2015年12月30日水曜日

Hell and Gone -ドゥエイン・スウィアジンスキーCharlie Hardieトリロジー第2作!-

※注意:これはドゥエイン・スウィアジンスキー作Charlie Hardieトリロジー第1作『Fun and Games』についての感想の続きです。未読の人はできたらそちらを先にお読みください。

Fun and Games -ドゥエイン・スウィアジンスキーCharlie Hardieトリロジー開幕!-

緊急!実は他に順番的には先に書かなければいけない本もあるのだけど、これについてはとにかく急いで前倒しして書かなければいけないのだ!


とりあえず、まずは今作『Hell and Gone』のあらすじなのですが、前作『Fun and Games』のネタバレを含んでしまいますのでご注意を。

前作『Fun and Games』のラスト、謎の’事故屋’との戦いに決着を着け生き延びたHardie。だが、満身創痍で救急車に乗せられたHardieは予定されていた病院に現れることはなかった…。

’事故屋’たちの背後に潜む’彼ら’は語る。「彼こそがあの仕事のために探していた人材だ。」

そして『Hell and Gone』-


Hardieは救急車の中で目覚める。何やら救急隊員であるはずの連中の話が気に入らず、拘束を解こうと試み始める。「おい、こいつ目を覚ましてるぞ!」強力な麻酔を射たれ、Hardieは意識を失う。

次に目を覚ましたのはどこかのガレージの中。救急車から別の黒いヴァンに移し替えられようとしている。意識を取り戻し、暴れるHardie。「こいつまた目を覚ましてるぞ!」そして麻酔を射たれ再び意識を失う。

そして、Hardieはヴァンの中で目を覚ます。「こいつには普通の量の麻酔じゃ効果が無いんだ。」そして更に大量の麻酔を注入され、Hardieの意識は暗黒に沈み込む…。

一方、前作終盤でHardieがやっとで連絡を付けたFBI捜査官のDeacon "Deke" Clarkは、微かな手がかりを追い消えたHardieの行方を単独で探し続ける。だが、遂には彼にも’彼ら’からの脅迫の手が迫り、断念せざるを得なくなる。こうしてCharlie Hardie探索救出の望みは完全に断たれる…。

そして、Hardieはどことも知れぬ窓もない一室の中で目覚める。見たこともないスーツを着せられ、椅子に座らせられ、右手は手錠で繋がれている。最後に意識を失くしてからどのくらいの時間が経ったのだろうか。傷はすっかり治っているようだが…左手と右足がほとんど麻痺して使い物にならない?
そして、Hardieは杖を手渡され、告げられる。「あなたにはこれからエレベーターで下に降り、ある仕事についてもらう。」
その部屋からの唯一の出口であるエレベーターに乗り下降するHardie。彼が着いたところは地下深くに作られた謎の監獄だった。そこに閉じ込められている謎の「看守」達。そして更にその中で牢獄に閉じ込められている謎の「囚人」達。Hardieはそこで「刑務所長」として迎え入れられる。彼らは何者で、なぜそこに捕えられているのか?そしてHardieはその監獄から脱出することができるのか?


驚愕。前作の、不死身の男がL.A.を疾走するアクション・ストーリーが、一転し閉鎖された地下の牢獄を舞台とするソリッド・シチュエーション・スリラーへ!
それではまずはこの作品に対して予想される「エンターテインメント小説ファン」氏の感想を見てみましょう。

がっかり
 前作『Fun & Games』がなかなか面白かったのでこの続編を読んでみたのだが、一読してがっかり。

 前作ではちょっととぼけた不死身の主人公Charlie HardieがL.A.を駆け巡るアクションとユーモアあふれる快作だったのだが、今作では謎の監獄が舞台のダークなホラー的作品になっている。前作の良さが微塵も感じられず、作者がなぜこのような方向転換をしたのか全く理解できない。そもそもどこかの地下深くに作られた謎の監獄などという設定自体に全くリアリティが感じられない。

 三部作ということで次回は1作目のようなCharlie Hardieの復活を期待したいが、望み薄かな。★1つ(CV : ブラッド・ピット または山寺宏一)

むきー、なにを偉そうに!と、まずはイマジナリー・エネミーにキレてみる。こーゆーリアリティと日常性を混同している人に限ってあたかもそれが何かの基準のようによく考えもせずに「リアリティがない」とか言いますよね。じゃあ謎の監獄が新大久保の雑居ビルの中にあったら納得したわけ?
まあ、こういう人アメリカのAmazon.comのレビューにもいました。結局のところこういう人たちって小説などを読むときに勝手にその内容を想定し、それが期待したものと違った時頭をそちらに切り替えられず、もーあっちこっちで自分の言葉が無い輩が使いまくり変な虫みたいに見えて来たお馴染みの「コレジャナイ感」(うわっ、オレのブログに変な虫がっ!)ってやつを引きずりながら否定的に読むことしかできず、作品を楽しめなかった哀れな人たちなのでしょう。たぶんこういう人たちの期待したCharlie Hardieトリロジーって

  1. 『Fun & Games』謎の’事故屋’によるハリウッドの女優の暗殺の企みに巻き込まれた不死身の男Charlie Hardieの活躍!
  2. 『Hell & Gone』’事故屋’の背後に潜む’彼ら’によりその計画のコマにされた不死身の男Charlie Hardieは、アメリカの大都市を大災害に巻き込む陰謀を阻止すべく走る!
  3. 『Point & Shoot』不死身の男Charlie Hardieが大統領暗殺の陰謀を阻止すべく走る!
というようなところでしょう。
オレがドゥエイン・スウィアジンスキー様だぜ
だが!これは何らかの思い付きによる方向転換などではありえない!この一連の作品は最初から「三部作」とアナウンスされている。そしてこの作者ドゥエイン・スウィアジンスキーは何をやらかすかわからない男である。これは明らかに当初からの計画的犯行!(犯行?)このいかにも性格の悪そうな(顔つきからの推定)スウィアジンスキー氏が「へっへー、全部違うタイプの小説3作で三部作を作って読者をビビらせてやるぜー。オレがフツーの三部作書くわけねーだろっ。」とほくそ笑んでいるのが目に浮かぶようです。

また、米Amazon.comのレビューの中には100ページで読むのを止めたという人もいました。そういう人にレビューする資格があるかというのは別にして、ある意味その人の方が正解です。大体その辺りでこの作品が前作のようにはならないというのが見えてくるわけです。自分の読みたいものと違うとわかったならそこで捨ててしまうのも一つの選択。世の中には「期待」に100%応えてくれる作家なんて山ほどいるのでそちらだけ読んでいても一生読む者に困らない。思い込みの「期待」を引きずったまま否定的に読むよりよっぽどマシ。

また、以前に美味いパスタを食べたレストランに入ったらお好み焼きを出された、なんて例えを出したい人もいるかもしれないが、それは違う。この店の看板にはドゥエイン・スウィアジンスキーとしか書かれていない!そしてこの店主は何をやるかわからない男である!それを見抜けなかったあなたが悪いのだ!

そしてその「前とは違う!」と気付いたあたりで頭を切り替え、そういう小説を読むつもりで読み進めれば、もーさすがにこのスウィアジンスキーの手腕で、数ページ刻みで、新たな謎が提示され、秘密が明かされ、どんでん返しが起こる、というめまぐるしい展開!私も結構コミックに充てる時間を削って読みふけってしまいましたよ。わー、100ページで止めて損したね。

あとちょっとこれはネタバレとまでは行かなくても少し展開を明かしてしまうようなので書こうか迷ったのだけど、誤読予防のためにあと一つ。この監獄の謎が最終的に明かされると、それは割とポピュラーなあるものに分類されます。で、世の中にはそうやって何かに分類できたことを自分の評価と勘違いしてしまう人も多いわけで、「この監獄の謎というのも結局は○○○だしね。」(CV : ブラッド・ピット または山寺宏一)とか言い出されると腹が立つので言っておくが、この監獄については実は結末が書かれていない。それはこの作品が次に続く第2部だから。そんなわけでその種明かしが結末のように見えてしまい、「結局○○○だよね」(CV : 同)族が横行しそうなので、その読みは浅い!とあらかじめ指摘しておきます。大体分類できたことで評価できたなんて思いこむこと自体中学生レベルなのですが。

と、またしても長々と書いたわりには要領を得ないものになってしまっているのですが、結局のところ何が言いたかったかというと、これは絶対に面白いスゲー本なので読み間違えるな!ということ。作品の方向性から、前作のようなユーモアは少し薄れているけど、前にも書いた構成や読ませ方のうまさは変わらず、少なくとも自分としては文句のつけようのない本当に楽しめた作品でした。
そして今回なんでそんなに急いで前倒ししてまでこの作品について書いたかというと、ここまでに書いてきた通り1作目とは全く違うタイプの2作目を仕掛けてきたスウィアジンスキー、3作目はさらに予想もつかないモノを出して来るのは確実。というかこの2作目のラストがすでにとんでもないことになっているのですが。そうなれば第3作を読んだ印象を含めてこの第2作を語るなどというズルをしてはいかんのだ。Charlie Hardieシリーズについては全部読み終わった後、三部作を俯瞰しオレハードボイルド論に沿ってまとめるつもりである、なんていうのはもってのほか。きちんと、うっひゃースウィさんビックリしたよー、次どーなるの?という感想を書きとめてから次に進むのが正しい本との付き合い方。そして私はこの次の第3作『Point and Shoot』を一刻も早く読みたいのだ!そんなわけで自分内優先度も読んだ本の順番も無視し、今回はこの『Hell and Gone』について前倒しして語ったわけです。こーなったら第3作『Point and Shoot』についても読み終わったらすぐに書くつもりです。とにかく私はこのドゥエイン・スウィアジンスキー屋を完全に信頼しているので、次に出てきたものがたとえスリッパオムレツだったとしても「Droook」と叫んで必ず完食します。でももしその時「やっぱ私の読み間違いで3作目は1作目みたいな感じでしたー。てへっ」ということになったら素直に謝りますですよ。それでよし。さあ、これで『Point and Shoot』をいつでも読めるぞっ!


というわけで、緊急だの前倒しなどと言いつつ、またブログ的には少し空いてしまいましたが、その辺は年末ということでお許しください。まあ、なんとか年内に間に合って、今回が2015年最後となりました。それではよいお年を。来年もまた気が向いたら見に来てくださいね。


●関連記事

Fun and Games -ドゥエイン・スウィアジンスキーCharlie Hardieトリロジー開幕!-

The Wheelman - ケイパー小説の傑作! -


●Duane Swierczynski


'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

0 件のコメント:

コメントを投稿