2014年7月1日火曜日

Brass Sun Issue One -英SF-クロックパンク・コミック-

先日、2000AD 2013秋期で少し書いた『Brass Sun』が、デジタル版で発売されました。今回はIssue Oneとして第1シーズン前半30ページが2000AD Online ShopとiOS App Shop、そしてKindle版で発売中です。Issue Twoも6月25日に2000ADでは発売されており、そのうちKindle版も発売されると思います。

-あらすじ-
たくさんの惑星が集められ、パイプでつながれ機械的に太陽の周りを回っている不思議な世界。だが、それが作られたのは遥かに昔で、何者がどういう目的でそれを創ったのかは忘れ去られている。

だが、その太陽は今衰え始めている。冬が長くなり、作物の収穫は減少し、人々の不安から様々な宗教カルトが勃興している。しかし、権力の中枢にいる宗教的指導者たちはその状況に何ら対策を講じようとしない。この世界では、その成り立ちについて研究することすらタブーとされていて、外の世界を見るための望遠鏡もすべて破壊されている。

かつては次期司教と目されていた老人Cadwalladerは、その禁じられた研究のため地位を追われ逃亡し、現在は深い森の中に孫娘Wrenとともに隠れ暮らしている。しかし、その逃亡生活も終わりをむかえる。追手の襲来を察知した老Cadwalladerは、Wrenにすべてを託し旅立たせる。そして、少女Wrenのこの世界を救うための冒険が始まる!

以前、面白いのだけど設定等がよくわからない…という感じで雑に紹介してしまったのですが、思いのほか早く修正できました。これが正しいあらすじです。この作品2000ADでもかなりの人気のようで、今年12月にはハードカバー版の発売も告知されているのですが、それに先立ちこのような分冊形式での発売も始まりました。1シーズンを2回に分け、全6回で毎月発行という事になっているようで、今夏期に掲載されると思われる第3シーズンもその中に含まれると思われます。全ストーリーがそこで終了するのかはまだ不明です。
タイトルに使ったSF-クロックパンクというのは、2000AD Online Shopでの作品紹介に使われていたものです。私はそういうジャンルがあるのかは知らないのですが、時計仕掛けの様に惑星系が動いているイメージにはピッタリだと思います。しかし誰だよっWrenちゃんが可愛くないとか書いた奴はっ!…でもなんというかこのあらすじだけを読まれた人は大抵は『ラピュタ』みたいなのをイメージされると思うのですが、キャラクター造形に関しては少し違っていたりします。でもWrenちゃんはとても魅力的な女の子で、私は大好きです!Wrenちゃんが泣いてしまうところでは私も涙してしまいました。

作者コンビのIan EdingtonとI.N.J.Culbardに関してもかなり雑に書いてしまっていたので、ここでもう少し詳しく訂正しておきます。
Ian Edingtonは1990年頃に2000ADでライターとしてデビューし、90年代半ば以降は活動の場をアメリカに移し、マーベル、DC、ダークホースなどで様々なシリーズ物を手がけた後、2000年代からはまたイギリスに戻り、2000ADなどでオリジナル作品を中心に活動している作家のようです。作風はスチームパンク、歴史改変物で代表作に『Scarlet Traces』(Rebellion/Darkhorse刊、現在入手困難の模様)。近作ではBrass Sunの他に、2000AD 2013年春期に掲載されていた『Stickleback』があり、こちらは2008~9年に掲載され一旦は終了していたものが再開されたようです(冒頭で主人公が生き返る)。架空の過去のロンドンを舞台に怪人が活躍するピカレスクロマンという感じで、面白かったです。他にもアメリカでもVertigoで、『Hintrkind』というアポカリプティックファンタジーが現在進行中で、そちらも早く読んでみたいなと思っています。
I.N.J.CulbardはイギリスSelfMadeHero社から『シャーロック・ホームズ』シリーズなどの著作が多くあるアーティストで、アメリカではVertigoから、同じくイギリス出身のライターDan Abnettとの共作で『The New Deadwardians』があります。フランスで評価の高いアーティストのようで、検索してみたらフランス語のWikipediaが出てきました。シンプルな線なのですが、ある種シュールで抽象的と思われるイメージをひとつの断定的な、ある意味記号に近いような明確な形で、その線で描いて見せてくれる優れたアーティストです。近作ではラブクラフトの『At The Mountain of Madness(狂気の山)』(SelfMadeHero刊)があり、あの小説がどんな風に表現されているのかとても興味があります。SelfMadeHeroのコミックは、以前 "Comics Unmasked -英コミックカタログ-" の項で書いたSEQUENTIALからデジタル版を読むこともできます。

2000ADのコミックは、連載1回あたりのページ数が少ないためか、アメリカのコミックなどと比べて文字が小さくなる傾向があります。私はKindle版を購入して読んでみたのですが、Kindleのコミックリーダーはコマや区画などで少し拡大されて読む機能はあるのですが、それをさらに拡大して読む機能は無いので、私の使用しているiPad miniでも少し読みにくかったところがありました。購入される際は、ご注意ください。ちなみに2000ADのリーダーには特別な機能はありませんが、拡大は自由にできます。

この作品は、日本でも読んでみれば気に入る人がずいぶんいるのではないかなと思います。特に『Saga』の評判を聞いて海外のコミックに興味を持った、というようなSFファンの人がいるようならおススメです。私もとても気に入っている作品なので、このブログで今後も推して行き、何か新しい情報があったらなるべく早くお伝えしていくつもりです。



●関連記事 

2000AD 2013年秋期 [Prog1850-1861,2014]

●Brass Sun


●Ian Edington、I.N.J.Culbardの近作


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