2016年1月23日土曜日

Hellblazer -Jamie Delano編 第3回-

明けましておめでとうございます。…にはちと遅いのですが、相変わらずの寒さに弱い体質ゆえ年末年始と体調を崩し、やっと復帰してきたところでの新年1回目はHellblazer Jamie Delano編の第3回です。
前回、各号ごとのあらすじを書いてみて、そこまでやることもないかなとも思ったのですが、やはりどうもそういう形でないとJamie Delanoのストーリーの進め方をうまく説明できないように思えてしまうので、とりあえずJamie Delano編に関しては残りもその形でやって行こうと思います。今回もネタバレということになりますのでご注意を。


【Fear Machine】

一連の事件の後、宿無しその日暮らしのコンスタンティン。ある朝、前夜知り合った女性の部屋から早々に立ち去った彼は、店先の新聞でこれまでの成り行きから自分が指名手配されていることを知る。人目を避けた土地を目指し移動するコンスタンティンは、パトカーから逃げた森の中で不思議な雰囲気の少女Mercuryと出会い、彼女の母親Marjらとともにヒッピーのコミューンに向かう。(14号)
ヒッピーのコミューンに落ち着いたコンスタンティンは、ある日Mercuryに連れられ、古代に作られた石柱群により構成される超自然的なエネルギーのネットワークであるLey Lineを訪れる。Ley Lineを辿るうちにその一部がGeotronikという謎の組織によって封鎖されているのを目撃する。Mercuryはその奇妙な能力により不穏なものを感じ、封鎖地域に入り込む。軍服姿の警備する男に捕まった彼女をコンスタンティンは救い出す。その後、コミューン内でもめた女性にマジックマッシュルームを盛られたコンスタンティンは、トリップ状態でさまよううちにLey Lineで幻覚とも現実とも判別のつかないまま石柱に狂ったように頭を打ち付ける男を見る。(15号)
ヒッピーのコミューンが警官隊により強襲される。殴打されコンスタンティンが意識を失っている間に、Marj、Mercury親子は逮捕され、連行される。意識を取り戻したコンスタンティンが警察署に向かうと、そこにいたのはMarjだけでMercuryの姿は無かった。Marjが薬を射たれ意識が混濁している間にGeotronikの施設にいた男に連れ去られていた。コンスタンティンはMarjにMercuryを捜し出すことを約束し、コミューンから旅立つ。(16号)

以上が最初3号のあらすじなのですが、まあ普通はこの3号のストーリーは1号でまとめられます。ヒッピーのコミューンにいるところから始まり、ナレーションでこれまでのいきさつを説明し、MercuryとLey Lineに行き、その夜夢で幻覚の情景を見て、目を覚ますと警官隊に襲われる、と例えばこういう感じ。第1回で延々と書いていた、ストーリーの進行による必要性ではなく、主人公が普通に動くのを追っていくようなDelanoのスタイルが見られるところです。こんな変なのはそうそう見られない。でも例のようなまとめ方をするとやはりこのDelanoによるジョン・コンスタンティンというキャラクターから抜け落ちて行ってしまうものもあり、その辺がゲストライターの物と比較するとわかりやすいのですが、なんとか今回は頑張ってそこまで行こう。
ここまでの作画は以前の号から引き続きのRichard Piers Rayner。デッサン力は確かなのですが、相変わらず時々現れる変な顔が少し気になる…。

あと、どこかで明確な説明をするのでなく少し抽象的だったりもする描写の積み重ねで説明して行くのがDelanoのスタイルで、あらすじだけを書いて行くとわかりにくくなりそうなのでここで一旦まとめて説明すると、Geotoronikという組織は一応民間の研究所ではあるけど、フリーメイソンを背景に持ち、警察も深く関わっており、彼らの目的は、超自然的なエネルギーのネットワークLey Lineのシステムを応用し、人間の深層心理に潜む恐怖を拡大増幅して伝達させるFear Machineという兵器を完成させることです。そして少女Mercuryの能力とは基本的にはテレパシー的なもので、更に人間の深層心理にあるものを引き出すこともできるものであり、それがGeotoronikによって研究のために利用されようとしているということです。

コンスタンティンがロンドンに戻るために乗った列車が、Fear Machineの攻撃に遭う。恐ろしい幻覚に襲われパニックを起こした乗客たちが互いに殺し合い、あるものは自殺を図り、車内は地獄と化す。それ以前から不審な行動が気になっていたロシア人らしき男に関わりがあると感じたコンスタンティンは男を追うが、遂に列車が脱線する。気絶した男を担ぎ、なんとか無事に列車から脱出したコンスタンティンは、事故後救助を装い現れた一団の中にコミューンを襲撃した男たちを目撃し、そしてその攻撃の標的がそのロシア人らしき男であることを知る。コンスタンティンはその男を近くの茂みの中に隠し、その場を立ち去る。(17号)
この号の作画はMike Hoffmanがゲストアーティストとしてクレジットされています。1980年代から主にホラー系のコミックを手掛けてきたアーティストで、少し線が硬く平板に見えるのが気になるけど、ダークで雰囲気のある画の描けるアーティストです。

Marjはその後、大きなヒッピーのコミューンに移動し、そこである種教祖的な立場になっているZedと出会う。Geotronikの施設に捕われたMercuryは、実験の過程で恐怖に捕われ破滅しかかっている被験者を自分の能力で救おうと試みる。一方、ロンドンに到着したコンスタンティンは調査を始めるが、遅々として進まない。昔馴染みのTalbot警視と出会い、警察内で悪徳警官を狙いリクルートする組織があることを訊き出す。また、その背景にフリーメイソンが関わっているらしいことも知る。そしてコンスタンティンはLey Lineに奇妙な動きがあることを書かれた記事を見つけ、それを書いたジャーナリストに接触を試みる。(18号)
この号は主にコンスタンティン、Marj相互の手紙、Mercuryの手記で構成されていて、ただでさえ多いナレーションが更に増えている上に筆記体で書かれ、読みにくさ倍増。Original Sinsの後、消息不明だったZedが再登場。今後また重要な役割を担って行きます。新聞に顔写真まで載せられ指名手配されていたコンスタンティンですが、Talbot警視と会ってみると、ありゃあ大したことじゃない、みたいに言われて警察も結構いい加減だったり。
この号からそれまでインカーにまわっていたMark Backinghamがペンシラーを担当。正確な画力で、綿密に書き込まれた背景に人物を配置し、ホラー的な雰囲気も上手く、文句なしの画。少なくともコミックのアーティストとしての腕は明らかにRaynerより上だと思うのだが…。いろいろ事情もあるのでしょうね。

コンスタンティンがジャーナリストSimonが泊まっているホテルの部屋を訪ねると、彼は異様な姿で縛られてクローゼットの中に押し込められていた。窒息寸前のSimonを救い出すコンスタンティン。Simonから話を聞くと、彼がGeotronikに不審を抱き調査したきっかけはそこで相次いだ科学者たちの理由不明の自殺からだということだった。コミューンのMarjとZadはMercury救出のための儀式を行い、その能力によりメッセージを受け取ったMercuryは脱出のための画策を始める。TalbotとSimonからの話から組織の輪郭を掴み始めたコンスタンティンは、更に話を突き合わせるため二人を会わせる。3人が向かった地下鉄のホームで、それまで何かとコンスタンティンに付きまとっていたホームレスの男が、彼につかみかかり口に丸めた紙を押し込むと、JALLAKUNTILLIOKANという謎の言葉を叫びながら、地下鉄に飛び込み死亡する。コンスタンティンの口に入れられた紙にはTremble The G.O.A.G. is Comingと綴られたうえに奇妙なマークが描かれていて、それが彼を殺そうとした男の指輪に刻まれたデザインであることに気付いたSimonは戦慄する。(19号)
Fear Machineの研究で神経をすり減らした科学者のひとりを利用し、Mercuryは独力で施設を脱出する。コンスタンティンたちは、Talbotに接触してきたというロシア人科学者に会いに行くが、案の定それはコンスタンティンが攻撃された列車で出会った男だった。Talbot、Simonにそのロシア人科学者Serjを加え、Geotronikの陰謀への調査も進むかと思われた矢先、コンスタンティンの留守中にGeotronik配下の警官に襲われ、3人は施設に拉致される。Geotronikでは弱腰で失態の続く科学者たちに業を煮やし、Simonの殺害を図った指輪の男、Websterが指揮を執り始める。宗教的な聖地であるかのようにFear Machineを崇めながら近づいた彼は、その中にその最大の恐怖を注入するように、装置の中央で被験者たちを残忍に処刑し始める。その時、コンスタンティン、Mercury、Zedらの頭の中に再び謎の言葉JALLAKUNTILLIOKANが響き渡る(20号)
コンスタンティンはフリーメイソンに属するかつての知り合いの男を脅迫し、情報を引き出し、「The G.O.A.G.」がThe God Of All Godsの意でありJALLAKUNTILLIOKANがその名であることを知る。もはや自分の力ではなすすべも無い事を悟ったコンスタンティンは、親友Chasの助けでスコットランドのZedたちのコミューンへ向かう。その途上、脱出し北を目指して独り進んでいたMercuryと出会い、無事に彼女をコミューンで待つMarjの元へと届ける。一方Geotronikの施設では、監禁されたTalbotたちの眼前で、Websterによる陰惨な儀式的処刑が続き、Fear Machineの力を増大させて行く。(21号)
Websterの処刑は遂に監禁された3人にも及び、ひとりずつFear Machineの生贄となって行く。Zedは闘いのためコミューンを解散し、その地にはZed、Marj、Mercury、そしてコンスタンティンだけが残る。Mercuryが意識をFear Machineに送り込む一方、儀式で3人は絡み合い、産み出された卵から双子のドラゴンが空へと昇って行く。巻き起こされた嵐で海に投げ出されたコンスタンティン。沖合で船に救助されたコンスタンティンは全てが終わり彼女たちがFear Machineをくい止めたことを知る。(22号)

最後22号はかなり神秘的・幻想的になりちょっとわかりにくいと思いますが、こんな感じです。以上がFear Machineのあらすじです。Jamie Delanoによる『Hellblazer』の中でも代表的なストーリーという評価のようです。第1回の概要で書いたように簡単に説明できるものなのだけど、少し詳しく重要と思われるところを書いてみたら、結果的にずいぶん複雑で長くなってしまいました。これもストーリーがまっすぐに進まないDelanoの作風ゆえの事と思います。全体を通してみてみると、実は主人公ジョン・コンスタンティンは最後まで事件の周辺をウロウロするだけで全く活躍していません。Mercuryも自力で脱出したし。しかし、全く無力でただ常に傍観者でいることしかできないキャラクター、と言ってしまうのもやはり違うと思う。何とも独特で奇妙な魅力を持ったJamie Delanoによる『Hellblazer』の特徴が良く現れたストーリーだと思います。
後半のMark BackinghamによるFear Machineから発せられる恐怖のイメージはかなりグロテスクで迫力があります。うっかり小さい子に見せたらトラウマになりそう。


【ゲストライターによる作品】

続く23号からは次のThe Family Manへと向かって行くのですが、間にいくつかゲストライターによる作品が入って行くので、そちらについて先に説明します。

まず、25・26号はグラント・モリソンによる作品。友人の女性記者に誘われ、彼女の取材につきあい北の町Thursdykeを訪れたコンスタンティン。近くにミサイル基地を擁するその町では、町の住人達によるユーモラスなかぶりもののカーニバルの開始を待っていた。だがその時、ミサイル基地の奥深くで、一人の狂気の科学者による実験が開始される。町に向かって発せられたマイクロウェーブにより住人たちの潜在意識に隠された欲望と恐怖が解放されるのだ。「眠れる巨人を目覚めさせるのだ」科学者は語る。そして、北の町Thursdykeで狂気と暴力のカーニバルが始まる…。
かなり読みにくいDelano作品からの流れで来ると、Hellblazerでもこんなに読みやすくできるんだと思ってしまう。コンスタンティンのキャラクターも違和感なく踏襲されたさすがの良作という感じです。この話の舞台の町は架空のものと思われますが、ミサイル基地の近くという設定はモリソンさんの家の近所のようですね。
作画はイギリス出身で『V for Vendetta』を描いたDavid Lloyd。言っちゃあなんだけどスペシャルだけにいつもより格段に上手い人が出て来たな、という感じ。

27号はニール・ゲイマンによる作品『Hold Me』。友人のパーティーで紹介された女性のアパートへ行ったコンスタンティンは、彼女と喧嘩別れした後に部屋の外で、母親が壁から出てきた男に抱きしめられ、冷たく動かなくなってしまったと話す少女と出会う。そしてコンスタンティンは、その取り壊しの決まった建物の空き部屋に入り込み、抱き合って暖を取る相手さえいないまま孤独にこの世を去った幽霊と遭遇する…。
シンプルだけど非常に完成度の高い素晴らしい作品。なんだかDelanoメインのところであまり褒めるのもなんだが、やっぱりさすがとしか言いようのない名作。まだやっと全体の6分の1ぐらいしか読んでない私ですが、それでも『Hellblazer』ベスト版みたいのを作るとしたらまず筆頭に選ばれるだろうなと思える作品。必読!
作画は『Hellblazer』のカバー画を多く手掛けているDave McKean。イギリス出身の、コミックのアーティストというよりもっと広くイラストレーター、画家というくらいのアーティストですが、ペン画も素晴らしいとしか言いようがない。

それから少し飛んで、32号がDick Foremanによる作品『New Tricks』。ある町で連続する不審な失踪事件を調べるコンスタンティンは、ジャンクヤードに潜み、野犬の王として君臨する残虐な人食い犬にたどり着く。それはある悪魔教に傾倒した男の変わり果てた姿だった。
前の2人は結構上手すぎたりもするので、この作品あたりがDelano作品との比較としてわかりやすいのではないかと思います。と言ってもこの話の出来が悪いとかいうことではありません。序盤、少しフキダシがごちゃごちゃしすぎているきらいはあるものの、様々なセリフのやり取りで説明し、あまり無駄なく本筋に移り、グロテスクな見せ場やアクションに充分ページを使って表現するという普通によくできた作品です。野犬の群れに囲まれ、残虐な人食い犬を前に平然と渡り合うタフなジョン・コンスタンティンは、Delanoの結局全く活躍しない主人公よりもイメージしやすいと思います。オカルト探偵ジョン・コンスタンティンというストーリーを普通に作ればこういう感じになるのではないでしょうか。まあそれゆえに私などはこのJamie Delanoによる『Hellblazer』が独特の魅力を持った特殊な作品だと思うのですが。ただ、この作品連続した流れで読むと、Family Manのストーリーでコンスタンティンが様々にかなり精神的に疲弊した状態にあるところに来るのでかなり違和感があったりもするのですが。
作者Dick ForemanはVertigoで他に『Black Orchid』などの作品のあるライターですが、ちょっと調べてもあまりよくわかりませんでした。イギリス出身で、多分そちらの方に色々作品もあると思われるのですが。
作画のSteve Pughもイギリス出身で、現在もアメリカ、イギリス両面で活躍するアーティストです。この辺りはまだデビュー間もないころの作品だと思います。独特のダークでバイオレンスな風味の画風は結構好き。


【The Family Man】

The Family Manは実際にはそのタイトルのついているのは、24号、28~30号の4話からなる作品ですが、関連する前後の作品を含め、33号までのストーリーをここで説明します。

コンスタンティンは昔からの友人であらゆるものを取引するディーラーJerry O'Flynnの屋敷を訪れる。自分の身体に流れる悪魔の血を売る魂胆だったコンスタンティンだったが、O'Flynnが厄介なトラブルの渦中にあることを知る。様々なフィクションの中のキャラクターのモデルになり、多くの物語に登場する彼は、そのことによりフィクションの世界から糾弾・訴追されているというのだ。(23号)
ちょっと説明しにくいややこしい話なのですが、最終的にO'Flynnは捕まって幽閉され、留守宅に居座ったコンスタンティンはそこでFamily Manと出会うことになります。
作画はここからRon Tinerに交替。イギリス出身のアーティストで2000ADあたりでは多くの仕事があるようなのですが、あまりよくわかりませんでした。Comixology関連のショップではどこも一部Rob Tinerって間違って表記されてるし。コマの中のキャラクターの大きさなどから見て少し古い世代に属するアーティストと思われるけど、ホラー的な雰囲気は悪くないです。イギリスではかなり大物のアーテイストのようで、キャラクターの描き方の本も出しています。

留守中のO'Flynnの邸宅を漁り、金庫の中に大金を見つけ大喜びするコンスタンティン。その時、屋敷を一人の老紳士が訪れる。O'Flynnから受け取ることになっていたという封筒はすぐに見つかり、それを持ってその男は帰って行く。手渡す前に何気なく封筒を覗き、中にある家族に関する写真や情報などが入っているのをコンスタンティンは見ていた。男が帰った後、金庫にあったO'Flynnの日記などを見ているうちに彼は今の男がFamily Manと呼ばれる連続殺人鬼であることに気付く。そして、O'Flynnがその男に犠牲者となる家族の情報を売っていたことも。コンスタンティンは金庫の中の大金もろともに屋敷に火を放ち、O'Flynnの邸宅を後にする。(24号)
全4話から成るThe Family Manの第1話です。Family Manは一見身なりも良い老紳士ですが、幸せな家庭の家族全員を冷酷に惨殺する怪物的な人物です。彼がそのような犯行に及ぶ理由などは、少年時代の親子関係にあることが断片的に彼の回想などで示されますが、あまりはっきりとはわかりません。彼は結構な老人だし、その間に少なくとも50年以上の欠落があるわけですし。コンスタンティンは彼と出会ったとき名前を尋ねられ、うっかり話してしまったことから自分の素性を知られ、Family Manとの対決を余儀なくされます。

コンスタンティンは親友Chasがタクシーを売り払い始めた賭け屋の二階に居候を始め、そこを拠点に調査を始める。O'Flynnの屋敷にいたときたまたまかかってきた電話を手掛かりに、ホラーマニア向けのいかがわしいショップにいってみると、そこの奥の部屋ではFamily Manの物を含む様々な殺人事件の記念品が売られていた。コンスタンティンはそこを警察に通報し、現場にFamily Manをおびき寄せようと企む。だが、彼が帰宅してTVを見ると、新たなFamily Manの犯行が報道されていた。そして、Family Manも既にコンスタンティンへの攻撃を始めていた。コンスタンティンの父の住居を突き止め、コンスタンティンの友人のふりをして訪れ彼の情報を聞き出した後、父親を殺害する。(28号)
Family Manの影に怯えるコンスタンティンは、深夜忘れ物を取りに戻ったChasに間違って襲いかかるなどの行動に出てしまう。Chasの紹介で拳銃を手に入れるコンスタンティン。だが、その取引に出ている間にFamily Manは彼の居所を突き止め、店にいたChasに暴行を加え、メッセージを残して行く。それを見たコンスタンティンは、その時自分の父親がFamily Manによって殺害されたことを知る。そして、コンスタンティンはFamily Manとの対決を決意する。もうお前のような厄介者にはうんざりだ、とコンスタンティンを追いだすChas。コンスタンティンが向かった先はChasのいとこで娼婦のNormaの住まいだった。彼を尾行し、落ち着き先を確かめたFamily Manは自分の泊まっているホテルへと引き上げ、フロントに朝5時に起こしてくれ、と告げる。だが、すべては逆にFamily Manの動きを探るための罠だった。そしてコンスタンティンの元へ、Family Manをひそかに尾行していたChasからの電話がかかってくる。(29号)
早朝、Normaの住居を後にするコンスタンティン。その後を尾けるFamily Man。コンスタンティンは人気のない工事現場に入り込み、待ち伏せを図る。だが、Family Manはその意図を見抜き、姿を消す。再びFamily Manを見失ったコンスタンティン。なるべく人の多いところを選び、街をうろつく。地下鉄に乗り、意気投合したサッカーファンとバスに乗り込む。そして、バスがパンクし、タイヤ交換に停車し、コンスタンティンが降りて一人になった瞬間、変装し、尾行していたFamily Manがナイフを手に襲い掛かる。道路を離れ逃げるコンスタンティン。追いつめられたコンスタンティンはFamily Manに銃を突きつける。最初の弾はFamily Manの頭をかすめる。もみ合ううちに発射された2発目はFamily Manの足に当たる。「なぜお前は家族全員を殺したんだ?なぜ?俺は知らなきゃならないんだ!」コンスタンティンはFamily Manを問い詰める。だが、意味不明の答えしか得られないまま、コンスタンティンは彼を射殺する。(30号)

以上がThe Family Man全4話のストーリーです。オカルト探偵ジョン・コンスタンティンが、超自然的であったり心霊的であったりという背景の全くない人間の殺人鬼との対決を余儀なくされるというストーリー。しかし、その相手は超自然的なものより更にコンスタンティンにとっては不可解なもののまま話は終わります。
お馴染み親友のChasがここでは賭け屋に転職していますが、そもそもがコンスタンティンの勧めというか口車に乗せられてということのようです。タクシー運転手に復帰するのはガース・エニスが交替してライターになってからになります。
作画は引き続きRon Tinerですが、28号からの3号はインカーが加わります。最初の2話はKevin Walkerという人でRon Tiner自身のものとあまり変わりませんが、最終話は今回はまたしても登場のMark Buckinghamで線がかなりクリアで力強くなります。やっぱりこの辺の上手さがインカーとしての需要になるのでしょうね。

コンスタンテインの姪Gemmaは葬儀の前夜から何かを訴えるような祖父の姿を見始める。祖父の姿は彼女以外には見えていない。葬儀の間も、そして火葬されてからも祖父の姿は去ろうとはしない。翌朝、葬儀に遅れて到着した叔父ジョンに相談する。その理由を考えながら墓地を歩くコンスタンティンは、すっかり忘れていた過去の出来事を思い出す。ティーンエージャーの頃、ハイスクールからも追い出され父親との関係も険悪になっていたコンスタンティン。ある日、父親が自分の魔法やオカルトについての蔵書を焼き捨ててしまったことに腹を立て、父を呪いをかけようと企む。猫の死体を使った呪いは効果を発し、父の身体は弱り始める。だが、現実に死に向かってゆく父の姿を目にし、コンスタンティンは後悔し、なんとか呪いを解除しようと考える。彼に思い付いたのは呪いに使われた猫の死体の腐敗を止めることだった。コンスタンティンは学校から盗み出したホルムアルデヒドに猫の死体を浸ける。そして、呪いは止まり、父親の体調の悪化も停止した。そしてその猫の死体を保存した瓶を隠したのは母親の墓石の下だったのだ。コンスタンティンは掘り出したそれを焼却し、そして父の魂を解放する。(31号)
Family Manに殺害された父親のその後の話。4号に登場した姪のGemmaが再登場。ここで、コンスタンティンと父親との確執が描かれます。この号はThe Family Manの後日談であると同時に、コンスタンティンの内面や過去を掘り下げて行く次のThe Golden Boyにも続いて行く話となります。
作画は、近年はエド・ブルベイカーとのコンビで『Criminal』などの傑作を産み出し、最近では『Fatale』の日本版も発売されたショーン・フィリップス。彼もイギリス出身で、Pat Mills作品などを手がけた後、アメリカでの最初の仕事がこの『Hellblazer』のようです。当時から優れた画力の持ち主ですが、線の好みは現在と少し違い、ラフな線の効果が気に入っていたようです。

続く33号は第2回の最後に書いたあの13号と双璧を成すDelanoによる怪作です。
ある晴れた日曜日、コンスタンティンは気持ちよく散歩に出かける。昔のヒッピー仲間と出会う。彼はコンピューター業界で成功を修めている。自分の成功に少しためらいながら未来を語る友人の話をコンスタンティンは楽しく聞く。「モノリスを脱構築するのだ。」彼は語る。道端の公衆便所に立ち寄るコンスタンティン。だが、そこから外に出ると何かが変わっていた。友人の姿は無く、空はどんよりと暗く曇っている。道をゆく人々の言葉は理解できないものになり、看板や標識も読むことのできない文字の羅列となっている。電気製品を持ち路地裏に集まる人々。積み重ねられた山には火が放たれる。「彼らはモノリスを脱構築しているのだ。」傍らに立っていたインドの行者のような男が彼にも理解できる言葉で語る。ここはどこなのだ?、というコンスタンティンの問いに、時間の乱気流の中ではそれは意味のないことだとの応え。魔術師であるお前なら正しい道を見つけられる、と指し示された入り口をコンスタンティンはくぐる。そこはどこにでもあるにぎやかなパブ。バーテンに酒を頼もうと試みるうち、コンスタンティンはその世界に同調し、人々の言葉も理解できるようになる。そしてコンスタンティンはパブの一角に落ち着く。日曜日の街はいつもとちょっと違うものさ。(33号)
なんとか書いてみたものの、ちゃんと書けたか今一つ自信がありません。よくわからないものはそれなりにそのままで楽しむ私ですが、もっと頭のいい人ならきちんとこの作品が何を言わんとしてるか理解できるのでしょうか。
作画はDean Motterでちょっと今ひとつかなと思ったのですが、少し調べてみると、カナダのアーティストでライターも兼ねていろいろ興味深い仕事もあるようです。近作としてはDark Horseからの『Mister X』シリーズがあり、読んでみたかった作品でもありますので、いつかその時に仕切り直しということで。


というところで、今回はここまでです。冒頭、挨拶で書いたように書き始めた時点でもうあんまり明けましておめでとうなんて言ってる人があまりいない頃になってしまったのですが、このHellblazer Jamie Delano編、先の長いHellblazerでもありますし、いつまでも引っ張っていられないのでなんとかここまでと思って頑張っているうちに、ご覧の通りずいぶん長くなって、ずいぶん時間もかかってしまい、今頃明けましておめでとうなんて言ってる人類お前だけだよ、ということになってしまった次第です。まあ、とにかくこれでDelano編もあと最後のThe Golden Boy 7話を残すのみとなりました。なるべく早く第4回を終わらせ、次のGarth Ennis編へ向かうつもりです。
なんにしてもとりあえずは新年第1回ですので、今年も頑張る所存であります、とか書いて終わりにしよう。ではまた。


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