Translate

ラベル 2000AD の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 2000AD の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年4月30日木曜日

巨匠パット・ミルズ未来史シリーズ 第2回 -ABC Warriors序章-

第1回やったのがずいぶん前で、久し振りどころかまだやんのか?感の巨匠パット・ミルズ未来史シリーズなんですが、まだやります!そしてその第2回はABC Warriors序章!
当初の構想では、あまり古いのばかり続けるのも何なんで、旧作新作を取り混ぜてという形を考えていて、第1回に2000AD創刊号から始まった『Invasion!』をやったんで、次は21世紀になってから出た、物語時系列的にも先のABC Warriorsの『The Volgan War』のつもりだったのですが、やっぱりまずABC Warriorsというのがなんなのかからやらなければならんと考え、予定を変更しました。えーっと、かなり前に…。で、やっと取り掛かることができたというわけです。まことにスマン。
で、具体的には、画像の過去のABC Warriors作品をコレクションした『ABC Warriors: The Mek Files』シリーズ第1巻の3分の1ぐらいまでに描かれている、ABC Warriors結成の経緯と共に、部隊メンバーの各キャラクターを紹介し、巨匠パット・ミルズ未来史の中心をなすABC Warriorsの物語をこれから語って行く序章としようというのが今回の内容であります。物語は第1回『Invasion!』でVolgan戦争の始まった1999年からほぼ1世紀後の21世紀末より始まります。さあ、これがABC Warriorsだ!

【前史 -Ro-Busters-】

何度かちょこまか書いているので、知ってる人もいるかもしれないが、実はこの『ABC Warriors』には、前史ともいうべき元になった作品があります。それが『Ro-Busters』。2000ADの姉妹誌として1978年に創刊されたが短命に終わったStarlordに掲載されていた作品です。世界一の富豪で人間の器官10%を残しロボットの身体になっているMr.10%ことHoward Quartzの運営するロボットレスキュー部隊Ro-Bustersにおける、Volgan戦争から帰還した元軍事用ロボットHammersteinと、毒舌ロボットRo-Jawsのコンビの活躍を描いたストーリー。実はこれは私もまだ未読で、2016年に『ABC Warriors』のシリーズとして描かれた『Return to Ro-busters』あたりで大まかなところを知ったぐらいなんすが、その辺の浅い知識で書き始めてもそこそこ長くなっちまうんで、ここはとりあえずそういうのがあったということだけ知っといてください。
前述のStarlordが短命に終わった後は、2000ADに掲載の場を移し、しばらくいくつかのシリーズが書かれた後、多分さらにパワーアップしたロボット・アクション物を造ろうという意図のもとに開始されたのだろうと思われるのが、『ABC Warriors』というわけなのです。多分。おそらくはその辺の事情について巨匠が語っているものもあると思うんだが、ちょっとまだ見つけていないんで曖昧な言い方になっちまってすまんが…。ちなみに描かれた順番は先ですが、この『Ro-Busters』はこれから書いて行く『ABC Warriors』の序盤の話よりは時系列的に後の物語となるので、とりあえずは後回しにしていずれまたでも問題ありません。…と思います、多分…。
そのような経緯を経て、『ABC Warriors』は1979年の2000AD Prog.119より始まります。

【ABC Warriors】

ではまずはABC Warriorsのメンバー紹介から始めましょう。画像はちょっと加工する必要もあるので、リンクではなく今回の『ABC Warriors: The Mek Files 01』からの無断借用なんですが、勘弁してくれるよね?オレ全力でABCの宣伝してるんだからさあ。



1). Hammerstein
2). Joe Pineapples
3). Happy Shrapnel
4). Mongrol
5). Deadlock
6). Blackblood
7). Steelhorn

以上が結成時のABC Warriorsのメンバーであります。いやーなんか楽しいねえ。こーやってずらっと並ぶ感じが部隊物の醍醐味じゃないでしょうか。こちらの作画は英国コミックの重鎮、Mike McMahon先生。『Judge Dredd』なども数多く手掛けた英国のコミック・レジェンドのひとりです。

Hammerstein

ABC Warriorsのリーダー。実はHammerstein型というのは大量生産のロボットで、Volgan戦争に大量に投入された中の数少ない生き残り。武器は右手のハンマー!左手で銃も撃てます。戦争の初期から生産されており、『Invasion!』に続くストーリーとして描かれている『Savage』にも登場している。
1995年のスタローン主演の映画『ジャッジ・ドレッド』にもカメオ出演でHammersteinの顔を付けたロボットが登場しています。ドレッドの兄弟で敵役のリコが乗って暴れるやつね。

『ABC Warriors』の物語は21世紀末、Volgan戦争終結に近いところから始まる。人間はもはや戦闘には参加せず、戦場は知能と意識を持ったロボット同士の戦いとなっている。軍曹として部隊を率い、依然続く泥沼の戦場で戦い続けるHammersteinへ、謎の司令官より新たな指令が下る。「新たなミッションのために必要なロボットを徴集し、部隊を編成せよ!」

最初の2体のメンバーは、Hammersteinの部隊で一緒に戦って来た信頼できる仲間から選ばれる。

Joe Pineapples

Balls Bazookaを使う射撃の名手。無口なロボットで、「N5」「J6」のような謎の略語しか話さない。優秀なスナイパーとして極秘の任務にも就いていたらしい。



Happy Shrapnel

古参兵おやじ型…?ロボット。激戦であった"H"-Dayの唯一の生き残り。いや、激戦の内容は知らんのだけど…。愛用の武器は敵から奪ったVolgan Kolt 45's!(Coltに非ず) ロボットであるのだが、愛用のブーツがかなり臭いらしく、度々ネタにされる。



ここまでは気心の知れた仲間だったが、ここから司令官が指名してくるのはいずれも一筋縄ではいかない曲者ばかりで、Hammersteinの任務はその準備段階から困難を極めて行く。

Mongrol

味方のロボットではあるが、どこの部隊にも属さず、一切の命令も聞かずただ一体で暴れ続ける暴走狂戦士ロボット。だがMongrolには彼をそんな暴走に駆り立てる悲しい過去があった。
空挺部隊に所属し、Volgan占領下の敵地へ向かったMongrol。だが作戦行動は失敗し、彼の部隊の乗った機は撃墜。Mongrolはパラシュートも開かぬまま落下し、地面に叩きつけられる。頑丈な頭部だけは生き残ったが、ボディは粉々に。Mongrolは意識を残したまま敵地でスクラップと化して行く。
その夜、激戦の跡を漁りに現れたスクラップ拾いがMongrolの頭部を拾い上げる。強欲な叔母の手伝いにスクラップの中を連れまわされる美しい少女Lara。彼女の両親は、占領時レジスタンスとして戦い、Volganの銃弾に斃れていた。両親の遺志を継ぐLaraは、深夜叔母の目を盗みスクラップから見繕ったパーツを使いMongrolを新たなロボットとして組み上げる。だが、心臓部であるモーターがどうしても稼働しない。
そこへ、Volgan軍のレジスタンス狩りが現れる。Mongrolは身動きできないまま、敵軍の情報を引き出すため、Volgan軍の駐屯地へと運ばれる。様々な手段を尽くしても一向に口を割らないMongrolに業を煮やし、高電圧の電流を流すVolgan兵。だが、そのショックがモーターを蘇生させ、Mongrolに強大なパワーを与える!
駐屯地を壊滅させ、Laraの許へ急ぐMongrol。しかし、既にLaraは叔母と共にVolgan兵に射殺されていた…。怒り、救い主であるLaraの復讐を誓ったMongrolは、Volgan兵を一人残らず抹殺するために暴走を続ける。

Mongrolの過去を知ったHammersteinは、彼を従えるには自分一体の力のみで屈服させる以外に方法は無いと悟り、仲間の力を借りず、単身でMongrolに挑む。だが、そこへVolgan部隊が急襲!Mongrolはただちに標的を変え、Volgan部隊へと突っ込んで行く。闇雲な攻撃から危機に陥ったMongrolをHammersteinが救出する。恩義を感じたMongrolは、当面部隊に加わることを承諾する。えーっと、前半の話が重かった割にあっさり仲間になったな、とか無粋なツッコミは止めようね。

Deadlock

謎の司令官より次に指名されたのがDeadlock。Deadlockは高性能のエリートロボット。軌道上を周回する衛星Watch-Towerに駐在し、常に戦況を監視し戦争犯罪人を発見すれば処刑を執行する権利さえ持つエリートロボット部隊の頂点に君臨している。あまりに性能が高すぎてオカルト的な思想まで持ち、タロットカードでWatch-Towerが隕石弾で攻撃されることも予知していた。
Watch-Towerが緊急降下着陸した地点へ向かうHammerstein達だったが、エリートロボット部隊はその手を借りるまでもなく、襲撃してきたVolgan軍を撃退する。そして、Hammersteinがこの地へ来た理由も目的も、既にタロットで予知していたDeadlockは、一対一の勝負で自分を降したらHammersteinの部隊に加わろうと告げる。
タロットでも敗北が予言され、そして量産型であるHammersteinはエリートDeadlockに全く歯が立たない。そして絶体絶命、処刑の寸前に、えーっと、根性的なもので予言を覆し、Hammersteinは勝利し、Deadlockを部隊に加えることに成功する。ちょっと端折っちまったが、オカルト的なやつとのバトルって説明し始めるとやたら長くなって、その割にわかりにくくなるんでその辺は察してくれよ。

Blackblood

次に候補として指名されてきたBlackbloodは、なんと悪名高い残虐なVolgan軍のロボット将軍!あんな奴とはとても共闘出来ない!と抗議するHammersteinだったが、謎の司令官は、捕獲後ロボット脳を改造し、悪の部分を取り除き再構築すれば強力な戦力になると、作戦を強行させる。ゲリラ戦に長けた狡猾なBlackbloodを捕獲するには、強力な銃による長距離射撃で一撃で行動不能にするしかない。優秀なスナイパーJoe Pineapplesの出番だ!
Volgan戦争の戦場を遠く離れた平和な南国の楽園ブーゲンビル島をBlackbloodの部隊が襲撃!Hammerstein達もただちに現地に上陸する。島のミッションスクールで、Volgan戦争終結後の平和な時代を築くべく子供たちを指導していた女性教師を、Hammerstein達は瓦礫の下から救い出す。子供たちはみんな殺されてしまった…。彼女はHammerstein達へもVolganと同様の破壊のための機械と罵る。Blackbloodが潜むジャングルの奥地へと女教師を護りながら進むHammersteinとその部隊。ついに発見したBlackbloodは島の生き残りの子供を盾に逃亡を謀る。Joe Pineapplesの精密な狙撃がBlackbloodを無力化し、子供の救出にも成功する。だが、自分たちの作戦目的としてBlackbloodを破壊せずに回収するHammersteinに女教師は再び憎悪の目を向ける。
そして、回収されたBlackbloodはラボに運び込まれ頭脳改造されるのだが、とりあえず敵対的な意思はなくなったのだけど、性格はあんまり変わんない感じに…。

Steelhorn

最後の候補であるSteelhornは、絶対に破壊されない特殊金属のボディを持つ、数々の戦功を立てた歴戦の勇者である。だが、Volgan戦争は終結。目的を失い、度重なる戦闘に嫌気がさし、すっかり平和主義者となったSteelhorn。Hammersteinは彼を兵士に戻すには軍隊式の活を入れるしかないと考える。具体的には右手のハンマーでぶん殴る。だがSteelhornは一切無抵抗で殴られるまま。もちろん無敵のボディはびくともしない。任務を離れれば、Steelhornの考え自体には同意するところも多いHammersteinは説得をあきらめる。
Steelhornはロボット退役センターへ向かい、武器を返還し、これからは消防士として働きたいと、申し出る。係員に案内され、指示されたドアを開け入るSteelhorn。だが、そこは灼熱の溶鉱炉だった!ロボット退役センターの真の姿は、Volgan戦争後、不要になった戦闘用ロボットを騙し、安全に処分するリサイクルセンターだったのだ!真実を悟り憎悪に燃えるSteelhorn。しかし無敵のボディも溶鉱炉の熱には敵わず、彼の身体は溶解して行く。だが、溶解した液体金属となってもその意識を残したSteelhornは、その体のまま溶鉱炉から這い上がり、彼を欺いた人間たちに報復の手を下す。
その頃、一旦は諦めたが、Steelhornの先行きに漠然とながら不安を感じたHammersteinは、彼の向かったロボット退役センターを訪ねる。そこは既にSteelhornの報復により出火が始まっていた。Steelhornの姿を求め、建物内に入ったHammersteinは残されたファイルから退役センターの真の目的を知り、怒りに震える。自身に這い寄って来た液体金属をSteelhornと気付いたHammersteinは、それを回収し、基地に戻り内部を一定の高温に保てる特殊容器に保存する。だが元の身体を失いノイズを発するばかりの彼とコミュニケーションをとることができるのか?奴の発するノイズは俺の身体の中に響く怒りと悲しみと同じだ。俺には奴の声が聞こえるぞ!そう語るMongrolが彼の世話役を買って出る。こうして最後の一体、Steelhornが部隊の一員となる。ちなみにSteelhornの元の姿が右の画像です。

かくして7体のロボットは集められ、極秘ミッションのための部隊は結成される。そして、彼らが臨む極秘ミッションとはいかなるものであるのか?えー、それは近日登場予定の巨匠パット・ミルズ未来史シリーズ 第3回にて。なるべく早く書くつもりではいますんで、気長にお待ちください…である。

ABC Warriorsとは何か?Atomic、Bacterial、Chemicalといった兵器が使用される現代から未来の戦場での戦闘のために造られた戦闘用ロボット軍団である。実はこの物語の序盤のVolgan戦争時代には、Volgan軍に対抗する連合国のロボット軍団はすべてABC Warriorsと呼ばれているのだけど、まあシリーズタイトルだし、これ以降はこのHammersteinの部隊のロボットの呼び名となるんで、ABC Warriorsとはこの部隊メンバーという感じで理解してもらって大丈夫かと思います。現在進行中のシリーズでは、この結成当初のメンバーとは少し違っちゃってるのだけど、誰が去り、誰が加わるとかは、いずれ話の展開と共に解説して行ければというところです。

今回の話が収録されている『ABC Warriors: The Mek Files 01』は、2010年に最初に単行本としてまとめられたTitan版の『The Meknificent Seven』出版の際に描き下ろされたプロローグから始まる。前述の『Ro-Busters』と『ABC Warriors』を繋ぐというような内容で、『Ro-Busters』時代のHammersteinがVolgan戦争の戦友と共に戦没者墓地を訪れるというもの。墓地には戦争の英雄を称える勇壮な彫像をかたどった墓石が立ち並ぶ。だが、それはすべて人間の英雄たちのものだ。Volgan戦争で前線に立って戦い、そして倒れて行ったすべてのロボットたちに与えられたのはただ一つのちっぽけな墓石だけ。そして、そこからHammersteinが自分たちの闘いを回想する、という形でABC Warriorsの物語へと続いて行く。
このようなロボットが人間とその社会を護るために闘うが、それは決して報いられず、しばしば冷遇と差別を受けるという構図は、これまで紹介したストーリーの中でも度々現れているように、シリーズの一つの重要なテーマとなるものである。現行のシリーズでもこれは一貫して続いており、Clint Langleyによる作画では、ロボットたちのシャープで美しい造形に対し、人間はしばしば何か形の曖昧な歪んだモンスターのように描かれたりもする。
1979年に開始されたこのシリーズに少し先立ち、日本でも『鉄腕アトム』(手塚治虫の、とか書いとかないとわかんない人いるのかな?)のいくつかのエピソードや、石ノ森章太郎『ロボット刑事』などでも描かれていたテーマである。社会情勢や時代風潮みたいな考え方もあるだろうけど、まだロボットがどうやって人間のような知性、感情、意識を持つかということが技術的にあまり具体的でなかった時代に作られた話で、その後、いかにしてそれらを実現するかが技術的にも理論化や具体化されてくる時代となってくると、そこからそういう方向で話を作るということが難しくなっていったのかもしれないな、と考えたりもする。

Atomic、Bacterial、Chemicalと、大変物騒なのだが、また時代性みたいなことで関連付けて言うと、この時期の英国2000ADのSF未来戦争観は本当に狂っていて、例えば敵味方双方が化学兵器・細菌兵器を使いまくり人間が防護服なしでは生存不可能になった惑星の戦場が舞台の『Rogue Trooper』というようなものもあり、また看板作品『Judge Dredd』も核戦争後に荒廃した世界で周囲を不毛の地に囲まれた巨大都市での物語だったり、核戦争後に生まれた被差別階級のミュータント達の唯一の仕事が危険な賞金稼ぎという『Strontium Dog』などといったダークな名作がそろっている。様々なベトナム戦争映画からインスパイアされたという狂気のSF戦記『Bad Company』なんていうのもあるぞ。掘って行けばまだ凄いの色々と出てきそうだなあ。一味違うダークで骨太のSFコミックが好きなら是非2000ADを探してみるべし!旧作のみならず、毎週発刊される新作についても語って行かなければならんのだが、なんかその辺中断してしまったままで大変申し訳ない。なんとかせねばと日々思ってはいるのだが…。まあとにかく私がこれまで書いたものは当ブログ2000ADの関連記事などを見てやってください。このデジタル時代に身近となった2000ADのファンが日本でも一人でも増えるように。

長い年月にわたって描き続けられてきている『ABC Warriors』なのだが、2007年の『The Volgan War』より巨匠パット・ミルズは『ABC Warriors』とそれにつながる他のシリーズの統合、再編成へと乗り出している。それがこの巨匠パット・ミルズ未来史である。えーと、英国その他ではミルズヴァースと呼ばれてるんだけど、日本のSF者的には絶対「未来史」の方が燃えるので、個人的に「未来史」をゴリ押しする!で、本当は現行シリーズの『ABC Warriors』や『Invasion!』後のVolgan戦争『Savage』などを中心に語って行かなければとは思うのだけど、やっぱ元がわからんとなあ、という感じで今回も過去作となってしまい、次もこの続きという流れになってしまうのだが、何とか早く旧作新作取り混ぜという方向に持って行きたいと思っております。もっと早くガンガン書いて行かねばと、日々思っております。
では最後にお約束の、と言ってもまだ2回であんまりその体をなしてないんだけど、巨匠パット・ミルズ未来史年表です!

巨匠パット・ミルズ未来史
1999年 Volgan共和国がイギリスを侵略。
Bill Savageレジスタンスとして立ち上がる。
21世紀末 Volgan戦争終結。
新ミッションのため、Hammersteinを隊長とする新部隊が結成される。


うーん…、もうちょい頑張らないと年表には見えないなあ…。あと今回もAmazonではいまいちちゃんと揃わないんでリストの方は2000ADのウェブショップから。第1回の再利用ですが、決して手抜きだけが目的ではありません。はい、手抜きもちょっとあります。購入はアプリショップからの方が便利なので、GET THE APPのところからお使いのやつを探してみてね。あと、『ABC Warriors: The Mek Files』シリーズは、01~03が旧作で、04は「The Volgan War Book」の1と2収録で、リストの中でダブっちゃってるのでご注意ください。


いやー、なんかホント大変ですね。いくら私がアホでもさすがにネタにする元気も出んわ。いや、空気読みの自粛じゃなくてね。ビクビクしながら通勤して、一日中マスク着けてみたいなのが続くとホント疲れます。でもなんか仕事存続しただけでも幸運と思うべきなのかな。まあ仕事の方も12連休になったんで、ここで少しブログの方も頑張れれば、と思ってるのだけど、え?もう半分過ぎた?ワシタイムスリップとかした?とぼんやりしとるうちに時間も過ぎて行くんで少し気合い入れて頑張らんとね。
なんか力の抜けた感じなんで、何か最近の楽しいお話を、と考えて思いついたのが少し前で今年の一月なんだけど、かの『カラテ地獄変』三部作と並ぶ梶原一騎の最狂作と言われつつ、永らく絶版になっていて、遂に昨年秋電子版で復刊された『人間兇器』がセールになってたんで、全23巻を一気に726円で大人買いしました!でも726円って大人買いなのかニャー?ちなみにいまだ未読です。積みマンガが山ほどあります。先に『実験人形ダミー・オスカー』を全巻読破しなければ。古いのばっか読んでられないし、と思ったら今回の『ABC』も旧作かい。まあいいや。なんかボンクラなことで元気出してみんなボチボチ生き延びてくださいね。私もボンクラでも大丈夫の見本となれるようぼんやりサバイバルして参ります。では、またね。多分次もあるよう。


●関連記事

巨匠パット・ミルズ未来史シリーズ 第1回 -Invasion!-

●巨匠パット・ミルズ未来史関連
■Savage

Invasion!

Savage: Taking Liberties

Savage: The Guv'nor

■ABC Warriors

ABC Warriors: The Mek Files 01

ABC Warriors: The Mek Files 02

ABC Warriors: The Mek Files 03

ABC Warriors: The Mek Files 04

ABC Warriors: The Solo Missions

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 01

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 02

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 03

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 04

ABC Warriors: Return to Earth

ABC Warriors: Return to Mars

ABC Warriors: Return to Ro-Busters

■Ro-Busters

Ro-Busters Vol 1

Ro-Busters Vol 2

■Nemesis The Warlock

The Complete Nemesis The Warlock: Volume 01

The Complete Nemesis The Warlock: Volume 02

The Complete Nemesis The Warlock: Volume 03

'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

2018年10月24日水曜日

英国コミックの巨星、Carlos Ezquerra逝去

去る10月1日、私が常々敬愛してやまない英国コミックレジェンドの最重要人物のひとりであるCarlos Ezquerra氏が亡くなられました。享年70歳。2010年より肺癌を患い、闘病を続け、最近の経過は良好だったところでの突然の悪化ということだそうです。最後まで作品を創り続け、ちょっと私の方でまた2000AD誌を読むのが遅れていて未確認なのですが、多分本年春期のJohn Wagnerとの『Strontium Dog』が遺作となったのだろうと思います。

Carlos Ezquerraは1947年、スペインの生まれ。スペインのコミック界でキャリアを積んだ後、2000ADの最初のパブリッシャーであるIPCにヘッドハンティングされ、英国コミック界に進出。そして1976年、創刊間もない2000ADにて2号から連載開始された『Judge Dredd』で、今にも続くドレッドのキャラクターデザインをしたのが、このCarlos Ezquerraなのです。『Judge Dredd』の中でも大変多くの作画を担当していますが、その代表的なもののひとつで私がやっと追いつけたのは、ジャッジ・ドレッド・サーガの中でも最大の問題作と言っても過言ではない「The Apocalypse War」。全25話、半年間にわたるこのシリーズの作画をEzquerraは一人で担当しています。これは2000ADの中でも結構異例のことなのではないかと思います。その他にもEzquerraのドレッドの代表作としては「Necropolis」、「Origins」などがあるそうですが、当方ではまだそちらまで追いついていないので、申し訳ないのですが内容の方まではわかりません。「The Apocalypse War」については以前に「Day of Chaos」について書いた時、その原因となったエピソードとして少しだけ触れています。
そして2000ADでのもう一つの代表作がJohn Wagnerとの『Strontium Dog』。核戦争後、ミュータントとして生まれ、それが唯一の生きる手段だった賞金稼ぎStrontium Dog。スペースオペラ要素もありのSFアクション。1978年に短命に終わった2000ADの姉妹誌Starloadにて始まり、同誌休刊後は2000ADにて、他のライター、アーティストによって描かれたり、中断もありましたが、2000年代に入ってからのリバイバルではオリジナルのWagner/Ezquerraコンビにより本年春期まで描き続けられてきました。ちょっと中断しておりますが、私の2000ADレポートにも登場の際には度々紹介しております。

ここからはいつものようにCarlos Ezquerra師匠と呼ばせてもらいましょうか。なんだかんだ言っても私が師匠の作品と出会ったのはまだほんの数年前。デジタルの発達により日本からでも簡単に英国2000AD誌が読めるようになってからのこと。最初に見たのはドレッドだったかもしれないのだけど、師匠の画を強烈に意識しだしたのはやはり『Strontium Dog』だったと思います。本当に失礼ながら最初の印象は、この人あんまり上手くない、みたいなものだった思います。しかし、少し読んでいるうちになんだか妙に気になってくる。なんだこれは?なんとも形容しがたい独特のテイスト。毒を含んだユーモアなどという生易しいものではない。ユーモアの味がする毒!なんだかそんなものがページ(正確にはiPadの表面)から滲み出して来るのだ。
Carlos Ezquerraという人が、結構ベテランのアーティストだ、ということはその時点では薄々わかっていた。では一体どういう経緯を経ればこのような画にたどり着くのか?そんな思いに駆られ過去作を探ってみると、恐るべき作品群が現れる。濃縮度100%の毒に満ちたどす黒いアートの数々!なんだかあんまり「毒」とか言ってると師匠の画が悪いもの、または悪意を表現したもののように聞こえてしまいそうなのだが、ここで言ってるのはそういう意味ではなく、また単純にホラー方向のものということでもない。たとえば画を完成させる方向性として、デッサン力を背景としたリアルさ、線やタッチ、カラーなどの誰でも共感できる意味での美しさ、動きの表現などの迫力・かっこよさ、などの基本要素があり、アーティストは自分の個性の上にそれらの要素を拡げ、更に自分の表現したいものを加味して画を作り上げて行くわけです。そして師匠が表現したかったのは、激しい闘いの迫力や、その中でのキャラクターたちの強さ、誇りという基本要素であるものを拡大したものと、更により強い人間の怒りや情念、そして単純に敵役だけではなく、主人公の中にも外にもある醜さだったのではないか。これらをより強く求めた師匠の画は先に挙げた表現の基本要素の一般的に感じられる「美」の部分すらも圧倒し、それらを基準とした概念からは負の要素にも見えるどす黒い「毒」を放出し始める。ああ、これはもう「毒」だ!繰り返し言うが、師匠の画はホラー的な怖がらせ方を意図したものではなく、また読者に向けて悪意や害意を向けられたものではない。だがその画はもはや「毒」の域まで達した恐るべきどす黒い迫力を放出する。このページ食ったら死ぬんじゃないか?
前述のようにCarlos Ezquerra師匠はスペインの出身。スペインのコミックでもキャリアを積んだアーティストである。日本からはスペインのコミック状況がほとんどわからないのだけど、歴史もあり層も厚く多くの優れた作家を輩出しているのだが、出版状況が悪く、多くの優れた作家が海外に流出してしまっているということも聞く。本当に少ししか見られてないけど、アメリカのコミックで活躍するスペイン出身のアーティストも同じような「毒」方向のダークなテイストを持っているのを見たこともあり、それらはスペインコミックの歴史の中で培われてきたものもあるのかもしれない。また師匠の年齢からすると、どこかでアメリカのアンダーグラウンドコミック、ロバート・クラムらの作家から影響も受けたのかもしれない。色々な想像・推測はできるけど、どうにもスペインのコミック状況がわからんのは本当にもどかしいところであるのですが。
いかにしてそのような作風を完成させたのかはわからなくとも、その恐ろしいどす黒い迫力に満ちたアートを40年以上にわたり創り続けてきた末のこの画風に現在出会ったのである。過去の作画から現在の作画への流れ、これはもう発酵か?40年以上にわたり自己のスタイルを貫き通し描き続けたアーティストのみが到達できる境地!もはや師匠とお呼びするしかない。長年の付き合いであるJohn WagnerがEzquerraならこう描くだろうという狙いがまんまとはまったような絶妙のパネルをみつけにやつくこともしばし。その長いキャリアからするとほんの短い間でも、リアルタイムでその唯一無二のテイストのアートをを楽しませてもらえたことは本当に幸運だったと思う。なんだか私の性格の悪さや、特に文章を書いていると調子に乗ってしまうような悪い癖で、ともすると時には師匠の画を揶揄するような印象を与えてしまったことも多かったかもしれない。またしばらくは師匠の名前をスペル間違いのまま延々とコピペして使用してしまったりなど、随分と失礼の限りを尽くしてしまい本当に面目ない。しかし短い間ながら、不肖私、師匠の素晴らしいアートを心より愛し、お慕いしておりました。70歳の年齢まで一線で作品を創り続けたアートへの情熱は心底畏敬に値し、そして、亡くなるその年まで描き続けられたことは師匠にとっても幸いだったことと思います。長い間ご苦労様でした。ありがとうございました。

Carlos Ezquerra氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
安らかにお休みください

2000AD公式ホームページには10月1日、Ezquerra氏の死亡記事が掲載され、氏の功績、多くの追悼の文章が綴られています。[Carlos Ezquerra 1947-2018]
また、17日には2000ADよりEzquerra氏を追悼するポッドキャストが配信され、そちらにはEzquerra氏とのコンビの作品も多いガース・エニスなど多くのコミック関係者からも追悼コメントが寄せられているそうです。[The 2000 AD Thrill-Cast: A Tribute to Carlos Ezquerra]

日本では残念ながらCarlos Ezquerra氏の『Judge Dredd』、『Strontium Dog』などのメインワークは翻訳されていませんが、ガース・エニスの『ヒットマン』や『ザ・ボーイズ』の中で少しですが作画を担当した作品を読むことができます。



●Carlos Ezquerra
■Judge Dredd / The Apocalypse War


■Strontium Dog




'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

2018年4月10日火曜日

巨匠パット・ミルズ未来史シリーズ 第1回 -Invasion!-

以前よりやるやると言い続けてきたイギリスコミックの巨匠パット・ミルズの未来史シリーズ!遂に始まりました!その第1回『Invasion!』であります!

まず、パット・ミルズとは何者なのか?とりあえずこの国ではそこからはじめにゃならんだろう。最近創刊41周年を迎えた英国コミックを代表する週刊コミック誌2000ADの初代編集長にしてライター、そして41年を経た今でもメインライターのひとりとしていくつもの人気シリーズを持って活躍するコミック・レジェンドである!代表作には神話世界の混在する原始の地の無敵の”歪み”能力を持つ戦士の物語『Slaine』、食糧危機に陥いりタイムゲートを使い原始の恐竜を食料に供給し始めた未来社会が舞台の恐竜ウエスタン『Flesh』、さらに最近のものでは17世紀の魔術が横行する架空のロンドンを舞台に元水平派の闘士がゾンビと闘う『Defo』など、まだまだ私も届いていない名作・代表作も数知れず。しかし、その優れた作品の数々が日本では翻訳はおろかろくに紹介すらされていない現状。これでいいのか?日本はマンガの国ではないのか?ならばもっと広く様々な国のすぐれたマンガ=コミックについて知るべきではないのか?
そして今、巨匠パット・ミルズはその最も知られる代表作である『ABC Warriors』を中心に様々な作品の統合・再構成に取り組んでいるのである。これは、それらをパット・ミルズ未来史とみなし、それらを構成する膨大な作品群を読み、語ることにより、このパット・ミルズ後進国である日本に巨匠の偉大な業績を知らしめようという遠大な試みである。覚悟せよ!

ではまずこの未来史の現在進行中の概要についてから始めよう。まず、Volgan戦争である。ABC Warriorsの物語は21世紀末、長く続いたこの戦争の末期から始まる。ABC Warriorsのロボットたちはこの戦争の過程で作られた者たちなのである。ABC Warriorsの物語はそこから未来に向かって語られて行くわけだが、もう一方でそこから遡るVolgan戦争についての物語がある。それがVolganと闘う戦士Bill Savageを主人公とした『Savage』。現在の2000ADでは過去について語られながら進行して行く『ABC Warriors』と『Savage』が交互に1年おきに四半期12~3回の1シリーズずつ書かれている。自分も結局まだ2000ADを読み始めて日が浅いので、現在進行中の両者の関係を完全に把握して説明できるところまでは至っていないのだけど、『Savage』では『ABC Warriors』に至るまでのVolgan戦争について語られ、現行『ABC Warriors』ではその始まりから物語の現在時点に至るまでの語られてこなかった関係などを整理統合しながら物語が進んでいる、というような考え方で多分大丈夫だと思う。まあ、自分もそこのところをちゃんとわかるようになろうということでこれをやっているというところなのだけど。そしてそれら全ての物語が始まるのが、1999年のVolganによるイギリス侵略。そしてそれを描いたのが今回の『Invasion!』というわけなのであります。

この『Invasion!』という作品は、かの2000ADのまさに創刊号から約1年にわたって掲載されたのですが、ではこの作品はいかにして始まったのか?それについて、巨匠パット・ミルズがこのTPB版『Invasion!』まえがきにおいて詳しく語ってくれています。これはそもそもは2000AD創刊時のパブリッシャーIPCのジョン・サンダースという人の発案だとのこと。「ミルズ君、イギリスがソ連に侵略されちゃうって話をやろうよ!24時間の電撃的侵略で、空港とか制圧されてサッチャーも殺されちゃってさー!」「えー?なんでソ連がイギリスを侵略するんですか?」「石油だよ!奴らは我が国の油田を狙ってくるんだ!」ふーむ、なるほど。しかしイギリスが侵略されちゃうって話はなかなか読者にも受けそうで面白そうじゃないか。そして最初の数エピソードに英国屈指のアーティストJesus Blascoを起用し、着々と製作は進行して行くところで、サンダースからバッド・ニュース。「ごめん、ミルズ君。ソ連ダメだって…。」まあ、今の目から見ればそりゃそうだろ、もっと早く気づけよ、ってとこですが、1977年当時はそれでいけると思えた時代だったんだろうね。2000ADではジャッジ・ドレッドでも敵対勢力は東側SOVということだし、この時期のイギリスの国際情勢・国民感情とか研究するとちょっとした論文ぐらいになりそうだが、まあそれは置いといて、そういうことでそのつもりで進行していた侵略してくる「敵国」が使えなくなってしまったという事態である。そこで急遽作られたのが架空の敵国Volgan共和国!前にVolgan帝国とか書いちゃったけど、正しくは共和国です。だってVolgan Empireとか言ってるしさあ。場所はアジアの奥深くのどっか!おいっ!とまあアジアの一員である我々としてはツッコミも入れたくなるが、逆に考えればそんな謎の国が出てくるところ他に考え付かなかったんだろう。しかしまあそんなわけでVolganの兵士や将軍やらはアジアっぽい顔で出てくるのだが、それは最初のうちだけ。悪いやつの名前とかもモロにロシア風になってくるし、お金の単位がヴォルガマルクとか、アジアで侵略してくる国がそんな通貨単位使わんだろ。ともあれ、かくして誰もがこれ本当はソ連と思ってる架空の悪の国家Volganが創り上げられたのであった。さてこのVolgan、本当に悪い国である。何しろ国のマークがドクロ!俺たちは悪いことをする怖い国だぞ、と威嚇しているようなものである。1999年、20世紀の終わりに侵略してきたこんな悪い国を誰が止めるのか?結構前置きが長くなっちゃったけど、それではいよいよ『Invasion!』の始まりです!

1999年1月1日、アジアの奥深くからヨーロッパを侵攻してきたVolgan共和国が、電撃的にイギリスを侵略する!イングランド中部地方に撃ち込まれた5メガトン核ミサイル!そして続いて飛来した降下部隊により瞬く間にヒースロー空港は制圧。要人は次々と殺害され、英国王室はカナダへと避難、そしてVolgan共和国によりイギリスの征服が宣言される!
仕事で北部へ向かっていたトラックドライバーBill Savageは、この事態にロンドンストリートの自宅で待つ妻と我が子の元へと急ぎ帰宅する。だが、そこで彼が見たものはVolgan軍の無差別爆撃により崩壊した我が家だった。瓦礫の中から唯一無事だったショットガンを拾い上げるSavage。「俺に残されたのはこれだけか。」そこに現れたVolgan兵をただちにそのショットガンで射殺!おい!Savage、気でも違ったか?もう戦争は終わったんだ。イギリスは降伏したんだぞ!「ならここから再開させるまでだぜ!俺の戦争は今始まったんだからな!」

かくしてわれらがヒーローBill Savageは登場する。粗野で武骨、不作法、冷笑的だが人情、友情には篤い大変格好いい男である。あっちはアイルランドでごっちゃにしちゃうと失礼なのだろうが、かの『ザ・ボーイズ』ビリー・ブッチャーにも似たテイストがあったり、あとマイケル・ケインの映画は名作だけど、原作小説だけ読んでる時点では『ゲット・カーター』のジャック・カーターもこんな感じの人をイメージしてたりもしたのだが、まあ英国方面の男の中の男典型という感じなのかもしれませんね。高倉健より菅原文太だね。あと、話の流れで言うのが後になってしまったのだけど、巨匠パット・ミルズ未来史第1回って始めたけど、実はこの作品巨匠は編集長業も忙しく原案のみで、実際のライターはあの『Rogue Trooper』のGerry Finley-Dayだったりします。あと、今更だけど今回は多分最後まで書いちゃってネタバレすることになると思うので気を付けてね。一応ちゃんと全部書かないと先わかりにくくなるだろうからさ。なんか今回は色々と段取りが悪くて申し訳ない。

こうしてワンマンアーミーとしてVolganへの戦争を開始したSavageだったが、その腕と機転を見込んで、地下に潜ってレジスタンスとして動き始めた英国正規軍が接触を図ってくる。決まりだらけで上品な軍隊のやり方でVolganと闘えるか!まあレジスタンスにゃあ参加するが、俺は俺のやり方でやらせてもらうぜ。SavageをリクルートしたSilk中尉は、少し線の細いところはあるのだが、Savageには絶対の信頼を置くようになり、彼の相棒として活躍して行く。更にSavageは、港湾労働者、炭鉱夫らタフな労働者階級の猛者たちによる独立愚連隊Mad Dogsを率い、各地でVolgan相手の戦争を繰り広げて行くことになる。

序盤から中盤くらいまでは主に1話~2話構成でSavageとMad Dogsの活躍が描かれて行くという展開。まあとにかく独立愚連隊ものというのは燃えるし、実は実際には無い国の実際には無い侵略で、実際に起こったわけではないイギリス国民への暴虐に怒り、Savageの報復に快哉を叫ぶという、よく考えるとうむ?な状況ながらもテンションの高い話は大変楽しく読めるのだが、それゆえ1話当たりの熱量も高く4~5ページにもかかわらず割と1話読むとおなか一杯になっちゃって、という感じでなかなか進まなかったりしていたのだが、先は長いのだしこのままではいかん!とペースを上げ始めた中盤、スコットランドの構築された壁で囲まれた収容所になった町での戦い辺りから、基本的には1話完結ではあるけど、少し話が続いていく感じで読みやすくなってくる。と、書いてて今気付いたのだけど、こっちがあまりにイギリスの地理に不案内でわからなかっただけで、もしかしたら物語は最初から後半の地点まで移動して行く形で進んでいたのかもしれない。うむむ、こういうのって結構難しいよね。例えば『ドラゴンヘッド』とかも日本に住んでない人から見ると関東-東京に向かって移動して行く感じあまりわからないのかもしれないし、水戸黄門の1シーズンのここからここへの旅感もなかなか伝わらないのではないかと思ったり。いや、自分の失態を一般化してごまかそうとか言う意図ではないのだが。

そして物語は、Savageも危機に陥る恐るべきVolgaska大佐との闘い、頼りになるネッシー姐さんの登場などを経て高地地方にたどり着き、そこから終盤への展開が始まる。カナダに避難中の英国王室からレジスタンスへの支援物資を密かに運ぶ潜水艦に王子が同乗していたのだが、艦が撃沈、王子はカナダへと戻る手段を失い、あとはSavageらが王子を護衛しながらカナダへと戻す手段を模索して行くという展開になって行く。
そして最後は洋上の闘いで相棒Silkは命を落とし、さらに続く死闘の末、Savageは海を渡り無事に王子をカナダへと戻す。そして、その闘いの中、公海上でVolganの乗った船がアメリカの艦船を攻撃したことから、この戦争にアメリカの参戦が決定されたことが告げられ、物語は終わる。

なんかまた今現在の目から見ると、もっと早くアメリカが介入してきそうに思われるけど、1977年当時はこういう形になるだろうと思えたのか、それともあんまり早くアメリカが出てくると占領された国で侵略者と戦うという話になりにくいと思ってのストーリー展開なのかは、また今になってしまうとよくわかりにくかったり。なんか安全保障とかのことを考えると、後者で、第2次大戦ぐらいの感じでやりたかったということのような気もするけど。まあ基本的にはあんまり「今の目」とかでよく考えないでツッコミ入れて利口ぶるのは無粋ってことですね。
こういう国が侵略占領されちゃうっていうようなコミックって他にあるのかな、とちょっと考えてみたところ、我が国の第2次大戦中の実話を基にした沖縄の話のとか思いついて、ちょっとうーん…と思ったり。実際この『Invasion!』もイギリスではそういう方面から批判もあったというようなことも巨匠のまえがきにも記されています。でも戦争というのはひとつの極限状態での人間ドラマでフィクションとしては常に大変魅力のあるジャンルなのだよね。戦争についての物語を書く人は大抵はそれを通じて人間の勇気や誇りといったものを書きたい人で、戦争をしたがっている人ではないでしょう。まあ時には本気で戦争をしたがっているヤバいタカ派の人の本が世に出てしまうこともあるのだけどね。前のスプラッタパンクの時も言ったけど、こういうのを頭ごなしに批判して、自分が「悪」だと思ったものを自らの「正義」を振りかざし徹底的に攻撃し、撲滅しようなどと考える人たちこそが、実際には間接的にせよ戦争って言うようなものを引き起こしてるんだよ、っていうのが私の意見です。子供が見たら悪影響を、とか言うんだったら、自国が負けちゃったら競技の続きを一切放送しないオリンピック中継みたいなのだってスポーツの楽しさより歪んだ愛国心植え付けちゃうんじゃねーの、ぐらいの悪態はつかせてもらいましょうか。まあでもこの辺のジャンルは特にコミック/マンガではどんどんやりにくくなって、今はSF方面に舞台を移してるというところなのでしょうね。あと世界が侵略されちゃうみたいなテーマはもしかしたらゾンビものといった方向にシフトしてるのかも。ついでに言っとくと、この度の引っ越しでめでたく発掘された望月三起也著『夜明けのマッキー』は戦争物のナミダ物の名作だよーん。馬鹿者!望月先生の著作はすべて名作だっ!Kindle版ありますよ。

さてこちらの『Invasion!』、作画の方はと言うと、最初のJesus Blascoを始めとして大変すばらしい力強い白黒画のアーティストが続くのだが、2000AD以前から活躍のアーティストが多いのか、ちょっと現時点では当方ではわからない人ばかり。申し訳ない。もっと深くイギリスコミックについて学ばねば。中でIan Kennedyとかは私も朧気に知ってる英国コミック・レジャンドか。あとシャープで陰影のコントラストの強いCarlos Pinoとかもきっと人気あったんだろうな。デジタル時代の今ではめったに見られないガーゼ・テクニックによる迫力ある描写など、大変見どころも多い作品です。
ストーリーの方は、途中で思い出して付け加えたように、巨匠ミルズは編集長も兼ねていて多忙ゆえに原案のみで、実際のシナリオは『Rogue Trooper』のGerry Finley-Day。しかし『Rogue Trooper』の双方化学兵器やらを使いすぎて防護服なしでは人間が生存できない星での戦争なんて、安直なお題目だけの「反戦主義者」が絶対思いつかない究極の反戦SF設定だよね。Gerry Finley-Dayはその後、1979年に『Disaster 1990』という『Invasion!』以前のSavageの活躍を描いた(Volgan戦争とは関係ないらしい)シリーズを手掛けています。全20話ということなので80~100ページぐらいになるのか。今調べたところによると、一度単行本化されて、その後2013年にJudge Dredd Megazineにも再録されたらしい。その後、最近の増刊やらで見るような形でワンショット的な復活はあったのだろうが(このTPB版にも一編収録。しかしライター、作画ともUnknownって…?)本格的に巨匠ミルズがSavageを復活させるのは2004年から。こちらはまだちゃんと読めていないので、物語がどこから始まるのかもわかってないのだけど、2015年冬期のBook Ⅸでこの『Invasion!』では終わっていなかったイギリスの占領からの解放が描かれるというあたりだけは目撃しております。こちらについてはいずれちゃんと最初から読む予定ですので、今回はシリーズがそのような形で書き継がれているという情報だけ。

それから、2000ADでは過去と現在の名作を紹介するThe 2000AD ABCというのもYOUTUBEの方でやっており、今回の『Invasion!』と続く『Savage』を紹介してるのがこちら。っていうかそれをもっと先に見せるべきだったか?


もうちょっと画を見せられればなー、というときにこういうのがあるといいですね。また機会があったら使わせてもらおう。

それではこの巨匠パット・ミルズ未来史第1回、最後に未来史らしく年表を掲載いたしましょう!

巨匠パット・ミルズ未来史
1999年 Volgan共和国がイギリスを侵略。
Bill Savageレジスタンスとして立ち上がる。


こんだけ?、ってこれから増えるんだよっ!まだ第1回なんだから!というわけで、何とか始まりました巨匠パット・ミルズ未来史シリーズ!やってるのがホント当てにならないやつで大丈夫かよ、と思われる向きも多いと思いますが、何とか全力を尽くしこの英国コミックの至宝について詳しく語って行く所存であります。そして次回第2回はいよいよABC Warriorsが登場!巨匠ミルズによる未来史再構成が始まる『Volgan War』!えーと、引っ越しで色々中断して遅れてるところもあるのだけど、ここから頑張りなるべく早くの登場を目指しているところでありますので、ご期待ください。で?お前まえにご期待くださいとか言ってたアレとかアレはいつやんの?ううううるさいっ!ちゃんとみんなやるんだよっ!待っとれ!ごめん…。

今回、もうちょっとこのブログも何とかすべきだろうか、とぼんやり色々見ていたところ、なんか翻訳機能というのがあるのに気が付いたので、装備してみました。これで東北や九州出身の皆さんもお故郷の言葉でこのブログも読めるようになるでごんす。あれ?そういう機能はないの?まあ、なんぼか少なからずぐらいは海外からのアクセスもあるので、いろんな人にいくらか読みやすくなるのではないかと思います。それにしてもそもそも日本語として相当出鱈目でまともに変換されない言葉を多用する私の文章がちゃんと翻訳できるのだろうか?どうせなら全部語尾に”だっちゃ”を付けてもっと翻訳されにくくするのはどうだっちゃ?お前読んでもらいたいのかよ?もらいたくないのかよ?…外国で放送されているラムちゃんはきっとだっちゃって言ってないのだろうな、と思いながら今回は終わります。ではまた。

あと、今回につきましてはアマゾンでのプリント版で入手困難なものも多く、またKindle版でも日本ではかもしれないけど発売されていないものもあり、ちゃんとリストを作るのが困難ではあったりするのですが、どうしても画像の並んだかっこいいリストを作りたかったので、2000AD Onlineからの画像を使って無理矢理作ってみました。一応デジタル版に関しましては同Webショップまたは各機種でリリースされている2000ADアプリショップからすべて入手可能です。


●関連記事

2000AD 2015年冬期 [Prog 2015,1912-1923] (後編)

2000AD 2016年秋期 [Prog 2001-2011]

●巨匠パット・ミルズ未来史関連
■Savage

Invasion!

Savage: Taking Liberties

Savage: The Guv'nor

■ABC Warriors

ABC Warriors: The Mek Files 01

ABC Warriors: The Mek Files 02

ABC Warriors: The Mek Files 03

ABC Warriors: The Mek Files 04

ABC Warriors: The Solo Missions

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 01

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 02

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 03

ABC Warriors: The Volgan War Vol. 04

ABC Warriors: Return to Earth

ABC Warriors: Return to Mars

ABC Warriors: Return to Ro-Busters

■Ro-Busters

Ro-Busters Vol 1

Ro-Busters Vol 2

■Nemesis The Warlock

The Complete Nemesis The Warlock: Volume 01

The Complete Nemesis The Warlock: Volume 02

The Complete Nemesis The Warlock: Volume 03

'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。