2014年5月18日日曜日

2000AD 2013年秋期 [Prog1850-1861,2014]

とは言ってみたものの、もう2014年5月と大幅に遅れているのですが、あまり単行本化のない2000ADなので、まあ自分の覚書というのも含めて、これから読んだ四半期ごとにこういうのをやって行こうかと思っています。ホント、自分のことながら、もう少ししっかりした人がやってるブログならよかったですね。

というわけで、2000ADの2013年9月~12月に発行されたProg1850からProg1861までと、クリスマス年末スペシャル号(だと思う)2014についてです。この2014は100ページの特大号(通常は36ページ)なのですが、それから年末2週間は2000ADはお休みです。レギュラーの連載はProg1861で一旦終わり、2014は次からの連載の第1回と読み切り作品という構成になっているので、今回はその読み切り作品あたりまでについて書いていきます。

まずは、Prog1850-1861のラインナップから。
 1.Judge Dredd
 2.Brass Sun
 3.Flesh
 4.Aquila
 5.Damnation Station
以前書いた通り(ZOMBOの回参照)、まず巻頭にジャッジ・ドレッド、そして他の連載が続くという形です。今期の並びは大体この順番でした。

Judge Dredd
 1.New Tricks : Michael Carroll/Paul Davidson (part1-5)
 2.Prey : T.C.Eglington/Karl Richardson (part1-3)
 3.Ferails : Emma Beeby/John Burns (part1-4)
今期のジャッジ・ドレッドは以上の3シリーズでした。
現在のジャッジ・ドレッドは2011~2012年頃に掲載されていた「Day of Chaos」というMega City1の人口の80%が失われるという大惨事以後の世界で、どの話も廃墟のようなところで展開して行きます。ちなみにこの「Day of Chaos」については話の端々で断片的に語られるのですが、やはり現物を読まないことにはよくわからないのでTPB2冊をもたもたと読んでいるところなのですが、これがまたすさまじい問題作なので、読了次第こちらで書いていくつもりです。とりあえず今のところはそういうことがあったということで。
1は、「Day of Chaos」の混乱に乗じ、The Goblin Kingを名乗る犯罪者一派が地下世界で奪ったジャッジの兵器を使い勢力を伸ばしているとの情報を受け、ドレッド達が乗り込んでいくという話。半年前に別のシティから移籍したクールな女性ジャッジ、Caterina Tanechka Paxが語り手。
2は、ボランティアで被災者の治療にあたる少し変わり者の医師が実は外惑星で見つけた凶暴な生物から薬を作るため患者を餌食にしていたという話。
3は、廃墟で暮らす孤児グループで仲間が何者かに次々とさらわれるという事件が起き、自警団を結成したリーダーのミュータント少年とドレッドの交流という話。John Burnsの絵が素晴らしい。
1で今後も重要になりそうなキャラクターの登場などがありましたが、今期はメインライターともいうべきJohn Wagnerによる話もなく、全体的にはそれほど大きな動きはなかった印象です。

Brass Sun
 Ian Edginton/Inj Culbard
星同士がパイプでつながっていてそこを通って移動するというような不思議な世界での少年と少女の冒険を描くファンタジーSFジュブナイルの第2シーズン。
前のシーズンを読んでいないので設定などいろいろわからないのですが、とりあえず今回のストーリーを。
祖父の遺した本を求め、少女Wrenは相棒の少年Septimusとともに独裁者の統治する星へやって来る。時を同じくし謎のエイリアン(?)の星への侵略が始まる。大混乱の中危機に陥りながらも2人は本を手に入れ、星を脱出する。着いた星は過去の動乱の後連絡が途絶え状勢もわからない空ばかりで地面の見えないところ。いきなり襲いかかってきた飛行船に拉致されるが、一緒に捕獲されていた女海賊とともに脱出し、新たな冒険へ!第3シーズンに続く!途中からその侵略の陰謀にも関わっていたようだが切り捨てられた大人が加わるのですが、文句ばかりで全く役に立たないのもいい感じ。
まだ設定や以前の話などよくわかっていないのだけど今期の2000ADの中では一番楽しめた作品でした。早川から出ているスコット・ウェスターフェルドの3部作(最終巻未読)というのもあるようにイギリスではこういう良質のジュブナイル的な話の伝統があるのでしょうね。
…ですが…えーと…、実はこの主人公少年少女の見た目が…。いや、キャラクターを実にうまく表現していますし、今では私もこの二人が大好きになっていますが…。まあ、この二人の間で恋愛関係がどう発展していくのかさほど興味が持てないというか…。ハヤオ・ミヤザキがカムバックしてジブリで映画化すれば大ヒット間違いなしのはずですが…。
とは言ってもInj Culbardの作画は、この不思議な世界をとても魅力的に表現していて、本当にこの物語にぴったりの素晴らしい画だと思います。主人公があまり可愛くないのもきっとコンセプトでしょうね。
この作品本国でも人気なようで、2000ADとしても異例の速さという感じで今年中に発表されるであろう第3シーズンを加え、本年12月にハードカバー版が出版されることが決定しています。まだAmazonにも画像がなかったので、上の画像はまだこちらも仮のカバー画だそうですが、Rebellion社のカタログからお借りしてきました。ちゃんと画像つきのリンクができたら差し替える予定です。

Flesh
 Pat Mills/James McKay
イギリスではJohn Wagnerと並ぶ巨匠ライターPat Millsによる恐竜ウェスタン!
未来世界。ヨーロッパで大飢饉が起こり、その解決のためTrans-Time Corporationによって開発された時間操作技術によりカウボーイが働く恐竜牧場が作られる。飢餓問題は解決したがTrans-Time Corporationは数々の問題を抱えながら大企業として拡大を続け、裏で世界を支配している。その支配に対抗すべく美女Vegas  Carver率いる半人半竜のテロリストグループが、凶暴なティラノサウルスを連れ、恐竜ロデオ大会が開催されるNew New Yorkに乗り込んで行く。
このシリーズ、実は1977年の2000ADの創刊号から始まっているそうです。ですが、70年代に終了し、90年代に時間を置いて復活、その後10年ほど経ってまた再開されたのが現行のシリーズのようで、第何シリーズになるのかは不明です。リランチ、リブートなどもはや流行のようになっている昨今ですが、このFleshに関してはちょっと違います。なんと70年代の物と一緒の本に収録されてもあまり違和感のないような白黒の大変荒い画!序盤設定などについてあまり説明がないのと、その画とで大変読みにくく、さっぱり状況のつかめないまま、それなりに色っぽいVegas姐さんがNew New Yorkに行くゾ!とあまりキャラの判別がつかないカウボーイたちと、恐竜が闊歩する 荒野を進んでいくのをぼんやり見ていて、最後の最後になって上に書いたストーリーがやっとわかった、という次第でした。ストーリー展開から、なんとなく最終回っぽいのですが、わかればそれなりに面白そうな話だし、また再開することがあればもっと楽しめるのではないかなあと思います。

Aquila
 Gordon Rennie/Patrick Goddard
スパルタカスの反乱に加わり、共に磔になり処刑されながら超自然的な何者かの力により復活した戦士Aquilaはなにかに導かれるようにローマへ現れる。下水道を支配する巨大な狼の魔物Wolfmotherとの邂逅、そして、魔術的な力で造られたローマの守護者、花嫁姿の女戦士Veiled Virginを死闘の末倒すが、皇帝ネロに捕獲されてしまう。
この作品に関しては2000ADのサンプラーに第1話が載っていたので初期設定ぐらいはなんとなくわかったのですが、あとの話はやはり不明。ちょっと資料も見つからず、第何シーズンかも不明です。ただ、今回は新章スタートという感じだったので他の作品よりはすんなり乗れたのですが、この作品のみ5話で終了。続く盛り上がりが期待される次シーズンの序章といったところでしょうか。まあ次は最初から乗れて楽しめそうな次シーズンに期待です。

Damnation Station
 Al Ewing/Mark Harrison
ZOMBOのライターAl Ewingによるもうひとつのシリーズ!…ということで個人的にもかなり期待していたのですが…えー、これに関しては設定や以前のストーリーもほとんどわからず、しかも今シーズンでファイナルという様子で、完全にお手上げでした。Joe Nowhereの衝撃の正体!とかあってもそのへんでやっとこいつが主人公なのかな、と把握したぐらいで言われても…。さっぱり状況を飲み込めない怒涛の最終回を書いても仕方ないのであらすじは割愛します。ちゃんと読めればかなり面白そうなSFなのですが。残念。これまでの話もまとめられておらず、前述のRebellion社のカタログを見てもとりあえず単行本化の予定も無いようです。今後のAl Ewingのアメリカでの活躍によってはその可能性もあるかも、と期待しつつ、この作品に関してはその時にという事で。シリーズ全体の担当ということではなかったようですが、Mark Harrisonの半透明のレイヤーを上に重ねていって異星や異世界の空気感まで現す美しい作画はとても素晴らしかったです。

というわけで2000AD 2013年秋期 Prog1850-1861を読んでの私の感想は、6年生の3学期に転校してきて、よく知り合えないままみんな卒業して行ってしまったり、仲良くなれそうだなと思ったやつが一足先にお休みになってしまったり、でもBrass Sunちゃんとはこの先もまた会えて、もしかしたら恋に落ちるかも!あまり可愛くないけど…。という感じ、あれっ?これでいいのか? 

えー、では残るProg2014を。100ページの中、各10ページ前後で9本の作品が載っています。
 1.Judge Dredd/The Right Thing
  Michael Carroll/Leigh Gallager
 2.Ulyses Sweet Maniac for Hire/Centred
  Guy Adams/Paul Marshall
 3.The Ten-Seconders/Haris's Quest for the Perfect Xmas Pint
  Bob Williams/Edmund Bagwell
 4.ABC Warriors/Return toMars
  Pat Mills/Clint Langley
 5.Sinster Dexter/Room Only
  Dan Abnett/PJ Holden
 6Absalom/Old Pal's Act
  Gordon Rennie/Tiernen Trevallion
 7.Grey Area/Something to Declare
  Dan Abnett/Patrick Goddard
 8.Tharg the Mighty/Building a Better Comic
  T. M. O/Anthony Williams
 9.Strontium Dog/Dogs of War
  John Wagner/Carlos Ezaquerra 

1のジャッジ・ドレッド。盗むものもなくなって廃墟の施設のフェンスの金網をはがして売っているようなジリ貧の盗賊団が、偶然地中に埋めて隠してあった大金を見つける。大喜びするグループだが、中の一人がこれは自分の通っている教会から盗まれたものだ、と言いそれを持って走り出す。銃を乱射しながら追跡する一団は年末パレードで賑わうメインストリートに乱入。それを見たパトロール中のドレッドも一団の追跡にかかる。逃げる男がたどり着いたのは年末の募金を募る教会のシスターたちの前。盗まれたお金が見つかったと大喜びするシスターたちだったが、「そのような盗難届は出ておらん。寄付であれ収入を申告しないのは犯罪である!」と盗賊団、シスターを全員逮捕してしまうという話。スペシャルらしいワンショット。こんな話初期のジャッジ・ドレッドではあったなあという感じです。そういえば『Judge Dredd Complete Case File』もやっと1,2巻ですが読んでいるのでそちらもそのうちに。

3のThe Ten-Secondersは、夏期にファイナルを迎えたSFシリーズの後日譚。ある日地球にスーパーヒーローのような宇宙人が現れ、人々は神が降臨したと思うのだが、彼らはただ出鱈目に暴れ地球を壊滅寸前に追い込んでしまう。しかし、さらに高位の父と呼ばれる宇宙人がいて、彼らはその父たちの放蕩息子だった。責任を感じた父たちは地球人の一人に神に等しい力を与え、自分の望む解決をするように言うのだが…。今回の話はそこから唯一人生き残ったHarisのその後。とても壮大な物語ながら、最終シーズントータルでも70ページ弱というところで、これは『ハイぺリオン』のようなSF大叙事詩ぐらいにした方が楽しめたのでは、と思った作品でした。

5のSinster Dexterは2000ADでも長く続いている、SinsterとDexterの二人組のガンマン(ガンシャーク!)が活躍する未来世界が舞台のアクションシリーズです。二人のモデルは映画『パルプ・フィクション』のトラボルタ/ジャクソンコンビだそうです。こちらも夏期に連載がありました。また以前の話はわからないのですが、その結果二人は証人保護プログラムに入ることになり別々に違った名前で新しい人生を始めることになったのですが、Sinsterがその証人保護プログラムのリストの中に放っておけば宇宙を破滅させる悪党の名前を見つけてしまい、プログラムと街から脱出しDexterと合流するまでの話でした。今回は逃亡中の彼らに、Sinsterが街を出る前にもめた地元のボスから依頼された殺し屋が襲いかかるという話。夏期のシリーズはジャッジ・ドレッドのところでふれたJohn Burnsがアートを担当していて良かったのですが、今回はまたずいぶん絵柄も変わってしまった。長いシリーズでよく作画も変わっているようなので、ストーリーに合わせてというところもあるのかもしれませんね。次シーズンも年内に登場の予定。もしかするともう始まっているかも。ちなみに最近知ったのですが、このSinster Dexterはアメリカでも、同じくアメリカ版ジャッジ・ドレッドを出しているIDWから現在issue6まで発行中です。

6のAbsalomは2000ADのサンプラーの第1話とこのワンショットだけでシリーズの方は未読です。どうも超自然的なものを操作し、取り締まる警察的な組織(警察の部局かもしれない)の話のようで、Absalomはそのリーダーの老人です。今回の話は刑務所にいるらしい昔の同僚にAbsalomが会いに行き、地獄(?)に捕われているらしい自分の孫の救出に協力を頼む、という話。どうやら次シーズンの予告的な感じだと思います。絵柄も話の雰囲気もとても私好みの作品なので、次シーズンを楽しみに待って、その時じっくり書こうと思います。

8は2000ADの宇宙人編集長Thargが、いかにして宇宙一面白いコミックを創るか、というまあご想像通りのアレですね。虚弱な地球人に生のままのスリルを与えると廃人になってしまうそうで、適度な濃度に薄めてから我々に与えてくださるというTharg閣下のご配慮に深く感謝いたします。

2,4,7,9は2014年冬期の連載陣。4,9はジャッジ・ドレッドに次ぐ2000ADの看板的2大シリーズという事で気合を入れて臨まねばと思っております。


なんとか2000ADを読む人がもっと増えればいいなあ、とも思いながらやってみたのですが、よくわからないの連発で、却って「一見さんお断り」感を強めてしまったのではないかと…。なんにしても「わからない」などというのは感想にならないなあと深く反省しております。ただDamnation Stationに関しては個人的にかなり楽しみにしていたのにこの結果というのが残念で、ということでご勘弁ください。いつかちゃんと読めるといいなあ。でもこの毎週出て続きが読める、というスタイルは日本の週刊マンガ誌で育ってきた我々にも馴染み深く、楽しめる人も多いのではないかなあと思うのですよね。ちょっとわかりにくくてもすぐについていけるようになりますから。たぶん…。まだiOSのみですが、iPhoneやiPadをお持ちなら是非一度のぞいてみてください。
というわけで、この人見知りの激しい転校生のボクもなるべく早く馴染んできちんとしたガイドが務められるよう努力してまいりますので、次回3か月後…ぐらい…、いやいや必ず3か月後の2000AD 冬期レポートにご期待ください。


Brass Sunハードカバー版のカバー画がようやく決定し、Amazon.jpでも画像が出たので変更しました。(2014 8/13) 

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