2015年11月8日日曜日

2000AD 2015年冬期 [Prog 2015,1912-1923] (前編)

えー、まずは最近恒例の遅れてしまった言い訳コーナーです。まあ何と言いますか色々と書きたい事があって、『Hellblazer』だけは早く進めないと、とか『Southern Basterds』についてだけは書かないと、とかいうのがあって、定期的なものだからと言って順番を前倒しするとモチベーションが下がってずるずると遅れる、という思い込みの一方で体調やらなんやらでちょこまか休んでしまって、というのが重なりこの始末でした。読む方は遅れながらも週1冊ペースで進んでもうすぐ次の春期を読み終わりそうなのですが。なんとかどこかで早く取り戻せるように頑張らんとね。すみません。

というわけで2000AD 2015年冬期です。まず、今期のラインナップは以下の通り。

 Judge Dredd
 The Order [Prog 2015-1922]
 Ulysses Sweet [Prog 2015-1917]
 Orlok, Agent of East-Mega One [Prog 1912-1917]
 Savage [Prog 2015-1923]
 Survival Geeks [Prog 1918-1923]

今期のトップ画像は巨匠Pat Millsの代表作の一つ!『Savage』です。あの『ABC Warriors』にも連なるPat Mills未来史の一部を成す作品です。詳細については後ほど。


Judge Dredd
 1. Dark Justice : John Wagner/Greg Staples (Part1-11)
 2. 300 Seconds : Ian Edginton/Simon Coleby
 3. Perps, Crimes & Videotape : Alec Worley/Carl Critchlow

今期のJudge Dreddは、前期と同じ構成で全11話からなる大作『Dark Justice』と1話完結のストーリー2本となっています。
『Dark Justice』は久々に重要な敵キャラクターであるJudge Deathが登場する作品です。ちょっとどのくらい久しぶりなのかはわからないのですが、少なくとも私が2000ADを読み始めてからの約2年半は登場していません。今回はそのJudge Deathに’同僚’であるJudge Fire、Judge Fear、Judge Mortisが加わった最恐軍団とドレッド、そして映画にも登場したジャッジ・アンダーソンが対決します。あ、ちなみにちゃんと説明して無かったけど、アンダーソンは2000ADから別に出ている月刊誌『Judge Dredd Megazin』で独立したシリーズを持っています。
ここでまずこれまでの流れで私が分かっている部分だけ少し説明します。Judge Death初登場のストーリーは現在発行中の『Judge Dredd Complete Case File 03』に収録されています。Judge Deathは異次元から突然現れたジャッジで、彼の元いた世界では生命そのものが犯罪であり、そのため職務遂行のため人々を片っ端から殺し始めます。ドレッドによってなんとか倒されますが、この謎の敵について調べるために超能力ジャッジであるアンダーソンが呼ばれます。こちらもこの話で初登場。映画とは違ってアッパーな性格でヘラヘラと現れ、「ジャッジにこんな妙な奴がいたのか?」とドレッドに眉を顰められます。死体の残留思念を読み調べようとしたアンダーソンですが、肉体を離れ生き残っていたDeathの魂に身体を乗っ取られてしまいます。わずかに残った意識でドレッドに指示し、アンダーソンは自らの身体を特殊プラスチックで包むことで自分ごとDeathを封じ込めます。そして、アンダーソンはDeathを封じ込めたままプラスチックに包まれJustice Departmentの一室に保存されているという結末。自分はまだ『File 04』の途中ぐらいまでしか読んでいないので、この初登場の一話だけであとの経緯はわかりませんが、このような形でDeathとは深い因縁があり、今回アンダーソンも登場となったわけです。
また、3体の’同僚’Dark Judgeについてはその由来などは分からないのですが、この話は前に書いた『Day of Chaos』からの続きの話なので、その辺についてもう少し詳しく書いておきます。東側工作員の手により、Chaos Dayの混乱を更に拡大させるため、3体の封印されていたDark Judgeが解放されたところまでは書きました。その続き。3体が乗り移った肉体はドレッド達により倒されますが、Death同様魂が抜け出し逃亡。そしてその魂たちは、顔を変えて逃亡中の悪漢PJ Maybeと遭遇します。(PJ Maybeについても『Day of Chaos』の項を参照の事。あまり詳しくは書いてありませんが。)PJ Maybeの新しい肉体を見つけてやる、という申し出に乗ったDark Judge達ですが、まんまと騙され瓶の中に封印されてしまう。そして3体のDark JudgeはPJ Maybeにより密かに所蔵されていた、というのがこれまでの経緯です。
そして、やっと今回の『Dark Justice』のストーリーです。いずこからかまたしても出現し、他者に乗り移ったJudge Deathが、遂にPJ Maybeの隠れ家に現れ3体のDark Judgeを回収する。時を同じくし、Mega-City Oneでは他の惑星への移住を目的とした超巨大豪華宇宙船が出発の時を待っていた。Judge Deathは回収した3体のDark Judgeを携え、秘かにその宇宙船に乗り込む。一方、Justice Departmentでは以前Dark Judgeに触れたことから死に瀕していたジャッジの意識をアンダーソンが読み、そこからDark Judge達に動きがあることを察知する。手がかりをたどりPJ Maybeの隠れ家にたどり着いたドレッドとアンダーソンだったが、すでにJudge Deathも、そしてMaybeも姿を消した後だった。調査を進めるうちにDeathが乗り移った人物が宇宙船に乗り込んだことを知ったドレッド達はただちに追跡にかかる。宇宙船内ではDeathが集めた死体を使い’同僚’Dark Judge達を蘇らせる。そして、宇宙船内で殺戮が始まる。やっと宇宙船に追いついたドレッド達は通信と途中で出会った脱出艇に乗った人たちから状況を聞き、ただちに本船に向かう。だが、ドレッド達が巨大宇宙船に乗り込んだとき、脱出艇に密かに仕掛けられていた爆弾により彼らが乗ってきた宇宙船が破壊される。すべてはこの船にドレッド達をおびき出し決着をつけるため、Deathが仕組んだ罠だったのだ。宇宙空間に孤立した巨大宇宙船の中で、ドレッド、アンダーソンとDark Judgeとの闘いが始まる!
というまさに2015年初頭を飾るにふさわしい超大作です。晩秋ぐらいになって書いてて言うのもなんだが…。ライターは長年に亘るJudge Dreddの中心ライターである大御所John Wagner。作画はCGリアル系のGreg Staples。左上の画像もStaplesによるものです。Tharg閣下によるとドロイドStaplesはこの作品の完成に2年をかけたということで、まーた閣下のいつものアレだろうと思っていたら、少し後でのお便りコーナーでも同じことを言っていたので多分本当なのだろうと思います。全体的にはとても迫力のある画ですが、後半バトルシーンになると部分的にリアル系ゆえの弱さが見られるところも。でもまあ2年もかけたのだから重箱の隅をつつくようなまねは止そう。よく頑張ったですね。ただそれゆえにDark Judge、PJ Maybeの両ストーリー・ラインが長期にわたってストップしてしまったのでは?という思いも頭をかすめますが。
今作のラストではドレッドは勝利を収めますが、Dark Judge達を消滅させることはできなかったので、いずれはまた登場してくることでしょう。そして、姿を消したPJ Maybeの行方は?など、また今後の展開を楽しみに待ちたいと思います。
2はもはやMega-City Oneでは伝説と化しているジャッジ・ドレッドが、毎日Cityで最も犯罪発生率の高い交差点を見下ろす場所に300秒立つことで多くの犯罪の発生をくい止めている、という逸話がジャッジ・アカデミーの生徒に語られる話。作画は『Jaegir』のSimon Coleby。3は水族館の凶暴なサメやピラニアをテレポート装置を使い街中に突如出現させる、という騒擾犯罪の陰にフリーのヴィデオ・ジャーナリストが?という話。作画のCarl Critchlowは明るい色に日本のアニメのような境界のはっきりしたカラーリングのDreddではあまり見ないタイプの画のアーティスト。Dredd的には新しい人だと思われるけど、なかなかいい感じだったのでこれからも活躍してもらいたいものです。


The Order
 Ken-W/John Burns

今期から始まった新シリーズ、13世紀ドイツを舞台とした異色SFです。
父の消息を求める女騎士Anna Kohlは、彼が最期を迎えたとされる洞窟にたどり着く。父の遺品とともに置かれた奇妙な兜。子供の頃Annaは父がその兜をかぶった人物と出掛けて行ったのを憶えていた。だが、それは実は未知の技術によって作られたロボットの頭部で、Annaが手にすると再起動され話し始める。父は実は謎の’使命’により異次元からの侵略と戦うグループの一員だったことをAnnaは知る。そしてAnnaはかつての父の仲間たちとともに異次元からの敵との戦いに巻き込まれて行く。
まずはベテランJohn Burnsの挿絵風といった感じの素晴らしいペン画が際立つ作品です。前にもDreddなどを描いているのを見たけどこれがベストだろうと思います。かつての父の仲間はみんなもう老人で、老人と美少女が冒険するというのはなんかジブリっぽいと思ったり。彼女の父は実は普通の人間ではなかったようで、Annaもそれを受け継いでいるのですが、その辺についてはあまり明らかにされなかったりと、またいずれは続きが描かれることと思います。新たなJohn Burnsの代表作となることが期待される作品です。


Ulysses Sweet/Psycho Therapist
 Guy Adams/Paul Marshall

1年前、2014年冬期にグラント・モリソンの人気キャラを復活させ、大きな期待を背負いつつもかなりの不評に終わり、もう次はないだろうと思われていた問題作がまさかの復活!さて今回は前回の失敗を挽回することができるのか?
前の仕事の成功により業界内の評判も上がり、仕事も順調に入ってくるようになったManiac for Hire, Ulysses Sweet。だが、彼は前回の仕事中に脳内に埋め込まれたサイコ・セラピスト・チップが破壊され、新たに埋め込まれたチップがどうにも気に入らない。遂には自分の頭を銃で撃ってチップを破壊し、以前のチップを探し始めるのだが…。
えー、結論を先に言ってしまうと今回も今ひとつでした。画像が無いことからもお分かりのように今回は表紙を飾ることもなく、お便りコーナーを見ても評価している人も無しという状況。ストーリーは前回のラスト、チップが壊れたようなので新しいのを見つけに行く、と言っていたのを引き継いでいるわけです。大変危険な狂人ゆえに脳内にサイコセラピスト・チップを埋め込むことを義務付けられていて、常にそれがUlyssesの行動にケチをつけてきたり会話をしたりする、という設定はGuy Adamsオリジナルの物で、私も悪くないとは思うのですが。Guy Adamsも1年前に比べてコミック・ライターとしての腕は上がったと思うのですが、結局のところ何かちまちまとした動きの小さいコメディに終わっている感じがする。 作画は2014年夏期のDreddで画について不満を書いてしまったPaul Marshall。この人だったのか…。まあDreddよりはこういうブラックなテイストのコメディの方が向いている人なのだろうと思うが。結局は動きの小さいコメディと動きの小さい画の相乗効果でまたしても今ひとつの作品になってしまったというのが私の感想です。残念。
ちなみにグラント・モリソンによるオリジナルですが、最近読むことができました。少し前に2000ADのデジタル・ショップで『The Best of Tharg's Future Shocks』というのがセールになっていて購入してみたところこの作品が収録されていました。まあ、きちんと探さずにたまたまセールになっていたので偶然見つけたという話もなんだが…。こちらの本は、John Smith、Pete Milligan、Grant Morison、Neil Gaimanの4作家の2000ADに掲載された過去の短編作品を集めた210ページほどのものです。ニール・ゲイマンの過去作など興味のある人は多いのでは?ちなみにアラン・ムーアの物は単独で編集され、『The Complete Alan Moore Future Shocks』として出版されています。
さてそのストーリーはというと、ロボットに仕事を奪われ排斥運動を行っているグループに雇われたManiac for Hire, Ulysses Sweet。まずはロボット操業による工場に核ミサイルを撃ち込んで大規模に破壊。続いてロボット達に故障を起こさせるという依頼に対し、近辺のロボット達を完全に停止させる。ここぞとばかりにロボットの不便さを訴えるグループだったが、長く仕事を離れ観念ばかりで技術を持たない彼らに、ロボットの替りに修理作業もすることはできず、逆に窮地に追い込まれる。実はこれは全てロボット側の排斥運動を潰すための計画で、Ulyssesもロボット側に雇われていたのだった。しかし、喜びに沸くロボット達の基地に核ミサイルの接近が告げられる。Ulysses Sweetが人間側からの依頼で放ったミサイルだった。大爆発の後、がれきの下からはい出したUlysses。「これが俺流の仕事完了ってことさ。」結局は誰の言うことも自分流に解釈し仕事を進め、なんでも核ミサイルを撃ち込んで解決というスケールのでかい狂人を描いた快作。今のGuy Adams版にもこのくらいのスケールの大きさが必要なのだと思うのですが。
というわけで、今期も失敗に終わってしまった感のある『Ulysses Sweet』ですが、2000ADとしてはこのキャラクターにもGuy Adamsにも期待するところは大きいだろうから、またの登場もあるのかもしれません。自分が思うには、『Ulysses Sweet』に関しては、一旦別の若手のライターにでも任せてみた方が良いのではないかと。絵の方は思い切って例えば、あのハードコア・バイオレンス・コミック『Aquila』のLeigh Gallagerぐらいの人を登用してみてもいいのではないかと思ったります。


というところでまだ半分なのですが、Dredd『Dark Justice』などがずいぶん長くなってしまってまた1週引っぱることは確実な状況となってしまったので、急遽今回の2000AD 2015年冬期は前後編に分けることにしました。とは言っても結局は1週引っぱることと同じなので、書こうと思ってるアレがまた遅れるなあ…と思いつつ、なんとか頑張って行こう!次回後編は巨匠Pat Millsの代表作の一つ『Savage』など!次週をお楽しみに!ってちゃんと次週書けよ!



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