2014年11月23日日曜日

Terry Moore's Echo -スヌーピーの血を受け継ぐSFアクション・コミック!-

今回は自身のAbstract Studioから作品を発表し続けているインディペンデント系コミック作家Terry Mooreについて、私が読んでいる『Terry Moore's Echo』を中心に少し書いてみようと思います。

Terry Moore's Echo

民間核研究所HeNRIの科学者Annie Trotterは関わるPhiプロジェクトで開発中の水銀をベースに核を利用したベータスーツを着用し、ジェットパックを背に自らテスト飛行を行っていた。その最中、彼女研究方向で対立する同研究所のFoster教授により、スーツの耐久度テストを兼ね、戦闘機からミサイルを撃ち込まれ殺害される。

その時、Julie Martinは直下に拡がる砂漠で植物の撮影をしていて、頭上での大規模な空中爆発を目撃する。直後、微小な金属の粒が雨の様にJulieの上に降りそそぐ。なぜかその粒は落下しても跳ね返ることなくJulieの身体や衣服、ピックアップトラックに張り付き剥がれなくなる。危険を感じその場から逃げるJulie。帰宅してみるとピックアップの荷台には同金属の大きめの破片が落ちていた。女性の胸部に当てられていたように見えるその破片を何気なく自分の体に当ててみると、それはJulieの胸に張り付き剥がれなくなる。そして、他の部分やピックアップに張り付いていた粒までもそこに集まって行く。

ERに駆けつけ、自分の症状を医師に話すJulie。医師が検査しようとその金属に触れると途端にスパークが走り、医師の手袋を破き、爪を破損させる。悪質なイタズラと誤解され、Julieは病院から追い出されてしまう。

パークレンジャーのDillonは自らの管轄区域で起こった爆発事件ながら軍隊によって封鎖され、調査もできず当惑している。彼は科学者Annieとも恋人関係にあったのだが、事件以来連絡が取れずにいる。次第に彼はHeNRIを中心に何かが起こっているとの疑いを抱き始める。

意に沿わない突然の離婚に悩み、光熱費の支払いにも困っている上に襲い掛かった突然の災難に途方に暮れるJulie。帰宅しようと砂漠を横切っていると運転中のピックアップを軍隊に止められる。HeNRIは事件の映像からそこにJulieがいたことを突き止めその身柄を拘束しようと迫ってきていたのだった。銃を突きつける兵士に、事態が理解できず困惑するJulie。だが、その胸を覆った金属に触れた途端、再び大きなスパークが走り、兵士に向かってゆく。Julieを取り押さえようと攻撃してくる兵士たちも次々と打ち倒 されて行く。たまたまその場を通りかかったDillonに助けられ、Julieはその場から逃走する。

しかし、爆心地の下にいたのはJulieだけではなかった。片手その金属をまとった謎の老人が、それを神の啓示と解釈し、異常な行動をとり始め、徐々にJulieに近付いて来る。一方、HeNRIも優秀な女性エージェントIvyを呼び寄せ、Julieの追跡にかかる…。


というストーリー。インディペンデント系というのから想像されるのとはちょっと違ったエンタテインメント作品で、こんな感じの海外TVドラマあったらボックスセット買っちゃうかも、というぐらい面白いです。画の方はというと、白黒で線は細めで、ベタの影で立体感を出すという手法はあまり使わないというアメコミでは異色の画ではありますが、確かなデッサン力で、特に女性の画が優れていて、細かい動作を柔らかく描くというとても達者な画です。実際、自分でキャラクターの描き方の本を出しているくらいの画力。つまり自分で考えた話を自分で描き、基本は白黒という日本では普通のコミック作家ではあるけど、アメコミ界では異色というのがTerry Mooreなのです。

Terry Mooreは1993年から自らのAbstract Studioから『Strangers in Paradise』をアメコミでは一般的な30ページ弱のIssueという形で出版し始め、1996年にはアイズナー賞のBest Serialized Story部門で受賞しています。その後、マーベルDCなどの大手コミック出版社で短期のシリーズ物を手掛けたりもしていますが、基本的には自らのAbstract Studioから作品を発表し続けていて、2人の女性の友情関係を描いた『Strangers in Paradise』は2007年に100話以上を持って完結し、2008~2011年にはこのSFアクション作品『Terry Moore's Echo』、続いて2011年から現在進行中の異色ホラー作品『Rachel Rising』が出版されています。

主に会話を中心に進められる手法や、絵柄、コマの運びなど、私から見るとTerry Mooreの作品は他のアメコミより結構読みやすい印象があります。これは日本のマンガと描かれ方が近いからではないかと思っていたのですが、やはりそう断言するには少し異質なものもあります。どう説明したものかと考えながら色々調べていると、以前は読み流していたスヌーピーなどが登場するピーナッツ・コミックのチャールズ・M・シュルツから影響を受けた、との記述が目に留まりました。そう考えながら見てみると、なるほど、技法や間の取り方、ユーモアなど、随所にシュルツの影響が見られます。この独特の読みやすさもそこから来ているものだろうと思います。スヌーピーの血を受け継ぐSFアクション?そう聞いてこの作品に興味をもたれる人もいるのではないでしょうか。「異質」とは書きましたが、かなり表現の幅が広い日本のマンガの中にあってもおかしくないような作品です。

実は私はTerry Mooreの作品は後発の『Rachel Rising』の方から、まだ始まって間もないころComixologyで知りました。森の中に埋められていて土を掘り返して現れた主人公Rachelが自分を殺した人を探し始める、というストーリーを何か不思議な静かな感じで描くこの作品にすぐにハマり、2話まで読んでこれは単行本でまとめられたものを読もう、と続きを読まずにいたのですが、しばらくたって調べてみると、やはりそこは個人出版ということで部数も少なくTPB版の入手はかなり困難と判明しました。どうしようかと思っているところでComixologyでこの『Echo』のセールがあり、全作買い込み、まあいつものようにモタモタとやっと半分3巻まで読んだという状況です。このように日本のマンガ読者にも親和性が高いと思われるTerry Mooreの作品なのですが、少し日本からは手に入りにくくなっている状況で、今は彼の作品がすべてそろっているComixologyで読むのが一番簡単なようです。Andoroid、Kindleの事はよくわからないのですが、iOSからは撤退してしまいWebから購入するしかないComixologyですが、私はプリペイド式のVプリカをPaypalアカウントに登録して購入するという方法を使っています。クレジットカードをWebで使うのが不安な人や、私のように放っておくとどのくらいマンガを買ってしまうかわからない幼稚な大人(JACKASS!)の人にとっては比較的安全な方法だと思います。詳しくはこんなボンクラよりももっとまともなところで調べてみてください。リストには比較的手に入りやすそうなこの『Terry Moore's Echo』全30話コンプリート版のみを載せておきました。


Terry Mooreオフィシャルサイト             

●Terry Moore's Echo


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