2014年5月5日月曜日

First Case -警察ハードボイルドMcRyanシリーズ-

Michael McKenzie "Mac" McRyanは、ミネソタ州セント・ポール警察の殺人課の刑事である。彼の家系は代々の警察官一家。亡くなった彼の父親も、有能な殺人課の刑事だった。彼自身は、ハイスクール時代のホッケー選手としての活躍が認められミネソタ大学に進学しさらにロースクールへ、と弁護士への道を進む。同じく弁護士を目指す大学時代の恋人とも結婚、大手弁護士事務所への就職も決まったある日、やはり警察官になっていた2人のいとこの殉職の悲報が届く。Macは自分の進むべき道に気付き、弁護士への道を捨て、故郷セント・ポールに戻り警察官への道を進み始める。
そして、今日がMacの殺人課刑事としての初日。自ら出資し、成功し始めているコーヒースタンドのコーヒーを持ち、パートナーのベテラン刑事Lichとともに最初の事件現場へ向かうのであった。

現場は、とあるバーの裏の路地。被害者は店を出た後、その路地で殴打されて殺害され、ゴミ箱のそばに駐車した自身の車に入れられていた。財布などが手付かずで残されていたことから強盗の犯行とは思われない。被害者は大手弁護士事務所の有能な若手弁護士。精力的に仕事はするが女癖が悪く、そちらで恨みを持つ者の犯行と思われるのだが…。そして、Macの最初の事件の捜査が始まる。

New York Times Ebooks Bestsellerにも選ばれている、米Amazon.com Kindleベストセラーハードボイルド部門常連のRoger StelljesのMcRyanシリーズ第1作…と言いたいところなのですが、実はこれは長編2作が書かれた後にさかのぼって書かれた前日譚です。一応その辺の事情は分かっていたのですが、私はこの本をその長編2作とセットになった『First Deadly Conspiracy』というボックスセットで買って、この作品が一番最初になっており、やはりここは作者の意図に沿って読むべきだろうと思い、この作品から読み始めました。ですが、読み始めてからこれが80ページ弱ぐらいの中編だと気付いたり(他の長編は350ページ前後)、なんだか典型的なアメリカ勝ち組若者みたいなMacの経歴が軽く紹介された後、現場検証、弁護士事務所への聞き込み、とどんどん進んでいく展開に、やはり本当の1作目長編から読むべきだったかなあ、と一旦は少し不安になってきてしまいました。しかし、中盤から少しずつMacの内面が描き出され始め、弁護士の道を断念し警察官になったというMac自身の経歴とシンクロする部分や、弁護士になった妻との夫婦関係などに進むにつれ、物語は深みを増して行き、実はこの事件の犯人像は見かけと違うのではないかという推理、そして最終的に明らかにされる真犯人、読み終わってみるとこの長さでも充分わかる実力のある作家によって書かれた警察ハードボイルド・ミステリだな、という感想の作品でした。
作者Roger Stelljeは、ミネソタ州在住の本業は弁護士で、大のホッケーファンということです。この作品には登場しませんでしたが、Macの経歴から考えてもこの後の作品にはホッケーの試合場面なども登場してきそうですね。執筆は本業とホッケー観戦以外の休みの時間、ということであまり早くはなさそうですが、今年中にはMcRyanシリーズの長編第4作も発表予定ということです。このシリーズ、前述したように米Amazon.comでも評価の高いベストセラー作品なのですが、最初の2長編はハードカバー版も出たそうですが、現在はe-Bookのみで、個人出版というかたちで出版されています。そういう新しいタイプの作家のひとりという事でしょうか。
ちなみに前述しました『First Deadly Conspiracy』というボックスセットですが、この作品と初期2長編を合わせたもので、3.81ドルという破格の値段です。興味を持たれた方は買ってみて絶対損のないものだと思いますよ。舞台はミネソタ州の政治の中心であるセント・ポールで、Conspiracyとタイトルにも入っていることから次からはスケールの大きなストーリーが展開することを期待しつつ、私もなるべく早く読んでまた感想を書こうと思っています。


●McRyanシリーズ 
1. FIRST CASE - prequel novella (2012)
2.THE ST. PAUL CONSPIRACY (2006)
3.DEADLY STILLWATER (2009)
4.ELECTING TO MURDER (2013)

Roger Stelljes公式ホームページ


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