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2016年4月23日土曜日

Southern Bastards 2 :Gridiron

『Southern Basters』TPB第2巻です!もう少し早く読むつもりだったのだけど、年始辺り今読んでも書けないからなあ、とか思って先延ばしにしているうちに少し遅れてしまった。今回も熱い物語が展開!
なお、第2巻ということで、1巻の最後はネタバレしてしまいますのでご注意を。

Southern Bastards 1 :Here Was a Manについてはこちら

孤立無援の死闘。
そして、Earl Tubbは、Coach Bossに敗れ、斃れる…。


【Southern Bastards 2 :Gridiron】

神父と保安官のみが立ち会うEarl Tubbの埋葬。
そこにCoach Bossが現れる。

Earl Tubbの死因は不明の事故とされ、Coach Bossが罪を問われることはなかった。
だが、保安官はBossに厳しい非難の目を向け、無言で立ち去る。
そして、Bossにも勝利の笑みが浮かぶことはない。

そして、Coach Bossこと、Euless Bossの過去が回想され、語られる…。

Euless Bossは町でも知られたルーザーで泥棒の父、Olis Bossに育てられる。
少年時代、学校では盗人の息子として蔑まれ、帰宅しても、時には父と二人で暮らすごみ溜めのようなトレーラーハウスからも締め出され、屋外で眠る。
そんな彼の唯一の希望、生き甲斐はフットボールだった。

しかし、Eulessは決してフットボール選手としての才に恵まれているわけではなかった…。

フットボールにしがみつき、唯一人グラウンドに残りひたすら練習を続けるEuless。
そんな彼にコーチは、お前には才能が無い。あきらめろ。と、冷たく言い放つ。
上級生からは凄惨ないじめに遭う。
それでもしがみつき練習を続けるEuless。

そんな彼にある日、一人の男が声を掛ける…。
そして、Eulessにも光明が見えかけたかに思われたが…。


Coach Bossの過去、Euless BossはいかにしてCoach Bossとなったかが語られます。
Euless Bossは大変不幸な男であり、彼は一度たりとも心から笑顔を浮かべられるような勝利を手にしたことはありません。彼のフットボールに対する気持ちは、愛情というよりは妄執と言うべきもの。彼は何があろうと退くことはできない。そうなれば自分の全てが崩壊してしまうから。そして、彼の勝利には必ず代償が付きまとい、Earl Tubbを退けた彼は、また大きな物を失います。



今回もJason Latourの画が本当に素晴らしい。ともすれば「この人物は不幸な生い立ちのためにこうなってしまったが、心の底からの悪人ではない」というようなエクスキューズに陥りかねないストーリーを、そのシンプルに削り取った力強い線、アクション、押しつぶしたような表情からにじみ出るような感情で、Coach Bossという人物を正確に、力強く彫り上げて行くことで、そのような曖昧さ、甘さの入る余地のない作品として完成させています。Coach Bossの生い立ちや不運には同情できる、しかし、だからと言って彼の選択は許されるものだったのか、そして、彼はもはや何があろうと退くことのできない人物なのだ、ということが読む者にあまりにも力強くストレートに伝わります。
もちろんJason Aaronのストーリーが素晴らしいことは言うまでもない。しかしそれもこのJason Latourという素晴らしいアーティストとの共同作業によって初めて完成されるもの。そしてそういう優れたアーティストと巡り合い作品を作れるというのもJason Aaronという作家の実力なのでしょう。自分としてはこれは、あの名作『100 Bullets』にも匹敵する奇跡なのではないか、と思いはじめています。

Earl Tubbは斃れた。しかし、まだこのストーリーが終わるわけではない。Coach Bossの言葉の中に、彼の敵、更なるCraw Countyの闇がほのめかされる。そして、保安官であったTubbの父に何があったのか?彼はなぜ町の住民に憎しみのような感情を持たれているのか?そして、最後に1巻のラストに登場した人物が告げます。"I'm going home."新たな人物の登場により、この先もまたさらに大きな物語が、熱く展開して行くことになるのでしょう。『Southern Bastards 3 :Homecoming』は6月発売。あともう少し!でもまたその次はしばらく先になるのでしょうね。しかし、このくらい思い入れのある作品ならいくらでも待つのだ!Aaronの『Scalped』も早く読まなきゃなんないしね。

1巻のとき、この作品のTVシリーズ化が決定進行中であることをお知らせしましたが、その後の続報はまだ今のところないようです。そして今週、この作品のアイズナー賞Best Continuing Series部門へのノミネートが発表されました。同時にライターJason AaronのBest Writer部門へのノミネートも発表されています。Jason Aaronは昨年秋より同Image Comicsより新シリーズ、『Scalped』のR. M. Gueraとの『The Goddamned』も始まっています。いや、もちろん読むに決まってるよ。


Southern Bastards 公式ホームページ

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Southern Bastards 1 :Here Was a Man


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