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2023年8月18日金曜日

2023 スプラッタパンク・アワード 受賞作品発表!

今年もやってきましたSplatterpunk Award!もうすっかり個人的に夏の風物詩となり、この発表を待ちかねていた人も日本に数人でもいるかもしれない、いてくれたらいいなあと思うSplatterpunk Awardです!…いや、私も前回、次はアレでーす、とか言って 終ってから、いや待てアレの前にコレあるじゃん!と思い出したぐらいだったりするのですが…。
コロナの影響によりしばらくオンライン開催を余儀なくされ、昨年よりやっと復活したテキサスオースチンでのキラーコン。今年もめでたく開催され、8月11-13日開催の中日12日に各受賞作が発表されました。
出版業界全体が停滞を余儀なくされた感のある時期、スプラッタパンク、エクストリームホラー・ジャンルもかなり沈滞した状況だったことが、ノミネート作品数の縮小からもうかがわれた2022年。しかし、各受賞作を少し詳しく調べてみれば、確実に この先の新たな展開を担って行くだろう力強いラインナップ。各受賞作発表の後、それぞれの作品、作者について解説して行きます。

2023 Splatterpunk Award


【長編部門】

  • Playground by Aron Beauregard (Independently Published)
  • The Television by Edward Lee (Madness Heart Press)
  • Faces of Beth by Carver Pike (Independently Published)
  • Last of the Ravagers by Bryan Smith (Thunderstorm Books / Death’s Head Press)
  • Mastodon by Steve Stred (Black Void Publishing)
  • Ex-Boogeyman (Slasher vs The Remake) by Kristopher Triana (Bad Dream Books / Thunderstorm Books)

【中編部門】

  • Plastic Monsters by Daniel J. Volpe (Independently Published)
  • Charcoal by Garrett Cook (Clash Books)
  • Grandpappy by Patrick C. Harrison III (Independently Published)
  • Mr. Tilling’s Basement by Edward Lee (Deadite Press)
  • #thighgap by Chandler Morrison (Cemetery Gates Media)

【短編部門】

  • “Jinx” by Bridgett Nelson (from A Bouquet of Viscera)
  • “Just Another Bloodbath at Camp Woe-Be-Gone” by R.J. Benetti (Independently Published)
  • “Of The Worm” by Ryan Harding (from Splatterpunk Zine issue 13)
  • “My Chopping List” by Stephen Kozeniewski (from Counting Bodies Like Sheep, The Evil Cookie Publishing)
  • “Gutted” by Bracken MacLeod (from Splatterpunk Zine issue 13)

【短編集部門】

  • A Bouquet of Viscera by Bridgett Nelson (Independently Published)
  • Always Listen To Her Hurt: Collected Works by Kenzie Jennings (Blistered Siren Press)
  • Mr. Tilling’s Basement and Other Stories by Edward Lee (Deadite Press)
  • Horrorsmut by Christine Morgan (The Evil Cookie Publishing)
  • Pornography For the End of the World by Brendan Vidito (Weirdpunk Books)

【アンソロジー部門】

  • Camp Slasher Lake, Volume 1 edited by D.W. Hitz and Candace Nola (Fedowar Press)
  • Human Monsters edited by Sadie Hartmann and Ashley Sawyers (Dark Matter Ink)
  • Counting Bodies Like Sheep edited by K. Trap Jones (The Evil Cookie Publishing)
  • Call Me Hoop edited by SC Mendes & Lucy Leitner, created by Drew Stepek (Blood Bound Books)
  • Czech Extreme edited by Lisa Lee Tone and Edward Lee (Madness Heart Press)

【J.F. GONZALEZ LIFETIME ACHIEVEMENT AWARD】

  • Monica J. O’Rourke


まず長編部門Aron Beauregardの『Playground』。Aron Beauregardは、昨年第5回のSplatterpunk Awardでは、短篇集部門で『Beyond Reform』が受賞しています。新勢力が遂にトップを取ったという感じか。
このAron Beauregardという人、アマゾンで見てもこの数年の間に非常に多くの作品をリリースし、精力的に活動しているのがわかるのですが、さらに深く、本人のホームページを見てみると、 小説作品のみならず、様々なグッズ販売などにも力を入れていることがわかります。多分カバー画含め、ビジュアル部分を自分ですべて担当しているのではないだろうから、そういうアーティスト的なところをオーガナイズできるような コネクションなどあるのだろうな。日本のコミケ・同人誌的なカルチャーと同じような、インディー・ホラー・カルチャーみたいなものの一端がうかがわれる感じ。
あちこちのインディー・ホラー・パブリッシャーが苦しい今のような状況では、こーゆーワンマンアーミーが暴れて、ジャンルを牽引して行くのだろうな、という感じ。

中編部門Daniel J. Volpeの『Plastic Monsters』。昨年第5回では長編・中編部門に作品がノミネートされたが、受賞は逃したDaniel J. Volpeが雪辱を果たす。自らの美に執着する女性と刑務所帰りの狂った医者というかなりヤバそうな話。
こちらも個人出版のDaniel J. Volpeのホームページを見に行ってみると、Beauregardほどではないけど、グッズ販売も行っている様子。こういうムーヴメントから新しいアーティストとかも 出てくるのかなとも思ったりする。

短編・短篇集部門は注目の新進女性作家Bridgett Nelsonによるデビュー作品集『A Bouquet of Viscera』と収録作「Jinx」。その後、今年になり2冊の中短篇集ぐらいなのかな、を同じく自費出版し、あちこちのアンソロジーでも活躍中。まだ長編はないようです。
著者写真を見ると、なんか名前出てこないお笑いの人にちょっと似た感じ。多分カラコン入れてて、目元修正疑惑も…って女性だけ容姿についてごちゃごちゃ言うなよ!でも結構大々的にフィーチャーしてるし。ちなみにBeauregardなんて自分とこでグッズ販売してる 泥棒マスク被っててツッコミ入れる気も起きんし、Volpeはつまんない帽子サングラスだし…、と思ったらアマゾンのやつ左右反転してある?素顔どんなかわかるかと思って画像検索してみたら、反対向きのやつが出てきて気付いたのだけど。幾多の難事件を 解決してきた名探偵オレじゃなきゃ見逃しちゃうね、ってやつ?もしかしたら彼女特定できるかも、と思ってサングラス拡大してみたら映ってたのお腹と下半身でした。多分車の中で格好いい感じに自撮りしたものと思われます、ってホラ、詳しく見て行くと 可哀そうな感じになってっちゃうじゃん!
Bridgett Nelsonさんのホームページはこちらです。

アンソロジー部門はFedowar Press発行D.W. Hitz及びCandace Nola編集による『Camp Slasher Lake, Volume 1』。本作に続き、昨年10月に『Volume 2』も出版されています。Fedowar Pressは、D.W. Hitzにより2020年に設立された ホラー系インディーパブリッシャー。D.W. Hitzによる作品と、その他の作家の作品、アンソロジーなどを精力的に発行しているところ。これからジャンルの中でそれなりの存在感を示してくるところになるかも。
ちなみにD.W. Hitz氏の著者写真は…、いや、もうそういうのやめた方がいいよ。

やはり少し勢いが落ちているのかも、という状況でも、きちんと調べてみれば、色々新しい動きも見えてくるし、何とかしてこれ読めないかな、という感じになってきますね。なんかハードボイルド/クライム方面でぎちぎちになっている読書スケジュールだけど、 何とかタイミング見て押し込めないかと。
まあそんな感じで相変わらずどうしてもホラージャンルは基本専門外となってしまう私ですが、なかなか日本に作品が翻訳される機会もないこのジャンルの、日本国内における継続にいくらかでもお役に立てたならと思います。
2023年はマッキンティ待望のショーン・ダフィ新作を始め、ハードボイルドジャンルでも大きな動きが見られているように、きっとこっちスプラッタパンクジャンルも活性化され、来年のSplatterpunk Awardは、また盛況を取り戻してくれるものと 期待しております。ではまた来年第7回のSplatterpunk Awardで。
という感じで、今回はコレになりましたが、次回は本当にアレになります。


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