちまおう、ってことだ。<br />
俺は情報部時代からの腕を見込まれ、そのためにPontiファミリーに雇われ、表向きは地所の管理ってことで働いていた。そして俺は奴らの財産を隠した。<br />
だが、俺は奴らに対しても、ちょっとした仕掛けをした。<br />
あっちで少し、こっちで少しと位置をずらして行って、奴らは絶対に本当の隠し場所にはたどり着けない。<br />
こんな話は警察のパットには話せない。お前にだけだ。マイク、お前に任せたぜ。<br /><br />
そして、僅かな手掛かりを残して、Dooleyは息を引き取る。<br />
隠されたマフィアの財産は推定890億ドル!そして戦友Dooleyの仇Ugo Ponti!満身創痍のまま、マイク・ハマーは動き始める!<br /><br />
書かれたのが1996年で、なんだかんだ言っても24年、四半世紀近く前となってしまうし、1918年生まれのスピレインもその時点で78歳。技術進歩も目覚ましい部分でのそのくらいの「昔」はより古く見えるものだろう。
まあ、1996年の時点でも、ネットで金を奪われないよう全部現物化して隠すというのがジジイの発想、とか言って嗤いたいチープなオレ最先端気分野郎はテクノスリラ~とかでも読んでりゃいいんじゃない。<br />
要点は、この作品、というよりこの7年前『The Killing Man』でマイク・ハマーを19年ぶりに復活させたスピレインが、何を考えたかということだ。47年初登場のマイク・ハマーがその時何歳だ?今のマイク・ハマーを
どう書く?単純に考えて思いつくのは、この時代に年を取った老人マイク・ハマー、あるいは回想された全盛期のマイク・ハマー。だが、スピレインという男はそこがわかっていた。そんなものはせいぜい書評家や
野次馬の類いを納得させるぐらいのもんだ。マイク・ハマーを待っていたファンが見たいのは、そんなマイクじゃないだろう。そして登場したのが、年齢や正確な年代を曖昧にしたまま、「現在」のニューヨークを
我が物顔に闊歩する、昔ながらのマイク・ハマーというわけだ。<br />
しかしマイク・ハマーというのは誰もが知ってるオールドタイマーだ。コンピューターや、最新式の防弾服が登場する一方で、第二次大戦の戦友や、果ては禁酒法時代の話まで出てくる。いつの時代だなんて
小さいことに頭を悩ますような奴は、マイク・ハマーのニューヨークにはお呼びじゃないんだよ。<br /><br />
ここで改めてマイク・ハマーというのは何者だったのかと考えてみよう。マイク・ハマーが登場したのは1947年。196年に出版されたこの最終作は惜しくも一年足りなかったが、そこから約50年ということになる。
その登場から一貫して批評家からは貶められ、攻撃され続けながら、50年にわたって愛され、再び登場することを待たれ続けていたマイク・ハマーというのは、読者にとって何者だったのか?<br />
あくまで私見だが、ファンにとってマイク・ハマーというのは、例えばビートたけしや立川談志のような存在だったのではないか?こっちもいい加減オールドタイマーだしもうTVなんて見ないんで、古くて申し訳ない。
今ならそれなりにもっと適当な例えもあるのかもしれんけど。別に庶民の声を代弁して権力の腐敗に立ち向かってくれるなどというものではない。だが、世間がどうだからとか、道徳がどうだからとかいうことに
左右されず、思ったことをズバリと言ってくれる。期待に応えてくれるやつ。やってくれるやつ。巨悪と闘い民衆の不満鬱屈に応えてくれるなどというものではない。ハマーならやってくれる。それがマイク・ハマーが
50年間愛され続けてきた理由なのだと思う。<br />
今回のハマーは、序盤に死にかけ、回復も途上のままの復帰で何度も傷の痛みに倒れ、時には数日意識を失うぐらいの状態で、酒さえも控えている。だが、どんな状態でも彼は我々の知っているあのマイク・ハマーだ。
序盤、ニューヨークに戻ったばかりのハマーは、ヴェルダとレストランへ出かけるが、常に肌身離さなかった相棒.45口径を持って行く力もなく、気分的なお守り代わりにその弾倉だけをポケットに入れて行く。
そしてそのレストランで、仇であるマフィアが我が物顔で振舞っているのに出くわす。ハマーはそのテーブルに歩み寄り、ポケットから.45口径の銃弾を一発取り出し、テーブルの上に置く。俺はいつでもどこでもやってやるぜ。
そしてマフィア共は無言のまま店から立ち去る。これがマイク・ハマーだ。<br /><br />
ここで先に言及したこの作品と前作『The Killing Man』を第3期としたことについて説明する。日本でも翻訳された前作の解説には書かれていなかったが、この2作は米Playboy magazineに同タイトルの短編として掲載された後、
長編として出版されたもの。いずれも出版されているのが掲載されたのと同年であることから、単純に短編を長編として書き直したというより、長編の出版を前提としたある種の企画だったものと考えた方が良いだろう。
この2短編は後に2004年出版の『Byline: Mickey Spillane』という短編集に収録されているようなのだが、すでに絶版で今のところは電子書籍版も発行されていないようなので、比較して確かめることは難しくなっている。
想像されるのはマイク・ハマー待望の声に応えて企画され19年ぶりに復活したのが前作『The Killing Man』で、その7年後第2弾として同じ形で出版されたのが今回の『Black Alley』ということなのだろう。<br />
この『Black Alley』、最前から書いているようにハマーは大怪我からやっと回復しながらという状態で、その体の不調・困難について度々記述される。スピレインも78歳で、何か大きな病気などで死にかけたぐらいの経験を
したのかな、と想像されたりもするのだが、それ以前にこの作品のあらすじを読んでいる時点で、ハマーシリーズを読んできた読者の人ならある過去作とのある類似に気付かれたのではないか?それはこちらで第2期と書いた、
10年の中断の後ハマーを復活させた最初の作品『The Girl Hunters』。この作品はアル中のホームレスとなっていたハマーを、パット・チェンバースがある事件の関係者でマイク・ハマーにしか話さないと言ってる瀕死の
男と会わせるために引っ張り出し、そこでヴェルダが生きているという情報を得て、なかなか元の力を充分に出せないリハビリ状態で復活して行くというストーリーだ。<br />
前作『The Killing Man』は結構古くからのファンのためのサービスのようなつもりでスピレインは書いたのかもしれない。そしてその反響に、ここはマイク・ハマーをもう一度復活させてやろうと、以前の復活劇を
なぞって書かれたのがこの作品ではないか、これこそがマイク・ハマー第3期のスタート作品であったのではないか、というのが私の考えだ。<br />
タイトルの『Black Alley』とは、死に瀕したハマーが見た完全な「死」へと続く忘却と絶望の黒い路地。日本風に言えば、賽の河原か三途の川か。そこから戻ったハマーの新たな冒険がここから語られ始められる
はずだったのではないか。<br />
ミッキー・スピレインはその10年後、すい臓がんでこの世を去る。だが『Black Alley』の後ハマーシリーズの次作を用意しており、未完に終わったその作品はその後マックス・アラン・コリンズにより『The Goliath Bone』として
完成させられ出版されている。もちろんスピレインの真意はわからないし、こんなのただの私のこじつけかもしれないが、少なくとも「迷宮」と「鏡」なんて大して意味もないもんよりは、夢もあって気も効いてると思わない?<br /><br />
こちらのスピレインによるマイク・ハマーシリーズ最終作『Black Alley』は、もちろんこの作品でシリーズを初めて読んだ読者にこれでマイク・ハマーの全てがわかるというような作品ではない。だが、シリーズを読んできた
ハマーを愛する人には、スピレインよ最後にもう一度あんたのマイク・ハマーに会わせてくれてありがとう、と心から言える作品である。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">だが、マイク・ハマーはまだ終わらない!</h3>
<a href="https://amzn.to/4aQkoft" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81w3fLmwDGL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
前述の通り、スピレインの未完のハマーシリーズ作品は、スピレインの弟子、または一の子分を自認するマックス・アラン・コリンズにより完成され、その後もコリンズによりスピレインのアイディアぐらいかもしれないのを
元にしたのや、コリンズオリジナルの作品により継続されている。現在までに12作に及び、もしかしたらスピレイン先生のオリジナルより多くなったらあの世で怒られるかもしれないと思ってここで止めてるのかもしれない。
コリンズによるシリーズ作品は、これはオリジナルのあれの後の話とか、すべてオリジナルシリーズをクロニクル的に補完しているのかもしれない形で書かれているようだ。ちょっとここからまだ長くなるので、ここで詳しくは
説明できないが、こちらも読み続けて行くので、いずれまたもう少し詳しく書けると思う。しかしコリンズも日本的には今ひとつちゃんと紹介されていない作家なので、その前に『Quarry』とかやっときたいんだが。いや、
ネイト・ヘラーも悪くないけどさ、やっぱコリンズはQuarryからだろ。
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">■マイク・ハマーとは何者なのか? Part2</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
えーと、まず申し訳ありませんでしたと反省告白してしまうのだが、私マイク・ハマーを読み違えていた…。ことは結構遡ってしまっていつ書いたんだったか自分でも忘れてしまったのだが、以前マイク・ハマーシリーズを
再読していることを書き、その中でまあもう翻訳が手に入る見込みはない第2作『My Gun Is Quick』を初めて原書で読んだが、これ初期の中では傑作というようなことをお知らせした時のこと。<br />
これがやっぱり初期の中でもなかなか優れた作品で手に入らないから読んでいない人も多かろうというのはもったいない、というのは変わらないんだが、問題はそこで評論家みたいなことを言うのはなんだが、
と言い訳しつつ、シリーズ初期の作品は荒いというようなことを書いてしまったこと。やっぱ評論家なんて奴らの言うことは基本クソだから、ちょっとでもそう思ったら書くべきではなかったな。<br />
で、どこどう読み違えていたかというと、私はマイク・ハマーをある種のプロトタイプとして読もうとしていたのだ。まあその辺についてはこれから書いて行くところで少し長くなるのだが先に少し話すと、私は日本で
流通しているハードボイルドの歴史的なものに常々あちこちに疑問を持っていて、その辺を考えるためにというような考えもあって「歴史に是認されていない正統、またはプロトタイプ」としてマイク・ハマーを
再読してみようと思ったところもあるのだよね。いや、もちろん抜けてるやつや未読のを読んでコンプリートしたいというオタクコレクター的側面も大きいけど。<br />
で、読んでるうちに気付いてきたのは、実はマイク・ハマーのような探偵はいないのではないか、自分はなんとなく浮かんでいた架空の「プロトタイプ」の枠に当てはめてマイク・ハマーを読んでいたのではないかということだ。
マイク・ハマーの大ヒットにより、それを真似た作品が数多く出版されたという話は知っているし、早川のポケミスあたりに僅かに残っていたそれに属する作品はいくつか読んだ。だが、それも含めて私が
今日まで読んできたハードボイルド作品で、本質的にマイク・ハマーのような探偵が登場する作品はひとつもない。<br />
ではここで、マイク・ハマーのヒットの後、続いて出版された模倣・追随作品に何故マイク・ハマーのような作品がないのか、またどこが違っているのかについて考察してみる。<br />
まず考えられるのは、1).マイク・ハマーを模倣したそれに近い作品はあったが、現在はすべて失われている。ここで思い浮かぶのは日本の大藪春彦の事例である。大藪春彦も模倣・追随作品が非常に多い作家だが、
ほとんどの作品(個人的に知る限りは全てだが、読んでないのもあるかもしれんので)は、とても大藪を継承するなどとは言えない劣悪作品で、世に出回っている期間も短い。まあ私が一括してゲス本と呼んでるやつやね。
これと同じような経緯で、暴力・エロスにだけ満ちた模倣作は多く出されたが、劣悪過ぎて現在我々が目にできるような形で残っていないという可能性。<br />
そういえば昔、アメリカで表紙にハードボイルドなどと謳ってるのは大抵エロ小説だというような話も聞いたことがあるが、そういうのがゲス本なのかもね。ただまあ、そんなのおしり探偵を卒業したばっかのお子様でなけりゃ引っ掛からないようなもんじゃない?日本だって表紙にでかでかと「ナゾトキ」って書いてあるクイズ本と「本格ミステリ」ってやつをそれほど悩まずに見分けて買ってるんでしょ?内容大して変わんないか?<br />
そして2).マイク・ハマーが模倣・再現が不可能な作品であった。まあ結局大藪のケースと同様で、この事情により1).のような作品が存在したとしても到底オリジナルに及ぶこともできないまま失われているということになるのだけど。では、その他の現在残る…まあその辺も
全部絶版なのだけど、ミステリ評論家共に「通俗」ハードボイルドのレッテルを張られたハマーに追随したとされる作品は、どこが違うのか?この「通俗」については後ほど別に書くが、その他にこの辺の作品群は「軽」ハードボイルド
とも呼ばれている。まあ全部じゃないのかもしれんけど、これは「軽」じゃなくて「通俗」!なんてクソ分類があったとしてもそんなもん果てしなくどーでもいい。自分が読めたその辺の作品については大体「軽」という印象があった。
だがな、マイク・ハマーは「軽」じゃないだろ。すべてのハードボイルドを見たって、マイク・ハマーという探偵は様々な意味でヘビー級、重量級で、「重」ハードボイルドだろう。<br />
それではなぜマイク・ハマーを目指して書かれたはずのものが「軽」になったのか?それは彼らの多くがそれ以前からパルプ誌などを中心に曖昧な意味での謎解きミステリー、犯人当てクイズ小説を書いていた者だったから
ではないかと思う。まだほんの微々たるものだがWildside PressのMEGAPACKとかで昔のパルプ作品を読んでみると、日本で思い込んでいたのとは全然違い、ハードボイルド、クライム、謎解きミステリーなどを書く作家の境界は
曖昧だ。日本で調べてみると「本格ミステリー」指定されている作家があまり謎解きのないクライム作品を書いていることなどざらにある。この辺の事情について日本では、本当はちゃんとした本格ミステリーを書きたいのだが
金銭的に恵まれず、そういう雑誌にも金のためだけに嫌々書いた作品を売っていた。気の毒に。とかゆーてたんだろうね。アホらし。まあそういうミステリ全般ぐらいで幅広く、出すとこごとにそこに合わせてテイストを
変えてたような器用な作家が、その今売れてるジャンルに手を出したのが「軽」ハードボイルドだったのではないか。マイク・ハマー風の挑発的な軽口を叩き、ちょいと荒っぽく、お色気もマシマシで加えてみたけど、
根本的な資質で追いつかずハマーの「重さ」を表現できなかったような作品が「軽」ハードボイルドだったのではないかと思う。<br />
ではそのマイク・ハマーの再現不可能な「重さ」とは何なのか?それはハマーに内在する怒り・感情的な暴力というようなものではないかと私は考える。もっとわかりやすくこれと同様の形で、現時点でもそしておそらく将来的にも、
その暴力性により再現不可能な作家を我々は知っているだろう。それはジェイムズ・エルロイ。エルロイを模倣しようと試みた作家・作品はいくつか知られているだろう。しかし、そのいずれも、エルロイの自己破壊にまで至る
強烈な暴力性には追い付かず、自身のナイーヴさというようなものを露呈するに終わっている。まあそれはそれで読む価値がないわけじゃないけどね。ただまあもっと基本的に言えば、どんな作家作品だろうと、本質的には
模倣でそれに準ずるクオリティのものを作ること自体不可能なのではないか。多分美術品のような「贋作」という考えに立てばそれは別ものかもしれないけど。要は模倣される価値のある作品のみがその事実を露呈するという
ことかもしれんけど。ちなみに模倣作品がゲス本だらけになる大藪春彦作品については、またスピレイン-エルロイとは別の考えがあるのだけど、まだ書くこと多いしそれはまた別の機会があったらということで。<br />
断っておくが、これはエルロイがスピレインから直接影響を受けたというように二者を単純に線で結ぶというような意図の話ではない。またそれぞれに内在する暴力性というのも別種のものだと思う。
そして、しつこく「内在する」という表現を使っているように、これは表面に見られる暴力描写というものについて言っているわけではない。ずいぶんと激しい暴力描写も数多く見られるように思われるエルロイだが、
例えばスプラッタパンク・エクストリームホラージャンルなら更に過激な描写はいくらでも見られる。しかしエルロイ独特のシンプルな文体であっさり書かれた暴力描写の下には、そういった作品をさらに上回る
暗くドロドロと煮えたぎった暴力の発生源が常に垣間見える。<br />
マイク・ハマーはいきなり襲われて、力の加減ができずうっかり相手を殴り殺して、クソッこれじゃ何も情報が聞き出せねえ、ぐらいのことが確か2回ぐらいあったような危険人物であるが、やたらと力を誇示するような
安手のマッチョではない。やる時はいつでもやる一触即発の滲み出るような暴力で悪党を威圧する。特に初期作品ではただちに暴力へと移行するようなハマーの怒りがむき出しになっており、何かプロトタイプというような
考え方や、また再読ゆえ知っているシリーズの先のそれらを冷笑や挑発的な軽口の裏にひそめるようになった(「成熟」?「安定」?)イメージも加わって、初期作品のそれを「荒さ」と安直に誤認してしまったのだろうと思う。
大いに反省しております。実はそれこそがマイク・ハマーの本質というようなものかもしれず、ゆえにその温度を持たずにマイク・ハマー的な類似作品を作るのは不可能だったのではないか、というのが私の考えなのだ。<br /><br />
そしてお馴染み「本格通俗」について。日本のハードボイルド言説の負の遺産ともいうべきこれがいつ作られたのかなどの正確な時系列は知らんのだが、まあこれはどう見たってマイク・ハマーと続く作品が
発生要因なのは間違いないだろう。第二次大戦をはさんで戦後という特殊な状況ゆえ、ハメット、チャンドラーからあまりタイムラグもなく、マイク・ハマーが入ってくる状況で、一部の編集者であったり評論家、あるいは
作家もいたのかもしれない、自分たちが考える「正しい」ハードボイルドを区別するためにでっち上げたのがこの「本格通俗」という奴なのだろう。<br />
そもそも「通俗」などと称されるものがなければ、「本格」などという概念自体が無用だ。これは明らかに「正しいハードボイルド」というものを考える輩によりそれを隔離保護するためにでっち上げられたものだ。
まあその「通俗」についてはこれから色々と見て行こうと思っているところだが、何より問題なのはこの「本格」という奴。これが後々、現在に至っても日本のハードボイルドの考えを混乱させている最悪の元凶である。
この「本格」の中身となったのが、当時米か英の誰とかいうミステリ評論家が提唱したハメット-チャンドラー-マクドナルドスクールというやつ。だがな、よく考えてみれば推測できるんだが、これって多分
ロス・マクドナルドが評価され始めてきたころに出たこういう形でロスマク持ち上げるための評論やろ。まあひいき目に判断して、これからはこれを軸にしてハードボイルドを考えて行こうという提唱だったかも
しれないものだが、日本の「本格」などというのはそもそも隔離保護を目的としたものだから、この3作家を「本格」というところに殿堂入りさせたような形で終わる。さてこの「本格」をどうするかと考えた
でっち上げ犯連中は、これを共通する「ハードボイルド精神」というもので解釈しようと試みる。このハードボイルド=精神論という考えがその後の日本のハードボイルドに関する考えを停滞混乱させ続ける最悪要因と
になる。ハメット、チャンドラー、マクドナルドは、それぞれに明確なスタイルを持った作家であり、そのスタイルによりハードボイルド史の中に位置付け、変遷を見て行くことには意味がある。だがこれに共通するような
精神論でハードボイルドを定義づける?で、なんちゃらスクールと並べてはみたけど、連中の考えていたのは主にチャンドラーだったわけで、この「ハードボイルド精神」というのを見出すために、チャンドラーの著作の中から
それらしいセリフを抜き書きし、マーロウのこのセリフがハードボイルド精神を表してるとか、3つ並べちゃったからとハメットやマクドナルドからもそんなセリフを見つけてきて抜き書きみたいなしょーもない
ハードボイルド精神定義研究を続ける。結局中身もないくせに意味ありげな基準面した「本格ハードボイルド」という概念だけが居座り、しかもそこに新たな作家や作品が加えられることも一切ないという停滞混乱状態に
ハードボイルドは投げ出されることになる。あー、これに入ってないのは全部通俗なんやね。そしてわかったようなわかんないようなオッサン格言のような「ハードボイルド精神」もなんか宙ぶらりん状態で放り出されて
いるうちに、なーんか精神論で書いてるようなロバート・B・パーカーが登場し、ハードボイルドってかっこよさげ~と思ってた連中が、これぞ男の生き様ハードボイルド!と持ち上げ、精神論で説明しやす気で、しかも
当時流行りの父と子の物語もおまけに付けちゃうで、『初秋』が現代ハードボイルドを代表する名作ってことになっちまったわけね。<br />
そして付け加えると、この日本の「本格ハードボイルド」がもたらした弊害として挙げられるのが、前から言ってる極端なロス・マクドナルド偏重である。なんかさあ、よくわかんないんだけど日本のミステリってとこ
やたらロスマクが好き。結局どこぞのこじつけ屋が言ってるらしいハードボイルドにして「本格ミステリ」みたいのに尽きるのかもしれないけど。日本のミステリでハードボイルドに分類されてるのでも、ロスマクに
深く影響を受けたと言ってるのもあるし、果てはもうそれこそごく最近に至るまで「ハードボイルドはロス・マクドナルドだけ読めばよい」みたいな妄言を吐いて団塊スタイルでふんぞり返るような見当違いが
横行したり。まだいるのかねえ、迷惑ミステリご意見番気取り。団塊スタイルじゃ聞きかじりの受け売りも「引用」に分類されっからね。えーとめんどくさいから簡単にはっきり言うけど、ロスマクだけ読んでも
ハードボイルドなんて全然わかりませんから。わかるのロスマクのことだけです。あたりまえだろ。この馬鹿げたロスマク偏重は結果として近年日本でのロスマク評価を下げ始めています。まあ後期のリュウ・アーチャーなんて
ただの傍観者とかツッコミどころ満載だもんね。ただまあロス・マクドナルドというのは読む価値のある作家ですので、いくら気持ち悪い感じに見当違いの持ち上げ方されてても「ハードボイルドでロス・マクドナルド
だけは読まなくてよい」なんてことにはならないようにね。まあすでにこれもほぼ絶版か。<br />
評論家研究者レベルが、その思い上がりによりジャンルに基準を設けコントロールしようと試みるようなことは、必ずジャンルに深刻な被害をもたらす。性懲りもなくこれをやったのが、近年のノワール原理主義者
によるノワール統制である。その思い込みによる定義により、まともに新しいノワール作品が入ってきにくくなったばかりでなく、国内的にはノワールがバイオレンス要素が高めなサイコサスペンスぐらいの理解を
されているという事態に陥っている。もしまたこんなことをしようとする不届き者が我々のハードボイルド/ノワール村に現れたら、徹底的に袋叩きにしてぶっ潰すのじゃ!<br />
このように今も日本のハードボイルド観に大きな害をなし続けている「本格通俗」だが、先に述べたようにこれの発端となったのは、マイク・ハマーの登場である。とまとめたかったところなのだが、なーんかよく
考えてみると、ハマーがなかったとしてもこういう連中のやることなんてやっぱこの程度で、結局延々とチャンドラーを精神論で読み解くというようなところで行き止まっていたのかもしれんけどね。<br /><br />
こんなところが私の考えるマイク・ハマーとは何者か?というところです。マイク・ハマーというのはハードボイルド史においてその登場以前・以後を作ったような重要な存在であり、その後ハードボイルド内に
留まらない大きな影響を広く及ぼしたターニングポイントというべき存在です。そして欠損・欠陥だらけの日本に流通しているハードボイルド史の再考のために、マイク・ハマーを中心とした視点はひとつの
重要なポイントになると考えます。<br />
というわけで、最後に今後考えて行きたいハードボイルド史の疑問点について少し書いて行こうと思います。
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">■ハードボイルド史についての疑問点</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
まず、こっちで言ってるハードボイルドだが、アメリカにおけるその語源や意味、文体などについての考えは、こちらでは一切無視する。こちらの目的は、ハメット、チャンドラーを起源とする小説ジャンルの
進化発展の流れを追って行くというものだ。語源意味文体などの見地で言えばもう終わったものだが、小説ジャンルとしては連綿と続いているものだからである。<br />
今回参考になるかと考え、英語圏のウィキペディアでHard Boiledを検索してみたが、ほとんど何も書いていないも同然の状態だった。まあ推測される理由としては、先に書いたように語源意味文体に関する考えでは既に終わっている一方で、小説ジャンルとして幅広く考えると膨大になりすぎるので手を付ける人がいないのだろう。<br />
例えば、ハードボイルドはその語源や文体から徐々に乖離して行ったため、ある時期からPI小説と呼ばれるようになったという説もあり、自分もそれでいいかと思っていた時期もあったが、進化発展を続けてきた
現在の状況はまた逆にPI小説という考えでは括りにくくなっている。これらは全体的にはミステリという大枠で、個々に考えればいいかというのが海外の状況かもしれないが、日本のミステリの状況は
特殊であり、ハードボイルドというカテゴリ分けは必要なものであるというのが、私の考えである。ちなみに念のために言っておくと、ハードボイルドは意味文体的には終わっているものでも、アメリカで
死語になっているわけでもなく小説ジャンル的な説明宣伝文などにも普通に使われているものなんで。<br />
ちょっとこの辺であらかじめ断っておいた方がいいかと思うのだが、Hard Boiledの英語圏のウィキについて書いたが、もちろん日本語でも同項目はあり、むしろ英語圏のものよりも詳しく書かれている。
国内のものについては基本的には意見を言うつもりもないので無関係だが、海外の物については、これから書くことがその内容を攻撃しているように見えてしまうかもしれないが、全くその意図はない。
これはそちらに書かれている内容が、私もよく知る一般論であり、こちらはその一般論に対してに異議を唱えるということを行っている結果であり、直接その文章内容を攻撃する意図などは全くない。
自分も誰彼構わず噛みつくかなり頭のおかしい危険人物であることは自覚しているが、どこのどなたかは知らんが、善意により無償で自身の時間労力を使って作成したものを無闇矢鱈に攻撃するほどの
狂人ではないので。私はそういうのではないところを無闇矢鱈に攻撃するタイプの狂人ですから。<br />
で、何故日本にはハードボイルドというジャンルカテゴリ分けが必要かということ。例えば日本で特にミステリファンではないぐらいの人が何を求めてミステリを読むか?必ず事件が解決されることにより物語が
終わり、世界が復旧してめでたしめでたしになること。そしてちょっとしたナゾトキパズル気分を楽しめること。まあ日本に限らず、世界中でもこんなもんやろ。しかし日本ではそれらのニーズに応えるお手軽
犯人当てクイズ小説の上に、「本格ミステリ」という犯人当てクイズがクイズの難易度かなんかでその頂点に立っているという幻想を抱いている。そして更に誇大妄想を拡げて、そもそもそんな概念すら存在しない
日本以外の全ての世界のミステリの頂点に「本格ミステリ」が君臨してると思い込んでる。そしてそんなミステリ観を支えるミステリ評論家やら読書のプロやらが選んだランキングにから見る海外ミステリの
2000年代ぐらいからの歴史は -まずは大ジェフリー・ディーバー時代が長く続き、少々の北欧ミステリブームを挟み、この数年はアンソニー・ホロヴィッツ一強時代!世界最高峰のミステリ!ホロヴィッツ以外に
評価すべき作品が見当たらない!更にはお隣中国台湾からも華文が参戦!世界は本格ミステリ一色に塗りつぶされようとしている!- ってとこだろ。<br />
こんな国で自分の好きな本を求めるにはジャンルを主張するしかないだろ。そして、ハードボイルドというジャンルはここまでに書いてきたように、この国に入って来た初期の段階から歪みが入れられ、多くの作品が
読まれる以前に低い位置に置かれるような不当な扱いを受け、更に言えば、その後に起こった日本独自指定のネオ・ハードボイルドってやつの後には、これでハードボイルドは終わってPI小説になったということにされて、
そこに評論家やらの無能怠慢が加わり、80年代以降も数えきれないほどの優れた作品が翻訳されているにも関わらず、現在に至るまでまともに整理すらされていない状態が続いているのだ。<br />
これらの理由により、日本にはなんとしてもハードボイルドというジャンルが必要だし、そのかなりその時の都合でゆがめて伝えられてきた歴史の見直しが必要であるというのが私の主張である!<br /><br />
追加でちょっと書くぐらいの気持ちだったのだが、既に前置きで結構な量になっちまってるな。で、ここからが日本で流通しているハードボイルド史への疑問点である。と言っても長年不満に思っていた「本格通俗」は
すでにブッ叩いたので、あとはネオ・ハードボイルドぐらいか?このネオ・ハードボイルド、小鷹信光氏による命名で、日本独自のまあある種企画的な感じのものかぐらいの認識だった。なんかもうその存在自体が当たり前
ぐらいになっていて、日本独自で言ってることだけど、実際にそういう作品あるんだしまあそういう動きもあったんだろうなと考えていた。<br />
ネオ・ハードボイルドについて、割と最近ぐらいに疑問が発生する原因となったのは、こちらではなかなかちゃんと書けないままちょこまかおススメしているラルフ・デニスのハードマンシリーズ。まあはっきり
言わせてもらって、これネオ・ハードボイルドって言われてるやつあたりとくらべても圧倒的に面白いんだが、ほぼ同時期に翻訳出てたにもかかわらずこちらは現在ではほとんど忘れられているぐらい。
まあ評論家なんてもんにはなんも期待してないけどさ、さすがにこれほどになると、このネオ・ハードボイルドってやつもホントかよって気になってきちまう。<br />
ネオ・ハードボイルドに関する疑問点は、整理すると次の2点。1).ネオ・ハードボイルドはいかにして発生したか?そして2).ネオ・ハードボイルドはどの程度の影響力があったのか?である。<br />
まず1).ネオ・ハードボイルドと言われているものの発生だが、この大きな要因となったのは日本ではあまりにも評価が低すぎ、下手をすればその歴史について書いても言及すらない1964年から始まる
ジョン・D・マクドナルドのトラヴィス・マッギーシリーズと見て間違いないだろう。私立探偵免許も持たない盗品回収を生業とするフロリダでボートに暮らす自由人。設定もそれまでのハードボイルドとは
全く違うもので、会話やらモノローグの中で結構な分量で社会や文化に関する批評的意見が語られるこのシリーズが、作品内容的にも、従来のものとは違うタイプの作品が発表しやすい市場を作るという意味でも、
これら「ネオ・ハードボイルド」と呼ばれる作品の登場の元となったものである。<br />
日本においてハードボイルド史的なものが語られる時は、いつも「本格通俗」の後はネオ・ハードボイルドってことになっていて唐突感があったのだが、最近やっとトラヴィス・マッギーをちゃんと読むようになり
やっぱこれなんだろうな、と確信した。なんか下手すると日本ではネオ・ハードボイルドというのは、日本のパロディのつもりでハートボイルドやらソフトボイルドと言って便乗商売やるような奴と同レベルの
軽い「反」ハードボイルド気分のスタンスでやったものぐらいに思ってる奴いるんじゃないのか?それ違うぞ。ネオ・ハードボイルドと呼ばれる一群の作品は、トラヴィス・マッギーのヒットにより、従来と違う
作品の市場が拡大され機会を得た作家が、新たなハードボイルドを目指して模索したものである。<br />
そしてここでさらに疑問は広がる。トラヴィス・マッギーはその内容・影響力から見てこの時代の里程標と見るべき作品だが、他には何もなかったのか?例えばレイモンド・チャンドラーって別に死後になって評価された
作家ではなく、その時代に高く評価されていた作家だ。となれば当然同時代にチャンドラーのように自分の作品を書きたいと思った作家はいたのではないか?つまり、ネオ・ハードボイルドに至る道は、細くてももっと
緩やかに続いていたのではないか?<br />
前述の通り、ネオ・ハードボイルドの命名者は小鷹信光氏である。今となってみると、このネオ・ハードボイルドというのは後のちゃんとハードボイルドを見ようともしない評論家によって悪用されているぐらいに見えないでも
ないのだが、当時小鷹氏はハードボイルドを広めるきっかけになればと思っていたところも大きいのだろう。その後、80年代ぐらいになってからは新しい作品の紹介といった方向にはあまり関わらなかった小鷹氏だが、
上の疑問に答えてくれるような形で、アメリカン・ハードボイルド全10巻を編集している。これを足掛かりに、ウェイド・ミラー、トマス・B・デューイなどからそっちの探索を拡げて行けばもう少し大きな流れが見えて
くるのかもしれない。しかしジョン・エヴァンズとか原書電子書籍化されてなくて絶版なんだよなあ。いやオレ翻訳出たの早川のも含めて全部持ってるけど~。じまん~。どこのスネちゃまだよ!<br />
今回マイク・ハマーの方の関連で、映画からの印象もありアーネスト・タイディマン/ジョン・シャフトとかハマーに近いかもと思い、もう内容も忘れてたんで引っ張り出して翻訳2冊出てるうち唯一手に入った第4作
『シャフト旋風』を読んでみたんだが、ハマーの方はやっぱ違うかなと思ったのだけど、こっち関連では意外な発見があった。この時代に属する1970年から開始され、映画化され大ヒットしたシリーズなのだが、
読んでみると一人称のスタイルではなく、敵方ギャングメンバーの描写にも多くページが割かれるクライムノヴェルの形式に近いものだった。同1970年には、とにかく日本以外でこのジャンルのオールタイム必読書リストを
作成すれば必ず入るぐらいの名作ジョージ・V・ヒギンズの『エディ・コイルの友人たち』も出ている。やはりこのネオ・ハードボイルドに至る道を見る過程では50~60年代の犯罪小説に属する作品も、一つそういった視点も
加えて読んでいかなければと思った。例えば個々の作品に私立探偵小説、犯罪小説、ノワールなどのジャンル分けをしてレッテルを張って行くのは、読む側としてもわかりやすくて便利だろう。だが、現実の話として、それらはこのように交互に影響を与えているのだから、ハードボイルドは私立探偵が登場する作品のみというような形でそれぞれのジャンルを語ろうとすること自体に無理があるだろう。また、ウィンズロウやエルロイ、グレッグ・ルッカといった作家は、ハードボイルドから出発し、その後それぞれに独自の別ジャンルというような作品を創り上げて行くことになるのだが、やはりこれらの作家を総合的に語って行くうえでも、軸としてハードボイルドという考えが一番わかりやすく合理的だと思う。<br />
そして2).ネオ・ハードボイルドはどの程度影響力があったのか。実際のところ、先から言っているようにこれは日本独自の企画物的分類だし、この辺の作家や動きから影響を受けたなんて話は聞かない。トラヴィス・
マッギーに関しては、最近の作家でもインタビューでハメットかチャンドラーか?(定番の質問。もちろんロスマク入ってない。)と聞かれて、俺はマッギーだと応えるようなのもあるんだけど。日本じゃこの中で
ホントにマイクル・Z・リューインが大好きで、リューインこそがネオ・ハードボイルド以降のハードボイルドの見本!ネオ・ハードボイルドはリューインだけ読めばよし!ぐらいのこと言ってるバカいそうだけど、
なんかチェックしに行く気も起きん。もう日本のそういうバカに腹立てたりすんのもウンザリだ。リューインは自分も好きな作家だけど、あんまり他のハードボイルドの流れとは関係なく個性派独立独歩の人やからね。<br />
ネオ・ハードボイルドの影響については、同時代に他にどんな作家作品があったかというところで考えるべきなのだけど、残念ながら現在その辺の作品については絶版のままで、電子書籍などの復刊もあまりなく、
そういった方向から調べるのは現状難しい状況。アーサー・ライアンズとかもっと読みたかったのだけど今は入手困難みたい。あっでもジェイコブ・アッシュなんか昔古本屋でたまたま見つけて買っといたペーパーバック
一冊だけ持ってる!またスネちゃまモード?<br />
そしてネオ・ハードボイルド以後と言えば、79年にグリーンリーフ/ジョン・タナー、80年にエスルマン/エイモス・ウォーカーが登場し、81年にはジェイムズ・エルロイ降臨!また80年代には大エルモア・レナードが
評価され始め、もはや現在のこのジャンルの小説ではすべて原材料にレナードがあらかじめ含まれてるぐらいの多大な影響を与えて行く。こうしてみると、やはりネオ・ハードボイルドというのは一時期のちょっとした
ブームぐらいではあったかもしれないけど、その後に影響を与えるほどのものではなかったと思う。なんか深く内面が描かれるようになったとかこじつける奴いそうだけど、「通俗」とかと比較しても意味ないし。
そのために遡ってもっと大きな流れとしてみたいと言ってるんじゃない。あと、マット・スカダーはたまたま近く歩いてて入れられちゃった人で、ネオ・ハードボイルドじゃないから。スカダーは明らかにその先の
80年代ハードボイルドとして評価されるべきシリーズである。<br />
そして、これはもう疑問点ではなく文句なのだが、ネオ・ハードボイルド以降はPI小説となったという形で、80年代以降の作品群について一切まとめられていないのはこれ以降の出版業界寄生虫共の犯罪行為に等しい
怠慢である。重ねて言うが、これは日本のハードボイルドウィキへの批判でなく、一般論としてそうなっているのである。チラッと80年代からのさわり書いただけで、80年代以降のハードボイルドがどれだけ激動激震の時代になって行ったか一目瞭然だろう。<br />
80~90年代辺りは日本では翻訳バブルで、結構多くの作品が翻訳されている。ちょっとこのブログとしてはイレギュラーだけど、翻訳作品並べてその辺まとめてみるといいかなと思ってる。出来たらだけど…。<br /><br />
なんか大仰に歴史とか言ってるけど、まあ私自身で「ハードボイルド史」みたいな著作を著そうとかまでは思っていません。まあテーマや関連作品に沿ったちょっとした地図みたいなもんが作れればいいかと。
なんかね、しまりんやなでしこちゃんがきれいな景色見て、おいしいもの食べて、温泉でのんびりできるみたいな。そんでイヌ子のデマとか交えてね。<br />
例えば、最近注目しているのはやっと#0、#1読んで未訳お勧め一覧に追加したブレイクのThe Wolfe Familyシリーズなんだけど、メキシコの麻薬カルテル方面の話って、ウィンズロウのカルテル三部作につながるし、
その辺のカルテル関連というのはちょっとブームのようでいくつか関連作品もあるし。またメキシコ国境という方では、ジョニー・ショーなんかも関連するし、前から注目して早く読もうと思ってるのにJ. Todd Scott
っていうのもあるし、でScottちょっと調べていたらCraig Johnsonって名前も出てきて、これはハードボイルドとはちょっと違うのかもしれないけど、ネットフリックスでやってるWalt Longmireシリーズの原作で、
翻訳出てそうだと思ったけど未紹介だったり。The Wolfe Familyに戻れば、やはりウィンズロウと同じくクロニクル的に犯罪小説を作るという手法で、これは更に遡るとエルロイがL. A.で始めたやつで、さらに関連では
ローレン・D・エスルマンのやっぱり未訳なデトロイト犯罪史シリーズも読みたいし、と地図なんて直近のものからだっていくらでも広がり、しまりんも原付であちこちに行けるようになるわけですよね。<br /><br />
で、マイク・ハマー。結局マイク・ハマー。マイク・ハマーは本当に偉大だ。ハマーのことを書こうとしたら、ハードボイルド全体のことを考えることになってしまった。マイク・ハマーはハードボイルド史の
最重要地点の一つだ。誰もが知っているが、決して本当の意味では近づくことのできない頂点である。別にマイク・ハマーを読めなどと誰にも薦めるつもりはない。だが、君がハマーを読むべき人間だったら、
いつの日か必ずハマーを手に取ることになるだろう。<br />
なんかね、ここから続くコリンズによるハマーについて不安になるようなことばっか書いた感じするけど、私はマックス・アラン・コリンズという作家も信頼している。コリンズなら見当違いの「俺のハマー」ではなく、
正しい「ハマーの贋作」を目指してくれると思う。コリンズという作家だからこそできることだ。では、またコリンズによるマイク・ハマー第14巻でお会いしましょう。
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">■新刊情報、その他</h3>
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やったぞ!奴が帰って来た!冗談ハーパーの新刊だ!あ、ごめん。どうしても一回言ってみたくて…。日本では『拳銃使いの娘』という果てしなくぱっとしないタイトルで翻訳された『She Rides Shotgun』の
ジョーダン・ハーパーの新刊が2冊も発表されました!アメリカとイギリスからってことで、またタイトル違いで出るのかと思っていたら、別の本だそうです。『The Last King of California』がもうすぐ、
今月9月29日、『Everybody Knows』が来年1月10日です。その後出ないけどどうなってるのかなあと思っていたけど、やっぱコロナ関連の事情で遅れて、ここに来ての2冊発表だったのかね。<br /><br />
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そして、私のイチ推し!現代ノワール最強作家にして無冠の帝王Anthony Neil Smith先生の、待望の『Slow Bear』の続編!『Slower Bear』が先月8月18日英Fahrenheit Thirteenより発売されました!これで完結しているのかは
不明ですが、今度こそちゃんと書きます。<br />
Smith先生と言えば、つい最近Down&Out脱退後、自費出版で販売されていたBilly Lafitteシリーズ2冊がAmazonより消えており、また何かブチ切れたのか?とTwitterなどを即座に確認しに行ったところ、特に何か
怒っている様子も無し。アカウントも無くなってないし。これはどこかで販売が決まったのかな、と思っていたところ、つい先日、新しい出版社Bronzeville Booksへの顔見せとコンベンションに参加するためにL. A.に
来てるぞ、とのお知らせが。更にそこから新刊『Trooper Down!』も出版されることが伝えられました。Billy Lafitteがそこから販売されることになるのかはまだ不明ですが、販売が再開された暁にはこちらの方も
速やかに修正する予定です。<br /><br />
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今回マイク・ハマーに続く40~50年代ぐらいの作家をいくらか紹介する予定だったのですが、全体の量がかなり多くなってしまったため、余裕がありませんでした。その辺はまたいつかやれればと思うのですが、
今回これだけはと思ったのが、リチャード・S・プラザーのシェル・スコットシリーズ。しばらく前に他のところから出ていたのですが、販売が終了してしまいどこかからまた出ないかなと思っていたところ、
今回かなりお得なやつが販売されているのを発見。6~7作ずつのセットで全6巻。1作100円以下の超低価格で全作揃います。主にウェスタン作品を出版しているWolfpack Publishingより。<br />
その他、最後の方で勢いという感じで雑に並べちゃったけど、この辺は気になる人もいるかと思うので、J. Todd ScottのChris Cherryシリーズと、Craig JohnsonのWalt Longmireシリーズの方は巻数が多いので
最初のだけを下のリストに入れときました。せめておススメ一覧にぐらいは早く入れられるよう頑張ります。<br /><br />
なんか戸梶先生の方は、久し振りに新刊発行より先に更新できたな。ちょっと今回は関連で色々読んでたのもあって新しく読めたのはありません。すんません。りんご町シリーズ5巻の方は少し長めになるそうですね。
<br /><br /><br />
マイク・ハマーについて書いてるうちに、あれについても書いとかなきゃ、ならこれも言っとかなきゃで思いのほか長くなってしまいました。本当はもう少し「通俗」として踏みにじられているあたりについても
書くつもりだったのですが。「通俗」で腹立てるなら日本のゲス本とか言うなよ、という考えもあるかもしれませんが、あの辺は根本的に作者のモラルが低すぎ、都合のいい善悪の線引きやら、あんなSMエロ描写を
サービスと思えるほどこっちは下劣じゃない、などの理由で読んでいて心底不快になるので勝手にそう分類させてもらいます。日本のパルプを探求しようという意気込みで私がどんだけのゲス本読んだと思ってるんだい。
国内だとあんなもんでそこそこ稼いでるのも見えちゃうんで余計に腹立ちます。少なくとも復刻され現在読めるような「通俗」は、内容的には犯人当てクイズぐらいでも、読んでて不快になるようなことはなく、
ちゃんと楽しめるものです。つーかさ、アメリカとかにもきっとゲス本レベルってあるんだろうから、ちょっと読んでみたい気もある。色々さぐってるうちに本物のゲス本にぶつかったら、これがアメリカのゲス本だ!
って騒ぐかもしれません。ただカバー見てエロだってわかるのわざわざ読むほど暇じゃないしな。犯人当てクイズ小説みたいなものも別にバカにしたり見下したりしてるわけでもありません。お気楽な娯楽として
楽しむことは全然悪いことだとも思いません。ただ、日本ではそんなもので誇大妄想で威張りくさる救いがたい層が存在するので、そういうやつらは徹底的にバカにします。なんかさあ、謎解き=頭脳労働=ホワイトカラー、
ハードボイルド=肉体労働=ブルーカラー、ぐらいの幼稚極まりない発想で上下つけてる層ってまだ存在するぐらいでしょ?まあ色々言い訳してみても、全体的なことで言えば、書いてる奴がどうしようもなく性格が
悪いということなので、やならもう見に来んな。<br />
80年代以降のハードボイルドがまるで存在しないかのように全くまとめられていないのは重大問題である!→じゃあ言い出しっぺのお前やれ。という流れになってしまったと思うのでその辺についても何とか
努力していこうかと思います。色々書かなきゃならんことも山積みだけど…。もしかしたら本当にやるかも、ぐらいの微かな期待レベルぐらいでお待ちください。人生何があるかわからんしね。明日ダンプにはねられ異世界に転生するとか。
<br /><br /><br />
【追記】<br />
なんかごちゃごちゃ面倒なことになっていた少し前のマッキンティの追記部分を削除しました。色々と錯綜した怒り任せの乱文を読ませてしまってすみませんでした。一時の勢いで感情的に書いてもろくなことにはならんのだけど、かと言って腰を据えてじっくりと批判文を書くほど価値のあるものではないしね。<br />
結局、もう腐りきって倒壊寸前の既存のものに接続する形で新しいものを打ち建てようとして、接続部分の腐食を修正しようと無意味で無駄なあがきを続けてきたのだと思う。日本の翻訳出版にのみ存在する評論家などが好き勝手に自分勝手な意見を書いて読者の読ませ方まで偏向させる「解説」などというものは絶対に廃止すべきだというのが私の主張ではありますが、今後はそういったものについては一切言及せず、日本での翻訳出版についても特別な事でもない限りあまり触れない方針になると思います。<br />
今回書いたあたりが自分が前から考えていたり、最近気づいたことで、今後はこういった方向で書いて行ければと思います。エルロイが暴走し、アンドリュー・ヴァクス、ジェイムズ・リー・バークが登場し、エルモア・レナードが注目を集め、その一方でブラック・リザードがぶち上げられる80年代から、ランズデール、ウィンズロウ、ルヘインが現れる90年代、そしてケン・ブルーウンの2000年代から現在のマッキンティに至る、日本では放置されたままの「ネオハードボイルド」以降のハードボイルドについても、誰かがまとめなければ。まあご覧の通り、80年代ぐらいは少しまとめ始めているので、そのうち書けるかな。<br />
最近、やっとブルーウン ジャック・テイラー第6作『Cross』を読み始め、あまりの素晴らしさになんかこんな一人相撲頑張ってみてもどこにも届きゃしねえしぐらいの色々めんどくさくなって全部ぶん投げようかぐらいの気分が収まり、心が洗われました。こんな素晴らしい本読むためならオレ生きてる意味あるし、これが本当にすげえんだぞ、と叫んで一人か二人でも届けばこれも続ける意味あるんだろうね。ねえ、ジャックさん。
</span></span>
<br />
<br />
<br />
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Mike Hammer<br />
●Mickey Spillane</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48Ra9Gh"><p>The Twisted Thing</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HbqKZg"><p>Black Alley</p></a>
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</div>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Mickey Spillane with Max Allan Collins</span></span></h4>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Richard S. Prather/Shell Scot</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48LyWeO"><p>Shell Scott PI Mystery Series, Volume Three</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41ZKWXN"><p>Shell Scott PI Mystery Series, Volume Four</p></a>
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<div class="amList">
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41ZqK8A"><p>Shell Scott PI Mystery Series, Volume Six</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■ジョーダン・ハーパー新作!</span></span></h4>
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</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aNNGeV"><p>Everybody Knows</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
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<a href="https://amzn.to/3RUffub"><p>Slower Bear</p></a>
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■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSfe8Y"><p>多元宇宙りんご町2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NOKTbx"><p>多元宇宙りんご町3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S6QYCu"><p>多元宇宙りんご町4</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H7FKHF"><p>半グレVSノーマスクカルト コロナ日本の内戦2021</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回は2019年に出版されたドゥエイン・スウィアジンスキーのオリジナルストーリーによるHard Case Crime comicsからのコミック『Breakneck』です。この作品は実は日本でも翻訳された『The Blonde(邦題:メアリー・ケイト)』、
『Severance Package(邦題:解雇手当)』に続く、CI-6シリーズの第3弾となっています。<br /><br />
というところなんだが、うむむ、どうすればいいか?結局私の怠慢なのだが…。この作品に至るには、まず何らかの作品でHard Case Crimeを説明できるのを1回やって、それからHard Case Crime Comicsを
説明できるのを1回やって、その上でなんとそこからスウィアジンスキーのオリジナルストーリーによるコミックが出ましたよー!ぐらいの感じでやって行かなければいけないのだが…。とりあえずは仕方ないので、
簡単にながら順番に説明しつつ、話を進めて行こうかと思います。<br /><br />
Hard Case Crimeは2004年にCharles ArdaiとMax Phillipsの二人により、40~50年代のパルプ風の装丁で50~60年代のペーパーバックオリジナル黄金期作品の復刻や、そういった傾向を持つ新たな作品の発表を
コンセプトとして立ち上げられたパブリッシャー。Charles Ardaiという人はヘッジファンド会社からキャリアを始めてという感じで、結構ベンチャーとしてしっかり会社も立ち上げたのだろうけど、それ以前から
アルフレッド・ヒッチコック・マガジンなどに投稿していたジャンルのファンで、趣味が高じてという部分もかなり大きかったのだろう。後にHard Case CrimeからRichard Aleasのペンネームで作品を出版し、
エドガーにもノミネートされている。ウェストレイクやローレンス・ブロックなどの発掘作品などを多数出版している他、新作ではケン・ブルーウンとジェイソン・スターの合作作品なども出ている。
マックス・アラン・コリンズ作品も多く、Quarryシリーズは過去作品の復刻のみならず、新作によりシリーズが続行されている。その他、デ・パルマ(原案?)作品などもあり。<br />
Hard Case Crime本結構持ってるし、ブルーウン-スターかQuarryあたりから始めようと思いつつ、いまだ届かず。ごめん。たぶんいつものもったいない症候群も若干入っとるな…。Hard Case Crimeの
ホームページ、若干デザインが古く見にくいのですが、ワクワクする本がいっぱいありますよ。<br /><br />
<a href="http://www.hardcasecrime.com/">Hard Case Crimeホームページ</a><br /><br />
Hard Case Crimeは2004年の発足当時米国のDorchester Publishingと提携して出版活動を行っていたが、2011年に英国大手で、コミック部門であるTitan Comicsを擁するTitan Books傘下に入る。
英国のコミックは伝統的には2000ADのような複数の作品が連載形式で掲載される、日本のマンガ雑誌に近い形の物が主だったようだが(2000ADは1号36ページ程度)、このTitan Comicsは、アメリカのIssue形式に合わせた、
シリーズ作品の1話25ページほどのものを基本として販売する形式。英国国内のアメリカのコミックを好む層を主なターゲットとし、また同時にアメリカの市場への浸透も図るという方針なのだろうと思います。
人気作品はなんといっても、英国ではTVシリーズで国民的ぐらいの長い人気を誇る『DR. Who』シリーズか。他には通例にもれずという感じの版権物や版権物らしきものに混じって、オリジナル作品が少々。
なんか今見たら『カウボービバップ』のあちらオリジナルのコミカライズなんてのもあった。その他、英国でのバンドデシネ人気からのエンキ・ビラル・コレクションみたいなのも出ています。
Titan Books内でこのHard Case CrimeとTitan Comicsが合体して2017年から開始されたのが、このHard Case Crime Comicsというわけである。で、Hard Case Crime Comicsを一覧で見れるところがないか
探してみたのだけど、Hard Case CrimeにもTitan Comicsにも見当たらなかったり。しかし、Hard Case Crimeのウィキ(英語)を編集した奇特な方が、そちらの一覧も作ってくれていた!ここでいつまでもやってても
長くなりすぎるので、後ほどそちらをパクらせてもらって、少々の解説を付け加えようかと思います。<br />
というあたりでHard Case Crime Comicsの概要ぐらいはなんとなくわかってもらえたと思うので、本編の方に進みます。<br /><br />
最初に述べた通り、この作品はスウィアジンスキーの小説『The Blonde』(2006年)、『Severance Package』(2006年)の2作に続くCI-6シリーズの第3弾。とはいってもこの2作同様ストーリーとしての連続性は特になし。
そもそもCI-6なんて名前自体が、スウィアジンスキーが半ば遊びで付けたもので、作中でもちょっと冗談のように語られているわけで。で、このCI-6なる架空の政府秘密機関と、フィラデルフィアを舞台というぐらいが
このシリーズ3作の共通点となる。<br />
2006年に出た2作に続く第3作がなぜ今頃こんな形で出たかについては、TPB版のスウィアジンスキーによる前書きで説明されています。実はこの物語、そもそもは前2作に続く時期に100ページほどの長さで書かれたもの
であったそうですが、そこでその作品を映画として作るという話が持ち上がったとのこと。だが、まあいつものことながら映画屋なんていうのはいい加減で、最初はいい話をするんだけど…、という感じでなんか
ずっと待たされているうちに話がうやむやに自然消滅、ということになりそのままお蔵入りになっていたのが、ここでやっとコミックという形で陽の目を見たということ。<br />
後で詳しく書くが、これが陽の目を見たのには悲しい事情がある。とりあえずは本編のあらすじの方を。<br /><br />
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<b>【Breakneck】</b><br /><br />
-全員死亡まで93分-<br /><br />
彼は今、フィラデルフィア ベンサレムのはずれ、国道一号線沿いにあるジョージ・ワシントン・モーテルの一室の前に立っている。<br />
彼の名はJoe Hayward。40代のどこにでもいるようなパッとしない見かけの中年男。<br />
彼の右手には金属バット(防犯用としてベットの下で埃をかぶっていたもの)、左手には煉瓦(アパートの中庭から掘り出してきたもの)が握られている。<br />
そして、彼の目の前のドアの向こうには、彼の妻と密通している男がいる。<br /><br />
他人の嘘を見抜くこと。それが彼の特技だ。その特技を活かし、彼はセキュリティ関連の職に就いている。そしてその特技ゆえに彼は気付いてしまった。妻が隠し事をしていることを。<br />
明け方、妻が眠っている間に彼女の携帯を盗み見てメールをチェックするJoe。そこにはいかにもそれらしき男からのメールが並んでいた。最新のものは男が宿泊しているモーテルへ呼び出す誘い。妻に無断で承諾の返事を送る。
そして、彼は今ここにいる。<br /><br />
だが彼は他人の住居へ暴力をもって押し入るような経験のある人間ではない。どうすればいい?右手にバット、左手には煉瓦を持ってぼんやり考えている自分が馬鹿のように思えてくる。<br />
その時、ドアが開き、中から男が出てくる。<br />
明らかに自分より見た目が良く、身体も締まっている。この男が妻の浮気相手、Scott Majeskiか。<br />
おい、どうかしたのか?<br />
泊っている部屋の前に立つ男を見て、不審げに声を掛けてくるMajeski。その声に目覚めさせられたように、Joeは手にしていた煉瓦を投げつける!だが、煉瓦はMajeskiを逸れ、ドアの枠に当たり跳ね返る。<br />
おい!待て!なんなんだ!?<br />
慌てて部屋に戻り、ドアを閉めようとするMajeski。Joeはそれを追って、ドアの隙間に金属バットを差し込む。<br />
その時、Majeskiは目の前の男の正体に気付く。<br />
Joe?<br />
自分の名前を呼ばれたことが引き金になったように、Joeは手にしたバットをMajeskiの顔面に向けて突き出す。倒れ込むMajeski。そして続いてJoeも部屋に入る。<br />
テーブルの上に用意された高級ワインとチーズ。Lizはこういう男が…。と、一瞬気を取られた隙にJoeは反撃を受ける。格闘技の心得があると思われる男の軽いチョップにあっけなく尻もちをつかされるJoe。<br />
Elizabethはどこだ?一緒じゃないのか?<br />
Elizabeth?妻をそんな名で呼ぶやつはいない…?その時、問い詰めるMajeskiの傍らにあるチェストの上のものが目に入る。ディルド。注射器。正体不明の薬品アンプル…?<br />
怒りに頭が真っ白になったJoeは、再びMajeskiに掴みかかる。しかし、彼と自分との実力差は明白だ。床に倒れたJoeにMajeskiが語りかける。<br />
誤解するな、これは見たようなものとは違うんだ。この街に今恐るべき事態が起ころうとしていて、それを止められるのは私だけだ。私は政府のアンチテロリスト部門の者だ。<br />
Elizabethはどうしたんだ?Majeskiが電話を掛けると、Joeのポケットから転がり落ちた携帯が応答する。お前は重要な国家安全保障に抵触しているんだぞ!Joeに掴みかかるMajeski。<br />
その時、Joeは床に転げ落ちていた注射器を拾い上げ、Majeskiの足に突き立てる!<br />
おい!な、なんてことを…、と、隣の部屋を見ろ…、Elizabethのために…。<br />
不明の薬物の効果で意識を失うMajeski。立ち上がったJoeは、彼に言われた通り閉まっていたドアを開け、隣の部屋を覗く。<br />
その部屋のベッドの上には黒髪のボンデージ姿の女性が手錠で拘束され、床には男の死体が転がっていた???<br /><br />
-全員死亡まで79分-<br /><br /><br />
各約25ページ全4話の第1話のあらすじを書いてみたのだが、うーん…、これでちゃんと伝わったろうか?とにかくスウィアジンスキーというのは超一級のページターナーで、もうこちらに考える暇も与えず次から次へと
?という展開を重ねてきて手を止めずに読ませるぐらいの作家なので、こんなあらすじの書き方でちゃんと伝わったのか自信がないのだが…。<br />
その先についてあまりネタバレのないよう説明すると、このMajeskiという男の言っていたことは本当で、CI-6のエージェントである彼は、フィラデルフィアで計画進行中であるテロを阻止するためにこの街を訪れ、
密かに行動していた。にわかには信じがたい話だが、Joeはその他人の嘘を見抜くという特技が災いし、彼の言っていることが本当だとわかってしまい、間近に迫る惨事から街を護るため、この男に引っ張りまわされ
散々な目に遭う。彼の小説を読んだことがある人ならわかるだろうけど、スウィアジンスキー作品で「散々な目」と言えば、普通これなら絶対死ぬぐらいの目である。<br />
そしてこのMajeskiという男、本来ならジェームズ・ボンドタイプの有能なエージェントなのだろうが、Joeに射たれてしまった謎の薬品のために、彼の助けがなければまともに動くこともできない状態。おまけに
この薬品には尋問用の自白剤も含まれていたため、あちこちで言わなくてよいことを口走り、Joeをはじめとする周囲の人間を怒らせ、ぶん殴られる。<br />
こんな凸凹コンビによるかなりドタバタなノンストップアクション!まあはっきり言ってスウィアジンスキーのオリジナル作品が面白くないわけないんだよ。<br /><br />
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://dyn.media.titan-comics.com/JVb-caNSJk96EDISEBI5aSGm7RA=/600x0/https://media.titan-comics.com/comics/interior/Breakneck-01-Int02A_5X5si9y.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="800" data-original-width="543" width="550px" src="https://dyn.media.titan-comics.com/JVb-caNSJk96EDISEBI5aSGm7RA=/600x0/https://media.titan-comics.com/comics/interior/Breakneck-01-Int02A_5X5si9y.jpg"/></a></div>
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://dyn.media.titan-comics.com/NCF9zN4sPFTbUP8WcuXiUA6RQ_Q=/fit-in/700x708/https://media.titan-comics.com/comics/news/breakneckstrip.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="354" data-original-width="700" width="550px" src="https://dyn.media.titan-comics.com/NCF9zN4sPFTbUP8WcuXiUA6RQ_Q=/fit-in/700x708/https://media.titan-comics.com/comics/news/breakneckstrip.jpg"/></a></div>
</span></span>
<span style="font-size: x-small;">[Titan Comics プレビューより]</span><span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;"><br /><br />
作画についてはSimone GuglielminiとRaffaele Semeraroという二人がクレジットされている。巻末の紹介によると、Raffaele Semeraroという人はイタリア出身のインカーということなのだが、どうもはっきりしない。
Simone Guglielminiの方は、Image Comicsから2012年に出たJay Faerberとのアクション作品『Near Death』が代表作。全体を通して見て、特に画が変わっている感じもないのだが、部分的に線の太さや使い方が
微妙に違うところがあるので、Guglielminiの作画を部分的にSemeraroが手伝ったという感じなのかもしれない。アクション向きの正確で特に文句の付けようがない作画だが、様々な動きの表現を進化させてきた
日本のマンガを見慣れた目には、それぞれの動きが少し重く見えるかもしれない。<br />
いかにもHard Case Crimeという感じで目を惹くカバーのみ別で、こちらはロンドン在住で独特のレトロ調画風で知られる女性イラストレーターFay Dalton。数々の受賞歴もある人で、コミックの作画を担当したことがあるのかは
よくわからなかったけど、その周辺の仕事も多く、画の方に関心の高い人は覚えておくべき名前だろう。画像検索したらヴァンピレラのいかすのも色々あったな。<br /><br />
先に書いたように、この作品は元々は小説として書かれたもので、TPB版では巻末に元の小説が部分的に紹介されている。大体あらすじを書いた第1話の分ぐらい。相変わらずの独特のスウィアジンスキーノリといった感じの
独特のリズムを持った文章で、コミックになったものに不満があるわけではないけど、こっちも読んでみたかったなと思う。<br /><br />
ここで、最初に書いていたこの作品がこの時期にこういう形で陽の目を見た理由について書いておこう。<br />以前にも書いたが、2018年秋、スウィアジンスキーの最愛の娘さんが闘病の末、残念ながらこの世を去る。
それに先立つしばらくの期間、スウィアジンスキーは自身のオリジナル作品の執筆も中断し、手っ取り早く金になる仕事で娘さんの治療費を稼ぐことに専念する。<br />以前に書いていたジェームズ・パターソンのBookshots
関連などもその一つである。全部で4作になるこのパターソンの「代筆」というような仕事、最初はなぜスウィアジンスキーほどの作家がこのような仕事をするのか、さすがに疑問に思ったのだが、その後、ツィッターに
度々病院のベッドにいる娘さんの写真が上げられるうちに、ああこれはそういうことなんだろうな、と徐々に察して行ったというわけだ。<br />この作品がHard Case Crimeというようなところからこういう形として出た
ことには大変意義もあり、スウィアジンスキーとしても誇るべき仕事であろう。しかし、彼の心中としては、とにかく娘さんの治療費のためになんとかすぐに金になるものをと必死に探し、そしてお蔵入りになっていたものを
掘り出したというところも大きいのだろうなと思う。<br /><br />
2018年秋、娘さんの死去が告げられた時には、私もツィッターの画面を見て涙してしまったよ。この時期のスウィアジンスキーの仕事としては他に、出版は娘さんの死後となったStorm King Productions Incからの
ホラーコミックシリーズ『John Carpenter's Tales of Science Fiction』のストーリーライターが3作品ある。現在も新作小説などの出版予定は報じられてはいないが、TVシリーズ(もうこの言い方は正確ではないのだろうけど)
の脚本などの仕事はやっているようで、日常的なツィートも以前のように多くなっている。小説に関しては現在出版業界自体の景気も沈滞気味だったりコロナの影響による様々な遅れもあったりで、全く活動していないのかは
不明なのだけど。TVシリーズ(なんか世間的に明確な名称決まるまでこれで通します)関連などもやや頭打ちで斜陽の傾向にあるようだが、ルッカなども現在は映画も含めたそちらの仕事の比重が一番大きいように、需要も
まだ高いのかもしれない。この辺正直言ってよく知らんけど。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/3vtlZYC" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/61w0wiM7InL.jpg"/></a>
そして、こちらも以前の仕事が今形になったのかは不明なのだけど、現在最新のスウィアジンスキーの仕事がこちらのパターソン名義の『The Guilty』。こちらは現在オーディオ版のみの発売ということらしい。
ツィッター自己紹介欄の自分の仕事としてオリジナルの作品と並んでタイトルが挙げられているのでスウィアジンスキーとしてもそれなりに力の入ったお気に入りの作品なのかもしれない。うーん、ワシリスニング駄目だからなあ…。<br /><br />
優れた作家の活動が、こういったどうにもならない不幸により中断されてしまうのは本当に残念などという言葉では言い足りない。しかし、人生が崩壊しかねないほどの悲しみを乗り越え、確実に復活し始めている
ドゥエイン・スウィアジンスキーである。まだいつかはわからないが、必ず再び、うわーこんな面白い本読めて本当に生きててよかった!と狂喜させてくれる素晴らしい作品を、どうだこの野郎と送り届けて
くれる日が来ることを確信している。その日までいつまでだって待つよ、私は!<br /><br />
スウィアジンスキーについては、現在のところオリジナル小説作品としては最新になる『Revolver』(2017年)他、こんなミステリ=犯人当てクイズのミステリ超後進国には紹介される見込みもない作品についてもなるべく早い機会に
書けるよう努力して参ります。Bookshots関連についても何とかまとめたい。そして私的には、そもそもがコミックの方ですげえ作家がいると調べてそこで本業が犯罪小説作家だと知ったぐらいのスウィアジンスキーなので、
なんとかコミックの方でもまとめられないかとマーベル『Cable』やらDC『Birds of Prey』などからちまちまと読んでいるところです。ドゥエイン・スウィアジンスキーはまだまだ全然終わらない!今後も新情報などありましたら
なるべくいち早くお伝えし続けるるつもりであります!<br /><br /><br />
<b>Hard Case Crime Comicsについて</b><br /><br />
ちょっとここで今更、という感じなのだが、「Hard Case Crime Comics」というのはこっちで勝手に言ってるだけで正式にそういう名前のレーベルはないみたい。ごめん。正確にはTitan Comics内のHard Case Crimeものぐらいの
ところなんだろうか?とりあえず、Hard Case Crimeの小説と同じロゴラベルを左肩につけて、他のTitan Comics作品とは分けられHard Case Crimeに属するものとして明確にされている。こういう呼称の方がわかりやすいと思う
のでこのまま続けるけど、正式名称ではないということは頭に入れといてもらえると助かります。<br />
以下Hard Case Crime Comics作品の現在までの一覧だが、前述の通り、<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Hard_Case_Crime">Hard Case Crimeのウィキペディア</a>に作成・掲載されているものを丸写しさせてもらい、こちらのサイズに合わせて若干の省略修正を加えております。<br /><br />
<table style="border:solid 1px #000; border-collapse:collapse; width:95%; margin:10 auto;">
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Assignment</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Matz & Walter Hill/Jef</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2017年3月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Triggerman</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Matz & Walter Hill/Jef</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2017年6月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">3</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Peepland</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Christa Faust & Gary Phillips/Andrea Camerini</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2017年7月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">4</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Girl with the Dragon Tattoo - Millennium Vol. 1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Stieg Larsson & Sylvain Runberg/José Homs</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2017年11月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">5</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Girl Who Played With Fire - Millennium Vol. 2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Sylvain Runberg/Man</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年1月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">6</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Normandy Gold</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Alison Gaylin & Megan Abbott/Steve Scott</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年4月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">7</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Girl Who Kicked the Hornet's Nest - Millennium Vol. 3</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Sylvain Runberg/Jose Homs</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年4月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">8</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Quarry's War</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Max Allan Collins/Edu Menna, Szymon Kudranski</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年7月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">9</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Minky Woodcock: The Girl Who Handcuffed Houdini Vol. 1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Cynthia von Buhler</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年8月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">10</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Tyler Cross: Black Rock Vol. 1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Fabien Nury/Brüno</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年9月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">11</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Babylon Berlin</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Volker Kutscher/Arne Jysch</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年10月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">12</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Prague Coup</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Jean-Luc Fromental/Hyman Miles</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年12月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">13</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Mickey Spillane's Mike Hammer: The Night I Died</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Max Allan Collins/Marcelo Salaza</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年12月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">14</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Girl Who Danced With Death - Millennium Vol. 4</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Sylvain Runberg/Belén Ortega</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年1月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">15</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Tyler Cross: Angola Vol. 2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Fabien Nury/Brüno</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年3月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">16</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Breakneck</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Duane Swierczynski/Simone Guglielmini</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年5月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">17</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ryuko Vol. 1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Eldo Yoshimizu</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年8月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">18</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ms. Tree: One Mean Mother Vol. 1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Max Allan Collins/Terry Beatty</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年9月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">19</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ryuko Vol. 2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Eldo Yoshimizu</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年10月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">20</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Big Hoax</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Carlos Trillo/Domingo Roberto Mandrafina</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2020年1月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">21</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ms. Tree: Skeleton in the Closet Vol. 2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Max Allan Collins/Terry Beatty</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2020年10月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">22</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ms. Tree: The Cold Dish Vol. 3</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Max Allan Collins/Terry Beatty</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2021年11月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">23</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Minky Woodcock: The Girl Who Electrified Tesla Vol. 2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Cynthia von Buhler</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2021年11月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">24</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Gun Honey</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Charles Ardai/Ang Hor Kheng</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2022年3月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">25</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Frank Lee: After Alcatraz</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">David Hasteda/Ludovic Chesnot</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2022年6月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">26</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ms. Tree: Deadline Vol. 4</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Max Allan Collins/Terry Beatty</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2022年10月</td>
</tr>
</table>
<br /><br />
とりあえずざっと調べてわかったりした範囲で、簡単に解説します。作画の方までは触れられなくてごめん。<br />
まず1、2は『ウォリアーズ』や『48時間』などで知られる映画監督ウォルター・ヒルが、フランスの作家Matzと組んでフランスで出版したバンド・デシネ作品を英訳したもの。<br />
3は、アメリカの犯罪小説作家Christa FaustとGary Phillipsの合作によるオリジナルシナリオの作品。<br />
4、5、7、14は、世界的ベストセラーの北欧ミステリ『ミレニアム』シリーズのコミカライズ作品。<br />
6は、ともに日本でも翻訳があるアリソン・ゲイリンとミーガン・アボットの合作によるオリジナルシナリオの作品。<br />
8は、マックス・アラン・コリンズの代表作ともいえるQuarryシリーズの、こちらもコミック用のオリジナルシナリオ作品らしい。<br />
9、23はアメリカの作家・アーティスト・パフォーマーなどのマルチな活動で知られるシンシア・フォン・ビューラーによるコミック作品。なんかコナン・ドイルやフーディーニとかが出てくる話らしい。<br />
10、15はバンド・デシネ作品シリーズの翻訳らしいのだが、どういうものかは不明。<br />
11は、日本でも翻訳のあるドイツのフォルカー・クッチャーの、日本では『濡れた魚』という邦題で出てる作品の本国でのコミカライズの英訳版。英語で読めるドイツのコミック結構珍しい。<br />
12は、こちらもちょっと不明なバンド・デシネ作品。いや、不明なのはこちらの調査能力の低さ故で、ちゃんとそれなりの作品なのだと思うのだけど。<br />
13は、スピレインよりマイク・ハマーを引き継いだマックス・アラン・コリンズによるマイク・ハマー。多分オリジナルシナリオだと思う。<br />
17、19は、日本のエルド吉水の『龍子』の英訳版。英訳版と書いたけど、現在本国日本版が手に入るのかは不明。現代アートというようなところから劇画作品を出してきている人で、詳しく知りたい人は検索してみて。<br />
18、21、22、26は、マックス・アラン・コリンズが80年代からあっちこっちででやっていた『Ms. Tree』シリーズをまとめたもの。詳しく書くと相当長くなる。Hard Case Crimeからはコリンズによる小説版も出ている。<br />
20は、以前Eduardo Rissoの流れで(<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/09/moonshine-100-bullets.html">Moonshine</a>)ちょっと触れたアルゼンチンコミック界の巨匠Carlos Trilloの作品の英訳版。<br />
24は、社長(なのかな?)登場!Hard Case CrimeのCharles Ardaiのオリジナルシナリオによるコミック作品。続編もまもなく発行予定。<br />
25は、こちらもバンド・デシネ関連作品。もしかしたら、翻訳ではなくオリジナルなのかもしれない。<br /><br />
いやはや。ぱっと見て知らない名前が多く、これちゃんと紹介できるのかなぐらいに思ってたのだが、少し調べてみたらもう世界中からこういうジャンルのいいやつ集めてきたぐらいのスゴイコレクションじゃん!ヤバい。
それにしても、今年の始めぐらいにジャン=パトリック・マンシェットのバンド・デシネ入手して大喜びしてたんだが、うむむ、バンド・デシネまだまだかなり奥が深そう。ドイツのコミックとか、ウィキで見たけど
これ読めないんかなあと思ってたアルゼンチンのCarlos Trilloのやつとか。あー、やっぱHard Case Crime Comics全部集めないとな。<br />
一昨年、昨年あたりちょっとリリース少ないけど、これはやっぱコロナの影響だな。これからも驚くべき作品の発表が期待できるHard Case Crime Comics!更に一層の要注目です。<br /><br /><br />
今回はなんかスウィアジンスキー『Breakneck』とHard Case Crime Comicsの2本立てみたいな感じになってしまいました。Hard Case Crime Comicsの方、思ってた以上にすごくて。なんか最近現代のハードボイルド/ノワールを
語る上ではもうコミックは外せないんじゃないかと思い始めている。『Scalped』とかブルベイカーとか。ただもう一方で、そういうジャンルじゃないコミックだってもっと日本に知られるべきというのは山というかもう
山脈ぐらいにあるわけだし。なんかね、とにかくやれるところで頑張ってくしかないっすね。
</span></span>
<br />
<br />
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2015/11/fun-and-games-charlie-hardie.html">Fun and Games -ドゥエイン・スウィアジンスキーCharlie Hardieトリロジー開幕!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2015/12/hell-and-gone-charlie-hardie2.html">Hell and Gone -ドゥエイン・スウィアジンスキーCharlie Hardieトリロジー第2作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/02/point-and-shoot-charlie-hardie.html">Point and Shoot -ドゥエイン・スウィアジンスキーCharlie Hardieトリロジー最終作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.jp/2014/10/the-wheelman.html">The Wheelman - ケイパー小説の傑作! -</a></span></span>
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<br />
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<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■ドゥエイン・スウィアジンスキー<br />
●Breakneck</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/4aPfCPv"><p>Breakneck</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●小説作品</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RVpBKl"><p>メアリー‐ケイト</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3HcW2PC"><p>解雇手当</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TUJHHu"><p>カナリアはさえずる(上)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48tlIUe"><p>カナリアはさえずる(下)</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3O0aMFo"><p>Secret Dead Men</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3HdjiNh"><p>The Wheelman</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41QQeVB"><p>The Blonde</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3SdbuRX"><p>Severance Package</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47vtf3p"><p>Expiration Date</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vy5cUo"><p>Fun and Games (Charlie Hardie Book 1)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tRdcPN"><p>Hell and Gone (Charlie Hardie Book 2)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3RVqB13"><p>Point and Shoot (Charlie Hardie Book 3)</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3ScC1Pk"><p>Canary</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47xw1W7"><p>Revolver</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Level 26 (with Anthony E. Zuiker)</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/41WjlGM"><p>Level 26: Dark Origins</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3U1gpah"><p>Level 26: Dark Prophecy</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3TVNeoR"><p>Level 26: Dark Revelations</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●James Patterson関連</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SnQb0t"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91MO87nKM4L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SnQb0t"><p>The House Husband</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NXOu7a"><p>The Shut-In</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/420E4cQ"><p>Stingrays</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3vvSmWF"><p>Unbelievably Boring Bart</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/41VMLVv"><p>The Guilty</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●John Carpenter's Tales of Science Fiction (Comics)</span></span></h4>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3Sgca9v"><p>John Carpenter's Tales of Science Fiction: Twitch</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48SuuLn"><p>John Carpenter’s Tales of Science Fiction: Redhead</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3HgHvCo"><p>John Carpenter's Tales of Science Fiction: Civilians</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:30px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Hard Case Crime Comics</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41QJXZX"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1e1ZAztOVL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41QJXZX"><p>The Assignment</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3Hdpe91"><p>Walter Hill's Triggerman</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3NUGjbN"><p>Peepland</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/41PRKax"><p>The Girl with the Dragon Tattoo - Millennium Vol. 1</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3RWTKt3"><p>The Girl Who Played With Fire - Millennium Vol. 2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aUUKXk"><p>Normandy Gold</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TQywQ0"><p>The Girl Who Kicked the Hornet's Nest - Millennium Vol. 3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tTRfPW"><p>Quarry's War</p></a>
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<a href="https://amzn.to/420Gate"><p>Minky Woodcock Vol. 1: The Girl Who Handcuffed Houdini</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tN48LI"><p>Tyler Cross Vol. 1</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47uvELY"><p>Babylon Berlin</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vs9i01"><p>The Prague Coup</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vD86qF"><p>Mickey Spillane's Mike Hammer: The Night I Died</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vzPdoU"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81luIumvhGL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vzPdoU"><p>The Girl Who Danced With Death - Millennium Vol. 4</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tFctRL"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81geIb+VnxL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tFctRL"><p>Tyler Cross Vol. 2: Angola</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3vubX9N"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/917eSrlgIeL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vubX9N"><p>Breakneck</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TVTNI1"><p>Ryuko Vol. 1</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/4aSAMfv"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91CReOSsn5L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aSAMfv"><p>Ms. Tree Vol. 1: One Mean Mother</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3HdFBm3"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81BvnbMLuAL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HdFBm3"><p>Ryuko Vol. 2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RS9gpN"><p>The Big Hoax</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tG4GDh"><p>Ms. Tree Vol. 2: Skeleton In The Closet</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47viC0r"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71qFLlYu1YL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47viC0r"><p>Ms. Tree Vol. 3: The Cold Dish</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4213dE7"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91WN+RlELfL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4213dE7"><p>Minky Woodcock Vol. 2: The Girl Who Electrified Tesla</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vsaQHv"><p>Gun Honey Vol. 1</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HflwMo"><p>Frank Lee, After Alcatraz</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RWX8UN"><p>Ms. Tree Vol. 4: Deadline</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aSBGsp"><p>Gun Honey Vol. 2: Blood for Blood</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NZLyqu"><p>Noir Burlesque</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RVz7Nz"><p>Ms. Tree Vol. 5: Heroine Withdrawal</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NZ91Ii"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1aK0JYaLAL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3NZ91Ii"><p>Heat Seeker Vol. 1: A Gun Honey Series</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSfe8Y"><p>多元宇宙りんご町2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NOKTbx"><p>多元宇宙りんご町3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S6QYCu"><p>多元宇宙りんご町4</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H7FKHF"><p>半グレVSノーマスクカルト コロナ日本の内戦2021</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RKMBvH"><p>みなさまのキルスイッチ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tz4DsV"><p>5Gマンを殺せ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47sn4Ns"><p>Stay Sitty</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RO68vl"><p>忘れ死神ぴよ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47pbx1p"><p>宝くじ販売員の戦争</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PBgiy"><p>空からの死、地からの命 あいつは戦争がえり3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSkFF1"><p>高く立て、低く這え</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aN853S"><p>僕とじいちゃんと彗星Z</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vx1Kcl"><p>シュレッドタワーと哀しい人たち</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48nqYbW"><p>コロナ日本の内戦</p></a>
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</div>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-13452972108721022592022-08-23T10:00:00.002+09:002024-01-11T21:51:36.751+09:002022 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!<a href="https://amzn.to/3RSdihX" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81Q+OQ3SbdL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今年もやってきました!第5回となる本年2022年度のスプラッタパンクアワードの発表です!<br />コロナ禍により昨年、一昨年と開催が見送られ、ウェブのみでの開催となっていたキラーコンですが、本年2年ぶり、
あれ?これは3年ぶりというのが正しいのかな?まあいいや、とにかく久しぶりにテキサス州オースチンの会場にて開催され、そして8月13日土曜にその会場にて本年のスプラッタパンクアワードが発表されました。<br />
やっぱちゃんと開催されると本人も会場に行ってて忙しいのか、Brian Keeneのホームページからの発表は遅れてたりしたのですが、SF・ホラーファンの方々のホームページに掲載されていたのをいくつか見て、
確認させてもらってお伝えします。通例通り、各部門画像と最上部太字作品が受賞作となっていますが、今年はアンソロジー部門で審査員からの得票数が同点だったため、2作が受賞となっています。
<br /><br />
<b>2022 Splatterpunk Award</b><br /><br /><br />
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【長編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>The Night Stockers by Kristopher Triana and Ryan Harding (The Evil Cookie Publishing)</b></li>
<li>Don’t Go To Wheelchair Camp by David Irons (Severed Press)</li>
<li>Trench Mouth by Christine Morgan (Madness Heart Press)</li>
<li>The Maddening by Carver Pike (Independently Published)</li>
<li>The Devoured And The Dead by Kristopher Rufty (Death’s Head Press)</li>
<li>Left To You by Daniel J. Volpe (D&T Publishing)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/3NXHxTw" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/817I2jbUZ2L._SL1500_.jpg"/></a>
【中編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>Things Have Gotten Worse Since We Last Spoke by Eric LaRocca (Weirdpunk Books)</b></li>
<li>Midnight In The City Of The Carrion Kid by James G. Carlson (Gloom House Publishing)</li>
<li>Only The Stains Remain by Ross Jeffery (Cemetery Gates Media)</li>
<li>A Roll Of the Dice by Matt Shaw (Independently Published)</li>
<li>Sacrament by Steve Stred (Black Void Publishing)</li>
<li>Talia by Daniel J. Volpe (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/3Hb6ffz" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/813rb32og1L._SL1500_.jpg"/></a>
【短編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>“Next Best Baker” by Jeff Strand (from Baker’s Dozen, Uncomfortably Dark) </b></li>
<li>“The Martini Club” by Aron Beauregard (from Beyond Reform, Aron Beauregard Horror)</li>
<li>“Fireflies and Apple Pies” by Thomas R. Clark (from The God Provides, St. Rooster Books)</li>
<li>“Sun Poison” by Stephen Kozeniewski (from Battered, Broken Bodies, Independently Published)</li>
<li>“Start Today” by Justin Lutz (from Teenage Grave, Filthy Loot)</li>
<li>“Abigail” by Daemon Manx (Terror Tract Publishing)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/3NZn14O" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91B53jcXt9L._SL1500_.jpg"/></a>
【短編集部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>Beyond Reform by Jon Athan, Aron Beauregard, and Jasper Bark (Aron Beauregard Horror)</b></li>
<li>Black Tongue And Other Anomalies by Richard Beauchamp (D&T Publishing)</li>
<li>Sinister Mix by Brian Bowyer (Independently Published)</li>
<li>Shattered Skies by Chris Miller (Death’s Head Press)</li>
<li>Twisted Tainted Tales by Janine Pipe (Pipe Screams Press)</li>
<li>May Cause Ocular Bleeding by Nikolas P. Robinson (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
<a href="https://amzn.to/41VIpOv" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91jqoPCgblL._SL1500_.jpg"/></a>
【アンソロジー部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li><b>Body Shocks edited by Ellen Datlow (Tachyon Publications)</b></li>
<li><b>Baker’s Dozen edited by Candace Nola (Uncomfortably Dark)</b></li>
<li>Between A Spider’s Eyes edited by River Dixon (Potter’s Grove Press)</li>
<li>Bludgeon Tools edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Gorefest edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Battered, Broken Bodies edited by Matt Shaw (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Clive Barker </li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【SPLATTERPUNK HALL OF LEGENDS INDUCTEES】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Richard Laymon</li>
<li>Jack Ketchum</li>
<li>J. F. Gonzalez</li>
<li>Charlee Jacob</li>
<li>John Pelan</li>
<li>Gak</li>
<li>David G. Barnett</li>
</span></span></ul>
<br /><br />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
長編部門では、最近ではもうこのジャンルの顔ぐらいになりつつあるのかもしれないKristopher Trianaと、Ryan Hardingの合作作品。中編のEric LaRoccaは、ブラムストーカー賞へのノミネート経歴もある、ホラー
ジャンル注目の新鋭ぐらいなのかな。受賞作なのですが、英国大手のTitan Booksから他の作品も加えた新版が出るそうで、Weirdpunk Booksの方は絶版になっています。Titan Booksってこのジャンルの関連から見ると
かなりの大手で、結構注目度高いのかも。短編部門では、名前だけはよく目にしながらそれほどよく知らなかったのだけど結構ベテランらしいJeff Strand。短編集部門では、作者3人連名だけどパブリッシャーがうちのひとり
の名前Aron Beauregard Horrorなので、この人の個人出版社なのだろう。他のアンソロジーでも名前を観たので、現在勢力拡大中で頑張ってる人なのだろうね。アンソロジー部門では、ノミネート時に言っていた
肉体変形or破壊系アンソロジーのうち、SF寄りEllen Datlow編集が勝利。あと、短編部門Jeff Strand作品収録のBaker’s Dozenが同点一位で並びました。<br />
ノミネートの際にも書きましたが、今年はちょっと衰弱気味に見えるスプラッタパンク・エクストリームホラージャンルですが、今回はやっとめでたくキラーコンも無事開催され、ここからまた再起盛り上がってくるものと
期待します。いや、大丈夫だって。奴ら本当にしぶといもん。いつまで経ってもなかなか本格的にこっちのジャンルに注力できなくて申し訳ないのですが、日本ではますます翻訳紹介などの見込みもないこのジャンル、
僅かながらでも情報を継続できるよう、また今後も頑張りたいと思います。いや、少しでも余裕あったら作品紹介にも努力するつもりですので。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/03/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/09/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/03/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/08/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/02/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/08/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/02/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/08/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/03/2022.html">2022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a>
</span></span>
<br />
<br />
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やっとここまでたどり着いた。2010年代ハードボイルド必読!最重要作ぐらいのことは言ってやるぜ!ハードボイルドの反逆児、Ray Banksによるマンチェスターのチンピラ探偵Cal Innes四部作最終作
『Beast of Burden』である!Cal Innesを読まずして21世紀のハードボイルドを語るなかれ!21世紀のマンチェスターに降臨した感涙必至の『傷だらけの天使』を読め!<br /><br />
さて、四部作最終作ということでまずはシリーズのこれまでを振り返るというところからなのだが、ちょっとネタバレなどに注意しながら書いてきたため、色々な人間関係などで抜けている部分も多いように思うので、
ここで捕捉しながらという感じで、改めてシリーズ3作目までを俯瞰して行こうと思います。その辺までの展開はややネタバレあり。<br />
主人公Cal Innes。20代半ばから後半ぐらいのマンチェスターの私立探偵。刑務所から出所後、身元引受人となってくれたPauloのジムの一室を借り、自分の能力・性格を活かせる私立探偵を始める。英国マンチェスターでは
アメリカのような免許などは必要ないようなので、私立探偵だと言えばそれで私立探偵。世の中警察にはあんまり行きたくない悩みを抱えている人は多いので、知り合い関係・口コミを通じて依頼はやってくる。<br />
Innesが刑務所に入った理由は、第1作『Saturday's Child』で簡単には書かれているのだが、その時は重要性などいまいちわからなかったので詳しくは書かなかったのだけど、この第4作では結構重要な彼の兄に関わること
なのでここで改めてきちんと書いとく。<br />彼の兄Declanはドラッグ中毒で自堕落な生活を送り、また流されやすい性格でもあり、街の顔役の息子であるMoと共に行動することも多かった。あるときDeclanがMoと共に深夜の倉庫に盗みに
入ることを知ったInnesは、彼を心配し同行する。だが強盗は失敗し、彼だけが現場に取り残され逮捕される。兄を護るため、主犯であるMoについても一切口をつぐんだまま、Innesは刑務所に収監されたという次第。
Declanはその後はMoとの関係を断ち、マンチェスターを離れドラッグ中毒からのリハビリに努めるのだが、この件でInnesは兄との間に溝を作り、またMoとの間には深い遺恨を残すこととなる。<br />
主要キャラクターのうち、最もInnesに近く多く登場するのが彼の保護者であるPaulo。元ボクサーで自分のジムを持ち、刑務所や矯正施設から出てきた少年・青年の身元引受人となり、ボクシングを通じて彼らの
更生社会復帰に努める。ホモセクシュアルだが、Innesとの間にそういう関係はなく、また典型的な丹下段平タイプのオヤジなので、わざわざセリフをオネエ言葉に直して読む必要もない。<br />
Innesと因縁が深くなにかと絡んでくるダーティーなDonkeyことDonkin刑事。第1作から登場するが、実はストーリーに深く関わってくるのは今回の第4作。<br /><br />
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第1作『Saturday's Child』は、前述のMoの父親であるこの街の裏の顔役であるMorris Tiernanからの依頼で始まる。失踪した地下カジノのディーラーを捜せ。気の進まない仕事だったが、街のボスからの依頼を断るわけにもいかず、
Innesはしぶしぶ調査に乗り出す。だが調べを進めて行くうちに、Morrisの真の狙いはそのディーラーと一緒に逃げた女性、彼の娘でMoの腹違いの妹のAlisonであることが見えてくる。そもそもInnesとは因縁があり、また身内の問題に
外部の人間が関わるのが気に入らないという建前でInnesの捜査にちょっかいを出し、彼を追い続けるMoだったが、実はAlisonと関係を持っていて、彼女はMoの子供を妊娠してしまったことでパニックになり
逃げ出したというのが真相だった。最終的にはMoに横からさらわれる形になったが、Alisonを見つけ出したInnes。だがその過程で怪我を負い、以後鎮痛剤中毒になって行く。一方Moは今回の行動を父親Morrisから激しく非難され、
以後父親の後ろ盾を失ってしまうこととなる。<br /><br />
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第2作『Sucker Punch』では、Innesは全作の事件の怪我と、あまりにひどい目に遭ったことからやる気をなくし、探偵業を廃業し、ボクシングジムでの雑用で日々を過ごしていた。父親の後ろ盾はなくしたもののMoは、仲間を引き連れ
街でドラッグを売りさばき、それが更生を目指しているジムの練習生に及ぶことがPauloの懸念となっている。そんなある日、Innesのそんな状態を心配するPauloは、米LAで開催される友人ジムオーナーの主催するボクシング
トーナメントに参加するジムの期待のボクサーLiamの付き添いとしてInnesに同行するように持ち掛ける。かくしてアメリカの地を踏むマンチェスターのチンピラ探偵Cal Innes。元は路上強盗で逮捕収監された不良少年だったが、
現在はひたすらストイックにボクサーの道を進むLiamと、ヨレヨレで鎮痛剤中毒になりかかっているInnesでは気も合わず、最初は反発していたが、次第に彼を応援する気持ちが高まり、慣れない土地で奔走するInnes。
しかし、小さな掛け違い、見知らぬ土地で信用すべき人間を見誤ったことから事態は思いがけぬ方向へと混乱して行く。なんとか無事にLiamと共に帰国したInnesだったが、二人を待ち受けていたのはPauloのジムの
火災による消失という衝撃。練習生にドラッグを売りつけることに怒り殴り飛ばしたPauloへのMoによる報復の放火に間違いない。InnesはただちにMo達のたまり場となっているパブへ出向き、Moを徹底的に叩きのめす。
パブから出たInnesは、ずっと断り続けてきた以前からの仕事を引き受ける電話を掛ける。<br /><br />
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そして第3作『No More Heroes』。前作のラストで探偵稼業に復帰かと思われたが、Innesが請け負うのは廃業前からやっていたマンチェスター界隈で多くの不動産を持ち貸し出しているDon Plummerからの店子への立ち退き状の配達。
結局いまだにきちんと調べてないけど、英国では家主が店子に立ち退きを要求するには、裁判関係の書類のように直接本人に手渡さなければならないらしい。法令で決まっているというよりも、後で届いていない、受け取っていないと
主張されたりすることを防ぐためなのかもしれないね。この仕事で、Innesには新しく相棒ができる。Innesと同じく前科者で、基本的に気のいいやつだが、その名もDaft Frankと、既に通り名に”マヌケ”が入っちゃってる筋金入り。
後半になってからの登場だが、このFrank、第4作でも登場し場を和ませてくれたりもするいいキャラである。Frankと共に立ち退き状をもって向かったある家で火災が発生し、Innesは燃える家の中に飛び込み、残っていた子供を救出する。
これが地元のマスコミに取り上げられ、Innesは一躍地元のヒーローに祭り上げられる。まもなく再建が完成するPauloのジムの宣伝にも役立てようとするInnes。だが、その一方でDon Plummerは防災設備も整わない劣悪物件で
儲ける悪徳家主として非難が集中する。そんな中、姿を隠しマスコミから逃げ回っているPlummerからInnesに電話がかかる。俺ははめられたんだ!あれは放火だ!お前探偵だろう!犯人を見つけて俺を助けてくれ!
こうしてInnesは嫌々ながらも探偵稼業に復帰する。<br />
このあとは、第4作へと続く部分もあるので少し詳しく。犯人までは書かないので知りたい人はちゃんと本編を読んでください。<br />
Plummerへ火災の前に送られてきたという脅迫状を手掛かりに、Innesは移民排斥に強硬なグループを調べ始める。その過程で、学生の住居としての利用も多い悪徳家主Plummerに抗議する学生たちのグループとも出会う。
市長選挙も近付き政治的な緊張も高まる中、Innesは遂に放火犯人を突き止める。だがそれと同時に、その時点である事情により身動きが取れなくなっている犯人が次の標的のために準備した放火用の資材が積まれた車が、
今まさに移民排斥グループのデモ隊とパキスタン移民たちが衝突する街角に放置されていることに気付く。あれに流れ弾でも当たれば大変なことになる!<br />
ああ、俺はヒーローなんて柄じゃない。ヒーローなんて沢山だ!心の中で叫びながらもInnesは一触即発の緊張の高まる街を走る!<br />
だが、やっとたどり着いたInnesのその目の前で、車は爆発する!…<br />
Innesは頭部を強打し、左半身に麻痺が残る大怪我を負う。しばしの入院治療後、Pauloに助けられながら杖を突いて退院するInnes。Pauloのジムはすっかり再建され、真新しい建物の中にはInnesの探偵事務所も用意されていた。
大丈夫だ、頑張ればすぐにリハビリで元に戻れるさ。鎮痛剤とも手を切って、これから探偵として頑張って行けよ。これからはみんなうまくいくさ。明るく励ますPaulo。だが、Innesの心中は暗澹たるものだった。
俺に本当にそんなことができると思ってるのか?俺はもうそんなことはごめんだ。俺はこれからどうすればいい…。<br /><br />
<b>【Beast of Burden】</b><br /><br />
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こうして主人公Innesが身体も不自由になり、精神的にもどん底になった状態で第4作『Beast of Burden』は始まる。<br />
物語の冒頭で告げられるのは、Innesの兄Declanが自殺未遂で入院したこと。ドラッグ中毒から復帰するためリハビリに努めながら、その少し弱い性格から中毒に戻り、また一からリハビリを始めるを繰り返す過程で、
度々自殺未遂を繰り返してきたDeclan。<br />Innesは不自由な身体で夜、面会時間後に病院を訪れるが、兄は深い眠りにあり話すことはできなかった。この姿を見せてもDeclanも戸惑うだけだろう。Innesはそのまま病院を後にする。<br />
そして一週間後。再び自殺を試みたDeclanは、今度は救うことができず、この世を去った。<br /><br />
本編は3部に分かれ、それぞれのパートの冒頭にこのDeclanの自殺、埋葬などを描いた短い章が挟まれる形になる。時系列的には本編の少し前というところだろう。本編と無関係ではないが直接的には繋がらず、
終わって行くCal Innesの物語と響き合う悲しいエピソードである。<br /><br />
Moは死んでいる。<br />
本編はそんなInnesによる一人称のモノローグから始まる。Innesは地元の裏の顔役Morris Tiernanに呼び出され、彼の行きつけのパブの指定席で彼と向かい合って座っている。Moを探せ。それがMorrisから告げられた
Innesへの依頼であり、命令だ。<br />
Innesの宿敵であり、Morrisの息子であるMo Tiernanは、Pauloのジムに放火したことでInnesに叩きのめされ、しばらく町を離れていたようだ。そして更にこの一か月ほど、一切Moの消息は途絶えている。
Moはこの地元であるマンチェスターからそれほど離れていられる人間ではない。そして、奴の性格から言って、街に戻ったなら何らかの大騒ぎをして周囲に知らせずにはいられない男だ。
そんなMoがそれほど長い間消息不明なら、Moは死んだということだ。<br />
だがInnesはそんなことは口にせず、ただ黙ってMorrisの前に座っている。今の俺を見ろ。俺に何があったか知ってるだろう。俺に人探しなんてできると思ってるのかい?<br />
お前はAlisonを見つけた。お前ならMoを見つけられるはずだ。いくら払えばいいんだ?<br />
Morrisの依頼を断ることなどできない。Innesは顔の左側だけのとっておきの笑顔を見せつけながら、Morrisに探偵料を告げる。<br /><br />
それから不自由な身体ゆえ立ち寄ったスターバックスで揉め事を起こすという、読んでいても痛々しい場面を挟み、InnesはPauloのジムLads Clubに戻る。事務の正面にはIC INVESTIGATIONSの看板も掲げられている。
Innesの「I」とFrank Collierの「C」。探偵事務所を立ち上げたものの、当面は一人で経営することが不可能なInnesのために、Pauloは相棒として前作から登場のFrankを連れてきた。看板にも使われている目玉マークの
入った名刺や、レターヘッド入りの便箋など、すべて経営が軌道に乗ってからの出世払いでPauloが用意してくれた。<br />事務所に戻ったInnesはFrankから留守中にDonkin刑事が訪ねてきたと聞かされる。用件は
不明なままでFrankやPauloをしばらく脅してInnesの行き先をしつこく尋ね、諦めて帰って行ったという。<br />
これまでのシリーズでは多くのシーンで常にユーモアを含んだInnes/Banksの語りだったが、この最終作では全体的に重く沈んだトーンになる。その中でこのような事務所に戻りFrankやPauloと話すシーンは、いくらかの
温かみや安心を読む側にも与えてくれる。Frankは今回の物語の中で、ちょっとした事件を一つ独力で解決する。<br /><br />
FrankとPauloには告げないまま、InnesはMorrisに依頼されたMoの捜索を始める。第3作の最後でMoをぶちのめした彼のたまり場となっていたパブを訪れたInnesは、Moの仲間のひとりBazを見つける。MoとBaz、そしてもう一人
Rossieを含めた3人でいつも行動を共にしていた。<br />
Moはお前に殴られた後、いつまでもこんなごみ溜めでお前らみたいなクズと遊んでられるか、俺はまともな仕事を見つけるぜ、と言って別れてそれっきりだ。Rossieも今じゃちゃんとした仕事に就いている。BazからMoが
住んでいたアパートの住所を聞き出す。だがたぶんもうそこにはいないぜ。<br /><br />
Innesは第1作『Saturday's Child』で捜し出したMorrisの娘Alisonに会いに行く。彼女は家族とは離れ、その後出産したMoとの間にできた息子と共に暮らしている。Moとは会っていないし、今どこにいるかなんて知らない。
AlisonはInnesを玄関口で追い返す。<br /><br />
そしてInnesはBazから聞き出したMoの住所へと向かう。マンチェスターのあちこちに残る、取り壊され見栄えの良いオフィスビルや高層住宅に建て替えられるのを待つばかりの廃墟寸前のアパート。動かぬ身体に苦労しながら
階段を6階まで上がる。ドアの前に着くと、中から恐ろしい腐敗臭が漂ってくる。鍵のかかっていないドアを手に持った杖で押し開け、Innesは室内に入る。<br />
ベッドの上にMoの死体が横たわっていた。<br />
既に腐敗の始まっている死体の様子からのショックが収まると、InnesはMoのこれまでの人生と哀れな死に様に少しばかり同情を感じる。<br />
だがそれも、奴が自分と兄へもたらした数々の仕打ちを思い出すまでのことだ。お前のせいで…!<br />
Innesは死んだMoの顔面へ手にした杖を打ち下ろす!<br />
これは兄貴の分だ!<br />
これは俺のムショ暮らしの分だ!<br />
何度も繰り返し、InnesはMoの遺体へと杖を打ち付ける…。<br /><br />
この第4作では、第1作同様Innesともう一人別の人物の一人称による語りが、章ごとに変わる形で構成されている。そのもう一人の人物がDonkeyことDonkin刑事。先にこの人物について「ダーティーな刑事」と書いたが、
これは自分の職業的権限を個人的な利益のために悪用する悪徳警官というものと区別するため。Donkeyという男は、ある意味古いタイプというのか、あちこちに小者の犯罪者やドラッグ中毒者などを自分の
情報提供者として飼い、小さな犯罪に目を瞑りより大きな事件・犯罪者の解決逮捕を目指すという刑事である。<br />
その方法は脅しと暴力によって自分に従わせるものであり、Donkeyパートの最初は、彼の準情報提供者ぐらいの元ドラッグの売人を陰湿に苛めるところから始まる。その語りの中で、実はInnesの兄Declanを
情報提供者として使っていたことが明らかにされる。もう既に情報提供者ではなくなり、リハビリに努めていても弟を前科者にまでしてしまった罪悪感から逃れられず、自分を破壊し続け遂に自殺を果たしてしまった
事から、このDonkeyこそがInnesの兄を追い詰めた仇というべき存在だった。<br />
そして現在Donkeyは、弟Innesを自分の情報提供者とするために追い続けていたのだった。この街最大の大物犯罪者、Morris Tiernanを追い詰める手掛かりを手に入れるために。<br />
だが彼は古いタイプの刑事であり、警察自体は時代の流れで様変わりしている。規則に従い清潔な刑事部屋の中で、彼はいつも厄介な鼻つまみ者だ。情報提供者への無意味で過剰な暴力行為が問題視され、その職に留まれるか
さえ危なくなってきている。<br />
そんな立場からの一発逆転のための足掛かりとして、DonkeyはInnesを追い続け、やがてMoの死が発覚すると、Innesが何らかの形で関わっているに違いないと睨み、執着の度合いを高めて行く。<br /><br />
Moの死を受けて、Innesは再びMorris Tiernanに呼び出される。<br />
誰がMoを殺したのか知っているのか?<br />
はっきりはしないがいくつか考えがある。<br />
誰が殺ったかわかったらすぐに伝えろ。警察にじゃない。俺にだ。<br /><br />
Morrisの依頼でInnesはMoを殺した犯人を捜索し始める。だが、その中で彼は時々不可解な行動を取る。<br />
そして、物語中盤過ぎのある時点で、彼は一人称のモノローグの中でこう告げる。<br /><br />
俺は誰がMoを殺したか知っている。<br /><br />
ここで彼の不可解な行動の理由がすべて明らかになる。そうだったのか、アニキ…。そして我々はこの汚れた街の気高きチンピラ探偵が、このどうやっても抜け出せそうに見えない行き止まりからなんとか脱出してくれることを祈りながら、涙目で物語の結末へ向かって読み進めて行くこととなる。<br /><br /><br />
ああ、Ray Banksよ、ありがとう。オレはCal Innesアニキに会えて本当にラッキーだったよ。マジ泣きながら本を閉じるオレの感想はそれに尽きる…。
この四部作は、ハードボイルドファンならば必ず読まなければならない名作であり、2010年代ハードボイルドを代表する作品の一つであることを、私は確信をもって言える。<br /><br />
ここで、今回の冒頭からも言ってる「ハードボイルドの反逆児」という件について詳しく述べておこう。<br />
というところでまずRay Banksがハードボイルドにどう反逆しているのかというところから始めようとして、まあいつものことながら日本のハードボイルド認識の出鱈目さに躓くわけなのだが。マンガやアニメで
ハードボイルドっていえば、結局「ルパン三世」のかっこつけたやり取りぐらいしかストックが無いのが見え見えだったり。ハメット、チャンドラーとあとロスマクを数冊、自分の狭い犯人当てクイズミステリ認識の範囲内で読んで
「パロディ」ぐらいのつもりでやった「ハートボイルド」、「ソフトボイルド」みたいな激安便乗商法だったり。果ては「本格ミステリ」とやらのリアリティの皆無な探偵をベースに、「ワイズクラック」ってやつだと
思い込んでる薄っぺらい安いキザセリフを並べさせ、都合よく武道や格闘技経験があることにして腕っぷしが強い設定を加えて、ワンパターンのナゾトキストーリーの中をうろつかせてみたり。<br />
結局のところ、犯人当てナゾトキクイズ小説の中にちょっと変わった探偵役が出てるぐらいが日本のハードボイルド認識なんやろね。<br />
結局おなじみのところを最低ラインとして始めなきゃならない。まずは本格通俗とか、「ミステリとして」だか何だかの極端なロス・マクドナルド偏重、男の生き様マッチョ説教ホークがスーさんがハマちゃんが、
などを始めとする日本のクソハードボイルド定義の類いはすべて捨てろ!そんなもんから出てくる「反逆」ごっこなど、せいぜい曖昧な理解による「パロディ」気取りのインチキ便乗商法程度のものだ。<br />
ほぼ一世紀近くになる歴史を持つハードボイルドとは、例えて言えば同じ稼業を受け継ぐ一族のようなものだろう。私立探偵、警察官などを主人公とした犯罪をテーマとした小説。ミステリ小説を起源とするものだが、
トリックやその解決などよりも、犯罪のリアリティ、その結果などにより社会の裏側の実相を描くことが重視される。共通した稼業内容はそのくらいで、その歴史の中で様々な方法論が試され、内容方向性も
多岐にわたり、到底単純な「定義」などでそれらを規定することなどできるはずもない。例えば家系図の頂点に位置するハメットのコンチネンタル・オプと、近年に位置するケン・ブルーウンのジャック・テイラーを
包含するシンプルな定義なんてものが作れると思ってんのかい?そして考えようによれば、そのありとあらゆる試行錯誤が積み重ねられてきた広大・広範囲のキャパの中には前述のようなイカサマ便乗商法レベルのものすら退屈な三流以下作品として取り込まれてしまうほどだ。ハードボイルドが伝統的に持つマチズモイメージを裏返した弱虫探偵や、パロディマッチョ探偵、LGBTQ探偵、ヒッピー探偵、老人探偵、etc…。幼稚な思い付きパロディなんてとっくに凌駕してんだよ。
そして、そんな膨大なハードボイルドジャンルの中にあってもなお異端であるキャラクターCal Innesで、正統な後継者として反逆を示すのがこのRay Banksなのだ!<br />
Ray Banksは日本のバッタ屋などとは全く一線を画し、このジャンルを深く読み込み新たな自分の創作をもってジャンルに参画してきた作家である。だが、その作品はそのジャンルの中でも全く異色のものだった。
これがハードボイルドなのか?そうだ、文句があるか?これが俺のハードボイルドだ!こうしてRay Banksはハードボイルドに反逆する!<br /><br />
ここで、Ray Banksの反逆宣言ともいえる一編について紹介しよう。実はCal Innesシリーズにはいくつかの短編があり、主にウェブジンなどに発表されたもので、それらは今は亡きBlasted Heathでは
『Dirty Work』というタイトルで一冊にまとめられ単品でも販売されていた他、自分が持っている全作品収録のオムニバス版にも収録されていたのだが、残念ながら現在は入手することはできないようだ。収録作品と
その内容については後述するが、ここではとりあえずその反逆宣言と言える最初の短編『The Monkey Man』について紹介する。全面的にネタバレあり。<br /><br />
ある強風の夜、Innesは知り合いのDennisから手を貸して欲しいと連絡を受け、人里離れた彼の住むコテージへ向かう。彼はTVの子供番組で人気のキャラクターBashful Peteを演じるタレントだ。メンタル面とアルコールに
問題を抱え、度々出て行ってしまう彼女Fionaを説得し、連れ戻すのに手を貸している。だが、今回はちょっと違うようだ。うろたえるDennisに促され、寝室を覗くと、ベッドには顔を半分潰され、半裸のどう見ても
14歳以上には見えない少女の遺体が横たわっていた…。<br />
なんとかしてくれよ、Cal、このままじゃ俺のキャリアも人生もみんな終わりだ。縋りつくDennis。<br />
さて、ここでInnesはどんな行動を取ったか?<br /><br />
1).Dennisを手伝い死体を処分し、事件を隠蔽する。<br />
2).知り合いの警察関係者を呼び、騒ぎが大きくなりすぎないよう対策を立てつつも、正しい法の裁きを受けさせる。<br />
3).密室トリックを見抜き、真犯人を見つけ出し、断崖絶壁の上で自白させる。<br /><br />
答え。<br />
4).その場から逃げ出す。<br />
こんなもん俺の手に負えるか!俺はムショ帰りでまともな仕事にもつけないからこんなことをやってるだけなんだ!そしてInnesは街を目指して車を走らせて行く。<br /><br />
どうだ、俺の書く探偵はこういう奴だ。知力も力もコネもなく、大して機転が利くわけでもなく、死体を見れば心底ビビり、手に負えない事件ならとっとと逃げだすムショ帰りのチンピラ探偵だ。これがハードボイルド
じゃないと、どっかの高見から言いたい奴は勝手に言え!これが俺のハードボイルドだ!これは明らかにそういうメッセージだろう。<br />
英国のインディペンドパブリッシャーから出版されたこのシリーズが、果たしてどのくらい読まれたのかは知らない。だが、電子書籍黎明期、このハードボイルドへの反逆は、確実に少なからぬ数の世界に散らばる
ハードボイルドファンの心を掴んだはずだ。そして数多のハードボイルドを読み続け、それしか能のないハードボイルド馬鹿のオレも、何度でも繰り返す!ハードボイルドの反逆児Ray Banksによるマンチェスターの
チンピラ探偵Cal Innes四部作は、ハードボイルドを愛するものなら必ず読まなければならない名作だ!<br /><br />
…とメチャ熱で語った後だとなーんか腰砕けっぽく見えるかもしれんが、少し視点を変えるとこのCal Innes四部作、その反逆性・異端性という輝きは一切薄れるものではないが、ハードボイルドの大きな海の中では
やはり一つの流れに属して行くものかもしれない。例えば、ハメット、チャンドラー~スピレイン/マイク・ハマー~J・D・マクドナルド/トラヴィス・マッギーなどと続くハードボイルドの歴史の中で、それと同等の
マイルストーンとなると思われる存在にケン・ブルーウンがいるが、これから先に続く歴史の中でそれほど明確なポジションをまだ指摘できないものの、仮に主人公である探偵が事件に深く関わり、場合によっては
当事者・被害者ともなってしまう傾向の作品群と見ると、このCal Innes四部作もそのケン・ブルーウンを軸とした流れの中に存在する作品と見えてくるのかもしれない。<br />
そもそもハードボイルドが、『○○殺人事件』とやらを知力と理論とかで安全な高みから解決した後、次の『△△殺人事件』に同じような涼しい顔をして現れるナゾトキロボット探偵が登場する犯人当てクイズから、
リアルな人間を主人公とする小説へと進化した時点で、そこに至る道は決定付けられていたのかもしれない。そして今言っているそれも、単純にブルーウンの突発的な発明ではなく、その歴史の中で時々現れてきたものだろう。
古くはチャンドラー『長いお別れ』あたりでもそういった感じはあったし、適当に思い付く限りでも70~80年代のクラムリーなんかもそうだろう。そしてエルロイ。この傾向の中でも突出した超破滅型のロイド・ホプキンスを創造するが、
そこでシリーズキャラクターといった方向を見限るようにしてLA四部作などの群像劇によるクライムストーリーに転換して行くわけだが、例えばピート・ボンデュラントなどを一つのシリーズ・キャラクターの
展開という考えで見るとまた違った見方も出てくるように思える。なんかエルロイに関しては、最近になってようやくハードボイルド/ノワール史の中での位置付けがぼんやり見えた来た感じで、自分の中でも明確な重要度上がってきているのでこれから言及して行くこと増えると思う。そういった流れの中で出てくるのがブルーウン ジャック・テイラーなのだと思う。そしてこういった流れは常に誰が誰の影響を受けたというような単純な直線で結べるものでもなく、時代の風潮など様々なものによって次にそういうものが産み出されて行くことになるのだろう。この流れの中に更に線を繋げにくそうなランズデール ハプレナを加えてもいいわけだしさ。
こういった流れを見極めて行くには、常にそういった薄いつながりを手掛かりに曖昧な傾向を追って行くしかない。決して軽々にこじつけ的に組み立てた「定義」などに捕らわれないように。
こういった方向でさしあたって思い付くのは、相変わらずの放置中で申し訳ないJoe Clifford Jay PorterシリーズやJohnny Shaw Jimmy Veeder Fiascoシリーズ、あとDave White Jackson Donneなどもっと系統的に
ちゃんと読んで行かなければ。その他にもまだ手付かずのシリーズも数多…。もちろんジャック・テイラーさんも早く続き読まなきゃなんないし、やっぱりそういった傾向のあるジェイムズ・リー・バーク ロビショーの
続きとかも読んでいかなくちゃ。日本じゃ8作止まりだけど(今じゃそれでも出た方か…。)23作まで出てるんだよ。そんなこんなで結局ワシ、「最優先で読まなきゃなんない本」がとっくに100冊超えてるかもしれないな…。
いや、確実に超えとる。<br /><br />
ここで先にちょっと書いたCal Innes短編集『Dirty Work』について収録作品など簡単に紹介しておきます。前述の通り現在では販売されておらず、また長編作の巻末に各個の作品が収録されていることもなさそうです。
主に第1作が刊行される以前にに、ウェブジンなどに発表されたものです。最後の「There Is A Light That Never Goes Out」のみ初出が書かれていなかったので、短編集としてまとめる時に
書き下ろしとして書かれたものかもしれません。長編第1作発行が2006年で、これらの短編は2002~2004年に発表されたものですが、最初の『The Monkey Man』の作中で、内容に関係ないMorris Tiernanについての言及も
あるところから、長編第1作は構想中であったか、場合によっては既に完成していて売り込み先を探していたのではないかと思われます。<br /><br />
<b>1).The Monkey Man:2002年</b><br />
<b>2).Donkey Work:2003年</b><br />
InnesはDonkeyに呼び出され、あるドラッグディーラーの様子を探ってくるように命じられる。端下金の仕事だがPauloへの家賃の支払いのためには引き受けなければならない、と自分に言い聞かせ向かったInnesだったが…。
こちらの短編の中でもDonkeyがInnesの兄Declanをドラッグ中毒に付け込み情報屋に使っていたことが伝えられる。<br />
<b>3).Diamond Dogs:2003年</b><br />
盗まれた犬を取り戻してくれ、と依頼されたInnes。教えられた住所に行ってみると数人の男たちが今まさにその犬を運び出すところで、尾行を続けたInnesは闘犬場にたどり着く…。冒頭のジムのシーンで第2作の
Liamがチョイ役で登場するが、まだボクシングを始めたばかりでいかにも血の気の多いチンピラという感じ。<br />
<b>4).Walking After Midnight:2004年</b><br />
Innesはある男から友人の娘の様子を探ってほしいと依頼される。その娘はどうやら良くない男に引っ掛かっているようだ。Innesはその娘を密かに監視し、件の男と出かけるのを尾行するが…。Innesの恋人Donnaが登場。
しかし、長編第1作の時点でもう出てこなかった気がするが…。<br />
<b>5).The Beat Goes On:2004年</b><br />
Innesは詩の朗読会が行われるパブに以来の報告のために赴く。出て行った彼女を捜し出して欲しいというのがビートニク詩人グループのリーダーの男からの依頼だった。難なく彼女を見つけ出したInnesだったが、
彼女の意思は彼の元に戻るつもりはないというもの。その際に撮った彼女の写真を見せ、男は納得してInnesに探偵料を払ったかに見えたが…。<br />
<b>6).Love Will Tear Us Apart:2004年</b><br />
夫が浮気をしているようなので調べて欲しい、という依頼を受け、あるホテルで行われるその夫が参加するビジネスセミナーに潜り込んだInnes。首尾よく正体を隠したままその男性と仲良くなり、ホテルのバーで
妻に対する不満などの長話をするまでに至ったが…。<br />
<b>7).God Put A Smile:2004年</b><br />
教会の神父からの依頼。かつてInnes同様にPauloが身元引受人となりジムに通っていた少年George。しかし性格的にボクシングは向いていなく、教会で地域の子供たちに遊び場を提供するボランティアのバスの
運転手として働いていた。だが最近、彼が遊びに来た子供に性的いたずらをしているという噂が広まっている。神父からの依頼はその真偽を確かめて欲しいというものだった。しかしInnesが調査を始める間もなく、
教会には噂を聞き付けた親たちが詰めかけ、エキサイトした彼らは暴徒と化して行く…。<br />
<b>8).Take Down The Union Jack:2004年</b><br />
マンチェスターで移民排斥を訴え、政界にも打って出ようとしているグループのリーダー、Jeffrey Briggsからの依頼。彼の20歳になる息子が行き先も告げず毎夜外出しているのだが、何か面倒ごとに巻き込まれている
気配もあり、探ってみて欲しいとのこと。息子を尾行したInnesは、彼が近くのスーパーの駐車場でアジア系の友人たちとつるみ、マリファナを吸いドラッグの売人に近づくのを目撃するが…。このJeffrey Briggsは、
長編第3作にもInnesと直接の接触はないが、移民排斥運動の政治的主導者として登場する。<br />
<b>9).There Is A Light That Never Goes Out</b><br />
刑務所に入っていた頃のInnesの話。後にInnesの守護者であり最も重要な友人となるPauloとの出会いが描かれる。Innesの事情を聞きつけ、面会人としてやってきたPaulo。俺の話は聞いてるだろう?外に出たら
身元引受人になってやるから俺のところに来てみないか?なに、ボクシングをやれっていうんじゃない。お前の得意なことをやってみろよ。この話の中で、Innesはちょっとした揉め事を解決に導き、
そういう仕事が性にあっているのかもしれないな、と気付く。<br /><br />
長編第1作の事件の後、Innesは探偵を廃業してしまうので、いずれも時系列的にはそれ以前の話ということになるでしょう。本編ではあまり積極的には見られなかった
私立探偵Cal Innesの様々な活躍が見られるところですが、多くはこの探偵らしい苦い結末となっています。いずれもCal Innes/Ray Banksらしい印象深い物語で、現在販売されていないのは本当に
残念です。いつの日か再刊の機会があればと思います。<br />
それにしてもこういったある意味普通のPIストーリーとして書かれていても充分魅力的なCal Innesのメインストーリーとして、敢えて主人公が様々な形で喪失して行く悲劇的な物語が創られたということは、
やはり現代のハードボイルドが、「安定」や「成熟」の末に安心して読めるお手軽な犯人当てナゾトキクイズになるのではなく、その真逆である前述のような方向に向かっている傾向があることを如実に
表してるんじゃないですかねえ。<br />
しばらく前にこの作品『Beast of Burden』が出て四部作が完結した直後ぐらいの時のRay Banksへのインタビューを見つけて、ここでリンクを張ろうと思ってたのだだけど、今回探してみたらもう見つからなかった。
何らかの事情で消えてしまったのだと思う。その中で、Banksはかの英国ノワールの第一人者であるテッド・ルイスへのリスペクトも語っており、一方でルイスを「文学的」という方向で持ち上げるような動きには
憤りを表していたりするところがこの人らしくてやっぱ信頼できるな、と思ったりした。<br />
作者Ray Banksの近況については、また不明というところ。ちょっと今のところ新作を発表する機会も意思もあまりないのかもしれない。しかし、これほどの才能がここで終わってしまうのは本当に惜しいと思うので、
いつの日にかまた復活してくれないものかと、切に願う。Ray Banksについての新しい情報があれば、なるべく早くお伝えするつもりだし、現在読める他の作品についてもなるべく早く読んで、詳細・感想などを
書いて行くつもりです。<br /><br /><br />
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近況報告的なやつですが、最近かのハードボイルド/ノワール世界遺産、リチャード・スターク パーカーシリーズを一から再読しております。その最大の目的は未訳で多分この先も翻訳の見込みはないだろう
残り4作を読む事なのですが、まあ日本のこのジャンルのファンの人なら誰でも知ってる重大な問題がこのシリーズの翻訳にはあります。それが角川から出版された3作。そのうち第7作『汚れた7人』は、
2008年に奇跡的に再刊されたのですが、それ以外の2作、第8作『カジノ島壊滅作戦』と第14作『死神が見ている』は超入手困難、一度も見たことありませんに長年なっています。多分70年代に初版出たきりなんじゃないかなあ。
まあ今となっては、再スタート以前の早川書房からのものも入手困難になっているところですが。もはやこれは手に入らない作品と諦め、そこは飛ばしてシリーズを読んでいた人がほとんどだと思いますが、
今は電子書籍によりお手軽に原書を入手して読む事が出来ます!そんで読みました。第8作『The Handle (邦訳題:カジノ島壊滅作戦)』!ではここで感想としてあまりにも当たり前のことを書きます。<b>パーカーシリーズはすべて大傑作なので、再読でも
大変面白いが、初読のパーカーはもうメチャクチャに面白い!</b>なんかあまりにも当たり前のことを言ってると思うでしょうが、私同様長年このような状況に置かれてきた同志諸君の中にはこれに心動かされた人も
必ずいるはずだ。いや最初はずっと読めなかったやつが読めるぞーぐらいのところで読み始めたわけですが、読み進めて行くと当然だが読んだことない奴では先がどうなるのかはわからない。これでどうなるんだ?
次は?と夢中になって読んでいるうちに、ああ、パーカーを初めて読んだ時はこれほど面白かったのか、とある種の感動をもって気付いたわけでした。<br />
こういう素晴らしい本と出合うことで読書にはまったが、近年はもうしょうもないランキングぐらいしか手掛かりがなく、仕方ないからそこで本を探しても押し付けられるのは魅力に乏しい犯人当てクイズばかり。
もう今はこんなものしかないのだろうな、と読書への意欲さえ衰退していた同志難民諸君!今こそパーカーに帰還するときだ!日本の様々なクソ勢力によってスポイルされた読書の喜びをその手に取り戻すのだ!<br />
パーカーシリーズはキャラクター、コンセプトに合わせ、全体的に簡潔正確と言った感じの短い文章で綴られているので読みやすく、洋書初心者の人にもお勧めです。で、未訳の4作の方ですが、Kindle版では
一作を除き英国版で出ていて、700円台か時期によれば2~3割ぐらい安い日本の文庫以下ぐらいの価格で入手できます。<br />
<a href="https://amzn.to/3Se1Lee" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/811kchWOx0L._SL1500_.jpg"/></a>
そして私のような種類の者だと、パーカー読むとウェストレイクつながりで、そう言やあドートマンダーも未訳があったよなあ、と思い出してしまうもので、そこで調べてみると5作が未訳で残っていました。
途中飛ばされたのもあり。いや、パーカー好きな人はドートマンダーもれなく好きだよな。ちょっと知名度的には劣る感じもあるのだが、もし知らなかったなんて人がいるなら、第1作『ホットロック』から
必ず読むべし!こちらはすべて前述パーカーの安い方と同じぐらいの価格で入手可能です。<br />
<a href="https://amzn.to/3O2hv1k" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81d5BDPnaYL._SL1500_.jpg"/></a>
更に、こういうオタクは、そういやウェストレイクとジョー・ゴアズって仲良くて、上記の2シリーズとゴアズのDKAで、それぞれのキャラクターが同じ町にいてすれ違うみたいな遊びをやっていたよなあ、と思い出し、
ゴアズのDKA探偵事務所シリーズの未訳まで探してみたりするのですが、こちらは2作。ウェストレイクの2シリーズと同じぐらいかもう少し安目ぐらいで入手できます。あー、このコラボパーカーは確実だと
記憶してるのだけど、ドートマンダーの方いまいち自信がなく間違いだったらごめん。ところでDKAの短編なのだけど、昔新潮文庫から『ダン・カーニー探偵事務所』という確か日本独自でまとめた短編集が出てたんだけど、
実はその後に出たやつなのか一作だけ未収録で、それも含めた全短篇が『Stakeout on Page Street: And Other DKA Files』というタイトルで一冊にまとめられています。<br />
<a href="https://amzn.to/47BO798" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: right;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/51DRhA-eyJL.jpg"/></a>
あと、その流れで思い出してちょっとお詫びせねばというところなのですが、時々書いてるバリー・ギフォード『Sailor & Lula: The Complete Novels』の件です。なんかこのギフォードのシリーズほぼ未訳
みたいに書いたかもしれないけど実はほとんど翻訳されてましたね。『ワイルド・アット・ハート』の他に『セイラーズ・ホリデイ』というのが出ててそちらに『ワイルド~』以降のシリーズがまとめて収録されてます。
タイトルだけ見てシリーズ第2作の表題作だけなのかと思い込んでました。文春紛らわしいことすんなよと逆ギレ。ただ、こちらの『Sailor & Lula: The Complete Novels』には翻訳版に収録されていない
第7作『magination of the Heart』まで入っていますので、一応丸損にはならないかと。まあ自分的にはギフォードぐらいなら最初から原文で読みたいというところだったので、問題は無いんですが。
まあこれからは日本で出てそうなやつに関してはもうちょっとよく調べてから書くように努めます。今回はすみませんでした。<br />
なんかついでのつもりが思いのほか長くなってしまったけど、この辺の未訳のものに関しては読んで余裕があればいずれちゃんと書いて行くつもりです。あと、グロフィールドについては忘れてないから。とりあえず
未訳のは無いけど、パーカーについて書く機会あったらちゃんと触れるからね。<br /><br />
今回Ray Banks作品について書くにあたり、何か他に情報は無いかと現在唯一関係があるように思われる、以前にも書いたNeo Textのホームページを見に行きました。結局Banksの情報はなかったのだけど、結構気になる
新刊などもあったので、内容不明のままだけどちょっと書いときます。<br />
<a href="https://amzn.to/3vzaDlX" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91aHRlwxxSL._SL1500_.jpg"/></a>
以前にEduardo Rissoがイラストを担当する『Hole』についてお知らせしたGerry Brownが、今度はBenjamin Marraとのコラボで新作『Walking The Edge』を発表。Benjamin Marraというのは今年の8周年で『Terror Assaulter
(O.M.W.O.T.)』というヤバいコミックを紹介したあの人です。今見たらアダルト指定になってたけどあれ大丈夫かな?Gerry Brownという人については今のところ一切不明なのですが、これほどの大物と立て続けに
タッグとなるとちょっと放っとけない感じなのでなるべく早く読んでみるつもりです。しかしRissoとかMarraのイラスト入って100円台ならまず迷わず買うわな。<br />
<a href="https://amzn.to/420Uths" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81Gw4183KbL._SL1500_.jpg"/></a>
こちらも正体不明ですが、最近連続して作品が出版されているMark Rogersという人。何か気になるMexico noirシリーズというのをやっている模様。現在までに4巻まで発行されています。立て続けに発行というところから
どこか別のところでやっててそちらが潰れたとか、自費出版でやってたかというあたりが予想されます。どんな感じかはまだわからないけど、結構頑張ってる感じだし、やっぱウィンズロウのカルテル三部作以来
メキシコのそっち方面は熱いところなのでできれば押さえときたいというのもありますね。<br />
<a href="https://amzn.to/48uWiWk" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/912KPXElzSL._SL1500_.jpg"/></a>
こちらも見るからにヤバい系。Jack Quaidという人はこの他2作のNeo Textからのリリースの他、自費出版でSF、アクション系の作品を出しているようです。これについても内容・クオリティ一切不明でジャケ買い。
もしかしたら日本の50ページぐらい読んだらゴミ箱にぶち込みたくなるゲス本ぐらいかもしれないけど、まあそれならそれであっちのゲス本底辺方向を探るのも意味あるかと。そりゃぬるい犯人当てクイズ押し付けられてるより遥かに有意義でしょ。それにしてもイラストのブッチャー・ビリーって…。やっぱ『The Boys』のファンなのかなあ?<br />
今回ピックアップしたものも含めて、全部かは確認していないけどNeo Text出版作品は100円台の超低価格です。まだ新興小パブリッシャーのNeo Textとしては、カバーや低価格に惹かれて寄ってくる変人バカを集めて
少しでも認知度を上げて行きたいと頑張っているところなのだと思います。つまり私のようなもんがど真ん中のターゲット!ここは思惑通りにまんまと引っ掛かり、日本でも読者を獲得できるよう騒ぐ方向で努力して行かなければと
思うところです。あー、例のスコットランド一派とか新しい方でもプッシュして行きたいやつは山積みなのだけど。こっちも頑張るのでNeo Text気になるやつあったら読んでやってくれや。<br /><br />
<a href="https://neotextcorp.com/">Neo Textホームページ</a>
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<a href="https://amzn.to/3TZ6CBf" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91JJi-B95tL._SL1500_.jpg"/></a>
最後に戸梶圭太先生最新情報。何とか読み始めました。多元宇宙りんご町シリーズ!現在までに4巻までが絶賛発売中ですが、こちらはとりあえず2巻まで。<br />
あの『ご近所探偵ともえ』シリーズの脳天気夫婦が、離婚して帰って来た!離婚してラブラブカップルに戻ろう、ぐらいの理由で離婚してみたともえとカッちゃんが相変わらずという感じのノリで、新天地りんご町を闊歩!
昭和からタイムスリップしてきた?時空婦人警官や、本当に資格があるのかもわからない自称民生委員などぶっ飛んだ仲間が次々登場!ぬるいあるあるギャグを毒臭靴下キックで蹴飛ばす、嫌だけどあるあるかもギャグ満載で
やな感じにほっこりさせる?抱腹絶倒または腹部に物理パンチ喰らう感じのコメディシリーズ!戸梶画伯によるフルカラー美麗イラストも満載!絶対読もう!戸梶先生は続く5巻も鋭意執筆中とのことです。<br /><br /><br />
なんとしてもこれだけはやらなければとこだわって来たRay Banks Cal Innes四部作もなんとか完成しました。ホッとしたかというところで、思い付きの近況を書いていたら、新旧共にやらなければならない案件が
あっという間に山積みになってしまいました。なんか落ちものパズルで面クリアしたかと思ったところでどちゃっと落とされてきたみたい。なんとか時間あるうちに頑張っておかなければ、というとこです。ではまた。
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
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<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/09/ray-banks-saturdays-child-cal-innes1.html">Ray Banks / Saturday's Child -マンチェスターのチンピラ探偵Cal Innesシリーズ第1作!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/01/ray-banks-sucker-punch-cal-innes2.html">Ray Banks / Sucker Punch -Cal Innesシリーズ第2作!マンチェスターのアニキ、再登場!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/10/ray-banks-no-more-heroes-cal-innes3.html">Ray Banks / No More Heroes -Cal Innesシリーズ第3作!マンチェスターのチンピラ探偵疾る!-</a>
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■Ray Banks<br />
●Cal Innes四部作</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48y2wVa"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81zqebSbdiL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48y2wVa"><p>Saturday's Child</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HiEXUw"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81d5ct3LTtL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HiEXUw"><p>Sucker Punch</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47ATNk3"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816t4b7W8fL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47ATNk3"><p>No More Heroes</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aV4RuT"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/818xuB0ih8L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aV4RuT"><p>Beast of Burden</p></a>
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●Farrell & Cobbシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3ShKWzi"><p>Wolf Tickets</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RU1lZf"><p>Trouble's Braids</p></a>
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●長編</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48TPKQW"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51pPdmyVPWL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48TPKQW"><p>The Big Blind</p></a>
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<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/48vnzYp"><p>Gun</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vFVNtI"><p>Dead Money</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U0P2x2"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51BkxF5jjQL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U0P2x2"><p>Matador</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O0dQkR"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81U2IuOly8L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O0dQkR"><p>Inside Straight</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tY2JSv"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/819OoKNRvyL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tY2JSv"><p>Angels of the North</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■あのシリーズの入手困難&未訳<br />
●リチャード・スターク/パーカー入手困難&未訳</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3SeAt7F"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91SUiB5CgPL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SeAt7F"><p>The Handle</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48tzGWf"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41qmQYnl05L.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48tzGWf"><p>Deadly Edge</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4b6fqvw"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81TAHjSRSZL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4b6fqvw"><p>Breakout</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41YSE4D"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71Ytt8MdRoL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41YSE4D"><p>Nobody Runs Forever</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/3HiZx7d"><p>Ask The Parrot</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48Q68lo"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81D5ZYzvJuL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Q68lo"><p>Dirty Money</p></a>
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●ドナルド・E・ウェストレイク/ジョン・ドートマンダー未訳</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48vpe05"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/811kchWOx0L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48vpe05"><p>Drowned Hopes</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3ShAkAg"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91ey6WJMqEL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3ShAkAg"><p>The Road to Ruin</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O3Ds05"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81WmzKkitML._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O3Ds05"><p>Watch Your Back!</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O1sAQk"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81hpSXHm+pL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O1sAQk"><p>What's So Funny?</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48nML3b"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91yeSonPo9L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48nML3b"><p>Get Real</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●ジョー・ゴアズ/DKAファイル未訳</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3RVLhGk"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816FtBGOe6L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RVLhGk"><p>Contract Null and Void</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TUVCVL"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81PFYAyDwGL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TUVCVL"><p>Cons, Scams and Grifts</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3O2ZDDA"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81d5BDPnaYL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O2ZDDA"><p>Stakeout on Page Street: And Other DKA Files</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Neo Textに注目せよ!</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3RU60dH"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81zgMpaUMQL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RU60dH"><p>Hole/Gerry Brown</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RV8aKc"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91aHRlwxxSL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RV8aKc"><p>Walking The Edge/Gerry Brown</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3Hl2PqB"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81Gw4183KbL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3Hl2PqB"><p>TJ99 (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48Uhy7p"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/817DYc7wKtL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Uhy7p"><p>Mockingbird (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aX4CiW"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81WIIdTWpzL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aX4CiW"><p>Along The Wire (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RZKFPW"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816Dovd9TqL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RZKFPW"><p>Hold Fast (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tQQOG8"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81SMZj8tdaL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tQQOG8"><p>Black Velvet (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SgL5mk"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81eP+y9GC-L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SgL5mk"><p>Iron Star (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SfZVcK"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81P6ttnIdCL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SfZVcK"><p>Blue Eyes (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48v32DC"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81jottAZ2KL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48v32DC"><p>Broken Sword: A Mexican-noir novella (Tijuana Noir)/Mark Rogers</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<a href="https://amzn.to/48vrYup"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/912KPXElzSL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48vrYup"><p>Bloody Mayhem/Jack Quaid</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aYkqlB"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1VgFuNROHL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aYkqlB"><p>Star Blaster/Jack Quaid</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vzNLCZ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1V67pS+n8L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vzNLCZ"><p>Anonymous Jane/Jack Quaid</p></a>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSfe8Y"><p>多元宇宙りんご町2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NOKTbx"><p>多元宇宙りんご町3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S6QYCu"><p>多元宇宙りんご町4</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H7FKHF"><p>半グレVSノーマスクカルト コロナ日本の内戦2021</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RKMBvH"><p>みなさまのキルスイッチ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tz4DsV"><p>5Gマンを殺せ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47sn4Ns"><p>Stay Sitty</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RO68vl"><p>忘れ死神ぴよ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47pbx1p"><p>宝くじ販売員の戦争</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PBgiy"><p>空からの死、地からの命 あいつは戦争がえり3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSkFF1"><p>高く立て、低く這え</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aN853S"><p>僕とじいちゃんと彗星Z</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vx1Kcl"><p>シュレッドタワーと哀しい人たち</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48nqYbW"><p>コロナ日本の内戦</p></a>
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<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-54881421414659466812022-07-21T20:30:00.001+09:002022-07-21T20:30:00.185+09:00Dark Horse発Berger Books。それでもコミックは前進する!<a href="https://www.amazon.co.jp/Invisible-Kingdom-English-Willow-Wilson-ebook/dp/B07PWT3GXN?pd_rd_w=RYqwz&pf_rd_p=a4dc92d7-7100-437e-b3e3-2349e8298523&pf_rd_r=MNV65X114JWCX4Z2DTHY&pd_rd_r=421064ff-9925-447b-8119-113420d21dbc&pd_rd_wg=dfCxn&pd_rd_i=B07PWT3GXN&psc=1&linkCode=li3&tag=ievenlostmyca-22&linkId=e1984dda7fdbae14e5e0c61073d36ac8&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_il" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=B07PWT3GXN&Format=_SL250_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=ievenlostmyca-22&language=ja_JP" ></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=ievenlostmyca-22&language=ja_JP&l=li3&o=9&a=B07PWT3GXN" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
コミックの方もずいぶん久しぶりになっちまったのだが、遥か昔に予告していた通り、今回はDark Horse Comics。2017年より開始され、結構作品も多くなってきたカレン・バーガーによるBerger Booksについて、
いくつか作品をピックアップしながら書いて行きたいと思います。<br /><br />
多分一昔前ぐらいだと、カレン・バーガーというのもコミックの一般常識ぐらいだったと思うのだが、昨今ともなるとその辺の情報がなさそうな人も多そうに思えるので、ここで簡単に説明しとく。
1979年にDCコミックスにアシスタント・エディターとして入社後、アラン・ムーア、ニール・ゲイマンなど英国作家の起用で頭角を現し、93年にVertigoが立ち上げられた後には、『Fables』、『 Hellblazer』、
『The Invisibles』、『100 Bullets』などなどの伝説的作品を次々と送り出し、アメリカのコミックに一つの新しい流れを築き上げた編集者である。日米ともにコミック-マンガの世界で、編集者がやたら持ち上げられたり、
出しゃばったりするとろくなことにならないというのが一般的ではあるが、そういう中で数少ない例外としてどの方面からもリスペクトされる、真のカリスマ編集者である。<br />
その後、近年になりDCの経営方針の変化でVertigoのの編集方針も変更、縮小撤退の流れの中で、2013年にDCを退社。そして、Dark Horse Comicsからの招聘を受け、同社内にバーガー編集による新たなコミックレーベル
Berger Booksを立ち上げたというわけである。<br />
<a href="https://www.amazon.co.jp/Berger-Books-Horse-Samplers-English-ebook/dp/B0767PS5G7?pd_rd_w=d63F8&pf_rd_p=a4dc92d7-7100-437e-b3e3-2349e8298523&pf_rd_r=KYW8RM868QVVAX8SNN6P&pd_rd_r=530efa25-55b8-4511-9e79-bca7e7325233&pd_rd_wg=W7pps&pd_rd_i=B0767PS5G7&psc=1&linkCode=li2&tag=ievenlostmyca-22&linkId=aa1124c15c490a96a27b109041303675&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_il" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=B0767PS5G7&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=ievenlostmyca-22&language=ja_JP" ></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=ievenlostmyca-22&language=ja_JP&l=li2&o=9&a=B0767PS5G7" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
最初の出版は、2018年1月、日本での翻訳もあるVertigoからの『Get Jiro!』のAnthony Bourdain/Joel Roseによる日本の怪談百物語をベースにした『Anthony Bourdain's Hungry Ghosts』。以降数多くの作品が出版されており、
一応後ほどリストを作るつもりであるけど、一部の作品はKindleで出ているフリーのサンプラー<a href="https://amzn.to/3sqLQfn">Berger Books Sampler #1</a>、<a href="https://amzn.to/3P6mjlo">Berger Books Sampler #3</a>から見ることもできます。何故#2が無いかは不明。今回はそれらBerger Books
作品の中から『Invisible Kingdom』、『Everything』、『The Seeds』の3作品について紹介して行きます。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:50px;">■Invisible Kingdom</h3>
<a href="https://www.amazon.co.jp/Invisible-Kingdom-English-Willow-Wilson-ebook/dp/B07PWT3GXN?_encoding=UTF8&pd_rd_w=V9fuP&pf_rd_p=09fc5329-add5-4943-82f6-96f98cfdada8&pf_rd_r=B6PEZR8XRMBC92DEY62H&pd_rd_r=e453b4dc-fe63-4514-a2c1-6fdaeb960dc8&pd_rd_wg=Fi1sW&linkCode=li2&tag=ievenlostmyca-22&linkId=11c716837ecd61df77da437cfefb3fe9&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_il" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=B07PWT3GXN&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=ievenlostmyca-22&language=ja_JP" ></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=ievenlostmyca-22&language=ja_JP&l=li2&o=9&a=B07PWT3GXN" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<b style="margin-left:10px;">G. Willow Wilson / Christian Ward</b><br /><br />
我々の住むところとは別の太陽系を舞台としたSF作品。いくつかのそれぞれに異なった固有の種族人類が生存する惑星で構成され、星間宇宙航行技術が発展しており太陽系全体で一つの社会を構成しているという設定
だと思われる。<br />
星系内には二つの大きな勢力が存在する。一つは星系内最大の企業Lux。もう一つは清貧を美徳とし、教義の到達点である”見えざる王国”への道を啓くと説く教団Renuciation。<br />
Luxの星間貨物配送船の船長Grixは、運搬中の事故で荷物の一部がただの空箱であることを偶然知り、偽装取引が行われていることに気付く。<br />
一方、Renuciationに入信したばかりのVessは、割り振られた仕事の中で、Luxと教団の間で不可解な金の動きがあることを知る。<br />
船から発せられた救難通信をきっかけに二人は出会い、そして星系を揺るがす物語は始まって行くこととなる。<br /><br />
<a href="https://d2lzb5v10mb0lj.cloudfront.net/common/salestools/previews/3003640/3003640p1.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="800" data-original-width="527" width="550px" src="https://d2lzb5v10mb0lj.cloudfront.net/common/salestools/previews/3003640/3003640p1.jpg"/></a>
</span></span>
<span style="font-size: x-small;">[Dark Horse 『Invisible Kingdom #1』 プレビューより]</span><span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<br /><br />
ストーリーは女性作家G. Willow Wilson。ボストン大学を卒業後、エジプトに渡り英語教師の仕事に就く。帰国後、2007年にVertigoからグラフィックノベル『Cairo』(作画:M.K. Perker)にてコミック作家としてデビュー。
以後、同Vertigoからのオリジナルシリーズ『Air』に続き、DC『Wonder Woman』、マーベル『Ms. Marvel』なども多く手掛けている。『Ms. Marvel』は翻訳もあるはずなので詳しい経歴はそっちに載ってるんじゃないかと思う。
Vertigoからのデビューということで、カレン・バーガーとも関係の深い作家なのだろう。<br />
こちらの作品TPB全3巻で出ており、ちょっとよくわからないのだけど、どうも最初の2巻は1話ごと全10話で出ているようだが、最後の3巻は書き下ろしグラフィックノベルとして出たらしい。女性作家の作品として、
主要キャラクターはGrix、Vessを始めとして主に女性。Grixの星間貨物船の乗組員も、Grixの小学生ぐらいの息子以外は多分女性(一人どう見てもプロレスラー体格のオッサンにしか見えないキャラがいるが、話の流れ的に
多分女性。)。宇宙の運送業者というと、英国2000ADの『Ace Trucking』などもあり、あっちのSF界隈ではポピュラーな設定なのかな、と思っていたんだが、1巻のWilsonのあとがきによると、インスパイアされた作品として
日本のアニメ『カウボーイビバップ』が挙げてあったりした。まあNetflixの「実写版」というのもあるんだから世界的にも知名度はあるんだろうけど、SFというとやっぱりあっちが本場と思ってしまうのでなかなか
興味深かったり。<br /><br />
途中なのだけど、ちょっと思いついたのでコミック-マンガのストーリー制作者の呼称について。日本では長い間の習慣として漫画のストーリー制作者については「原作」と呼称されており、それに従いコミックのストーリー制作者に
ついても原作と表記されることが多く、自分もそう書いたこともあるんじゃないかと思う。しかし、日本では近年特にラノベからの映像化・コミカライズの増加により、その表記ではマンガなどのオリジナルストーリー
を指しているのかがわかりにくくなってきているのではないかと思う。実際世代によっては「原作」と書いてあったら元になる小説の形があるものと思い込むぐらいの層もいるんじゃないかというところなんじゃない?
この「原作」の特殊な使い方って基本習慣になっているマンガだけなんで、そろそろ考えるべきだし、まして海外のコミックへの考えなしの流用はやめた方がいいんじゃないかと思う。
あと海外のコミックに関してはクレジットに使われている「ライター」というのをそのまま使うことも多い様だが、なんか日本の出版業界便利屋雑文業を連想させて、クリエーターとしての品格を下げる印象もある。
まあそんなわけで、これまで「原作」、「ライター」などの表記をしてきたかもしれないんだけど、このブログでは今後は「ストーリー」という形の表記に統一することにしましたということです。<br /><br />
作画Christian Wardは、英国出身の現在最注目ぐらいのアーティスト。ご覧の感じのサイケデリックというようなカラーのデザイン的な画風が特徴。
ロンドン在住ということだが、コミックの仕事は主に米国。マーベルDCにもいくつかあるようだけど、カバーのみのもあるのかちょっと不明。オリジナル作品としてはImage ComicsのNick Spencerとの『The Infinite Vacation』や、
Matt Fractionとの『ODY-C』などがある。最新作『Blood-Stained Teeth』(Image Comics)は単独オリジナル作なのかと思ったら、こちらではストーリーの方に回り、作画は新進気鋭のアーティストPatric Reynoldsが担当。
かなりバイオレンステイスト強めの期待作である。現在最前線で活躍中今後の活動にも要注目の、最新アメリカン・コミック最重要作家・アーティストであることは間違いないだろう。</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Everything</h3>
<a href="https://www.amazon.co.jp/Everything-1-English-Christopher-Cantwell-ebook/dp/B07VSBVS2X?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=3LMD0R4TR4UH6&keywords=Christopher+Cantwell&qid=1653847514&s=digital-text&sprefix=christopher+cantwell%2Cdigital-text%2C427&sr=1-50&linkCode=li2&tag=ievenlostmyca-22&linkId=4b7542855da5dcbcc7d484f0ec0cb386&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_il" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=B07VSBVS2X&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=ievenlostmyca-22&language=ja_JP" ></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=ievenlostmyca-22&language=ja_JP&l=li2&o=9&a=B07VSBVS2X" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<b style="margin-left:10px;">Christopher Cantwell / I.N.J. Culbard</b><br /><br />
1980年代のミシガン州のの田舎町Holland。町にみんなが待っていた大型ショッピングモールEverythingがやって来た!全米で人気のモールチェーン。何でも手に入るEverything。田舎町に多くの雇用も創出する。
だが、その熱狂の陰で町には不可解な事件が起こり始める。そして、その裏では未知の異次元からの精神侵略が企まれていた…。<br /><br />
80年代の様々な住民が暮らす田舎町ということで、『ツインピークス』が連想されるのだが、異次元からの侵略というあたりは50~60年代頃のSF映画やTVドラマのテイストもあり。英国の鬼才I.N.J. Culbardの
作画が独特のレトロフューチャー感を強く打ち出している。<br /><br />
<a href="https://d2lzb5v10mb0lj.cloudfront.net/common/salestools/previews/3005273/3005273p2.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="800" data-original-width="527" width="550px" src="https://d2lzb5v10mb0lj.cloudfront.net/common/salestools/previews/3005273/3005273p2.jpg"/></a>
</span></span>
<span style="font-size: x-small;">[Dark Horse 『Everything #1』 プレビューより]</span><span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<br /><br />
ストーリーChristopher Cantwellは、映画・TVの監督脚本として活躍し、近年コミックにも進出し始めた作家。この作品に先立ち同じくBerger Booksから2018年に『She Could Fly』(作画: Martin Morazzo)で
コミック作家としてデビュー。その後は『アイアンマン』、『スターウォーズ』などのマーベルシリーズ作品にも進出している。オリジナル作品から始めてマーベルDCのシリーズ作品へというのも最近では
久し振りに見たかも。まあマーベルDCの新しいところあんまり熱心に見てないからというのもあるんだろうけど。そういえば英国出身の『Zombo』のAl Ewingも最近ではマーベルでそこそこぐらいの作家になってるみたいだな。<br /><br />
作画I.N.J. Culbardは2000ADでの作品や、ラブクラフト、シャーロック・ホームズ作品のコミカライズなどで広く知られる英国のアーティスト。このブログ的には中断したままの2000ADの方でかなり書いてきているのだが、
日本的にはほぼ無名なのかもしれない。初見の人はこの人あまり画が上手くないのでは?と思っているかもしれないし、実際私も初見の頃はそうだったのだが、少し見ているうちにその独特のいまだに上手く言語化して
説明できない魅力に魅かれ始め、現在では世界規模で見ても唯一無二ぐらいの個性と魅力を持ったコミックのトップアーティストとして深くリスペクトしている。英国2000ADでの近作『Brink』は、
マーベルのガーディアンズ・オブ・ギャラクシーでも知られるDan Abnettとの共作だが、通常四半期で1シーズンのシリーズが約半年でスケジュールされる人気はCulbard作画による部分もかなり大きい。<br />
Culbard作画の特徴は、無機質な線とキャラクターや図形記号的な意匠の多いデザインやカラーリングなど。SFやファンタジー作品などを手掛ける時には多く見られるレトロフューチャー感などもその一つだが、
どこまで行ってもその独特の魅力をうまく説明できんところがある。いや、とにかくワシはCulbardが好きなの!これだってまずCulbardじゃん!で飛びついたんだから。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■The Seeds</h3>
<a href="https://www.amazon.co.jp/Seeds-English-Ann-Nocenti-ebook/dp/B07DZGS5PM?_encoding=UTF8&pd_rd_w=bezwA&content-id=amzn1.sym.09fc5329-add5-4943-82f6-96f98cfdada8&pf_rd_p=09fc5329-add5-4943-82f6-96f98cfdada8&pf_rd_r=K8AH7N3DX4ZCG3RSMRGZ&pd_rd_wg=PdB4U&pd_rd_r=3968faeb-d01b-41b2-8e61-d4be6ec3b83e&linkCode=li2&tag=ievenlostmyca-22&linkId=91fd8e63c92f3f3268f39a1978870aac&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_il" style="clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;" target="_blank"><img border="0" src="//ws-fe.amazon-adsystem.com/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=B07DZGS5PM&Format=_SL160_&ID=AsinImage&MarketPlace=JP&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=ievenlostmyca-22&language=ja_JP" ></a><img src="https://ir-jp.amazon-adsystem.com/e/ir?t=ievenlostmyca-22&language=ja_JP&l=li2&o=9&a=B07DZGS5PM" width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important; margin:0px !important;" />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<b style="margin-left:10px;">Ann Nocenti / David Aja</b><br /><br />
様々な技術文明が腐食するかのように衰退した近未来の世界。電気・通信などあらゆる技術文明がなくなり荒野と化した地域と、まだ文明の残る地域が厚い壁と鉄条網で仕切られ、ゲートは軍隊(?)によって守られている。
物語の主な舞台となるのはまだ文明の残る側の街。半ばスラム化した街では、次々と壁の向こう側へ行く人が増えてきている。街には有毒物質を含んだ雪が降り、住民に外出しないよう街頭スピーカーから警告が流される。<br />
街の新聞社で記者として働くAstraは、自分を取り巻く状況を常にシニカルに横目で眺めながら、その奥で常に自分の心を惹きつけるものを探し求めている。<br />
壁の向こうに密かに隠れ住み、任務でこの惑星の「Seeds」を集める異星人たち(グレイ型)。街には宇宙人目撃の噂も流れ始めている。だが、部隊長を含む異星人の一部は何かに蝕まれ錯乱し始めており、任務を完了して
帰還することが困難になってきている。<br />
街で暮らす車椅子の女性Lolaは異星人のひとりと出会い恋に落ちる。体内に彼との子供を宿したことを確信した彼女は、壁を越え彼の元へと向かう。<br /><br />
<a href="https://d2lzb5v10mb0lj.cloudfront.net/darkhorse/blog/-2018/seedspage3.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="800" data-original-width="527" width="550px" src="https://d2lzb5v10mb0lj.cloudfront.net/darkhorse/blog/-2018/seedspage3.jpg"/></a>
<span style="font-size: x-small;">[Dark Horse 『The Seeds #1』 プレビューより]</span><span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<br /><br />
えーと、まず率直に言っちゃうと、私はこの手のやつあんまり得意じゃない。ゆえに何か批判的に見えるところがあってもある程度割り引いて読んで欲しい。<br />
自分の思うところ、この作品はアートシアター的、演劇的というような意味での限定的な箱庭的世界観の物語だと思う。例えば壁に仕切られた地域、内側外側がどのくらいの広さなのか、またはそこに壁が作られている
理由などが一切不明であることなど。背景に説明されないなんらかの戦後というような状況があるのかもしれないが、技術文明が衰退して行っている理由や規模などもいまいちよくわからない。結局そういった
疑問やツッコミを入れていると破綻してしまう「こういう設定の世界」という箱庭の中の物語と考えるしかないのだろう。決して欠点をあげつらって批判しているわけではなく、やはりそれらが物語が発生する場所だと
思うので、そういった形での物語性を期待して読むべき作品ではないと言わざるを得ないのではないかと思う。<br />
その中にそれぞれのキャラクターを中心とした断片的なエピソードが、静的でやや曖昧なトーンで語られて行く。六角形のモチーフと共に繰り返されるミツバチの描写などに、作者Ann Nocentiのジャーナリストなどとしての
活動に関わる環境的なメッセージも示されているようだ。<br />
個人の好き嫌いを作品評価の基準にするというのは私の嫌うところなのだが、特にこの作品の作画David Ajaはマーベルでの活動でおそらくは今回の中で一番日本でも知られているアーティストと思われるところもあり、
「期待していたものと違った」というような安直な感想が出ないようなるべく正確に伝えようと思ったのだが、やっぱり若干批判的な傾向になってしまったか。しかし、少なくとも自分的には、最初に書いた
アートシアター的というたとえから言えば、これを劇場で観て決してチケット代を損したなどとは思わないぐらいにはクオリティの高い優れた作品と言えるものであるからね。<br /><br />
ストーリーAnn Nocentiは、1980年代にマーベルでコミックのストーリー制作者としてキャリアを始め、その後90年代になりジャーナリスト、映画監督などに拡げて行ったちょっと変わった経歴の人。
割と逆のパターンはよくいるので、肩書だけを見たときにはそのパターンかと思った。マーベルでは多くの作品でシリーズ・エディターとしても活動していた。80年代後半から90年代にかけての『Daredevil』での
女性の社会・政治的権利を強く打ち出したストーリーなどが高く評価されているということ。<br /><br />
David Ajaは1977年生まれのスペインのアーティスト。マーベル『The Immortal Iron Fist』や2010年代前半マット・フラクションとの『Hawkeye』などで知られる。この人については日本でも翻訳が出てるようなので
知ってる人も多いだろう。まあスタイリッシュというのか、独特のタッチでカッコいい画が描ける人。Ann Nocentiとは2009年あたりの『Daredevil』で出会い、その頃から二人で温めていた構想が
Berger Booksにより実現されたということらしい。ちなみにAjaにとってはこの作品が初のシリーズキャラクター以外の作品となる。<br />
現代のアメコミの基準で行くと比較的小さなコマ割りと、静的な構図を連続させるなどのスタイルを持つAjaだが、この作品ではその傾向が一層強化されている印象があり、シンプルにページを9分割した中で動きを
極力抑えたような表現で物語が語られて行く。ただ、前述の『The Immortal Iron Fist』と時系列的に後になる『Hawkeye』を見比べてみると、後者の方がより人物が小さく真正面水平のカメラ位置による構図などの
傾向は強まっている印象もあり、Aja自身の画風の変遷という部分も多くあるのかもしれない。
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">■Berger Booksについて</h3>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
以下が現在までに発行されているBerger Booksの一覧です。<br /><br />
<table style="border:solid 1px #000; border-collapse:collapse; width:95%; margin:0 auto;">
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">1</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Anthony Bourdain's Hungry Ghosts</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Anthony Bourdain, Joel Rose<br />/Alberto Ponticelli, Vanesa Del Rey</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年1月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">2</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Incognegro: A Graphic Mystery (New Edition)</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Mat Johnson/Warren Pleece</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年2月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">3</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Incognegro: Renaissance</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Mat Johnson/Warren Pleece</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年2月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">4</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Mata Hari</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Emma Beeby/Ariela Kristantina</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年2月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">5</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Originals: The Essential Edition</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Dave Gibbons</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年5月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">6</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">She Could Fly</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Christopher Cantwell/Martín Morazzo</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年6月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">7</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Seeds</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Ann Nocenti/David Aja</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年8月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">8</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Olivia Twist</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Adam Dalva, Darin Strauss/Emma Vieceli</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年9月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">9</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">The Alcoholic Tenth Anniversary Expanded Edition</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Jonathan Ames/Dean Haspiel</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年9月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">10</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">LaGuardia</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Nnedi Okorafor/Tana Ford</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2018年12月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">11</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Invisible Kingdom</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">G. Willow Wilson/Christian Ward</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年3月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">12</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Ruby Falls</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Ann Nocenti/Flavia Biondi</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2019年10月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">13</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Tomorrow</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Peter Milligan/Jesús Hervas</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2020年2月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">14</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Post York</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">James Romberger</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2021年3月</td>
</tr>
<tr style="border:solid 1px #000;">
<td style="border:solid 1px #000; width:7%; padding:5px;">15</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:30%; padding:5px;">Enigma: The Definitive Edition</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:43%; padding:5px;">Peter Milligan/Duncan Fegredo</td>
<td style="border:solid 1px #000; width:20%; padding:5px;">2021年11月</td>
</tr>
</table><br /><br />
タイトルに○○Editionと入っているのは、過去にVertigoから発行され、現在は絶版となっている作品の新編集版など。Mat Johnson/Warren Pleeceの『Incognegro: Renaissance』は以前にVertigoから出た『Incognegro』の続編。<br />
発行年月に関しては、とりあえず第1話が出たときなのだが、ここで書きながら調べてわかって来たぐらいなのだけど、このBerger Books実はアメリカのコミックの基本形式である約25ページとかのIssue形式ですべて出ているものは
ほとんどない。今回のものでも前述の通り『Invisible Kingdom』が第3巻が単話のものがなくTPBのみ。『Everything』は第2巻が同様。『The Seeds』は全4話のうち単話で販売されたのは前半2話のみで、3話の発行予定がないことが
ちょっとしたニュースになっていたり。その他にもこういった形の物が多く、近作のJames Romberger『Post York』は単話での販売はなくTPBオリジナルとして出ている。まあこちらとしてはデジタル販売での状況しか
わからないのでプリント版についてどうなっているのかは不明だが、印刷や販売経路などでよりコストがかかるそちらだけ出ているというケースもなさそうだが。<br />
理由については不明だが、まあ普通に考えればあんまり売れ行きが良くなく、またターゲットとなる読者層が主に単話ではなくまとまったものを購入し読むといった傾向があるというところだろう。<br /><br />
そういったところから見ても大成功しているとは言い難そうなBerger Booksについては、色々な意見評価もありそうだが、特に調べてないし知らん。しかしまず思うのは、かつてのVertigoの最盛期に比べれば、などという意見は
まったく意味がないということだ。例えばVertigo立ち上げ時期のブリティッシュインベイションと呼ばれる時期は、米国未紹介の英国の優れた作家が数多く存在していたというように、良質な作家が集まりやすい時期も
難しい時期もあるものだ。Vertigoの歴史をざっと見れば、優れた作家作品が並ぶのがまず目に入るが、その陰で多くの意欲的な作品がその歴史に名を残さないまま消えて行ってしまってもいるのだろう。Berger Booksにより
復刊されたこういうものもあったのかと思わせる作品などその好例だろう。いつの時代でも優れた作品、新しい意欲的な作品が世に認められ評価されるとは限らない。出版された時期・タイミングまでも含む多くの要因の
組み合わせによりもしかすると奇跡的ぐらいの確率で産み出されるものなのかもしれない。そしてその確率を少しでも上げることができるのがカレン・バーガーのような人物なのだよ。そこの安直にBerger Booksを
批判しているアンタ、見たことも聞いたこともない作家が個人出版で出した作品だったとしても自分なら本当に優れたものなら見分けられるなどと絶対の自信をもって言えるのかい?<br />
カレン・バーガーの姿勢は、既存のものに縛られない質の高い読み物としてのコミックを世に出すという方向に常に一貫している。ならばバーガーを信じて彼女が次に何を出して来るか、常に肯定的な期待をもって
待ち続けるのがコミック=マンガ読みの正しい姿勢であろう。先の表を見てもわかるように、継続中のものがあったり、また単行本書き下ろし形式になると時間がかかるなどの要因を考えても、やはりBerger Booksの
出版状況は少し厳しい様だ。だが続いて行けばいつの日かは必ず新しい才能を産み出せるレーベルであることは間違いない。ワシはいつだってそういうものを応援するぞ!バーガーさん頑張ってくださいね。<br /><br />
Berger Booksのもう一つ顕著な特徴としては、女性作家による作品が多いということ。もちろん女性であるカレン・バーガーゆえ、なるべく多くの女性作家の活躍の場を作りたいと思うとか、女性作家の知り合いが
多いという個人的な事情もあるだろう。だが、実際のところアメリカのコミック界で女性作家の割合が非常に低いというのは事実であり、そこから考えてみても女性の中にこそまだ見ぬ新しい才能が隠れているのではないか
というのも当然浮かぶ考えだろう。そして、そんな隠れた才能を見つけ出すのに最も適した人物はカレン・バーガーのような人だろう。Berger Booksに女性作家の登用が多いのは全く理にかなっているし、これからも
その方針で進むべきだろう。<br />
だがここで、ひとつ日本のマンガという視点から意見を言わせてもらいたい。日本におけるマンガ=コミック界での女性の活躍は、世界的に見ても突出しているなどという表現にとどまらない、
もはや比較にならないほど大規模なものだ。まあはっきり言ってしまって私もそれほど熱心なその方面の読者ではないし、ここで自分の知ってる範囲の名作などを並べてみるのにも大した意味もないと思う。
そして、今回も見たようなアメリカの女性作家による作品群、それぞれがそれなりに評価すべきところも多い優れたものではあっても、日本の女性作家による物と並べてみるとそこにはまだ大きな差があるのではないだろうか。
どこか「女性」に肩ひじ張ったところがどうしても見えてくる作品の先に、例えば緑川ゆき『夏目友人帳』や、末次由紀『ちはやふる』のような、女性ならではという柔らかさの上に深いストーリー性を持った
作品が生まれてくるところがまだ思い浮かばないという段階ではないだろうか。反論があるかもしれないのでこちらの主張として言っとくが、これは国民性の違いなどというものでは絶対にない。むしろそんな
エクスキューズで納得してしまうことこそが思考停止で退歩である。<br />
日本の女性向け・少女向けマンガには長い歴史があり、上記のような優れた作品は常にその上に成り立っている。まあそこで私みたいなもんはいつもながらにパルプ思想を引っ張り出して来るのだが。
そしてパルプ=「量」というものは、常に倫理道徳的・教育的、はたまた芸術的に評価できるものばかりで成り立っているわけではない。常に多くの読者の欲望に対応した、例えば男性・少年向けに喧嘩上等男の生き様
エクスプロイテーションや、勝ち組お金儲け立身出世エクスプロイテーション、可愛い女の子にひたすらモテてエッチな事をしたいジャンルがあるように、女性・少女向けにも見た目財産地位ひたすら都合のいい
恋愛エクスプロイテーションや女の生き様エクスプロイテーション、欲望全開BL・TLジャンルのようなものが多く広がっている。そして異端にして世界最強の日本漫画は、常にそれらの上に創られているのである!<br />
とは言え今更アメリカのコミックに女性向けにそんなものを作れというのは無理な話だろう。カレン・バーガーもやはり少女マンガというような基盤の必要性を感じかつてDC内にそういった方向のMinxを立ち上げたが、
短命に終わっている。しかし一方で、最近完全にAmazonに取り込まれちゃってもう駄目か状態のComixologyなのだが、完全にアメリカ向けのみゆえに今まで表示されなかった講談社のセールなんかも見れるようになると、
例えばろびこ『となりの怪物くん』みたいなのもあったり。コーダンシャが売りたいというだけじゃなく、それなりに需要もあるのだろう。こういう良質な少女マンガが読まれていれば、従来のアメリカのコミックとは
全く違うものを目指す女性作家も増えてくるのかもしれない。例えばTillie Waldenが日本の高野文子などにも影響を受けているように。ああTillie Waldenもっと読まなくちゃ。書いて思い出すバカ。<br />
日本では更に、荒川弘(『鋼の錬金術師』)、田辺イエロウ(『結界師』)、あと公式には性別不明だが吾峠呼世晴(『鬼滅の刃』)などの、女性作家による少年・青年向けジャンルでの活躍が拡がっている。
女性ならではということを感じさせるストーリーや作画は、日本のマンガの枠を多く拡げ続けている。アメリカでも女性作家の進出が進めば、マーベルDCのメインジャンルでも、単に女性キャラに留まらない
新たな基軸・展開が見られることになるのかもしれない。カレン・バーガーにはさらに幅広く女性作家の才能を発掘し、アメリカ、そして世界のコミックを次の段階へと進めてもらいたいものであるよなあ。<br /><br />
また、途中でも書いたけど今回調べてみて少し見えてきたのが、やはりこのBerger Books、Vertigoからの継続という部分も多いのかも、ということ。Vertigoに関してはとにかくレジェンド作品がやたら多く、
そっちだけでもまだまだ手付けられないものも多いんだが、なんとか結果的に末期ということになったJeff Lemire以後あたりのももっと読んでいかんとな、と思う。また、Vertigoも当然カレン・バーガーのみで
やっていたわけではなく当然他にもスタッフはおり、その中でもバーガーと同時期同じような事情でVertigo/DCを去ったShelly Bondはその後インディペンドでBlack Crownを立ち上げDavid Laphamの『Lodger』やGilbert Hernandez作品などを
出版している。パンクを旗印に掲げたBlack Crownだったが残念ながら短命に終わってしまったが、現在それらの作品はIDWから出版されており、そちらで読む事ができる。今更のように思い出すんだけど、アメリカのコミックって
エディターもクレジットされてたりするので、その辺で関係を考えたりでVertigo末期あたりもまだまだ見るべきところ多いな。<br /><br />
先にも書いた通り、まああんまり調子は良くなさそうなBerger Booksではあるが何とか頑張って続いて行って欲しいものである。なんか結局いつもモタモタしていて一番勢いのある時期に書けなかったワシも悪いんだけど…。
何事においてもそれを前に進めるためには常に新たなものが生み出されねばならず、そしてその未来を見たいと望むならそれが現れると期待できるところには常に注目し期待して行かなければならない。
私はまだこれからもBerger Booksには期待するぞ。なんとか続けて行っておくれよね。バーガーさん。<br /><br />
Berger Booksのみならず新しい試みも多く、Dark Horse Comicsにはもっと注目して行かねばと常々思っているのだが、しかしJeff LemireやMatt Kindtぐらいはと思っていたあたりもまだベテランまでは行かなくても
それなりのポジションで、新しい流れとしてはもっと先まで見てかなければならんのだよなと思う。で、おもにDark Horse、Imageあたりを中心に見てると、ここ版権ものが主体だからと気を緩めていたところから
思いがけないもん出てたりするのだよな。まあ今後も新旧含めて幅広くコミック全般なるべく多くのものを読んでいかんとね、といういつも通りの結論に落ち着いちゃうのだけどね。<br /><br />
さて大幅変更から5か月たったComixologyなのだが、その後も変化はなく使い物にならないままである。アメリカのみと言っても、そちらでも結局は表の店構えのみで中身はAmazonなのだから、以前の状態を
知っていれば使い勝手はもはや比べ物にならないほどに低下しているとしか言いようがないだろう。いやAmazonのショップとしての使い勝手を批判とか言うことじゃなくてさ。とにかくComixologyというのは
アメリカで出版されているコミックに合わせた形態で設計されていて、重要な検索項目であるパブリッシャー、シリーズ、クリエイターなどで探しやすく本当に優秀だったからねえ。なんだかんだいってみても
結局Amazon傘下に入らないとやっていけなかったのだろうし、そうなった時点で完全にAmazonのショップの中に入ることも決定事項だったのだろうし。もうちょっとどうにかならんかとも思ってしまうが、
Amazonのショップの形の中でやってくとなるとそれほど例外的な変更もできないだろうし、もうあんまり大きな期待はできないのだろう。とりあえず今はセールと新刊の確認ぐらいに使って、実際に買うのは
日本のアマゾンという方法でやっているが、まあ今後もそんな感じになるのかな。結局のところ日本のアマゾンのKindleカテゴリの中にマンガがあるのと同じ状態なのかもしれない。うーん、それ考えると
既にそれがある日本のアマゾン内にComixologyショップができるとかますますありえない感じに思えるな。<br />
そしてリーディング用のアプリの方なのだが、うーん、これもう少し何とかなんないのかね。現在旧来のComixologyアプリの形が残っているのはマーベルのもののみとなっているのだが、それと比べてみると、
というか比べる以前に本当に使い勝手が悪い。現在の状態、と言っても特に変わった様子もないのだが、Kindleアプリから色々な機能を削ったもので、検索に関してはタイトルのみで、クリエイター・パブリッシャーなどでは
不可の上に持ってる本が多いからということらしいが検索ボックスに3文字以上入れると落ちる。ただ、まあ可能性の話だが、Kindleの機能を削ったものというのがミソで、ここでAmazonのショップ内ではできない
これまでのデータベースとつなぐなどを行い、直接買い物はできなくとも色々調べたりなどに便利に使える物へと進化させようという意図はあるのではないかと期待してるのだけどね。いや、頼むよ。何とかそんな感じに
頑張って。<br />
<div class="separator" style="clear: both;"><a href="https://m.media-amazon.com/images/I/51tIU56UStL.jpg" style="display: block; text-align: center; clear: left; float: left; margin-bottom: 1em; margin-right: 1em;"><img alt="" border="0" data-original-height="500" data-original-width="384" width="150px" src="https://m.media-amazon.com/images/I/51tIU56UStL.jpg"/></a></div>
そしてこちら的には一番困っているのが昨年ぐらいから取り組んでいるバンドデシネ方面。こればっかりはパブリッシャーの方で日本で売ってくれないとどうしようもないというところなのだが。例えば最近読んだもので
Europe ComicsからのJoaquim Diaz『Harden』なんてのは日本のレジェンド作品(だと思うんだがデジタル版未発行のようだしちょっと忘れられかけてるのかな?)林信康の『毒狼』(原作:猿渡哲也)を連想させる
ハードアクション作品で大いに語りたいのだが、日本のアマゾンで買えないしなあ、となっちゃう…。ちなみに画像は米Amazonよりお借りしました。
以前も書いたけど英訳バンドデシネで日本から電子で簡単に変えるのは現在のところ『Incal』などのHumanoids作品だけなのだが、Europe ComicsやCinebookあたりも日本で売ってくれないかなあと切に思うものです。
自分でもちょっと様子見のところなのだけど、どうしても駄目そうならそのうち日本のアマゾンからでは買えないけど、ってところで強引に書くかもしれません。バンドデシネまだまだ語るべきこと多いよ。<br />
というわけで、現在のところもしかしたらアプリの方にいくらか期待持てるかも、ぐらいになっているComixologyですが、何らかの進展やら後退などありましたらなるべくお伝えできるよう努めるつもりでおります。
この更新ペースで…?<br /><br /><br />
なんか結構終盤まで来てあと少しかな、今週末ぐらいにはと思ってたところで、早川書房によるハードボイルドへの悪質極まりないいやがらせ「こじつけ法月ショック」事件が勃発し(前回追記参照)、あまりに腹が立って
しばらくこちらまでストップしてしまいました。本当に価値もないことで時間を無駄にしたと反省しております。今後はこういったものを気にするのは一切やめて完全スルーして行こうと思います。
ナゾトキ痴呆だらけの日本ミステリなんて勝手に沈没してくださいってとこです。こんなもんに惑わされて間違った評価、方向に進むぐらいの国なんでしょ。勝手にしろや。日本のミステリ終わらせるには向かい合う「ミステリ評論家」2匹あれば事足りるってとこか。<br />
で、相変わらずボンクラ失業者生活を送っている昨今なのだが、うーん、時間があるんだからもっとブログの方も書けると思っていたのだが、やっぱワシ根本的にバカなのだな。いや、なんかさあ、時間があれば
そんだけアレも読みたいコレも読みたいで詰め込んじゃって、結局きゃー今日も時間ありませーんということになってたり。とにかくああいった不毛で無意味なことについて考えるのはやめて、シャミ子ちゃんの専用ぶきや
とっておきを育てるという有意義なことに時間を使いつつ、ぼちぼちブログの方も頑張って行きたいと思います。
</span></span>
<br />
<br />
<br />
<div class="parseasinTitle" style="text-align: left;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Berger Books</span></span></h4>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
遂にやってきました、エイドリアン・マッキンティ Dead三部作最終作『The Bloomsday Dead』です。なんか色々書くこと多くてあっちこっち暴発してしまいそうなのだが、とにかく落ち着いて、きちんと順序だてて
この三部作の凄さ、素晴らしさをきっちりと伝えねばとひたすら思うところです。とにかく、前のCal Innesアニキのところでもチラッと言ったが、三部作というのはやはり最後まで読んでみてその真の姿がわかるもの。
そして、そこから翻って、現在進行中のショーン・ダフィ・シリーズというのは…、というあたりまで話は進むのだが、まあ、とにかくはきちんと順序立てて行こう。<br /><br />
あっと、その前にここで一度確認しておきたいのだが、私はこの三部作をDeadトリロジーと延々書いていて、それはそもそも最初に私が読んだ現在絶版になっているSerpent's Tail版にそう書かれていたからなのだが、
現行それのみになっているScribner版ではその名称は使われておらず、ウィキなどを見てもMichael Forsythe Trilogyといった書き方がされている。とりあえず自分としてはその名前で始めてしまったので、そのままDeadトリロジーとして最後まで続けたが、同じものなので混乱のないよう。<br /><br />
というところで、まずはこの三部作のこれまでのストーリーをおさらいしておこう。<br /><br />
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<b>【Dead I Well May Be】</b><br />
1992年、主人公であるベルファストのチンピラMichael Forsytheは、紛争の混乱の中職にあぶれ、アイルランドを離れアメリカに渡り、NYブルックリンのアイルランド系ギャングに加わる。持ち前の才気で組織の中でも頭角を
現わして行くが、それが災いしてか、ボスDarkey Whiteの愛人Bridgetに手を出してしまう。<br />
ギャングのチームメンバーと共に、ドラッグ取引のためメキシコへ渡ったForsythe。だが、それは最初から仕組まれていた罠で、Forsytheと仲間は取引現場で待ち構えていたメキシコ現地の官憲に逮捕され、その地の
刑務所に収監されてしまう。言葉すら通じない地獄のような刑務所の中で、彼はそれが愛人に手を出されたボスからの報復であることを知る。ボスはその体面を保つため、彼のみではなくチーム全体をこの地獄へ送り始末することを謀ったのだ。<br />
脱獄というか細い希望にすがりながら、しかし仲間は一人、また一人と倒れて行く。そして、嵐の夜、遂に二人だけとなってしまったForsytheとScotchyは脱獄へと挑む。だが、Scotchyは鉄条網のフェンスの上で倒れ、
ただ一人フェンスを越えたForsythe。嵐の中、メキシコの荒野を走り続け、意識も朦朧となりながら彼は人里離れた奥地の村へとたどり着く。だが、すでに刑務所の中で靴を奪われ、裸足のまま荒野を駆け逃げてきた
彼の足は、既に救いようのない状態となっており、彼の命を救うためその村で片足首から先を切断される。<br />
そしてForsytheはアメリカへ密入国し、NYに戻る。組織への復讐のために。幹部メンバーを次々と殺害し、遂にボスDarkey Whiteへとたどり着き、復讐を果たす。だがその時、背後からの銃弾がForsytheの腹部を撃ち抜く。
銃を持って立っていたのは、彼が憎むべきボスから救い出したと思っていたBridget。そして、Forsytheはそもそもの始めからBridgetの愛は彼にではなく、Darkeyにあったのだと知る。Bridgetを気絶させ、重傷を負いながらその場を去るForsythe。<br /><br />
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<b>【The Dead Yard】</b><br />
物語は前作『Dead I Well May Be』の4~5年後の1998年、スペインから始まる。<br />
前作の最後、病院へとたどり着いたForsytheだったが、そこで警察に逮捕される。しかし、米国内で活動するアイルランド系ギャングの情報提供者となることで、FBIの保護下、証人保護プログラムに入り、
新しい名前、身分を得ていた。<br />
その後に知り合った舎弟を連れてスペインへバカンスに訪れていたわけなのだが、そこでイギリスとアイルランドのサッカーファン、フーリガンの衝突から発展した暴動にかち合ってしまう。騒ぎを逃れて山岳地帯へと
上った二人だったが、地元住民に逮捕を逃れて逃亡してきた暴徒と疑われ、通報の後逮捕拘留される。<br />
かつて脱獄したメキシコの刑務所に比べれば天国、とのんびり構えていたForsytheの許へ、大使館職員を名乗り、英国情報部のエージェントが現れ、彼にある提案を持ち掛ける。折しも英国とアイルランドの間で
停戦合意の締結が目前まで近づき、ようやくアイルランドに平和がもたらされようという時期。だが、当然それを快く思わない勢力も残っており、特にIRAのコントロールも届かない国外のグループによる暴発が
懸念されていた。しかし、英国情報部としてはそのような情勢で国外のグループにまで対応するには人員も時間も不足している。そこでアイルランド出身でFBIによる人物照会も明らかなForsytheに白羽の矢が立ったというわけだ。
英国情報部に協力し、米国内のIRA分派組織に潜入捜査をすることで、この地における逮捕起訴は取り下げられるよう図ろうというのが、彼らの提案だった。<br />
冗談じゃない、ここで収監されてもせいぜい一年も我慢すれば無事釈放されるだろう。しかもここはメキシコのアレに比べればバカンス気分ぐらいの懲役だ。このくらいで誰がそんな命がけの仕事を引き受けるもんか。
にべもなく断るForsytheだったが、相手も切り札のカードを用意していた。仕方ない、それならば貴方の身柄は指名手配の出ているメキシコへ送られることになるが…?<br />
かくしてForsytheは、英国情報部の臨時協力者として、米国のIRA分派組織への潜入捜査の任に就くこととなる。<br /><br />
というあたりまで前の時に書いたのだけど、実はその辺については後に詳しく書くが、第3部である『The Bloomsday Dead』を読むためには、この『The Dead Yard』の結末を必ずしも知っておく必要はない。
したがってこの『The Dead Yard』についてはわざわざネタバレして未読の人の興を削ぐつもりはないのだけど、まああまりに中途半端なので、もう少し先のあらすじまでは紹介しておく。<br /><br />
Forsytheが潜入することになったのは、米ボストンに根城を持つIRA分派のSons of Cuchulainn。米現地で英国情報部と協力して捜査に当たるFBIの掴んだ情報によると、IRA本部の方針に反対し、独自に事を構えようと
しているこのグループのリーダーGerry McCaghanには、粛清のため暗殺者が送り込まれており、その現場に潜り込み、グループに潜り込むきっかけを作るという計画が立てられる。現場となるのはボストンの
彼らのたまり場となっているアイリッシュ・パブ。店ではGerryの娘Kitが手伝いをしており、Forsytheの役割は店にたまたま居合わせ、騒ぎが起こったところでKitを助け、それを足掛かりにグループに近づき、
メンバーの一員となるというもの。<br />
既に店内にも多数の捜査官が配備されており、万が一の危険性もない。そのはずであったが、当局が未確認の暗殺犯が追加されており、即時逮捕の予定が店内に銃弾が飛び交う状況へ。だが、Forsytheはその中でも
何とか任務を果たし、Kitを護り店から連れ出して、自宅へと送り届ける。<br />
その後、偶然を装いKitと再会し、徐々に距離を詰めKitを通じてSons of Cuchulainnの一員に潜り込むことに成功する。<br />
元々少人数であったSons of Cuchulainnだが、この度の暗殺騒動により更にメンバーが脱退、逃亡し、現在残っているのはリーダーGerry McCaghanとその右腕Touched McGuigan、Touchedの部下のJackie O'Neil、あとは
戦闘要員には心許ない娘のKitとGerryの愛人のSoniaの5人。TouchedはGerryと共に危険分子としてIRAから追放される形でアメリカに渡って来た。いざとなれば底知れないほどの残忍さを表す危険人物だ。一方Jackieは
Kitの公認のボーイフレンドでもあり、Kitに近付く形でメンバーになったForsytheには当初から反感を抱き、何かにつけ衝突が起きる。<br />
テロリストとは言ってもほぼ家族経営ぐらいの規模の小集団では、行動もそこいらの小規模ギャングと大して変わらず、資金調達のための銀行襲撃、武器調達のための軍の警備のゆるい武器倉庫への侵入など、それほど
上等とも言えない犯罪行為を行って行くグループだったが、Forsytheはその中で持ち前の機転でメンバーからの信頼を得て行き、最初は反目していたJackieにも友情を持って迎えられるようになってくる。<br />
しかし、情報部の連絡担当のミスから築き上げた信頼に陰が差し始め、そしてグループはそのまま大掛かりで危険なテロ行動に動き始めるのだが…。<br /><br />
タイトルのThe Dead Yardはボストンで鉄道時代初期に廃列車の捨て場にされていた荒地と説明されているのだが、調べてみても実在するのかはよくわからなかった。若干調べ方甘かったかもしれんけど。終盤には
その死の庭で孤立無援の凄惨な戦いが繰り広げられることとなる。<br /><br />
とまあこのくらいで、ひとまずは今回のメインであるDead三部作最終作『The Bloomsday Dead』に移ろう。<br /><br />
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<b>【The Bloomsday Dead】</b><br />
三部作最終作の『The Bloomsday Dead』は、以前『The Dead Yard』の時に書いた第1作のエピローグの1年後、2004年6月15日から始まる。(実は日にち重要) そのエピローグの中で本編の11年後、L.A.で暮らしていたForsytheは
遂に組織のトップの座に就いたBridgetからの刺客に襲撃される。なんとか撃退したForsytheだったが、またこれから逃亡生活が始まることを思いながら、エピローグは終わる。<br />
そしてその一年後、彼はペルーのリマで、ホテルの警備主任として働いていた。2004年というと、ペルーのフジモリ元大統領が日本に逃亡して匿われていた時期であり、その引き渡しについての日本の外交官が訪れての
非公式折衝がそのホテルで行われる予定などの時事ネタも入ったりもする。<br />
高級スイートルームに陣取る厄介な客への対応を終え、自室に戻ったForsytheは、予定のない二人の客に迎えられる。<br />
銃を持った二人組。一人は9ミリ、もう一人はショットガン。遂にBridgetに居所を突き止められたというわけか。<br />
やがて、一人の持つ携帯が鳴り、応えた男はそれを彼に手渡す。<br />
「Michael」<br />
聞こえてきたのはBridgetの声だ。<br /><br />
「そこにいるのはプロの殺し屋だ。お前をすぐに殺せる。」<br />
「その予定だったがこちらにちょっとした問題が発生した。」<br />
「私の娘がベルファストで失踪した。」<br />
「私の娘を探せ。ベルファストに明るいお前ならばできるはずだ。」<br /><br />
Bridgetに娘?そんな話は初耳だ。「Darkeyの娘なのか?」<br />
「そうだ。名前はSiobhan。11歳になる。」<br />
「今そこで殺されるか、その二人とベルファストに来て私の娘を探すか、二つに一つだ。」<br /><br />
そしてForsytheはその申し出を承諾し、二人の殺し屋と共にアイルランドへ向かう、はずだったのだが、いつもの奴の悪い癖、二人の殺し屋をおちょくりすぎたために、「逃亡しようとしたので殺したことにしちまおう」
ということになってしまいForsytheに銃が向けられる。銃弾をかいくぐり二人の殺し屋を始末し、またしても生き延びたForsythe。だが、もうこの国にはいられなくなった。<br />
FBIの証人プログラム担当官と連絡を取り、部屋での事件のつじつまを合わせたForsytheは、ホテルの警備主任の職を辞し、最速でアメリカへの旅客機に乗る。<br /><br />
JFK空港へ到着したForsythe。だがFBIからの迎えが来るにはまだしばらくかかる。ゲートから一歩出れば刺客が待ち受けているかもしれない。Forsytheは待機エリア内のパブで時間を潰すことにする。<br />
だがそこにもBridgetからの使いが現れる。Bridgetの弁護士を名乗る男。「依頼人があなたともう一度話したいと言っております。」<br />
そして、ベルファストのホテルに滞在するBridgetに電話が繋がる。<br />
「Siobhanを助けて!他にはもうどんな手段も思いつかない。彼女を助けてくれたらもう二度とお前には手出ししないと誓う!」<br />
Bridgetは泣いていた…。<br />
そしてForsytheはダブリンへ向かう旅客機に乗り込む。ああ、なんて俺は馬鹿なんだ。<br /><br />
タイトルの「The Bloomsday」とは、アイルランドの著名な作家、まあ誰でも知ってるジェイムズ・ジョイスの人生を祝う記念日。かの有名な『ユリシーズ』が1904年6月16日に起こった出来事を描いたものであることに
由来し、毎年6月16日にダブリンを中心にお祭り的なイベントが開催されるらしい。そして、この物語でForsytheがダブリンへ向かったのは、リマで襲撃された翌日の2004年6月16日、まさにその100周年の日だったというわけ。<br />
搭乗した旅客機では『ユリシーズ』のペーパーバックが配られ、到着したダブリンはジョイス祭り一色に染まり賑わっていた。<br /><br />
だが、ダブリンに到着した途端、Forsytheに彼を狙う謎の動きが近づき始める。<br />
何故だ?Bridgetは娘を探すために俺を必要としているのではないのか?これは何かの罠なのか?俺を殺すのが目的なら、こんな手の込んだことをしなくてもリマで片付いたはずだ?<br />
追手を躱し、撃退するうちにForsytheは警察にまで追われる破目になってくる。祭りの雑踏に紛れ、女子大生をナンパし、半ば脅迫的に彼女の車に乗り込み、Forsytheはダブリンを脱出し、ベルファストへ向かう。<br /><br />
Bridgetが滞在しているホテルに到着し、12年ぶりに彼女と再会するForsythe。娘を救出するために必死になっているBridget。だが、その一方で現在の彼女の部下にはForsytheの復讐行の過程で葬った者の
縁者も存在し、彼に隠すこともなく憎悪の目を向ける。<br />
ダブリンから自分を狙っていたのは彼らの手の者なのか?口では否定しているが…。<br />
だが、深く考える間もなく、Bridgetに身代金要求の電話がかかり、タイムリミットは迫ってくる。<br />
Forsytheは彼女の娘の行方の手掛かりを求め、二度と踏み入れることはないと思っていた故郷、ベルファストの街へと繰り出して行く…。<br /><br /><br />
かつてベルファストの地を去り、流転を重ねてきたMichael Forsythe、三部作の最終地は故郷ベルファストとなる。<br />
評価がどうのなんてクソもあるものか。とにかくのめり込んで、あー少しでも多く読みたい、でも読み終わっちまうのもったいないぐらいの感じで、ひたすら楽しく読んだわ。<br />
で、この物語には最後に明かされるいくつかの秘密があるのだが(「謎」とか書くとこの国にはびこるナゾトキ厨が寄ってきそうなので書かない)、そのうち一つは読んでるうちにだんだん見当ついてきたのだが、
ある重大なやつはホント最後の最後までわからなかった。あとから考えると、なんでわかんなかったのかなあ、とか思うんだが、多分やっぱり原文でマッキンティ自身の言葉でのめりこんで読んだ、
というところが大きいんだろうなと思うわけ。言っとくがこれは馬鹿げたナゾトキチャレンジを推奨しているわけではない。つーかこれわかんなかったのを恥ずかしいとも全然思わず、むしろ最後の最後のところで
やっとわかって、えー、そうだったのか!と驚いてほとんど泣きそうになった自分を誇りたいぐらいだぜ!オレホントに100%楽しんで読めたぜ。うらやましいだろう。あー、これでなんか推測しちゃった人いたら
ごめん!なんも考えずに読め!本はいつだって100%楽しんで読んだやつの勝ちだぜ!<br />
なんかこれまで数少ないながらも自分が薦めるような作家の本が翻訳出て、この人は文章が好きなんで原文で読みマース、とかなんだコイツいけすかねえ、ぐらいのこと書いてきたけど、やっぱりこんな感じで
これからはマッキンティも原文で読むかな、ということになるかもね。<br /><br />
さてここで、このシリーズがなぜ三部作なのか、ということについて考えて行こう。<br />
既にここまで読んでくればわかったように、今回の第3部『The Bloomsday Dead』は、第1部『Dead I Well May Be』のエピローグから続くという形で始まり、ある意味第1部に直結しているストーリーである。
そして第2部『The Dead Yard』のストーリーは双方の物語とはあまり関係がなく、独立したある種番外編のようなものである。第3部に関しても、第2部の物語の結末などが影響することもなく、冒頭あたりで
リマの海岸でサーフィンをしている女の子を見て、第2部のKitを思い出すぐらいしかそちらの物語についての言及もない。
実際、第1部のエピローグ(それは続編発行が決まった後の版で追加されたのかもしれないのだが)を読むと、当初は二部作として構想されていたのではないかと思われる。<br />
では一体なぜこのシリーズは三部作になったのだろうか?<br />
その辺の疑問を持って読み進め、なーんかやっぱ三部作の方がカッコいいからとか、もしかすると当時の出版社の要請とかで三部作にしたんだろうかなどと考え始めていた中盤過ぎ、やや後半ぐらいのところに
答えはあった。<br /><br />
Bridgetの娘、Siobhan誘拐の手掛かりを求め、ベルファストの街を走り回るForsytheが、かかわりがありそうに思える人物に会うためある地点へ向かっていたところ、常にどんよりと曇っていた空に雲の切れ目から陽が差し、
ベルファストではありえないほどの明るい陽光が一瞬街を照らし出す。そこにForsytheは戦火の荒廃から立ち直った現在のベルファストを、そして更にはそこから未来へとつながるベルファストの姿をも
目の当たりにする。ショーン・ダフィ・シリーズでもしばしば見られる、マッキンティお得意の物語の時の流れを一瞬止めるような美しい情景描写だ。<br />
第1部では戦火の混乱の中居場所を失いアイルランドを去ったForsythe。そして12年後故郷に戻り、平和になり復興したベルファストを見るForsythe。これらは作者マッキンティ自身の体験と重なるところも多いのだろう。
そして自身の故郷アイルランド、ベルファストへの想いと物語を重ねた時、彼はその間にとても重要なものがかけていることに気付いたのだ。<br />
それは1998年の停戦合意。<br />
1968年ベルファスト生まれのマッキンティにとって、故郷は常に戦場だった。そしてForsytheと同様に国を出て、おそらくは異国で知った98年の停戦合意はどんなにか感慨深かったろうか。
過去のベルファストと、現在の平和になったベルファスト。それらを書くためには、なんとしても主人公Forsytheをこの停戦合意に立ち会わせなくてはならない!そうしてできたのがこの三部作というわけだ。<br />
主人公Michael Forsytheの物語としては、第1部『Dead I Well May Be』と第3部『The Bloomsday Dead』が本編で、第2部『The Dead Yard』が番外編に見えてしまういささか中途半端な感もある三部作
(もちろん第2部『The Dead Yard』も、さすがマッキンティという感じで単独作品としてみても120%楽しめる傑作であることは言うまでもないが)。しかし、視点を変えて作者マッキンティの自身の半生に重ね合わせた
アイルランド ベルファスト三部作として見れば深い意味と納得のいく整合性のある三部作なのだ。<br /><br />
それを踏まえての現在進行中のショーン・ダフィ・シリーズ。<br />
このマッキンティのアイルランド ベルファストへの深い想いを考えれば、このシリーズの80年代のベルファストというのが、単なる風変わりな時代背景設定などでは、決してないということがわかるだろう。<br />
自身とオーバーラップするが、実際には過去のベルファストは舞台としていないDead三部作を完結させた後、作者マッキンティが次にと考えたのは、その戦火の混乱期の過去のベルファストを描くことだったのではないか。
そして、その物語にどんな主人公がいいかと考え、軍隊や武装組織ではなく、事件を捜査するという形でそこから少し離れて状況に関わって行ける警察官を選び、そこからショーン・ダフィというキャラクターが
産まれたのだろう。当時のベルファストといえば、警察と言えどもまともな警察力などは期待できず、頭脳と腕力が頼みというところから、子供の頃に読んだ前々世紀の同様に警察力が低かった時代を舞台とした、
クラシックミステリーの謎解きを味付けに使ってみるのも面白いと考えたのかもしれない。<br />
このシリーズを順番にきちんと読んでいけばわかるように、物語の中のベルファスト情勢は現実に起きたものをモデルにした事件出来事を絡ませながら、その歴史と同様に進行して行っているのがわかるだろう。
恐らくはマッキンティ自身の頭の中には既にこのシリーズの結末もできているのだろう。そして、このショーン・ダフィ・シリーズが完結した時、これがその時期のベルファストを描くために書かれた物語であることは、一層明確に
わかることになるはずだ。日本じゃこの後どーなっちまうかわからないダフィ・シリーズだが、これは何が何でも最後まで見届けなければならないシリーズだろう。誰でもそー思うっしょ?異議なし!<br /><br />
そしてここで、もしかしたらその結末のヒントになるのかもしれない、こちらのDead三部作とダフィ・シリーズとの微妙な関係についてちょっと書いておこう。<br />
まず、これは日本でもダフィを読んでる人ならとっくに知っているだろうというのが、ダフィ・シリーズへのForsytheのカメオ出演。第3作『In The Morning I'll Be Gone(邦題:アイル・ビー・ゴーン)』の
前半120ページぐらいのところで、ポン引きから女の子を助けに行ったダフィが出会う酒屋で見張りの店番をしていてあとからショットガンを持って飛び込んでくる少年ガリ坊ミッキー。ダフィに本名を訊かれて
マイケル・フォーサイスと答える。<br />
そして、こちらはDead三部作の方で、主人公Forsythe自身は一度も対面することはないのだが、第1部エピローグや、第2部の作中で名前だけが出てくるBridgetの前のアイルランド系ギャングのボス。こいつは
実はSeamus Duffyという。<br />
この人は2002年に78歳で亡くなっていると作中で書かれているので、明らかに歳も違うしあのダフィではないんだが、もしかすっと叔父さんかなんかで、最後アイルランドにいられなくなったショーン・ダフィが
アメリカに渡り、つてを頼ってアイルランド系ギャングに入るという展開かも、なんていうのも想像されたりするのですよね。<br />
マッキンティによる遊びの部分もあるんだろうけど、まあこういう気になるところもあるんで、ダフィが好きなら絶対にこちらの三部作も読んでおくべし。いや必読!<br /><br /><br />
というところで一通りこの三部作について言いたいことも終わったのだが、ここでもう一度あの件について書いてちょっとはっきりさせとかなきゃと思う。現在マッキンティのダフィ・シリーズの新作の
刊行が著しく遅れている原因になっている休筆の件である。これについては『ザ・チェーン 連鎖誘拐』の「解説」で出版業界寄生虫杉江松恋が幼稚なウケ狙いで極めていい加減なことを書き、当方も大変憤慨したのだが、
その後、ダフィ・シリーズ第4作『ガン・ストリート・ガール』の翻訳武藤陽生氏のあとがきで、小説では食っていけないので転職したというような形で書かれており、よく調べずに杉江の書いたものを鵜呑みにして更に
勘違いしているのか、それともあんまりでたらめなことを書いたのでフォローしてくれと編集部に頼まれたのかはわからんが、まあもうそれでいいか、と思っていたのだが、なんか知らんけどその後、少し野良レビューとかを
見てみると、別に必要もないのに「かつて困窮して作家を断念しかけた」、というようなことが書かれていたりもするので、ここは一つここだけでも正確なことを書いておかんといかんと思ったものである。<br />
なんかゴシップ好きなのかなんかそういうどうでもいいこと書かなきゃいられない人っているよねえ。なんとなくかつての「スティーヴン・キングはホメホメおじさん」みたいな話にもならない与太が、長いこと
定説みたいになってた土壌って同じもんなんじゃないのかねえ。<br /><br />
最初にはっきりさせておきたいのは、私はマッキンティに本が売れなくて困窮したような時期があるのを、恥ずかしいことだとか思って隠したいとか、粉飾美化して訂正したいなどと思ってこれを書いているわけではない。著名な作家でも多くそういう時期はあり、著者本人もそういうことを恥だとは思っていないものであるし、私もそんなことはなんとも思わん。頑張って出世出来てホントに良かったね、ぐらいのものだ。だが、マッキンティのこのケースについては明らかに事実誤認である。<br /><br />
マッキンティが労働の対価に合わん!として一時作家を廃業したのは2017年。この時のマッキンティがどんな状況にいたかというと、前年2016年にはエドガーのペーパーバック部門にノミネートされ、17年には
同部門賞を受賞した他、アンソニー、バリー賞など各賞を総なめ。英米のみならず世界各国で翻訳が出版されていた。あのさあ、もしかしてエドガーが作家やめようと思うほど売れない作家の作品を掘り出し
脚光を浴びせるような賞だと本気で思ってる?こんな作家が困窮して作家を廃業しようと思うぐらいなら、日本に小説家なんてほとんどいないんじゃない?そして、こんな作家がもし本当に「困窮して作家を断念した」
としたらそれはどこかに責められるべき対象やシステムがあるのは明らかじゃない?<br /><br />
英米ではたとえ作品に一定の人気があっても、有力なエージェントと契約してニューヨークのビッグ5と呼ばれるような大手出版社から作品が発行されている作家と、そうでない作家には天地ほどの収入の差がある。
これはもうこの業界はこうなっているから、と言うしかないようなものになってしまっており、それゆえに米国では作家同士の互助精神が高く、大物作家が新人作家の作品へ積極的に好意的なレビューを
送るような慣習が作られているのだろう。<br /><br />
まあこのくらい書けば、マッキンティの「断筆」が何だったのか察しも付くだろう。これをある種の抗議行動ととるのか、スタントと解釈するのはそれぞれってとこだろう。いずれにしてもマッキンティ自身が
これについて詳しく語ることももうないだろうと思う。日本でこうなってると聞いたとしても、困窮して作家を断念?まあそういうことならそれでいいんじゃねえの。とかいうところだろう。まあそんな状況で
私ことセンパイの子分Aが、センパイ、ダメっすよ!そんなこと言ってるとジャパンのちょんまげ野郎やキ○ィちゃんをおんぶしたゲイシャになめられっぱなしっすよ!としゃしゃり出てくどくどと書いてるところなんだが。<br /><br />
いずれにしても事の発端は、いい加減極まりない「ミステリ評論家」野郎が幼稚なウケ狙いで適当な情報を、作家自身の本の解説などというようなところに書いたことからである。本の「解説」などというものが
いつから業界寄生虫のお小遣い稼ぎや、いつか原稿溜めてミステリエッセイ集出そうと思ってる作家先生とかのためのフリースペースになったんかね。何度でも言うがまともに書けるやつすら見つからないんなら、
もうこんな悪習廃止すべきだろうが。少なくともハードボイルドジャンルに関しては、初回の作家紹介以外は一切いらんからね!あとさあ、これは早川書房に限ったことじゃなく、このネット時代もう「大本営発表」で押し切れるもんじゃないと認識すべきだろう。<br /><br />
最後にマッキンティ最新情報なのだが、なんともうすぐの本年5月に最新作『The Island』が発売予定。前の『The Chain』がMulholland Booksからだったので、今度もそうかと思っていたのだが、今回はその親会社の
Little, Brown and Companyから出ている。そっちの方針転換かはたまたさらにその上のHachetteの都合か。相変わらずダフィ・シリーズの出版予定は不明。マッキンティの最近の単独作はMulholland Books-Little, Brown
and Companyなんでそっちからなのかと思っていたのだが、これはもしかしたらウィンズロウが紹介した有力エージェントが、もっと高く売ろうと交渉中が長引いてんのかもね。なんたって現在世界で最も待望されている
と言っても全く過言でないシリーズが丸ごと移行するわけやしね。前の『The Chain』だって世界37ヶ国とかで翻訳される鬼ベストセラーなんだし、ダフィの新作なんて出たらどうなるかぐらいのもんだしね。<br />
とりあえずダフィについては気長に待つしかないようで、まあそれまではこの新作『The Island』を楽しみにしよう。日本で出んのかな?出ないのかな?というとこだけど、まあ出たとしても早くて年末ぐらいとか?
もっと先?早く読みたいけど、どうしても出ないとか言うことにならない限り、原文で読みマシターえへん、みたいな恥ずかしいことはしないと思うので。まあ日本でも翻訳出るよ。<br /><br />
えーっと、ここで前回の訂正。まああっち書き直すこともあるかと思うけど。待望のS. A. コスビー『Blacktop Wastland(邦題:黒き荒野の果て)』がハーパーから出た件で、ハーパーがMacmillan Booksの系列であるように書いて
しまったのですが、私の思い込み勘違いでした。すんません。日本のハーパーの親会社HarperCollinsは、前にも書いた世界の出版業界を支配するニューヨークのビッグ5の一つであり、Macmillan Booksもそれと並ぶ一つで、
系列・上下などの関係はありません。ちなみにビッグ5の残る3つは、Penguin Random House、Simon & Schuster、Hachetteね。<br />以前ウィンズロウがVintage Crimeが事実上ポシャった後Macmillan Booksに移籍し、
カルテル三部作の最後『ザ・ボーダー』が、日本ではハーパーから出たのでそういうあっちでの版権関係かと思い込んでそのままにしといた、私の不勉強による不始末です。すんません。<br />
怠け者で勉強嫌いの言い訳じゃないんだが、そもそも本をそういったビジネス視点みたいなので見るのが好きじゃないんで、ビッグ5なんてのについても今回ごちゃごちゃしててよくわかんなくなって、仕方なく調べて
やっと知ったぐらいだし。まあこれからもあんまりそっち方面でよく考えるつもりもないんで、また間違えると思うんで今のうちからすんません。結局出版社なんて、自分が読みたい本を出してくれるレーベルみたいな
もの以外はあんまり気にしていないし、そういう上のところの動向とかウォッチしてみて、うっかり思惑なんかが透けて見えてきてもイラッとするだけやしね。<br /><br />
しかし私の最近のハーパー総取りに関する認識が全くの勉強不足による勘違いだとすると、結局のところは外資にゃ敵わないって話なのか?つまり米国内ではライバル会社でも日本のみ向けの版権については現地に地盤があるそちらの方が有利に交渉取得できるという話?まあ具体的なマネーの話までは分からんけど。こんな翻訳ミステリ右肩下がり続けもはや水面下状況じゃ、既存の国内出版社には
対抗手段の予算もないだろうしねえ。今の状況は、ホロヴィッツみたいにあっちじゃそれほど注目されてない中から日本で売れるのを探すのが精一杯というところなんか。<br />
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そんな状況を反映しているのかもしれないのが、先日本屋に行ったら売ってたコレ。『気狂いピエロ』。まあ自分も数知れないぐらい観た好きなやつにしても映画がらみってところは気に入らないが、ライオネル・ホワイトホント何十年ぶりぐらいで翻訳出たのは
喜ぶべきか。新潮文庫ハードボイルド都市伝説、これ上手く行ったら次もと考えてそう。次はホワイト原作の『現金に体を張れ』を復刊とか?意表をついて同じくゴダール映画でパーカー・シリーズのなんかが原作だけど、
あんまり違うんでウェストレイクが怒ってクレジットに名前出すの拒否した『メイド・イン・USA』とか?いやそれは意表をつきすぎ。グーディスとかもそんな感じの未訳ありそうだしね。今の状況、ノワール、クライム
ジャンル以外にもそういう事情からのミステリの「過去の名作」みたいなのの掘り起こしが流行りそうだが、一方でランキングみたいのがそういうのに飛びつくお年寄り層で構成されてて、新しいものそっちのけでそちらにばっかり票が入りますます新鮮味の乏しいランキングになりって感じで、双方の悪循環で日本の翻訳ミステリの破滅へのスパイラルが加速しそうな気配。ああもう夢も希望もないっす。<br /><br />
うーん…、今気付いちゃったんだけど、結局こういう業界観測的な話っていうのが色んな部分を、スポーツも政治も同じ温度で語る居酒屋の親爺トークレベルに引き下げちゃうんだよね。情報でマウントを取る各種オタク
コミュニティなんてモロにその典型じゃん。そもそもこっちはこういうすげー作家がいるんで読んでください!、とかこの作品はこういうところがこんなにすごいんだバカヤロー!、とかやりたいだけなんだし。結局のところは
本質的にはどうでもいいしもう終わってる日本での翻訳みたいなのを考えようとするからこういうことになっちゃうんだよな。いいの出たら売れて欲しいから推すけど、もうその辺について深く考えるのはやめよう。
別に勘違いで恥をかいたから都合のいい撤退方法考えてると思うんならそれでもいいっす。期待のマッキンティ『The Island』が日本で翻訳されんのか、どこから出るのかなんてもうどうでもいいです。
ただ、出るにしろ出ないにしろ、マッキンティだけはちゃんと追っかけてないと、確実に世界のミステリ状況から取り残されちゃうだけだよ。まあそれでもいいとういう「専門家」も多そうだけどねえ。<br /><br /><br />
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大変申し訳ない。なんだかんだでずいぶん間が空いてしまった戸梶圭太先生最新作情報です。こちらが色々とへこたれてブログもサボってる間に、先生の方は大変精力的に次々と作品を発表されております。
昨年11月に出た『夫婦のはらわた』以降は新刊情報も満足に書けてないし…。その後本年2月には『天国にいけない蟲』を出版。そうして3月から開始されたのがこちらの中編コメディシリーズ『多元宇宙りんご町』シリーズ
なのです!3月29日に第1巻が発売され、既に4月29日には第2巻も出版!今回はダークなクライム、ホラー傾向ではなく、コメディに徹したシリーズということです。なんかこれまでの作品に登場したキャラクターなども
登場するということもツィッターで言われていた気がするのだけど、ちょっとはっきりしたところは忘れてしまいました。ごめん。せっかくシリーズなのだからちゃんと追って行きたいと思っているのだが、
また1巻も開いていないうちに先生のスピードに負けてしまった…。<br />
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こちらの読書状況ははやっと『5Gマンを殺せ』を読んだぐらいで、何とか読んだもんだけでも書かなければ、と思っているのだがどうにもままならず本当に申し訳ないっす。南米B国を舞台にした負け犬ダメ人間たちと
狂人達が繰り広げる負の連鎖カタストロフ脱力バイオレンスアクション!素晴らしい!ああもっと戸梶作品を摂取せねば!その他に読んだけど書けていないものとしては、未来の健全な子供の育成のために大人のダメさを
暴露しつつ、最後はほんわか終わる優良児童小説『忘れ死神ぴよ』。様々な事情でぶっ壊れかけたルーザーたちがぶっ壊れかけたタワー駐車場で立体脱力バトルを繰り広げる『シュレッドタワーと哀しい人たち』。
戸梶作品新作をズラっと並べられるのは本当に喜ばしいことですが、見てるだけじゃなくてちゃんと読めよ、という話。とりあえず最新作『多元宇宙りんご町』シリーズはちゃんと追ってちゃんと書くつもりです。
いや、ホント、今度こそ…。<br /><br /><br />
昨年末からかかっていたマッキンティDeadトリロジー第3作『The Bloomsday Dead』なんとか完了しました。なんか一時期はもうこれ出来ないんじゃないかと思ったりもしたけど。いや、まあ一番へこんでた時期に
開いてみて、全く続きを書く気が起きなかったぐらいのもんだけど。なんにしても、とりあえず中断地点までは戻ったのでここからまた先に進めるっしょ。まだやろうと思ってることは山積みだしね。ずいぶん昔に
こちらと同様に、やる!と宣言しておりましたCal Innes四部作についてもなるべく早急にやるつもりではおりますので。まあとりあえずまたボチボチ頑張るです。ではまた。
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
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<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/06/adrian-mckinty-dead-i-well-may-be-dead.html">Adrian McKinty / Dead I Well May Be -Dead Trilogy第1作!これがAdrian McKintyだ!-</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/07/adrian-mckinty-dead-yard-dead-trilogy2.html">Adrian McKinty / The Dead Yard -Dead Trilogy第2作!</a>
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■Adrian McKinty<br />
●Dead Trilogy</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3TXw8a2"><p>Dead I Well May Be</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aPi9JH"><p>The Dead Yard</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RVmFxn"><p>The Bloomsday Dead</p></a>
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●長編</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/48W3LO1"><p>Fifty Grand</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3SjDyDz"><p>Falling Glass</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TZkqvz"><p>The Sun Is God</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41Ymypx"><p>The Chain</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JjiRe"><p>The Island</p></a>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3vqcGZq"><p>多元宇宙りんご町</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSfe8Y"><p>多元宇宙りんご町2</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48JXxAq"><p>天国にいけない蟲</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41KZg6v"><p>夫婦のはらわた</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3H7FKHF"><p>半グレVSノーマスクカルト コロナ日本の内戦2021</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RKMBvH"><p>みなさまのキルスイッチ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tz4DsV"><p>5Gマンを殺せ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47sn4Ns"><p>Stay Sitty</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3RO68vl"><p>忘れ死神ぴよ</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47pbx1p"><p>宝くじ販売員の戦争</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41PBgiy"><p>空からの死、地からの命 あいつは戦争がえり3</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3NSkFF1"><p>高く立て、低く這え</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aN853S"><p>僕とじいちゃんと彗星Z</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vx1Kcl"><p>シュレッドタワーと哀しい人たち</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48nqYbW"><p>コロナ日本の内戦</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、
Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-81902406041285345152022-04-10T00:00:00.011+09:002024-01-15T16:30:08.784+09:00ハードボイルド-ノワール小説未訳シリーズ!これを読むべし!<style>
.amList{
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</style>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
失業記念!うわもうヤケクソかよ。<br />
というわけで失業しました。前にもいっぺん失業しているけど、そん時は勤め先自体の経営不振という感じだったので、心の準備とかあってそれほどダメージなかったのですが、今回はなんか色々積み重なったうえで、
あー、もうそういうことすんなら辞めるわ、という感じになってしまったという次第で、まあさすがにダメージもでかく、一月ぐらいはちょっとブログとかやる気も出なかったわけです。とりあえず立ち直った
というわけでもないんだが、とにかく求職活動も始めたし、そろそろこっちもやらなくてはな、という感じでモタモタとやっと戻ってきたというところです。なんかねえ、ブログやってて2回も失業するなんての
珍しいんじゃない?昔仕事の関係で色々見てた時、「仕事辞めました」で終わってるブログとかあったしね。まあしばらくは時間もあることやしこっちの方もなるべく頑張ってみようと思います。<br /><br />
そんなわけでやっと再開ということになったわけで、書きかけのマッキンティのやつとか早く進めなければならない案件もあるのですが、まあそんな事情・気分ゆえここはちょっとワンクッション置きたいなと
考えて思いついたのが今回のやつです。<br />自分もハードボイルド-ノワール方面で激しくお勧めしてきた作品も数あるわけですが、なんか長くやってきて色々書いてるうちに埋もれてきてわかりにくくなってるのも結構あるので、
どっかそれらをまとめてあるところを作った方がいいのだろうな、というようなことは以前から考えていたわけなのですが、んー時間もないしで先送りしてきたのをここでやるかということです。うん、とにかく時間はできたしな…。<br />
で、実際にどうやろうかというのは前々から色々と考えていたわけだけど、肝心なのは一回やってそれっきりにならないようにすること。というのはこういうお勧めというのはこれからも増え続けるのは確実だからです。
例えば直近にしても前に書いたジェイムズ・カルロス・ブレイクのThe Wolfe Familyシリーズなんていうのはここに入る可能性かなり大だけど、まだ読み始めたばっかりで説明できるまでに行ってないわけだし。
しかもその前、去年の秋ぐらいまでは来年ぐらいは絶対バリー・ギフォード『Sailor & Lula: The Complete Novels』を中心に読んでくぞ、と思ってたんだけど…というように日々新たに見つかった注目作に
後回しにされているこれは確実ぐらいの重要作なんて山ほどあるわけだしね。<br />
実際の運用としては、とりあえずは下に追加したり、説明に追記したり書き直したりという感じでやって行こうかという感じです。あんまりうまくいかなくなったら全面的に改稿して改訂版とか、まあそれはこれからも
続いて行ってからの話だよな。まああまり考え過ぎず現時点の物を作ってきます。<br /><br />
で、これを見ている皆さんに強く注意しておきたいのは、ここに並んでいるような作品には、小さいインディペンドのパブリッシャーや場合によっては自費出版というようなものが多く含まれているということ。<br />
電子書籍時代になり、品切れによる絶版という心配はなくなったが、パブリッシャー自体がなくなってしまうと必然的に作品の販売もなくなってしまう。あー、もしかしたらそういう経験ない人も多いのかもしれんので、
一応言っておくと、少なくともKindleやKoboで販売が終了してしまった作品も、購入しておけば再ダウンロードもできますので。いや、私は販売終了作品山ほど持ってますので大丈夫です。<br />で、とりあえず
それらの電子書籍が未来どのくらい先まで安泰なのか、という問題は置いといてだ。このジャンルのファンなら、扶桑社あたりが年一ぐらいのペースで「70年を経て今始めて翻訳されるノワールの幻の名作」
みたいのを出してるのは知ってるだろう。まあしばらく前のノワール原理主義者共による馬鹿げた定義縛りによるノワール統制下での定義に合う評価の定まった過去のビンテージ作品のみ持ち上げましょうブームの余波なんだろうけどな。<br />
確かにそういった隠れた名作が出版されるのは喜ばしいことだろうし、私自身もそういうのはもれなく買ってるぐらいではあるが、一方で考えれば、米国内でも過去作品の復刻に特化した
Stark Houseなどの出版が60年代ぐらいまでで、我らの味方Brash Booksの復刻作品も70~80年代頃、というのも見ればわかるように、一度失われてしまった作品が再評価の機会があったとしても戻ってくるのは早くて4~50年後ということだ。<br />
日本で出たそれらの「幻の名作」を見てみれば、21世紀初頭の最重要作家ケン・ブルーウンがわずか数作で翻訳中断になる状況を放置し、あのストックホルム三部作が第1部のみしか
翻訳されなかったことに抗議の声さえ上げず、現在このジャンルの最前線を走るエイドリアン・マッキンティをきちんと評価しているのかさえ怪しい輩が、ご自慢の知識披露に得々としている。だが、この世界にこれまで現れたすべての作家は、50年後、70年後に評価されるためなどではなく、常に同時代、目の前にいる読者に向けて作品を創っているのだ!今の作品は今読まれるべき、当たり前のことだ!<br />
この辺を踏まえて、忠告しておこう。ここに並べた作品はほとんどが日本に翻訳される可能性はなく、そして多くの作品はそれほど遠くない未来に原書自体が失われる可能性も高い。たとえ現在英語力に自信がなくても、気になる作品は早めにゲットしておけ!一旦失われれば、運がよく再評価されても次に出会えるのは4~50年後だ。<br />
後世の定まった評価の上にあぐらをかいてふんぞり返る「評論家」なんぞのためでなく、今、全力で優れた作品を世に著した作家のためにこそ作品を読むのだ!<br /><br />
前述の通り、自分で考えてもここに追加されるべき作品はまだまだある。つーか書いてるうちにあーアレも読んでねえ!アレも1冊しか読んでねえ!と思い出して頭がグルグルしているとこなんですが…。
そんなわけで、下に次々追加しやすいよう、いつも最後にダラダラやってるような話は省き、ここで一旦締め、あとは作品、シリーズ紹介のみが
続くという形を取らせてもらいます。前から考えてたんだけど、こういうのあると、これ絶対に読んだらなんか書かなきゃいけないやつだから後回しにしよう、みたいのも減って、とりあえずここに簡単な紹介を書いて
いつものようないつかちゃんと書きますからー、というデマを追加しとくということができるのではないか?あ、いやデマではなくいつもちゃんと書かねばならんと持っているのだが、結果的にゴニョゴニョ…。
なんか本を探す人に便利なように作れるといいのだけどね。とにかくこれ作って終わりではなく、今後も語るべき本についてはなるべく詳しく語って行くつもりです。
<br /><br /><br />
</span></span>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px;">Anthony Neil Smith : Billy Lafitteシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3tQYb0g" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/514R4oMXYHL.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
常々言っとるが、私は本に順位をつけるような思い上がった恥知らずではないのだが、私にこういうことやらせればやっぱりこれを最初に持ってきてしまう。現代ノワール最強作家にして無冠の帝王Anthony Neil Smith
先生が創造した伝説的カルトノワール作品Billy Lafitteシリーズだ!<br />
第1作ではミネソタ州イエローメディスン郡の保安官代理であったBilly Lafitteが、ある事件をきっかけに後戻りのできない犯罪者の烙印を押され、自身を取り巻く世界全てから憎悪を浴び、命を狙われ、
第2作ではバイクギャング、第3作では刑務所の囚人へと堕ち続け、自身の意に反して暴力機械へと変貌して行く物語である。<br />
最初に出版されたパブリッシャーが倒れた後、しばらく自費出版されていたが、英国の今は亡き電子書籍黎明期の伝説的パブリッシャーBlasted Heathでシリーズ展開を進め、その後米国のインディペンド
クライム作品出版の雄、Down & Outにて出版されていたが、本年になり事情は不明だがそちらとの契約を終了し、再び自費出版にて販売されている。現在第4作まで発行されていたのだが、販売は第2作までで、
これから追加になるところと思われる。
第5作も予定されていたのだが、作者の意図により中断しており、その辺を巡ってDown & Outと意見の不一致があったのでは?と想像もできるが、とりあえずはホント直近のことなので詳細・その後の経緯等
わかることがあったらまた報告します。<br />
※追記(2023年8月19日):しばらく絶版となっていたBilly Lafitteシリーズ第3、4作がやっと再版されているのに今日気が付いたので追加しておきます。色々と出版に関しては厳しい状態で、自費出版となっていますが、とにかく再版され現行全4作揃ったのは大変めでたい。2000-2010年代最強のノワール・シリーズ、必ず読むべし!
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2014/06/yellow-medicine-billy-lafitte1.html">・Yellow Medicine</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2015/09/hogdoggin-billy-lafitte2.html">・Hogdoggin'</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/05/the-baddest-ass-billy-lafitte3.html">・The Baddest Ass</a>
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</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Anthony Neil Smith : Billy Lafitteシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3tQYb0g"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/514R4oMXYHL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tQYb0g"><p>Yellow Medicine</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3TZrlVU"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91Zaih3p1uL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TZrlVU"><p>Hogdoggin'</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aNm49E"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81TWfrTldoL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aNm49E"><p>The Baddest Ass</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3SgeI7j"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71FsC1g6b2L._SL1360_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SgeI7j"><p>Holy Death</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Ray Banks : Cal Innesシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3vzsqt8" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81zqebSbdiL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
全てのハードボイルドファン必読!21世紀ゼロ年代最重要作と言っても過言ではない、ハードボイルドの反逆児Ray Banksによる英国マンチェスターのチンピラ探偵Cal Innes四部作である!
ムショ帰りで身元引受人のPauloのボクシングジムに事務所を借りるカネなし、コネなし、腕力なしの20代の若きチンピラ探偵。我が国が誇る70年代の伝説的名作『傷だらけの天使』の木暮修を連想するなという方が
無理だろう。「ハードボイルドとは云々」などと聞いた風を並べる輩を根こそぎ蹴飛ばす唯一無二のオリジナルハードボイルド!何度でも言うがハードボイルドファン必読!これを絶対に逃すな!<br />
こちらもAnthony Neil Smith : Billy Lafitteと同様の経緯でBlasted Heathにて四部作を完結。Blasted Heath設立者である作家Allan Guthrieの功績はあまりにも大きい。現在は英国TSB Booksより発売中。
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/09/ray-banks-saturdays-child-cal-innes1.html">・Saturday's Child</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/01/ray-banks-sucker-punch-cal-innes2.html">・Sucker Punch</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/10/ray-banks-no-more-heroes-cal-innes3.html">・No More Heroes</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/08/ray-banks-beast-of-burden-cal-innes.html">・Beast of Burden</a>
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■Ray Banks : Cal Innesシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3vzsqt8"><p>Saturday's Child</p></a>
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<a href="https://amzn.to/41VQvqa"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81d5ct3LTtL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41VQvqa"><p>Sucker Punch</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vAIWsY"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816t4b7W8fL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vAIWsY"><p>No More Heroes</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47yF0WQ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/818xuB0ih8L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47yF0WQ"><p>Beast of Burden</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Johnny Shaw : Jimmy Veeder Fiascoシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3RXAETB" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/51S3jPU1QfL.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
日本でも単発作品『負け犬たち(原題:Big Maria)』の翻訳があるジョニー・ショーによる国境の町Imperial Valleyの農夫Jimmy Veeder Fiascoシリーズ。父の危篤に帰郷し、その農地を継いだJimmy Veeder Fiascoが
国境をまたぐ事件に巻き込まれて行く。<br />
自分はジョニー・ショーにハズレ無しぐらいにこの作家に信頼を置いているのだが、それが高すぎる故にいまだに第1作『Dove Season』と『Big Maria』しか読んでないという始末。まあ救いがたい貧乏性と、正体不明
これ面白いんかな?という方を優先してしまい、信頼がおける好きな作家ほど後回しにしてしまう悪癖ゆえなのだが。ジョニー・ショー作品は誰でも100%楽しめると自信を持ってお勧めする。いや、こんな面白い作家の
作品読まないなんて人生の損失だって。<br />
Jimmy Veeder Fiascoシリーズは第3作が出てからしばらく音沙汰がないのでこれで終わりなのかもしれないが、ジョニー・ショーはその後も次々と絶対面白い新作を発表し続けているのだよ。
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/03/dove-season-johnny-shaw-jimmy-veeder.html">・Dove Season</a>
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</span></span>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Johnny Shaw : Jimmy Veeder Fiascoシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RXAETB"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51S3jPU1QfL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RXAETB"><p>Dove Season</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O47kts"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81e2J0RYQQL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O47kts"><p>Plaster City</p></a>
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<a href="https://amzn.to/47tZ10Q"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91aSlB1Wn0L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47tZ10Q"><p>Imperial Valley</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Adam Howe : Reggie Levineシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3RVyYKb" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81d7iNQuNCL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
日本では全く名前も知られていない作家の作品を色々と見つけ出して読んでる私なのだが、中でもこのAdam Howeという作家に出会えたのは本当に幸運だったと思っている。スティーヴン・キングの短編小説コンテストで
優勝し、その才能を認められたAdam Howe。ホラー系のインディペンド・パブリッシャー、Comet Press(現在はRed Room Press)からの中短編集『Die Dog or Eat the Hatchet』に収められた中編「Damn Dirty Apes」が
我らがReggie Levine初登場作となる。Reggie Levine、アメリカ南部の田舎町Bigelowのストリップバーの用心棒として働く元ボクサー。まあ簡単に言ってしまえば、かのジョー・R・ランズデールの
ハップ・コリンズタイプの主人公。トラブル吸引体質でとにかく厄介事に見き込まれ散々な目に遭う。本家ランズデールもかなりのお下劣ギャグ連発なのだが、さらに輪をかけたようなジャッカス級の
破壊的なドタバタが繰り広げられる。<br />
第1作の好評を受け、第2作は長編『Tijuana Donkey Showdown』。続いてHowe君自身が立ち上げたHoney Badger Pressからのプロレスアンソロジー『Wrestle Maniacs』に収められた短編「Rassle Hassle」の3作が
今のところ出ている全部かと思っていたら、今年の1月に「Of Moose And Men」という33ページの短編が単品で出ていたよ。すぐ買った!すげー嬉しい!またReggie Levineが読めるぞ!<br />
現在は自費出版で苦戦するAdam Howe君。最新長編80年代アクションムービーへのオマージュに満ちた『One Tough Bastard』も大傑作!誰かこの天才にもっとガンガン書かせてくれよ!
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/09/adam-howe-die-dog-or-eat-hatchet.html">・Die Dog or Eat the Hatchet</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/04/adam-howe-tijuana-donkey-showdown.html">・Tijuana Donkey Showdown</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Adam Howe : Reggie Levineシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RVyYKb"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81d7iNQuNCL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RVyYKb"><p>Die Dog or Eat the Hatchet</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vBLlni"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91mZ-9e4AgL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vBLlni"><p>Tijuana Donkey Showdown</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TTJvYZ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/9114gArMseL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TTJvYZ"><p>Wrestle Maniacs</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3U1279C"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71qPQGnUK5L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U1279C"><p>Of Moose And Men</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Douglas Lindsay : Barney Thomsonシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/4aSAXYp" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71jwwaRH3ML._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
史上最弱の「連続殺人鬼」Barney Thomsonシリーズ!えーっと、これは正確にも不正確にも、ハードボイルドジャンルというよりは、英国のブラックユーモアミステリーという(そんなジャンルあるのか知らないけど)
ところなんだろうが、ジャンルなんてとりあえずはどうでもいい。Barney Thomsonは絶対面白いともう500%ぐらいの自信を持ってお勧めする。スコットランド グラスゴーの気弱で冴えない中年の床屋Barney Thomson。
彼の前には次々と死体が積み重なり、やがてスコットランド中を震撼させる最凶殺人鬼と糾弾されることになってくる。<br />
自費出版などで苦戦を重ねた後、こちらも伝説のBlasted Heathで注目され、ロバート・カーライルの監督・主演で映画化(日本でもDVDその他で観られます。)されるも、Blasted Heath亡き後は、予定されていた
パブリッシャーが経営不振などで、現在は再び自費出版にて販売中。だが不屈の男Douglas Lindsayの創作意欲は一切衰えず、Blasted Heath版全7長編プラスをまとめたオムニバス『The Barbershop 7』を買って
これで全部だと安心していたら、その後第8作、9作が刊行。最近出た『Scenes From The Barbershop Floor: A Barney Thomson Book』っていうのはまた別のシリーズなの?まあいいや、Barney Thomsonなら
絶対面白いから全部並べとくぞ!
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2015/01/the-long-midnight-of-barney-thomson.html">・The Long Midnight of Barney Thomson</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/07/douglas-lindsay-cutting-edge-of-barney.html">・The Cutting Edge of Barney Thomson</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Douglas Lindsay : Barney Thomsonシリーズ<br />
●長編</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/3HiErpn"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/916ZBK0grsL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HiErpn"><p>The Barbershop 7 (Barney Thomson Box Set Books 1-7)</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aSAXYp"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71jwwaRH3ML._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aSAXYp"><p>The Long Midnight of Barney Thomson</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3HiB0PB"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71k1eYP+cfL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HiB0PB"><p>The Cutting Edge of Barney Thomson</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48Uvazx"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81NqRtl+WTL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Uvazx"><p>A Prayer For Barney Thomson</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vI598j"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81MsOrm6DHL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vI598j"><p>The King Was In His Counting House</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aWNM44"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81EkK6B708L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aWNM44"><p>The Last Fish Supper</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41VBkx4"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71IYoiAmoqL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41VBkx4"><p>The Haunting of Barney Thomson</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48Mt8lL"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81e4H2Z6veL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Mt8lL"><p>The Final Cut</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vvJ7Wp"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71e0M9RYfQL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vvJ7Wp"><p>Aye, Barney</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aTVc84"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81zJZdBga1L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aTVc84"><p>Curse Of The Clown</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Barney Thomson Shorts</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TZsCMt"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81ib1oWkNvL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TZsCMt"><p>The Face of Death</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TWwpKs"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71op9kTHI2L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TWwpKs"><p>The End of Days</p></a>
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<a href="https://amzn.to/4aXlaay"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/817HVLsGMPL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aXlaay"><p>Barney Thomson: Zombie Slayer</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41TCTMh"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816g1aRoEXL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41TCTMh"><p>The Curse of Barney Thomson & Other Stories</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●Scenes From The Barbershop Floor: A Barney Thomson Book</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vI724T"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81hzSCg0WaL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vI724T"><p>Scenes From The Barbershop Floor: A Barney Thomson Book: Volume 1</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SiUNVe"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/816-+3zrVWS._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SiUNVe"><p>Scenes From The Barbershop Floor: A Barney Thomson Book: Volume 2</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Duane Swierczynski : Charlie Hardieトリロジー</h3>
<a href="https://amzn.to/3O71oQf" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/814zpkcXRHL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
日本では3作翻訳が出ているドゥエイン・スウィアジンスキーなんだが、当然まだ全然足りん。で、この驚愕のCharlie Hardieトリロジー!不死身っぽい男Charlie Hardieが次々に予想もつかない事件・陰謀に
巻き込まれて行く。<br />頭脳は大人、発想は中学生!こんな三部作を思いついて書けるのは世界でもスウィアジンスキーただ一人だろう。こんな三部作が世に現れることは二度とないと断言する!。あ、ある意味
そこら中に転がっているのだが…。これを読み逃したら来世まで後悔するドゥエイン・スウィアジンスキーの前代未聞の三部作!何が何でも必ず読むべし!
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2015/11/fun-and-games-charlie-hardie.html">・Fun and Games</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2015/12/hell-and-gone-charlie-hardie2.html">・Hell and Gone</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/02/point-and-shoot-charlie-hardie.html">・Point and Shoot</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Duane Swierczynski : Charlie Hardieトリロジー</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O71oQf"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/814zpkcXRHL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O71oQf"><p>Fun and Games</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SiJmMr"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81mAi3h+ZIL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SiJmMr"><p>Hell and Gone</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41Xf6uI"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81897ti9UUL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41Xf6uI"><p>Point and Shoot</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Ken Bruen : Tom Brantシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/48xESbw" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91T9tjIyiSL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
例えばRay Banks : Cal Innesが21世紀ゼロ年代最重要ハードボイルドというのは私の個人的意見主張なのだが(もちろん同意見の人は多数存在する)、ケン・ブルーウンが21世紀初頭のハードボイルド最重要作家である
というのは、日本のみで流通していない世界の常識である!我らがジャック・テイラーさんに先立ち、ブルーウンが世に著したのがこのTom Brantシリーズ!アイルランド出身のスコットランドヤードのでたらめ
暴力刑事Tom Brant!初登場時は部長刑事なのだが、シリーズが進むにつれて出世する。出世要素ほぼなさげに見えるが…。圧倒的な主人公Tom Brantなのだが、このシリーズかの87分署スタイルで書かれており、
Brant以外にも活躍したりかき回したりする魅力的なキャラクターも多い。<br />
日本以外のミステリ界に衝撃を放った初期3作The White Trilogyに続く第4作『Blitz』がジェイソン・ステイサム主演で映画化。第1作『A White Arrest』を読んだところでまあ大丈夫だろうと思って観たら
かなり深刻なネタバレをされて泣いた…。ケン・ブルーウンが日本で正当に評価されるまでにはあと3世紀ぐらいかかるので、ジャック・テイラーともども原書ですべて揃えて読むべし!あと、結局まだ第1作についてしか
書けてなくてホントにごめん…。
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/08/ken-bruen-white-arrest-white-trilogy1.html">・A White Arrest</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Ken Bruen : Tom Brantシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48xESbw"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91T9tjIyiSL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48xESbw"><p>The White Trilogy: A White Arrest, Taming the Alien, and The McDead</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O4SItQ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41TF8UDaJgL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O4SItQ"><p>Blitz</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O4d4Dv"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41cFkpMxkkL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O4d4Dv"><p>Vixen</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O4d8mJ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/511gguS5wtL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O4d8mJ"><p>Calibre</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41WD5u2"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51JZDBth2qL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41WD5u2"><p>Ammunition</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Adrian McKinty : Michael Forsythe/Deadトリロジー</h3>
<a href="https://amzn.to/48xa7n7" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/716N5S15VQL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
エイドリアン・マッキンティのデビュー長編『Dead I Well May Be』から続くMichael Forsytheを主人公としたDeadトリロジー。日本的に無名な作家をまず優先したいというのと、これぐらいになればいくらか
読んでる人もいるだろうということから少し下の方に来てしまったが、気分的には最上部でアピールしたいぐらいの重要作。<br />
昨年やっと第3作を読み終わったのだが、三部作を通してみることでエイドリアン・マッキンティという作家の現行のショー・ダフィシリーズにも通ずるのだろうと思われるテーマというべきものも見えてくる。
現在進行形ここから未来へ続くハードボイルド最前線の最重要作家、エイドリアン・マッキンティから目を離すべからず!
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2017/06/adrian-mckinty-dead-i-well-may-be-dead.html">・Dead I Well May Be</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/07/adrian-mckinty-dead-yard-dead-trilogy2.html">・The Dead Yard</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2022/05/adrian-mckinty-bloomsday-dead-dead.html">・The Bloomsday Dead </a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Adrian McKinty : Michael Forsythe/Deadトリロジー</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48xa7n7"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/716N5S15VQL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48xa7n7"><p>Dead I Well May Be</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41ZZ9nz"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81hKxJIYBbL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41ZZ9nz"><p>The Dead Yard</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48QnkXH"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71kp5jAndaL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48QnkXH"><p>The Bloomsday Dead</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">James Carlos Blake : Wolfe Familyシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/41WiJku" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81u-mbAqJKL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
巨匠ジェイムズ・カルロス・ブレイクによる麻薬カルテルがはびこる現代メキシコを舞台としたボーダー・ノワールシリーズ。#0『Country of the Bad Wolfes』は19世紀初めから20世紀初頭メキシコ革命勃発期までの
約100年に亘る、メキシコの地におけるWolfe一族の波乱の歴史。#1『The Rules of Wolfe』はそこから続くのかと思ったら、一気にさらに100年後の現代メキシコを舞台とした現代版ジェイムズ・カルロス・ブレイクって感じの
(いや、本人なんだが)国境を目指す激アツアウトローアクション!#0はボリューム的にも倍近くて、内容も犯罪小説というよりも歴史小説という感じだったりもして少し大変なので、とりあえずシリーズ第1巻特別激安価格の
#1から読み始めてみても大丈夫だと思う。実は#1では現代のWolfe一族のほんの一部分しか明らかにされないのだが、最後にその恐るべき一端の片鱗が姿を現す。#1を読んで気に入ったら(いや、こんなところ見に来る君なら
確実に気に入るが)そこから遡って、これから徐々にその真の姿を見せてくるであろうWolfe一族について知っておくために#0を読むのもあり。こちらの詳細については近日中…いや、とにかくなるべく早く必ずちゃんと書くので、
乞うご期待!…気長にしてみて下さい…。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■James Carlos Blake : Wolfe Familyシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SheZHf"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81riJAyq0EL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SheZHf"><p>Country of the Bad Wolfes</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41WiJku"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81u-mbAqJKL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41WiJku"><p>The Rules of Wolfe</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3Sh7eAX"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/9152gAMweqL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3Sh7eAX"><p>The House of Wolfe</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U2eRN0"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81ab07qnBZL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U2eRN0"><p>The Ways of Wolfe</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TZo1K4"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81hthx+aoXL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TZo1K4"><p>The Bones of Wolfe</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Massimo Carlotto : The Alligatorシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3vJQOYY" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/811mU8nlHOL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
イタリア産ハードボイルド。ムショ帰りの元ブルースシンガーのアウトロー探偵、通称アリゲーター。アウトロー探偵というと、アメリカのアンドリュー・ヴァクス(合掌。ご冥福をお祈りします。)のバークを思い浮かべる向きもあると思うが、そこにかなり濃いイタリア風味の味付けをした感じ。ゴッドファーザーあたりにも通ずるイタリアのアンダーグラウンドの仁義と非情あふれる人気シリーズ。<br />
イタリアの出版社Edizioni E/Oが、英語圏への進出を目指しニューヨークに設立したEuropa Editionsより、第4作以降の英語版が販売中。作者マッシモ・カルロットは他にも映画化作品などの多い
ベストセラー作家なのだが、一方でイタリア中を騒がせた事件で服役していたいわくつきの人物(詳細は下のリンクの記事に)。なんか日本も一昔かふた昔前はこのくらいの作家翻訳される国だったんじゃないかなあと思うんだけどねえ。
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/04/the-colombian-mule.html">・The Colombian Mule</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Massimo Carlotto : The Alligatorシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vJQOYY"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/811mU8nlHOL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vJQOYY"><p>The Colombian Mule</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48Uik4m"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91nDJIihksL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Uik4m"><p>The Master of Knots</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47zkwxh"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91abLiLj3tL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47zkwxh"><p>Bandit Love</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aYZR8E"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81g6Th+KJbL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aYZR8E"><p>Gang of Lovers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3NZeO0E"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81r6NqVN6BL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3NZeO0E"><p>For All the Gold in the World</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SiOAcb"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91XXQmA3jwL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SiOAcb"><p>Blues for Outlaw Hearts and Old Whores</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Eric Beetner : McGrawシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3S07fYD" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/71+e7fAAMzL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
禁酒法時代から続く運び屋稼業のMcGraw一家。その2代目が荷とともに失踪。だが奴が荷を盗んで姿を消すはずはない。最高にヤバい初代ジジイが、裏稼業から足を洗っている3代目と、その息子のティーンエイジャーを
巻き込み、一家の汚名を晴らし、2代目を救出するために立ち上がる。甦る走り屋の血!McGraw一家になめた真似をしたらただじゃ済まねえぞ!<br />
新旧含めた数多くの優れたクライム小説を発行し、突如ぐらいの感じで倒れた伝説のパブリッシャー280Stepsより発行され、絶版状態のままアンソニー賞にノミネートされた傑作!(現在はDown & Outより販売中)
数多くの著作があり、近年のアメリカのインディークライムノヴェルシーンの中心人物であるEric Beetnerについては、もっと読まねば書かねばというところなのだが…。とにかくこれについても書けていないのは
本当に申し訳ない。<br />
McGrawシリーズは多分だけど、全2巻で完結。Beetnerについてはもっと推したいのでLars and Shaine三部作も載せとく。あ~、これも未読だよ。トホホ。<br />
Eric Beetner作品Down & OutよりRough Edge Pressに移籍となったの気付かず、しばらくリンク切れてました。すんません。両シリーズとも以前よりお得価格の合本版で再版です。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Eric Beetner : McGrawシリーズ / Lars and Shaineシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3S07fYD"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71+e7fAAMzL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3S07fYD"><p>McGraw: The Complete Series</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O3PbMp"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71J92BdJejL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O3PbMp"><p>Lars & Shaine: The Complete Thriller Series</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Rusty Barnes : Matt Rider/Killer from the Hillsシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3U1m1RJ" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/61eElcvzYHL._SL1360_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
自然保護観察員のMatt Riderは、ある事故をきっかけに地元で多くの犯罪に関わるPittman一家との暗闘に巻き込まれて行く。さして力もなく、応援もないど田舎の普通の男が、地元で幅を効かせる無法者たちの
暴力と恐怖に自らの生存を護るため立ち向かって行く。これぞカントリーノワールという珠玉作。<br />
Rusty Barnesはクライム系ウェブジン<a href="http://www.toughcrime.com/">TOUGH</a>を主催するこちらもインディークライムノヴェルシーンの重要人物。第1作『Ridgerunner』はBeetner : McGrawシリーズと同じく
280Stepsから発行されていたのだが、読んでこれについては書かなければ、と思っていたところで280Stepsが倒れてしまった…。なんだか読んでから結構時間が経ってしまい、舞台になっている地名なども忘れてしまい
申し訳ない。その後、Down & Out傘下のShotgun Honeyから再刊。続編『The Last Danger』も刊行された。第1作『Ridgerunner』を読んだ時には、あまりに重い結末にこれシリーズになってるけど本当に続きあんのかなあ、
と思ったものだが無事出てよかった。というか早く読め。いや、その前にちゃんと書け。色々とごめん…。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Rusty Barnes : Matt Rider/Killer from the Hillsシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U1m1RJ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/61eElcvzYHL._SL1360_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U1m1RJ"><p>Ridgerunner</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47A0XEY"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71KPjOlG2aL._SL1360_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47A0XEY"><p>The Last Danger</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Anonymous-9 : Dean Drayhartシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/4aZyivW" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/912YtpDAKeL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
車椅子のヴィジランテ!Dean Drayhartは轢き逃げ事件に遭い愛する妻と娘を失い、そして自らも両足、片腕、腸の一部を失う。すべての轢き逃げ犯への憎悪から、残り少ない命を燃やしながら様々な手段を用い
罪を逃れて隠れている犯人をあぶりだし、不自由な生活を支える介護猿を相棒に自らの手で制裁を下す!その中で思いもかけぬ形で大きな犯罪組織を敵に回すことになり…。<br />
女性作家Anonymous-9による衝撃の異色ヴィジランテアクション!…なのだが、大変残念なことに本当に才能あふれる作家なのだが、もうかなり前から作家活動を休止している。事情は不明なのだが。
こちらも前述のAnthony Neil Smithらと同じく伝説のBlasted Heath出身。現在のDown & Outに移籍する頃にはもう作家活動休止となっていたようなのだが、まだ作品が販売されている以上復活の可能性はあると信じる!
このまま失われ、忘れ去られるにはあまりに惜しい作家・作品。このジャンルのファンなら絶対に読む価値あり。
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/11/anonymous-9-hard-bite.html">・Hard Bite</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Anonymous-9 : Dean Drayhartシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aZyivW"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/912YtpDAKeL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aZyivW"><p>Hard Bite</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RUTzOR"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91GqlNQpyzL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RUTzOR"><p>Bite Harder</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Dave White : Jackson Donneシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/48BokQ2" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81UrNuGKJHL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
なんかちょっと微妙な言い方になってしまうのだが、例えば一つのジャンルにおいて突出した作品・作家というのがその時代ごとに出てくるのだが、その陰に常にそのジャンル本体の流れを支えるような多くの作品が存在する。
あー、やっぱこの言い方そういうものを一段低く見るようで良くないなあ。ごめん。自分はそういったある意味普通の作品というような範疇に属するものが、ハードボイルド誕生時から連綿と続く、ミステリのフォーマットに
沿った形の私立探偵小説、PIミステリーというものだと思っているのだが、その2010年代ぐらいを代表するのがPolis Booksから出たDave Whiteら一連の作家だと考え、新世代ハードボイルドなどと読んでみたりしたのだよね。<br />
Jackson Donne、ニューヨークの若き探偵。結構破滅型。学校教師をやりなが地道に作家活動をしてきた苦労人Dave Whiteは、やや注目された第1作の後、第2作を発表したところで一旦中断。その後電子書籍発展成長期に
Polis Booksよりチャンスを得て、第3作以降を発表。現在2017年の第5作でストップしており、その辺の事情は不明なのだが、何とか頑張って続行して欲しいものである。こちらも第2作まで読んで第3作からがPolis Books版
本番だと思っているのになかなか進まなくて申し訳ない。本当ならこういったPIミステリーを3、ノワール・クライム小説を3、最も注目する作家などを3、復刻された旧作を3、アンソロジーを3、ホラーなど他ジャンルを3、ぐらいの割合で
読めればと思うのだが。ていうかとっくに10超えてるやん!だから読めないんだよ!
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2016/07/dave-white-when-one-man-dies-jackson.html">・When One Man Dies</a><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/12/polis-books-2-dave-white-evil-that-men.html">・The Evil That Men Do</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Dave White : Jackson Donneシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48BokQ2"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81UrNuGKJHL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48BokQ2"><p>When One Man Dies</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U1ejqK"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81whUHjga2L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U1ejqK"><p>The Evil That Men Do</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48Sy5sD"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81311bWP-9L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Sy5sD"><p>Not Even Past</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TV6wuB"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91H1fFc1byL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TV6wuB"><p>An Empty Hell</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vANiQR"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/61FuCnnwVIL._SL1000_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vANiQR"><p>Blind to Sin</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Alex Segura : Pete Fernandezシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3SmiWdW" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91XGDRdkBgL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
マイアミの元新聞記者の私立探偵Pete Fernandezシリーズ。第1作ではまだ私立探偵ではなく、記者であった彼がある事件に巻き込まれ、最後に私立探偵に転職するというところで終わる。Dave White : Jackson Donne
シリーズと同じくPolis Booksからの私個人の分類である新世代ハードボイルド一派のひとり。現在まで5作が発表されており、第4作がアンソニー賞にノミネートされている。<br />
Jackson Donneとの共通点として、私立探偵という形へのこだわりや、やや地方へと向かう傾向があったハードボイルドの中で、ニューヨークやマイアミという大都市を舞台にしているところ。この辺なんとなく
長い目で見たハードボイルド、私立探偵小説の歴史への参加・継続という意思が感じられる。だが一方で両作品ともに主人公がルーザー傾向にあるあたりは現代的というところだろう。この辺の作家は仲も良く
一緒にシーンを盛り上げていこうという感じでそれぞれの主人公が共演する短編なども出ている。しかしこのPete Fernandezシリーズも2019年の第5作でストップしており、やっぱこの辺結局版元Polis Booksの
事情なのかなあ。何とかこの動き続けて行って欲しいところなのですが。<br />
ところで2010年代頃のこのシーンでは、他にリー・チャイルド/ジャック・リーチャー寄りのアクション傾向の強そうなシリーズで人気のものもあるのだが、単に自分の中の優先度的にあまりきちんと見てなかったりもする。
そういう意思はないのだけど、結局かつての本格通俗のような悪習と同じ轍を踏んでるのかも、と今気付いてしまったので何とかそっちも遅ればせながらもちゃんと見とかなければ、と思ったり。Sean BlackのRyan LockシリーズとかJude HardinのNicholas Coltシリーズとかな。読むもの増やしてる場合か、というところなのだけど、実はその辺も結構持ってたりするんだよな。
<div style="border:solid 1px #BBB; padding:10px; box-sizing:border-box; overflow;hidden; margin-top:10px;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/11/polis-books-1-alex-segura-silent-city.html">・Silent City</a>
</div>
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Alex Segura : Pete Fernandezシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SmiWdW"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91XGDRdkBgL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SmiWdW"><p>Silent City</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S1jwvY"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/518W3i9pzjL.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3S1jwvY"><p>Down the Darkest Street</p></a>
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<a href="https://amzn.to/425J7J2"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/918duZNX-EL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/425J7J2"><p>Dangerous Ends</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/48v8qGE"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91W+6APusYL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48v8qGE"><p>Blackout</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HoO1He"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81nOuhOqaGL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HoO1He"><p>Miami Midnight</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Joe Clifford : Jay Porterシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3ShAVlr" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81bbdGN0BiL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ニューハンプシャーの田舎町で廃屋の整理の手伝いなどをして暮らしていたJay Porterは、ドラッグ中毒、ルーザーの兄が引き起こした厄介事から町を揺さぶる陰謀に巻き込まれて行く。<br />
作者Joe CliffordはウェブジンOut of the Gutterのエディターなどとして長くインデイークライムシーンに関わってきた人。今は亡きSnubnoseとかから著作も結構あったのだけど、その辺は絶版になってるのも多い。
かつてはかなり荒れた生活をしていてドラッグ中毒で苦しんだ時期もあり、その経験が反映された作品も多いということ。第1作の最後では、町を去り、大きな街で調査の仕事に就くことになるのだが、その後のあらすじを
ざっと見たところ通常の私立探偵シリーズとはまたちょっと違う重い展開になるようにも思われる。2014年の第1作『Lamentation』から始まり、2019年の第5作まで出ているのだが、全5作で完結なのかは不明。
このJay Porterシリーズも2010年代PIミステリーといった方面で、実は一番の重要作ではと思っているのだが、まだ第1作しか読めてなくて書けてもいなくてホントに申し訳ない。なんか読み進めたらかなり
色々言わなきゃならないことも増えそうな予感がある。<br />
版元Oceanview Publishingについては、実はかなり昔前述のPolis Booksと同方向のパブリッシャーだと認識していたのだが、ちょっと手を抜いててよく見てなかったら…、うげ、あーかなりやばいのある…。
とにかく早急にMatt Coyle、Rob LeiningerあたりからOceanview作品読んで拡げていかなければ。あー、また読むの増えてる、増えてるー。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Joe Clifford : Jay Porterシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3ShAVlr"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81bbdGN0BiL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3ShAVlr"><p>Lamentation</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48KccMa"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71TjVop+bWL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48KccMa"><p>December Boys</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48U5Cmo"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81stkkJvPSL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48U5Cmo"><p>Give Up the Dead</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48SAcwz"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81cexlDYa-L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48SAcwz"><p>Broken Ground</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48zgV3F"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71wMba0-DSL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48zgV3F"><p>Rag and Bone</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Matt Coyle : Rick Cahillシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/4b09swb" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91bE2SWLfaL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
8年前、妻を殺した容疑で警察を追われ、現在は故郷の街カリフォルニア ラ・ホーヤで友人と共同経営のレストランの店長として働く主人公Rick Cahill。妻の殺害の容疑は一応晴れたが、事件は未解決のままで依然彼を第一容疑者
と思う者も多い。ある晩、レストランに現れた一人の女と続く出来事により、8年かかって築き上げた彼の生活、唯一の居場所は粉々に砕け始める…。<br />
第1作では本の半分ぐらいまで起こっている事態が一人称主人公視点から全くわからないままひたすら追いつめられてゆく。作者の技量は確かなので読み進めるには問題ないが、読んでいるときには若干長すぎる気もしてくる。
しかし、後半になって展開が早くなってきたところから、いかにも普通の男という感じの主人公Rickの自身の周りの一切が信用できないという感覚を、それまでの経緯により非常に共感しやすく読ませる。あー、やっぱりこれについては
もう少し詳しく書きながら説明すべきなんだが…。<br />
物語の結末エピローグ部分で、彼がこの後私立探偵となることが語られる。少し先の展開を見たところ、このシリーズも最近のジャンルの傾向と同じく探偵である主人公がより深く事件に関わって行くものになるようだ。
比較的短命に終わるシリーズが多い中、今年最新刊9巻が出版されているように順調に刊行が続くこのシリーズは現在進行中作品としてちゃんと追っかけて行かねばならん。<br />
第1作はアンソニー賞Best First Novel受賞。Oceanviewは結構頻繁にセールやってるのでお手頃価格の時を狙ってゲットすべし。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Matt Coyle : Rick Cahillシリーズ</span></span></h4>
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<a href="https://amzn.to/4b09swb"><p>Yesterday's Echo</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48EBtb6"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81adBR8r4KL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48EBtb6"><p>Night Tremors</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3vykYyu"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71e33+UmZQL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vykYyu"><p>Dark Fissures</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3S1IOdC"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81y1DE4fTpL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3S1IOdC"><p>Blood Truth</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HoPAVC"><p>Wrong Light</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tULstA"><p>Lost Tomorrows</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tULD8e"><p>Blind Vigil</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3O338tK"><p>Last Redemption</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3Hk2apq"><p>Doomed Legacy</p></a>
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<a href="https://amzn.to/48zAVmv"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71alokiXXDL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48zAVmv"><p>Odyssey's End</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Jack Lynch : Peter Braggシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3tPOnnn" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91s0jsUDxnL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
こちらは旧作。1981年から始まり全8作が出版されたJack LynchによるPeter Braggシリーズ。うちのブログでは割とお馴染みのBrash Booksより復刊されています。シェイマス賞の受賞歴もあるのだが、日本では
翻訳されていません。<br />
Peter Bragg。記者出身の私立探偵なのだが朝鮮戦争での軍歴もあり、結構強面タイプ。あんまり情報がなかったんだが、こちら的には困ったときにホント助かるおなじみのThrilling Detectiveに結構詳しい情報が
載ってて助かった。(<a href="https://thrillingdetective.com/2020/03/31/bragg/">Thrilling Detective/Bragg</a>)そちらにも書いてあるんだが、ハメットタイプ、かなりコンチネンタル・オプを思わせるキャラクター。
第1作では調査のために赴いた街でギャングの抗争が起こっていて、かの名作『赤い収穫』を思い出させたり。やっぱ日本に翻訳されなかったものにもまだまだいいのあるねえ。
<a href="https://www.brash-books.com/">Brash Books</a>は要チェック。前は第1~3作までの合本が『Bragg Volume 1』として出てあとはばら売りだったんだが、現在は全8作が収録された『The Complete Bragg』が
割とお手頃価格で出ているので、そちらがおススメです。ちぇ、『Bragg Volume 1』買っちまった。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Jack Lynch : Peter Braggシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vDaLks"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81cbw29y-RL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vDaLks"><p>The Complete Bragg: All Eight Novels</p></a>
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<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tPOnnn"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91s0jsUDxnL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tPOnnn"><p>The Dead Never Forget</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47uVK1e"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91j0KQGwT3L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47uVK1e"><p>The Missing and the Dead</p></a>
</div>
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<a href="https://amzn.to/48Sy5Jf"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91N+mf5Jw8L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48Sy5Jf"><p>Pieces of Death</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48XdUKh"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91NIv03ZMoL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48XdUKh"><p>Wake Up and Die</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3Sgbukn"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91fuPqfzUiL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3Sgbukn"><p>Speak for the Dead</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aY7Bbe"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91oYbmZP7sL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aY7Bbe"><p>Truth or Die</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48yp1JO"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91vp-pqDzeL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48yp1JO"><p>Yesterday is Dead</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47AtslV"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91RkwbFolCL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47AtslV"><p>Die For Me</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Ralph Dennis : Jim Hardmanシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3tRFZ6S" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91VWj5f7QOL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
こちらも旧作。というかこれ実は日本で2作翻訳が出ていたのだが、もー今やそんな本見たことも聞いたこともないという人がほとんどだろうと思えるし、そんな形で忘れられていいシリーズでは絶対ないので、
ここに取り上げ大プッシュします。<br />
Jim Hardman。アトランタの元警官の無免許の私立探偵というよりはトラブル解決屋というところ。相棒は元NFLのスーパースターの黒人Hump Evans、どこへ行ってもHardmanよりモテモテ。1974年に第1作が発表され、
以降<u>全12作</u>が発行されたシリーズだが、永らく絶版になり忘れられていたところで2019年にBrash Booksにより復刻され、この時には多くのファンや作家から狂喜の声が上がる。更にBrash BooksはRalph Dennisの
失われた作品の復活に努め、なんと2020年には一度も出版されたことのなかった幻のシリーズ第13作を発掘し、出版する!この偉業は同年度のシェイマス賞のペーパーバック部門にもノミネートされた。
過去に翻訳されて忘れられてたなんて全然関係ナーイ!今こそHardmanを読むときなのは明らかだろう!こちらもBrash Booksは、そんな無茶な、ぐらいの全13作入り『The Complete Hardman』を発売中である。
こっちはまだ1作しか買ってないんで、そっちを買おうっと。<br />
次々と恐るべき発掘をしてくるBrash Books!他にもジミー・サングスターや、マイケル・ストーンみたいな日本で少しだけ出た作家のもあるんだが、正直これ以上読まなければ
なんないと強迫観念に駆られるものが出てくると怖いんであんまり調べてない作家もいたり。でも一方で創元から2冊で打ち止めになったカール・ウィルコックスとか復刻してくんないかな、と密かに期待していたり。
Brash Booksにヤバい動きがあれば、またお伝えしよう。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Ralph Dennis : Jim Hardmanシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41VC4T7"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91ofXctzbxL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41VC4T7"><p>The Complete Hardman: All 13 Novels</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3tRFZ6S"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91VWj5f7QOL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tRFZ6S"><p>Atlanta Deathwatch</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RVGJQl"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91A7Ok3X94L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RVGJQl"><p>The Charleston Knife is Back in Town</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47xLMw1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91mwcPRfdZL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47xLMw1"><p>The Golden Girl and All</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U1qsfl"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81n0wnZ-FzL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U1qsfl"><p>Pimp for the Dead</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47CFdIL"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91HTql-72eL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47CFdIL"><p>Down Among the Jocks</p></a>
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<a href="https://amzn.to/3HkYSSU"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91nuxjICxpL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HkYSSU"><p>Murder is Not an Odd Job</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41YkEVL"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91x+O2UgVtL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41YkEVL"><p>Working for the Man</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48KeESS"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91CXUER1gGL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48KeESS"><p>The Deadly Cotton Heart</p></a>
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<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vsFP6b"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91OdtJgyd9L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vsFP6b"><p>The One Dollar Rip-Off</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3HkZb00"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91ne8-Gc+1L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HkZb00"><p>Hump's First Case</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3ShwmaK"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91FRqUpUE9L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3ShwmaK"><p>The Last of the Armageddon Wars</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tRH8eG"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91MNnNJfKAL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tRH8eG"><p>The Buy Back Blues</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O2nIus"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91FiPiBq8gL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O2nIus"><p>All Kinds of Ugly</p></a>
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</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:10px;"></p>
<h3 style="font-size:16px; font-weight:bold; border-bottom:solid 3px; padding-bottom3px; margin-bottom:10px; margin-top:20px;">Max Allan Collins : Quarryシリーズ</h3>
<a href="https://amzn.to/3RVHJ73" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81zr8cWDAYL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
ベトナム戦争から帰還後、あるきっかけから犯罪組織との仲介役である”Broker”のもとで殺し屋として仕事をしている主人公Quarry。長く続けているうちに”Broker”との関係にもぎくしゃくしたものを感じ始めた矢先、
ある田舎町での仕事を任される。付き合いの長い監視役の男の気のゆるみが気懸りになったり、ターゲットに関する違和感を感じながらも仕事は予定通りに遂行されるが、その直後、事態は思いがけぬ方向へと転がって行く。<br />
YMCAに宿泊し、プールで泳ぎ、80年代風景の中を歩く、それまでの犯罪小説と一風変わった新しいキャラクター。70年代後半から80年代にかけ5作が刊行され一旦は終了するが、2000年代に入りHard Case Crimeにて再開され、
現在までに15作が出版されている。2015年には短命に終わったが、CinemaxにてTVシリーズ化もされた。<br />
80年代にコリンズが日本に紹介された際、名前だけは伝わってきたが翻訳はされなかったコリンズのもう一つの代表作ともいえるシリーズ。エド・ゴーマン、ロバート・J・ランディージとコリンズあたりは80年代に登場した
50~60年代のペーパーバック黄金時代に深く影響を受けた作家として、同じく80年代のBlack Lizardとも関連して考えるべきだというのが私の考え。また、それは日本ではいい加減に投げ捨てられている50~60年代の犯罪小説や、「通俗」
ハードボイルド作品を再考すべきという考えにもつながって、また読まねばならんもんがさらに山積みされているところです。<br />
コリンズ作品としては、やはり80年代に書かれ現在は同じくHard Case Crimeより復刻されているNolanシリーズも必読なり。
</span></span>
<div style="margin-top:10px;">
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■Max Allan Collins : Quarryシリーズ</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RVHJ73"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81zr8cWDAYL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RVHJ73"><p>Quarry</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aZCwUk"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81WcZli0I1L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aZCwUk"><p>Quarry's List</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U1REL4"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91f0G8+vuOL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U1REL4"><p>Quarry's Deal</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TTDY4G"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91W5uzisSdL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TTDY4G"><p>Quarry's Cut</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48UV5Ho"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91cNUxr8YSL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48UV5Ho"><p>Quarry's Vote</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48vcTJq"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81k1BvXe6aL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48vcTJq"><p>The Last Quarry</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SeEBEB"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81OhVnll4iL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SeEBEB"><p>The First Quarry</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/420Luwr"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81Oj6DPQceL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/420Luwr"><p>Quarry in the Middle</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/41XkEFA"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/714PYzAQUjL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/41XkEFA"><p>Quarry's Ex</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3S0eCzr"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81j-dXNoueL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3S0eCzr"><p>The Wrong Quarry</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3U0jDKP"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81xtfP63CtL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3U0jDKP"><p>Quarry's Choice</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47DuAVQ"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81JPOe9JFeL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47DuAVQ"><p>Quarry in the Black</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3O54GDI"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/914GVtNWW9L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3O54GDI"><p>Quarry's Climax</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vDdr1u"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81gnDdBTY7L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vDdr1u"><p>Killing Quarry</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aZjJbG"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81IxgMx8BgL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aZjJbG"><p>Quarry's Blood</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48BsVlg"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81vZUalnYFL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48BsVlg"><p>Quarry's Return</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
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yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-63344913777027557572022-03-24T18:00:00.002+09:002024-01-15T20:47:04.976+09:002022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表!<style>
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<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
なんだかもうずいぶん遅れてしまって今更なのだが、第5回スプラッタパンクアワードのノミネート作品の紹介です。いや、ブログ8周年終わってBrian Keeneのホームページ見に行ったら、今年は例年よりも早く既に1月19日に
発表になってて、本当なら8周年の前ぐらいにやらなきゃなんなかったぐらいだったのだが。8周年の後、ただちに書き始めたところで、あのComixology大幅仕様変更という、まあ日本的には極小レベルかもしれんけど大事件が
勃発し、ここはなんか言っとかなきゃならんとそっちを大急ぎで書いたところで、んーまあ色々あって諸般の事情というやつでまるまる一か月ほどブログにも手がつかん状態となってしまったわけなのでした。
まあそのへんの「諸般の事情」については次にでも書く書かないか、というところなのだが。<br />
そんなわけで、こんなに遅れて今更なのだが、まあ第1回からのお付き合いでここで中断したり一回抜けたりというのも何なんで、遅ればせながら2022年、第5回のスプラッタパンクアワードのノミネート作品を
こちらに掲載いたします。ノミネート作品は以下の通り。<br /><br />
<b>2022 Splatterpunk Award ノミネート作品</b><br /><br /><br />
【長編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Don’t Go To Wheelchair Camp by David Irons (Severed Press)</li>
<li>Trench Mouth by Christine Morgan (Madness Heart Press)</li>
<li>The Maddening by Carver Pike (Independently Published)</li>
<li>The Devoured And The Dead by Kristopher Rufty (Death’s Head Press)</li>
<li>The Night Stockers by Kristopher Triana and Ryan Harding (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Left To You by Daniel J. Volpe (D&T Publishing)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【中編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Midnight In The City Of The Carrion Kid by James G. Carlson (Gloom House Publishing)</li>
<li>Only The Stains Remain by Ross Jeffery (Cemetery Gates Media)</li>
<li>Things Have Gotten Worse Since We Last Spoke by Eric LaRocca (Weirdpunk Books)</li>
<li>A Roll Of the Dice by Matt Shaw (Independently Published)</li>
<li>Sacrament by Steve Stred (Black Void Publishing)</li>
<li>Talia by Daniel J. Volpe (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【短編部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>“The Martini Club” by Aron Beauregard (from Beyond Reform, Aron Beauregard Horror)</li>
<li>“Fireflies and Apple Pies” by Thomas R. Clark (from The God Provides, St. Rooster Books)</li>
<li>“Sun Poison” by Stephen Kozeniewski (from Battered, Broken Bodies, Independently Published)</li>
<li>“Start Today” by Justin Lutz (from Teenage Grave, Filthy Loot)</li>
<li>“Abigail” by Daemon Manx (Terror Tract Publishing)</li>
<li>“Next Best Baker” by Jeff Strand (from Baker’s Dozen, Uncomfortably Dark) </li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【短編集部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Beyond Reform by Jon Athan, Aron Beauregard, and Jasper Bark (Aron Beauregard Horror)</li>
<li>Black Tongue And Other Anomalies by Richard Beauchamp (D&T Publishing)</li>
<li>Sinister Mix by Brian Bowyer (Independently Published)</li>
<li>Shattered Skies by Chris Miller (Death’s Head Press)</li>
<li>Twisted Tainted Tales by Janine Pipe (Pipe Screams Press)</li>
<li>May Cause Ocular Bleeding by Nikolas P. Robinson (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【アンソロジー部門】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Body Shocks edited by Ellen Datlow (Tachyon Publications)</li>
<li>Between A Spider’s Eyes edited by River Dixon (Potter’s Grove Press)</li>
<li>Bludgeon Tools edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Gorefest edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)</li>
<li>Baker’s Dozen edited by Candace Nola (Uncomfortably Dark)</li>
<li>Battered, Broken Bodies edited by Matt Shaw (Independently Published)</li>
</span></span></ul>
<span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<br />
【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Clive Barker </li>
</span></span></ul>
<br />
【SPLATTERPUNK HALL OF LEGENDS INDUCTEES】
</span></span><br />
<ul><span style="font-family: inherit;"><span style="font-size: small;">
<li>Richard Laymon</li>
<li>Jack Ketchum</li>
<li>J. F. Gonzalez</li>
<li>Charlee Jacob</li>
<li>John Pelan</li>
<li>Gak</li>
<li>David G. Barnett</li>
</span></span></ul>
<br /><br />
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
今回、第5回より新たに設立されたのがSPLATTERPUNK HALL OF LEGENDS。これはすでに亡くなったこのジャンルに大きく貢献した偉人達、作家、アーティスト、編集者などを称えるという目的のもの。
具体的には受賞の発表が行われるキラーコンでの展示というような形になるものらしい。日本では特に冷遇されろくに翻訳もないこのジャンルなのだが、その歴史・実体などを垣間見れる機会にもなると
思われるので、発表となる8月にはなるべく詳しくフォローできればと思っております。<br />
そしてノミネート作品についてなのだが、昨年第4回では大きく盛り上がりを見せ、各部門7作品がノミネートされていたのだが、今回はそれぞれ6作品にスケールダウン。パブリッシャー方面もいまいち勢いが
見られず、個人出版という形の物が多く見られたり。<br />
やはりこれは2年連続で本番のキラーコンの開催が中止となり、オンライン開催のみとなったというような社会状況の影響なのだろう。だが、ここで確信をもって断言するが、これは一時的なスケールダウンであり、
奴らは必ず復活する!アメリカを中心としたこのジャンルのファン、作家を目指す者たちは大変幅広く、熱量も高い。他ジャンル、ハードボイルド-ノワール-クライムジャンルの廃人的愛好者ゆえいまいちこのジャンルを
本格的に読めていない私なのだが、それでも横目ぐらいで見ていても、決してメインストリームには届かなくとも多くの小パブリッシャーが絶えず勃興して行く熱気は伝わってくる。昨年は新たなるスプラッターウエスタン
というジャンルをぶち上げたこのジャンル、本年はまた次のステップへ至る助走期間というところだろうな。<br />
今回注目は、Kristopher Triana、Christine Morganといったおなじみのメンバーが並ぶ中、新たに登場し長編・中編部門にノミネートされたDaniel J. Volpe。そして昨年Volpe同様に長編・中編部門にダブルノミネート
されながらも受賞作発表の時点ではパブリッシャーの都合と思われる原因で両作とも絶版という不運にあったRoss Jefferyが新作をひっさげ中編部門にノミネートされているのも嬉しい。
全く作風も内容も知らず、個人的な直感のみで注目しながらも後回しにしているうちに作品ゲットしそこなったトホホな私なんだが、今度こそはいつ読めるかわかんなくてもちゃんと入手するぞ。<br />
アンソロジー部門注目は『Body Shocks』と『Battered, Broken Bodies』の2作。前者はヒューゴー賞受賞歴のある編集者Ellen Datlowによるもので、後者はスプラッタパンクアワードではすっかりお馴染み、もしかしたら
皆勤賞かもというMatt Shaw編集。電子書籍時代黎明期から自費出版で数多くの作品を出し続け、もはやこのジャンルでは知らない人はいないぐらいのMatt Shawについてはもっとちゃんと調べて作品も読まねばならぬと
常に思っているのだが。双方ともBody=身体テーマのアンソロジーで、片やMatt Shaw編集の方はジャンル王道、徹底的な身体破壊ものが想像できるわけだが、もう一方SF方面にも強そうなEllen Datlowがどんな作品を
集めてきたのかみたいな比較で読むと面白いんじゃないかと。Matt Shawの方は収録作家を見ると、現在最前線と期待のニューカマー辺りが揃っていて、結構今のこのジャンルを知るにはベストのアンソロジーでは
ないのかなあという気がする。うーん、何とか読みたいところだなあ。<br />
J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARDには日本でも『ヘルレイザー』や『血の本』などでおなじみのクライブ・バーカー。あ、『血の本』全部持ってるけど2冊ぐらいしか読んでない…。思い出しちゃった。
次に何か部屋の地殻変動的なことが起こって発掘されたら必ず読もうっと。<br />
その他、気になるところでは、昨年あんなに盛り上がったスプラッターウエスタンなのだが、その後ちょっとペースダウン。色々あるだろうけど頑張ってくれよなDeath’s Head Press。そしてここ数年勢いを増していた
Grindhouse Pressの名前が見られないのも寂しいところなんだが、ちょっと心配になってホームページを見に行ったところ、昨年2021年はオーナーC. V. Hunt姐さんの健康上の理由で自身の創作、出版の両面について
かなり停滞してしまったそうで、ここからまた頑張るよ!とのことなので次回には期待しよう。<br />
というわけで、本当に遅くなって申し訳ありませんの2022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品でした。受賞作発表は例年通り8月テキサス州オースティンで開催予定のキラーコンにて。ホントに今年こそは
無事に開催できるといいよねえ。まあ色々ありますが、こちらの方もこれからまた頑張りますです。
</span></span>
<br />
<br />
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">●関連記事</span></span></h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/03/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2018/09/2018.html">2018 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/03/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2019/08/2019.html">2019 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/02/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2020/08/2020.html">2020 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/02/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品発表! </a><br /><br />
<a href="https://ievenlostmycat.blogspot.com/2021/08/2021.html">2021 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!</a>
</span></span>
<br />
<br />
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
■2022 スプラッタパンク・アワード ノミネート作品<br />
●長編部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RX7pAb"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81hz1fLVT6L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RX7pAb"><p>Don't go to Wheelchair Camp</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3TXkwUv"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71Gf3Nd3vOS._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3TXkwUv"><p>Trench Mouth</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3tK9mbf"><p>The Maddening: Diablo Snuff 3</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47G4nGi"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/919GybXxRhL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47G4nGi"><p>The Devoured and the Dead (Splatter Western)</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3SitlHl"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81Q+OQ3SbdL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3SitlHl"><p>The Night Stockers</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aTQmHV"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/61Syqz1HMKL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aTQmHV"><p>Left to You</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●中編部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3S0pM7j"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91oORKZhmlL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3S0pM7j"><p>Midnight in the City of the Carrion Kid</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3ShTkhZ"><p>Only The Stains Remain</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/3S6KoLo"><p>Things Have Gotten Worse Since We Last Spoke And Other Misfortunes</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3HkaaXf"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/71Brl+hq03L._SL1043_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HkaaXf"><p>A Roll of the Dice</p></a>
</div>
<div class="amList">
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<a href="https://amzn.to/47QGY5j"><p>Sacrament (Father of Lies Trilogy Book 3)</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vB676m"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51b+a5u2YBS._SL1000_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vB676m"><p>Talia</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●短編集部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47DH3c6"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91B53jcXt9L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47DH3c6"><p>Beyond Reform</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RWVClj"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A1clZFpDZEL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RWVClj"><p>Black Tongue and Other Anomalies</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/47Blol3"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91dz3X1RPtS._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/47Blol3"><p>SINISTER MIX</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4b05hQL"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81wy71NXcOL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4b05hQL"><p>Shattered Skies</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/4aXHgd3"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91XaNsb4RCL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/4aXHgd3"><p>Twisted: Tainted Tales</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48QSbn6"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81+4nClt7OL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48QSbn6"><p>May Cause Unexplained Ocular Bleeding</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<div>
<h4>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
●アンソロジー部門</span></span></h4>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3RVco4t"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91jqoPCgblL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3RVco4t"><p>Body Shocks: Extreme Tales of Body Horror</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3HkgPks"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/91y3g1QEXRS._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3HkgPks"><p>Between A Spider's Eyes: an anthology of the macabre</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3UiJ6zF"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/81VF48T9OXL._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3UiJ6zF"><p>Bludgeon Tools: Splatterpunk Anthology</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/48y0X9X"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/812lE88KpzS._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/48y0X9X"><p>Gorefest: Extreme Horror Anthology</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3vHIdpK"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/813rb32og1L._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3vHIdpK"><p>Baker's Dozen</p></a>
</div>
<div class="amList">
<a href="https://amzn.to/3tV51C2"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/A14cVQGi4IS._SL1500_.jpg"></a>
<a href="https://amzn.to/3tV51C2"><p>Battered, Broken Bodies: A Horror Anthology based on Body Horror</p></a>
</div>
</div>
<p style="clear:left; margin-bottom:20px;"></p>
<span style="font-size: x-small;">'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって
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Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。</span>yeah_ievenlostmycathttp://www.blogger.com/profile/16208632823674541738noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-8970676823871810687.post-80782911922607259862022-02-14T00:00:00.002+09:002024-01-18T15:16:57.801+09:00ブログ8周年 実はまだやめてなかったのでした。<a href="https://amzn.to/48UXPoi" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="200" src="https://m.media-amazon.com/images/I/91NVAAh8AqL._SL1500_.jpg"/></a>
<span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
どうも、ブログ8周年の人です。ブログが8周年になったのでご挨拶に悪口雑言を垂れにやってきました。いや、ずいぶん久しぶりになって、なんかこれが今年最初になってるけど、全然やめてません。
あ、明けましておめでとうございます。ここで言うことになるとは…。<br />
えーと、まず近況的なことから言うと、寒さでへこたれてます…。いや、今年特に寒いとかいうほどではないのだろうけど、なんか寒くなり方が変だった感じで序盤に大ダメージでそれを引きずりつつ
なんとか立ってるけどKOされないのがやっとぐらいでこのままでは判定負けも明らかかと。あー…、冬に判定負けするとどうなるかという面白いのも思いつかんぐらい弱ってます。
まあ病で倒れるまでは行っとらんけど、なんか毎日他の季節の1.5倍ぐらい疲れる感じで週末にもあまり進まん状態が続いてたり。なんか自分より地図の上の方に住んでる人には東京の寒さぐらいで何ゆうとるんだべ、
ぐらいのこと言われるかもしれないけど、寒さ耐性なんて人それぞれだし、それを言うなら世界にはもっと寒くて冬になると1か月ぐらい陽が昇らなくなりバンパイアが襲撃してくるようなところに
住んでる人だっているんだからね!<br />
昨年末、バンドデシネのやつを最後全然力でない年間最低テンションぐらいでやっとアップし、次はマッキンティ『The Bloosday Dead』じゃあ!と書き始めたもののすぐに止まり、頼みにしていたお正月休みも
はとんど進まない感じで、あーもうしばらくかかるかなあ、というところ。トホホ、しょーがないからこっち先に書くか、という感じで書いてます。いや、なんか申し訳ない。<br /><br />
最初から言い訳連発の感じになっておりますが、とにかく8周年。なんかね、関係自然消滅してるの自明だけど、一月かふた月に一度ぐらい電話で話したりもしてるんで、フラれてない!と言い張ってる
レベルの継続での8周年ではありますが…。<br />
毎年言ってることではありますが、何とか続いているのも時々見に来て下さる皆様のお陰です。いくら頭のおかしい奴でも誰も読んでくれなきゃさすがにこれだけは続けられませんので。本当にありがとうございます。
今後もできる限りは頑張る所存でございます。<br />
思い起こせば昨年、7周年の直後のことなのだけど、7周年をアップし、続いて今年も来てると思われるスプラッタパンクアワードのノミネート作品をその翌週にアップし、あー2週続けて週末ブログ書いて
疲れたなあ、あと週末何にもしねえぞ、とゴロっていた時、このボンクラもある重大な事実に気付いたのです。<br />
ワシは一体何のためにこんなことやっとるのか?そりゃあ趣味だろう。世の中にも色々な趣味があるが、例えば釣りや草野球とかを趣味としている人が、2週続けて釣りに行ったり試合をしたりしたら、2週も続けて疲れた、
もうなんもしねえ、とへこたれるのか?否!2週も続けていけてよかったなあ、と思うのだろう!私も趣味として頑張りたいという気持ちがあるならば、そういう気持ちで臨むべきではなかろうか?<br />
…なんとなく書いて言葉にしてみると、その時思ったほど説得力ないのだが、まあその時はそう考え、釣りや草野球のような気持ちで楽しく頑張ろうと思い、しばらく続いたのだが…、まあ色々あって
夏ぐらいに力尽きてしまったのだけどね。<br />
しかしまあ、またこれから切り替えて、また楽しい趣味として頑張って行きたいなあとは思っています。もう少し耐えれば暖かくなってくるだろし。うーん、釣りと草野球の他になんかないかなあ。鉄道というのは
なんか趣味のベクトルが似ている気がするんでいまいち上手くマッチしない気がするなあ。あとワシ、駅のホームに着いたら電車が来るより前にスマホのKindle開くタイプやし。<br /><br />
で、8周年何やろうかな、と思ったんだけど、なんかまあ普通に今年書けるかどうかわかんないけどこういう本やコミックが読みたいっすね、今こんなのに注目してます、こんなのがおススメです、みたいな
フツーなのがいいかな、と。そんで最後に前にぶつくさ言ってたアホらしい「本格ミステリを超えた謎解き」について各方面を罵倒しておこうかと。まあその辺はそーゆーのにも付き合ってやるか、という人
だけ読めばいいかな、という感じの構成でお届けいたします。<br /><br />
で、その前にこれなんだよ?と思ってる人も多いと思うトップ画像のやつについて。いや、読んだの何年も前なのだけど、あれやんなきゃこれやんなきゃでずっと後回しになってたやつなんだけど、いつまで経っても書けないし、
なんかこの機会にここにねじ込んで軽く紹介しとこうかと。<br />
『Terror Assaulter: O.M.W.O.T. (One Man War on Terror)』2014年 Benjamin Marra作。彼自身の出版社Traditional Comicsから刊行された後、現在はFantagraphics Comicsより発行。<br />
Terror Assaulter: O.M.W.O.T.とは、テロに脅かされるアメリカを救う不屈不倒の最強エージェント!米国に襲い掛かる如何なる脅威・恐怖にも一切屈せず、そのずば抜けた戦闘能力によりただ一人で解決し、
表情一つ変えることなく任務を完了し生還する不死身のワンマンアーミーである。米国の敵には一切容赦することなく、その優れた体術により如何なる無理な体勢からも必殺の一撃を繰り出す!懐にする愛銃からは
無限の弾丸が発射され、発射数や口径にも合っていない無数の薬莢がマシンガンからのようにばらまかれる!作戦上、または個人的な必要性を感じれば、女性男性の区別なく便所の落書きのような結合部露呈で
性交し、その恐るべきテクニックで何者をも屈服させる!<br />
彼の任務は常に冷酷非情だ。乗り合わせた旅客機がハイジャックされれば、犯人を全員射殺し、あまりの危険で強引な行動に抗議の声を上げる乗客も射殺する。そしてパニックに陥った機長を、背後から肛門を犯しながら、
機を無事に着陸させる。<br /><br />
<a href="https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/S/cmx-images-prod/Item/265200/Previews/812beb63a73e10c02e25a14dbdf37a01._SX1280_QL80_TTD_.jpg" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; "><img alt="" border="0" data-original-height="800" data-original-width="517" width="550px" src="https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/S/cmx-images-prod/Item/265200/Previews/812beb63a73e10c02e25a14dbdf37a01._SX1280_QL80_TTD_.jpg"/></a>
</span></span>
<span style="font-size: x-small;">[Comixology 『Terror Assaulter: O.M.W.O.T.』 プレビューより]</span><span style="font-size: small;"><span style="font-family: inherit;">
<br /><br />
アメリカの正義への強迫観念とそれがもたらす結果への無関心を風刺し、サイケデリックと政治的発言、攻撃的な表現主義との境界に位置する問題作、という感じで評価されている作品です。まあそれほど堅苦しく
考えなくてもゲラゲラ笑って読める作品ではあるのだが、何事もヘラヘラ半笑いながら上から目線で貧しい言葉で語りたがるサブカル安物言説にウンザリしてる我々としては、優れた作品にはこのくらいきちんと頭を
使った言葉を尽くして評価したいもんじゃないですかねえ。<br />
Benjamin Marraは1977年生まれ、カナダ出身のイラストレーター/コミックアーティスト。かの『The Boys』のDarick Robertsonの伝説的デビュー作『Space Beaver』に触発され、コミック表現の道を志す。
ヴィジュアルアートの学校を卒業後、イタリアでペインティングも学ぶ。2008年からは自身の個人出版社Traditional Comicsを立ち上げ、作品を発表。この作品はカラーだが、基本的に彼の作品は白黒で
粗悪な紙に印刷され出版されていたそうである。イラストのスタイルは「ピンボールマシーン・アート」といったもので、プレイボーイやローリングストーンにも掲載され、グラミー賞のノミネート歴も
あるとのこと。<br />
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現在はTraditional Comicsは終わってしまっているようだが、Benjamin Marra作品はこの作品の他にもFantagraphics Comicsより『Night Business』と『American Blood』の2作が出版されている。
いずれも過去のTraditional Comicsからの作品をまとめたもの。Fantagraphicsのはすぐに絶版になっちゃってプリント版はやたら高価になってるので、ComixologyやKindleのデジタル版一択かなあ。
そして更に、本年4月には待望の新作『Disciples』が発売予定!同じくFantagraphicsだが内容は不明。ほかに二人映画関係らしい人の名前が出てるんだけど、それが原作ということなんかな。
どういう形にしてもまたMarraの素晴らしいアートが大暴れしているのが見られるんじゃないんでしょうか。<br /><br />
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あー、なんかな、このくらいのサイズで書けばもっと早く色んなもんについて書けるのだろうな、とは思うけど、結局まだまだ言いたいことはあって書き足りない感じではあるのだけどね。まあとにかく少しでも書けたんで
ヨシとしよう。<br />
Fantagraphicsのこの手のヤバいのでは、ずっと読まなきゃと思ってる極悪バイオレンス作品『Fukitor』とかあって、他にも読みかけの『Angry Youth Comix』やら『Prison Pit』なんかについてもいつか書けるといいんだがなあ、と思いつつ…。<br /><br />
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この流れでまずはコミックの方から行くのだが、ごく最近、Fantagraphicsの新年セール終了間際にたまたま知って慌ててゲットしたのがコレ。Fantagraphics経由で英訳されたバンドデシネなのだが、フランス語圏でも
かなり有名なやつなのだと思う。『Streets of Paris, Streets of Murder: The Complete Graphic Noir of Machette & Tardi』。日本でも翻訳があるフランスの犯罪小説作家ジャン=パトリック・マンシェットの
作品を、バンドデシネ気鋭のアーティストJacques Tardiがコミカライズした作品集。全2巻でオリジナル脚本の作品も一つあり。すげーお宝手に入れたなあといまだにホクホクしております。いや、マンシェット確か
翻訳ハードカバーのを昔古本で手に入れたんだけど未読のままどっか埋まってるのが少し気懸りではあるのだけど…。<br />
Fantagraphicsものでは年末ブラックフライデーセールで『Love and Rockets』が1ドル、2ドルぐらいで出てて、持ってないのを片っ端から買ったな。『Love and Rockets』に関してはいまだにPalomarとLocas一冊ずつしか
読めてないんだけど今年こそはもっと進めたいなあ。<br />
Fantagraphicsなんて読みたいのばっかできりがないんだが、ずっと何とかしなければと思ってるのが、なんか山ほどあるECコミックコレクションな。ホント山ほどあってどこから手をつければ…という感じなんだが、
まあいつもの自分スタイルで、とりあえず引っ掴んだもんから今年こそは手を付けて行くっす。でもECのこと考えるとDark HorseやDynamiteから復刻されてるWarrenものもな、と必ず浮かんできて、
読みたいマンガの話なんて始めるときりないんだよな。<br /><br />
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英国2000ADについてはさっぱり書けなくて申し訳ないのだが、ワシがとにかくこれ読まなきゃと思っているのがコレ。John Smith/Simon Harrisonの『Revere』。John Smithというのも英国ではかなりレジェンドの
域にある作家で、スミスヴァースぐらいのもあったりで何とか早くその大まかなところでもつかまねば、と思ってたところで、昨年2月に復刻されたレジェンド作品がコレ。いや、作画Simon Harrisonのアートが
かなり凄まじくそれをデジタルで再現するため結構な高解像度で作ってるせいで、ワシの年季物のiPadではまともに読む事ができず、遂に新しいのを買うことを決意したのだが、ご存じの人も多いように
大変品薄の状態が続いていて、半年かかってやっと先月入手し、おおっ!ちゃんと読めるぞ!と喜んでいるところ。ただでさえ強者揃いの2000ADのアーティスト群の中で、凄いというのはもうただ事ではない!
とにかく今年はこれを皮切りにスミスヴァースの方も探って行かねばというところである。<br />
英国2000ADと言えば、もちろん巨匠パット・ミルズやドレッドのことも全然忘れてはおらん!またそのうちみんな忘れたころに…、うーん、書けるといいんだけどなあ…。<br /><br />
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米国メジャーどころでは、去年から言ってるんだが、くそ、もはや何としても読まなければならんで、結構ここんところ集中的に読んでるのが、もはや言わずと知れた名作『Scalped』!こんな有名作今更書かんでもいいか、
ぐらいに思ってたが、結局ネイティブアメリカン居留地を舞台にしたノワールコミック、ぐらいのことしか伝わってないのが現状だろうから、読破した後にはもうちょっと詳しく突っ込んだところまで書かねばならんと
思ってる。…いやホントに思ってるから。何とか頑張りたい。<br />
とにかく『Scalped』を制覇したら、ずっとこだわってる『Stray Bullets』や、ブルベイカー/フィリップス作品や、『100 Bullets』や、ガース・エニス作品群や…、あー、幾らでもあるじゃん。ホントにオレ
死ぬまでに全部読めんのか?<br /><br />
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あとBrian Azzarelloからの流れで、昨年うわ、これ忘れとった!と引っ張り出してきたのがPaul Pope。ヨーロッパのコミックの物語性と日本のエネルギッシュな漫画表現を併せ持つと高く評価される
アメリカのオルタナティブコミックアーティストである。こちら『Heavy Liquid』なんて必読コミックの一冊なんだろう。いやまあ、あれからしばらく経ってるけどいまだに未読で言うのもなんだが、これも早期に必ず読むぞ!
<br />あと散々言ってきてはいるけどまだまだ全然足りないJeff Lemireももっと集中して読んでいかなければならない、などホントに言い始めたらきりがないわ。なんかまず『Scalped』を!というのも
意志を固く持っていないと次々あちこちにスライドして行きそう…。<br />
しかし、その中で最近特に気になっていることがある。前から書いているが、アメリカのコミックは一時期のバブルから現在縮小傾向にある。別にアメリカのコミックがなくなるなどという心配はしとらんが、
こういう時期になるとどうも新しい作家の動向が見えにくくなる。実際この状況でチャンスに巡り合えない作家もいるのだろうし、パブリッシャーからも強くプッシュされにくい現状なのだろうと思う。
だが、いつの時代、どんな状況でも必ず新しい才能は出現する!そういう才能にいち早く出会えるよう、もっと視野を広く持たねば、といつも思うのだよね。とにかく色んなとこもう少し一所懸命見て行こう
と思ったり、案外Comixology Originalあたりも狙い目かと思ったり。なんかそういうのも紹介できるといいねえ。<br /><br />
結構長々と書いてきているんだが、実際のところは長くなりすぎるから今回はいいか、というのも随分あったり、今現在忘れてる重要なのも随分あるんだろうな、ぐらいのところ。そして、肝心なことを一つ!
世界にはいくらでも読むもコミックがあるのだということではない、世界には絶対に何が何でも読まなければならないコミックがいくらでもあるということなのだ!そういう中でこの貧弱な時間と体力の
許す限り一つでも多くのコミックを読んで、ひとつでも多く書いて行ければと思うものであります。<br /><br /><br />
で、こっからは小説の方の話になるんだが、昨年後半から諸般の状況でペースダウンしてしまっているブログなのだが、年後半頃というと季節的には秋の頃。秋と言えば読書の秋。年中本を読む他何もしない
ような読書バカがこんな時期になるとどうなるか。読書の秋劇症化!なかなかブログ書くまでの時間も気力もなかったりでも、なんか色々思い付いてあれこれちょこまか調べているうちに、その時期大変重要な作品を
いくつか発見しているので、まずはそれについて書いておこう。<br />
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昨年あたり、いくらかジョン・D・マクドナルドのトラヴィス・マッギー・シリーズを読み進めるうち、やっぱこれはかのマイク・ハマーと並ぶようなハードボイルドのターニング・ポイントだったのだなあ、
と再認識したことは少し前に軽く書いたのだが、そうなってくるとこのマイク・ハマーとトラヴィス・マッギーの間をもっと埋めなければならんという思いが高まってくる。しかし、例えばマッギー以降というのは、
小鷹信光先生命名によるネオ・ハードボイルドという感じのハードボイルド復興があり、作品もそれなりに翻訳されているのだが、ハマー近辺というのは例の馬鹿げた本格通俗与太により、いくらか翻訳されても
ろくすっぽ評価もされぬまま遥か昔に絶版となり、限りなく現物も情報も乏しいというのが現状である。そこでホント名前ぐらいしか知らないあたりも含め、探索を続けているうちに出会えたのがこれ。
『The Best of Manhunt』!現在第1集、第2集がかのStark House Pressより発行されている。まだ第1集の方しか見ていないのだが、過去に編まれたManhuntのベストアンソロジーを底本として、39編のボリュームに加え、
Manhuntの大変興味深い歴史、かのローレンス・ブロックの修業時代の想い出序文なども掲載。それによるとManhuntの強力な作家ラインナップは、当時の強力なエージェント・カンパニーによるものが大きい
ということだが、ブロックのエッセイではそのエージェントの実態なども垣間見えたりしてとても面白い。作品の方もかのエヴァン・ハンター(=エド・マクベイン)の伝説的名作「歩道に血を流して」から始まり
ビッグネーム、伝説作品がずらり!そしてこれが第1集、第2集ともに700円前後の超低価格!いや、フツーKindleでもこのボリューム安くても1500円以上はするよ。2冊合わせても最近創元社から出てる『日本古典
ハードボイルド全集』1冊よりお安いよ!さすが我らのStark House Press!<br />
あれ?勢いで書いてきたけど、『Manhunt』についても少しは説明しておいた方がいいのかな?『Manhunt』というのは1950年代から60年代にかけて発行されたハードボイルド、犯罪小説ジャンルの小説雑誌である。
それに先立ち同ジャンルの代表格であった『Black Mask』の廃刊後、50年代ミッキー・スピレイン絶頂期に創刊され、多くの実力派作家の優れた作品を掲載し『Black Mask』の位置を継ぎ担うことになる。
まあこんなとこやろ。詳しくはいずれまた。<br />
というところで先に書いたような考えでこれにたどり着いた私は、これだ!とただちに購入する(なんとなく以前にも見た気もするが、その時はそういう機運ではなかったか、価格も今より高かったのかもしれない)。
しかし、こちとら常に読みたい本が山積みで、これほどのボリュームのものを入れる余地はない、だがすぐに読みたい、読まなければ!うむ、必ず読める!何か別腹的なもので!と、そのとき読んでいたものと
並行して読み始めたのだが…、うん、現実的に考えるとそんな別腹的なものなどあるわけなかったな…。まあそんなわけで、序文や出版史と最初の2作ほどを読んだところで断念、現在中断中というところなのだが、
今後は先行予定の色々な作品を読みつつ、その合間にいくつかに分割しながらボチボチ読んでいこうかなと計画中です。多分読めるよ、大丈夫!頑張れワシ。<br /><br />
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そして続くのは同時期に見つけたこのシリーズ!こんなの出てたの誰か知ってた?ジェイムズ・カルロス・ブレイクの現在進行中The Wolfe Familyシリーズ!従来ブレイクの作品は19世紀半ばから20世紀初頭
ぐらいを舞台として描かれていたが、このThe Wolfe Familyシリーズはブレイク作品としては初めて現代を舞台としているものだそうだ。まず、画像の20世紀初頭の『Country of the Bad Wolfes』が2012年に発表され、続いて現代が舞台のシリーズが
現在までに4作発表されている。後にだと思うが『Country of the Bad Wolfes』はThe Wolfe Family Book 0とされている。これは絶対読まなきゃダメなやつだろう!このシリーズについては本年中に絶対
取り掛かり、その詳細をお伝えする所存である。なんとかこの0の『Country of the Bad Wolfes』とシリーズ第1作となる『The Rules of Wolfe』ぐらいまでは読みたいのだが。<br /><br />
<a href="https://blogger.googleusercontent.com/img/a/AVvXsEjQc-JfAMDU_p2gK3kfRuNxSeZaaBCZ6f3pMRgw9hP97ij-pplk5kEuzkzSNqflw93w2AM-vV0zzmsQQv7W4ySycrZ_OllN2xWBh74xvViQrBI0Gswy7kH2LeUMh2I6TtQzPJYhw3ABr9mM2hx5haxOhkMGiTSrjrSmnkcwp_l5n8z7GWNUrRhRlGwF=s610" style="display: block; padding: 1em 0; text-align: center; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" data-original-height="610" data-original-width="500" width="150px" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/a/AVvXsEjQc-JfAMDU_p2gK3kfRuNxSeZaaBCZ6f3pMRgw9hP97ij-pplk5kEuzkzSNqflw93w2AM-vV0zzmsQQv7W4ySycrZ_OllN2xWBh74xvViQrBI0Gswy7kH2LeUMh2I6TtQzPJYhw3ABr9mM2hx5haxOhkMGiTSrjrSmnkcwp_l5n8z7GWNUrRhRlGwF=s320"/></a>
続いてこちらはミステリジャンル外で広義の文学方面。またしてもあのAnthony Neil Smith先生経由なのだが。Cowboy Jamboree Magazine!こいつはAmazonなどで販売されている商品ではなく、彼らの
ホームページよりフリーでPDF形式でダウンロードできる、まあいわば同人誌的なもの。だが、ちゃんと作品を発行・販売しているパブリッシャーでもある。内容はアウトロー文学やアメリカのフォークソング、
といったものをリスペクトするという方向のもので、これまでに特集された作家などが、ブコウスキー、Larry Brown、Donald Ray Pollockといったものであることからなんとなくわかるだろう。
具体的にはその作家などに関するエッセイと、インスパイアされた投稿の短編小説というもの。私が読んだのは昨年秋に発行された劇作家・俳優のサム・シェパードをフューチャーした号だったが、
掲載された多くの作品がとても興味深く、全体的にとても楽しめた一冊であった。あ、自分がやってるお手軽な読み方を紹介すると、PDFのものを送信して変換し、Kindleでそちらの形式で読むというもの。
これはタイトルを”変換”としたメールにPDFファイルを添付し、自分のiPhoneなりなんなりのKindleアプリに送信すればできるのだが、よくわかんなかったら検索してちゃんと説明してるところで調べてみてね。
PDFの本体の方は、横2段(列?)組になっていいるせいか、行変えが上手くいってないところがあったり、段落や次の作品との間のスペースが詰まっちゃったりしているところもあるが、そんなものは本を読みたい
という意思の前には全く障害にならん!そうだよな。<br />
<a href="https://amzn.to/3O43alh" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: right;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/51SXLWpJZHL._SL1500_.jpg"/></a>
そしてこのCowboy Jamboree Magazine(以下CJと略)が現在イチオシで、自社から作品を発行することを高らかに誇っているのがSheldon Lee Comptonという作家。Donald Ray PollockからLarry Brownの再来と高く
評価されているアメリカ文学の注目作家である。年二回春秋発行で、今回のと同時に出ていると思われるCJ次号はSheldon Lee Compton特集!更にホームページにはSheldon Lee Comptonコーナーも設けられている。
そちらに掲載されている作品の抜粋を読んでみて、これは絶対に読まねばならん作家だと確信した。で、どれを読むかと考えると、まず欲しいのはCJから発行の『The Collected Stories: Sheldon Lee Compton』。
これまでに書かれたComptonの短編をすべて集めた630ページ、プリント版のみ(既存の2冊の短編集は他社よりKindle版も発行中)。いやしかし、630ページのペーパーバックなんて持ち運びも不可能やろ、どーやって読むんや?
と思案していたところComptonのtwitterで「これ買ったよ!一日一話ずつゆっくり読もうっと」というのをretweetしてるのを発見!この手があったか!しかし…、お前その手でついこの間『The Best of Manhunt』で
失敗したばかりやんけ!というわけでいまだに思案中なのだが、いずれはこのSheldon Lee Compton、必ず読むぞ!<br />
それにしても…、Donald Ray PollockからLarry Brownの再来と高く評価、と書いてみたものの、日本ではいまだにLarry BrownもDonald Ray Pollockも未訳の現状…。もう日本の出版社には何の望みもないわ。
頑張ってどちらも原書で読まなきゃなあ。<br /><br />
<a href="https://amzn.to/3U6hqOi" style="display: block; padding-right: 15px; clear: left; float: left;"><img alt="" border="0" width="120" src="https://m.media-amazon.com/images/I/81b5j00stqL._SL1500_.jpg"/></a>
とりあえずこんなところで、ここから本年の予定なんだが、まずは途中のマッキンティ『The Bloosday Dead』を一日も早く完成。続いてCal Innesアニキの最終作『Beast of Burden』についてもめっちゃ熱く語らねばならん。
そしてこれだよ!Adam Howe君の『One Tough Bastard』!!!あー、これについて話したい!やっぱAdam君天才だわ!これについて書くためにも早く進めなければ!更にまだこれから読むものとしては、Anthony Neil Smith
先生の『The Butcher's Prayer』!今年こそは絶対読むケン・ブルーウン、ジャック・テイラーさんの続き!それから、やっと翻訳全作の再読終わりましたマイク・ハマー未訳スピレーン最終作!
あと新しい流れとして今一番注目中のスコットランド一派!あー…、頑張っても書けるのこれくらいかも…。ということで書けるかどうかわからんけどこれ読む!というのは、諸般の事情で遅れてたけど
ようやく次読めるようになったジェイムズ・リー・バークのロビショー!ハップ&レナードの未訳続き!あー遅ればせながらのトム・ボウマン ファレルシリーズの続きは書かなきゃいかんなあ。
あとスプラッターウエスタンについてはその後もう2冊読んでるんだが、これもう書いてから次読むでは到底間に合わんのでいつかまとめてやるつもり。うん、つもり…。<br />
あー、結局なんかきりがないや。オレ常時最優先で読まなきゃと思ってる本が4~50冊あって、しょーがないから微妙に時系列順に並べ直して読んでるような状態やし。なんか突発的に思い付いたもんを読んで
突発的に書くこともあるかもしれません。あー、とにかく読むぞ!あれもこれも絶対読むぞ!<br /><br />
なんかね、こういうこと言うのなんだが、自分の中でコミックと小説の重要度は常に同じなのだが、こう書けないのが続いて行くと、まず自分がこだわってる小説の方はオレがやらなきゃ他に誰もやってくれん
けど、コミックの方はいつか誰かやってくれるかもな、みたいな考えが浮かんできちまう。オレがやんなきゃ誰が自費出版のAdam Howe君の大傑作のことを日本に伝えるんだよ?でもやっぱりコミックも
本当に好き出し、できればなるべくこういう素晴らしい作品の助けになりたいとは思う。なんかそういう事情なんで、このままやって行きたいという気持ちは高いけど、あんま切羽詰まったらコミック休んで
小説の方が続いちゃうという事態が起こりうることも今後ありうるのでご理解ください。まあそういう事態にならんように頑張って行くつもりです。うむ、釣りや草野球のような気持ちで。どっちもやったこと
ないけど、楽しいんだろ?<br />
さてここからは色んな方面を口汚く罵るコーナーになります。あんまりそういうの読みたくない人はこの辺で。8周年お付き合いただきありがとうございました。と、一旦行儀良く終わろう。<br /><br /><br />
<b>ついにノワールの謎解きが本格ミステリーを超えた!</b><br /><br />
昨年秋に新潮文庫より発行されたジョセフ・ノックス エイダン・ウェイツシリーズ第3作『スリープウォーカー』の帯に書かれた馬鹿馬鹿しいとしか言いようのないクソコピーだ。なんかこれが功を奏してだか
年末のミステリランキングでそこそこの順位になったようだが、そもそもこんなクソのような偏向ランキングの順位など何の意味すらない。年末本屋行ったらランキング貼り出してあったんで、あーもういいやと思って立ち読みすらしなかったしな。ここではもう8周年とかどうでもよく、ああもううんざりの日本の
ミステリ評論愚物共の歪みっぷりをこのクソコピーを材料に罵倒するものである。<br /><br />
ではまず最初に「本格ミステリ」というところから始めよう。まずここで確認しておくのは、本格ミステリというのは本格的なミステリではなく、ハードSFはハードなSFではないという点だ。
本格ミステリというのは、基本的にはトリックに主眼を置いた古典的なミステリのこと。例えば密室とか、うーん…密室とか、えーと密室みたいなやつね。本格ミステリ信者は、その場の都合で本格の意味を
曖昧に都合よく使ったりするが、結局のところ最終的な作品評価にはこの基本を使い優劣を決めるわけだ。あー、ハードSFについては自分で調べて。<br />
日本の本格ミステリの起源がどの地点なのかいまいちわからなかったが、やっぱ多く普通に流入してきた戦後の時代から一般化してきたのだろう。まあ主にそういう傾向の作品を創りたい、それこそがミステリの本流だと
考える創作者たちによってそう規定されたのだろう。そしてハードボイルド作品はそこからミステリの亜流、傍流とされたわけである。<br />
だが、欧米での実態はどうか?日本で言う「本格」は衰退し始め、またチャンドラーはその評論・エッセイの中でリアリティの薄い謎解きミステリーからの脱却を提唱している。実際、後の歴史を見れば
ミステリがリアリティの方向に動き現在に至ることは明白である。別にハードボイルドこそがミステリの本流であるなどと強引なこじつけをしているわけではない。しかし、あんたらの言う「本格」がもうその時点ですでに
本格ではなかったということは明らかだろう。<br />
日本でもその後、60年代ごろからの社会派ミステリなどの台頭により、一時は「本格ミステリ」は衰退する。だが、1980年代頃だかに新たな作家の登場により復興。そして日本国内のみで人気ジャンルとして定着し
現在に至るというわけだ。一方、欧米ではそういった復興はなく衰退の一途をたどり、現在は過去のものとして古典(=Classic)と呼ばれている。<br />
だが私は欧米が正しく、日本のケースが間違っているなどという意図で言っているのではない。そちらで廃れたものが日本で独自の進化をとげ、優れた作家を輩出するジャンルとなったなら、それは日本として
誇るべきものだろう。そもそもがこっちだって自分の好きな偏ったものにこだわって読んでるんで、人が何を読もうが信奉しようが批判するつもりは毛頭ない。<br />
問題がどこにあるかと言えば、常に評論家を標榜する愚物共だ。<br />
これまでにまとめてきたように、1).謎解きに特化したミステリを「本格」と呼称・定義するのは日本独自のもの、であり、2).日本で言う「本格ミステリ」は、欧米では衰退し、基本的には存在していない、わけだ。
当然、国外のミステリには国内のそれとは違う基準、評価方法が必要となってくる。だが、日本のこの愚物共は頑なに、強引なまでに海外のミステリをも日本の型枠に押し込み、その基準で評価しようとし続ける。
先に述べたように、日本でも一旦は「本格ミステリ」は衰退し、後に復興、再構築されている。だが、この愚物共はそこで新たなミステリ観を構築することもなく、そのまま終戦後に規定されたものを転用し、
現在に至ってももはや存在していない「本格ミステリ」が至高の頂点であるかのような見方で海外ミステリを評価・評論しているのだ。全く話にもならん!<br />
ハードボイルドは、仮にチャンドラー以降と言っておくが、謎解きに特化したミステリとの決別、リアリズムという方向で進化し続けている。ハードボイルドが考えるのは、広義のミステリだ。つまり何らかの事態・
状況(犯罪)が発生し、それが解決されるなどで平常に戻るまでを描くフィクション。そこには多くのバリエーションがある。犯人は見つかり明白だが、法廷に持ち込むための証拠がすべて抹消されている。
意図したトリックではなく、状況・人間関係などの要因で解決に至る道筋が困難になっている。などなど。様々なテーマ・社会問題を取り込み、謎を解いただけですべてが解決するわけではないリアルな世界を、
広義のミステリとして考え発展してきたのがハードボイルドである。謎解きが主眼となり、それが解かれれば物語が完結する「本格ミステリ」の視点ではこれらのバリエーションに対応することは不可能だ。<br />
そのいい例、いや悪い例というべきか?を紹介しよう。以前にも書いたメキシコの作家、パコ・イグナシオ・タイボ二世の1994年に早川書房より翻訳された『三つの迷宮』という作品だ。その年の例のランキング本で
この作品は愚鈍座談会の中で「解決が二つあってミステリとしてダメー」などという見当違いも甚だしい批判をされた。阿呆が!タイボの『三つの迷宮』は当たり前のように電気の供給さえ途絶えるメキシコの困難な
状況で地べたを這いずるような捜査を続けた主人公がやっと曖昧でしかない解決・結論にたどり着くという姿を、メキシコ国内からの視点で描いたハードボイルドの名作だ!<br />
阿呆のやることはいつも同じだ。何か自分の思う正しい形を見本とし、それに合致しないものはそこに至らず失敗していると考える。タイボがどちらか決められなかったのではなく、意図的に解決を二つ作ったなんて
事は誰が見たってお前らのような愚鈍以外には明白だろうが!このレベルがいまだに居座ってふんぞり返ってミステリ本にランキングなどつけ続けているわけだよ。お笑い草だ!<br />
もう少しわかりやすい誰でも知ってるような例を挙げとこうか。映画の『ドライブ』という作品は結構多くの人が観ていると思う。まあ日頃より私が軽蔑している映画言いたがりのレビューなんてものは、大半が
前世代の団塊の意見統一という悪習を継ぎ、お手本レビューの受け売りをあたかも自分の意見のように垂れ流しているものだが、中にお手本レビュー発布以前のフライングだか何だかで、全く見当違いのものが
見られる時がある。それは明らかにこの映画をボーン・シリーズのようなフォーマットに当てはめ、こーじゃない、こーなってないと批判しているつもりになっているようなものだ。つまりこの愚鈍共のやっている批判・批評と
いうのはそんなバカぐらいの低レベルのものだということだ!<br />
全ての作品にはそれぞれのテーマ・方法論・方向性があり、ひとつのフォーマットに当てはめて評価・批評することなど到底できない。すべての作品は常にそれらを考え読まれ、その独自の形に添った方向で
批評されなければならない。<br />
比較的最近の作品、現代のハードボイルド最前線を疾走…、いや諸般の事情で現在若干停滞中だが、のエイドリアン・マッキンティ ショーン・ダフィ・シリーズ第4作(翻訳の出てる第5作は未読。好きな本は好きな時に
読む。未読で文句言われる筋合いはねえな)『ガンストリート・ガール』を例にとってみよう。あ、若干ネタバレある、ごめん。ある殺人事件を捜査するうちに、ダフィらは壁に突き当たる。様々な社会情勢・権力・暴力に
阻まれまともな証言・証拠は一切手に入らない。怒りに燃え、ヤケクソでダフィは全く法に準拠しない脅迫・買収といった手段で端緒を掴み、事件の中心人物たちに落とし前をつける。これは警察も手を出せない、
犯罪組織とも同列の武装組織が大手を振って歩き、弱体化した警察力ではまともな手掛かりも集められないという異常な状況下で、奮闘する主人公を描いた傑作ハードボイルドだ。そのテーマ・方向性により当然
多くのミステリ小説のように物語の進行に合わせパズルの断片のように手掛かり・証拠は都合よく集まらない。そして最終的な結末でも、発端の殺人事件の明確な犯人も特定できず、「本格ミステリ」が重視する
ような侵入方法や殺害手段なども一切明らかにはされない。こんな作品(名作!)が毎年ワンパターンでホロヴィッツしか選べない連中に評価できるわけねーだろ。<br />
ハードボイルドはそういった広義のミステリの中で、作家自身のテーマに合わせ、様々な方法を試行錯誤する。そもそも解決に至る基準などないそれらは、時に「本格ミステリ」に近づくこともあり、
時には全くかけ離れたものとなる。結果、日本の愚物共の本格ミステリ一次元スコープを通した目では、その狭量な基準にたまたま合った作品が見当違いな評価を受けることになる。そこへ来てこのクソコピーだ。<br />
ハードボイルドの起源というか、その萌芽期とでもいうのは、アメリカで過去に出版されていた犯罪実話本というようなものらしい。ノワールと呼ばれるジャンルのもとである犯罪者を主人公とした犯罪小説も、
やはりそこから発生したものということだろう。同じ流れを汲み、同一ジャンルと見ても良いこれらはその初期からチャンドラーの提唱のように、謎解きミステリとは決別し、進化を遂げている。
つまり、ノワールが「本格ミステリの謎解き」なんてものを超えようとしたことなんてただの一度もねえんだよ!見ようによっちゃあそんなの退化じゃねえの?<br />
このコピーがどこから出てきたのか、阿津川という作家の人の書いた解説からなのかも知らんが(繰り返すが好きな本は好きな時に読む。場合によってはネタバレもある解説なんてオマケを先に読む義理なんぞ一切ない)、
こんな目立つところにあたかも当たり前の正論のように書かれているという馬鹿げた事実。おめでとう、お前ら完全に翻訳ミステリ食いつぶしたわ。<br /><br />
この愚物共の最盛期、読書のプロ時代には多くの野良レビューが著しく劣化する。話にもならんよみにくい児童の大量発生、同じことをちょっとカッコつけて「無駄な記述が多い」とか言って見せる作文先生気取り、
果ては「ミステリと思って読んだらミステリではなくハードボイルドだった」などという小学生の感想文レベル。こんなんさあ、まだあーそれ見たことあるよ、って人が多い時期だから言えるけど、あと10年もしたら
あまりのひどさにオレが捏造したとか思われかねないレベルじゃねえ?<br />
さすがに最近は野良レビューもまともになってきてるように思われるが、まあ基本大してみないんだけど、なんか時々目に付くのがジェフリー・ディーヴァーの名前。結局ディーヴァーしか選べなかった読書のプロ時代の
犠牲者なんやろねえ。別にディーヴァー好きだっていいけどさあ、ディーヴァーと比べれば、みたいな考えに捕らわれてると、どっかの後期高齢者になってもジャック・ヒギンズやホークがスーさんがハマちゃんがしか
出てこないピークの過ぎたハリボテみたいになっちまうよ。<br />
そして現在のホロヴィッツしか選べない読書のプロ末期症状時代が来てるわけだ。時間ないから読んだことないし、これからも読まんけど、まあホロヴィッツってそれなりにいい作家なんでしょ。まあわざわざくさすようなこと
いうのもなんだけど、念のために言っとくとホロヴィッツこそ現代最高峰のミステリ、とか、ホロヴィッツ以外に評価できる作家が見当たらない、なんて言ってるの日本だけだからね。本国英国版だけで米版も出てないし、
どっちかと言えば世界的にはアレックス・ライダーの、っていう方が有名な人でしょ。どーでもいいけどあんなランキングしか見てないと世界のミステリ情勢全然わかんなくなっちゃうよ。今頃だと去年末ぐらいに
出てたあっちこっちの海外の読書サイトの今年のベストみたいなのがまだ新鮮だし、そーゆーのチェックしといたほうがいいよ。2021 mystery booksとかで検索すればいくらでも見つかるから。まあ、日本の何々が入ってた!って言って喜んで帰ってくるレベルじゃ意味ねーけどさ。<br />
別にこっちだってベストセラーには程遠いインディーの本とか掘り出して読んだり勧めたりしてるんだから、ホロヴィッツが日本のみで突出して高評価だろうがどうでもいいんだが、このまんま読書のプロなんぞの
ランキングあてにしてたら、確実に日本の翻訳ミステリ出版終わるよ。いずれ洋楽レベルに、つーかもうそのレベルまで落ちてるのかな。あちこちで本屋に行ってもコーナーは縮小され、お年寄り向けの復刻本ばかりが
目立つなんて時代もうすぐそこまで来てんじゃね。出版社なんて勝手につぶれたり配置転換しようが知ったこっちゃないが、楽しく読んでる人にはホント迷惑だよね。まあその迷惑続きでミステリの翻訳出版が
読書のプロ時代に果てしなく右下がって行ったわけだよね。<br />
なんかさあ、もうあれだよね、配信終了間際のソシャゲとかそんな感じ。これまで楽しかったから配信終了までみんなで楽しみましょう。あと少しだけどいい本出たら買って読みましょう。まあクソランキングにも、
日本の出版社にももうなんも期待してないんでとっとと終わってくださいや。<br /><br />
最後にちょっと楽しい昔話でもして終わりましょうか。(『野獣死すべし』の松田優作風)<br /><br />
むかしむかしある国に大変聡明な王様がいました。ある時、お城に外国からの旅の仕立て屋が立ち寄り、王様に謁見を求めました。文化に関心が高く、外国のファッションにも興味があった王様は、早速その仕立て屋
の謁見を許可しました。仕立て屋は王様に言いました。<br />
「私は王様がこれまで見たこともない素晴らしい洋服を仕立てられます。ただし、その服は馬鹿者には一切見ることができません。」<br />
大変興味をそそられた王様は、早速その仕立て屋に洋服を仕立てるよう言いました。<br /><br />
数日後、仕立て屋は王様が見たこともない繊細でかつ豪奢な、世にも美しい洋服を持って現れました。<br />
「これは素晴らしい!早速わが国民にもお披露目しようではないか。」<br /><br />
そしてその素晴らしい服を身に着け、王宮前広場で待つ国民の前に現れました。ところが…。<br />
国民の多くは馬鹿すぎて王様の素晴らしい洋服を見ることができませんでした。そしてその中で、国中でも声のでかさだけが取り柄で知られる馬鹿者の少年が声を上げました。<br /><br />
<b>「王様の服なんて見えないぞ!王様は裸じゃないか!裸だ!裸だー!よみにくい!よみにくいー!マーク・グリーニーにくらべれば!無駄な記述が多い!ウィリアム・ギブソンが読めないのは翻訳がわるい!警察呼べ!
解決が二つあるからミステリとしてダメー!純文学ノリだといちゃもんをつける!スティーブン・キングなんてホメホメおじさん!ついにノワールの謎解きが本格ミステリーを超えた!」</b><br /><br />
周りの空気読みどもも少年の言葉に安心し、賛同しました。<br /><br />
こうして多数決で王様は裸ということになってしまい、王様は残念ながらその素晴らしい服を二度と着ることはなく、クローゼットの奥にしまわれたとさ。<br /><br />
というところで終わりです。ではまた。<br /><br /></span></span>
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