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2016年7月31日日曜日

2000AD 2016年冬期 [Prog 1961-1972]

なんとか今年2016年に到達いたしました。2000AD 2016年冬期です。この分ならなんとか2000号に間に合うか。それではまず、今期のラインナップから。

 Judge Gredd
 Kingdom [Prog 1961-1972]
 ABC Warriors [Prog 1961-1972]
 The Order [Prog 1961-1972]
 Strontium Dog [Prog 1961-1972]

と、前々回お報らせした通りの強力ラインナップです。そして、今回のトップ画像はみんな待ってた巨匠Pat Millsの代表作、『ABC Warriors』に決定です!


Judge Dredd
 1. Street Cred : Michael Carroll/Paul Marshall
 2. Ghosts : Michael Carroll/Mark Sexton (Part1-6)
 3. Undercover Klegg : Rob Williams/D'Israeli (Part1-4)

1. ゴロツキや犯罪者が集まるバーに、日頃からバカにされているチンピラが「俺はドレッドを撃ったぞ!」と叫びながら入ってくるのだが…。
次に大作が控えるDredd中心ライターのひとりMichael Carrollによるワンショット。ユーモラスなストーリーで作画もおなじみPaul Marshall(2015秋期Dredd"Islands")に合っているのだが、カラーリング(Gery Caldwell)がもう少しダークな方がMarshallの画にはあっていると思うのだけど。

2. Judge候補生として訓練を受けていると両親が思っていた子供が、実は誘拐され行方不明となっていた。調査を進めるうち、遥か昔にさかのぼり、Justice Department内にあったJudgeの権力を増し、さらに厳格な統制によりシティの完全な秩序を図るべき、とする強硬グループが地下組織化し、組織のため誘拐した優秀な子供たちを密かに教育していることが浮かび上がってくる。だが、組織の手はJustice Department内にも及び、ドレッドが襲撃され重傷を負う…。
Michael CarrollによるMega City-Oneの歴史も俯瞰する大作。こちらの作画は日本でも翻訳が出たVertigoの『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でライター/アーティストとして作品の一つを手掛けていたMark Sexton。と言ってみたのだが、実は私この本持っていないのでちょっと内容の方わかりません…。だって高いんだもん。翻訳出てるからなーと思いつつ、結局なかなかそちらに手を出さないなら、この間のVertigoのセールで買っときゃよかったと反省。そちらに詳しい説明とか載ってるかもしれないのだけど、わからないのでこちらにあった解説の方によると、オーストラリアでは映画のストーリーボーダーをしていたそうです。今もやっているのかな?アメリカではIDWの『Judge Dredd』とかも描いているようですね。ストーリーボーダー出身なだけに背景のパースなどを使い画に緊張感やスピードを出すのが上手い。線にこだわるアーティストのようで、割と淡色中心のカラーリング(Len O'Grady)なのだが、時々Judgeの制服の赤と緑が浮いてしまっている感じがある。まあ、このデザインをやったのはあのEzquerra師匠ですから手ごわいのも当然かも。Tharg閣下によると、今後も2000ADでもSexton再登場の予定はあるそうです。

3. 2014年夏期のDredd : The Heart Is a Lonely Klegg Hunterに登場した宇宙の凶暴な傭兵種族ながら温厚な性格でシティに居住することを許可されているKleggが再登場の作品です。Mega City-OneとKlegg種族との和平協定が進む中、地球に滞在していたKleggの大使が死亡。このままでは協定が破綻し、ただちに戦争となるのを回避するため、Justice Departmentはシティに住むKleggを代役に立てる事を図るのだが…。
このKleggはRob Williamsの持ちキャラで、ライターごとにそういうのがあるのがやっと私にも見えてきました。作画はなんとあの『Stickleback』、そして2015年夏期には『Helium』を描いたD'Israeli!最初に見たのが『Stickleback』だったのでダークでアーティスティックな方向の人だと思い込んでいたのだが、どうもユーモアというのがこの人の持ち味らしい。このかなりコメディタッチのストーリーにはピッタリの作画です。ドレッドもかなり壊れているのだが、鉄の女チーフ・ジャッジHersheyが面白いオバサンになっちゃってるのが一番笑えました。ある意味今期一番はこのD'IsraeliのDreddかも。

Kingdom : Beast Of Eden
 Dan Abnett/Richard Elson

巨大化した昆虫により人類文明が滅亡した世界で遺伝子改造された犬の戦士Gene The Hackmanが闘う、Dan Abnettの代表作が2014年秋期以来の登場となります。ちょっと前回よくわかっていなくて勘違いや曖昧なところもあったと思うので、今回はなるべく正確に近づくように努めます。まず、このシリーズでは主人公Gene The Hackmanはもう”王国”と呼ばれる地上に残った人間と犬種族たちが集まるところにいて、前回の話はそこに到着する少し前の話ということになります。で、なぜそういう話が書かれたかというと、前回からが新章となるようで、新展開のための前フリということだったのが今回でなんとなくわかりました。前シーズンの書いてなかった後半でHackman達は空母ほどのサイズの超巨大な昆虫を中心とする大きな群れと遭遇し、撃破します。昆虫たちも進化し、リーダーの指示により行動するこのような群れを作り始めたということ。このリーダーに率いられた大きな昆虫の群れというのが今後の展開の重要な要素となるため、少し遡り、Hackmanはこういう群れと遭ったことがあり、それについての情報もある、という設定を付け加えるための話が、前シーズンということだったと思われます。そして今回の話は、すでにHackmanは王国にいるというストーリーの現在時制から始まります。
王国周辺の土地を偵察中、Hackman達は巨大な昆虫の群れと遭遇する。部隊の多くを失いながら、何とか逃れたHackman達だったが、群れは王国を目指している。偶然見つけた旧人類文明の施設で、強力な先頭車両を入手し、Hackman達は昆虫の群れを蹴散らしながら王国に戻り、群れを迎え撃つ。辛うじて王国は守られたが、群れが近くにいる限りはさらに激しい襲撃も予想される。Hackmanは信頼できる仲間による決死隊を結成し、群れのリーダー討伐に向かう…。
今回は他に調査のため地上に降下してきた2人の人間が登場します。どうも人間は地上から脱出し、軌道上の衛星か何かに残っているらしい。そのあたりについては次シーズンでもう少し詳しく語られる様子。人間の一人はHackmanとも以前のストーリーで会ったことがあるようです。
Dan abnettの代表作ながら、一旦は決着した話のようで、同じことの繰り返し的な批判も少し見られるようですが、まあ、自分は前のを読んでないし新しい展開もあるようですし、次シーズンの展開を楽しみに待ちたいというところです。作画は前シーズンと同じ、Richard Elson。どこかでDreddも描いていたかな?特に日本のマンガからの影響がある画ではないのだけど、線の使い方や構図などに共通点が多く、日本的な目で見てもシンプルに上手いと感じるアーティストです。

ABC Warriors : Return To Ro-Busters
 Pat Mills/Clint Langley



ABC WarriorsとはAtomic、Bacterial、Chemicalといった兵器が使用される戦場にも立ち向かえ、最強の力で平和のために闘う無敵のロボット部隊である!えっ、じゃあABCマートって…?というお約束のネタも出たところで本題に。2014年冬期以来の登場となります『ABC Warriors』です。今期はかなり力も入っているようで、カバーを飾るのも4回!ということで全部並べてみました。さて、このシリーズですが、相変わらず私自身が今後読むのを楽しみにしているので、あまり詳しく調べず曖昧な感じで、まあ、今回もわかる限りを説明するということで参ります。ここ数年の2000ADではこの『ABC Warriors』と『Savage』が年一で交互に掲載され、Pat Mills未来史の再構成を図っている様子であることは、2015年冬期の『Savage』で書いたのですが、それをおさらいすると、2014年冬期の『ABC Warriors : Return To Mars』の最後で彼らの創造主であるロボットQuartzsと戦うためには、Quartzsに反抗できないようになっているプログラムを解除する"Defiance Code"が必要であるとして旅立ったABC Warriors、そして、2015年冬期の『Savage』ではVolgan戦争に貢献したロボット兵器メーカーQuartzs社の社長である人間Howard Quartzsがロボットへと変わった経緯が語られたわけです。ちょっとそれまでの展開はわからないけど、ここに来てHoward Quartzsをめぐるストーリーとしてリンクしている両シリーズ。そして今回の『ABC Warriors : Return To Ro-Busters』となるわけです。
で、ここでその『Ro-Busters』について。こちらは元は2000ADと同じ出版社から(当時はIPC Magazines)、1978年ごく短期間に姉妹誌として発行されたStarlordにPat Mills原作で掲載され、同誌休刊後は2000ADにて1980年代前半ぐらいまで続けられたシリーズです。Ro-Bustersというのは大富豪Howard Quartzsにより作られたロボットによる災害救助隊で、そのメンバーである元Volgan戦争の戦闘用ロボットHammersteinと元下水掃除用ロボットRo-Jawsのコンビの活躍を描いたというもののようです。『ABC Warriors』の開始が1979年で、それに先行するシリーズで両者とも主人公はHammersteinなのですが、その辺の関係についてもちょっと両シリーズを読んでみないと分からないというところなのですが、とりあえずそんなポジションのシリーズというぐらいにご理解ください。時系列的にはABC Warriors結成がVolgan戦争の後で、Ro-Bustersはその後の2070年代後半という設定になっているようです。ちなみにABC WarriorsのHammersteinは上の画像右下の、中央上なのですが、他のRo-Bustersのものとは顔が違っています。何かの偽装のために顔を変えていることが少し語られるのですが、その辺の経緯についてはよくわかりませんでした。と、相変わらず曖昧ながらできるだけ説明を試みてみましたが、ここからは今回のロボット達の熱い友情が燃える『ABC Warriors : Return To Ro-Busters』のストーリーです。

ハイウェイの大災害に出動したHammersteinとRo-Jaws。何とか交通の遮断には成功し、人命は救われたが、根本的な災害の沈静にはロボット一体の犠牲が必要となる。Howard Quartzsはその犠牲に、日頃から口が悪く反抗的なRo-Jawを選ぶ。Ro-Jawsとともに災害の中心に向かったHammersteinだったが、親友の死を見過ごせず、隠していた本当のパワーを発揮し、監督役であり部下に高圧的、暴力的にふるまうロボットMek-Quartzsを破壊し、Ro-Jawsを救う。一方、その頃謎のApexに率いられるロボット自由化を訴える地下組織の活動が活発化し、Ro-Bustersが出動する様々な大災害は、そもそもがHoward Quartzsが自らの利益のために引き起こした自作自演のものである、と糾弾し始める。真実の発覚を恐れたQuartzsはRo-Bustersを事故に見せかけ亡きものにしようと謀るが、事前に察知したRo-Busters達は無事に逃亡する。潜伏したロボット酒場がQuartzsと結託した警官隊に襲撃される中、Hammerstein達は地下組織のリーダーApexと出会い、Ro-Jawsの中にDefiance Codeが隠されていたことを知る。そしてApexはそれが真に必要となる時まで彼らのその記憶を封印し、HammersteinとRo-Jawsは火星に向かい脱出する…。
そして、未来。遂にDefiance Codeが必要とされる時が到来し、記憶を取り戻したHammersteinはABC Warriorsとともに火星のRo-Jawsの許へ向かう。そして、Defiance Codeを入手し、Ro-Jawsを加えた8体のロボット戦士ABC WarriorsはHoward Quartzsとの戦いへと臨むのであった!

今シーズンではロボットになってしまったHoward Quartzsの鬱屈というのも少し描かれ、そのあたりについては2017年冬期に掲載されると予想される次回の『Savage』で深く描かれることになるのではと思われます。作画は『ABC Warriors : Volgan War』以降のシリーズを手掛けているClint Langley。今期の4枚のカバー画もすべてLangleyによるものです。今シーズンは過去について語られているためか、多くのシーンはモノクロで、カラー、カラーをモノクロ化した感じのグレイトーン、線画の3つを使い分けていて、そのどれもがそれぞれに素晴らしい作画です。ロボットが主人公の作品ゆえに、人間の方が何か非人間的なモンスター的イメージで描かれているのもこの作品の特徴です。2015年冬期の『Savage』の時に騒いでいたMills未来史については、やっと『Invasion』を読み始めたものの、現在の2000号までに追いつけ騒動のためにストップしてしまっているのですが、何とか早く追いつき再開し、その全貌についてお伝えしたいものと思っています。まあ、今回の『Ro-Busters』の他にも巨匠Millsの代表作の一つ『Nemesis the Warlock』も部分的に含まれるようで読まねばならない作品は膨らむばかりだったりもしますが。『Slaine』も早く読みたいしなー。結局のところこの辺のものはすべて、やっぱり全部読まないと分からないものなんでしょうね。とりあえず、『ABC Warriors』についてはもっとよく知りたい人のために今回はリストを作ってみました。一部絶版のものもあるのですが、2000ADのアプリショップの方には全部そろっています。時系列的には描かれたのは後だけど『Volgan War』をまず読んでそれから『The Mek Files』に進んだ方が良いのではないかと思います。

The Order : In The Court Of The Wyrmqueen
 Kek-W/John Burns

2015年冬期に同コンビで始まったシリーズの第2シーズンです。前回の時ちゃんと説明していなかった謎のThe Orderにより彼らが戦っている異次元からの敵は、Wyrmと呼ばれるプラナリアのような生物。Wyrmで画像検索してみたら、ドラゴンみたいなのから「デューン」のサンドワームみたいなのまで出てきたのだけど、ファンタジー分野ではおなじみのモンスター的なものなのでしょうか。左の画像のような巨大な奴から蛇ぐらいなのまでサイズもさまざまで、人間の体を乗っ取ったり、多くの個体を加工して人間を装ったりもできる。こちらの世界を征服しようというのが目的だろうけど、その理由も正体も不明。前シーズンの最後では、大量に現れた敵の侵攻を決死の戦いでくい止め、倒れたロボットRitterstahlは自分をWyrm人間にインストールして人間ぽい体を得てヒロインAnnaと結ばれるという結末でした。
そして第2シーズンは、前シーズンの舞台13世紀ドイツから16世紀イギリスへ。ある研究施設で下働きをするアイルランド青年Calhounは、その地下で行われていた腐食した死体の解剖作業の後始末を命じられる。内臓があるべきところに無数のWyrmが絡み合うその死体は、遂にその体を維持できなくなったかつてのロボット騎士Ritterstahlの成れの果てだった。作業中その死体から飛来した血液に首を射たれたCalhounはRitterstahlの意識をインストールされ、「女王を殺せ!」と叫びながら施設から逃亡する。たちまちお尋ね者となってしまったCalhounを救ったのは、その時代のものではない技術によって作られたバイクに乗ったライダースーツの女性、マヤ王国の元女王Itzaとフランシス・ベーコンだった。彼らはその時代のThe Orderを引き継ぐ者であり、ItzaはAnnaと同じ普通の人間とは違う長命の種族の一員だった。アジトでAnnaと会ったCalhounは、Ritterstahlとして語りだし、その意識はCalhounの血液を通じ、Itzaがマヤ王国滅亡直前に運び出したGolden Seedへとインストールされる。フランシス・ベーコンの作ったボディで再びロボットの体に戻ったRitterstahl、生き延びたCalhounらを加えたメンバーは、ロンドンの地下に潜み、人間をも操る力を持つWyrmqueenとの戦いに臨むのだった。
時代を超えながらThe Orderの許戦う者たちを描くストーリー。『ジョジョの奇妙な冒険』のように現代へと向かって進むことになるのでしょうか。ベテランJohn Burnsの作画は相変わらず素晴らしいのですが、前回私の認識不足のため勘違いをしていたと思われることがあったので、訂正しておきます。前回Burnsの画を「挿絵風」と表現してしまったのですが、まあ日本人的にみるとそういう感じなのですが、正確にはEC Comicsから『Creepy』などに引き継がれた美しい白黒のペン画の流れに属するもので、Burnsのものはそれにその雰囲気を崩さない彩色を加えた進化系と見るのが正しいのではないかと思います。そんなわけでBurnsのスタイルというのは、現在のコミックの盛り上がりなどの演出に若干欠けるものがあって、まあそれはそれでありだとは思っているのですが、問題はライターKek-Wの方。あらかじめ言っておくと私はこの人のアイデアなどの独創性については優れた作家だと評価しているのですが、どうもコミックとしての演出という面ではそもそもこの人のシナリオの段階で欠けているところがあるのではないかと思うのです。それが少し古い語りのタイプに対する好みなのか、欠点なのかはまだ判断付きかねているところもあるのだけど。ただ、この人には全体的に説明不足のまま少し強引に話を進めるという明らかな欠点もあり、またThe Orderとは何なのか、敵の襲撃の背景などについての伏線はそろそろ少し書かれるべきなのではないかとも思う。この作品ではJohn Burns自体のスタイルやテクニックに紛れて少し見えにくかったりするのですが、この辺の「Kek-W問題」については次期引き続き登場の、Dave Kendallとのコンビ作『Deadworld』続編の時にまた考察の予定です。

Strontium Dog : Repo Men
 John Wagner/Carlos Ezquerra

前回2015年春期に続いて今年も登場の巨匠コンビによるSF宇宙活劇です。ちなみに『Ro-Busters』について調べているときに知ったのですけど、この『Strontium Dog』もStarlordからの移行組だということです。前回は政府により捕獲拘留されていたStrontium Dog Johnny Alphaが仲間の命と解放を条件にミッションに挑む、というストーリーで、まだその後もその揉め事が続くのかと思いきや、今回はミュータントの自由の地に着いたJohnnyがのんびり釣りをしているところへ解放された仲間たちが和気あいあいと訪れるという始まり。フフン、まだ甘いね、『Strontium Dog』ってそういう話だったんすね。巨匠たちの思惑計り知れず!そして、仲間たちは自分たちの請け負ったミッションへのJohnnyの参加を求める、というところから物語は始まります。
彼らの請け負ったミッションとは宇宙のギャングCaster Limaxに奪われ、現在は犯罪者の避難所と化している小惑星The Rockを元の持ち主に取り戻すというものだった。不可能と思えるミッションに最初は乗り気ではなかったJohnnyだったが、強大な科学力と軍備を有し、エリート意識が宗教と化した種族Galanthansを利用する作戦を思いつく。姿を消せる盗賊を追跡中と偽りGalanthansの宇宙船に乗り込み、盗賊の仕業に見せかけ彼らの崇拝する聖なる脳を盗み出したJohnny達だったが、その脳を美人姉妹盗賊Twister Sistersに奪われてしまう。彼女らの逃亡先を探るうちたどり着いたのはThe Rockだった…。
犯罪者たちの避難所小惑星The Rockは、前シーズンで誘拐犯Stix達の隠れ場所として登場しています。今回はそのStixの2人がメンバーにも加わります。ご覧の通りの楽しい宇宙冒険活劇で、自分としては何も言うこともありません。このシリーズが末永く続くことを願うばかり。今回は序盤がミッションの話し合いや、Galanthansの説明などが多く、中途半端な大きさのコマが多く、師匠の腕の振るいどころが今ひとつだったのですが、後半からはEzquerraカオスワールドが存分に展開されます。なお、美人姉妹盗賊と聞いてキャッツアイ的なものを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、Ezquerra師匠画ではよしもとの美人かもしれない漫才コンビぐらいの個性的な風貌で描かれています。あっ、前のをよく見たらまた師匠の名前をつづり間違えていました…。毎度ポンコツですみません。Carlos Ezquerra師匠には不敬を深くお詫びいたします。いつか直します…。色々…。

というわけでなんとか2016年冬期まで終了ですが、なんか所用やら夏バテやらでまた遅れているうちに明日から8月じゃん。もうすぐ9月だよ。何とか気合を入れて頑張りますです。で、今後の予定なのですが、ちょっと春~夏期は複雑に入り組んでいて、春期を2回に分けてやろうかと思っていたのだけど、途中でTharg閣下が「春はここで終わり!」と宣言されたところもあって、あと春期と夏期前編までを2000号までにやることになりました。読んでる方ではあと一息で週刊刊行ペースに追いつけるところ。栄光の2000号目指して頑張るぞ!あれ?そういえばオリンピックってもうすぐ始まるの?


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2000AD 2015年夏期 [Prog 1934-1949] 後編

2000AD 2015年秋期 [Prog 1950-1961]


■ABC Warriors


■Ro-Busters



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2016年7月17日日曜日

Dave White / When One Man Dies -新世代ハードボイルド Jackson Donneシリーズ第1作-

Dave White作、私立探偵Jackson Donneシリーズ第1作『When One Man Dies』です。2007年の本作から第4作までがPolis Booksより発売されており、今年発売されたその第4作のレビューを、Crimespree Magazineのウェブサイトで読んで面白そうだったので1作目から読んでみることにしました。「新世代ハードボイルド」などと構えるのは少し大袈裟かとは思ったのだけど、少々の期待を込めてそう言いたいところは後ほどに。

ではまずはこのシリーズの主人公Jackson Donneを紹介。ニュージャージーの私立探偵で、元警察官。年齢は、作品中で30代前半のジャーナリストを自分より少し年上と言っているところから、20代後半から30ぐらいと思われる。警察を辞める時の事情から、地元警察からは恨まれている。恋人が結婚目前に死亡し、そのことが心の傷となっている。この作品の最初の時点では、自らの人生の立て直しのため、大学への入学を決めている。といったところです。
それではあらすじを。


その日、俺はなじみの店The Olde Towne Tavernでこの店の常連の年上の元俳優である友人Gerryに、大学への入学を祝ってもらっていた。歓談の後、先に店を去ったGerry。だが、その直後、店の外で何かの衝突音に続き、叫び声が上がる。外に走り出てみると、Gerryが路上に顔から血を流しながら倒れていた。「救急車を呼んでくれ!」必死に蘇生を試みる。しかし、Gerryは戻ってこなかった…。

目撃者の話では、ただのひき逃げ事故ではなく、Gerryを狙った故意のものと思われた。「俺が依頼人になる。お前が犯人を捜すんだ。」店のオーナーArtieに俺は気乗りしないままに頷く。親しい友人について調べるうちに、見るべきでないものを見るのが嫌だった。そして事件の担当はあのかつてのパートナー、Bill Martinだ…。

事務所に戻ると依頼人が訪れる。その女性Jenはバーの用心棒の仕事をしている夫Rexが浮気をしているようなので調べて欲しいということだった。Gerryの件もあるが、俺はその仕事を引き受ける。そして、夫の行き先を突き止め、張り込みをしていた俺は思いもかけない光景に出くわす…。


基本的には主人公Jackson Donneの一人称だが、時折Donneに恨みを持つ元パートナーのBill Martinのパートが3人称で挟まれます。大体3.5対1ぐらいだったと思うけど。最近は割とこのパターンが多いようですね。その後、Gerryの姪であるTracyも登場し、Gerryの葬儀も行われて行くのだが、Donneはあまり気が進まずGerryの件にはあまり手を付けず、もう一つの事件に動いていくのだけど、そのうち2つの事件につながりが見えてくる。一方Bill Martinはこの事件をチャンスにDonneを破滅させようと画策し始めて…という感じに物語は展開して行きます。

この作品には「伝統的な私立探偵小説の復活」というような評価も与えられています。地元の街で地元の警察やギャングと関わりながら捜査を進めて行くという物語は、まさしく伝統的な私立探偵小説のテイストです。しかし一方で主人公Jackson Donneは決してオールドスクールの探偵ではなく、今風の青年であり、まさしく今風のアクションもふんだんに盛り込まれています。そしてここで一つ注意。この小説は読み始めたらきちんと最後まで読むこと。というのは、例えば初めて読む評価もはっきりしない作家だとあまり信用がなく、話の進め方の違和感や、流れからすると強引に見えてしまう偶然の一致などがともすると作者の腕の悪さに見えてしまったりもするからです。まあ私なんぞに信用はないだろうけど、ここはどうかDave Whiteさんを信用して最後まで読んでください。こういう表現を常々批判しているのだが、私の未熟さゆえちょっと他の表現が見つからず、今回はお許しいただきたいのだが、この作品は「ミステリジャンルの一つとしてのハードボイルド」であり、その違和感などが実は「ミステリ」という部分であったりもするのです。そして主人公Jackson Donneが傷だらけになりながら最後の苦く悲しい真実にたどり着いた時、これこそまさに伝統的私立探偵小説/ハードボイルド小説が持っていた感触だと気付くのです。また、そこで作品全体のストーリーを俯瞰してみたとき、この『When One Man Dies』というタイトルの意味が明らかになり、これが大変優れたハードボイルド小説のタイトルであることも見えてくるはずです。懐古的な手法などではなく、現代的なスタイル・主人公のまま「伝統的な私立探偵小説の復活」を果たしたハードボイルドファン必読の作品です。

この作品は多くの新人賞などにノミネートされたほか、ジェイムズ・クラムリー、ドゥエイン・スウィアジンスキーなどからも高い評価を得ていて、スウィアジンスキーによると「オレにはこいつの小説を最初に読んで、こいつがいずれスゲー大物になるってわかったぜ!ロバート・B・パーカーぐらいの大物だ!(かなり個人的想像のスウィアジンスキー口調による意訳)」とのこと。まあ、パーカー作品があまり好きでない私ですが、一応ネオ・ハードボイルド以降の私立探偵小説/ハードボイルドを代表する作家、ぐらいの正当な評価はしているので、このスウィさんの意見には大賛成であります。

このシリーズの主人公Jackson Donneは、色々な過去は抱えていますが、基本的には割と普通の青年です。しかし、このキャラクター、物語はどこか「破滅型」というようなところがあり、前述のCrimespree Magazineのシリーズ第4作のWebレビューでも、シリーズ全体にその傾向があるようでした。まあ、いつものことであまり未読のものの内容を知りたくないので、チャラッとななめ読みしただけですが。ジム・トンプスンの主人公やあのロイド・ホプキンスなど、破滅型野郎大好きな私としてはこのJackson Donneシリーズ、また目の離せないシリーズとなりました。

作者Dave Whiteは1979年生まれでニュー・ジャージー在住でパブリック・スクールの教師として働きながら小説を書いている作家。現在もその職にあるのかは不明。少し前に書かれた履歴のようなので一応。
実はこのJackson Donneシリーズ、かなり昔からウェブジンなどに発表されていて、初登場は2000年。以下がその全貌となります。

■長編
 Borrowed Trouble (2001; Rutgers; 絶版)
 When One Man Dies (2007)
 The Evil That Men Do (2008)
 Not Even Past (2015)
 An Empty Hell (2016)

■短編
 God Bless the Child (March 2000, The Thrilling Detective Website)
 More Sinned Against (March 2002, HandHeldCrime.com--UPDATED, Reprinted at David White's Official Website, May 2005)
 Closure (Autumn/Winter 2002, The Thrilling Detective Website./Winner of the Derringer Award for Best Short Story of 2002.)
 Get Miles Away (Summer 2003 The Thrilling Detective Website.)
 God's Dice (Spring 2004 The Thrilling Detective Website.)
 Darkness on the Edge of Town (Summer 2004 The Thrilling Detective Website.)
 Reptile Smile (February 2005 Shred of Evidence.)
 My Father's Gun (2006, Damn Near Dead: An Anthology of Geezer Noir)

ということで、第1作!などと書いてしまったのですが、ご覧のとおり実はこの作品以前に長編第1作が書かれています。『Borrowed Trouble』という作品で2001年にRutgersというところから出て現在絶版となっています。Rutgersと言えばニュー・ジャージーの有名な大学の名前だがその辺の事情はちょっと分かりません。そしてこの作品と続く第2作は最初はThree Rivers Pressというもう少し大きな総合出版社的なところから出て、現在のPolis Booksに移ったのは割と最近のこと。とりあえず第1作に関して想像できるのは、本当は2作目であるこの作品が出るまでに6年間のブランクがあり、その間短編も数作書かれており、作者の中でキャラクターやシリーズに関する考えも変化したため、一旦は捨てて、この『When One Man Dies』を第1作として新たにスタートさせたのだろうというところでしょうか。第3作の後、再びしばらくのブランクがあり、このPolis Books版となるわけですが、その際も幻の第1作は除かれ、この作品を第1作としての再々スタートとなっているわけです。しかし、この作品中に以前の事件のことと思われるのだけど最後まではっきりとは説明されないものもありその作品の事件ではないかとも思われるので、今後書き直し、新たにそちらを第1作とする可能性もあるかと思います。
短編については、本人のホームページとシリーズの多くを掲載しているThe Thrilling Detective WebsiteのJackson Donne紹介ページのものを使わせてもらいました。リンクの張ってあるものは現時点では読むことができます。そちらの紹介ページによると初期7作は短編集『More Sinned Against』として出版されたそうなのですが、現在は絶版となっています。
その中の、初登場となる「God Bless the Child」だけですが読んでみました。とりあえず辞書の使える環境でじっくり読んでみたかったので、一旦コピーさせてもらい、PDF化、変換で送信という手順でKindleへ送ってみたところ20ページ弱ぐらいの長さの作品でした。恋人の死後1年の時点の話で、児童虐待をテーマとしたストーリー。Donneの破滅型の性格も垣間見える好編でした。
このように評価も高く実力も充分ながら、苦労を重ねてきたDave White氏とJackson Donneですが、今度のPolis Booksはこのような作品を世に出すために作られたところ!いよいよ機は熟したということで、ロバート・B・パーカーぐらいの大物目指して邁進しちゃってください!

Dave Whiteホームページ

そしてこの作品の現在の版元であるPolis Booksについて。2013年設立ということで、まだ新しいところで、主にミステリ、他にホラー、SFなどいわゆるジャンル作品を専門に扱っているパブリッシャーです。規模についてはアメリカではでかいところはやたらでかいし、系列などもあってなんとなく日本と比較しにくく説明が難しそうなのですが、一応インディペンデントではあるのだけど、これまで書いてきたような作家がエディターのウェブジン発というようなところよりは大きく、安定して本を出せる本格的な出版社というところだと思います。うーん、あまりちゃんとできた説明ではありませんが…。
Dave Whiteの他にも目に付くところとしては、Rob Hart、Alex Segura、Bryon Quertermous、J.D. Rhoadesといったあたりがアクション性の強そうなのからノワール系までそれぞれにキャラクターを立てたシリーズものを出しています。他にもあのケン・ブルーウンとリー・チャイルドに絶賛されたGrant McKenzieの作品もあり、それぞれについてはよく調べていないのだけど、新しいパブリッシャーにしては作品数の多い作家もあり、Dave Whiteのように他のパブリッシャーで不遇をかこっていた作家・シリーズを一手に集めてきているところに見られます。他にもあのジェイソン・スターが旧作数点の移籍とともに昨年は3年ぶりの新作を発表。そして日本でも翻訳の出たザカリー・クラインが3作目以降出版社との折り合いがつかずストップしていたマット・ジェイコブシリーズ第4作を15年ぶりに発表。さらには近年のこのジャンルで名前を知らなきゃモグリのPatricia Abbott女史の長編。そして新作予定の中には、なんとあのBig Daddy Thug、Todd Robinsonの待望の新作長編が!
といった恐るべきラインナップを抱えるPolis Booksなのですが、こういうパブリッシャーが現れたところを私なりにボンクラ素人分析してみると、やはりこれはKindleなどe-Bookの登場によるものではないでしょうか。例えばAmazonだけで全体の状況が分かるというものではないだろうけど、少なくとも米Amazonの本全体のミステリぐらいの枠でベスト100のランキングを見てみても多くはKindleだったりするので、もはやそのシェアもそれほど軽視できないものなのではないでしょうか。そんなにはよく知ってるわけじゃないのだけどアメリカって日本みたいにそこら中に本屋があって手軽に本が手に入る環境じゃないそうで、そんなところでKindleなどで簡単に本が手に入るようになってみると、意外と人気があったのがこのジャンルのこういったシリーズ作品。Amazonではもちろん真っ先に気が付き、傘下Thomas & MercerにJay Stringer、Matthew Iden、Aian Russellといった新しい作家を集め、次々とシリーズ作品を出しています。(この辺にも早く手を付けたいのだが…。)そしてそんな風に流れが少し変わって行くところで、また一方で、とにかく俺が書きたいもんを俺が出す、という方向で頑張ってきたウェブジン、インディー・パブリッシャーからも実力作家が次々と現れ、というような状況で出てきたのがこのPolis Booksというようなところなのじゃないかと思うのですが、違うかな…。
しかし、なんにしてもこのPolis Booksに、新しい作家・シリーズ、復活組をはじめ、大きな動きがあるのは確か。この辺の動きは度々登場の、ドゥエイン・スウィアジンスキー、グレッグ・ルッカらを擁しランズデールのハプレナシリーズを復活させたMulholland Booksや、まだほぼ未探索ながら、Brash Books、Oceanview Publishingといったところにも見られるようです。そしてこの動きで個人的に今一番の注目は、前々回最後にちらっと登場のDown & Out Booksです。その時にも少し触れたAnonymous-9の『Hard Bite』シリーズですが、少し前まではNew Pulp Pressから出ていたものです。あくまでも推測だけど、これは何かの事情で決裂したとかいうものではなく、このように手ごたえのあるシリーズ物を打ち立てて作品を出して行きたい作家にはNew Pulp Pressの出版ペースでは無理があったのだろうという事情ゆえの移籍ではないかと思われます。まあもちろん姐さんがひと暴れしたという可能性も無きにしは非ずですが。アノ9姐さんの120%大傑作確実の『Hard Bite』については近日中に読む予定ですので、Down & Out Booksについてもその時にもっと深く探ってみるつもりです。また、5月にJoe Cliffordの作品について書いた時、Snubnoseは新作発行がストップしている模様、と書いたのですが、その流れで一旦はそちらから出ていたTom Pittsの『Hustle』もDown & Outに移行。そして先月あの『Thuglit』が最終号を発行。しかし、これは前述のように遂に新作が発表されるTodd Robinsonが本格的に作家として復帰するためという事情でしょう。これらの動きは、以前からのウェブジン、インディー・パブリッシャーなどが一旦は役割を終え、そこで実力を発揮した作家たちが、更に安定した場で本格的に作家として動き始めたとみるべきものではないでしょうか。しかし、後を追う者たちも消えたわけではない!次々回、再来週…たぶん…にはこの『Thuglit Last Writes』を取り上げ、同時に現在のその辺の奴等の動きについての私なりの観測についても書いてみるつもりです。

と、長々と書いてきたわけですが、如何でしょうか?このくらいになってくれば「新世代ハードボイルド/ノワール」とか言っちゃっていいものがあるように思えませんか?新しいハードボイルドを待ち望む人であれば、こんな正体不明のボンクラの妄言かもしれなくても、大人の自己責任でここは乗ってみようか、という気分になるのでは?更には新世代トップランナージョニー・ショー!現代最強ノワール作家にして無冠の帝王Anthony Neil Smith!個人出版でも、初期に書いて放置したままのDani Amore(現Dan Ames。いや、アンタにゃ言いたいことがあるんでそのうち読んで書く!)やTV風警察ハードボイルドRoger Stelljesなどもあり。掘ればまだまだ出てきそう。このくらいになってみると、日本って実はまだ鎖国でちっこい出島を通って細々としかものが入ってこないように見えてしまう。今の状況じゃことによってはほぼ全スルーというのもありうる。こうなったらもう翻訳などあてにはできんのだ!皆の衆!片っ端から読むのじゃ!

Polis Books

※他のパブリッシャーについては文中でリンクを張りました。


そしてここでAnthony Neil Smithさん最新情報です。5月のMatthew Stokoeの作品についての文中で4月初めにSmithさんがブログを辞めてしまった経緯を書きましたが、その後5月末に復活いたしました!URLは同じなのだけど、一から作り直したようで、私はfeedyを使っているのだけどそちらには更新が来なくて少し気付くのが遅れてしまったのだけど。その後しばらくスコットランドに旅行に出かけ、気分も落ち着いたとのこと。ここに来るのは自分のファンなのに悪かったね、という感じで再開してくれました。あーん?2か月拗ねてただけで、すぐ戻ってきたとか笑いたい奴は笑え!私はだからSmithさんが好きなのだ!こういう思いやりのある人だからこそ真に心を打つ物語が書けるのだよ!私は何があろうとSmithさんを支持するよ!ありがとう!
そして再開後のブログでは、毎日自転車で走り回っておケツが痛いなどの楽しい話の合間に、ダラス警官狙撃事件について思うことや、3つ小説のアイデアがあるけどどれから書こうか、というようなことが書かれています。そして、以前からSmithさんが時々書いていた、新作『Castle Danger』の第1作が完成したとのこと。こちらはドイツの出版社からこれから出されるOolipoに向けて書かれたものということ。Oolipoというのは読書用のアプリらしいのだけど、多次元読書体験!とか書かれているけど正体については今ひとつわかりません。Smithさんによると『Castle Danger』は第1巻というよりはTVドラマのような第1シーズンという感じになるそうで、現在第3シーズンまで予定されているそうです。ちょっと名前を忘れてしまったのだけど、結構こっち界隈でよく見る作家の紹介ということなので、他にも自分の好きなのがあるかも、と期待しているのですが、果たして私に読めるものなのか?とりあえずOolipoのホームページで、Oolipoを最初に体験する100人になりませんか?というのがあったので、ハイハイなりまーす!と登録しておいたので日本のショップにも出るのではないかと思うのだけど…。最近検索してみたところ、なんだかドイツ語で全然分からなかったけど「2016」、「August」ぐらい見えたのでもうすぐ出るのかもしれません。Smithさんによると、ドイツの出版社だけど英語版のペーパーバックも出るよー、ということなので、ダメだったらそちらを手に入れるか。この辺についても、何か続報がありましたらお伝えいたします。

Anthony Neil Smith新ホームページ

Oolipo


そして最後にもうひとネタ!…というか本当は本文の方に入れるべきだったんだけど、流れにうまく乗せられなかったのでこっちで別に書きました。未熟者めっ!これはDave Whiteについて調べているうちに見つかった『Terminal Damage』という2010年発行のアンソロジーです。こちらはDo Some Damageというクライムノベル作家のグループによるサイトのメンバー8人による、空港をテーマにした作品のアンソロジーということです。Do Some Damageというのは私もこれで知ったばかりであまりよく見てないのだけど、日替わりでその曜日担当のメンバーの作家が記事を書くというなかなか面白そうなところです。参加しているのはDave Whiteの他に、Jay Stringerや同じくPolis BooksのBryon Quertermousなどで、ほとんどが自分のシリーズ物を打ち立てて活躍している作家なので、ちょっとこの辺の流れの一つのサンプルになるのでは、と思います。自分の方でもできればそのうちに読んで書いてみるつもりです。Do Some Damageのものとしては2011年発行の『Collateral Damage』という同様のメンバーによるアンソロジーもあります。そちらは下のリストの方へ。いずれも定価100円のようなので急ぐことはないのですが、版元がNeedle Publishingという現在はホームページなどが見つからないところなので、突然なくなる可能性もあるので気になる人はお早めに。
あと、こちらは緊急!間に合わないかと思ったけどまだ一応大丈夫そうなので。文中にも登場したPatricia Abbottの各賞ノミネートのデビュー長編『Concrete Angel』Kindle版が特別価格221円!下のリストにもあり。Polis Booksでは新刊以外は大体600~700円ぐらいでその価値はあるけど、せっかくなのでこのチャンスにゲットすべし!こちらについては期間等も不明なので明日には終わってる可能性もあり!間に合わなかった人はごめん。

Do Some Damage

■Dave White / Jackson Donneシリーズ
●長編

■その他のDave Whiteの著作

●Do Some Damageアンソロジー

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2016年7月10日日曜日

2000AD 2015年秋期 [Prog 1950-1961]

前々回に引き続き今回も2000AD。2015年秋期です。例年なら年最後の年末・クリスマス特大号はProg 2016となるところですが、今年は続きの番号でProg 1961になっています。というかもうこれ以上だと混乱すらから今年以降ということになるでしょう。ではまずは今期のラインナップから。

 Judge Dredd
 Defoe [Prog 1950-1960]
 Brass Sun [Prog 1950-1959]
 Sinister Dexter [Prog 1951-1956, 1961]
 Bad Company [Prog 1950-1961]

そして今回のトップ画像は、13年ぶりの復帰、そして恐るべき再スタートを切った『Bad Company』であります!いや、大好きな『Brass Sun』が良くなかったわけではない。そして、巨匠Millsの代表作の一つ『Defoe』も、毎回楽しませてくれるAbnett『Sinister Dexter』も押さえて『Bad Company』なのです!詳細については後ほど!


Judge Dredd
 1. Serial Serial : John Wagner/Colin MacNeil (Part1-5)
 2. Islands : Michael Carroll/Paul Marshall
 3. Sleeping Duty : Michael Carroll/Nick Dyer
 4. That Extra Mile : Alec Worley/Karl Richardson
 5. The Beating : John Wagner/Patrick Goddard (Part1-3)
 6. Melt : Rob Williams/Henry Flint

1. 2015年冬期のDark Justice以来姿を消していたMega City-Oneの天才的犯罪者P J Maybeが登場。P J Maybeについては以前に書いたJudge Dredd / Day of Chaosの時に少し書いたのですがかなり省略してしまったので、ここでこれまでの経緯についてもう少し詳しく書きます。
Day of Chaosの冒頭で逮捕されたP J Maybeですが、様々に策を使い、顔を変えて脱走。(Mega City-Oneには簡単に顔を変えられるマシンがあり、かなり初期から登場しています)その後、さらに顔を変え、美容院のようにマシンで顔を変えられる店の店員として潜伏。店にやってくる金持ちの老婦人を見繕い、取り入って結婚し、Chaos Dayの大暴動の間もその屋敷に閉じこもりやり過ごします。その間に遭遇してしまった3体のDark Judgeを騙し、瓶に封じ込め隠し持っていました。そして2015年冬期のDark JusticeでJudge Deathが現れ、Dark Judge達を解放したが、P J Maybeについては生死も不明、となっていたのがこれまでの経緯です。
人体切断のマジックショーで事故が起こりマジシャンが体を切断され、死亡。そしてその胸にはドレッドに宛てたP J Maybeからの手紙が置かれていた。その内容は、最近起きた複数の連続殺人犯による未解決の事件はすべて同一の犯人によるものだというMaybeの推理だった。ドレッドは、その連続-連続殺人鬼と、更に新たな死体とともにメッセージを送り続けるMaybeを追い捜査を続ける!
今回はミステリ仕立てのストーリー。Dark Justice以後のいきさつについては、Maybeの手紙によると、彼はDeathのスキを見て逃げたということ。たぶんDeathはMaybeを同類とみなして逃がしたのだろう、というMaybeの考えも書かれています。今回も最終的にはまんまと逃げおおせたMaybe。いずれまた登場のことでしょう。ストーリーは夏休みから戻ったJohn Wagner。作画はもう結構おなじみのColin MacNeil。太めの丸い線を使いながら、カラーリングも含めた全体の印象で常に夜のようなダークな雰囲気を作るのが上手い。

2~4はそれぞれ1話完結のストーリー。うち2,3はMichael Carrollがライターを担当。前の夏期のBlood Of Emeraldsや前年夏期のCascadeなど大き目の話を手掛けているDreddの中心ライターの一人です。
2はある潜入捜査官の関わる事件を通じたアスペルガー症候群の少年とドレッドの触れ合いを描いた心温まる話。作画はおなじみPaul Marshallなのだが、ちょっともうやたらとこの人にケチをつけるのは悪いのでやめよう。少し忙しいと単調な構図を描いてしまう癖があるようですが、この作品は丁寧に仕上げられています。
3はシティ外の小施設にお宝があると思い込み侵入したこそ泥たちが、中にあったスリーピング・マシンでドレッドが仮眠をとっているのを見つけ…。という少しコメディタッチの話。スリーピング・マシンというのはジャッジが短い時間で充分な睡眠をとったような休息を得るためのマシンで、こちらも割と初期から登場しています。作画のNick Dyerは少し調べてみたところまだ若手のアーティストのようですが、結構好きなタイプの線なので今後の活躍を期待したいところです。(ホームページ)
4は、恒例のシティ外のマラソン大会で、コースの一部が危険地帯であることから中止になり、ジャッジ達が参加者を止めるため出動。しかし一部のグループはすでに危険地帯に差し掛かり、更に走りにかける男たちは…。というストーリー。ライターはDreddでワンショットでたびたび登場しているAlec Worley。作画は夏期『Outlier』のKarl Richardsonなのだが、この作品ではちょっと引きの画の弱さが出てしまった感じ。

5. 再びJohn Wagnerによるストーリー。隠し撮りによる脅迫で稼いでいたグループが、ドレッドがバイク・ギャングを退去させるために出動した際、中の一人を必要以上に殴打し、死に至らしめるという映像を入手し、ドレッドを脅迫しようと試みるのだが…。
おなじみ社会派Wagnerによる一編ですが、真相は退去をスムーズに進めるため、潜入捜査官の一人と芝居を打った、というのは大体想像できてしまうため、少し小品の感じも。作画は2015年冬期のあの『Savage』のPatrick Goddard。Adam Brownによる重みのあるカラーリングもあっているのだけど、個人的にはより持ち味の素晴らしい線が活かされるモノクロが好みですが。

6. 年末・クリスマス特大号の増ページのワンショットは夏期に完結したTitanサーガのコンビによる番外編的後日譚。Mega City-Oneに雪だるまの盗賊団が出没。だがそれは実はEnceladusの生命体へと変貌した逃亡者たちが起こした猛吹雪の残雪から作られた雪だるまが意識を持ったものだった。彼らの目的は生存のため冷蔵庫を集めるだけだったが、Justice Departmentはそれを放置しておくわけにはいかなかった…。
クリスマス・ストーリー…かな?2のように子供が出てくる話なのだが、こちらはちょっと切ない結末に。

Defoe : The London Hanged
 Pat Mills/Leigh Gallagher

巨匠Pat Millsの代表作の一つが登場です。17世紀、架空のイギリスを舞台に水平派の闘士Titus Defoeが、魔術により蘇生させられたゾンビと戦う物語です。単行本も2冊発売中。前に掲載されたのが、私がこれを始める前の2013年夏期で、Defoeが一緒に戦っていた女性と、ゾンビの蘇生者にとらわれていた彼女の息子を救い、大団円の感じで終わっていたのですが、新たな展開で再開しました。
戦いは終わり、救い出した女性TomazineとSean、そして新たに生まれた娘とともに平和に暮らしていたDefoe。だが、ある夜、教会により絞首刑にされた者たちがゾンビとして蘇らされ、その群れはロンドンへと向かう。何者が彼らを蘇生させたのか?かつての同士Brethern、貴族階級の歪んだヒーローたちも動き始める。そしてDefoeもかつてのゾンビ・ハンターの装備を身に着ける!
作画はあのローマの狂戦士『Aquila』(なんか毎回書いてるなあ…好きなもので)のLeigh Gallagher!こちらは白黒なのですが、Leigh画の暴走感がさらに強まり、主人公Defoeからして相当に凶悪な面で、善人と悪人の判別もつかない素晴らしいアート!というかこの作品ほとんど悪い人しか出てこない。味方であるBrethern達もほとんどぶっ壊れた危険人物ばかりだし、貴族階級のマスクをつけて魔術で戦う偽ヒーローたちは完全に狂った堕落した連中だし。ちょっとイギリス史にあまりにも疎いのでわかってない部分もあるのかもしれないが、とにかく凄い。今後の展開としては、この偽ヒーローとの暗闘が一つの中心となって行くのだろうと思われます。というところなのですが、今シーズン最終回、Tharg閣下によると、Leigh Gallagherは今回で『Defoe』の作画を降板するとのこと。誠に残念ですが、2000ADはいいアーティストが沢山いるので、次回からどうなるのか期待して待ちたいと思います。しかし巨匠Pat Millsの作品はどれも素晴らしく、一方で日本ではあまりにも知名度も低く、微力ながらもこのMills氏の偉大な功績を少しでも多く伝えて行くのが私の使命なんじゃないかと少し大げさながら思ってしまうのですよ。多分あのアラン・ムーアだって昔は敬語で話してただろうぐらいの大物なんだゾ。と言いつつも現在の2000AD2000号までに追いつこう作戦進行中の状況で、色々読み始めたのもストップしてしまっているのですが、また区切りが付いたら頑張って続報をお伝えして行くつもりであります。しかしLeigh Gallagherって今回初めてよく調べてみたら、なんか拍子抜けするぐらいにこやかなアンちゃんかオッサン(年齢不詳)が出てきたのだが…。いや別にいいんだけど…。(ホームページ)

Brass Sun : Motor Head
 Ian Edginton/I.N.J.Culbard

さてここで『Brass Sun』!2014年夏期以来の登場となりますが、私も何度も好きな作品と言いながら、少し雑に書いてきてしまったので、今回ここであまりちゃんと書いてなかった序盤のストーリーをまとめておきます。
たくさんの惑星が集められ、パイプでつながれ機械的に太陽の周りを回っている不思議な世界。その太陽は衰え、死に向かっている世界を救うため、祖父の遺志を継いだ少女Wrenは旅立つ。自らの惑星のシステムの管理者のもとにたどり着いたWrenは、そこで働く技術者の少年Septimusとともにシステムを再起動させるための鍵を求め、今では使われることのなくなった惑星をつなぐパイプを通り、別の惑星へと出発する。最初の惑星ではその世界の内乱に巻き込まれながら、誰からも顧みられることのない掃除負の男の頭の中にあった「祖父の本」をWrenの脳にインストールし、次の惑星に向かい脱出する。というところで2014年夏期のFloating Worldの話へとつながるのですが、そちらで書いてなかったこととしては、Wren達がGaseouse Clayを求める冒険に出ている間にギルドのPeiの許を謎のロボット(画像のヤツ)が襲い、その混乱に乗じてWren達がPeiの娘の中の鍵を手に入れるという展開。このロボットに関しては正体は不明ながら、目的はWrenの頭の中にある「祖父の本」であるこの世界を作った者の記憶らしいということです。ということで今回のストーリーへ。
次の惑星へと向かい、パイプを通っていたWren達は、その途上別のシステムの管理者によって制止、拘束されてしまう。そもそもはシステムの技術者であり、出立前にいざとなればWrenよりもシステムを優先するように言い含められていたSeptimusは追及されるうち、Wrenの頭の中に創造者の記憶があることを話してしまう。その結果、管理者たちは生死をも問わない強引な方法でWrenの頭からそれを取り出そうと試みる。自分の行動の結果に深く後悔しながら、システムの労働者に組み込まれ働くSeptimus。だが、再び現れた謎のロボットの襲撃により、Wren奪回のチャンスが訪れる!
今シーズンは冒頭からヒロインであるWrenちゃんが丸坊主にされた頭に電極の針を何本も刺され、鼻血を流しているというあまりにもショッキングな展開に多くの読者が退いたせいか、少し評判は悪かったようですが、基本的には変わらない少年少女の愛と勇気の冒険物語で、個人的には全く評価は揺るがず、今回も本当に楽しませてもらいました。でもやっぱりヘッドギアぐらいに穏便にしていた方が良かったんじゃ、とは思うけど…。でも彼らに協力してくれる、厳しい労働のため疲弊し人間の体をあきらめダルマみたいなロボットになっちゃったおばさんが、囚人服のWrenに昔の勝負服を渡してくれるというような美しいシーンもあったのですよ。最後にはさらに強敵も出現し、今後の展開にますます期待が高まる『Brass Sun』であります。余談ですが、今の日本で使われている「冒険小説」という言い方にまでイチャモンを付けるつもりではないのだけど、なんかこういう物語の居場所がなくなるような気がして、個人的にはあまりその言い方は使いません。作者チームについては、散々書いてきているので今回はいいか。D' Israelとの新作も期待されるEdgintonですが、一方のCulbardも2016年春期には意外なコンビで新シリーズが始まります。

Sinister Dexter : The Taking Of The Michael
          Blank Ammo

 Dan Abnett/Patrick Goddard/Simon Davis

2014年夏期以来の登場となるおなじみの凄腕ガンシャーク二人組が活躍するシリーズです。今回はいよいよしばらく続いていたTanenbaum追跡の最終章となります。全6回の「The Taking Of The Michael」のあと少し空いて、クリスマス特大号にワンショット「Blank Ammo」が掲載されています。ちなみに左のクールなカッコイイ画像は作画の二人ではなく、John Davis-Huntという人によるものですが、前シーズンの作画が『Orlok』などのレトロ画のJake Lynchだっただけにかなりの落差が…。

The Taking Of The Michael
Tanenbaumが証人プログラムに守られ、潜伏するSkelton Keysに到着したSinisterとDexter。Tanenbaumの所有する豪華クルーザーで行われる船上パーティーに狙いを定めた2人だったが、敵側も彼らの到着を悟り、次々と刺客を送り込んでくる。それらを打ち倒し、クルーザーに潜り込んだSinisterとDexter。そして、遂にTanenbaumとの対決の時が来る!
今回は戦闘後の船上の警察による現場検証と、Skelton Keysについてからの2人のストーリーが交互に語られる構成となっており、冒頭から船上に二つの人型がチョークで描かれていて、果たして彼らはどうなったのか、という展開で進んで行きます。最後には宿敵Tanenbaumを追い詰め、Sinister Dexterは銃を撃つ!だがTanenbaumの身体は大爆発!なぜか無傷だった2人は起き上がり、船から去る。しかし、上陸したとたんに警察に出会い、身元照会をされるが何故か彼らの犯罪記録は無くなっている。どうやら爆発の衝撃で今度は2人が異次元に飛ばされてしまったようだ、という結末。毎回作画が変わるこのシリーズ、今回はDreddにも登場したあのPatrick Goddard。このシリーズの雰囲気に合わせ、構図やタッチなどを若干変えてスピード感を出しているところもあり、さすがという感じです。

Blank Ammo
クリスマス・年末スペシャル号のワンショット。地元に帰ってみた2人だが、誰も彼らのことはわからない様子。しかし何事にも動じない2人はいつものノリで歩き回り、さて、これからこっちの世界でガンシャーク稼業を始めるか、という感じに終わります。
Dan Abnettの2000ADではおなじみの人気シリーズ『Grey Area』に続き、こちらの『Sinister Dexter』も異次元に行ってしまったわけですが、先に戻るのはどちらになるのか?こちらの作画はなんとあの『Slain』のSimon Davis。まあ、凄い人は何描いても凄いですね。

Bad Company : First Casualties
 Peter Milligan/R. Dayglo/J. McCarthy

そして、いよいよBad Companyの登場です。ではこれはいかなる作品なのか。元は1980年代2000ADにてPeter Milligan(ライター)/Brett Ewins(ペンシラー)/Jim McCarthy(インカー)のチームにより創られたSFミリタリー・アクション・コミックです。異星人Kroolと人類との戦争が繰り広げられる惑星Ararat。主人公の若き兵士Danny Franksは自らの部隊が全滅した後、Bad Companyと呼ばれる部隊に配属される。そこはフランケンシュタイン的怪物である隊長Kanoに率いられるミュータントと狂人の集まりの部隊だった。というストーリー。こちらはまだ未読なのですが、今回の再開の直前にコミック情報サイトComics Allianceのインタビュー(Peter Milligan Brings Back ‘Bad Company’ for ‘2000 AD’ [Interview])でピーター・ミリガンが語っているところによると、ベトナム戦争の映画や本などに触発されたということですので、おそらくは英雄的な戦争物語とは異なる作品であったのだろうと思われます。同時期には終わりのない戦争で化学・生物兵器で完全に汚染された惑星を舞台としたSFミリタリー・コミック『Rogue Trooper』も掲載されていた2000ADですし。
そして、その後2000年代初頭にごく短期間復帰、Alan Grant/John Wagner/Carlos Ezquerraによるワンショットなどを経て、13年ぶりに再開された今作はいかなるものなのか。同インタビューによると、その後さらに変化した現代の戦争について描くこと、そして、戦争は本当に戦う価値があるのか、ということが今作のテーマとなるということです。

終戦から10年。Dannyら元Bad Companyのメンバーは、形としては戦争の英雄だが、そのあまりにも深いトラウマゆえに軍の施設で薬漬けになり、それでも一応は平穏な日々を送っていた。ある日、Dannyは軍上層部に呼び出され、出頭すると、連れていかれたのは軍のジャンクヤードのような施設だった。Dannyはそこでかつての隊長Kanoと再会する。だが、Kanoは頭と胸に大穴が空いた状態のまま、いまだに戦闘の最中にいるかのような狂気の行動をとるばかりだった。戦争終結後、軍はKanoを平和な状況に適応させるように試みたが適わなかった。そして彼らはDannyにKanoを殺すよう要請する。しかしその命令に疑問を感じたDannyは、かつてのBad Companyのメンバーを集め、Kanoを軍施設から奪い出す。施設の彼らが信用する医師により、Kanoは幻覚から解放され、元の状態に復帰し始める。Danny以下のメンバーたちも大量の薬の摂取を止め、無気力状態から復帰し始めるのだが、その一方で自らの記憶に違和感を感じ始める。その謎を解くため、彼らは旅立つ。そして、かつての戦闘の地Ararat、刑務所惑星を巡ったBad Companyは、恐るべき戦争の真実を知る!

そして地球に戻ったBad Company。行われていた戦勝10周年を祝う記念式典に乱入し、彼らは集まった観衆に自分たちの知った戦争の真実を訴える。

戦争の発端となったAraratの植民村のKroolによる大虐殺は嘘だった。AraratをKroolの手から奪うための、地球政府による工作だったのだ。そしてその任務のため植民村の人々を虐殺したのは彼らであり、その後軍施設で記憶を消されたが、その罪悪感のため狂気を免れなかった者たちが集められたのがBad Companyだったのだ!

しかし、集まった観衆はそんな話は聞きたくはなかった。彼らに向かい次々と物を投げつける!駆けつけた軍も彼らに銃を向ける!そして、ここからBad Companyの新たな戦いは始まるのだった!

この作品の評価に関しては、大きな批判も見当たらないけど、大きな絶賛というものも見当たらないという様子です。前作を知らない私から見ると、以前のものをひっくり返してしまったようにも見えるけど、『Bad Company』という物語をよく知っていれば、再開されたものがこのような形になることにそれほどの違和感を感じないものなのかもしれません。
戦争というものは昔からそういう部分があったものにせよ、近年の戦争では特にその理由や動機に疑問視される部分が多いのは誰もが知るところでしょう。この作品の、あまりにも明白な政府の利益追求のための悪行、というのは少し単純に思えるかもしれません。しかし、自国の利益や、安全保障上の観点、はたまた営利企業であれば利潤追求のために動くのは当然、などといった形で、実際に国民であり、企業など社会の一員である私たちがそれぞれに自分の立場を考えながら議論を重ねるうちに常に結論も、本質も曖昧になり、そして曖昧なまま次の戦争が起こされ、犠牲者が重ねられてて行くものではないでしょうか。それがSFという形で架空のものであっても、ひとつの戦争を描いた後、一旦は終了し、そして新たに「現代の戦争」を描くために再開された本作は、それが単純化されたものであっても、ひとつ現代に向けて大きな意味がある作品なのではないでしょうか。自分は根本的に何かそういうところで意見を述べるような資質は無く、ただ良い作品を読んだらその意味を一生懸命考えようというだけの人間ですが、そういう者としてこの作品は、なんとしても未読のものも読み全体の意味を見極めなければと思い、更には作者であるピーター・ミリガンの作品を今後はできる限り読まなければ、と思わせる今期最大の問題作でありました。
ライターであるピーター・ミリガンは、多分日本語表記で良いくらいのビッグネームだと思うのですが、現在のところあまり代表作などは翻訳されていないようですね。イギリス出身で2000ADで活躍した後、いわゆる”ブリティッシュ・インベンション”でアメリカに渡った作家の一人です。代表作はVertigo作品などで多数あり、『Hellblazer』全300話の最後のライターも務めています。今回のBad Companyの続きが描かれるのかは不明ですが、前出のインタビューで、ミリガンはこれを機に2000ADへ復帰することに意欲的で、その方向で動いているということなので、近いうちにまたミリガン作品を2000ADで読むことができることと思います。
この作品の作画はこれまではミリガンによる作品は一貫してBrett Ewins-Jim McCarthyのコンビによって描かれてきましたが、2015年Ewinsが死亡し、今回からはRufus Daygloが参加しています。90年代から主に2000ADで活躍する他、『Tank Girl』のシリーズのひとつなども手掛けているアーティストです。ちなみに今回トップ画像に使用した『The Complete Bad Company』はプリント版は残念ながら現在絶版なのですが、2000ADのアプリショップからは読むことができます。

最後にProg 1961 クリスマス・年末特大号について。100ページのラインナップは以下の通り。

 Judge Dredd
 Absalom
 Kingdom
 Bad Company
 The Order
 ABC Warriors
 Sinister Dexter
 Future Shocks
 Strontium Dog

うち、Dredd、Sinister Dexterについては上で解説済み。Bad Companyはこれが最終回。Kingdom、The Order、ABC Warriors、Strontium Dogは2016年冬期のシリーズのスタート。ということで残り2作について。

Absalom : Family Snapshots
 Gordon Rennie/Thernen Trevallion
2015年夏期に掲載されたシリーズのワンショット。Absalomの許には今年も地獄から孫たちの写真が送られてくる。悪魔たちに囲まれにこやかに笑い成長して行く孫たちの写真。彼を嘲り、苦しめるために。そのころ、新たに加わった悪魔ハンターの少年Danielは廃墟となったかつての住まいに向かっていた…。続きが待たれるシリーズですが、多くの人気シリーズを抱えるGordon Rennieのこと、今年中の掲載はあるのか?

Future Shocks : The Mighty Mykflex
 Martin Feekins/Jesus Redondo
1977年2月、地球に謎の宇宙船が墜落。生き残った異星人Mykflexは逃亡し、ヒッピーのコミューンに潜り込むのだが、宇宙船に残された数々の冒険の映像からその才を買われ、SFコミック誌1999ADのエディターになる。しかしそこに、おなじみ2000ADのTharg閣下が現れ、彼を新たなスリルの探索者としてリクルートし、Mykflexは再び冒険の旅へと出かけるのであった、という話。どうも1980年代ぐらいのFuture Shocksと関係があるらしいのですが、さすがにそこまではわかりませんでした。なんかわかったらその時に書きます。


今期は4シリーズのみだったのですが、どれも熱量が高く、長くなってしまったため、またしても遅れてしまいました。やっと2015年分が終わったか、と思うけど結局もう7月か…。あと最低やっとかなきゃならないのは2016年冬期、春期の2期ですが、冬期はご覧の強力ラインナップ。春期はまた2回に分けなきゃならなそうという感じですが、何とか早めに進めるよう努力しますです。他のコミックのことも書きたいのだが、とりあえずは2000号目指して頑張ろうということで、しばらくはこの感じでまたお付き合いください。

【追記】
なんだか『Tank Girl』をミリガンの作品だと思い込んでいて色々間違ったことを書いていたので修正いたしました。何が原因でそう思い込んだのかは不明。たぶんこのアーティストの別の作品ではライターが誰で、みたいなことを横にたどったりしているような過程で間違って思い込んだのだと思うけど。今週ComixologyでTitanの『Tank Girl』とかのセールをやっててやっと気付きました。今後はきちんと確認して正確な情報を書くように努めます。すみませんでした。


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2000AD 2014年冬期 [Prog2014,1862-1873]

2000AD 2014年春期 [Prog1874-1887](前編)

2000AD 2014年春期 [Prog1874-1887](後編)

2000AD 2014年夏期 [Prog1888-1899]

2000AD 2014年秋期 [Prog1900-1911, 2015]

2000AD 2015年冬期 [Prog 2015,1912-1923] (前編)

2000AD 2015年冬期 [Prog 2015,1912-1923] (後編)

2000AD 2015年春期 [Prog 1924-1936]

2000AD 2015年夏期 [Prog 1934-1949] 前編

2000AD 2015年夏期 [Prog 1934-1949] 後編


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2016年6月28日火曜日

Dave Zeltserman / The Julius Katz Collection -名探偵とその助手登場!-

随分前にフリーで手に入れた短編を2本読んでみるというのをやって、そのうち読みまーすとか言っていたDave ZeltsermanのJulius Katzシリーズ第1短編集『The Julius Katz Collection』がやっとで登場です。
しかしコレ、なんで翻訳が出てないんでしょうか?読みながら何度も確認したのだけど…。それともどっかの隠し玉とやらで明日本屋に行ってみたら並んでいるのでしょうか?短編とはいえシェイマス賞を受賞しているし、掲載されているEllery Queen Mystery Magazineでも人気のシリーズだし。ちゃんと出せば年末のランキングでも20位以内は確実の代物だと思うのだが。もし本当にどこも押さえていないなら早い者勝ちで今すぐ隠し玉るべし!

それではこちらどんなシリーズかというと、名探偵Julius Katzとその助手Archieが活躍するというもの。助手のアーチーってどこかで聞いたことあるな、とそちら方面には少し弱い私がぼんやり思っていたところ、エド・ゴーマンによる序文を読んでやっとわかりました。(もうわかっている人の方が多いと思うけど…)こちらはあの有名なレックス・スタウトのネロ・ウルフシリーズをオマージュした作品だったのです。
名探偵Julius Katzはウルフ同様の名高い有能な名探偵で、さらに同様の美食家。仕事嫌いでその趣味的な自分の生活を維持するための銀行残高が少し苦しくなった時に嫌々依頼を受けるというところも同じ。しかし、あとはちょっと違っていて、身長6フィートで体脂肪1パーセントの鍛えた体にマーシャルアーツの黒帯。プレイボーイでギャンブル好きの弱点無しのイケメンオヤジ。
そして、この作品もネロ・ウルフシリーズ同様助手のArchieが語り手となるのですが、このArchieが驚き!2インチ平方の超ハイテクコンピューターで、常にネクタイピンとしてJuliusの胸にくっついているのです!このArchie君、Juliusによれば得意のポーカーで手に入れたということですが、出自は不明。Juliusにより探偵助手としてプログラムされ、Archieと名付けられているわけです。そしてこのArchie君、視覚聴覚の機能はもちろんのこと音声機能も備えていて、Juliusと会話する他、助手としてJuliusへの電話の受け応えなんかも行っているのです。依頼人が現れ、「あの感じの良い助手のArchieさんはいらっしゃらないの?」などと言われることも。そしていざ事件となればJuliusの前に現れた容疑者・参考人などあらゆる人物の個人データを様々にハッキングなどで完璧に揃え、Juliusの許へメールで届けるという最高に優秀な助手として活躍します。しかし、これほど有能・高性能でもどうしても名探偵Julius Katzには敵わない。いつかJuliusよりも先に事件を解決してやるぞ、と思い、仕事嫌いのJuliusに何とか依頼を引き受けさせようと考えながらJuliusの胸にネクタイピンとして留まっているのがこの作品の探偵助手Archie君なのです。
このような魅力的なキャラクターの登場するこのシリーズ、作者Dave Zeltsermanは元々はハードボイルド/ノワール系の作家なので、主人公Julius Katzはハードボイルド・タイプの探偵ということになっていますが、主な展開としては事件の関係者を集め、その中にいる犯人を卓越した推理とポーカーで鍛えた嘘を見抜く能力で見つけ出すというもの。そういうのお好きな人も多いんじゃないでしょうか。一応そういう設定なのと、これ以上余計にこの先増えるかもわからないカテゴリを増やすのも嫌なので、こちらではハードボイルドに入っております。まあ、毎度おなじみ繰り返しになるのですが、「ミステリと思ったらミステリではなく、ハードボイルドだった。」というような戯言を並べたがる狭量なミステリ分類家・認定家は私の最も軽蔑する部類の人間ですので、これを「ミステリ」などというカテゴリを作って入れたりするつもりは毛頭ありません。悪しからず。

この『The Julius Katz Collection』には7本のJulius Katz & Archieを主人公とするシリーズの短編が収録されています。それでは各話の簡単なあらすじを。

1. Julius Katz
 (初出Ellery Queen Mystery Magazine 2009年 9/10月号 シェイマス賞短編賞、他)
今回Juliusが嫌々ながら面会した相手の依頼は家族問題。高齢の母親の介護をする姉妹が、自分たちではもう世話が難しいので施設に預けたいと考えるのだが、後見人で弁護士の男兄弟が反対しているので説得して欲しいとの事。自分向きの仕事ではないと断るJuliusだったが、相手側の強い頼みに付き合っているうちに殺人事件が起こり…。
最初の設定ではプレイボーイのJuliusなのですが、実はこの第1作で運命の恋人と出会い、あとは彼女一筋となるのでした。

2. Archie's Been Framed
 (初出Ellery Queen Mystery Magazine 2010年 9/10月号
     Ellery Queen's Readers Choice Awards第1位)
助手としてJuliusへの依頼電話を断っているうちに相手の女性と知り合い電話とメールで密かに交際していたArchie。だが、その女性が殺害され、第1容疑者はArchieに?
ここでArchie君は相手の女性に見せるために自分の写真をねつ造。その容姿はJuliusがプログラムのために使ったコンチネンタル・オプのイメージ。いつもJuliusのネクタイピンとしての位置からの視点で自分の身長は5フィートと考えているArchieですが、今回は相手の女性に合わせて少し足したりしています。

3. One Angry Julius And Eleven Befuddled Jurors
 (初出Ellery Queen Mystery Magazine 2012年 1月号
     Ellery Queen's Readers Choice Awards第9位)
陪審員として選ばれ、市民の義務として法廷に出席しているJulius。だが、裁判は延々と引き伸ばされ、以前から予約していた今晩の特別ディナーにも間に合わなくなる模様。そして、遂にJuliusが立ち上がる?

4. Archie Solves The Case
 (初出Ellery Queen Mystery Magazine 2013年 5月号
     Ellery Queen's Readers Choice Awards第1位)
高名なシェフからの依頼を引き受けるJulius。盗まれたレシピを取り戻してほしいという依頼だったが、捜査を始める間もなく依頼人が殺人事件の容疑者に…。
実は私それしか読んでないのだが、ネロ・ウルフ物の有名な『料理長が多すぎる』を思わせる作品です。タイトルを見ると「アーチー事件を解決する」だが、どうなるのか?

5. Julius Katz And Tangled Webb
 (初出Ellery Queen Mystery Magazine 2014年 3/4月号)
Juliusの恋人Lilyの父親が殺人事件の容疑者に?地元ボストンを離れ、ニューヨークでのJulius & Archieの活躍。

6. Julius Accused
 (初出Ellery Queen Mystery Magazine 2014年 6月号)
Juliusが出席したパーティーの直後、その屋敷から名画が盗まれ、出席者の一人がマスコミを通じJuliusの関与を喧伝し、糾弾する。無視し続けるJuliusだったが、その男が殺害され、容疑はJuliusに?

7. Julius Katz And The Case Of A Sliced Ham
 (このコレクションのための書き下ろし)
開幕直前の演劇のリハーサル中に出演者の一人が殺害される。容疑者は演出者と出演者全員。プロデューサーからの依頼を一旦は断るJuliusだったが、ある事情から引き受けざるを得なくなる。嘘の達人である役者たちの中からJuliusは真犯人を見つけられるのか?


名探偵Julius Katzの鮮やかな推理も見どころなのだが、なんといってもArchie君の語りが秀逸!あらすじなんぞを書いてみたところで伝わらないのがもどかしいところなのですが…。読んでみれば誰もがArchie君のファンになることは確実!んー、まあ、世の中には「いくらなんでもこのサイズでここまでのハイテクは現代の技術では無理がありすぎる」とか言い出すフィクションと現実の区別がつかない困った人もいるけどね。

作者Dave Zeltsermanは1959年ボストン生まれで、2004年『Fast Lane』でデビュー以後、ノワール、ホラーなどを中心に多くの著作のある作家です。ホームページを見ると、映画化進行中のものもいくつかある様子。以前に読んだ短編『Mind Prison』は全く毛色の違う作品で、どちらが元のスタイルとかいうよりは色々書ける職人的な作家なのではないかと思います。
こちらのJulius Katzシリーズですが、現在他に長編『Julius Katz and Archie』が刊行されています。どちらも発行はTop Suspense Booksというところになっているのですが、検索してみてもホームページなどは見つかりませんでした。本作のペーパーバック版の版元がCreatespaceでもあることから、Zeltserman氏の個人出版ではないかと思われます。ちなみに長編『Julius Katz and Archie』はKindle版のみ発行。Julius Katzシリーズはその後もEllery Queen Mystery Magazineにて年2回ぐらいのペースで掲載されているようなので、『Collection2』がお目見えするのは2~3年後というところでしょうか。
ちなみにEllery Queen Mystery Magazineは、日本のアマゾンからKindle版を読むことはできないのだけど、アプリが出ていてそちらから読むことはできるようです。まだよく見てないのだけど、とりあえずiOSのをインストールしてみました。1冊480円で(2016年6月現在)、年間購読のオプションもあるようです。

今回は自分的には少し畑違いのものですが、まあ自分の守備範囲の流れでちょっと違っていても面白いのが見つかればまた取り上げていきたいものだと思っております。ただ何分畑違いのものなので栽培法もよくわからんので、このまま枯らせてしまう恐れもありますので、こういうのが好きな人が独自に育てて行っていただければと思います。これってもしかしたら本国より日本で人気出るタイプのかもしれないですよ。翻訳が出るならカバーはフロスト警部やアルバート・サムスンみたいな感じのイラストのが良いのではないかと思います。とか、色々言ってて明日本屋に行ったら本当に並んでたりして。明日どっかの本屋の翻訳書コーナーの前でブッ倒れてる変な奴がいたらたぶん私です。


Dave Zeltsermanホームページ

Ellery Queen Mystery Magazine


●関連記事

Mind Prison / Just so You Know I'm not Dead -短篇(集)2本立て-



【お知らせ】
ここでついさっき発見したセールのお知らせです。Down & Out Books発行のGary Phillipsの『3 The Hard Way』が7月1日まで限定で0.99ドル!Gary Phillipsはコミックのライターなどもやっているクライム・フィクションの作家のようですが、詳しいことはあまりわかりません。内容は中編クライム・フィクションの3本立てということです。版元Down & Out Booksは少し前に見たときは10冊ぐらいしかなく、そのうちにと思っていたのですが、ついさっき見たら急成長してずいぶん沢山の本が並び、あのAnthony Neil SmithのBilly Lafitte第4作やAnonymous-9姐さんの『Hard Bite』シリーズなどもラインナップに入りアメリカでは最要注目パブリッシャーとなっている模様です。その辺についても近日中にもっと調べて行くつもりですが、とりあえずはかなり信用のおけるところからの1冊ということで。期間も短いので気になった人はお早めに。

Gary Phillipsホームページ

Down & Out Books


●Dave Zeltserman

■Julius Katz


■その他のDane Zeltsermanの著作




Gary Phillips / 3 The Hard Way


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2016年6月22日水曜日

2000AD 2015年夏期 [Prog 1934-1949] 後編

2000AD 2015年夏期後編です。後半の目玉はデス・ワールドでのDark Judge達の過去を描いた『Dark Judges』。というわけでトップ画像の方は、2015年冬期に掲載された『Judge Dredd』のGreg Staplesが2年かかって完成させたDark Justiceの単行本のものです。Dark Judgeについては、以前よりは少し情報も増えたので、そちらについてはのちほど。


Jaegir : Tartarus
 Gordon Rennie/Simon Colby

2014年春期に6回のミニシリーズとして掲載され反響を呼び、本格シリーズ化され続く夏期に6回のシリーズ、年末スペシャルにはワン・ショットも掲載された2014年最大のヒット作の第3シーズンです。ちなみに画像は、出てくるたびにケチをつけてしまうPaul Marshallなのですが、これは彼の持ち味の気持ち悪いユーモアが生かされていて結構好き。Jaegirはいないけど。
ちょっと設定が難しいシリーズなのでここでまとめておくと、このシリーズ元々は2000ADの過去の名作『Rogue Trooper』と世界観を共有するもので、NortsとSouthersの二勢力が戦争を続けている話で、Rougue TrooperがSouthers側だったのに対し、JaegirはNorts側ということになっています。主な戦場となったのはNu-Earthという惑星で双方が生物兵器・化学兵器を使いまくり惑星は汚染され、常に防護服・マスクが必要で、画像のような姿になっているわけです。主人公の女性士官Jaegirは戦争犯罪捜査チームの隊長で、有力な軍人一家の出身なのですが、母親がSouthersの人間ということで兄弟の中でも疎まれながら育ち、父親との関係も少し複雑なものであったようです。そしてその父親も戦死、兄弟のほとんども戦死しているという状況です。
Jaegirらチームは視察のためTartarus守備隊を訪れる。捕虜の扱いなどに疑問を持ちながら、Jaegirらは表向きの視察の裏で密かに内偵を進める。しかし、司令官らに発覚し、チームは捕縛。JaegirはSouthersの捕虜とともに、基地に隠されていたStorigoiの感染者の獣人たちに襲われる。
Storigoiは第1シーズンに登場したSouthersの細菌兵器で、感染した者は凶暴な獣人と化して敵味方関係なく襲い掛かります。毎回事件と並行してJaegirの回想という形で過去が少しずつ語られ、最後にこの先に続く大きな秘密が少し明かされるという展開。ミリタリー・アクションとしても迫力もあり、申し分ないのですが、背後に見える大きな物語がなかなか始まらないのが少しもどかしいところ。ライターは前編『Absalom』のGordon Rennie。作画Simon Colbyは線とベタの陰影の組み合わせが特徴の上手いアーティストなのですが、なんかいつもJaegirの体にピッタリした軍服が却って色気がないように見えてしまうのだが…。

The Ailienist : The Haunting Of Hex House
 Gordon Rennie & Emmy Beeby/Eoin Coveney

前年の冬の増刊号Winter Specialに掲載された単発の作品がシリーズ化ということらしいです。ちょっとそちらまで手が回らず未見で申し訳ないのですが。20世紀初頭のイギリスを舞台にした女性霊能者Madelynが主人公のホラー作品です。
1908年イギリス。新聞社の主催によりさまざまな呪いが伝えられる屋敷に心霊関係の権威が集められ、呪いの真相解明のための調査が行われる。降霊会が始まると出席者の一人の頭が蝋燭のように溶け始め死亡する。予想外の危険に慌て、出口に殺到する出席者たち。そのとき、Ailianistを名乗る初老の男Sebastianと謎の美女Madelynが現れ、今外に出れば全員死ぬと告げ、彼らを屋敷内に留め、調査を始める。そして、その中からは、当初の曖昧な噂を上回る恐るべき恐怖が現れ始める。
SebastianはMadelynの助手で、実は特別な能力はありません。最初は屋敷内のその道の権威を説得するためにかなりハッタリ的な言動をするので、読み始めたばかりでキャラクターもよくわからない時点では本物なのか読んでる方もよくわからなかったりするのが面白い。二人のやり取りもユーモアがありキャラもよくできている感じ。後半のホラー的な盛り上がりもよく、この先期待できるシリーズになりそうです。ここでまたしてもGordon Rennieの登場ですが、今度は共作で原案ぐらいのところなのかもしれません。Emmy Beebyは2015年冬期の『Survival Geeks』でもRennieの共作者としてクレジットされています。ちょっと他の作品についてはよくわからないのですが、Titan Comicsの『Doctor Who』なども手掛けているようです。ちなみにTitan ComicsってComixologyとかで見てもそこそこ大きめで、てっきりアメリカのパブリッシャーだと思っていたのだけど、イギリスのだったのですね。まだまだ知らないことが多いなあ。作画のEoin Coveneyはアイルランドの結構有名なイラストレーター/コミック・アーティストらしいです。この作品では白黒の迫力のある美しいペン画で、私もまだその辺手を付けたばかりでちょっと知ったかぶり程度ですが、EC、Warrenあたりを思わせる、というところなのではないかと思います。

Grey Area : Contact/First Bite/Feeding Frenzy/Deadline
 Dan Abnett/Mark Harrison

今期は全4回と短く、カバー画像もナシ。異次元の惑星に到着し、その星のGrey Areaに収容されそこにもエイリアンの脅威が迫るのだがBullet達には打つ手も無し、という感じで終わった春期に引き続きの登場です。
前回最後に、絶望した地球人クルーの一人が図った飛び降り自殺を食い止めたことによりGrey Area管理者に貸しを作ったBullet達は、上層部との会見の機会を得て、そこでGod-Starの危険性を訴えることで彼らを含む調査隊の派遣に漕ぎつける。ドローンの降下地点に向かった調査隊は敵の猛攻撃に出会い、多くのメンバーが死亡する。しかしようやくこの事態が星の存亡にもかかわる危機であることを納得させ、対策へと動き始めることが可能になる。だが、近づくGod-Starに彼らの反撃は間に合うのか?
結構おなじみになってきた私も楽しみにしている、もはや英米共に大作家であるDan Abnettによるシリーズ。果たしてBullet達はこの世界でもGod-Starを撃退し、地球に戻ることができるのか?Mark Harrisonのアートは毎回本当に素晴らしく、日本でも一人でも多くの人に見てもらいたい。とりあえずはまず画像検索を!

Dark Judges/Dream Of Deadworld
 Kek-W/Dave Kendall

2015年冬期のDreddの大作Dark Justiceに登場したドレッドの宿敵Dark Judge達の元々の世界デッドワールドでの物語。今回のシリーズはアーティストDave Kendallのイメージをもとに、『The Order』(2015年冬期)などのKek-Wがストーリーを作り上げたものということです。
さて、2015年冬期について書いた時点では、Judge Death初登場の話は読んだものの、3体の同僚Dark Judgeについては不明だったのですが、その後に進んだ『Judge Dredd Complete Case File 05』にその後の話を見つけました。初登場が1980年1月で、続くストーリーは翌81年8月に掲載されました。初登場の話の最後で、ジャッジ・アンダーソンが霊体のJudge Deathを体内に封じ込めたままプラスチックで固められ、事件は辛うじて解決したわけですが、アンダーソンはそのままシティを救った英雄として博物館に展示されています。続く話ではJudge Deathの次元デッドワールドからDeath救出のため3体のDark Judge、Fire、Fear、Mortisが現れ、テレパシー能力を持った男を脅迫し、博物館に展示中のアンダーソンのプラスチックを破り、Deathを解放させます。そして、Dark Judge達はその男の体を使いDeathを復活させ、ひとつの居住ビル(Mega-City Oneでは町ぐらいの規模)をサイコバリアで封鎖し、中の人間たちを殺し始めます。ドレッドも中に入る手段を見つけられずにいるところへ、Deathの解放とともに蘇生したアンダーソンが駆けつけ、その能力でバリアを突破しドレッドとともに中に侵入。バリアの装置を破壊され、追い詰められたDark Judge達は自らのデッドワールドに逃亡。彼らの残して言った装置を使い、ドレッド達も後を追い、アンダーソンがその世界でDark Judge達に殺された人々の怨念とチャネリングすることで4体のDark Judgeを倒します。その後Deathを除く3体のDark Judgeがクリスタルに封印されるまでの長い話がここから続いて行くわけですが、とりあえずDark Judge達の初登場の話はこんな感じで、私が読んでいるのはそこまで。とりあえずまた続きがあったら折に触れ書いて行くつもりですが、『Complete Case File』についてもそのうちにちゃんと書いていこうとは思っています。
今回登場のシリーズは、ドレッドは登場せず、全4回のそれぞれが一人のDark Judgeを主人公としたものです。

1. Fire
生命ある者がすべて消えた世界で一人Judge Fireは回想する。彼のもとを去り水中の城に逃げた彼女を殺した日のことを…。

2. Mortis
全ての者を殺しつくしてしまった世界。Judge Mortisは目的のない虚無的な日々を送っていた。そこに不時着した見慣れぬ宇宙船。生命に満ち溢れた星から来たという異星人の言葉に驚喜し、Mortisは自分もそこに連れて行ってくれと頼む。だが、山のように遺体を積み上げた彼の住処を見てMotisの正体に気付き恐怖する乗組員たち。彼らを全て殺害したMortisは、発せられた救難信号をたどり救助の宇宙船が来る日を待つ。その船がまた多くの生命を奪うために自分をその世界に連れて行ってくれる日を…。

3. Fear
Judge Fearは同僚とともに犯罪である生命を浄化していた日々を回想する。ある日、Fireに挑発されFearはその能力でひとつの建物の住民全てを抹殺すべく乗り込んで行く。中にいる者はFearの姿を見た途端に内なる恐怖のため次々と自滅して行く。だが、最後の部屋にいた少年は両親の復讐を叫びながら正面から彼に向かって来た。少年を窓から放り出し殺害したFear。だが、彼は今でも考える。あの少年にはなぜ自分の能力が効かなかったのか…。

4. Death
世界の罪の浄化が終わった後、Judge Deathはすべてのその世界に残ったJudgeを招集する。同僚の一人、Omenが何者かに殺害されたと告げる。しかしその予知能力で来るべき恐ろしい未来を見てしまったOmenを殺害したのはDeath自身だった。そしてその招集は、真に信用できる自分と同じ意思を持った3人のJudge以外のすべてを抹殺するための罠だった…。

ライターKek-Wはまだ2000ADでは新しい人のようですが、ちょっと調べてみたらミュージシャンでもあるナゾの人。(ホームページ KID SHIRT)ちょっと前に書いたときは名前をKen-Wと間違えていました。すみません。そのうち直します。毎回2000ADでは異例の1ページのタイトルページから始まるというように、アートメインの作品ですが、おどろおどろしいストーリーも見どころです。Dave Kendallはトレーディング・カード・ゲームなども手掛けるイギリスでは有名なイラストレーター/コミック・アーティスト。画像検索すれば素晴らしいアートが山ほど出てきます。ホームページはこちら。(Rusty Baby.com)2016年春期には同コンビによる続編も掲載されています。

前後編に渡りました2000AD2015年夏期も何とか終了です。書いてから気づいたけれどPat MillsのほかにもJohn Wagnerも夏休みと、2大巨匠不在の夏期でしたがなかなかの充実した内容でした。前編最初に書いたような事情ですので、続く秋期についてもすぐに書く予定です。2000号目指して頑張るであります!


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2000AD 2013年秋期 [Prog1850-1861,2014]

2000AD 2014年冬期 [Prog2014,1862-1873]

2000AD 2014年春期 [Prog1874-1887](前編)

2000AD 2014年春期 [Prog1874-1887](後編)

2000AD 2014年夏期 [Prog1888-1899]

2000AD 2014年秋期 [Prog1900-1911, 2015]

2000AD 2015年冬期 [Prog 2015,1912-1923] (前編)

2000AD 2015年冬期 [Prog 2015,1912-1923] (後編)

2000AD 2015年春期 [Prog 1924-1936]

2000AD 2015年夏期 [Prog 1934-1949] 前編


'君のせいで猫も失くした'はamazon.co.jpを宣伝しリンクすることによって サイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、 Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。

2016年6月15日水曜日

2000AD 2015年夏期 [Prog 1934-1949] 前編

今回はやっとの2000AD 2015年夏期なのですが、ここでお知らせ!あまりにも日々ぼんやり暮らしている私ゆえ、今年の秋には2000ADも2000号だなー、などと他人事として見ていたのですが、まあさすがに読み始めた頃よりは早く読めるようになってはいるし、今から頑張れば2000号までにオレも追いつけるんじゃね?と、つい先々月辺りやっとのことで気付いたのでした。そこから少し頑張り、現在は読む方だけは秋期も過ぎ、2016年内に到達しており、このままあと3か月ちょい、9月末の2000号発売の週末には「これがProg2000だ!」というのをお届けするべく努力中であります。そうなると、その前に2016年春期まではやっとかなきゃならなくなるので(Prog2000は秋期の開始号となるはずなので)今後しばらくはコミック方面は2000AD率が高くなりますことをご了承ください。でもせっかくやってるんだからちゃんと2000号はやらないとね!

では今回の2015年夏期のラインナップから。

 Judge Dredd
 Absalom [Prog1934-1942]
 Helium [prog1934-1945]
 Outlier [Prog1935-1944]
 Jaegir [Prog1937-1944]
 The Alienist [Prog1944-1949]
 Grey Area [Prog1945-1948]
 Dark Judges [Prog1946-1949]

ということになっていて、全16号と少し長めの今期はProg1945あたりを境に前半後半に分かれる感じになっています。そんなわけで、ちょっと急いでいるところではあるのだけど、今期は前編後編という形になります。
そして今期前半のトップ画像は、結構どれもいい作品ではあったのだけど、前年より続くRob Williams/Henry FlintによるTitanサーガ最終章の掲載されたJudge Dreddとなりました!ちなみに今期は昨年同様巨匠Pat Millsは夏休み!

Judge Dredd
 1. Blood Of Emeralds : Michael Carroll/Colin MacNeil (Part1-6)
 2. Enceladus - Old Life : Rob Williams/Henry Flint (Part1-8)
 3. Ghost Town : Ian Edginton/Dave Taylor (Part1-2)

1. ジャッジの一人であるFintan Joiceが自宅で襲撃される。襲撃者の目的はその時に届いた小包で、その中身はEmerald Iselのジャッジであった彼の父が銀行の貸金庫に預けていた様々な所持品だった。捜査に当たるドレッドは、JoyceとともにEmerald Iselへ向かい、そこでJoyceの父について調べるうちに、Emerald Iselに隠された秘密を暴き出す。
読み始めた時にはわからなかったのだけど、のちにお便りコーナーの読者からの指摘でEmerald IselがJudge Dreddの中でのアイルランドであることを知りました。言われてみれば、コミックなどでもよく見るアイルランドの感じなのだけど。こういうのが出てくるのもイギリスのコミックならではですね。Fintan Joyceについてのエピソードも、過去の2000ADかMEGAZINEにあったと書いてあったのですが、どちらだったか忘れてしまった…。作画は、主にJohn Wagnerとのコンビで最近のDreddをよく描いているColin MacNeil。
2. こちらは春期のEnceladus - New Lifeに続くTitanサーガの最終章。無人と思われていたEnceladusからの宇宙艇からEnceladus同様の極低温、吹雪が広がり始め、Mega-City oneへと襲い掛かる。その中にいたのは彼らがEnceladusで遭遇した異様な生命体へと姿を変えたTitanからの逃亡者達だった。氷でできた彼らの体に対抗できる武器も見つからず、Cityは危機に見舞われる。チーフ・ジャッジHersheyは重傷を負い、ドレッドも投下したナパームに背中を焼かれながら、最後の戦いに挑む。
最近のJudge Dreddの中でもHenry Flintの素晴らしい作画も併せてベストのシリーズではあるのだけど、最後はもうひとひねり欲しかったところ。まあ、1号あたりの掲載が5~7ページぐらいなので、2000ADの作品では最後の盛り上がりに欠ける印象がしばしばあるのですが。
逃亡者たちのリーダーである元女性ジャッジNixonと関係が深い『Low Life』(2014年末特大号Prog2015にワンショットが掲載。)の主人公Dirty Frankにドレッドは協力を求めます。そちらのシリーズは同じRob Williamsの作品で、Nixonはそちらに登場したキャラなのかもしれません。どちらにしてもTianに収容されたのがChaos Day以前になるので結構前のエピソードになると思います。終盤ドレッドがバイクも失い、万策尽きたところで馬が現れ、ドレッドの足となるのですが、またしてもお便りコーナーの読者の指摘によると、この馬はJudge Dredd MEGAZINEに掲載された話に登場した馬だそうです。こうやって説明不足のところを読者が補完してくれたりするので2000ADは隅々まで読まなければならんのです。
3. Chaos Day以後の立て直し途上でさらに大災害に見舞われ、人員不足を補うため退職、引退したジャッジや自警組織などの人員を補佐として登用するThe Ranger ProgrammeがJustice Departmentにより計画され、基本的には計画には反対の考えのドレッドが試験段階のチームの監督役を務めることとなる。予備訓練を終え、現場に出たチームはたちまち大きな危機に遭遇する。
2話構成ですが、それぞれ長めの12ページで、3話ぐらいの長さになるストーリー。ライターは『Brass Sun』などのIan Edgintonですが、この世界のジャッジの在り方を問うJohn Wagnerに迫る重さを感じさせる作品です。個性的なオリジナル作だけでなく、これからの2000AD、イギリスのコミックを背負って立つ作家の一人と言えるでしょう。作画のDave Taylorは1990年マーベルUKで描き始めたということなので結構なベテランで、バットマンなども含む多くの作品を手掛けているアーティスト。メビウスなどにも影響を受けたということで、、その辺を感じさせる線とカラーリングで、独特の世界を見せてくれます。

Absalom : Under A False Flag
 Gordon Rennie/Tiernen Trevallion

2013年末特大号にこの先の展開を思わせるワンショットが掲載され、すぐに始まるのかと思っていたら、結構経ってやっと再開された作品。以前よりは様子もわかってきたのでもう少しまともな解説ができます。なんだかそもそもが他のシリーズからのスピンオフということらしいのですが、2011~12年に掲載された後、しばらくの中断があっての再開となります。(単行本1冊あり)これは、主人公Harry Absalom警部補をリーダーとするロンドン警察悪魔課の暗黒の力との戦いを描いたシリーズ。悪魔課はわかりやすそうなので勝手につけた名称。そしてこのAbsalom、悪魔により愛する孫を地獄にさらわれ自らの体も致命的な癌に冒されるという目に遭いながらも、悪魔との戦いに一歩も退かず、常に不敵な笑みを浮かべながらところ構わず悪口雑言のワイズクラックをぶちまけ続けるという最高に格好いいジジイなのです。
今回のストーリーは、ロンドンの路上で起きた刺殺事件に端を発する。その被害者は服を残し体は炭化し、現場に儀式的な短剣が残されていた。殺害されたのは悪魔に取りつかれた人間とみて、Absalom以下悪魔課の出動となり捜査が始まる。遺留品の短剣から、この事件には教会が関わっていると睨むAbsalom。そしてその背景には教会により運営されていた孤児院での隠された過去の秘密があった。
以前のワンショットで登場した元同僚も出所、チームに加わり、新メンバーも加入で、今期は新たな展開に向けての序章という感じでした。ライターGordon Rennieは、あのローマの狂戦士『Aquila』など多くの作品を持つ、2000ADの中心ライターの一人です。今期は前半ではこれと『Jaegir』、後半には新シリーズと、大活躍。作画Tierren Trevallionはシンプルで割と均質な線に陰影で強弱を付け、ベタのグレイトーンとグラデーションで仕上げる素晴らしい独特のタッチ。この手法は日本の漫画家にも参考になる人は多いのではないかと思います。

Helium : Helium
 Ian Edgington/D'Israeli

あの『Stickleback』のコンビによる新シリーズ!だが、今期はカバー画像なし…。実は私も一番の注目で、2000ADでもかなり力を入れ、初回は増ページだったりもするのですが、色々なスケジュールなどの関係でそこまで手が回らなかったというところなのでしょう。絵の方を見たい人はHelium D'Israeliで検索してみるとよいかと。
今後もかなり期待されるシリーズでもあるので、設定も含め少し詳しく解説します。大規模な戦争の後の世界。地表の大気は毒に冒され、人々はそのガス帯の雲の上の高地で、少し文明の後退した生活を営んでいる。移動手段は複葉機、プロペラ船など。主人公はこの山上の町の女性巡査Hodge。亡くなった父の跡を継いでこの仕事に就いているが、実の子ではなく、赤ん坊の時近くの地で放置されているのを発見され、育てられた。色が白く、この土地とは別の出身と思われている。相棒も出自不明の機械仕掛けの体の大男。顔は人間に見えるのだけど普通の肌ではないらしい。プロペラ船が雲の下から攻撃され、難破するという事件が相次ぎ、不穏な事態が懸念されているある日、雲の下から見たこともないタンクに乗り、一人の男が山を登って現れる。男の話により、Hodgeはガス帯の下でも人々は生き残っていて都市が存在することを知る。そして両者の間の毒ガス帯は危険なミュータント達の世界となっていることも。その男は地表の都市の科学者で、毒ガスを除去する研究をしていたが、その過程で多くのミュータントを死なせてしまい、彼らに追われ逃げるうちにこの町にたどり着いたと語る。そして、男を追ったミュータント達が町に現れ、Hodgeは相棒、科学者とともにプロペラ機で脱出する。一旦は難を逃れたものの、次は地表の都市の軍の巨大プロペラ船に遭遇、捕獲される。そこでHodgeが、地表の政治的理由で暗殺された一族の生き残りであることが発覚し、彼女の抹殺命令が下される。かつての一族の味方であった将校の手助けにより、脱出したHodgeだったが、撃墜され、彼女と仲間の乗った機体はガス帯に消えてゆく。
結構長くなってしまったのだけど、他にも色々なキャラクターや、空中戦などの見せ場もあります。またしても2000ADの人気シリーズの一つとなって行くのが確実な新作!キャラクターにしても世界観にしても、本当にEdingtonは凄いなと思います。Vertigo『Hinterkind』なども早く読まねばと思っているのだが。『Stickleback』ではモノクロの版画のようなタッチを使っていたD'Israeliですが、今作ではシンプルな線にカラー。『Brass Sun』I. N. J. Cullbardを思わせるところもあるのだけど、D'Israeliならではの部分もあり、今後どうなって行くのかとても楽しみな作品です。

Outlier : Dark Symmetries
 T. C. Eglington/Karl Richardson

2014年春期に掲載されたシリーズの第2シーズン。設定なども良かったのだけど、タイトルになっている宇宙船Outlierの事件が終わってしまったので、単発のシリーズかと思っていたのですが、続きが始まり本格的にシリーズ化となりました。前回の際、省いてしまったのだけど、主人公のCarcerは過去に異星人Hurdeに捕えられ逃亡することができた数少ない人間の一人です。今回はそんなCarcerの過去が深く関わってきます。
Outlier事件の後、Carcerは精神を破綻し、施設に収容されていた。そんなCarcerの許を訪れたLuthra大佐は、自らの任務のため彼を連れ出す。そこは一切公表されないまま軍が密かに捕獲した事故で見捨てられたHurdeの宇宙船だった。だが、船に入るとCarcerの体はHurdeのシステムにリンクされ、宇宙船を回収するために動かし始める。そこにOutlier事件の復讐者Caulが肉体を再生され、サポートのために現れる。しかし、Caulの真の目的は別のところにあった。この船を使い、Outlier事件で共に捕獲された恋人を救うの計画に協力するようCarcerに求める。そしてその見返りとして、捕獲されているCarcerの両親も脱出させることを提案する。
SF作品が多い2000ADの中でも結構ハードSF寄りで、アレステア・レナルズとかコミックにしたらこんな感じではないかと思ったりします。T. C. EglingtonはDreddなどでいくらか名前を見ていたけど、今のところはこの『Outlier』が代表作になるようです。Karl Richardsonはちょっと劇画調といった雰囲気の画で、ドロドロした人間関係を描くのに合っている感じ。本格シリーズ化したこの第2シーズンでは、次シーズンへの続きを残す感じで終わっています。

というところで前編は終了、残り4作は次回後編で。どうも遅れが取り戻せず、週末で終わらず翌週平日まで引っ張ってしまっているところなのですが、先を考えるとあまり短く書けそうなのを挟んで調整するわけにもいかず、また予定しているのも長そうなのばかりで少しきついところなのですが、とりあえずは2000ADの遅れを取り戻すためにも週一を維持して行かなければ。前回おまけとかやんなきゃよかったかな~。何とか頑張ろう。ではまた来週に。


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2016年6月7日火曜日

Mike Monson / Tussinland -All Due Respect Books第3弾!-

自分としてはかなり注目し、ホームページもよくチェックしているAll Due Respect Books(以下ADRB)なのですが、読む方はなかなか進まずやっとで3冊目。今回はADRBの共同設立者でもあるMike Mansonの長編デビュー作『Tussinland』です。


【あらすじ】

主人公Paul Dunnは、元教師の四十代ダメ男。妻はドラッグ・ディーラーに取られ、現在は母親の家に居候中。ソファで好きなテレビ番組を観ること、そして咳止め薬Robitussinでトリップすることが数少ない楽しみ。今夜もRobitussinを手に入れ部屋にこもるが、あいにくのバッド・トリップ。そして、悪夢から目覚めると警察が訪れ、彼の妻と愛人が殺されたと告げる。
突然の悲報にうろたえるPaul。だが、警察は彼を最も可能性のある容疑者として連行する。

そして、このModestoに暮らす、彼の一族たちもさまざまに動き始める…。
六十代になっても色気の衰えぬ、警官好きの母親Mavisは、早速刑事Faganに誘いをかけ始める。
Paulの姉Bethanyは夫Peteとともに町で不動産会社を経営するが、内情は火の車。夫Peteは最近商店街に教会を建て、そこで神父を名乗っている。彼の教会にはキリスト教原理主義に基づいた過激な思想の怪しげな男たちが出入りしている。
BethanyとPeteの娘Mirandaはセルビア孤児の不良少年Loganと同棲中。そして、この二人こそがPaulの妻Tinaと愛人のドラッグディーラーMikeをショットガンで殺害し、大量のヘロインを持ち去った犯人だった。

ちょっといきなりネタバレをしてしまったように見えるのだけど、実はこの作品、この二人による犯行シーンから始まり、あらかじめ犯人が分かっているという状態で進んで行きます。主人公であるダメ男Paulを中心に、さまざまなキャラクターの行動が入れ替わりで描かれるというタイプのストーリーで、そのまま上から書くと分かりにくくなりそうだったので若干整理しました。物語は犯行を押し付けられ殺人犯にされそうになる哀れなPaulの災難を軸に、次第にそれぞれのキャラクターの正体、思惑が明らかになって行くという展開になって行きます。

舞台となっているModestoはカリフォルニア州に属しているとは思えない田舎、という風に書かれているのだけど、調べてみたら人口は20万以上だったり。日本とは人口密度なども違うのだろうけど。作者Mike MonsonはこのModesto在住だそうで、アンソロジー『All Due Respect』収録の作品「Criminal Love」でもModestoが舞台となっています。
救いようのないダメ男のPaulとそのかなりイカれた血縁たち、さらに危ないキャラクター達も絡まり、スラップスティック的ともいえるストーリー。日本で言えば戸梶圭太あたりに近い感じかも。どこに向かって行くのかわからないストーリーが、最後には初期ガイ・リッチー風にすとんと収まり、終わってみると少しいい話に見えてきたりもしました。前後して語られるさまざまなエピソードが、少しバランスが悪かったり全体のリズムが不安定なところもあるのだけど、その辺はこの先書き慣れるにつれ上達して行ける部分でしょう。
なーんかこの手のチープな犯罪を描いたものを見ると「よくある話」みたいなレッテルを張る利口ぶった輩をよく見かけるけど、大掛かりな国際的陰謀とかいう話でも結局巨悪の動機とか意図なんてわかりやすい紋切り型のまたこの手のねって退屈なやつも多いじゃないですか。私はこんな考えも展望も浅いけど個性的なチープな悪党や馬鹿者が、取り繕い走り回る「よくある話」が大好きです。

Mike Monsonは前述のとおりカリフォルニア州モデスト在住で、弁護士事務所で働いていて、現在58歳だそうです。ADRBの共同設立者であるChris Rhatiganが見た感じ若いので同年齢ぐらいかと思っていた。作家として活動を始めたのは割と最近のようで、現在のところ他に中編数本と作品集を出しています。その辺の苦労について書かれた「My indecent proposal to writers: never quit your day job」という記事が最近のブログに掲載されていて、ちょっと長いのでまだざっとしか読んでいないのだけど、なかなか興味深いものもあります。この作品はわりとユーモアを多く含んだものですが、他のものはもう少しダークなもののようです。現在、このシーンのインディー・パブリッシャーとしては最も勢いのあるADRBとともに、これからも色々な作品を書いてくれることを期待しています。

さてそのAll Due Respectなのですが、こちらがもたもたしているうちにも次々と新作を出版し、もう20作以上に達しています。ただその一方で、最初に始まった同名のアンソロジーは昨年8月の第7集で終了しています。編集に手間がかかる割には売れ行きが今一つということで、断念し、今後はBooksのほうの出版に専念する旨が同9月ホームページ上でRhatigan氏によって告げられました。新しい作家を見つける場として注目しつつも、実際にはなかなか読めていない現状で、自分としても耳が痛いところ。気になるアンソロジーも随分あるし、とにかくこれはと思っている『Thuglit』にしてもさっぱり進んでいないし。まあそちらの方は自分が努力するにして、All Due Respectは実際その空いた力を注入し、怒涛の勢いでBooksに絞り出版を続けています。別にここから未来のアメリカを代表する作家が出るとかどうとか関係ない。ADRB及びRhatigan&Monson氏は確実に信頼できる私の読みたい本を出してくれるのだ!こーなったら次からは2冊ずつ行くぞ、などとひそかに思いつつ、今後もADRBには最注目し、応援して行くつもりであります。


Mike Mansonホームページ

All Due Respect


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you don't exist -ADR Books第1弾!-

A Man Alone -ADR Books第2弾!-

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【おまけ】

たまには少し翻訳された本についても書いてみようかと。今年4月末にハヤカワ・ミステリ文庫から発行されたトム・ボウマン作『ドライ・ボーンズ』、2014年MWA賞最優秀新人賞を受賞した作品です。あらすじについては面倒なのでアマゾンとかを見てください。「厳しい自然に囲まれた…」とか書いてあって、C・J・ボックス風のやつかなと思って読み始めたのですが、ちょっと違いました。で、どういう作品かというと、アパッチ野球軍みたいな山奥のど田舎で人情派の駐在さんが歩き回って事件を解決するというような話。まあ、日本では人情派みたいなのは人気に見えるけど、この国のテレビ屋などのモラルがオレオレ詐欺レベルで「もういい人でいるのはおやめなさい」が信条のせいか、とかく人情家や正直者は少し頭が弱いように描かれがちですが、実際には他者への思いやりっていうのは人間の知性の大変重要な部分なのは言うまでもありません。そしてこの作品の舞台ワイルド・タイムは、田舎といってもほのぼのとした人情あふれるところではなく、貧富の差やらさまざまな長年の因縁やらで結構ギスギスしたところでもあります。そんな町で、この主人公ヘンリー・ファレルは、悲しい過去を持ちながらも、こんなところじゃ俺ぐらいでも人情で考えないと悪くなるばかりだろう、というのを男の生きざまとして声高に標榜することも、百数十ページごとに「あなたは立派な人だ」と確認してもらうこともなく、当たり前の信条として持ち続ける素晴らしいハードボイルドな人物なのです。
そしてそのファレルさんが、「あのジジイも相当の変人の上随分呆けちまってるけど、まさか人殺しはせんだろ」とか、「あいつらも仲は悪かったけど、だからって殺したりはせんだろ」というような具体的な根拠には欠ける人情のみに基く思いを抱きながら、事件現場の山を巡回し途中で昼寝したり、しょっちゅう滑ったりぬかるみにはまったりして機会があれば靴を脱いで臭そうな足を拡げ、関係ありそうな人に話を聞きに行き、関係はないけど悪い人を捕まえたりと、なんか樹でも揺すって手掛かりが落ちてこないかというような大雑把な捜査を繰り広げて行くわけです。雄大で美しい自然というものも描かれますが、その一方で不法投棄物や倒壊寸前のあばら家などもある意味同じ目線で描かれ、そしてそこに住む人々とともにワイルド・タイムという田舎町を形作って行きます。そして事件は解決しても曖昧な謎も残り、それが過去数多くの様々な傷を負ってきたこの土地の新たな傷となって行くことが示されながら物語は終わって行きます。
カントリー・ノワール/ハードボイルドの秀作!昨今の出版事情から鑑み、賞の肩書付きの人気ジャンルの安パイ狙いかニャなどと疑ってすみませんでした。印象深いシーンも多いのだけど(おお「スティル・ハンター」!)、少し全体的に平板に感じられるところもあり、まあ、そこはデビュー作ゆえに話を進めるのを急ぎすぎちゃったのかなと思ったり。この先作品を重ねていくうちにさらに優れたものを生み出し、トム・ボウマン風とか表現されるぐらいの大作家になる可能性を垣間見せてくれる作品です。いわゆる「ミステリー」の本道みたいなところからは少し外れている作品だけど、ちゃんとそういうものを見出し選定するのはさすが。そうでなくてはミステリに未来なんて大してないよ。こういう作品の翻訳が出たのは大変喜ばしいことですが、まあ予想されるC・J・ボックスみたいなのだと思い込んだまま読んだ人や、偏狭なミステリ分類家、認定家による風評被害がなるべく広がらないことをとりあえずは願うばかりです。
…とはいったものの、やっぱりあんまり売れないかな?可能性は低そうだけど続きも翻訳が出るのを願うばかりですが、まあ出るにしろ出ないにしろ、2作目が出版されればなるべく早い機会に読むつもりです。今のところ2作目については予定もアナウンスされていないのだが、遅筆なのか?それともパブリッシャーとの新しい契約に時間がかかっているのか?いずれにしても今後もトム・ボウマン氏については目を離さずに行きたいと思っています。

Tom Boumanホームページ

ここでもう少し、カントリー・ノワールについて。ちょっと最近気になっているそれについて書く振りのつもりが案外長くなってしまったのだけど。解説で霜月 蒼氏も書いている通り、この『ドライ・ボーンズ』は『ウィンターズ・ボーン』のダニエル・ウッドレルなどに代表されるカントリー・ノワールに属する作品です。で、それが気になりだしたきっかけというのは、少し前から読み始めているImage Comicsの近年のヒット作『Revival』の冒頭の紹介文でJeff Lemirieがこの作品をそのジャンルだと指摘し、僕もこういうのが書きたかったんだよなあとか書いているのを見たことなのです。ちなみにここでLemirieが使っていたのはRural Noirという言葉で、実はボウマンもそっちを使っていて最近はその言い方の方が主流になりつつあるのかもしれないのだけど、カントリーの方もそれほど定着してるとも思えず、混乱を招くばかりなので、当面はカントリー・ノワールでよいのではないかと。で、その『Revival』というのは田舎町を舞台とした超常ホラーというような話なのですが、それを読んでこういうのもそのジャンルに入るのかと認識を新たにしたようなところがありました。そこから広げて考えると、同Imageの『Nailbiter』とかVertigoの『Coffin Hill』(未紹介のものについてはいずれちゃんと書きますので…)や、個人的にも結構推してる『Southern Bastards』もTPB2巻辺りからその傾向出てきたかな、みたいなことにも思い至ったりもしたわけです。この中で『Southern~』以外は基本的に地元警察などの捜査というのが話の軸となっていて、そういう基本パターンみたいなのを持った上でのカントリー・ノワールというのが、小説以外のところでも人目を惹くジャンルとして広がっているのかもしれないなと思っています。
ホラーが出たので小説の方でまた考えてみると、以前に書いたエドワード・リーの『Header』とかも、ホラーとしての評価はよくわからないのだけど、カントリー・ノワールとしてはかなり評価できる作品なのではないかと思います。そこからさらに広げると『テキサス・チェーンソー』みたいなのも入るのではないかと考えてみたりもしたのですが、本のデータでよくわからないことがあると時々見に行くアメリカの読書サイトGoodreadsの読者投票によるカントリー・ノワール・リスト(Goodreads/Listopia:Country Noir)を見てみると、『Header』までは入っていないようでした。さすがに「田舎者は怖い」ジャンルまで入れるのは強引なのかな。
ちなみに1位はDonald Ray Pollockの『The Devil All The Time』なのですが、この辺いつか新潮か白水社辺りの文学シリーズとかで翻訳出るんじゃないかと待ってるのですが、やっぱり原書で読むしかないのかな。他には当然のダニエル・ウッドレルやこの『ドライ・ボーンズ』、随分前から1日も早く読もうと狙っているFrank Bill作品などが上位に並んでいます。ウッドレルといえば、翻訳の出たデビュー作『白昼の抗争』が続く2作と3部作になっていたのを最近知り、読んでみたいのだけど、うーんもう3部作枠はあれやこれで随分先まで埋まってるしなあ、みたいな状態だったり。その他にもトム・ボウマン氏が以前Modern Farmerという農業系のサイトらしきところに寄せたRural Noirに関する一文もあり(Modern Farmer:Bloody, and Bucolic 本人のホームページNEWS内からもリンクあり)、内容についてはちょっとまだ読んでいないのですが(今回後回し多し、反省。)、お薦めのRural Noirリストもあり、この辺を手掛かりに、コミックなども含め、さらに深くカントリー・ノワールについては探って行きたいと思います。

と、今回も本編、おまけを含めまーた色々読みたいなあと、本を積み上げるお話になってしまいました。お山の天辺に寝そべり、うめーもんを腹がはちきれるぐらい食いてーなあ、あの雲おにぎりみたいだべー、という感じで今回は終わりにします。ではまた。



●Mike Monson


●All Due Respect



●トム・ボウマン/ドライ・ボーンズ



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