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2021年12月21日火曜日

バンド・デシネ Humanoidsの異色クライムコミック

今回はバンドデシネ Humanoidsの異色クライム作品2本立てでお送りします。Humanoidsと言えば、メビウス作画による『アンカル』などのアレハンドロ・ホドロフスキーによるメタバロンユニヴァース、 またはホドヴァースなどが有名で、今は休眠中のようだが、しばらく前はユマノイドとして日本でも独自にホドヴァース作品などを出版していたところ。あれ?ホドヴァース検索してみたけど見つからんぞ? Jodoverseって英語のウィキ見たら書いてあったんで、てっきり日本でも流通してるのかと思ったのだけど。読み方これでいいのかな?どうもワシそっちの事情に疎くて『アンカル』もずっと『インカル』だと 思い込んでたぐらいだし。それも最初の日本語版人に借りて読んだきりだし。まあ個人的にコミックの翻訳版どうも苦手でしかも高かったりもするんで、Comixologyで英語版セールの時に集めてちまちま 読み始めたぐらいなんだが。そもそもフランス語ので日本語訳と英訳とどちらがよくできてるのかも不明だけど、まあそっちの方が安いからね。で、とにかくJodoverseっていうそうです。まだあんまり広まってないなら ホドヴァースでもホドバースでもいいからみんなで広めてくださいね。なんか微妙にダサくて気に入ってるので。
なんか出だしから話ずれて関節はずれかけてるみたいだけど、とにかくそのホドヴァースで知られるHumanoidsの異色クライム作品です。Humanoidsももちろんのことホドヴァース以外にも色々な作品を出していて、 その中でクライム作品がどのくらいの割合を占めるのかもよくわからんのだけど、なんかボーっと時々見ていると割とSFやファンタジー傾向の作品が多そうにも見えるのだけど。まあそん中のクライム作品。 結構前のHumanoidsのクライムセールで読んでみようと思って適当に引っつかんで買って、もたもたしているうちにまた最近にクライムセールが来たので見たら、また同じの売ってたのでそれほどは無いのかもしれん。 多かろうが少なかろうが、とにかく面白ければいいんで読んでみた。で、どちらもこれやっぱりバンドデシネならではだよなあ、というちょっと変わった面白さがあったので、今回はこれで2本立てで やってみることにしました。

【Dark Rage】

原題は『Colère Noire』。オリジナルフランス語版の発行は1990年。シナリオはThierry Smolderen、作画はPhilippe Marcelé。約50ページの一般的なバンドデシネサイズで、全3巻。

ある日、シングルマザーMarielleは、ティーンエイジャーの息子と共に近くの大型スーパーマーケットへ買い物に出かける。退屈な買い物に付き合うのを嫌がり、持参したスケートボードで遊ぶ息子を駐車場に残し、 一人で店内に入るMarielle。店内に広がるのは当たり前のような日常風景。苦情をつぶやく年配の女性。いちゃつくイタリア人らしきカップル。
だが、そんなありきたりの風景は一瞬で破られる。
「全員、その場を動くな!」
奇矯な動物などのマスクを被り、銃を構えた男たちが叫びながら店内に駆け込んでくる。強盗だ!
強盗団はレジから金を奪いながら、威嚇に応じないと見た人々を次々と射殺して行く。店長。年配の女性。そして崩れた商品の下敷きとなった恋人を助けようとしたイタリア人カップルの男性。
そして、強盗団が去った後、店の外によろめき出たMarielleが見たものは、逃走中邪魔な車を排除しようと強盗団が銃を乱射した巻き添えとなった、愛する息子の遺体だった…。

凶悪な犯行ながら、警察は犯人の手掛かりを一切掴めず捜査は難航する。愛する者を失った悲しみに打ちひしがれるMarielle。そしてイタリア人カップルの女性Stella。同じ痛みに苦しむ二人は、 心を通わせるようになり、絶望のあまりともに断崖絶壁からの自殺を図るが果たせずに泣き崩れる。
そんな中、息子を失った痛みにさほど感情を動かされる様子すらない元夫に、半ば義務的に連れ出され外出したMarielle。後続車の乱暴な運転に事故を起こしそうになり、怒り車を降り相手の車に詰め寄る元夫。 その車から出てきた粗暴な雰囲気の男が、からかうように元夫をあしらいながら発した言葉、声、口調。それはMarielleがスーパーの犯罪現場で耳にしたものと酷似していた。
この男に間違いない!そう確信したMarielleは、ただちに車のナンバーを書き止め、警察へ向かう。
警察はただちに男の身元を突き止める。Harld Gregon。開業医。犯歴は無し。だが…。
彼女がいくら確信をもって訴えても、その主張だけでは警察は犯歴もない人間の捜査に乗り出すことはない…。
Marielleは空港に駆けつけ、帰国の途に就こうとしていたStellaに追いすがり、訴える。
「犯人を見つけた!Harld Gregonという男よ!お願い、私を信じて!」
Stellaは搭乗機をキャンセルし、Marielleと共にGregonの自宅を見張り、調査を始める。
だが、その数日後、警察がMarielleの家を訪れ、Stellaの写真を見せ、こう告げる。
「彼女は国際指名手配されているイタリアのテロリストだ。」

愛する者を失い、絶望と悲しみと怒りで結びついた二人の女の愛と友情の復讐行!その道は必ずや憎むべき仇にたどり着く!

[Comixology 『Dark Rage #1: An Afternoon Full of Lead』 プレビューより]

この物語は実は現実の事件からインスパイアされたものである。ブラバント連続殺人事件とでもいうのか。ベルギー、ワロン地方の同地で80年代に起こった未解決の連続強盗殺人事件ということだ。 1982年から85年の間に散発的にこの物語のようなスーパーマーケットなどへの武装強盗事件を引き起こし、合計28人もの死者を出している。あちらでは有名な事件らしいし、というか日本だってこんなの起こったら 歴史に残る何大事件に数えられるようなものだろうし、色々の憶測も立てられ、この事件についての小説や映像作品なんかも作られてそうだが、日本に入ってきてるのかどうかはちょっとわからなかった。
この作品に関しては、おそらくは真相を推理するとかいうより、インスパイアされたぐらいのものだと思うのだけど、なんとなくウィキに書いてある推測されている説などとも同様の部分があったりで、 実際のところどのくらいまでのものかもちょっとわからない。

で、私が何をもってこの作品を「異色」クライム作品と言っているかというと、既にComixologyのプレビューから紹介したこの独特の作画である。いかにもな感じのカバー画は英訳版の英語圏向けのもので、 オリジナルフランス語版のカバーはこちらの作画Philippe Marceléによるものになっている。どれを読んでみるかな、と色々選んでいるときにプレビューでこの画を見てこれに決めた。ちょっと少なくとも 自分の認識内のクライムやアクションといったジャンルとは違っている、いかにもフランス方面の癖のあるタッチにパステルカラーの美しい彩色。ところどころで床や壁面にアート的な パターンを取り込んだ構図なども見られる。しかし、あくまでもバンドデシネをそれほどは目にしていない日本人の目から見た印象で、先にいかにもフランス的、と書いたように、もしかするとそちらの目で 見れば、フランス-ベルギーでは伝統的ぐらいな技法・表現が多く使われ、このような画でクライムジャンルが描かれることはそれ程珍しくなく、「異色」という表現は少し強引なのかもしれない。
ただね、そこで思い出したのがずいぶん昔、始めたばかりの頃に書いた米国の『Chew』のことだ。あー、アレも結局まだ全部は読み終わってはいない体たらくなんだが、もう既に殿堂入りぐらいの名作人気作で、 最近は続編かスピンオフかなんかも出てる。あっ、そういや『The Boys』のそういうのもあったし…。とうっかりいつもの色々読めてなくて焦りモードに入ってしまったが話を戻すと、以前『Chew』について 書いた時、結構アメリカのコミックで伝統的に使われてきたような表現もベースにあるのでは的なことを書いたと思う。多分、米国のギャグ・ユーモア的な作品の流れや、アンダーグラウンド系などが 頭にあったと思うのだが、その後ずいぶん多くの様々な作品を見てきた後でも、というかそうしてきたからこそこの作画をどこかのカテゴリーに分類するよりも、そこに見られる個性・オリジナリティを 高く評価すべきという気持ちは高まっている。それを踏まえて、バンドデシネについてはまだまだでも、日本のマンガを数多く、米国英国あたりのコミックを少々は見てきた目で、敢えてこの作品を 異色クライム作品と評価したいと私は思うのである。

作者チームについて。シナリオThierry Smolderenは1954年生まれのベルギーのシナリオライター。代表作は近未来SF『Gipsy』。これはかなり有名な作品らしく、英語のウィキもある。Europe Comicsから 英語版もComixologyで販売されているので、いずれ読んでみなくては。短いながら本人の英語版のウィキも作られていて、フランス語版を見ると80年代からかなりの作品を著している。エッセイストとしても 知られるほか、アートスクールの先生として生徒と共にアニメーションのウェブジンに精力的に取り組み(現在は終了していると思われる。)、アイズナー賞にもノミネートされたコミックの研究書の著作もある。 また、えー加減に掴んで読んできたものの、結構大物作家だったらしいな。これはまた一つ名前を憶えとくべき作家だろう。こうやって自分的にバンドデシネも拡げて行くのだよね。
作画Philippe Marceléについては、残念ながら英語のウィキはないのだが、フランス語のウィキを読めないながらも見てみると1970年代から作品を発表し始めているからかなりのベテランというところだろう。 この『Dark Rage』のプリント版を米国で出版しているのだろうと思われるSimon & Schusterのホームページに辛うじて短い作者紹介が見つかったのだが、それをフランス語のウィキと照らし合わせて部分的な解読を 試みると、1943年フランスのボルドー生まれ。代表作は80年代の『Les Capahuchos』という作品だということらしい。で、これなんか情報ないかと検索してみたのだが、やはり英語で自分が理解できそうなのは 見つからず、画像検索を見てみると、おおっ!、この『Dark Rage』の流麗な線ながら少しあっさりした感じの画風とはちょっと違う、線やベタを重ねたダークなタッチ。こっちの方が自分的には好みか。 何気にこの画に惹かれてこの作品読んでみた私の鑑識眼なかなかのもんじゃないの、と自画自賛してみたりな。 だがこちら残念ながらComixologyでは英語版はおろかオリジナルフランス語版も販売されていない。というかそもそもPhilippe Marcelé作品、今んとここの『Dark Rage』のみなのだよね。 前にエンキ・ビラルとかも英Titan Comicsから出て、結構バンドデシネの主だったところComixologyで読めるんじゃないか、ぐらいのところ言ったけど、こうしてみるとやっぱり氷山の一角ぐらいなんだなあ、 と改めて思ったりもするよ。


【Bad Break】

原題『Pas de Chance』。こちらはストーリー・画ともPhilippe Richeによる単独作品。約100ページの全2巻。

市街地より遠く離れたと思われる周りを草原に囲まれた道。停車した救急車から一人の男が降り立つ。顔面を包帯に包まれ、救急隊員の服から自前のものに着替える様子から、その男が治療を受けていた病院から 隊員を装い救急車を盗み出し、ここまでやって来たのだろうということが窺われる。
男は顔から包帯をむしり取り、救急車を放置し、傍らの草原を下り始める。
やがて目の前に現れたのは、スクラップ車がうずたかく積まれた廃車置き場。車両パーツの中古販売を行っていることが看板から読み取れる。
男は懐から出した、何かから破り取って来たらしいその廃車置き場の広告と、看板を照らし合わせ、それが目的の場所であることを確認する。

無数の猫が徘徊する廃車の山の間を抜け、トレーラーハウスの事務所へとたどり着く。中にいたのは廃車置き場のオーナーの盲目の老人と、従業員の男。オーナーの狂った老人は廃車置き場に群がる猫を 殺すことに躍起になり、毒団子を作り続けている。
「昨日こちらに運ばれてきた事故車のメルセデスを見せてもらいたいんだが。」
従業員の男が彼を事故車が積まれているところへ案内する。
「ずいぶんひどい事故だったようだな。運転していた者はお陀仏だったろう。」
「…。」
「すまん…。あんたの家族だったか?」
「いや、運転していたのは俺さ。」
男は事故車のトランクを開け、中に残っていたブリーフケースを取り出す。そして、その中に仕舞われていた拳銃を取り出し、懐へ収める。
「俺の用事はこれだけだ。ついては帰りの足にまだ動く車を買いたいんだが。」
「うちは廃車しか扱ってない。そもそも車を売るための書類も作れないしな。良かったら俺が近くの鉄道の駅まで乗せて行ってやるよ。」
「それは助かるな…。」

従業員の男は呼び止める狂ったオーナーを放置し、男を自分の車に乗せ、最寄りの鉄道駅へと向かう。
「ところでそのブリーフケース、一体何が入ってるんだ?」
「実を言うと俺にもよくわかっていない。」
「どういう意味だ?」
「つまりこれは…、俺が解こうとしている謎だ。そしてこいつがやってきてからというもの、俺にやってくるのはトラブルばかりだ。」
「…?」
「実のところ、俺はずっとつけられている。首狩り共に。」
「あんた俺をおちょくってるのかい?」
「そんなつもりはない。もしあんたが誰かにこのスーツケースのことを訊かれたら、見たことも、俺に会ったことも黙っていてくれ」
そして、男は数枚の紙幣を差し出す。

駅に到着すると、一日一本きりの列車がちょうど到着したところだ。ツイてるな。
だがそう思ったのも束の間、列車から顔に異様な化粧を施した外国人の男たちの一団が降り立ち、奇妙な武器を振りかざし、男に襲いかかってくる!
殴打され倒れた男の救援に駆けつけた廃車場の男は、男が取り落とした銃を拾い上げ襲撃者に向かって発射する。
「なんてこった!俺、人を殺しちまったぞ!」
「構うな!逃げるんだ!運転を頼む!」
車に戻り、廃車場の男の運転でその場を逃れる二人。だが安心した次の瞬間、男は血を吐いて意識を失う。
「なんてこった!こいつも死んじまったぞ…。」

途方に暮れた廃車場の男は、車をポルノ女優のポスターが張り巡らされた広告看板のバラックの中に隠す。男が後生大事に抱えていたブリーフケースを開けてみる。中には表紙に薔薇のデザインが描かれた古い本が 入っていた。本を開いてみると、それは東南アジアの海へと向かった宣教師の船に水夫として乗り込んだ刺青師の男の手記だった。

男の乗った船はとある島に立ち寄り、海岸に現れた原住民に積み荷のマリア像と食料の交換を持ち掛ける。手にした武器でマリア像を打ち砕く原住民に恐れをなし、船に引き返そうとした一行だったが、 原住民の長と思われる男が、刺青師が自らの胸に彫った刺青に興味を示し、それを自分に彫るように身振りで訴えかけてくる。懐柔のきっかけになるかと、それを受諾し、刺青師は長の小屋で背中に 刺青を彫り始める…。
だが、その結果語り手である刺青師は、その原住民の長を殺し、部族に受け継がれたてきたある秘密の力を盗み出すことになる…。

「お前もその馬鹿げた代物を読んでしまったか。そしてそれに憑りつかれることになるんだよ。」
そこまで読み進めたところで、死んだと思っていた男が起き上がり、声を掛けてくる。あんた死んだと思ったよ…。
「俺はそう簡単には死なん。」
そしてバラックの中を見回し、ポルノ女優のポスターに目を止める。
「パリに戻るぞ。俺はこの女に会わなければならん。」

[Comixology 『Bad Break Vol. 1』 プレビューより]

要約すると、これは19世紀末~20世紀初頭頃にある刺青師によって盗み出された南洋の島の部族の秘密の宝と、それを探し求める男の物語である。うっかり巻き込まれた廃車場の男は、この後も謎の男と共に宝探しの 旅に同行することになる。そしてこの謎の男の正体は、このしばらく後に明かされるのだが、パリに住む死にまつわる遺物、ミイラやドクロなどの収集・販売を商売とする人物。何気にいわくありげだが、実は 何か秘密の力で不死身とかいうわけではなく、なんかちょっと身体が丈夫なだけのようだ。
男が「首狩り」と呼ぶ追跡者の外国人集団は、その宝を取り戻すべく南洋の島からやって来た部族の子孫である。
男が会わなければならないと言っていたポルノ女優には、実は下腹に本の表紙に描かれていたものと同じデザインの刺青があり、そこから彼女の祖母が刺青師の物語に深く関わる人物であったことがわかり、 彼女も加えた三人で謎の宝を探索する物語として展開して行く。

さて、この作品の「異色」たるゆえんだが、その独特のスタイルにある。ここまで紹介したストーリー(Vol.1の約半分、50ページぐらい)の中でも、何かこれは後にもう少し詳しく説明されるのだろうか、 と思わせるような部分がいくつもあると思うのだが、それらについて後のフォローはほとんどない。例を挙げれば前述の、この男が何か超自然的な力かなにかで不死身なのかと思わせるようなところがあるのだが、 特にそんなことはないというようなところだったり。後半、話が進むにつれその度合いは大きくなり、何か行き当たりばったりのロードムービー的な展開になってくる。カバーの画像、小さくてちょっとわかりにくいかとは 思うのだが、これはVol.2前半ぐらいのあるシーンを描いたもので、夜道に停めた車のヘッドライトの中、三人が全裸で立っているところ。ある事情で大雨の夜に墓荒らしに行き、その後雨に濡れ泥で汚れた服を車内に干し、 全裸で車の外に出てきたというシーンなのだが、その後襲撃に遭い、服ごと車を盗まれ、しばらくは三人とも裸のまま草原を横切り、見つけたボートで川を下るというような珍妙な展開になってくる。
なんか廃車場の男、とかいう感じで説明してきたのだが、こいつら別に名前がないわけではなく、説明したストーリーの少し後ぐらいに名前も出てくる。それにしても名前がないとやっぱわかりにくいかと思うんで付けた みたいな感じだったりして、とりあえずここまでは出てこないし、まあいいかみたいな感じでそのまま書きました。まあ、そのくらいに考えちゃうくらいなんかゆるいテイストもあったり。
だがこれらは作者のストーリーテリングの不手際というわけではなく、明らかにその感じを狙ったものだろう。 Comixologyの紹介文でも「noir tropes and dark humor」というような言葉が使われていたり、オフビートな、という表現もあったりもした。
個人的な感想では、例えばゴダール初期の『気狂いピエロ』なんかで、最初ストーリーがちゃんと語られるのだけど、だんだんグダグダになって行くのと似たようなテイストが感じられて結構楽しかった。 なんかフランス映画とかもっと多く見てる人だともう少し的確なことも言えるんかもな。いや、いつもながら映画言いたがりなんてお呼びじゃねーけど。まあ、直線的に結末へ向かって行くクライムストーリーとは ちょっと違った、色々遊びがあったり、意図的にグダグダにしてみたりなどのなかなか楽しい異色クライムコミックでした。

作者Philippe Richeについては、Humanoidsのホームページの著者紹介ぐらいしか自分がわかるのは見つからなかったのだが、それによると1971年生まれで、アニメーションのストーリーボーダーとして 『アーサーとミニモイの不思議な国』や『CODE リョーコ』などの作品に携わった後、2003年に出版されたこの『Bad Break』がバンドデシネ作家としてのデビュー作となるそうだ。ちなみにこの作品、 まあ英訳されてるぐらいだから結構好評だったのだろうけど、その後2016年にこの三人組が再登場する『The Alliance of the Curious』という続編も描かれている。こちらも既に英訳されている。 こちらはComixologyではコメディのジャンルも付けられている。これ以外にどのくらいの作品があるのかはよくわからないのだが、ComixologyではGlénatからの『Les Mystères de la Cinquième République』というシリーズが 販売されている。こちらはライターとしてで、英訳はなくフランス語オリジナル版のみ。ジャンルはアクション/クライム/ヒストリカルというところで、シリアスな作品のようだ。 71年生まれというともう50歳になるところだが、なんかまだ面白そうな作品を書いてくれそうな感じじゃない。続編の方もいずれ読もうっと。

というわけで、今回はHumanoidsの異色クライムコミック2本立てでお送りしました。なんかよくわからないまま適当に掴んだものでも、色々調べてみるとそれなりにバンドデシネや作家の一端が見えてくるものですね。 例えばバンドデシネも読んだのを全部書いてるわけじゃなくてそん中で気に入ったのについてだけよく調べて書いてるわけだけど、自分的にいまいちかなあ、と思ったものでも詳しく調べてみるとバンドデシネの中での 位置とかがそれなりに見えてきたりして得るところもあるのかなあとか思ったり。しかしまあ、なんか下手にいくらかわかってこれ読まなきゃ、みたいに固まってしまうより、なんか適当にこれ面白いかなあ、 と引っ掴んで色々読めるのが続いた方がいいのかなあ、とも思ったりします。と言いつつ次は某有名作を準備中だったりするのですが。
なんかやたらと「日本のマンガとは違います」が強調されるバンドデシネですが、例えばキャラクターシリーズ物がメインのアメリカと比べれば、基本的に日本同様作家によるオリジナル作品であったりと 日本のマンガと同じ感覚で手に取りやすいのがバンドデシネだったりするので、そんな感じで適当に掴んで読む人が増えるといいんだけどね、と思います。


あーもう年末かよ…。またなんか随分長く中断してしまったよ。まあ毎度おなじみ、昨年はコロナで中止となった法事など色々言い訳はあるんだが、もう少し頑張れよ…。なんか週末少し休んで気力が回復 してくると、なんでこんなに書けないんだろうとか思っちゃうけど、まあ平日の日々に関しては今日は力でないんでしょうがないや、の繰り返し。なんかさあ、自分だけの感じかもしれないけど、今年気温の下がり方 極端じゃない?ここまでレベル1だけどここからレベル上がって急に強くなるみたいな感じで。先週末辺り結構最後近くまで書いてて、これならあと少し平日ちょこまか書いて週末までにアップできるぞ、 と思っていたはずなんだが、なんか寒さに対応できなくてへこたれて、ほとんど書けなくてまた週末送りになってたり。何とかお正月休みでそこんところリセット的に回復できるといいんですが。 しばらくぶりになってしまいましたが、まだ全然やめてないんでまた頑張りますです。ばいちゃ。

こちらがもたもたしている間にまた戸梶圭太先生の新作が出てしまいました。詳しくはまた次回小説の方で。何かいつもの感じでバンドデシネ物はKindleじゃ無理だろうな、と思っていたのですが、さすがHumanoids!どちらの作品もちゃんと見つかりました。しかもKindle unlimited会員なら無料で読めます。Europe Comicsとかも日本でも販売してくれるともっとお手軽になるのにね。


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■Dark Rage



■Bad Break



■The Alliance of the Curious



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