Translate

2015年5月3日日曜日

Nailbiter -ハイスピード・サイコ・サスペンス・コミック!-

Image Comicsも現在はずいぶん勢いがあるようで、多くのシリーズが進行中で毎週沢山のタイトルが発売されているわけですが、私のように読むのが遅い者は気になるものがあってもアレとアレを読んだら読んでみようかななどと思っているうちにすぐにちょっと旧作となってしまったりするわけです。最新情報をお伝えするなどという柄ではないけど、どうせ読んでブログに書くなら早い方がいいよな、と思って少し順番を入れ替えてみたりしたのが今回の『Nailbiter』です。とは言っても気付かないうちにもう単行本2巻が出てたりしたのですが。

あの『American Vampire』やDC52の『Batman』のライターであるScott Snyderに「途中で死ぬようなことがあったら続きは俺に書かせろ!」と言わしめたこのシリーズ、まず私の心を鷲掴みにしたのは第1号のカバー絵でした。それがこちら!


うわっ、これはヤバイ!痛いっ!たいへんわかりやすく怖い!こんなのを見せられてはもう読むしかないでしょう。さて、ではNailbiterとはどんな話なのか?


連続殺人鬼"Nailbiter" Edward Charles Warrenが逮捕される…。

彼の犯行の手口は、男女を問わず爪を噛む癖のある者を誘拐監禁し、その爪が十分に伸びたところで骨に達するまでそれを噛み、そして殺害するという異常かつ残忍極まるものである。カリフォルニアだけで少なくとも46人がWarrenの手にかかっている。

そのNailbiterがついに逮捕される…。
SWATとともに突入したCarroll捜査官が見たものは薄ら笑いを浮かべながら被害者の爪を噛み続けるWarrenの姿だった。

そして3年後…。

軍情報部の捜査官Nicholas Finchの許にCarrollから電話がかかってくる。「遂にBukaroo連続殺人鬼達の秘密を掴んだ。お前の助けが要る、すぐに来てくれ。信用できるのはお前だけだ。」友人からのたっての頼みに不承不承腰を上げるFinch。

-オレゴン州Bukaroo-

雨の降りしきる中、FinchはBukarooに到着する。そこで彼がまず目にしたのは"The Murder Store"という連続殺人鬼の記念品を売る不気味な店だった。

Bukarooは”連続殺人鬼の町”。この町から16人もの陰惨な連続殺人鬼が産まれている。そして"Nailbiter" Edward Charles Warrenは、その最新のひとり。
店主Raleigh Woodsは不気味な笑みを浮かべながら語る。「こうなったらその悪名に払い戻しをしてもらうのさ。手始めはホラー・コンベンションの誘致だ。」その彼の祖父もこの町の連続殺人鬼にして最初のひとりBook Burnerだった。

Finchは店の前で少年2人に絡まれていた風変わりな少女Aliceを助け、町の女性保安官Craneと出会う。彼女も、この町に現れてから毎日のように顔を合わせていたCarrollの行方が今は分からないと告げる。Carrollの宿泊しているホテルの部屋を訪ねると何者かに荒らされたらしい形跡があった。

Carrollはどこに消えたのか?本格的に捜索を始めた彼らがまず訪れたのは、陪審員により無罪評決が出され、この町に戻って暮らしている"Nailbiter" Edward Charles Warrenの許だった…。


うむむ…。なかなかあらすじを書くのも難しい。結構ハイテンポで進む物語なのですがちょこまか行間を空ける書き方で逆の印象を与えたなら申し訳ない。実際にはストーリーの進行とともにキャラクターや状況の説明を織り交ぜて行くとても巧みな語り口なのですが。
まずこのたいへんインパクトのある事件・キャラクターですが、これってさらにリアルになる映画や、逆に映像の無い小説だと過度にグロテスクになり過ぎ、コミックならではのバランスでバランスで成立している、コミックゆえに作りえたストーリーだと思います。
物語はオレゴンの田舎町で色々といわくありげな住人が登場しながら、次々と異常な事件が起こってくるというちょっとツインピークスをも思わせる展開。しかしこの前の『Ferals』の時も「ツインピークスみたいな田舎町」とか書いてしまって少しこちらの引き出しが無さ過ぎか。すみません。一体なぜこの小さな町で連続殺人鬼が16人も現れたのか?という秘密が"Nailbiter"の謎とともに徐々に解き明かされて行くという展開になって行くようです。謎が謎を呼びながらハイテンポで進んで行くストーリーで、ミステリ小説のファンの人にも絶対おすすめですよ。

ライターのJoshua Williamsonは2007年デビューでまだライターとしても若手の方でしょう。Image Comicsから出てオリジナル作品を書きながらDC、マーベルにも順調にキャリアを進めているところなのかな。代表作としては、この『Nailbiter』の他に同Image Comicsの『Ghosted』など。Dark Horseの『Capten Midnight』、MonkeyBrain Comicsの『Mask and Mobsters』といった作品もあります。この作品に関しては、とにかくテンポよくストーリーを進めながら、折りたたまれたものを徐々に開いていくように少しずついろいろ見せてくる巧みな展開が冴えています。この人も注目していきたいライターですね。
作画のMike Hendersonはあの(というほどはよく知らないけど…)Joe Kubert School of Artの出身とか。Joshua Williamsonとは『Mask and Mobsters』に続いてのコンビとなります。彼もまだ若手でそれほど多くの作品はないようですが、ザクッとしたスピード感のある線を基調にしながら、見せ場では上の絵のようにそれまでの流れと見るものの視点をもを一気に凍らせる画を描けるいいアーティストです。

この作品は始まってちょうど1年で、現在までに11号、TPBは2巻まで発売されており、私はまだ1巻分5号までしか読んでいません。あの人にはいったい何があったの?とか、最後に出てきたあの人のあの話ってどういうことなの?などとかなり気になるのですが、とりあえずは続きは完結を待って読みたいなあ、と思っております。たぶん1年後ぐらいではないかと。それ以降も長く続くシリーズになりそうならその辺で一旦区切りまで読もうかなあなどという予定です。この先どう言った展開になって行くのか本当に楽しみにしているので、先を読んだ人がいても絶対に私には話さないでくださいね!

というところで話はまた最初に戻るのだけど、ここのところのImage Comicsもずいぶん勢いがあるようで、どんどん出てくる気になるシリーズは早く読んでさわりの部分だけでも書いていきたいなあと思っております。とりあえずの私の注目作は、タイトルからして心惹かれる『Southern Bastards』や気鋭の女流作家の最新作『Bitch Planet』といったあたりで、この辺についてはなるべく早く読んでこのブログにも登場してくる予定です。とか言っている一方で、グラント・モリソン+Darick Robertsonなどという組み合わせでもったいなくてなかなか手を付けられないでいるうちに、もうちょっと旧作になってしまった『Happy!』なんかも早く何とかしたいな、と色々悩ましいところですがなんとか頑張りますのでまたよろしく。

Joshua Williamsonホームページ


●Nailbiter



●Ghosted


'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

0 件のコメント:

コメントを投稿