2015年10月18日日曜日

Southern Bastards 1 :Here Was a Man

とにかくこれについてだけは書かなければならんのだ!『Southern Bastards』(Image Comics)!あまりにも熱い、魂を震わせるドラマであります!


南部の田舎町Crow Countyに一人の老人が帰って来た。彼の名はEarl Tubb。父の死後40年、彼はこの地に足を踏み入れることはなかった。かつて彼が暮らした家に住んでいた叔父が亡くなり、その家を処分するために彼はここを訪れた。そして、この地との関係を永遠に断つために。

かつて暮らした家をEarlは訪れる。亡くなった彼の父はその家の庭に眠っていた。そしてその墓の後ろには巨木が聳え立っていた。
Earlは保安官であった彼の父の事を回想する。あの夜、家を襲った大勢のならず者を前に一歩も引かずバット一本で闘った父の姿を。
だが、彼はそんな父に複雑な思いを抱いていた。そしてそれがこれまでEarlをこの地から遠ざけていた理由でもあった…。

町の食堂に立ち寄ったEarlは、同年輩のいかにも負け犬といった風情の男Dustyと出会う。しきりに"Coach Boss"なる人物への取り次ぎを求めるDusty。やがてDustyはEarlに気付く。彼はEarlがかつて地元のフットボールチームの花形選手だったことを憶えていた。「あんたに会えたのは嬉しいよ。だが、なるべく早くこの町から出て行け!」そうDustyは言い放つ。

DustyはCoach Bossの仕事でヘマをやらかし、その釈明をしようとしているらしい。Coach Bossからだと言われてDustyが入って行った調理場から悲鳴が聞こえてくる。Dustyはcoach Bossの配下のゴロツキに銃を突きつけられ痛めつけられていた。Earlは手近にあった調理器具でゴロツキをぶちのめし、Dustyを助け出す。だがDustyは、「余計なことはするな!きちんとCoach Bossに話せば済むことだ!」と言い捨て、立ち去る。

その夜、Earlは父への想いと自分とこの地との繋がりを断ち切るように、父の墓に聳え立つ巨木に斧をふるう。
そして同じ頃、DustyはCoach Bossの配下に追いつめられリンチに遭っていた…。

翌日、Earlは久しぶりに町のフットボール場を訪れる。そこでは他の町のチームとの試合が行われていた。
その試合中のグラウンドによろめきながら入ってくる一人の男。それは前夜、リンチでボロボロになったDustyだった。そしてDustyが向かう先に立っていたのは、この町のフットボールチームのコーチであり、この町を陰で支配する男、Coach Bossだった。
Dustyは息も絶え絶えにCoach Bossに釈明を試みる。助けにグラウンドに降りるEarl。だが、Coach Bossは「早くこいつらを俺のフィールドから追い出して、試合を再開させろ」と、冷たく言い放つ。

そしてDustyは息を引き取る。
保安官にこれがCoach Boss一派の仕業であることを訴えるEarl。だが取り合う気配もない。保安官自身もかつてはCoach Bossの元、地元フットボールチームでプレイした選手だったのだ。

町を立ち去る準備を進めるEarl。だが、やりきれない気持ち、抑えきれない怒り、それらを父の墓に向かってぶつける。

「俺にはこんな町は故郷でも何でもないんだ!ここで何が起ころうと俺には関係ないんだ!俺はあんたとは違う!とっととここから出ていくだけだ!」

そして、その時、奇跡が起こる!


少し端折りながらも勢いで2号ぐらいまでのあらすじを書いてしまったのですが。
Jason Aaronによる力強いストーリーに、Jason Latourによる素晴らしいアート!省略し、選択された線を強調、というのはデフォルメの基本だけど、優れた絵描きというのはそれを根本から自分のものとして再構築できるのだと再確認させられてしまう。そして陽にさらされて褪色したようなカラーリングに、金釘で書いた様な文字でダーティーな言葉が飛び交う。私的にはもう完璧なコミックであります!

1号のラスト、父の墓に聳え立つ大木に斧をふるうEarl。それにリンチを受けるDusty、バット1本で闘う彼の父の回想がカットバックで挿入され、それらがEarlの巨木に打ち込む一打に集約されるシーンには感嘆しました。しかし!2号のラストには思わず「おおっ!」と声を上げてしまったよ。そして、Earl Tubbの闘いは始まる。Here was a Man!

この物語はCrow Countyの入り口の路上で糞を垂れる野良犬から始まります。そしてその野良犬はあちこちに登場しては吠える。そしてラスト、この犬が、この犬だけが!本当に泣かせてくれるのだ。私はこんな犬でいたいといつも願うのです。

ライターJason Aaronは2001年マーベルのタレントサーチコンテストで優勝し、この世界に入り、その後は多くのマーベル作品を手掛けている人です。そして代表作と言えばVertigoからの『Scalped』。どんな作品かは調べればすぐわかるのですが、例によって例の如く読むのをすごく楽しみにしてるので一切調べておりません。どんな作品かは全く分からないけどどー見たって絶対面白そうなのだもの。いずれは読んでここで騒ぐと思いますが、気になる人はすみませんが自分で調べてみてください。
作画のJason Latourは2005年頃からImage Comicsの新人の登竜門のアンソロジーとかから出てきた人で、その後はマーベル、ダークホースなどで多く仕事をしているようです。いくつかはライターとしての仕事もあります。この作品ではカラーリングまでの全てのアートが彼のものとしてクレジットされています。

このTPB1巻ではまだ語られませんが、保安官であったEarlの父とこのCrow Countyは何か深い遺恨があるようで、そのことでDustyはEarlに「早くこの町から出て行け!」と言います。その辺の過去のことについてはこれから語られて行くことになるのでしょう。
そして、最後にエピローグ。ずっと引っかかっていた一つの謎が明らかにされて、そうだったのか、と少し安心させてくれます。しかし、それは更なる闘いの始まりを告げるものでもあるのだ!私はもちろんもう発売中の2巻をただちに注文した!届いた!またなるべく早く読んでここで騒ぐ予定です。あと『Scalped』についてもなるべく早く!

さてこの『Southern Bastards』ですが、現在映画『ノー・カントリー』などのプロデューサー、スコット・ルーディンによりフォックス・ネットワークでのテレビシリーズ化が進行中とのことです。まだ3か月ほど前にアナウンスされたばかりなのでまだしばらく先のことになりそうですが、無事に実現されればどんな風に映像化されるのかとても楽しみです。上手くいけば『ウォーキング・デッド』のように日本でも翻訳が出るかもしれませんね。しかし、思い入れのある作品がTVドラマ化、と聞いて嫌な気持にしかならないようなTV局ばかりの国に暮らしているというのもつくづく不幸なことですね。


Southern Bastards 公式ホームページ


●Southern Bastards


●Scalped


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