Translate

ラベル バンド・デシネ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル バンド・デシネ の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年12月21日火曜日

バンド・デシネ Humanoidsの異色クライムコミック

今回はバンドデシネ Humanoidsの異色クライム作品2本立てでお送りします。Humanoidsと言えば、メビウス作画による『アンカル』などのアレハンドロ・ホドロフスキーによるメタバロンユニヴァース、 またはホドヴァースなどが有名で、今は休眠中のようだが、しばらく前はユマノイドとして日本でも独自にホドヴァース作品などを出版していたところ。あれ?ホドヴァース検索してみたけど見つからんぞ? Jodoverseって英語のウィキ見たら書いてあったんで、てっきり日本でも流通してるのかと思ったのだけど。読み方これでいいのかな?どうもワシそっちの事情に疎くて『アンカル』もずっと『インカル』だと 思い込んでたぐらいだし。それも最初の日本語版人に借りて読んだきりだし。まあ個人的にコミックの翻訳版どうも苦手でしかも高かったりもするんで、Comixologyで英語版セールの時に集めてちまちま 読み始めたぐらいなんだが。そもそもフランス語ので日本語訳と英訳とどちらがよくできてるのかも不明だけど、まあそっちの方が安いからね。で、とにかくJodoverseっていうそうです。まだあんまり広まってないなら ホドヴァースでもホドバースでもいいからみんなで広めてくださいね。なんか微妙にダサくて気に入ってるので。
なんか出だしから話ずれて関節はずれかけてるみたいだけど、とにかくそのホドヴァースで知られるHumanoidsの異色クライム作品です。Humanoidsももちろんのことホドヴァース以外にも色々な作品を出していて、 その中でクライム作品がどのくらいの割合を占めるのかもよくわからんのだけど、なんかボーっと時々見ていると割とSFやファンタジー傾向の作品が多そうにも見えるのだけど。まあそん中のクライム作品。 結構前のHumanoidsのクライムセールで読んでみようと思って適当に引っつかんで買って、もたもたしているうちにまた最近にクライムセールが来たので見たら、また同じの売ってたのでそれほどは無いのかもしれん。 多かろうが少なかろうが、とにかく面白ければいいんで読んでみた。で、どちらもこれやっぱりバンドデシネならではだよなあ、というちょっと変わった面白さがあったので、今回はこれで2本立てで やってみることにしました。

【Dark Rage】

原題は『Colère Noire』。オリジナルフランス語版の発行は1990年。シナリオはThierry Smolderen、作画はPhilippe Marcelé。約50ページの一般的なバンドデシネサイズで、全3巻。

ある日、シングルマザーMarielleは、ティーンエイジャーの息子と共に近くの大型スーパーマーケットへ買い物に出かける。退屈な買い物に付き合うのを嫌がり、持参したスケートボードで遊ぶ息子を駐車場に残し、 一人で店内に入るMarielle。店内に広がるのは当たり前のような日常風景。苦情をつぶやく年配の女性。いちゃつくイタリア人らしきカップル。
だが、そんなありきたりの風景は一瞬で破られる。
「全員、その場を動くな!」
奇矯な動物などのマスクを被り、銃を構えた男たちが叫びながら店内に駆け込んでくる。強盗だ!
強盗団はレジから金を奪いながら、威嚇に応じないと見た人々を次々と射殺して行く。店長。年配の女性。そして崩れた商品の下敷きとなった恋人を助けようとしたイタリア人カップルの男性。
そして、強盗団が去った後、店の外によろめき出たMarielleが見たものは、逃走中邪魔な車を排除しようと強盗団が銃を乱射した巻き添えとなった、愛する息子の遺体だった…。

凶悪な犯行ながら、警察は犯人の手掛かりを一切掴めず捜査は難航する。愛する者を失った悲しみに打ちひしがれるMarielle。そしてイタリア人カップルの女性Stella。同じ痛みに苦しむ二人は、 心を通わせるようになり、絶望のあまりともに断崖絶壁からの自殺を図るが果たせずに泣き崩れる。
そんな中、息子を失った痛みにさほど感情を動かされる様子すらない元夫に、半ば義務的に連れ出され外出したMarielle。後続車の乱暴な運転に事故を起こしそうになり、怒り車を降り相手の車に詰め寄る元夫。 その車から出てきた粗暴な雰囲気の男が、からかうように元夫をあしらいながら発した言葉、声、口調。それはMarielleがスーパーの犯罪現場で耳にしたものと酷似していた。
この男に間違いない!そう確信したMarielleは、ただちに車のナンバーを書き止め、警察へ向かう。
警察はただちに男の身元を突き止める。Harld Gregon。開業医。犯歴は無し。だが…。
彼女がいくら確信をもって訴えても、その主張だけでは警察は犯歴もない人間の捜査に乗り出すことはない…。
Marielleは空港に駆けつけ、帰国の途に就こうとしていたStellaに追いすがり、訴える。
「犯人を見つけた!Harld Gregonという男よ!お願い、私を信じて!」
Stellaは搭乗機をキャンセルし、Marielleと共にGregonの自宅を見張り、調査を始める。
だが、その数日後、警察がMarielleの家を訪れ、Stellaの写真を見せ、こう告げる。
「彼女は国際指名手配されているイタリアのテロリストだ。」

愛する者を失い、絶望と悲しみと怒りで結びついた二人の女の愛と友情の復讐行!その道は必ずや憎むべき仇にたどり着く!

[Comixology 『Dark Rage #1: An Afternoon Full of Lead』 プレビューより]

この物語は実は現実の事件からインスパイアされたものである。ブラバント連続殺人事件とでもいうのか。ベルギー、ワロン地方の同地で80年代に起こった未解決の連続強盗殺人事件ということだ。 1982年から85年の間に散発的にこの物語のようなスーパーマーケットなどへの武装強盗事件を引き起こし、合計28人もの死者を出している。あちらでは有名な事件らしいし、というか日本だってこんなの起こったら 歴史に残る何大事件に数えられるようなものだろうし、色々の憶測も立てられ、この事件についての小説や映像作品なんかも作られてそうだが、日本に入ってきてるのかどうかはちょっとわからなかった。
この作品に関しては、おそらくは真相を推理するとかいうより、インスパイアされたぐらいのものだと思うのだけど、なんとなくウィキに書いてある推測されている説などとも同様の部分があったりで、 実際のところどのくらいまでのものかもちょっとわからない。

で、私が何をもってこの作品を「異色」クライム作品と言っているかというと、既にComixologyのプレビューから紹介したこの独特の作画である。いかにもな感じのカバー画は英訳版の英語圏向けのもので、 オリジナルフランス語版のカバーはこちらの作画Philippe Marceléによるものになっている。どれを読んでみるかな、と色々選んでいるときにプレビューでこの画を見てこれに決めた。ちょっと少なくとも 自分の認識内のクライムやアクションといったジャンルとは違っている、いかにもフランス方面の癖のあるタッチにパステルカラーの美しい彩色。ところどころで床や壁面にアート的な パターンを取り込んだ構図なども見られる。しかし、あくまでもバンドデシネをそれほどは目にしていない日本人の目から見た印象で、先にいかにもフランス的、と書いたように、もしかするとそちらの目で 見れば、フランス-ベルギーでは伝統的ぐらいな技法・表現が多く使われ、このような画でクライムジャンルが描かれることはそれ程珍しくなく、「異色」という表現は少し強引なのかもしれない。
ただね、そこで思い出したのがずいぶん昔、始めたばかりの頃に書いた米国の『Chew』のことだ。あー、アレも結局まだ全部は読み終わってはいない体たらくなんだが、もう既に殿堂入りぐらいの名作人気作で、 最近は続編かスピンオフかなんかも出てる。あっ、そういや『The Boys』のそういうのもあったし…。とうっかりいつもの色々読めてなくて焦りモードに入ってしまったが話を戻すと、以前『Chew』について 書いた時、結構アメリカのコミックで伝統的に使われてきたような表現もベースにあるのでは的なことを書いたと思う。多分、米国のギャグ・ユーモア的な作品の流れや、アンダーグラウンド系などが 頭にあったと思うのだが、その後ずいぶん多くの様々な作品を見てきた後でも、というかそうしてきたからこそこの作画をどこかのカテゴリーに分類するよりも、そこに見られる個性・オリジナリティを 高く評価すべきという気持ちは高まっている。それを踏まえて、バンドデシネについてはまだまだでも、日本のマンガを数多く、米国英国あたりのコミックを少々は見てきた目で、敢えてこの作品を 異色クライム作品と評価したいと私は思うのである。

作者チームについて。シナリオThierry Smolderenは1954年生まれのベルギーのシナリオライター。代表作は近未来SF『Gipsy』。これはかなり有名な作品らしく、英語のウィキもある。Europe Comicsから 英語版もComixologyで販売されているので、いずれ読んでみなくては。短いながら本人の英語版のウィキも作られていて、フランス語版を見ると80年代からかなりの作品を著している。エッセイストとしても 知られるほか、アートスクールの先生として生徒と共にアニメーションのウェブジンに精力的に取り組み(現在は終了していると思われる。)、アイズナー賞にもノミネートされたコミックの研究書の著作もある。 また、えー加減に掴んで読んできたものの、結構大物作家だったらしいな。これはまた一つ名前を憶えとくべき作家だろう。こうやって自分的にバンドデシネも拡げて行くのだよね。
作画Philippe Marceléについては、残念ながら英語のウィキはないのだが、フランス語のウィキを読めないながらも見てみると1970年代から作品を発表し始めているからかなりのベテランというところだろう。 この『Dark Rage』のプリント版を米国で出版しているのだろうと思われるSimon & Schusterのホームページに辛うじて短い作者紹介が見つかったのだが、それをフランス語のウィキと照らし合わせて部分的な解読を 試みると、1943年フランスのボルドー生まれ。代表作は80年代の『Les Capahuchos』という作品だということらしい。で、これなんか情報ないかと検索してみたのだが、やはり英語で自分が理解できそうなのは 見つからず、画像検索を見てみると、おおっ!、この『Dark Rage』の流麗な線ながら少しあっさりした感じの画風とはちょっと違う、線やベタを重ねたダークなタッチ。こっちの方が自分的には好みか。 何気にこの画に惹かれてこの作品読んでみた私の鑑識眼なかなかのもんじゃないの、と自画自賛してみたりな。 だがこちら残念ながらComixologyでは英語版はおろかオリジナルフランス語版も販売されていない。というかそもそもPhilippe Marcelé作品、今んとここの『Dark Rage』のみなのだよね。 前にエンキ・ビラルとかも英Titan Comicsから出て、結構バンドデシネの主だったところComixologyで読めるんじゃないか、ぐらいのところ言ったけど、こうしてみるとやっぱり氷山の一角ぐらいなんだなあ、 と改めて思ったりもするよ。


【Bad Break】

原題『Pas de Chance』。こちらはストーリー・画ともPhilippe Richeによる単独作品。約100ページの全2巻。

市街地より遠く離れたと思われる周りを草原に囲まれた道。停車した救急車から一人の男が降り立つ。顔面を包帯に包まれ、救急隊員の服から自前のものに着替える様子から、その男が治療を受けていた病院から 隊員を装い救急車を盗み出し、ここまでやって来たのだろうということが窺われる。
男は顔から包帯をむしり取り、救急車を放置し、傍らの草原を下り始める。
やがて目の前に現れたのは、スクラップ車がうずたかく積まれた廃車置き場。車両パーツの中古販売を行っていることが看板から読み取れる。
男は懐から出した、何かから破り取って来たらしいその廃車置き場の広告と、看板を照らし合わせ、それが目的の場所であることを確認する。

無数の猫が徘徊する廃車の山の間を抜け、トレーラーハウスの事務所へとたどり着く。中にいたのは廃車置き場のオーナーの盲目の老人と、従業員の男。オーナーの狂った老人は廃車置き場に群がる猫を 殺すことに躍起になり、毒団子を作り続けている。
「昨日こちらに運ばれてきた事故車のメルセデスを見せてもらいたいんだが。」
従業員の男が彼を事故車が積まれているところへ案内する。
「ずいぶんひどい事故だったようだな。運転していた者はお陀仏だったろう。」
「…。」
「すまん…。あんたの家族だったか?」
「いや、運転していたのは俺さ。」
男は事故車のトランクを開け、中に残っていたブリーフケースを取り出す。そして、その中に仕舞われていた拳銃を取り出し、懐へ収める。
「俺の用事はこれだけだ。ついては帰りの足にまだ動く車を買いたいんだが。」
「うちは廃車しか扱ってない。そもそも車を売るための書類も作れないしな。良かったら俺が近くの鉄道の駅まで乗せて行ってやるよ。」
「それは助かるな…。」

従業員の男は呼び止める狂ったオーナーを放置し、男を自分の車に乗せ、最寄りの鉄道駅へと向かう。
「ところでそのブリーフケース、一体何が入ってるんだ?」
「実を言うと俺にもよくわかっていない。」
「どういう意味だ?」
「つまりこれは…、俺が解こうとしている謎だ。そしてこいつがやってきてからというもの、俺にやってくるのはトラブルばかりだ。」
「…?」
「実のところ、俺はずっとつけられている。首狩り共に。」
「あんた俺をおちょくってるのかい?」
「そんなつもりはない。もしあんたが誰かにこのスーツケースのことを訊かれたら、見たことも、俺に会ったことも黙っていてくれ」
そして、男は数枚の紙幣を差し出す。

駅に到着すると、一日一本きりの列車がちょうど到着したところだ。ツイてるな。
だがそう思ったのも束の間、列車から顔に異様な化粧を施した外国人の男たちの一団が降り立ち、奇妙な武器を振りかざし、男に襲いかかってくる!
殴打され倒れた男の救援に駆けつけた廃車場の男は、男が取り落とした銃を拾い上げ襲撃者に向かって発射する。
「なんてこった!俺、人を殺しちまったぞ!」
「構うな!逃げるんだ!運転を頼む!」
車に戻り、廃車場の男の運転でその場を逃れる二人。だが安心した次の瞬間、男は血を吐いて意識を失う。
「なんてこった!こいつも死んじまったぞ…。」

途方に暮れた廃車場の男は、車をポルノ女優のポスターが張り巡らされた広告看板のバラックの中に隠す。男が後生大事に抱えていたブリーフケースを開けてみる。中には表紙に薔薇のデザインが描かれた古い本が 入っていた。本を開いてみると、それは東南アジアの海へと向かった宣教師の船に水夫として乗り込んだ刺青師の男の手記だった。

男の乗った船はとある島に立ち寄り、海岸に現れた原住民に積み荷のマリア像と食料の交換を持ち掛ける。手にした武器でマリア像を打ち砕く原住民に恐れをなし、船に引き返そうとした一行だったが、 原住民の長と思われる男が、刺青師が自らの胸に彫った刺青に興味を示し、それを自分に彫るように身振りで訴えかけてくる。懐柔のきっかけになるかと、それを受諾し、刺青師は長の小屋で背中に 刺青を彫り始める…。
だが、その結果語り手である刺青師は、その原住民の長を殺し、部族に受け継がれたてきたある秘密の力を盗み出すことになる…。

「お前もその馬鹿げた代物を読んでしまったか。そしてそれに憑りつかれることになるんだよ。」
そこまで読み進めたところで、死んだと思っていた男が起き上がり、声を掛けてくる。あんた死んだと思ったよ…。
「俺はそう簡単には死なん。」
そしてバラックの中を見回し、ポルノ女優のポスターに目を止める。
「パリに戻るぞ。俺はこの女に会わなければならん。」

[Comixology 『Bad Break Vol. 1』 プレビューより]

要約すると、これは19世紀末~20世紀初頭頃にある刺青師によって盗み出された南洋の島の部族の秘密の宝と、それを探し求める男の物語である。うっかり巻き込まれた廃車場の男は、この後も謎の男と共に宝探しの 旅に同行することになる。そしてこの謎の男の正体は、このしばらく後に明かされるのだが、パリに住む死にまつわる遺物、ミイラやドクロなどの収集・販売を商売とする人物。何気にいわくありげだが、実は 何か秘密の力で不死身とかいうわけではなく、なんかちょっと身体が丈夫なだけのようだ。
男が「首狩り」と呼ぶ追跡者の外国人集団は、その宝を取り戻すべく南洋の島からやって来た部族の子孫である。
男が会わなければならないと言っていたポルノ女優には、実は下腹に本の表紙に描かれていたものと同じデザインの刺青があり、そこから彼女の祖母が刺青師の物語に深く関わる人物であったことがわかり、 彼女も加えた三人で謎の宝を探索する物語として展開して行く。

さて、この作品の「異色」たるゆえんだが、その独特のスタイルにある。ここまで紹介したストーリー(Vol.1の約半分、50ページぐらい)の中でも、何かこれは後にもう少し詳しく説明されるのだろうか、 と思わせるような部分がいくつもあると思うのだが、それらについて後のフォローはほとんどない。例を挙げれば前述の、この男が何か超自然的な力かなにかで不死身なのかと思わせるようなところがあるのだが、 特にそんなことはないというようなところだったり。後半、話が進むにつれその度合いは大きくなり、何か行き当たりばったりのロードムービー的な展開になってくる。カバーの画像、小さくてちょっとわかりにくいかとは 思うのだが、これはVol.2前半ぐらいのあるシーンを描いたもので、夜道に停めた車のヘッドライトの中、三人が全裸で立っているところ。ある事情で大雨の夜に墓荒らしに行き、その後雨に濡れ泥で汚れた服を車内に干し、 全裸で車の外に出てきたというシーンなのだが、その後襲撃に遭い、服ごと車を盗まれ、しばらくは三人とも裸のまま草原を横切り、見つけたボートで川を下るというような珍妙な展開になってくる。
なんか廃車場の男、とかいう感じで説明してきたのだが、こいつら別に名前がないわけではなく、説明したストーリーの少し後ぐらいに名前も出てくる。それにしても名前がないとやっぱわかりにくいかと思うんで付けた みたいな感じだったりして、とりあえずここまでは出てこないし、まあいいかみたいな感じでそのまま書きました。まあ、そのくらいに考えちゃうくらいなんかゆるいテイストもあったり。
だがこれらは作者のストーリーテリングの不手際というわけではなく、明らかにその感じを狙ったものだろう。 Comixologyの紹介文でも「noir tropes and dark humor」というような言葉が使われていたり、オフビートな、という表現もあったりもした。
個人的な感想では、例えばゴダール初期の『気狂いピエロ』なんかで、最初ストーリーがちゃんと語られるのだけど、だんだんグダグダになって行くのと似たようなテイストが感じられて結構楽しかった。 なんかフランス映画とかもっと多く見てる人だともう少し的確なことも言えるんかもな。いや、いつもながら映画言いたがりなんてお呼びじゃねーけど。まあ、直線的に結末へ向かって行くクライムストーリーとは ちょっと違った、色々遊びがあったり、意図的にグダグダにしてみたりなどのなかなか楽しい異色クライムコミックでした。

作者Philippe Richeについては、Humanoidsのホームページの著者紹介ぐらいしか自分がわかるのは見つからなかったのだが、それによると1971年生まれで、アニメーションのストーリーボーダーとして 『アーサーとミニモイの不思議な国』や『CODE リョーコ』などの作品に携わった後、2003年に出版されたこの『Bad Break』がバンドデシネ作家としてのデビュー作となるそうだ。ちなみにこの作品、 まあ英訳されてるぐらいだから結構好評だったのだろうけど、その後2016年にこの三人組が再登場する『The Alliance of the Curious』という続編も描かれている。こちらも既に英訳されている。 こちらはComixologyではコメディのジャンルも付けられている。これ以外にどのくらいの作品があるのかはよくわからないのだが、ComixologyではGlénatからの『Les Mystères de la Cinquième République』というシリーズが 販売されている。こちらはライターとしてで、英訳はなくフランス語オリジナル版のみ。ジャンルはアクション/クライム/ヒストリカルというところで、シリアスな作品のようだ。 71年生まれというともう50歳になるところだが、なんかまだ面白そうな作品を書いてくれそうな感じじゃない。続編の方もいずれ読もうっと。

というわけで、今回はHumanoidsの異色クライムコミック2本立てでお送りしました。なんかよくわからないまま適当に掴んだものでも、色々調べてみるとそれなりにバンドデシネや作家の一端が見えてくるものですね。 例えばバンドデシネも読んだのを全部書いてるわけじゃなくてそん中で気に入ったのについてだけよく調べて書いてるわけだけど、自分的にいまいちかなあ、と思ったものでも詳しく調べてみるとバンドデシネの中での 位置とかがそれなりに見えてきたりして得るところもあるのかなあとか思ったり。しかしまあ、なんか下手にいくらかわかってこれ読まなきゃ、みたいに固まってしまうより、なんか適当にこれ面白いかなあ、 と引っ掴んで色々読めるのが続いた方がいいのかなあ、とも思ったりします。と言いつつ次は某有名作を準備中だったりするのですが。
なんかやたらと「日本のマンガとは違います」が強調されるバンドデシネですが、例えばキャラクターシリーズ物がメインのアメリカと比べれば、基本的に日本同様作家によるオリジナル作品であったりと 日本のマンガと同じ感覚で手に取りやすいのがバンドデシネだったりするので、そんな感じで適当に掴んで読む人が増えるといいんだけどね、と思います。


あーもう年末かよ…。またなんか随分長く中断してしまったよ。まあ毎度おなじみ、昨年はコロナで中止となった法事など色々言い訳はあるんだが、もう少し頑張れよ…。なんか週末少し休んで気力が回復 してくると、なんでこんなに書けないんだろうとか思っちゃうけど、まあ平日の日々に関しては今日は力でないんでしょうがないや、の繰り返し。なんかさあ、自分だけの感じかもしれないけど、今年気温の下がり方 極端じゃない?ここまでレベル1だけどここからレベル上がって急に強くなるみたいな感じで。先週末辺り結構最後近くまで書いてて、これならあと少し平日ちょこまか書いて週末までにアップできるぞ、 と思っていたはずなんだが、なんか寒さに対応できなくてへこたれて、ほとんど書けなくてまた週末送りになってたり。何とかお正月休みでそこんところリセット的に回復できるといいんですが。 しばらくぶりになってしまいましたが、まだ全然やめてないんでまた頑張りますです。ばいちゃ。

こちらがもたもたしている間にまた戸梶圭太先生の新作が出てしまいました。詳しくはまた次回小説の方で。何かいつもの感じでバンドデシネ物はKindleじゃ無理だろうな、と思っていたのですが、さすがHumanoids!どちらの作品もちゃんと見つかりました。しかもKindle unlimited会員なら無料で読めます。Europe Comicsとかも日本でも販売してくれるともっとお手軽になるのにね。


●関連記事

ゾンビ・コミック特集 番外編 第1回 DoggyBags Heartbreaker -フランス発ホラーアクション!-

Black Op -バンド・デシネ エスピオナージュ大作-

Last of the Atlases 第1部 -バンド・デシネ歴史改変SF超大作開幕!巨大ロボット VS ?? ‼-


■Dark Rage



■Bad Break



■The Alliance of the Curious



■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!



'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

2021年5月23日日曜日

Last of the Atlases 第1部 -バンド・デシネ歴史改変SF超大作開幕!巨大ロボット VS ?? ‼-

犬も歩けば棒にあたる。なんか行き当たりばったりで読んでるバンド・デシネも結構スゴイのにあたった感じ。今回はバンド・デシネSF大作『Last of the Atlases (原題:Le dernier Atlas)』第1部であります!
まず始めに注意しておかねばならんのは、今回この第1部ほぼ全面的にネタバレします!ということ。何故かというと今回のこれちょっと話が入り組んでいて謎やら伏線も多く、なかなか本筋が見えてこず、最初のさわりだけを書いたんじゃなかなか真の面白さが伝わらん。そして、私は今回のこれの面白さをなんとか伝えてなるべく多くの人に読んでもらいたいと願っているからである。
この作品全3部で、私が読んだその第1部のほとんどをここに書いてしまう。なので、これ以上ばらされたらヤバい、と思った人はその時点でただちにこれを読むのを止めて、本編に取り掛かるように! 以上、ご注意と警告終わり!

ではまず最初にそのちょっとややこしく見えるこの作品の出版形態から始めよう。この作品の英訳版『Last of the Atlases』は、1話が25ページのアメリカサイズで発行され、全10話で第1部を構成している。 全3部で発行される予定で、本国フランス版は第2部まで、英訳版も現在第2部までに相当すると思われる20話までが刊行されている。英訳版の形態は電子書籍のみで、アメリカではKindle版も出ているようだが、 現在のところ日本から購入できるのは、Comixologyからのみ。オリジナルのフランス語版では、これら10話が232ページの1冊の単行本に収められ、2巻までの単行本が発行されている。2019年にベルギーのDupisから発行され、同年Europe Comicsから英訳版が発行されている。
なんかもっともらしく言っとるが、実はこれまだあんまり英語での情報も少なく結構手探りでこの辺までやっとわかったかな、というところ。そもそもは、昨年のいつかにこれの第1部10話がセールで発売されていて、なんか心惹かれるものがあって購入し、読んでるうちに面白いんでもっと情報を集めようと思ったのだが、これComixologyでは英訳版しか販売されておらず、原題すらわからずあれこれ右往左往してやっと見つけたぐらい。原題がわかってそれで検索してオリジナルの版元Dupisのページやアマゾンのを見て、まとめた単行本がフランス語圏では出てて、自分が読んでるのが 全3部の第1部なのだと分かったという次第。まあバンド・デシネってそんな長い作品あんまりないから最初はその10話分で完結と思い込んでて、続きが出てるの見てあれ?って思ってたぐらいだし。
で、現行フランス語圏で出てるのはその単行本の方で、英語版はその10話分冊版だけなので、どっちも出すと価格面で齟齬が出てしまうので、Comixologyではフランス語オリジナル版が出てないのではなく、 フランス語圏のみで販売されてるのかな、と想像したりもする。そしてこの10話分冊形式も英語版のみの仕様なのかと思ったら、画像を検索していたら同様の形式のプリント版でフランス語のタイトルのやつがあったりとまだよくわからんことも多い。しかしとにかくは本国オリジナル版の刊行と同年ぐらいの時期にEurope Comicsから英訳版が出るくらいなので、フランス語圏の方でも結構な話題作であることは確かなんだろう。
ちなみに今回オリジナルフランス語版の単行本をトップ画像に使ってるのは、フランス語読めるふりして格好つけようというのではなく、英訳版分冊のカバーよりこっちの単行本の方が見栄えがするというだけの理由。あっちはあっちで悪くはないんだけど、まあ後ほど紹介するんで意味は分かってもらえると思う。ちなみにEurope Comicsはデジタル専売で、多分この単行本版が英訳で出ることはなかなかないと思うよ。

ということで、まずは作品の入手方法などに関する説明も事前に済ませましたんで、あとはいつ読むのをやめても大丈夫。ではここでいよいよこれがどういった作品であるかを説明しましょう。
アルジェリアの荒地に突如出現した使徒的なUMO!人類(のごく一部)はインドの地で突き刺さり約40年厄介物件となっていた巨大ロボットを、それと対峙させるべく修理・再起動する!というのがこの第1部の物語である!
さあ!これでもう十分だろう!このくどくどとしたネタばらしをとっとと読むのを止めて、今すぐ本編『Last of the Atlases』を読むのだ!…ってお前そんなに自分の書いたもの読ませたくないのかよ、って感じなんだが…。いやまあとにかく私としては事前注意を重ねた後、心置きなく遠慮なくこの物語について語りたいだけなのですよ。じゃあ、もう後は何の遠慮もなくバシバシネタバレしちゃうよーん。では『Last of the Atlases』!始まります!

【Last of the Atlases】

まず、大体の基本設定から始めよう。と言っても実のところは本編でもあまり説明されていないのだけど。この物語はフランスの過去の歴史の中で巨大ロボットが開発されていたという歴史改変SFである。 まあ日本的には巨大ロボットが出てくるのはもはや歴史改変感あんまりないかもしれないけど。
Atlasというのがそのロボットだが、これは英語版タイトルで複数となっているように単体のロボットの名称ではない。これはアルジェリアがフランスの 植民地だった時代に鉱物資源の掘削や建設のために開発されたロボット群の総称である。その開発は第一次大戦後に始まり、試作機から何世代化に渡る改良を経ながら開発が進められていったようである。 だがその後、1954年から62年にかけて行われたアルジェリア独立戦争の後と思われる時点にそれらはすべて廃棄され、アルジェリア戦争と同様にフランスの歴史の汚点として国内的には批判の対象となりこの物語の 2018年には忘れられた存在となっているようだ。とりあえずはこの辺のことについてはかなり推測で、戦争とも関係ない理由で廃棄されたのかもしれないのだが、とりあえずの推測される設定として書いておく。 第1部の時点ではかなり曖昧なところが多いのだが、これは物語がさらに進むにつれて明らかにされて行くところなのだろう。
「Batna Disaster」 という言葉が登場人物の会話の中で度々語られるのだが、その内容も不明でバトナ(アルジェリアの地名)災害と訳すべきか、それとも惨劇というべきものなのかも現時点ではわからない。ただ戦争、あるいは別の状況の中でAtlasが何らかの事態を起こし、それゆえに廃棄され、忘れられた存在となったのだろうということは想像できる。ちなみに、英語版では10巻の巻末にアルジェリアでのAtlasの開発史というような 文章が掲載されているのだが、それも開発が軌道に乗ったあたりまでで終わっている。多分第2部の巻末にはこの続きが掲載されているのだろう。
その他、若干わかりにくいところはまだあると思うのだが、その辺はストーリーの進行に伴い気付いたところで説明を挟んで行きます。ちなみに今回これ書くために本編読み返してたりしたところで気付いた事後修正的なの結構多いです。アルジェリア戦争あたりまで含めた歴史改変もありうるかもという感じで、ここに書いた推測される設定も全部ひっくり返る可能性もあるのですが、一応現実の歴史も参照されるべきと思い、最初に書いたのからあまり変えないでおきました。第2部以降を書くときに全面的に間違ってました、と言い出す可能性もあることを注意しておきます。なんか曖昧でごめん。

物語はアルジェリア サハラ砂漠のタッシリ・ナジェール山脈で起こった怪現象から始まる。大量の渡り鳥がこの地を訪れ、そして再び飛び立つことなくその地に留まり続け死を迎えている。 地元民の連絡を受け、視察にやってきた国立公園の職員は、その中のある地点にそびえ立つ奇岩を取り囲むように鳥たちが集結しているのを目撃する。

[Comixology 『Last of the Atlases』#1 プレビューより]

そして舞台はフランスに移り、ここで主人公の登場。Ismael Tayeb。アルジェリア移民で、地方ギャング組織の幹部である。年齢は40代ぐらいに見えるけど、もっと上かもしれない。 子分二人を引き連れ、縄張り内のカフェへのゲーム筐体の納入や、みかじめ料の取り立てに回っているところから始まる。店との折衝は子分が行い、彼は監督を兼ねて見回りに同行しているというところ。
彼らが次に向かった店は、その名もAtlas。看板にはかつてのAtlasのロゴマークまでが使われている。店は老人向けのカフェ。その名の通り過去のAtlasの写真や、巨大なレンチなどが壁に飾られている。 それらの装飾を興味深げに眺めるIsmael。
このシーンで過去にそういうロボットが存在したことと、Ismaelがそれに何らかの思い入れがあるらしきことが示される。

一通り取り立ても終わり、Ismaelが子分とレストランで一杯やって店を出たところで、彼の携帯が鳴る。組織の幹部であるMomoからだ。
「Ismael、手を貸して欲しい。どこにいる?すぐに迎えに行く。」
車で現場へ向かう道すがら、Momoは彼に事情を説明する。とんでもないやつが縄張り内のクラブオアシスに現れた。すぐにでも警察が駆けつける。一刻も早く奴をそこから引っ張り出さなければ。
本当に俺の手が必要なことなのか?一体誰が現れたっていうんだ?
Teflon Donだ。奴がフランスに戻ってきた。

Jean Legoff、通称Teflon Don。現在はアルジェリアに在住している指名手配中の大物ギャングだ。フランスに入国していることが警察に伝わればただちに逮捕に駆けつける。
縄張り内の店でそんな騒ぎを起こされてはたまらない。IsmaelとMomoが到着するとクラブの駐車場には組織のボスも駆けつけ、様子をうかがっている。何者かが既に通報したらしく、警察も到着し始めている。 一刻の猶予もない。
「俺が一人で入る。」
Ismaelはそう告げ、Momoに逃走用の車の配置を頼み、独りでクラブへ乗り込んで行く。
店内に入り、張り込みの刑事の横を抜け、バーでウォッカのボトルを買ったIsmaelは、それを携え、奥のVIP席に進んで行く。
「一杯おごらせてもらっていいでしょうか?」
「断る理由がどこにある。遠慮するな。」
ホステスを侍らせ、上機嫌のLegoffが応える。

ちなみにここまでが第1話。何が起こるのか、と楽しみな内容ではあるのだけど、ここまで書いて面白そうだろう、さあ読んでくれ、というのはちょっと難しいでしょう?では続きを進めよう。

なんとか穏便にLegoffを連れ出そうとするIsmaelだが、耳を貸す気配もない。仕方なくLegoffに耳打ちするIsmael。
ここに警官が集まり始めています。今すぐここを出ましょう。
だがそれは酔って上機嫌のLegoffのテンションに火に油を注ぐだけ。
「オマワリだと?どこだ?ハッハッハッ!俺はオマワリの間抜け面なら1マイル先からでも見分けられるぜ!」
拳銃を抜こうとするLegoff。だがIsmaelはその手を抑える。
「やめてください。」IsmaelはLegoffの腕をひねり引き金にかけた指を折る。

戦意を喪失したLegoffを裏口から連れ出し用意した車で逃亡するIsmael。追跡車の目を盗み組織の隠れ家でLegoffを下ろした後もウォッカをあおって走り続け、やがて警官隊に囲まれ止められる。
「本当に申し訳ない。ちょっとしたお遊びのつもりだったんだ。あんたたちが警察だなんて知らなかったんだ。あの男もオアシスで会ってちょいと意気投合しただけで、何者かなんて知らなかったんだ。 運転しているうちにアイツだんだん不愉快なことを言い始めたんで、腹が立って車から蹴り出した。どこだったかなんて憶えていない。」
連行された警察署でも言い逃れを続けるIsmael。その間にLegoffはアルジェリアへ戻る。軽罪で釈放されるIsmaelを、妻Elenaが迎えに来る。

Ismaelの妻Elenaは、なんか映画で見たことあるような感じの典型的なフランス美人。金髪、おしゃれボブ、フランスっぽいブランドファッション。うーむ、上手く伝えられん。ビジュアル的な キャラクター紹介は、最後にある方法でやりますんで。哀し気な表情をたたえた女性で、これ以前にも遅くなるというIsmaelの電話を受けるシーンなどがあり、実はこの直前に同組織幹部Momoと 何らかの関係があると思われる描写もあるのだが、それについては第1部では明らかにはされない。

[Comixology 『Last of the Atlases』#2 プレビューより]

ここでもう一人の主人公登場。Francoise Halfort。52歳のベテラン女性ジャーナリスト。数多くの分野でのノンフィクションの著作があり、その中にはAtlasにまつわる「Batna Disaster」を扱ったものもある。 現在は「Batna Disaster」のその後についての取材のためにアルジェリアを訪れている。
昆虫学者からこの地で発見されている昆虫の奇形化について説明されるFrancoise。まだ詳細については不明な「Batna Disaster」だが、その地域は放射能汚染区域として立ち入り禁止になっている。 そして昆虫学者は更に最近発見されたサンプルを彼女に見せる。奇妙な鳴き方をするその蝉は、羽に記号か文字のように見える模様が出来ていた。これはこの地域で見られる昆虫の奇形化とは異質なものだと いうことだ。この種類の蝉はここから1000マイル南のタッシリ・ナジェールに生息する種類のものだと昆虫学者は付け加える。そして、更に最近発見されたものとして、 全く同じ模様が羽に浮き出た蛾の標本を彼女に見せる。

Ismaelは組織のボスと共にアルジェリアへ向かう。Legoffは、彼を救う意図だったとしても、Ismaelのやった行為を許すような男ではない。
笑顔で二人を迎えるLegoff。そして、もう一度ああいったことが起きたなら、また俺の指を折るか?という問いかけに、Ismaelがそれしか方法がなければまたやります、と答えた後、 哄笑し、取り出した断ち木鋏でボスの指を切断する。
落とし前はついた。そいつに手当をして空港まで送ってやれ。そしてLegoffはIsmaelに向かって告げる。お前は残れ、話がある。

同日、その地を地震が襲う。
タッシリ・ナジェールへ向かっていたFrancoiseは、愛犬の異様な吠え方に以前の経験から異変を察知し、急いで引き返す。
夜、Legoffの屋敷。お前は予兆を信じるか?Ismael。明日俺は大きな取引のために南へ向かう。その前夜に来たのがお前だ。それはお前がこの取引を成功させるために必要な人間だという意味だ。 お前の人生を変えるチャンスをくれてやる。
その時、彼方から届いた地震の揺れが地面を鳴らす。
見たか!これが予兆だ!

翌日、Legoffと共にIsmaelは、南、マリ共和国との国境地帯へと向かう。そこでは武器、麻薬を始めとする様々な違法取引が公然と行われている。
LegoffはIsmaelを武器を積み込んだトラックの横に座る老人へと引き合わせる。
我々が欲しいのは放射性物質だ。多ければ多いほどいい。老人はIsmaelにリストを手渡す。
リストを一瞥し、Ismaelは老人に告げる。もちろん問題ない。

帰路、一行は昨夜の地震の震源地であるタッシリ・ナジェールへ立ち寄る。そこには巨大な煙の柱がそびえ立ち、周囲を無数の鳥が飛び回っている。
一夜明けた現場には、調査に赴いた地震学者らのグループと共に、Francoiseの姿もあった。やってきたLegoffら見るからに危険人物の集団に、Francoiseはジャーナリストとしての興味を惹かれ、近付いて行く。 部下が追い払おうとするが、意に介さず気さくに話し続けるFrancoise。あの鳥の群れは地震以前からここに集まっていたものだが、発生した煙の柱については地震学者も原因がわからずにいる。

Ismaelは到着後、彼らから離れ、独りで煙の柱に近付いて行く。
柱を見つめるIsmaelの目が恐怖に見開かれる。
煙の隙間から、僅かに垣間見えた内部から発光しているようにも見える謎の物体の一部。
Ismaelは意識を失い、その場に倒れ伏す。

このIsmaelがタッシリ・ナジェールで見たものに恐怖し、倒れるシーンがこの第一部前半の山場だ。彼はこの地で起きている怪現象の原因について、明らかに何か関係がある。
主人公Ismaelの過去は第一部の時点では多くの謎に包まれている。先のボスと二人でアルジェリアへと向かうシーンでは、彼はボスに対し、自分はフランス生まれでアルジェリアには来たことはない、と語る。 しかし、ここから続く次のシークエンスでは、Ismaelの少年時代の回想シーンが入り、年長の友人に誘われて深夜立ち入り禁止の工事現場に置かれたAtlasを見に行って現場作業員に見つかって殴られるという エピソードが描かれるのだが、そこはアルジェリアではないかと思われる。また、更に後、その時点より幼いIsmaelが、母と共に自宅の窓からAtlasを見ているという明らかにアルジェリアでの回想も入る。
Ismaelがボスに自分はアルジェリアには行ったことがない、と言った理由も、彼がタッシリ・ナジェールで見たものと関係があるのかもしれないということは想像されるが、それは第二部以降に明らかにされてくる謎なのだろう。
あともう一つ。この移動の際車中でLegoffが「76年のバトナ爆発のあとに荒稼ぎした。」と話す場面があるのにこれを書いている途中で気付いた。この「バトナ爆発」は他のシーンで「Batna Disaster」と呼ばれているのと 同じものだろう。何らかの事態でAtlasが爆発し、その現場が放射能汚染されたというのが推測される状況だ。しかしこれが1976年となると、現実のアルジェリア戦争終結1962年より随分先の話となる。序盤のところで 端折ってしまったのだが、Ismaelが取り立てに向かったカフェAtlasでは、店主が古いAtlas乗組員のトレーディングカードコレクションを見せるシーンがあり、そこから軍属→アルジェリア戦争という連想をしてしまった のだが、少し早合点だったか、歴史改変SFとして単にロボットがいるだけではなく、その後の歴史なども違っているのかもしれない。
もしかすると第二部以降の展開で全く見当違いのことを言ってたことになるのかもしれないんだけど、現代史の中でフランスとアルジェリアの関係として重要なポイントであるアルジェリア戦争についても外せないので、 とりあえずアルジェリア戦争後に廃棄されたと思われるという最初の推測も残しておこう 。どーせ間違っててもワシが恥かいて、またやっちまいました、ごめんなさいと謝るぐらいのもんだしな。
そしてこの区切りで、版元Dupis制作による宣伝動画を紹介しよう。Ismael編、Legoff編の2種。Ismael編では彼が煙の柱の中に見て驚愕したものも登場します。



熱中症か?情けない奴じゃのう。Legoffに嘲られながら連れ帰られたIsmaelは、彼の屋敷で目を覚ます。プールサイドで朝食をとるLegoffの前に現れたIsmaelは、ある提案をする。
放射性物質の件だが、心当たりがあります。Batna Disasterのあと、Atlasがインドに運ばれた件を憶えてますか。あの中の一機-ジョルジュ・サンドが法的な問題で解体されずに、まだ残っている。 あのロボットは原子力で動いていた。そこから連中が要求する放射性物質を取り出せばいい。
だがその手の原子力電源と言やあ何トンもあるはずだ。どうやって運び出す?
空輸する。ロボット丸ごと。

ジョルジュ・サンドはインドへ空輸された際、着陸地点である港の直前でヘリウム装置の故障により墜落した。続いて空輸されたAtlasは、現地で解体されたが、その事故によりジョルジュ・サンドは バトナの呪いだと恐れられ、作業員が一切近付かず、解体が進まなかった。更にその事故の港の修理費用をどこが負担するかが問題となり、法的に動かせない状態になっている。
Atlasには移動のためにヘリウムガスを充填するバルーン的な装備が取り付けられている。つまり自力で浮かび、移動するわけだが、どうもそれを「飛行」と表現するのはしっくりこないんでとりあえず「空輸」と書いておいた。ちょっとこの表現は後ほど変わるかも…。
Ismaelはインドへ向かい、海岸のバラックの向こうに傾きながらそびえ立つ、ジョルジュ・サンドの姿を目の当たりにする。

ジョルジュ・サンドと言えばフランスの有名な女流作家。代表作と言えば…スマン生憎読む機会がなかったんでわからん…。だが、ジョルジュ・サンドと言えば誰でも名前ぐらいは聞いたことあるだろう。 ワシだってあったぞ。いや、実は英語で「George Sand」と書いてあるのをずーっとジョージ・サンドと読んでて、これ書くときになって誰やろ?もしかしてフランスの有名な軍人かな?とか思いながら 検索してみて初めて分かったのだけど…。でもなんかこういう文学者の名前をロボットに付けるとかいうの、フランスっぽいよね。

ジョルジュ・サンドを手に入れるため、Ismaelはインドの地元のギャングと話をつける。ジョルジュ・サンドを撤去すれば、その土地の再開発で大きな利権が発生する。
作業のための人員はこちらで確保できる。だがムスリムは信用できねえ。俺たちの信頼を得たかったら、ひとつ仕事をやってもらおう。お前の国での件だ。
Ismaelはインドのギャングからの請負仕事や、ジョルジュ・サンドを動かす専門的人員の確保、身の回りの整理などのために一旦フランスへと戻る。

一方、Francoiseはなんだかんだで自分が妊娠していることを知る。52歳にして!なんだかんだというのはエロいやつ。52歳にして!フランス語圏の人はたいへんえっちなので、マンガに女性が出てきたら 必ず脱ぐきまり。えー?ワシが読んだのだけ?

Ismaelはインドギャングのヤバい仕事を片付けた後、縄張り争いのごたごたで敵方のチンピラを射殺し、フランスから国外へ逃亡を余儀なくされる。そして脱出の際、かつてAtlasのエンジニアだった老人 Roland Fabreを脅し、インドへ同行させる。
Roland Fabreは少し前のシーンで街中の荒らされたAtlasの記念碑の修復を話し合っている男たちの一人として登場する。Ismaelは身分を偽り彼らに近付くが、一旦はFabreに強硬に追い払われる。 この辺の爺さんが集まっているシーンが在郷軍人みたいのを思わせ、私のAtlas軍用という印象を更に補強したりもしてるのだが、そこんところは現時点では不明。なんかこっちの思い込みでミスリードしてしまっていたらごめん。
それからフランスに戻った時の中で、奥さんと話すシーンもあるのだが、そこではIsmaelはタッシリ・ナジェールで遭遇したものについて、なんだかはわからないが俺はこいつと闘わなければならないと 思ったという風に語っている。現時点ではIsmaelもこれの正体について分かってはいないようだが、何か失われた記憶みたいな形で絶対にこいつとは関係があると思うのだが。これもミスリード?

[Comixology 『Last of the Atlases』#7 プレビューより]

インドではジョルジュ・サンド再起動のための作業が始まっている。インドのギャングに紹介された業者は、なんかインドの色々な映像とかで見た覚えのあるような巨大な仏像とか宗教的な感じの装飾とかの製造・修復を行っているらしい会社。恰幅の良い押しの強そうな女社長が取り仕切っている。
こんな環境では作業できん!FabreはIsmaelに叫ぶ。
あの女社長、ワシの渡した設計仕様図をロクに見もせんで、踊りで作業を指示しとるんだぞ!

一方、Ismaelはフランスにいる自分の舎弟に、ジョルジュ・サンドの乗組員の生き残りを探し出させる。舎弟はAtlasについてのノンフィクションの著作があり、ジョルジュ・サンドの乗組員へのインタビューも 行ったFrancoiseから情報を得ようとするが、もちろんその位のチンピラではあのしたたかなオバハンに敵うわけがない。だが、舎弟はちょいと頭を使い、出版社へ行ってFrancoiseの使いだと偽り、 受け取った郵便物の中からFrancoiseに連絡を取ろうとしていた元乗組員の一人の所在を掴む。
Andre Blochというその老人は、Francoiseがその本を出版した時には連絡がとれず、自分も話したいことがあるから、とその後連絡を付けようとしていた人物。ちょっと粉飾した舎弟の話に乗せられ、 インドへと向かう。
以前のIsmaelがFabreのリクルートを試みているところでは、Fabreがジョルジュ・サンドの乗組員を「裏切り者」と呼んでいるシーンがある。その意味も第一部ではまだ明らかにされていない事項のひとつなのだが、 そのためにかつての乗組員はなるべく公の席に出ないよう隠れて暮らしているようだ。その中でAndre Blochはちょっとお調子者のところもあるのかもしれない。かつての仲間にも電話で「ジョルジュ・サンドが 復活するぞ!一緒にインドへ行こう!」と誘いをかけるのだが、何言ってんだこのバカ!そんな口車に乗るな!と断られる。まあそれでもBlochだけは来るのだが。

上記のような事情で顔を合わせてから仲が険悪なFabreとBloch。そしてジョルジュ・サンドの作業現場には、インドのギャングも乗り込んでくる。
こっちの土地買収にはまだ時間がかかるんだ!こいつが撤去されると広まったら台無しだ!あんまり目立つことをするんじゃねえ!

一方、タッシリ・ナジェールでは煙の柱の中から遂に謎のUMOが姿を現す!付近の住民は大挙して避難に走り、その異容は全世界に報道し始められる!

遂に第9話にしてそのUMOが登場する!私はこれを一目見て「わー、コレ完全に使徒やんけ!」と思ったんだが、日本の多くの人が同様ではないかと思う。で、それを是非見せたいと思ったんだが、どうもプレビューとかでは 見つかんないし、と思っていたところ、ありました!以下はフランスの公共放送France 24にてアップロードされたインタビュー映像。後半の方にその姿が登場いたします!



世界を騒がすUMOのニュースはインドへも届く。滞在しているホテルの自室でスクリーンを凝視し、慄くIsmael。
「それがあんたがAtlasを探しに来た理由だったんだね。」
驚き、振り返ったIsmaelの背後に立っていたのは、踊る女社長Seghal。
あんたは最初から何かを隠していると思っていた。心配しなくてもギャング共に言うつもりはないよ。だが、あんたの計画に巻き込まれている人間には本当のことを話すべき時なんじゃないのかい?

その夜、踊る女社長Seghalの自宅で主要メンバーによる会合が開かれる。Ismael、FabreとBloch、Seghalと有能っぽいクールな美人秘書。
Ismaelは全員に自分の真意を説明する。
このプロジェクトに残るか、去るかは今決めろ。ジョルジュ・サンドは2日後の新月の夜に出発する!

そして迎えた出発の夜。インドのギャングはそれを察知し、とどめるべく強硬手段で迫ってくる。発進に向けた作業が続く中、一人外に残り応戦するIsmael。
銃弾が飛び交い、呼ばれた祈祷師が祝福の祈祷を詠唱する中、遂にジョルジュ・サンドは息を吹き返し、沈んでいた地面から浮上する!

その頃、フランスではFrancoiseが出産。生まれた子供の額には、かつてFrancoiseが見た昆虫の羽の物と同じ模様が刻まれていた!

【第2部へ続く】

タッシリ・ナジェールに現れた使徒(?)は何者なのか?その目的は?そしてIsmaelとの関係は?Batna Disasterとは何だったのか?Francoiseの子供はこの物語でいかなる役割を果たして行くのか? 謎が謎を呼ぶ!
人類の危機に立ち上がったのはアルジェリア系フランスやくざ!40年間インドの地で厄介物件となっていたロボットを修理再起動して謎の使徒(?)へ立ち向かう!乗組員は脅して連れてきた ジジイ!騙して連れてきたジジイ!踊る女社長とその従業員!美少女美少年皆無のロボットアクション!ラブコメ要素の代わりにやくざ抗争要素満載!驚天動地!前代未聞の バンド・デシネ歴史改変SF大作ここに開幕!
なんだまだ読んでたんか?早く本編を読め!もうこの続きの第2部も出とるぞ!急げ!

そしてこちらがDupis制作による第2部のトレーラー。大丈夫、それほどネタばれないから。



製作チームについてなのだが、生憎あんまり資料がなく、ほとんどEurope Comicsの紹介ページ頼みになってしまうのだが、まずこの作品、シナリオ2人、作画2人の計4人のチームにより製作されている。 まずシナリオがFabien VehlmannとGwen de Bonneval。作画がHervé TanquerelleとFrédéric Blanchard。この4人でどういう態勢で製作を進めているのかは不明。ちなみにFrance 24のインタビューに 登場していたのはVehlmannとTanquerelle。
Fabien Vehlmannは1972年フランス生まれ。なんかラジオとか映像関係の仕事をした後、Dupuisから発行されている雑誌Spirouのシナリオコンテストを通じ、バンド・デシネ作家としてデビューする。 デビュー作はGreen Manor(2001)。代表作は映画化もされたSeuls(日本公開タイトル『アローン』)なのかな。あれこれ調べてたらこの人は英語のウィキも見つかった。
Gwen de Bonnevalは1973年、フランス ナント生まれ。報道や児童向け出版の現場で働いた後に、Atelier des Vosgesに参加とあるが、これ多分バンド・デシネのスタジオなんだろうな。 色々作品名など書いてあるが、イマイチ把握できん。Fabien Vehlmannとはこの作品の前にも共作があり、その『Les Derniers jours d'un immortel』(2010年)ではなんか賞も受賞しているようだ。 年も近いし仲いいのかもね。
続いて作画チーム。Hervé Tanquerelleは1972年、Bonnevalと同じフランス ナント生まれ。1998年に『La Ballade du Petit Pendu』でデビュー。以来様々なジャンルでオリジナル、原作付きの 両面で多数の著作がある。一時期はコミック誌「Professeur Cyclope」の編集長を務めたそうだが、実はこれここまでに出てきた3人と、もう一人Cyril Pedrosaの4人で2013年に設立した雑誌らしい。 なんかちゃんと調べると色々関係性見えてくるね。結構以前からの仲間が結集して作った作品ということなんやね。ほぼ同い年だし。
Frédéric Blanchardは1966年生まれと、チームの中ではちょっと年上。イラストレーターや出版関係のデザイナー、アニメーション関連など幅広いフィールドでのキャリアもあるらしい。 ちょっとComixologyで調べていたら、これより前なんじゃないかなと思われる『The Lions of Leningrad』という作品の2巻でこの4人が共作しているのを見つけた。Europe Comicsから英語版が 出てるんだが、ちょっと原題不明でオリジナルの出版年とかもわからんのだけど。内容は第二次大戦中から戦後のレニングラードを舞台とした歴史ドラマってとこらしい。全2巻で1巻の方は 別のチームが担当している。プレビューを見てみると今回の『Atlases』と全然違うので、こっちはBlanchardがメインで描いてるのかな、みたいな想像もできるけど、そもそもどういった 態勢で製作されているのかもよくわからんしね。
なんとなく想像するのは、「Professeur Cyclope」一派みたいなのがあってそこにFrédéric Blanchardが近年参加してきてこの『Last of the Atlases』製作チームが出来上がったのかなというとこかな?
しかし、最初は自分でわかる資料もあんまりなくて、Europe Comicsに出てる経歴並べて、こん位しかわかりませーん、ってなるかなと思ってたけど、少し頑張ってみたら結構面白いのが見えてきたんじゃない? 「Professeur Cyclope」一派とかいうべきもんなのかもよくわからんけど、右も左もわからんバンド・デシネで、ちょっとした足掛かりになるものも見つけたかも、と思ったりします。

オリジナルの版元Dupuisは、前の『Black Op』のときにシナリオ担当のStephen Desbergが子供の頃から読んでたというところで出てきたSpirouという薄い本を戦前くらいから出しているベルギーの 出版社。おい、薄い本とか思わせぶりに言ってなんかネタにならんかとか考えてんじゃねーよ。もう新聞みたいなのって知ってるだろ。まあその後バンド・デシネの勉強もいくらか進んで、 このDupuisと前のフランスのDargaud、そしてあのTintinを出してたベルギーのLe Lombardが、第2次大戦前後ぐらいからあるバンド・デシネ老舗3大パブリッシャーだというあたりまでは把握した。 そして1960~70年代にかけて大変革ぐらいのがあり、現在のバンド・デシネの形になり、その後、この辺いまいち曖昧でよくわからんのだが、90年代ぐらいにバンド・デシネ再興みたいな動きがあって 現在に至るというのがかなり大まかな流れのようだ。ところで、今回の『Last of the Atlases』他、多くのバンド・デシネ作品を英訳しているEurope Comicsに参加しているのは、実は前述の 老補3大パブリッシャーで、その他60年代以降の新勢力は基本的には英訳版なども自社制作販売という方向でやっている。同じくバンド・デシネ作品を多く英訳している英Cinebookについては まだあまり調べていないのだけど、やはりEuropeと同じく老補3大の作品が主という感じのようだ。(ちなみにCinebookもEurope Comics参加パブリッシャーの一つ。)60年代以降ではメビウス-ホドロフスキーの アンカルやMétal hurlantなどで知られるLes Humanoïdesが早くから米進出を進めてるだけあって英訳作品も多く、あと80年代からのDelcourtも結構あるのだが、その他、Glénat、Ankamaあたりは、 いまいち英語圏への進出が伸び悩んでいるのか、ちょっと英訳の方は止まってしまっている様子。なんか少し色々見えてくるとやっぱり全体に拡げるためにはフランス語必須だなあと改めて思ったりも しているところ。あの、ところで私、国内事情の方はホントに疎くてLes Humanoïdesが日本でユマノイドとして出版してるのもよく知らなかったのだけど、あれ今活動停止中なのかな?さっき ホームページ見に行ったら2017年から更新止まってるみたいやし。とりあえずは一時的なもんでまた再開されるといいけどねえ。あ、日本でやってるなら少し触れとかないと、と思ったら なんか景気悪い方に行っちゃった…。ごめん。
なんかさあ、バンド・デシネって敷居高気な感じするけど、まあ今回の『Last of the Atlases』は結構大作だけど、基本的には50ページの2~3冊ぐらいの短め、お手頃なのが多くて、結構読みやすいところもあったりするのですよね。英訳されてるのでもまだまだいいの見つかりそう。これオレが見つけたんやど、と大威張りするチャンスもあるかもよ。 みんなももっとテキトーにバンド・デシネを読むべし。 とにかくこの熱い物語の行く末はなんとしても見届けなければならんし、またこれ面白いかなあ、と適当に引っつかんでお気楽に色々BDも読んでなるべく書いて行くつもりでやんす。

では最後にシリーズ一覧なのですが、ここで見てもらえばわかるようにこの英訳版シリーズ、一話ごとにキャラクター一人を描いたシンプルなカバー。まあこれが最初に言ってたトップ画像に こっちを使わなかった理由なのだけど。ただそういう体裁ならば、とここで第1部の分でキャラクター紹介を兼ねてみました。その他、そこそこ出番はあるのだけどあらすじでは省略しちゃった 警察関係者もいるのだけど、カバーの方でもスルーされてるんでまあいいかな。 アマゾンへの本国オリジナル版のリンクも載せといたので、フランス語ペラペラぞなもしという強者さんはそちらを見てみればよろしいかと。


●関連記事

ゾンビ・コミック特集 番外編 第1回 DoggyBags Heartbreaker -フランス発ホラーアクション!-

Black Op -バンド・デシネ エスピオナージュ大作-


●Last of the Atlases (英語版)
■第1部 (兼 キャラクター紹介)

Ismael Tayeb。なんかと闘わなければならないと思い立ったアルジェリア系フランスやくざ。 Jean Legoff。フランスに帰れば即逮捕の最狂ギャング。Atlas引き揚げの出資者だが真相は知らない。 Francoise Halfort。豪腕女性ジャーナリスト。52歳で妊娠??サービスシーンあり(需要??) Legoffの右腕。たまたまミリタリーだが通常は白スーツで常にさわやか度0%の笑顔の怖い人。
少年時代のIsmael。夜中に工事現場にAtlasを見に来てぶん殴られる。 Elena Tayeb。Ismaelの妻。フランス美人。いわくありげ。第1部では脱がない。 Roland Fabre。脅されて連れてこられたジジイ。なんだかんだ言っても頑張る。 Mohamed。Ismaelの舎弟その1。Atlas乗組員の生き残りを見つける。
Andre Bloch。騙されて連れてこられたジジイ。着いた途端にインドのやくざにボコられる。 Seghal。踊るインドの女社長。怪しげなものを造ってるように見えるがインドでは怪しくないのかも。


■第2部



●Le dernier Atlas (フランス語版)




■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!



'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

2021年2月28日日曜日

Black Op -バンド・デシネ エスピオナージュ大作-

またしても結構久し振りになってしまったコミックの方なのですが、まだまだやります。今回はフランス発エスピオナージュ作品のバンド・デシネ、『Black Op』の登場です!

フランスのバンド・デシネのパブリッシャーでは多分そこそこは大手だと思われるDargaudより2005年に発行。そして2015年にはEurope Comicsより英訳版が発行され、Comixologyにて販売中。今回は画像もComixologyから。 バンド・デシネのサイズである約50ページで、全8巻が刊行されています。バンド・デシネに対して、この「巻」という言い方が適当なのかは不明なのだけど、とりあえずあちらではよほど特別な作品でない限り 更にこれらを合わせた単行本というような形式の物が発行されることはなく、基本的にはこの50ページほどの物が最終形態となってるようなので、こちらではそいつを「一巻」という単位で記述しておきます。 ちなみにアメリカのコミックについては、日本では第○○号という感じで「号」が単位とされるのが通例であり、25ページぐらいの一話が表紙を付けた形で販売されているので、その呼び方が適当だと思うのですが、 マーベル、DCなどのシリーズ物以外をTPB単位ぐらいで説明するときにはなんかしっくりこないんで、その辺はアバウトに一話、二話という形で書いたりしております。
ストーリーはStephen Desberg、作画はHugues Labiano。とりあえずこの辺はあんまりよくわかんないまま書き写してるだけだが、 後ほど出来る限りは探って行きますので。

まず始めに説明しといたほうがいいのは、とりあえず全8巻と紹介しましたが、うち前半6巻が無印『Black Op』、後半2巻が『Black Op Season2』に分かれています。 おそらくは全6巻『Black Op』が好評で、続いて発行されたのが『Season2』なのだろうと思われますが、実は両者のストーリーは連続していたりするものではありません。 とりあえずは別々にストーリーを紹介して行きます。

【Black Op】

2003年 アメリカ フロリダに一人の老人が現れる。金髪の青年を相棒に従えた彼は、近年に行われた大統領選挙における不可解な票の動きについて調査している。 的確で手段を問わない彼の調査は、それを画策した法律事務所を探り当て、更にその背後に潜むロシアン・マフィアの息がかかった不動産会社をあぶり出す。
ロシアン・マフィアが何故アメリカの地で大統領選の票操作に加担する?
だが、その疑問が浮かぶと同時に敵も彼らの動きを察知し、組織の者を送り込んでくる。
相棒と二手に分かれ、銃を持った追跡者をやり過ごした老人。だが、更にその成り行きを物陰から観察していた男が、老人に銃を突きつける。
「動くな!CIA管轄下の極秘任務として、あらゆる介入を阻止すべく命じられている…」
だが、老人はそう告げる男の腕をひねりあげ、難なく銃を奪い取る。
シグ・ザウアー。CIA、FBIの官給品か。そして老人は路上に跪くCIAエージェントに告げる。
「お前らのボスに伝えろ。Floyd Whitmanが戻ったと。」

Floyd Whitman。死んだはずの男が帰ってきた。

1945年6月。ヨーロッパ戦線で戦った父の帰還を待つFloyd Whitman少年の家の前に、一台の軍事車両が停まる。だが、それに乗っていたのは父ではなく、無情な報せを告げる軍からの使者だった。
「君の父を殺したのはナチではない。君の父は裏切り者の共産主義者による最初の犠牲者となった。これから奴らとの闘いが始まる。そして我々はその闘いに必ず勝利する!」
こうして、少年Floyd Whitmanの胸にはこの国が迎えた新しい戦争への思いが深く刻まれることとなる。成長し、優秀な成績で大学を卒業したWhitmanはCIAへとその歩みを進める。

Whitmanには少年時代から共に育った親友がいた。Trent Jackell。Whitmanと共に同じ大学へ進学し、同じくCIAへと進む。
学業の成績、スポーツなどにおいて常にWhitmanに一歩遅れ、隠れたコンプレックスを抱きながら友情を育んできたTrent。だがCIAでは、裕福な権力者の家系に育ったTrentが本部局員となる一方、 Whitmanは現場の情報員へと道が分かれる。

1965年、Whitmanはインド ニューデリーにて初の海外任務に就く。同地で彼はKGBとつながりを持つと目されるロシア人Valden Nechkovとの接触に成功する。 相手もWhitmanの素性を察知しており、何度かの接触の後に取引を持ち掛けてくる。
Nechkovは政治信条より自身の利益-金-を優先する男だ。
Nechkovとの関係を深めるうちに、Whitmanはソ連邦内のロシアン・マフィアへの足掛かりを掴んで行く。 やがてその道はWhitmanと親友Trentを東西冷戦下におけるCIAのひとつのブラック・オペレーションへと導いて行くことになる…。

Whitmanは何故「死んだ」のか?
そして、2003年の現在何故戻ってきたのか?

やがて、Whitmanの前には様々に形を変えた「過去」が姿を現して来る。
かつての友、共謀者、そしてかつて愛した女…。

1945年東西冷戦の幕開けから、20世紀末の終結、そして21世紀までにわたる愛憎のエスピオナージュ大作!

[Comixology 『Black Op』#2 プレビューより]

ちょっとわかりやすいように整理して説明してきたのだが、実はこの物語、現在である2003年と、1945年から始まるFloyd Whitmanの人生が短い数ページのエピソードで交互に語られるという形で進行して行く。 こういうのを見たことあるだろう。そう、アレだ。セルジオ・レオーネ監督、デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガヴァン 出演の1984年映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 である。別に私の思い込み推測とかではなく、この作品は明らかにあの映画を意識して作られている。エスピオナージュ版『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』である。
主人公Floyd Whitmanは2003年の現在では、ほぼ70歳近い老人。しかし、あらすじ内にも書いたように、現在でもCIAの下っ端エージェントぐらいなら軽くいなせる力を残している。 そして更に元ネタである『ワンス・アポン~』と違っているところは、そちらの主人公が理由もわからず過去に呼び戻されたのに対して、この物語の主人公Whitmanは自らの意思で戻ってきた という所だ。死んだはずの男が戻ってきた、と言えば、まあ大抵の人はもう察しているように、その目的は復讐である。 現在と過去が交互に語られるストーリーを読み進めて行くうちに、彼の目的とその理由も次第に明らかになってくる。
東西冷戦下にもしかしたらあったのかもしれないCIAのブラック・オペレーションをめぐる、読み応えのあるエスピオナージュ大作である。

【Black Op Season2】

前述の通り、こちらはSeason2となってはいますが、先の『Black Op』とは全く関連のないストーリーで、そちらと共通するキャラクターなども一切登場しません。 唯一共通するのが、CIAによるブラック・オペレーションを描いたストーリーだということ。おそらくは『Black Op』が好評で、続編となるものは作れないけれど、 同じようなテイストを持ったものでシリーズとして続行できないかという意図により作られた作品だと思います。

『Black Op Season2』の舞台となるのは、世界にオイルショックをもたらすことになる第四次中東戦争前夜のイラク。一組の夫婦を装ったCIAエージェントがオイル・カンパニーの取締役という肩書を偽装し、 テヘランへやってくる。
夫はSol。CIAの任務でベトナム戦争の地上部隊に同行し、情報収集の任に当たっていたが、泥沼の戦場の中で自らの職務に対しても疑問を抱き始めている。
妻はJanine。ヒッピー・コミュニティーに潜入して情報収集活動に当たっていたが、FBIの潜入捜査官に正体を勘付かれ、違法行為であるCIAの国内での活動を隠ぺいするため、捜査官を 殺害するという失態を犯した直後の任務。
噛み合わず、反目しながら任務にあたる2人だったが、当地で動くうちにある計画が進行中なのではないかという疑いを抱き始める。だがその報告は、担当指揮官の段階で一蹴され、本国まで届くことはない。
また一方で、様々な失敗から無能の烙印を押され、モサドから放逐されたが、返り咲きのチャンスを求めイラク内で独自に情報収集を行っていた元工作員Mosesも同様の動きを察知し始めるが、 情報局内で完全に信用を失っている彼の言葉にとり合う者はいない。
CIA局員Solのなかでも、曖昧な疑いは確信に近付いて行くが、一向に本国まで報告が届く様子のない状況に焦りは強まってくる。そしてそのうちに、この動きは意図的なものであり、 この情報がアメリカ本国に伝わることを望まない勢力が存在するのではないかという疑いを抱き始める。
そしてその間も、世界を震撼させることになる事態勃発の時は、刻一刻と近付いてくる…。

[Comixology 『Black Op』#8 プレビューより]

アメリカ、イスラエルが政治・軍事的な視点から起ることを予期していなかった侵攻が実行された裏には、このような動きがあったというのは、なんか色々な説や、もしかしたらそれを題材にした 小説作品などもあったりしそうだが、生憎当方はそっちの方はあんまり明るくないんで知りません。そこんとこで話拡がらないのは申し訳ない。ル・カレぐらいはなるべく全部ぐらい読みたいとは 思ってんだけど…。
こちらは無印と違い時間的にも短いスパンの中での物語なのだが、同様に短いページでキャラクター・場面転換があり、少し複雑で説明過多になりそうなストーリーをテンポよく読ませます。 結末は、多分小説作品などで書かれたとしても米英や日本ではこうならず、この辺がフランス味かな、と思ったりもしました。

フランスには、かつて日本でも創元推理文庫から60作が翻訳されたSAS/マルコ・リンゲ・シリーズ(仏本国では2013年に全200作をもって完結)があるように、エスピオナージュ、スパイアクション・サスペンス物は 人気のジャンルなのでしょう。Comixologyでバンド・デシネ作品を眺めていても、結構それに属すると思われる作品が多く見られます。まだまだそっちの方手つかずで言うのもなんだけど、 その手の中でも結構硬派に属する作品ではないかと思われ、その辺が高く評価されたのではないかと思います。

作者チームについてですが、まずストーリーのStephen Desbergについては、英語のウィキペディアもありました。2010年にはフランスのコミック界のベストセラー作者10位にランクされたたそうで、 BD界では英語圏でもウィキペディアが作られるレベルの著名な作家なのでしょう。1954年ベルギー、ブリュッセルでアメリカ人の弁護士の父とフランス人の母の間に産まれまる。 父がMGMのベルギー、ルクセンブルグ、オランダへの配給責任者となった関係もあるのか、子供の頃はアメリカ映画で育った。大学では法律を学んだが、コミックの道へと進むことになる。 えーと、この辺からがちょっと自分の方にBDの知識がなさ過ぎて、出版社などの説明が不可能…。申し訳ない。かなりスローペースですが勉強中です。子供の頃親しんだコミック雑誌として Spirouという名前があり、こちらは英語のウィキもあり、ちょっと見てみたのだが、週刊誌なのだけど、8ページとかで内容もショートストーリーやギャグ物ということで、 日本ともアメリカとも随分違う環境だったように思われます。DesbergもこのSpirouからキャリアを始めているので、やっぱり初期の頃のはショートコミックだったのでしょう。 デビューが1978年で、その後子供向けの物からグラフィックノベルという方向で進んで行くようなのだが、この辺でもやっぱりこの時期のBDの変遷みたいな知識がないとちゃんと説明できなそうです。 すんません。Spirouを出しているDupuisという出版社とはDesbergも付き合いが長く、色々な作品を出版しているようです。Dupuisという所も、そちらの薄い週刊誌の他にも多くの グラフィックノベルを出版しており、Comixologyでも多数販売されています。そちらも英語のウィキがあるし、その辺をBDの歴史みたいのと照らし合わせて行ったりすれば、もっと BD知識付くんじゃないかなあ。まあワシの勉強法なんてそんなもんなので。今回はとりあえず、ベルギーの子供は少なくとも60~70年代頃はアメリカのより薄い週刊のマンガを読んでたらしい、 というあいまいな知識が付きましたね。そんでStephen Desbergさんは70年代後半ぐらいから活躍してるBDの著名なライターということです。
[Comixology 『Black Op』#3 プレビューより]

作画のHugues Labianoについては、フランス語のウィキしかなかったのですが、Europe Comicsのホームページの方に英語の紹介ページがありました。 1963年フランス、バイヨンヌ生まれ。1992年より活動を始めているということで、こちらもなかなかのベテラン。フランス出身ではあるのだけど、デビューはスペインだったそうです。 なんか日本からだとごっちゃにしがちだけど、スペインのコミックは、フランス・ベルギーなどを中心とするBDとはちょっと別の系列らしい。この辺についてはまだ勉強中。 まあ根本的に怠け者なのがいかんのだが、この辺勉強することホント多いなあ。その後フランスに戻り、97年にJean Dufauxとのコンビで『Dixie Road』を作画。 この作品で受賞歴もあるので、こちらが代表作ということになるのかな。こちらは現在Europe Comicsからの英語版も出ていて、Comixologyで読めます。 その後はフランスにて様々なジャンルの作品で活躍ということ。
画風は、ご覧の通り、シャープな線で人物、情景をリアルで緻密、正確に描き出して行くというもの。これまでまだ読んだものは少ないが、一般的にはBDは日本のマンガと比べ 1ページ内の情報量がかなり多い。具体的にどう多いかというと、文字量も多いのだが、根本的にコマ割りが小さい。例えば日本のマンガではページによって違っても 平均6~7分割がベースだとすると、BDのベースは9かそれ以上という感じ。今回書いていてフランスやベルギーでは8ページの週刊漫画誌を読んでいるというのを知って、 今、その流れからくるものなのかもと気付いたりしたのだけど。で、この作品も日本の感覚からすると、かなり小さくコマを割っているのだけど、 その一つ一つが非常に緻密に描かれている。おそらくこれは手描きなのだろうけど結構拡大してみても線の粗は見えなかったので、そもそもがBDの原稿というのが かなり大きいのだろうな、ということも想像できたのだけど、それでもやっぱり結構小さい画も緻密に描かれているなあ、と感心して読んでいました。 まあデジタル時代の昨今「元の画の大きさ」みたいなのはあまり意味は無くなってきているのだろうけどね。
かなり個人的な感想だけど、その正確で緻密なタッチから、『サムライ・ノングラータ』の 谷口ジローによる作画を思い出していました(原作:矢作俊彦)。フランスのコミックから深い影響を受け、ペンネームもジャン・ジローから付けた谷口ジローの作画が、 BD作品と共通点があるなんていうのは当たり前かもしれないけど、なんか自分的には一回りして逆側からつながったという気がしたんすよね。
『サムライ・ノングラータ』は1991年の矢作俊彦-谷口ジローの黄金コンビによる傑作。矢作作品のカバーを多く手掛けている谷口なのだけど、マンガとしての合作は この一作きりという大変貴重な作品。永らく絶版でしたが、現在は電子書籍版がフリースタイルより出版されています。ただこれ、発行日が2016年になっているのだが、 2018年に引っ越した際埋もれていたプリント版を発掘し、これちゃんと電子書籍出てんのかなあと思って検索してみた時には見つからなかったのだけど? 時々電子書籍の発行年月日ってよくわからないよね。

最後に版元であるDargaudについて、また英語のウィキを見てかなり手探りで書いときます。まあワシ的には今後のBD学習に役立つと思うので。 Dargaudを創立したのはGeorges Dargaudという人。元は広告代理店のブローカーだったということだが、なんかとりあえず今の日本から見るとものすごくろくでもなくいかがわしい仕事してた人に見えるな。 そういうわけじゃないんだろうけど。奥さんと一緒に1936年にDargaudを設立。43年にはコミックの出版を始める。1948年、Dargaudはベルギーで有名なTintinを発行するRaymond Leblancと接触。 LeblancはフランスにTintinを売り込むべく、様々なパブリッシャーと接触していたのだが、The Adventures of Tintinの作者Hergéが戦争中ナチスが関わる新聞でTintinを描いていたことから 協力者とみなされ、ことごとく断られていたというところ。Dargaudはそんなの関係ねえ!とフランスでのTintinの発行を敢行。その後のDargaud躍進の礎を築いたのであった。[つづく]

いやつづくじゃないだろ。だがまあかなり情報盛りだくさんでこっちがお腹いっぱいになっちゃったんで、今回はこのくらいでいいじゃろ。とりあえず今回はいつもComixologyで 見てたDupuisやDargaudが随分歴史のあるパブリッシャーだったんだな、と初めて知ったりもした。その辺からいっぱい出てるんでまた続きを勉強する機会もあるからさ。 ちなみに後半名前の出てきたTintinというのは日本でもお馴染みの『タンタンの冒険』シリーズのあの永遠の変な寝ぐせ野郎ね。初登場が1929年ということで、日本の子供が のらくろや鳥獣戯画を読んでる頃、ベルギーの子供はあーゆーの読んでたんだね。いや、鳥獣戯画は違うんじゃないか?1929年といえば、ダシール・ハメットの『血の収穫』が 出た年でもあるね。いや、これはチャンスがあったらいつでも言いたいだけなのだけど。今回調べてみて、実は日本でこの『タンタン』シリーズが絵本という体裁で 全巻翻訳されているのを初めて知ったよ。\すげえ/

結構前にバンド・デシネについてもやりまーす、と言って、何とかここでやっと一回というところなんですが、まあなんかこんな感じで適当に面白げなのをひっつかんで語り、 ゆる~くバンド・デシネ知識なんかも深めて行ければなあ、と思っております。Comixologyでは、この辺が抜けてるんだよなあと思っていたエンキ・ビラルやフィリップ・ドリュイエ なども英Titan Comicsよりそれぞれのライブラリーという形で英訳版の刊行も進み、バンド・デシネについても新旧かなりの作品がいくらかお手頃な英訳版で読めるようになってきております。 これはなんとしても片っ端から読まんとなあ。そういえば英訳バンド・デシネのCinebookも英国のパブリッシャーだし、バンド・デシネについては米国より英国の方が関心も高いのだろうね。 私のバンド・デシネ学習については完全にそっち頼みの英語版のウィキなんかも主に英国の人が作ってくれてるのかもね。とにかくこういうのは回数を重ねているうちに何とか形になってくる ものなので、米英のコミック同様にバンド・デシネについてもできるだけ頑張って行きたいと思いますので。[つづく]

※今回の下のリスト『Black Op』に関しましては、アマゾンの方で販売されていないため、Comixologyから画像を借りてきて並べました。ビジュアル的な一覧にはこだわる厄介者なので。


●関連記事

ゾンビ・コミック特集 番外編 第1回 DoggyBags Heartbreaker -フランス発ホラーアクション!-

■Black Op


Black Op Vol. 1

Black Op Vol. 2

Black Op Vol. 3

Black Op Vol. 4

Black Op Vol. 5

Black Op Vol. 6

Black Op Vol. 7

Black Op Vol. 8


■サムライノングラータ (矢作俊彦/谷口ジロー)



■タンタンの冒険



■戸梶圭太最新作!KIndleにて絶賛発売中!



'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。