
いや、4月29日かよ…。前回最後に少し書いたように、何やら当方今年に入ってからの不調の連続の集大成のように、4月末に虫垂炎を発症しGW10連入院を経て何とか娑婆に復帰したという次第。4月29日といえば、病院のベッドで点滴に繋がれ 既に数日の絶食状態で、身動きできんなら最近シーズン5出たけどシーズン2で止まってた『プリズン・ブレイク』最初から全部観ようかな、と思ってたりしたころ。
とにかくスプラッタパンクアワードについては、今年も2月の11周年を書いた直後からほぼ毎日、「Nikke最強キャラ」と同じくらいの頻度で検索してきたのだが、そこで途切れ、やっと娑婆に戻って自身のサイトこの本店とコミック支店双方の 立て直しにまあ少ない体力でやや頑張っている間にすっかり忘れてしまい、つい先日やっと「Nikke最強キャラ」検索の際に、そうだこれも見とかなきゃと思い出し、2月から延々と続いてた2025年スプラッタパンクアワードノミネートの 受付締め切りは2024年大晦日だよん、という記事がまた並ぶんだろなぐらいの気分で見てみたら、今度はちゃんと発表になってたという次第です…。
そんなわけで、例年2月の発表が4月末まで遅れた事情については不明だが、そっから20日ぐらい遅れたのは当方の事情で申し訳ないというところで、本年のスプラッタパンクアワード、ノミネート作品やっとの発表です。
2025 Splatterpunk Award ノミネート作品
【長編部門】
- Benjamin by Aron Beauregard and Shane McKenzie (Bad Dream Books)
- This Wretched Valley by Jenny Kiefer (Quirk Books)
- American Rapture by C. J. Leede (Tor Nightfire)
- The Home by Judith Sonnet (Madness Heart Press)※
- The Old Lady by Kristopher Triana (Bad Dream Books)
【中編部門】
- A Life of Crime by Aron Beauregard (Bad Dream Books)
- Master of Bodies by Robert Essig (Infected Voices Publishing)
- Living Death Race: Beauty & the Brains by John Everson (The Evil Cookie Publishing)
- Nipping Them In the Bud by Edward Lee (Deadite Press)
- For The Better by Daniel J. Volpe (Bad Dream Books)
【短編部門】
- “The Old College” by Aron Beauregard (from Fear of Clowns) (Kangas Kahn Publishing)
- “Genital Grinder 2.5” by Ryan Harding (from Y’all Ain’t Right) (The Evil Cookie Publishing)
- “Together Forever” by C.V. Hunt (from The Obituaries #6: Red Romance) (Bad Dream Books)
- “Fulfillment” by Sidney Shiv (from Where Devils Dance) (Independently Published)
- “Baby, I’d Die 4 U” by Kristopher Triana (from The Obituaries #6: Red Romance) (Bad Dream Books)
【短編集部門】
- This Skin Was Once Mine and Other Disturbances by Eric LaRocca (Titan Books)
- Gold and Gore by Candace Nola (Uncomfortably Dark)
- Every Night In The Bone Orchard by Judith Sonnet (Independently Published)
- Sucking Chest Wound and Other Horrors by Daniel J. Volpe (Bad Dream Books)
- Wrecks & Violets by Mehitobel Wilson (Cimarron Street Books)
【アンソロジー部門】
- Dethfest Confessions: The Devil’s Playlist edited by Mark Tullius and Lyndsey Smith (Vincere Press)
- The Obituaries #6: Red Romance (Bad Dream Books)
- Shocking Sojourns edited by Sidney Shiv (Independently published)
- Splatology 2.0 edited by Sidney Shiv and Chisto Healy (Unveiling Nightmares)
- Y’all Ain’t Right edited by K Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】
- Joe R. Lansdale
- Lucy Taylor
※長編部門のJudith Sonnetの『The Home』については、実は2024年中の出版ではなく、2025年1月出版の作品だったのだが、選考過程で気付かずノミネートとなってしまった作品で、今年については無効となり来年改めてということ。 この失敗についてはBrian Keeneが全責任を負うと明言しているので、まあ仕方ないなと勘弁するなり、絶対許せん!と糾弾するなりしてあげてください。
さて今年の最大の注目は、新登場で各部門に多くの作品がノミネートされてきたBad Dream Books。
これは近年スプラッタパンクアワードでも常連、シーンで活躍するAron Beauregard、Kristopher Triana、Daniel J. Volpeの三人によって立ち上げられたパブリッシャーということらしい。
そもそもはこの三人により出版されていた『The Obituaries』というアンソロジーが母体となっていて、これは現在第7集まで出版されている。これはその号ごとにテーマを決めて作られたアンソロジーということで、三人の他に一人ゲスト作家が 参加してという形になっているらしい。これが昨年パブリッシャーという形に発展し、三人それぞれの作品が出版され、各部門でノミネートされている。
Bad Dream Booksのホームページでは、『The Obituaries』にゲストとして参加した作家、C.V. Hunt、Edward Lee、Bryan Smith、Wrath James White、Shane McKenzie、Ryan Hardingといったおなじみの名前もこのパブリッシャーの 作家として紹介されており、これがどう発展して行くのかも期待されるところだ。
昨年あたり、このアワードもある程度商業的といった考えを持った出版社中心のものになって行くのかな、という感想をやや曖昧ながら持ったが、この動きはこのシーンが本来持っていた作家と読者、ファンの距離が近いという関係に 回帰するものなのかも、とも思ったりする。この多数のノミネートはそういったファンの熱量であり、やはり潜在的にはそういう形でシーンを応援している多くのファンが、この作家中心という動きを歓迎しているということなのかと思う。
というところなんだが、実はこのムーヴメントの骨子ともいうべきアンソロジー『The Obituaries』、ホームページからの直販のみで、電子書籍もプリント版もアマゾン経由などでは入手不可という状況…。そしてサイトとかを見てもこの動きの中で 特に中心のようにも見えるAron Beauregardという人、なんかあちこちのコンベンションに参加したり、オリジナルグッズを多く販売したりという感じで、日本的に言えば同人作家気質みたいなもんが強い人のようで、この状況が変わるのか ちょっと微妙なところかも。とりあえずはそっちは現物なしで横目で見ながら、Bad Dream Booksの今後の展開に注目して行きたいというところなのかな。
その他新しいところで注目は、フライングノミネートとなってしまった長編部門『The Home』の他に、短篇集部門でも『Every Night In The Bone Orchard』がノミネートされているJudith Sonnetか。長編も今年のうちにいいのが出せれば、 そっちが来年のノミネートということになるのかも。
他に短編部門と、編集したアンソロジーが2作ノミネートされているSidney Shivも、シーンでの今後の活躍が注目されるというところなのかと思う。
J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARDについては、ジョー・R・ランズデールについては今更説明するまでもないが、もう一人Lucy Taylorについては日本でほぼ知られていないぐらいの作家のようなので、ちょっと簡単に説明。
1951年生まれで、現在73歳。それまでは旅行関連のノンフィクションを書いていたようだが、1990年代からホラー作品を多く発表。数々のホラー関連の受賞歴もあり、ちょっと資料により分類がまちまちなのだが、アマゾンの作家紹介によれば、 長編小説を7作出版。多くの短編小説を執筆し、短篇集も多い。作風としては超自然的なものよりサイコスリラーといった傾向のもので、「エロティック・ホラーの女王」とも呼ばれているそう。とりあえず現在Kindle版で手に入るものだけでも、 下に並べときました。やっぱこのジャンル、日本でほぼ知られていないシーンを代表するような作家、まだまだいるようだね。と言ってみたが、現在活躍中のお馴染みの名前としてAron Beauregard、Kristopher Triana、Daniel J. Volpe、その他 並べて来たけど、ここ以外じゃ日本じゃほぼ名前見るとこもないんじゃないかと気付いたり。
なんかさ、そもそも前回のCraig Johnson / Walt Longmireも取り扱いジャンルを拡げてもっと書いて行くぞ、という前提のものだったのだけど、現在のこの始末…。とにかく気になる作家作品も多いこのスプラッタパンク/エクストリームホラー ジャンル、なんとか一つでも多く読んで短くてもなんか書いて紹介して行かねば、という考えは現状強く持っているので、なんか優しい人だけでもちょっと期待してみてください。いや、何とか頑張るんで…。
スプラッタパンクアワード受賞作は例年通り、テキサス州オースチンで8月1日-3日に開催されるキラーコンにて発表。またその辺バタバタしそうだが、そっちの方では現地からの情報で、SFファンジン老舗のFile 770やLocus Onlineがなんとかしてくれると 思うので、発表1週間ぐらいのところではお伝えできると思います。まあこのポンコツ本体がちゃんと動いていれば…。
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