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2026年7月6日月曜日

James Ellroy / Widespread Panic -ハリウッドで最も悪名高き私立探偵の回想録!-

今回はジェイムズ・エルロイ『Widespread Panic』。2019年出版の新L.A.5部作第2作『This Storm』と2023年出版の第3作『The Enchanters』の間、2021年に出版された、アンダーワールドUSA三部作に登場した実在したL.A.の私立探偵 フレッド・オターシュを主人公とした作品。うわ説明長っ。

フレッド・オターシュ(Fred Otash)、1922-1992年。元ロサンゼルス市警警察官。ハリウッドで最も悪名高い私立探偵。映画『チャイナタウン』のジャック・ニコルソン演じる私立探偵ジェイク・ギテスのモデルとなったことでも知られている。
エルロイの一連のサーガでは、L.A.四部作の最後『White Jazz』に「スターの私立探偵」として登場。Underworld USA三部作では、主に物語の背景的なところで行動する。
エルロイの作品としては、2012年に電子書籍のみで出版された『Shakedown』という中編作品がフレッド・オターシュを主人公としたもので、この作品を元にデヴィッド・フィンチャー監督でHBOでTVシリーズが企画されていたそうなんだが、 これはお蔵になっている。今回の『Widespread Panic』はこの中編小説を元に作られた長編作品ということらしい。『Shakedown』の方はもう販売終了となっているので比較はできないんだが。あーちゃんと目を光らせて買っときゃよかったなあ…。
だがこれは単純に過去の中編を焼き直して長編として出し直したというだけのものではない。実はこの時期にこの作品が出たのには理由がある。これはこのフレッド・オターシュというキャラクターを、現在進行中の新L.A.5部作に取り込んで行くための ワンステップだったのだ。

2023年『The Enchanters』の出版に際し、事前に発表されていた序盤のあらすじは、60年代マリリン・モンローの死についてフレッド・オターシュが捜査するというもので、当初は前作『Widespread Panic』の続編的なものと思われていたようだが、 出版直前にこの作品が『This Storm』に続くシリーズ第3作であり、そこまでは四部作として予定されていたものが五部作となったことが発表された。
まだその『The Enchanters』を読んでいないし、フレッド・オターシュが物語の中でどう動いて行くかはわからないんだが、新L.A.5部作第1作『Perfidia』、第2作『This Storm』を読んだところでは一つその理由が想像できる。
新L.A.五部作の、とりあえず最初の2作の中心となるのは、第二次大戦中から始まるロサンゼルス市警内のダドリー・スミスとウィリアム・パーカーの暗闘だ。おそらくはこの続きでもその二人がストーリーの中の重要な位置を占めてくることに なるのだろう。だが、旧L.A.四部作においてダドリー・スミスが様々な事件の裏側で暗躍する黒幕的存在だったのに対し、その時点で本部長だったパーカーについてはほぼ名前が出てくるだけでその人物についても具体的に書かれることは少ない。 そこで新五部作の中でパーカーの物語を今後新たに動かして行くためのファクターとして取り込まれたキャラクターが、このフレッド・オターシュなのだろう。

この『Widespread Panic』は、オターシュの架空の回想録という形で、1940年代末オターシュが警察を辞め、私立探偵となるところから始まり、その後の1950年代について語られる。その中でパーカーとの関係も多く語られて行く。
エルロイの英語版のWikiを見ると、その著作リストの中で新L.A.五部作はその第3作と、今年6月出版されたばかりの第4作は、括弧付きでFred Otash #2、#3という形で、この『Widespread Panic』の続編でもあるように記述されている。その意味は多分、 この『Widespread Panic』の続きとなるようなオターシュの回想が、エルロイが一連のサーガで使っているスタイルである、交互に入れ替わる複数の人物の視点(新L.A.五部作についてはこれまでのところは四人)の一つとして使われて行くと いうことなのだろうと思う。
いや、まだ読んでないところなんで想像されるとか思われるとかばっかりで申し訳ないんだが、とにかくまだそっちに進んでないこの時点で新L.A.五部作の一つという形になってないこの作品を、その一部として読む意味みたいなもんを 説明しようとしてるところなんで、その辺は勘弁して。

さてこの『Widespread Panic』という作品、もう少し具体的に見て行くと、テイストとしては同様に実在の人物を主人公とした『ハリウッド・ノクターン』(1994)収録の中編「ディック・コンティーノ・ブルース」に近いかと思う。
架空の回想録という形で、一人称で書かれるが、私立探偵というところから想像されるハードボイルドスタイルというようなものではなく、オターシュが深く関わっていた50年代の有名なスキャンダル誌コンフィデンタルのような文体で書かれる。 エルロイ作品の中ではそれをモデルとしたハッシュハッシュの記事が引用として多く挟まれているが、あんな感じ。頭韻を強引に多用し、名詞・動詞を形容詞的に使ったりその逆もありで、まああんまり読みやすくはないよ。実際のところ、 本編5部作の方でもその手の「変形語」みたいなのはざらなんで、まあ本編原書で読んでる人なら大丈夫でしょ。
内容としては、まずプロローグ的な40ページほどの短い第1部「Shakedown」から始まり、ここではオターシュが警察を辞め(クビ?)私立探偵を開業するまでが書かれる。その後は「Pervdog」と「Gonesville」の2部に分かれ、それぞれに1950年代前半、後半が オターシュの一人称により語られる。
「Pervdog」の50年代前半は、ハリウッドとそこに関わる当時の左翼活動が中心となり、50年代後半の「Gonesville」はニコラス・レイ監督の『理由なき反抗』の撮影・製作過程の裏側というようなものが主となり、その中でそれぞれでオターシュと 関わりのある人物の殺害事件が起こる。
あれ?もう説明終わったか?みたいな感じあるんだが、もう少し詳しくやってくよ。とりあえず今回はそれぞれの章についてざっとあらすじを紹介するという形でやってく。もちろん殺人事件の結末までは書かないが。あんまり長くならないといいんだがな…。 とにかくそんな感じで『Widespread Panic』始まります。

Widespread Panic


Shakedown


監房2607号 贖罪刑務所 無謀破壊者収容ブロック 背教者煉獄 2020年7月16日
俺はこの地獄の底で28年暮らしている。そして今、奴らは俺が自分の失敗の連続の人生の回想録地図を作り、そこからの抜け道を書き記すことが出来ると告げた。
俺が軽蔑し、従ってこなかった全ての宗教的なクソが本物として動いてる。善人たちのための天国があり、畜生並みのクズ悪党のための地獄がある。俺みたいな奴のための煉獄がある。-病んで狂ったシステムにつけ込み、大災難を引き起こす腐食性の下種。 俺は自身の罪により20年以上焼かれてきた。俺は地上での人生の破滅的な詳細を追体験してきた。俺の悪賢い看守達は報酬をぶら下げ続ける。:
お前の歪みきった旅を記録しろ。真実を吹き鳴らし、勝ち誇れ。天国まで跳び上がり、その高音を打ち鳴らせ。
ベイビー、告解の時間だぜ。

オターシュが死亡したのは先に書いた通り1992年。以来死後28年に渡って投獄されてきた煉獄の贖罪刑務所の監房で書かれた手記という形で物語は始まる。
前述の通り、この作品は全3章に分かれているが、それぞれの冒頭に、導入部としてこの贖罪刑務所の「現在」のオターシュの前文が挟まれて行く。いや、オカルトや、宗教的な話にはならないから。ただの設定か、エルロイがあの世のオターシュから 何らかの手段で受け取った回想録の前文ということだから。
そしてその前文的な第1章に続き、死の直前である1992年8月14日にビバリーヒルズのNate & Al's Deliでの昔の仲間と馬鹿話をした後心臓発作を起こす様子が挟まれ、続いて本編の過去へ。ちなみにオターシュの命日は、1992年の10月5日、70歳で亡くなっている。

フレッド・オターシュは元海兵隊員で、45年の復員後LAPDに勤め始める。腐敗した警官ながらマイペースで暮らしていたオターシュに、転機が訪れる49年4月2日から物語は始まる。
その日の署内は騒然としていた。強盗事件が発生し、犯人は逮捕されたが、警官が一人撃たれて重体だ。そこでオターシュは強盗課のハリー・フレモントに声を掛けられる。
「役に立て、小僧。ジョージア・ストリートに警官殺しが出た。ホラル署長はお前が対処するのがいいと考えてる。お前にとっちゃ逃せない機会だろう」
ガレージに向かい、言われたパトロールカーに乗りジョージア・ストリートの拘置所へ行く。そして後部座席の新聞の下にあった32口径スナブノーズリボルバーを手に取る。

内勤の警官が配管に手錠で繋がれた男を指さす。左腕には添え木があてられている。
オターシュはその男の手錠を外し、拘置所の外へと連行して行く。ジョージア・ストリートに通行人はいなかった。
オターシュはポケットに入れていた銃を頭の上で撃つ。
慌てて振り返る男。何かを言おうと口が動く。オターシュは自分の拳銃を抜き、男の口を撃つ。そして銃を男の右手に握らせる。
奴は「頼む」と言おうとした。同じ展開で繰り返されるこの夢。細部については向きを変え変更される。「頼む」は常に変わらず留まり続ける。俺は生きている。奴は死んでいる。そいつが悪意ある結末だ。

撃たれた警官は生き延びた。一週間ほどで内勤で勤め始める。フレモント、ホラル署長は、オターシュを褒めたたえた。
Ralph Mitchell Horvath。1918-1949。自動車泥棒/強盗/へなちょこクズ野郎。
Ralphは未亡人と二人の子供を遺した。
オターシュは罪悪感に駆られ、ここから月に一度彼女たちにいくらかの金を匿名のまま届け続けることとなる。

1950年、ウィリアム・パーカーが署長に就任。モラルに厳しいパーカーは、オターシュを呼び出し、お前には常に目を光らせとくからな、と警告する。
そしてオターシュは、ある撮影現場で離婚を承諾しない夫に悩まされていた女優、Joi Lansingを助けたことから知り合い、その離婚に手を貸す。
「ハリウッドはあんたみたいな男を必要としてるわ」Joiとの出会いはオターシュを新たな裏道へと引き込んで行くことになるが、またその一方で、彼女とは多くの愛憎をその後に繰り返して行くことになる。
Joiの伝手により、オターシュはL.A.ランチマーケットの用心棒となり、様々な裏商売にも手を染めて行く。
その中で、オターシュはエリザベス・テイラーといい仲になり、彼女のビヴァリーヒルズホテルのバンガローの屋根の上で、並ぶバンガローに住む映画スターたちと共に、ネバダで行われた核実験を花火気分で見物する。
藤色とピンクの混ざった光に照らされる空。この藤色とピンクのイメージは作中で何度となく繰り返されて行くことになる。

そしてオターシュは、ランチマーケットを徘徊する売れない俳優の卵の青年と知り会う。ジェームズ・ディーン。
ランチマーケットのオターシュのオフィスに入り浸るようになったディーンは、愛読書であるスキャンダル誌を読みながら言う。「ビビった予想屋の戯言だな」
「こんなもんより遥かにえげつないもんを手に入れられるぜ、フレディ。俺ならCockpit Loungeの一晩で三冊分の価値のあるものを提供できる」
窓の外ではニューススタンドに新たな雑誌が補充される。『コンフィデンタル』。
その夜、運命は俺を裏切り始めた。オターシュは回想する。

エリザベス・テイラーからの紹介で離婚専門の弁護士Arthur Crowleyから電話。新たな方面への仕事の展開を話し、電話を切ったところでオフィスのドアが開けられる。
入ってきたのは二人の部下を引き連れた、ウィリアム・パーカー。
年貢の納め時と知り、バッジをパーカーに放り、ガンベルトを外し、椅子に落とす。
「殴れよ、ビル。俺の卑しさの遥か上に鎮座し、ルールをそこここで捻じ曲げ、後生大事に職務を守りやがれ。俺の頭はまな板の上、さあギロチンを落としやがれ」
啖呵を切るオターシュに嘲りの笑みを浮かべ、パーカーは話す。
オターシュが懇意にしていたスチュワーデスのBarbara Jane Bonvillainが麻薬密輸で捕まった。彼女はコミュニストのエージェントでユーゴスラヴィアのアカの親玉チトーの個人大使だった。
そしてパーカーは更に付け加える。「ミスBonvillainは本当は性転換した男だったんだよ。お前は男とファックしたんだ、フレディ。お前はホモ野郎さ。とっとと俺の警察から失せろ」

パーカーの糾弾はオターシュを打ちのめす。"お前は男とファックした"、"お前はホモだ"。
酒を飲み続け、床に倒れ、やってきたカブトムシと延々対話を重ね、やっとで立ち直る。
役所の知り合いに電話し、2000ドルで最速で私立探偵免許を得られるように交渉する。
海兵隊時代の仲間を集め、本格的にArthur Crowleyからの離婚商売を開始し、荒稼ぎする。
その間も、ディーンなどからハリウッドの醜聞は集まり続ける。
そこで、『コンフィデンタル』誌の発行者である、ロバート・ハリソンから協力を求める手紙が届く。

オターシュはハリスに、ハリウッドのあちこちに盗聴器を仕掛ける提案をする。
そうして集めた情報で『コンフィデンタル』とオターシュは急激にのし上がって来る。
だがそれは、様々なところで軋轢も生み出してくる。

オターシュに訴訟を起こそうとしたジョニー・レイを、怒りに任せ殴りつけた夜。深夜のランチマーケットでディーンとオールドクロウを酌み交わしていたオターシュは、ディーンから『エデンの東』の役が決まったと告げられる。
はぐれ者の軍団。奴らはすぐそこにいる。奴らは俺を罵る。俺に呪いをかける。奴らは俺の混沌の中の同志だ。お前は俺たちの同類だと語り掛ける。
「ジミー、お前は自分がなんでイカレてるか知ってるのか?」
「さあな、フレディ。あんたこそどうなんだい?」
俺は言った。「俺にもわからん、だがそいつはしばしば俺をひどくイラつかせるんだ」

Pervdog


1954年2月。再び有名人たちと共にビヴァリーヒルズホテルのバンガローの屋根の上でネバダの核実験を見物することになったオターシュは、その隙を見てジョン・F・ケネディのバンガローを探る。狙いは招待客たちのアドレスブック。
盗み出したそれらを探るうちに、多くのハリウッドの左翼活動家と繋がりがあるConnie Woodardという女性のアドレスブックを見つける。その手の記事も『コンフィデンタル』誌の売り物の一つ。
そしてその中から、ブラックリストには載っていないSteve CochranというB級俳優の名を見つける。
直感からその名を探してみると、ケネディらのアドレスブックにも見つかる。こいつは何者なのか?オターシュは探りを入れることにする。

Steve Cochranの留守を狙い、盗聴器を仕掛けるべくその道の専門家であるBernieと共に家へ忍び込む。壁に飾られたナチスの旗や日章旗。またいかれた誇大妄想が一人。
一方で、ディーンから持ち込まれた仕事、ロック・ハドソンのホモセクシュアル疑惑を抑え込むための偽装結婚の相手探しが始まる。
そして、パーカー直属の強面軍団、LAPDの"ハット班"がオターシュの前に現れる。「署長がお前に会いたいそうだ、フレディ」
パーカーは外の駐車場に駐められた車の中で待っていた。
「お前が職務中に殺した男の未亡人、Joan Hubbard Horvathが、昨夜自宅で殺害された。子供たちは学校の遠足で留守だった。様子からはレイプ強盗殺人に見える。女は首を絞められ、刺されていた」
「現場からお前の指紋が付いた14枚の封筒が発見された。うち二つには250ドルが入っていた」

彼女の爪に残された皮膚と血液型から、オターシュへの容疑は消えた。だが、封筒の指紋についてでっちあげの説明はしない方がいいぞ。
オターシュは彼女の夫を殺した経緯の真相を話し、罪悪感から5年間金を渡し続けていたと告白する。だが彼女とは一度も話した事はない。
パーカーは、オターシュがケネディのバンガローの盗難を警察から盗み出した犯罪者の指紋で偽装していたことも感付いていた。
「捜査に協力しろ。ビヴァリーヒルズ署に逮捕されたくなければな」

殺害されたJoanについて詳しく調べると、結構な高学歴だったことがわかって来る。なぜ彼女はRalph Mitchell Horvathのような安物のチンピラと結婚したのか?
そしてロック・ハドソンの偽嫁探しの候補者として、ディーンがClaire Kleinを紹介して来る。小学校の教師として勤めながら、女優もやっているという女性。
謎のSteve Cochranについての調べも進む。あいつは左に傾いてるって噂だが?
ロック・ハドソンの偽装結婚の仕込み。バーの駐車場でチンピラ集団に絡まれたClaireをハドソンが助ける。待機していた『コンフィデンタル』のカメラマンが仕込みの警察が犯人を連行するまでを撮影する。
Joanの家に忍び込み、家探しをしたオターシュは、寝室の壁に盗聴器が仕掛けられていたのを見つける。

『コンフィデンタル』誌のために、まだ表に出ていないハリウッドの左翼系スキャンダルをあぶり出せないかという目的での謎のB級俳優Steve Cochranの調査は、通話記録から頻繁に連絡を取り合っているConnie Woodardにも向かい始める。
ロック・ハドソンの偽嫁候補Claire Kleinは、自分もConnieに興味を持っていると言う。自分はL.A.にある男を殺すために来た。その男の名前はわからないのだが、おそらくConnieが知っている。
そしてConnie Woodardについて調べ、接近したオターシュは、彼女と恋仲になり関係を持つようになる。そして彼女と繋がりのある左翼活動家の人脈を知る。
その中で、オターシュは殺されたJoan Hubbard Horvathが、実はそういった左翼活動に深く関わっていたことを知るのだが…。

第2部「Pervdog」についてはこの辺で。
物語の軸となる、Joan Hubbard Horvathの殺害に関する調査と、ウィリアム・パーカーとの関係というところを中心に拾ってきた感じで、かなり省略した人間関係なども多いのだが。パーカー直属の"ハット班"の面々については、 L.A.四部作で出てきた名前もあったかな、とか今後の新L.A.五部作で重要になるのもあるかな、と気にはなったのだが。
ロック・ハドソンの偽嫁候補探しは、ここで予定していたClaire Kleinが失敗することとなり、第3部へと引き継がれる。
第2部の最後に、オターシュは"ハット班"に連行され、数々の犯罪行為について取調室で絞られた末、留置場に放り込まれる。
そして現れたパーカーに告げられる。これまでの行為での訴追から逃れたければ、今後は俺の情報屋密告者となり、囮になり、『コンフィデンタル』の廃刊に協力しろ。

Gonesville


第3部の中心となるのは、ニコラス・レイ監督の『理由なき反抗』の撮影・製作現場の状況。
ディーンはレイ監督に深く傾倒し、結果オターシュとは袂を分かつこととなる。レイのメソッド演技法思想により、出演者・撮影クルーはある種のカルト化し、酒場を襲うなどの乱行、犯罪を繰り返すようになって行き、オターシュは親友ディーンが そこに巻き込まれて行くことを危惧する。
一方、ハリウッドに流れる海賊ラジオ放送に、『コンフィデンタル』やオターシュを激しく非難する匿名の女性Miss Blind Itemが登場し、オターシュはその素性を調べて接触して行く。そして数々の犯行により投獄されている Carryl Chessmanに激しく憎悪を抱くその女性Lois Nettletonに惹かれて行く事となる。
オターシュは、レイ監督がディーンがChessmanを演じる次回作も予定していることを知る。
ロック・ハドソンの偽嫁選びには、Claire Kleinの失敗により、もう少し信頼のおける相手が選ばれる。話題性を盛り上げるため、記事のための三角関係を演ずる女性Janey Blaineも用意されるが、その直後、Blaineは路上で陰惨な 殺害遺体として発見される。
Carryl Chessmanを模倣したかのような犯行。オターシュはニコラス・レイ配下の集団、そしてディーンが関与しているのではないかと不安を抱く。

第3部についてはこのくらいで。こちらの軸となるのは『理由なき反抗』だが、それと絡み合うようにCarryl Chessmanに関する動向が描かれている。
Carryl Chessmanは実在した犯罪者で、強盗、誘拐などの罪で1948年に逮捕・投獄され、死刑判決を受けた。この事件は大きな反響を呼び、死刑制度廃止、彼の恩赦を求める運動も起こっていて、作中でもマーロン・ブランドが その先頭に立つエピソードも描かれている。
獄中作家として四冊の著作があり、そのうち1954年に出版された回顧録『Cell 2455, Death Row』は55年に同名でウィリアム・キャンベル主演で映画化されている(日本公開時のタイトルは『死刑囚2455号』)。ニコラス・レイ監督、 ジェームズ・ディーン主演の企画が本当なのかは不明。
ディーンの死についても描かれるが、そこに特別な独自の考察といったようなものは無い。
第3部については、パーカー配下の"ハット班"と行動する場面も多くなっている。

*  *  *

というわけで、まあ予想通り結構長くなったが、とりあえず『Widespread Panic』一通り説明できたんじゃないかと思う。
ここで、2021年の『Widespread Panic』出版時にThe Soluteという多分映画や関連カルチャーなどの情報・評論サイトだと思われるところに掲載された、Grant Nebel氏による 「Freddy Got Fungooed: Widespread Panic by James Ellroy (with John “Son of Griff” Anderson)」という記事を紹介する。
投稿者であるGrant NebelがJohn Andersonというもう一人のライターと、対談形式ではなくリレー方式という形でそれぞれの考えを交互に語った、かなり長文の評論。現在はブラウザでAIがかなりちゃんとした翻訳をやってくれるので、 誰でも簡単に読めると思う。まあそれでもじっくり読めば一時間やそこらはかかるけど。もはやエルロイの翻訳さえも途絶え、自称評論家による「本を読んで、資料を参照し感想を書くだけの簡単なお仕事です」レベルの粗雑な やっつけ感想文ばかり読まされ、もう評論自体にうんざりしているている我々からすれば、これくらいきちんと読んで考えられたまともな評論は、久しぶりに出会えた極上のごちそうぐらいの物である。もうこんなのあるなら自分の拙い感想とかいいや と思ってしまうよ。所詮自分なんか作品紹介までが精々だよな。

他人の功績や努力みたいなもんに便乗横取りするような気分になりそうなんで、特に引用みたいなことをするつもりはないんだが、ひとつこれは自分でたどり着けてなかったところだよなと思ったのが、二人が当たり前のように言ってる 『Blood's a Rover』以後という認識。これはエルロイ読者というところではもう当然の認識だったのだろう。ホント言われてみればぐらいの感覚でやっと気づいたんだが、どうしてもL.A.四部作、アンダーワールドUSA三部作とシリーズごとで 区切って考えてしまいがちになるエルロイ作品なんだが、アンダーワールドUSA三部作の最終作『Blood's a Rover(邦題『アンダーワールドUSA』)』は、その作風として前の二作とは少し異質なものがあり、それが新L.A.五部作 『Perfidia』、『This Storm』へと引き継がれているという印象がある。L.A.四部作の最終作『White Jazz』で用いられた変化が、続くアンダーワールドUSA三部作前半2作へ引き継がれているのと同様のこと。この『Blood's a Rover』以後の 変化というのは、そちらでは道徳観やロマンティシズムという言葉で表現され、なるほどなあと思うんだが、エルロイ読者以外には全く違った方向に誤解されがちな言葉かとも思う。まともな評論の継続みたいなもんがない地域における弊害だよな。 なんかもうちょっとうまく説明できる言い方を今後の課題として考えとくよ。

以上のような『Blood's a Rover』以後という地点でこの『Widespread Panic』が様々な方向から考察されているが、この2021年時点では、少し例外的な作品と位置づけられているように思う。だがその後、前述のようにこのフレッド・オターシュの 回想は、その次の作品『The Enchanters』で、エルロイのメインワークである新L.A.五部作へと合流して行くという新たな動きも起こっている。
だが更に、こちらがモタモタ書いている間に前述のエルロイの英語版のWikiでは、この『Widespread Panic』と『The Enchanters』、更に先月出版されたばかりの新L.A.五部作第4作とされていた新作『Red Sheet』を加えた三作がFred Otash Trilogyとして新L.A.五部作とは別に記述されている?この三作でオターシュの回想が完結するのは分かるが、もう新L.A.五部作とは別になったのか?一体エルロイ作品で何が起きているのか?これについてはきちんと続く作品を読み続けることで探って行きたい。だから読むまで調べないので。

その他ネット、オンラインというあたりで見つけたものを少々捕捉。
エルロイの新作発表に合わせて(便乗?)、エイドリアン・マッキンティが自身のSabstackで『This Storm』出版時、自身がエルロイに行ったインタビューについての記事を書いている (Interviewing The Demon Dog)。エルロイの色々な意見も面白いが、エルロイVSマッキンティというところで見えてくるところもなかなか興味深かったり。 マッキンティサイドの話ではその中で、エルロイが彼のデイヴィッド・ピースについてのレビューを興味深く読んだという話が出てくる。マッキンティはあちこちでピースのRed Riding四部作を高く評価する発言をしている。なんかピースというのは 当然そういうぐらいのポジションだろうと思ってきたんだが、英国作家でもしかするとアメリカではそれほど知られていないぐらいのことがあるのかも、それゆえのマッキンティのピース推しRed Riding推しってところもあるのか?と今更ながら気づいた。
その記事からマッキンティによるGuardianに掲載の『This Storm』のレビューSteven Powellによるエルロイの伝記『Love Me Fierce In Danger: The Life of James Ellroy』のレビュー などへのリンクも張られている。あー、エルロイの伝記も読まなくちゃ。
そんなところをウロウロしているうちにGuardianに、ホント最新、先月最新作『Red Sheet』出版直前のエルロイへのインタビューを見つけた! (James Ellroy: ‘It’s satanic to me, the dependency people have on computers') 記事では結構変わったエルロイの執筆スタイルや連絡方法、監督 カーティス・ハンソンの死去までは気を遣って黙っていたが、映画『L.A.コンフィデンシャル』にはかなり不満があることなど、興味深いことが多数発言されている。フレッド・オターシュについては、死の前年に一度会ったことがあるが、 信用できない詐欺師の類いという印象を受け、『American Tabloid』では一旦別の名前で書いていたが、死去したので本名に直したということ。
なんかね、探せば興味深いことが色々見つかる作家もいるんだから、そういうものもちゃんと調べて紹介して行かなければ、と改めて思ったよ。

ジェイムズ・エルロイは、現代のミステリなんて範疇を越えて、アメリカ文学ぐらいの範囲でも絶対に読まれなければならない最重要作家の一人である。なんて至極当然のことをわざわざ声高に言うことさえ虚しい。もう日本の翻訳ミステリなんてところが いかに劣化・退化・幼稚化・老衰化してエルロイすら出版できなくなったかなんてくどくど言うのも時間の無駄としか思えない。読書のプロ・ミス研人脈・本格ミステリカルトの三悪により食いつぶされ、出版不況の中壊滅状態の翻訳ミステリ業界が 完全に消滅し、「本格ミステリ」などという思い込みとそんな妄想概念はそもそも存在すらしない海外ミステリのつじつまを合わせるためにでっちあげられた「日本の見方」なる腐食が完全に浄化され、世界の現代ミステリ史に対する視点が 日本の中で再構築されて、エルロイの重要性を再認識するなんてことが実際に起こったとしても、50年後かい?百年後かい?
今や新しい読者がエルロイに辿り着く道筋すらほぼ失われた状況なんだろ。映画『L.A.コンフィデンシャル』を観た中の1パーセントぐらいが原作を手に取り、大半が「思ってたのと違う―、読みにくーい」とぶん投げる中、最後まで読み正常に 感銘を受けた数人か?どんな形にせよエルロイに出会い、その凄さを理解した人は絶対に読み続けろ。もうじき80歳になるエルロイが、あとどれくらいの作品を書き続けられるのかはわからない。だが、このあまりにも偉大な アメリカ文学の狂犬、悪魔の犬が作り出した唯一無二の作品群は、何が何でもその最後まで読み続けられなければならんのだ。

■James Ellroy著作リスト


(2026年7月時点での英語版Wikipedia掲載の作品リストを基に作成)

●Lloyd Hopkins三部作

  1. Blood on the Moon (1984)
  2. Because the Night (1984)
  3. Suicide Hill (1986)

●L.A.四部作

  1. The Black Dahlia (1987)
  2. The Big Nowhere (1988)
  3. L.A. Confidential (1990)
  4. White Jazz (1992)

●アンダーワールドUSA三部作

  1. American Tabloid (1995)
  2. The Cold Six Thousand (2001)
  3. Blood's a Rover (2009)

●新L.A.五部作

  1. Perfidia (2014)
  2. This Storm (2019)

●Fred Otash三部作

  1. Widespread Panic (2021)
  2. The Enchanters (2023)
  3. Red Sheet (2026)

●その他の長編

  • Brown's Requiem (1981)
  • Clandestine (1982)
  • Killer on the Road (1986)

●短篇集・エッセイ

  • Hollywood Nocturnes (1994)
  • Crime Wave (1999)
  • Destination: Morgue! (2004)
  • Shakedown (2012)
  • LAPD '53 (2015)

●自叙伝

  • My Dark Places (1996)
  • The Hilliker Curse: My Pursuit of Women (2010)


いやホントに今すぐにでも次を読まなければぐらいの気分になってるのだが、あーあれの続きも読まなければ、これ一体何なんだろうみたいなのを次から次へと押し込んでるうちに時間が経ってしまう。本当なら最新作が出たら早急に読んで 次を待つぐらいの態勢にしたいんだが…。まあ次にやるのもその次にやるのも最後には次のを一刻も早く読まなければ、ということになるんだろうしな。イージー・ローリンズの続きも予定してるんだが、ホントに年内に始められんだろうか?
前に『This Storm』やった時は、まだ日本の翻訳ミステリとかどうにかしてくれ、みたいな気分はあったんだが、もはやそんな気分すらなくなったな。なんかさあ、そもそも「本格ミステリ」なんて思想自体が幼稚なもんで、そういうの好きな奴らに勝手にやらせときゃいいだろ、ぐらいがまともな大人の対処だったんだろうが、放置されてる間に調子乗って、もうどうにもなんないところまで来ちまって、その清算のためにオレ程度のガキっぽい大人が文句を喚かされてると思うとホント不快でうんざりするんだけど。そもそももう今の時代「本格ミステリ」なんて誤解を招く言葉を使いたかったら、
(※本書で使用している「本格ミステリ」という表現は、本格的なミステリを指すものではなく、古典的なトリックなどを重視した作品を示す、日本国内のみで使用されているミステリ用語です。)
ぐらいの但し書きが必要だろうが。アホらしい。なんだか次の『The Enchanters』読もうと思う頃には、日本にいくらかでも残ってるエルロイが理解できる人に続きを読むよう促すために、なんて気分すらなくなってないといいけど。 まあ別にどうなっても自分は必ず次も読むし、誰も読まなくっても多分書くけどさ。


●関連記事


■James Ellroy
●Fred Otash三部作

●アンダーワールドUSA三部作

●新L.A.五部作

●Love Me Fierce In Danger: The Life of James Ellroy / Steven Powell

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2026年6月1日月曜日

Gabriel Valjan / Dirty Old Town -1970年代を舞台としたクラシック風私立探偵シリーズ!-

今回はGabriel Valjanの『Dirty Old Town』。2020年にLevel Best Booksから出版された私立探偵Shane Clearyシリーズの第1作。こちらはこの作品が2021年のアンソニー賞オリジナルペーパーバック部門にノミネートされた他、シリーズ第4作『Liar's Dice』が、 2024年のシェイマス賞オリジナルペーパーバック部門を受賞している。

ということで、前回からこっちも本格的にやって行くぞ!と意気込んだPI小説の第2弾なんだが、なんか早くも「例外的」というような作品にぶち当たってしまった…。
一応、現代のPI小説というジャンルについて、おそらくはブロック/マット・スカダーを起点とするような、警察なり何なりを辞める理由となった過去の出来事事件が重くのしかかる主人公による作品群の流れ、という仮説に基づいて始めたんだが、 第2回にしてそれに相当しない例外的作品…。まあそもそもが自分が読む作品についてあまり事前情報を入れたくないという考えで、適当にひっつかんで読み始めるようなことにも原因があるんだが。なんか本当にそういう流れがあるんだよ、とここで 言い訳始めても時間の無駄にしかならんし、結局どんどん紹介して行くことでわかってもらうしかないので、まあとにかくこの『Dirty Old Town』、どういうところが例外的なのかも含めてやって行きます。

私立探偵Shane Clearyシリーズは、1970年代のボストンを舞台としたシリーズ。この第1作『Dirty Old Town』は1975年。
作者Gabriel Valjanについてはのちほど少し詳しく書くが、歴史に強い関心を持つ作家で、他にも歴史ミステリといったカテゴリの作品を多く著している。その作者がそういった歴史的視点を持ちながら、初の私立探偵、ハードボイルド作品として書いたのが この『Dirty Old Town』である。
1970年代というと、一般的なイメージとしてヒッピーカルチャーみたいなもんが浮かぶかもしれないが、作者の意図はそういった風俗的な方向ではなく、あくまでも1970年代のボストンを描くというところにある。主人公が自身の子供時代を思い浮かべるような、 そこから更に遡るノスタルジックなところもあったり。
その時代を作者が選んだ意図というものまではきちんと調べてないんだが、読んだ感じとして、作者Gabriel Valjanが思う古き良きボストンみたいなものが保存されていたのがその時代で、ここからボストンはその姿を変えて行くという時期なのかもしれないと いう感じがした。作者の考える古き良きDirty Old Townボストンを舞台とした私立探偵作品というのが、このShane Clearyシリーズなのだと思う。
この作品、ボストンが舞台ということでレビューの多くにロバート・B・パーカー/スペンサーの名前が見られる。スペンサーオマージュ的なのかな、と思って読んでいたのだが、ボストンというところ以外はあまり共通点は見られなかったと思う。スペンサーと言えば 延々料理の話をするとか、筋トレジョギングでしょう?どちらかと言えば1950年代ぐらいまでのところのクラシックを目指しているという感じだと思ったけど。
ただ、ミステリファン向けのサービス的な感じで、スペンサーの名前が一度だけ出てくるところが中盤ぐらいにある。主人公Shane Clearyがやや無茶な行動をして、お前スペンサーかよと言われ、俺はマーロウのつもりだとか答えるところ。でも1975年というと、 スペンサーも第3作ぐらいのところで、地元ボストンでもミステリマニア以外が読むほどのベストセラーにはまだなってなかったんじゃないかなあ、とか思うやや強引かもというところだったけど。
主人公Shane Clearyは元警察官だが、ある事件で自身の正義に基づき警察に不利な証言をしたことがきっかけとなり、警察を辞めて私立探偵になった。そのため地元の警察全体から深い恨みを買っていて、何か理由があればそれにこじつけて殺されかねないという不穏な立場にある。
独身一人暮らしだが、猫を飼っていて彼の事務所兼自宅を好き勝手にうろつき回っている。猫を飼っている探偵としては、最近チリのRamón Díaz Eterovic/Herediaを紹介したが、同様に話しかけたりすることも多いんだが、Herediaとは違って自分で返答も捏造して会話まではしていない。
とりあえず事前情報としてはこんなところか。では私立探偵Shane Cleary第1作『Dirty Old Town』です。

Dirty Old Town


電話が鳴った。最初にそれに気付いたのは私ではなく、横に寝ていて私の肋を蹴ったDelilahだった。彼女の行動の利点と言えば、電話が何時にかかってこようとそれは仕事を意味し、そして私の猫は財政状況に関しては私より優れた考えを持っているということだ。 アパートの家賃を滞納しすぎており、我々はサウスエンドの大家を避けるために、ボストンのダウンタウンにある事務所で暮らしていた。電話は鳴り響いた。
繰り返し、鳴り続けた。
よろめきながら暗闇の中をデスクに辿り着き、受話器を上げた。わざと何も言わなかった。私の睡眠を妨げた電話の相手から話を始めさせるつもりだった。

という感じで、事務所はあるが仕事がない私立探偵の一つの定型パターンという感じで始まる。いや、出だしが定型パターンというのはこれから読む話の主人公が何者かまず把握できるんでありだと思うよ。この作品も私立探偵ものの定型という感じで、 全面的に主人公Shane Clearyの一人称で書かれているが、あらすじを説明する便宜上、以降は三人称で。

「Mr. Shane Clearyかな?」嗄れ声が問いかける。
「多分ね」
「Shane、古くからの友人よ。BBだ。Brayton Braddock。俺を憶えてるだろう?」
「夜中の2時だぞ、Bray。何の用だ?」
BBというのは、Braytonが子供時代に、それがクールだと思って自分でつけた呼び名だ。そんなわけない。だが彼はやめなかった。金が妄想を産み出す。オールドマネーがそれを保証する。

「お前の助けが必要なんだ」Braytonが言う。
正直言って仕事を受けたい相手ではないが、今は金欠で背に腹は代えられない。
「この件については直接会って話したい」「いつ、どこでだ?」
「ビーコンヒル。俺の運転手が向かってる」そう告げ、電話は切れる。
着替えて猫の食事を用意し、窓から外を見下ろしたところで、前の通りにコンチネンタルが滑り込んでくる。そしてShaneはそれに乗り、Brayton Braddockの邸宅のあるビーコンヒルへと向かう。
この辺の車の窓から見たボストンというのが、この作者の書きたいところではあるんだろうが、すまんがそこは省略。

そしてBraytonの邸宅で彼と会う。
子供時代、地元の有力者の息子であるBraytonとは、友人と言えるような関係だったのだろう。だがそれは、Shaneの父親が亡くなり、そして追うように母親も亡くなり、彼が完全に孤児となってしまったところで途切れる。実際に彼と会うのも十年以上ぶり というところだった。
「単純に言えばだ、俺の会社の何者かが俺を脅迫している」Braytonは言う。
「で、どの会社の話だ?」
それは大した問題じゃないと曖昧に答えるBrayton。
「もしその犯人が誰だかわかっていて、それを何とかしたというなら、俺はお前の運転手に礼儀作法なしでやらせるのを薦めるがね。それとも100パーセントの確信はないのか?」
自分には確信がある、と言うBrayton。なら警察に行けばいいと言うShane。
「お前にやってもらいたいんだ」Braytonは言う。
「俺は腕力商売をしてるんじゃないんだ。そこははっきりしとこう。お前の立場にいる人間なら、汚い仕事を請け負ってくれる友人もいるんじゃないのか?」
帰ろうとするShaneをBraytonが呼び止める。「すまなかった。こいつはクリーンな仕事なんだ」

Braytonのような人間からは滅多に出ない謝罪の言葉を聞き、戻るShane。
そこにBraytonの妻、Catが部屋に入って来る。
「Catは憶えてるよな?」Braytonは言う。
ShaneとBrayton、そしてCatは子供時代からの知り合いだった。一時期は深い関係だったShaneとCat。だが、Shaneが孤児となり、行き場を無くし軍隊に志願し、ベトナムへ行っている間に、CatはBraytonの妻となっていた。
これはビジネスの話だと、Catを退がらせようとするBraytonだったが、Catはそこに留まる。

懸案中の取引について脅迫されていると言うBrayton。
それは合法的な土地取引についてだが、現段階でその情報が暴露されると、世論をある方向に大きく動かしてしまうことになる、それが完全に公明正大なものでもだ、と話すBrayton。
「脅迫者は何らかの要求をして来たのか?大金であるとか?」Shaneは尋ねる。
「まだ何もない」答えたBrytonは、執事を呼び二つの封筒を受け取る。

ひとつに入っていたのは、分厚いゼロックスコピーの束。
それは取引について詳細に記録された台帳のコピーで、専門家が見れば何が行われているのかは明白なものだということだ。
「それで、俺は何をすればいいんだ?」Shaneは問う。
「脅迫者の正体を明らかにしてほしい」
「で、それが明らかになったらどうすればいいんだ?」
「何もない。後はこっちでやる」
「そう聞かされると、俺としては心配になるがね。歴史的に言われてるところの、あんたの一族が小作人やらをどう扱ってきたかを見るとな」
Brytonは何も答えず、沈黙する。

「それで、もう一つの封筒は何だ?」
「こいつに入ってるのは、手掛かりの名前と住所、そして気前のいい前金。現金だ」
そう言って、Braytonはその封筒を放ってよこした。

翌日、Braytonからの仕事に取り掛かる前に、Shaneは父親のように思っている古くからの友人、"教授"ことDelano Lindseyに会うため、彼の行きつけのダイナーを訪れる。
Lindseyに渡された台帳のゼロックスコピーを見せて意見を聞くが、特に問題である部分は見つからないという答え。
古くからShaneを知るLindseyは、彼とBraytonの妻Catとの関係も知っており、深入りしないよう警告する。
その後、路上を歩いていたShaneはかつての同僚であるBillに声を掛けられる。
Billはかつては同じ部隊で従軍した仲の、現在のボストンの警察の中では唯一と言えるような友人である。また、Billはホモセクシュアルゆえに警察組織内では浮いた存在であるというのも、その理由の一つかもしれない。
「お前に仕事だ。ベイヴィレッジでの失踪した可能性のある人物の捜索だ」Billは言う。
行方不明となっているのは、Billの友人であるRoger Sherman。スポーツ関係のファンイベントを企画していたらしい。
手掛かりとなりそうな人物の名を伝え、簡略に5W、Who、What、When、Where、Whyを裏に記した自分の名刺を渡し、Billはパトロールへと戻って行く。

こうしてShaneは、Braytonからの脅迫事件の捜査と、Billからの失踪人捜索の二つの事件を並行して取り組んで行く。
それはShaneをある殺人事件へと巻き込んで行き、敵だらけの警察に囲まれたボストンで、危地へと追い込んで行くこととなる…。

*  *  *

歴史的な方向に関心の強い作者により描かれる1970年代のボストン。なのだが、まああらすじとして端折らなきゃならんというところと、そこについては知識が皆無ということもあり全く紹介の方はできなかったんだが…。
例えばこれが東京とかだったら、現在の感じもある程度把握できて過去の資料なんかも手に入りやすいと思うんで、もっと違った感じになったかもというところなんだが。多分だけど、現在や昔のボストンについて知識があれば、 そういう感じで読める所も多いのかと思う作品。
ただ、この作者の関心は多分地図的だったり建物的だったりという方向で、最初にも書いた通り風俗的という方向のものはあんまり見られない。ヒッピーみたいなものも出てこないし、日本で言えばなんか毎度お馴染みもうその話いいよの、 団塊世代の子供のころ給食に出た脱脂粉乳がまずかったみたいな話で、あるあるパターン的な共感を呼ぼうとしたりはしない。なんか自分の昔の仕事の知り合いだった地図マニアの人思い出したり。へとへとに疲れているときに、喫茶店でこの辺の道はほとんど農道だったから変な風に斜めに交差してるのが多いんだとかいうのを延々1時間ぐらい話されて、興味深くはあるんだが結構閉口したのを思い出したよ。作者Gabriel Valjanというのもそんな人かも。
主人公Shane Clearyが基本的には車の運転をせず、徒歩による移動が多いのも、作者がそういう形で過去のボストンを見せたいという意図のものかも。
作中に出てくるゼロックスコピーも、当時はそれほど多かったものではなく、そのコピーがどこでとられたかみたいなことも鍵になって来る。
かつての警察内の友人Billはホモセクシュアルであるという設定で、70年代のゲイカルチャーと言った方向も描かれる。
その他、ウィンズロウのDanny Ryanトリロジーにも出てきたような、ボストンにおけるアイルランド系とイタリア系のギャングの対立の70年代の状況というところも少し背景ぐらいのところで描かれる。

それ以前は主に歴史ミステリーといった方向の作品を書いて来た作者Gabriel Valjanは、その方向から自身の地元であるボストンの過去を描くという方向でハードボイルドというスタイルを選択したのだろう。
歴史ものが好きな作者らしく、お手本としたのは主に50年代までのクラシック作品という感じ。
途中で出て来た主人公の友人"教授"ことDelano Lindseyは、クラシック作品に多く登場する主人公と話して事件を考察するという役割で配置されたキャラクターなのだろう。40~50年代の私立探偵クラシック作品には、多分当時隆盛だったラジオドラマと いった方向の影響もあると思うんだが、例えば女性記者だったり友人の刑事だったりというキャラクターが、主人公と会話して事件についての考察を繰り返すといったミステリ的とも言える手法がよく用いられる。
この作品の中には本来の事件とは関係なく、Billとの会話で最初にある殺人事件について語られ、しばらくたった後に謎解き的形でそのトリックと解答が語られる「3分ミステリ」?みたいな趣向もある。実際に見たことはないんだが、 クラシック作品では使われたおまけ趣向なのかも。

作者の他の作品を読んでいないので、はっきりしたことは言えないのだけど、クラシックなハードボイルド作品をよく研究したようで、ハードボイルド的というような一人称記述はよく書けていると思った。だが作品のテーマ上、過去の建物などの描写の中で、 その一人称記述ゆえに少し分かりにくい部分もあったり。つまり主人公はその時代にいて現在あるものとして語っているのだが、そういう過去の状態について全く不案内な自分のような目で見ると、時に主人公の行動を見失いかけるようなところが あったり。作者のそういったものへのこだわりゆえというところなのかもしれないけど。
また、お手本としてクラシック作品のみではなく、過去のノワール映画や、ポランスキー『チャイナタウン』あたりをイメージしているのではないかと思われるところもあり、時にそちらのイメージが先行し、内容が追いついていないところも見られたり。
中盤頃にある事情でShaneがBraytonと話すために彼の屋敷へと向かうのだが、そこではパーティーが行われており、という場面がある。
この手のパーティー場面というのは、古くはスピレインやマクドナルド、最近のものではリー・バークが農業祭みたいな形だったりで、ハードボイルド作品にも多く登場するもの。大抵はストーリーの中で出てくる様々なキャラクターが参加し、 それぞれの関係や、隠された思惑などが垣間見えるというものである。
だが、この作品のそのパーティー場面では、ストーリーに関わるキャラクターがBraytonとCatのみで、かなり中途半端な感じになっている。おそらくは映画などのイメージから、こいつは金持ちという印象を強くするためにここに入れることを 思いついたのだろうが、これ電話で言えば済んだんじゃね、というような感じになってたり。
その他、一方では冗長だったり、説明不足だったりとバランスが悪いところもあったり、Billというキャラクターがあまりうまく使えていなかったりと、挙げれば色々な欠点は見えてくるんだが、まあそこは第1作ゆえの甘さというところで。 とりあえずは第4作『Liar's Dice』がシェイマスで賞もとっていることだし、ここから順調に成長して行くんじゃないだろうかな。

クラシックタイプの探偵というところでは、以前から書いているようにロングスパンで見れば前回のSteve Goble/Ed Runyonや、Matt Coyle/Rick CahillといったところがPI小説ジャンルの主だった流れであり、そこから見るとこの時代においては少し異色 というところに分類されるシリーズだろう。
PI小説の起点を80年代ぐらいと見ると、その中でもいくつか散発的にといった感じで、例えばマーク・ショア/レッド・ダイアモンドみたいなパロディ以外にもそのタイプの探偵は登場している。80年代という時代にハメット型の探偵を創造した Jack Lynch/Peter Bragg。ロバート・J・ランディージのボクサー探偵Miles Jacoby。1980年代後半にマイク・ハマーを一般的イメージとはまた違うそのスタイルという部分で再創造した探偵Saxonを登場させたレス・ロバーツについては、 なんとかもっとほかの作品も読んで行かなければというところなんだが。更にこの流れであいつもそうだったなと探しているうちにDown & Out Booksの復活を知ったJ. L. AbramoのJake Diamondなどなど。
忘れてるのもありそうだし、探せばこれからも出て来るものだろう。だが、現在までのところ、いずれも作家自身の好みというような方向でクラシックと直接つながるという形で点在しているだけで、一つの流れを作るというものにはなっておらず、やっぱりPI小説ジャンルの主流というところは前述のようなものになっている。
だがそこで、このわが街ボストンの過去を歴史的な視点で描くというGabriel Valjan/Shane Cleary。このスタイルにはクラシックな私立探偵という方向がうまく嵌まるのかも。自分の愛着のある街をこういう形で書くというのは、一つ魅力的なアイデアで、 これをスタイルとして使いたいというような作家も出てくるかもね。ただしValjan氏のようながっちりした歴史への取り組みや思い入れが無いと、結局脱脂粉乳まずかったあるあるみたいなもんばかり出て来るものになってしまうかもしれんけど。
そんな感じで、このスタイルともども、一つ注目しておいた方がいいのではないかとも思うGabriel Valjan/Shane Clearyシリーズ第1作、『Dirty Old Town』でした。

*  *  *

作者Gabriel Valjanについては、生年なども公開されておらず個人的な情報についてはあまりよくわからない、2012年から結構な著作がある割にはそこそこ若く、まあ40代ぐらいだろうけど、見えるが。ボストン在住で、Munchkinという名の猫を飼ってるぐらいが 個人情報。Historical Novel Society、ITW、MWA、Sisters in Crimeなどの会員。
2012年、デビュー作となる『Roma, Underground』に続き、Romaシリーズというのが全5作出ているんだが、現在は絶版となり本人のホームページにも載っていないので、詳細は不明。多分ローマをテーマとした歴史ミステリーというところなんだと思う。
続いて2017年から始まっているのがThe Company Filesシリーズ。こちらは第2次大戦後のヨーロッパなどを舞台としたエスピオナージュシリーズらしい。こちらはアガサ賞にも複数ノミネートされている。現在までのところ4作が出ている。
そして2020年からこのShane Clearyシリーズが始まり、現在第5作まで。The Company FilesシリーズとShane Clearyシリーズを並行してやって行くというのが現在の方向らしい。
その他に、2025年にEchoes of Italyシリーズというのが一気に5作出版されているんだが、どうもこちらは過去の作品を個人出版電子書籍という形でまとめて出したものらしい。Amazonで見ると第5作になっている『Five Before Rome』は、他のところで 見たら2021年にRomaシリーズの第6作になっていたり。
その他、前回最後の方で触れた元Down & Outで出ていたGrifter's Songシリーズも1作書いているのに今気付いたり。こういう方の横のつながりもある人だったんだね。

版元であるLevel Best Booksについても少し。2003年設立のミステリー専門の独立系出版社。なんかもうややこしいんだが、結局今のアメリカではNYのBIG5だか4だかに属してない出版社は大小関わらず独立系インディペンデントってことになるんだろう。 本社はワシントンDCで、ボストンとロンドンにもオフィスがあるそうなんで、そこそこ大きな会社だろう。様々なミステリ関連賞の受賞作も多く出版しており、わざわざ調べる気も起らんけど、日本で翻訳されてるものも出してるんじゃない?
ホームページの"Our Authors"ってところを見ると、それこそ山のような作家が並んでいて、全てをチェックする気も起らないが、まあアンソロジーに1作短編を出してるような人も入ってるんだけどね。"Our Books"というところを見ると、 "Noir/Hardboiled"ぐらいのジャンルに絞れて、見た感じきちんと分類されてるんで、PI小説という方向ではこの辺から拾ってくることもできるかもと思う。こういうところはあれもこれも入れちゃえみたいなあんまりあてにならないところの方が 多いんだが、ここに関しては結構拾いものかも。まあこのLevel Bestについては、少し前に最後ぐらいに言及したEric BeetnerのCarter McCoy三部作も出てるんで。Beetnerさん今度こそは絶対にやるよ!
この手のミステリ系出版社というのは、まあほとんど自分では全体把握できないようなものも多いんで、あんまりちゃんと見てこなかったけど、PI小説というジャンルになると、前回のSteve Gobleのように「ミステリ」ってところとも近い作家も多そうなので、 とりあえずホントにざっとぐらいだけど一応紹介的なことはしておくべきかと思う。よくわかんないからまあいいやでスルーしてきたの結構あると思う。Oceanviewとかについてもいずれちゃんとやっとかないとね。

Level Best Books

■Gabriel Valjan著作リスト
●Romaシリーズ

  1. Roma, Underground (2012)
  2. Wasp's Nest (2012)
  3. Threading the Needle (2013)
  4. Turning to Stone (2015)
  5. Corporate Citizen (2016)
  6. Five Before Rome (2021)

●Company Filesシリーズ

  1. The Good Man (2017)
  2. The Naming Game (2019)
  3. The Devil's Music (2021)
  4. Eyes to Deceit (2025)

●Shane Clearyシリーズ

  1. Dirty Old Town (2020)
  2. Symphony Road (2021)
  3. Hush Hush (2022)
  4. Liar's Dice (2023)
  5. The Big Lie (2024)

●Echoes of Italyシリーズ

  1. Man of Honor (2025)
  2. The Fallen One (2025)
  3. Two Warriors (2025)
  4. Dance of the Spider (2025)
  5. Five Before Rome (2021)


【訃報】Sheldon Lee Compton死去

ケンタッキー州在住の、小説家、詩人として知られるSheldon Lee Compton氏が、2026年4月13日に亡くなりました。
地元ケンタッキー、パイクビルや自らの生い立ちなどをテーマとした数多くの短編小説などの他、詩集、長編フィクション、Breece D'J Pancakeに関するノンフィクションなどを著し、ドナルド・レイ・ポロック、クリス・オフット、David Joyらに 高く評価されている。
Anthony Neil Smith経由で知り、こちらでも何度か名前だけは出してきていて、短編を少し読みこれは是非ともちゃんと読まなければならない素晴らしい作家だと思いつつ、結局届かないままにこのような形となってしまった。
遺作となった最新作『The Old Invisible』が本年5月12日にCowboy Jamboree Pressから出版されている。ここから読むのが正しいのか、少し悩むところではあるのだけど、なるべく早く読んでこちらで紹介する予定です。
Sheldon Lee Compton氏のご冥福をお祈りします。

■Sheldon Lee Compton著作リスト

  • The Same Terrible Storm (2012) 短篇集
  • Where Alligators Sleep (2014) 短篇集
  • Brown Bottle (2016) 長編小説
  • Dysphoria (2016) 長編小説
  • Absolute Invention (2019) 短篇集
  • Sway (2020) 短篇集
  • The Collected Stories (2021) 短篇集 (既発の四作の短篇集収録作品を一巻にまとめたもの)
  • Runaways (2021) 詩集
  • The Orchard Is Full of Sound (2022) ノンフィクション
  • Alice (2023) 長編小説
  • Oblivion Angels (2025) 長編小説
  • The Old Invisible (2026) 長編小説


まったくなんというか…。ハードボイルドってところを中心に、あまり目が届いてない「ミステリ」寄りというあたりのPI小説というところも探って行かねば、と自分的にはやや強引ぐらいに2作ねじ込んでやって行けば、その反対側、カントリーノワールから文学といった境界に位置するSheldon Lee Comptonの訃報…。なんか一区切りついたらそっちの方少しまとめて読めれば、と思っていたところといえば聞こえがいいが、実際にはこれについては書けなくても仕方ないかというのも挟みつつあれこれ読んで、それでも既にこれは書かなければというのが4作品になってる現状だったり。どうやってもなかなか進まず、コミックの方も牛歩かカタツムリか…。何とかもがきつつ、これは自分がやんなきゃ誰も伝えないという重要作・魅力ある作品を一つでも多く紹介して行かなければ。
PI小説ってところに話を戻すと、第2回ぐらいにして早くも自分が見えてるジャンルの傾向というところからの例外作品みたいなのが出て来たわけだが、まあこんなもんでしょ。生きてる作者が常に自分で新しいものを作り出したいと闘っているようなところで、読んでるだけの奴が安直にこれはこういうものだと決めつけで、傾向や定義なんてものを押し付けられるわけがないんだよ。こんなもんができることといえば、とにかく山のように数多の作品を読み、それこそ例外的作品の傾向ぐらいまで見出すつもりで重ね続け、そこからこうかもしれないぐらいのところを見出して行くのが精々なんだろ。まだたったの2作だ。ホント色々あるんだけど、なるべく早い機会に第3回、4回をやってくつもりです。あー、そろそろMatt Coyleの次のやつも読まなきゃ。


●関連記事:PI小説

Matt Coyle / Rick Cahillシリーズ


■Gabriel Valjan
●Shane Clearyシリーズ

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