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2015年1月11日日曜日

2000AD 2014年春期 [Prog1874-1887](後編)

というわけで、2000AD 2014年春期、後編となります。

Slain/The Brutania Chronicles : Book One A Simple Killing

 Pat Mills/Simon Davis
大御所Pat Millsの代表作のひとつ…って毎シーズン言っている気もしますが、まあとにかくイギリスの梶原一騎や小池一夫に当たると思われる人で、やたらと代表作が沢山あるのですが、その中でもこれは本命級の代表作です。前年2013年夏期には30周年の企画もありました。週替わりでこれまでSlaineを描いた代表的なアーティストが過去のストーリーを語りなおす、というもので、内容的にはよくわからなかったのですが、どれもヴィジュアル的には素晴らしいものでした。中でもProg1848のSimon Bisleyの回は必見です。アメリカでも現在はペンシラーとして活躍しているBisleyですが、これは時間や物理的制限を無視して本気でやればここまでできるんだぜ、と言わんばかりの圧倒的な作品で、コミックと絵画の境界でコミックとして成立するギリギリというようなすさまじい画を見せてくれました。機会があったらぜひご覧ください。


←こちらがProg1848、2000ADアプリショップから購入できます。表紙はSlaineですがBisleyではなくMick McMahonによるものです。ハードカバー版で発売中の『Sláine: Book of Scars』にも収録されています。

さて、それではこのSlaine、どういう話かというと、まあ毎度のことながら設定などはよくわかりません。その上私はどうもこのジャンルには不案内で上手く説明できるか自信は無いのですが…とりあえず少し頑張ってみます。まず、登場人物が裸に近い恰好でいることからコナン(名探偵に非ず)とかと同じような時代設定ではないかと思われます。超常的な魔術を操る怪人やクリーチャーなどと腕力のみで戦うという戦士のストーリーというものらしいです。などとくどくど書いてみましたが、まあこの手の話はコミックや映画などでビジュアル化すると一目瞭然であまり時代など説明は無かったりするものですね。主人公Slaineはコナンのような巨漢ではなくBisleyや今回のSimon Davisによる作画ではむしろオッサン臭のただよう感じの男ですが、かなりの戦士です。Slaine自身の背景についてはちょっとまだ把握できていません。

今回のストーリーは神の財宝を盗み出している盗賊団を追いある村にやって来たSlaineが、次第に魔術を使い人間をクリーチャーに改造する恐るべきカルト教団との対決に巻き込まれて行くというもの。今回はThe Brutania Chronicles : Book Oneで、教団との戦いに敗れたSlaineが捕獲されるところで次回に続くという形で終わっています。うーむ、やっぱりうまく説明できないのですが、ちょっと神話的だったり叙事詩的だったりもする作品なのです。今回のSimon Davisの作画も本当に素晴らしく、アートというべき仕事でした。なんとかうまく説明できないものかと長々と書いてみましたが、力不足ですみません。いずれにしても今期を代表する作品、2000AD、イギリスのコミックを代表する作品の一つでもあるこのSlaine、今後ももう少し深い解明に努めていこうと思っています。



Indigo Prime/Perfect Day

 John Smith/Lee Carter
こちらはすでに単行本も2冊出ている人気シリーズ…なのですが、初見でまたしてもあまり設定が分からないという作品です。パラレルワールドとその時空を管理する組織の登場するSFで、Indigo Primeというのがその組織の名前のようです。沢山のキャラクターが脇で動いていてその辺がさっぱりわからないのですが、メインのストーリーは割と明解なのでそちらの方で説明して行きます。
アル中から復帰したDannyと進化途中の人類の祖先と思われる容貌のUntherの2人のエージェントは、ナチスが第2次大戦で勝利した世界の協力者である老将校の依頼により出動する。余命の少ない彼の要請は人生の最後に遥か昔に亡くした娘とともに世界の歴史の様々な風景をこの目で見てみたいというものだった。
同行する娘というのはパーマンの留守番ロボットみたいなので指示された通りに姿を変えられるもの。半ば引き回されるように戸惑いながらあちこちを巡る老将校ですが、最後の目的地キリストが十字架にかけられる前夜のエルサレムに着いたとき、豹変し真の目的を露わにします。娘の姿をしていたロボットを監禁されていたキリストとすり替え、その身代わりは十字架にかけられた途端クトゥルー的モンスターに姿を変え、その後の世界の歴史はクトゥルー世界になってしまうという驚きのラスト!最後に"END"と書かれていたのでこれで終わりなのかな?と思っていたら、その後の2000ADのお便りコーナーで「続きを楽しみにしてまーす」という読者からのお便りにTharg閣下が「ドロイドを鋭意働かせておる!」と答えていたので続きがあるのかもしれません。なかなか面白そうなSFシリーズなのでまたの登場を期待したいと思います。

少し調べてみたところこのシリーズ主に90年代に描かれていて、しばらくのブランクを置いて2008年頃からまた始まってきているもののようです。ライターのJohn Smithは80年代からJudge Dreddなども多く手掛けるベテランでこのIndigo Primeシリーズが代表作のようです。作画のLee Carterはまたとても上手いアーティストで、CG時代のリアルでクリアな絵柄のひとつの見本のような画。なんとなくこの人のと日本のマンガの人物の画をよく見比べてみると、それぞれの国で表情などの表現で強調する部分の違い見たいのが見えてきそうだなとも思ったりもしました。



Grey Area/Nearer My God to Thee

 Dan Abnett/Mark Harrison
いやはやここにきてやっと話の少しわかるシリーズが冬期に引き続き登場です。地球のエイリアン受入れ地区の警備部隊の活躍を描くGrey Areaです。前期後半でほのめかされていた"地球人類への報復"が実行される今シーズン完結編となる全5話の作品。
Grey Areaに滞在するエイリアンの間で"神が降臨する"という噂が広まり始める。時を同じくして地球に巨大な宇宙船が接近。そして地球人の間でもその動きは徐々に広がり始め制御できなくなってくる。だがそれは実際には"神"の概念を放射しつつ惑星に降り立ち無抵抗の生物を捕食する危険なエイリアンだった。Bullietたちはひそかに強力な爆弾を積みこんだシップでその宇宙船に乗り込む…。
前期の宗教上の概念の違いから騒動が起こる話「All God's Children」が伏線になっています。最後は宇宙船の爆破には成功したが、Bullietたちの生死は?という感じでEND?と表記されていますが、またの登場はあることでしょう。

アメリカでの活躍も多いライターのDan Abnettですが、最近では映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で原作者のひとりにもクレジットされていましたね。作画は前期後半に引き続きMark Harrison。よく見ると女性陣が○○だったりするけど、シャープでエッジの効いた線と独特の空間を表現するカラーリングで私のとても好きなアーティストです。


というわけで前後編に渡りました2000AD 2014年春期もやっと終了です。新年最初の分というよりは去年晩秋ぐらいのがやっと片付いたという感じで、まあ本来ならこの辺で今年の抱負などを述べるところでしょうが、それは来月のブログ1周年あたりで語ってみようかと思います。どうせ何々が読みたいなあとか程度の話でしょうが…。
さて続く2000AD 2014年夏期ですが、待望の『Brass Sun』第3シーズンの登場となります!書くのが遅れているだけでもう半分以上は読んでいるので(とは言ってもまだ去年の夏の分か…)割と間をおかずお届けできると思います。と言うか他のコミックの事も色々書きたいので早く進めねば。というわけでなるべく頑張るという意思だけはありますので、またよろしく。



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2015年1月3日土曜日

2000AD 2014年春期 [Prog1874-1887](前編)

あけましておめでとうございます…えー、あまり晴れ晴れと言える感じではありませんがとりあえず…。疲れと元来寒さに弱い体質から12月は体調を崩しながらヨレヨレでほとんどブログは休みになってしまい、延々と引っ張っているうちにとうとう年も開けてしまいました。2014年春期2000ADです。11月ごろから休みがちでいろいろ押してずいぶん遅れてしまっているのですが、自分的には週1冊ペースで遅れながらも順調には読めているので、なんとか次回で取り戻そうかと思いつつ…。
今期は早く終わったり途中から始まったりというのが色々あって、少し複雑になっていて、やたら長くなってしまいそうなので前後編2回に分けることにしました。今期のラインナップは以下の通りです。

 Judge Dredd
 Sinister Dexter [Prog1874-1879]
 Jaegir [Prog1874-1879]
 Outlier [Prog1874-1883]
 Slaine [Prog1874-1886]
 Indigo Prime [Prog1880-1887]
 Grey Area [Prog1884-1888]



Judge Dredd

 1. Mega-City Confidential : John Wagner/Colin Macnel(Part1-5)
 2. Shooters Night : John Wagner/John McCrea(Part1-4)
 3. Traumatown : Michael Carroll/Nick Percival(Part1-5)

1 Justice DepertmentのSection7に勤務するErikaは、その部署の仕事の社会的な問題性に疑問を抱き、悩み、遂にそのデータを持ち出し公開を図ろうとする。DreddらJudgeの手により事前に阻止されたかに見えたが、実はすでにマスコミの手に渡っており、別のCityからの衛星放送という形でMega-City Oneに公開される。その内容はChaos Dayの破壊から再開発された居住区の各部屋に隠しカメラがあらかじめ設置され住人たちの様子がモニターされているというものだった…。
2 あるクラブで起きた少年による無差別乱射事件の背景を調べるうち、DreddはChaos Dayによって精神科セラピーが中断された少年たちが危険人物によって組織、洗脳され、そのグループによる大規模な無差別殺人計画が謀られ、実行日が迫っていることに気付く…。
3 Mega-City Oneのセレブリティ襲撃事件の犯人を追いChaos Day以後まだ手が付けられていない地域に入ったDredd達。Dreddは犯人と思われる女性を発見し追跡するが、その姿を見たのは彼だけだった。同様の幻覚と思われる事態が続き、Dreddは病院での治療を指示される。だが治療を終えた後も幻覚は続き、今度は近くにいたテレパス能力を持つ女性Judgeにもその幻覚が見えるようになる。次第に恐ろしい幻覚がDreddを中心に拡がり、Cityをパニックに陥れて行く…。

1、2は久々のJohn WagnerによるJudge Dredd。といってもこのレポートを初めて半年で初めてなので、少なくとも半年以上ということになります。1はいかにもWagnerらしい問題作。この事件におけるDreddの立場は当初からこれが公になればかなりの問題を引き起こすと思いながら、この作品世界ではこれは違法行為ではなく、適正に運用されれば治安維持に有効であるということで肯定も否定もしておらず、公表された結果の事態を考え阻止に努めるというもの。Judge Dreddの産みの親のひとりでもあるJohn Wagnerは、最初からこの警察と判事を兼ねたJudgeにようr警察国家という設定の危うさに気付いており、度々このような問題提起をして、その中でDreddが何を考えどう行動するかを描くことで、ともすればロボットのようになってしまうこの主人公を立体的で魅力あるキャラクターに創造して行っているように思います。
3はNick Percivalの描線を使わないタイプのリアルでグロテスクな画がホラー風味を盛り上げる迫力のある作品でした。


Sinister Dexter/Gunshy

 Dan Abnet/Smudge
こちらの作品については2014年初めのProg2014にワンショットが掲載されていてそこで少し触れました。証人保護プログラムから脱走し、放置しておけばこの宇宙を破壊してしまう男Tanenbaumを倒しに向かうSinsterとDexterプラス2人の美女(Dexterの妻とSinisterの元証人保護プログラム担当官)は武器を調達し車のトランクに満載し目的地へ向かって旅を続ける途中の田舎町でカルトとギャングの2大勢力の抗争に巻き込まれてしまう。
Prog2014からまた作画が変わり、今度はモノクロの少し古い感じのアクション・コミック調ですが、今回の展開にはマッチした感じ。単行本として出ている過去作のカバー画などを見ても、この作品は回ごとに大きく絵柄の違うアーティストを起用して行くのが特徴のようです。今シーズンは6話ですが、次シーズンにも4話で登場しています。好きなシリーズなのでこうやって度々登場してくれるのは嬉しいところ。


Jaegir/Storigoi

 Gordon Rennie/Simon Colby
SFミリタリーアクションの新シリーズ。Nordlandの戦争犯罪捜査官Atalia Jaegir大尉は敵勢力Southerが使用した細菌兵器Strigoiにより理性を失った野獣と化した兵士の抹殺を指令される。その対象はかつての戦友で一度は関係を持った男だった。Jaegirは自らが幼少時代を過ごした居城に男の妻子を保護し、男の襲来を待ち受ける…。
Storigoiの感染の最終段階は食い止められたものの、その影響で登場人物の多くは身体の一部が変形していて、主人公のクールで寡黙な女性大尉Jaegirも顔の左側面にそのあとを残しているキャラクターです。主に回想による主人公Jaegirの内面とハードなアクションが交錯する今期一番の注目作。当初ミニシリーズとして企画されたようですが、公表を受けシリーズ化され、次シーズンにも登場しています。この作品は全6回が1冊にまとめられ、『Brass Sun』と同じ形式で発売されKindleと2000ADのデジタル/アプリショップでも販売され単体で読むことができます。ちなみにこの作品は2000ADに長く掲載されている『Rogue Trooper』の舞台となっているNu-Earthと世界を同じくするスピンオフ的な作品のようです。そういう事情でまたしても設定上少しわかりにくいところがあったのですが、『Rogue Trooper』に関しては昨年2000ADのアプリショップでセールがあって買い込んでおいたのでその辺についてもいずれ解明して行きたいと思っております。



Outlier

T. C. Eglington/Karl Richardson
こちらもJagairと同じく新シリーズ。私立探偵であるCarcerはある富豪の殺人事件の捜査を依頼される。記録映像には謎の黒い襲撃者の姿が残されていた。調査を進めるうち、事件の背景にはHurdeと呼ばれる人類より遥かに進化した異星人の難破船に救難艇が着く前に技術略奪のために乗り込んだ宇宙船Outlierが関係していることが浮かび上がってくる。Outlierの女船長は脱出の際、3人の乗組員を見捨てていた。Hurdeの捕獲された人間は例外なく興味の対象から実験体として扱われ究極の苦痛を与えられる。その実験の最中、Hurdeは強い復讐の憎悪に興味を持ち、一人の男の身体を生体兵器に改造し送り返して来る。次々と虐殺されて行く元の乗組員たち。船長は元の乗組員を集め、襲撃者を迎え撃つ計画を立てるのだが…。
ハードなSF復讐譚。同コンビによるJudge DreddのPreyという作品が2013年秋期に掲載されていました。なかなか迫力のある読ませる作品でした。これはこの全10回で完結の作品のようですが、主人公の私立探偵Carcerや同設定を使った続編が描かれることもあるかもしれません。


というところでなんとか前編終了です。残り作品、後編もすぐに書きますので、次回をお楽しみに…していただけると…。


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2014年12月6日土曜日

you don't exist -ADR Books第1弾!-

このブログでは度々ひっぱり出してきてお馴染みの必読アンソロジー『All Due Respect』なのですが、ウェブジンのベスト選アンソロジーから定期刊行オリジナルアンソロジーへと進化したことは以前に書きました。そちらも早く読まねばと思いつつなかなか手が付けられないでいるうちに、All Due Respect Booksなどというものの刊行まで始めてしまいました。8月発行のこの作品を皮切りにすでに6冊が刊行され、All Due Respectのホームページでは代表のChris Rhatigan氏があれも出すぞ!これも出すぞ!と意気盛んです。私の英語読書力では到底追いつけない勢いですが、とにかく乗っておかねば!と、この第1弾『you don't exist』を読んでみました。

この『you don't exist』ですが、実は同一テーマの別の作家2人の2本の中編の競作という形になっています。そのテーマはというと、一人の男が旅行中、見知らぬ土地で明らかに犯罪にかかわると思われる大金を偶然手にしてしまい、それをいかに自分のものにするかと考えながら、孤立無援の中次第に強まって行く強迫観念にとらわれて行くというものです。

bleed the ghost empty/Pablo D'Stair

私はハイウェイを車で走っていた。もう何日もろくに眠っていない。いくつもの出口を示す知らない町の名が書かれた標識を通り過ぎる。だが、一向に出口など現れず、また新しい知らない町の名の標識が現れるばかりだ。どうなっているんだ?やっとさびれた小さなダイナーが付いたガソリンスタンドを見つけた。だが閉まっている。一体いつから閉まっているのかもわからない。ガソリンポンプには錠が掛かっている。自販機には見たこともない煙草が並んでいる。金を入れたら出てくるのかもわからない。待っていれば誰か来るのだろうか?だがもうガソリンも乏しい。このままではどこにも行けない。そして日が暮れて行く…。
…あそこに車が停まっている。いつから停まっているのか?中には人がいるようだ。灯りがついていて微かにラジオの音も聞こえてくる。何をしているのだ?なぜずっと停まっている?意を決して近付いてみる。道に迷った害のない旅行者を装って…。そして、車の中にあったのは男の死体と、その足元には現金の詰まったバッグだった…。

何とも、とにかくすさまじい作品でした。冒頭から延々と一人の男の語りで、なぜずっと車を走らせているのかもわからない。最初からある種の強迫観念にとらわれている語りで、むちゃくちゃに文章をつなげていくような文体で少し読むのに苦労しました。後半の方まで誰かと会話することもないので、名前もわからないし、その時に言っていることが本当なのかもわからない。現実と妄想の境も曖昧な感じ。米Amazon.comのレビューを見ていたらデヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』を引き合いに出している人がいて、なるほどと思いました。ちょっと文学寄りの圧倒的な読み応えのあるノワール作品でした。
作者Pablo D'Stairはノワール系では初登場のようですが、いくつかの著作のある作家で、Amazon Kindleでもいくつかの作品を見ることができました。いずれも文学寄りの作品のようですが、なかなか面白そうで余裕があったら読んでみたいところ。(なかなか無いのだが…。)作者紹介によると、イギリスの方で映画業界にも関わっているようです。実力のある作家なのは確かなので、このジャンルで今後活躍して行かなくてもいずれ作品を読んでみたくなる時が来るかも。


Pessimist/Chris Rhatigan

Pullmanはダラスのモンロー空港に降り立った。ダヴェンポートで行われるコンヴェンションの会議に出席するため、ニューヨークの都市開発コンサルタント会社から派遣されてきた。彼のこれまでの人生は常に今よりも少しでも良い収入を得られる仕事に付けるよう地道な努力を続ける毎日だった。気に入らない上司にこき使われる現在のアシスタントの仕事もそのワンステップだ。いつか来る日を夢見て…。だが、まだ大学の学資ローンすらも払い終える見込みが立っていない。空港で荷物を受け取り、明日のコンベンションに備えてモーテルにチェックインする。ベッドの上に投げ出したバッグを開けてみると、そこに入っていたのは見たこともない現金の束だった…。

とことん小市民的な主人公が、空港で荷物を間違えられ手にした明らかに犯罪にかかわると思われる大金をなんとか自分のものにしようと悪戦苦闘するストーリー。姿も見えない追手に追跡されているとの疑心暗鬼に捕われながら、金を小分けにしてあちこちの金融機関に預けようとしたり。前のPablo D'Stairの作品があまりに読みにくかったのでずいぶんスラスラ読めた印象があります。一方で前の作品がかなりすごかったので少し損をしているような感じもありますが、なかなかよくできた良質なノワール作品でした。
作者Chris Rhatiganは前述の通りこのAll Due RespectのWeb時代からの代表・パブリッシャーです。その立場からAll Due Respectでは作家としてあまり前に出ることはありませんが、他のアンソロジーに作品を発表していたり、今年9月にはBeat Up Pulpから中編『Waku Up, Time to Die』を出版したりもしています。その他にも彼の以前の中編『The Kind of Friends Who Murder Each Other』が彼自身のブログDeath by Killing経由でインディー系eBookショップSmashwordsからフリーでダウンロードできます。
このような作家兼編集者・パブリッシャーというのは今のこのジャンルで多く見られます。ThuglitのTodd Robinson、Blood & TacosのJohnny Shaw、PWGのAnthony Neil Smithなど。少し前に書いたTom PittもOut of the Gutterのエディターだったり、Chris氏の盟友でAll Due Respectからの作品集の出版も予定されているAlec CizakもアンソロジーPulp Modernのエディターだったりします。その辺も私がこのあたりの動きに注目し、期待する要因の一つで、これからも可能な限り頑張ってこの動きを追っかけて行きたいと思います。


というわけで、このAll Due Respect Books第1弾『you don't exist』、なかなか手応えのある作品で、今後のこのシリーズにもかなり期待を持たせてくれるものでした。All Due Respectではこの形の競作シリーズを今後も展開して行くようで、早くも再び代表Chris Rhatigan氏の参加した『Two Bullets Solve Everything』が発表されています。また、アンソロジー『All Due Respect』もIssue 4まで発行中。早くそちらも読まねば。この辺のムーブメントの中でも特に勢いのあるパブリッシャーの一つで今後も要注目です。 


All Due Respect

Death by Killing      

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ハードボイルド/ノワール系アンソロジーとインディー・パブリッシャー


■you don't exist

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2014年11月23日日曜日

Terry Moore's Echo -スヌーピーの血を受け継ぐSFアクション・コミック!-

今回は自身のAbstract Studioから作品を発表し続けているインディペンデント系コミック作家Terry Mooreについて、私が読んでいる『Terry Moore's Echo』を中心に少し書いてみようと思います。

Terry Moore's Echo

民間核研究所HeNRIの科学者Annie Trotterは関わるPhiプロジェクトで開発中の水銀をベースに核を利用したベータスーツを着用し、ジェットパックを背に自らテスト飛行を行っていた。その最中、彼女研究方向で対立する同研究所のFoster教授により、スーツの耐久度テストを兼ね、戦闘機からミサイルを撃ち込まれ殺害される。

その時、Julie Martinは直下に拡がる砂漠で植物の撮影をしていて、頭上での大規模な空中爆発を目撃する。直後、微小な金属の粒が雨の様にJulieの上に降りそそぐ。なぜかその粒は落下しても跳ね返ることなくJulieの身体や衣服、ピックアップトラックに張り付き剥がれなくなる。危険を感じその場から逃げるJulie。帰宅してみるとピックアップの荷台には同金属の大きめの破片が落ちていた。女性の胸部に当てられていたように見えるその破片を何気なく自分の体に当ててみると、それはJulieの胸に張り付き剥がれなくなる。そして、他の部分やピックアップに張り付いていた粒までもそこに集まって行く。

ERに駆けつけ、自分の症状を医師に話すJulie。医師が検査しようとその金属に触れると途端にスパークが走り、医師の手袋を破き、爪を破損させる。悪質なイタズラと誤解され、Julieは病院から追い出されてしまう。

パークレンジャーのDillonは自らの管轄区域で起こった爆発事件ながら軍隊によって封鎖され、調査もできず当惑している。彼は科学者Annieとも恋人関係にあったのだが、事件以来連絡が取れずにいる。次第に彼はHeNRIを中心に何かが起こっているとの疑いを抱き始める。

意に沿わない突然の離婚に悩み、光熱費の支払いにも困っている上に襲い掛かった突然の災難に途方に暮れるJulie。帰宅しようと砂漠を横切っていると運転中のピックアップを軍隊に止められる。HeNRIは事件の映像からそこにJulieがいたことを突き止めその身柄を拘束しようと迫ってきていたのだった。銃を突きつける兵士に、事態が理解できず困惑するJulie。だが、その胸を覆った金属に触れた途端、再び大きなスパークが走り、兵士に向かってゆく。Julieを取り押さえようと攻撃してくる兵士たちも次々と打ち倒 されて行く。たまたまその場を通りかかったDillonに助けられ、Julieはその場から逃走する。

しかし、爆心地の下にいたのはJulieだけではなかった。片手その金属をまとった謎の老人が、それを神の啓示と解釈し、異常な行動をとり始め、徐々にJulieに近付いて来る。一方、HeNRIも優秀な女性エージェントIvyを呼び寄せ、Julieの追跡にかかる…。


というストーリー。インディペンデント系というのから想像されるのとはちょっと違ったエンタテインメント作品で、こんな感じの海外TVドラマあったらボックスセット買っちゃうかも、というぐらい面白いです。画の方はというと、白黒で線は細めで、ベタの影で立体感を出すという手法はあまり使わないというアメコミでは異色の画ではありますが、確かなデッサン力で、特に女性の画が優れていて、細かい動作を柔らかく描くというとても達者な画です。実際、自分でキャラクターの描き方の本を出しているくらいの画力。つまり自分で考えた話を自分で描き、基本は白黒という日本では普通のコミック作家ではあるけど、アメコミ界では異色というのがTerry Mooreなのです。

Terry Mooreは1993年から自らのAbstract Studioから『Strangers in Paradise』をアメコミでは一般的な30ページ弱のIssueという形で出版し始め、1996年にはアイズナー賞のBest Serialized Story部門で受賞しています。その後、マーベルDCなどの大手コミック出版社で短期のシリーズ物を手掛けたりもしていますが、基本的には自らのAbstract Studioから作品を発表し続けていて、2人の女性の友情関係を描いた『Strangers in Paradise』は2007年に100話以上を持って完結し、2008~2011年にはこのSFアクション作品『Terry Moore's Echo』、続いて2011年から現在進行中の異色ホラー作品『Rachel Rising』が出版されています。

主に会話を中心に進められる手法や、絵柄、コマの運びなど、私から見るとTerry Mooreの作品は他のアメコミより結構読みやすい印象があります。これは日本のマンガと描かれ方が近いからではないかと思っていたのですが、やはりそう断言するには少し異質なものもあります。どう説明したものかと考えながら色々調べていると、以前は読み流していたスヌーピーなどが登場するピーナッツ・コミックのチャールズ・M・シュルツから影響を受けた、との記述が目に留まりました。そう考えながら見てみると、なるほど、技法や間の取り方、ユーモアなど、随所にシュルツの影響が見られます。この独特の読みやすさもそこから来ているものだろうと思います。スヌーピーの血を受け継ぐSFアクション?そう聞いてこの作品に興味をもたれる人もいるのではないでしょうか。「異質」とは書きましたが、かなり表現の幅が広い日本のマンガの中にあってもおかしくないような作品です。

実は私はTerry Mooreの作品は後発の『Rachel Rising』の方から、まだ始まって間もないころComixologyで知りました。森の中に埋められていて土を掘り返して現れた主人公Rachelが自分を殺した人を探し始める、というストーリーを何か不思議な静かな感じで描くこの作品にすぐにハマり、2話まで読んでこれは単行本でまとめられたものを読もう、と続きを読まずにいたのですが、しばらくたって調べてみると、やはりそこは個人出版ということで部数も少なくTPB版の入手はかなり困難と判明しました。どうしようかと思っているところでComixologyでこの『Echo』のセールがあり、全作買い込み、まあいつものようにモタモタとやっと半分3巻まで読んだという状況です。このように日本のマンガ読者にも親和性が高いと思われるTerry Mooreの作品なのですが、少し日本からは手に入りにくくなっている状況で、今は彼の作品がすべてそろっているComixologyで読むのが一番簡単なようです。Andoroid、Kindleの事はよくわからないのですが、iOSからは撤退してしまいWebから購入するしかないComixologyですが、私はプリペイド式のVプリカをPaypalアカウントに登録して購入するという方法を使っています。クレジットカードをWebで使うのが不安な人や、私のように放っておくとどのくらいマンガを買ってしまうかわからない幼稚な大人(JACKASS!)の人にとっては比較的安全な方法だと思います。詳しくはこんなボンクラよりももっとまともなところで調べてみてください。リストには比較的手に入りやすそうなこの『Terry Moore's Echo』全30話コンプリート版のみを載せておきました。


Terry Mooreオフィシャルサイト             

●Terry Moore's Echo


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2014年11月9日日曜日

Magdalen Martyrs -ジャック・テイラー第3作!-

そもそも洋書を読もうと思うきっかけは、日本では出ないあれやこれの続きが読みたい、ということだったのですが、いざ売り場に行ってみると、うわっ、100円とか300円とかで知らない面白そうなのいっぱいあるじゃん!、とハの字バカが暴走しあちこち目移りして、本来の目的になかなか戻ってこられなかったりしていたのですが、しかし、ケン・ブルーウンぐらい読まんと始まらんだろう、と一念発起し、ジャック・テイラー・シリーズ第3作『Magdalen Martyrs』をやっと読んだのでありました。

前作「ティンカー連続殺人事件」の結果からテイラーはもらった家を返し、再びベイリーズ・ホテルに居を構えています。酒とも適度に(?)つきあい本を読む毎日。そして、第2作に登場したギャング、ビル・カッセルから連絡が来ます。「借りを返してもらおう。」

お前はマグダレンは知っているな。俺の母親はそこにいたんだ。あの地獄から脱走するのを手助けしてくれた女性がいる。Rita Monroe。彼女を探せ。お前は人探しが上手いらしいからな。お前には二つ貸しがあるな。このひとつでその二つを帳消しにしてやる。いい話だろう。

マグダレンとは近年までアイルランドにあった未婚で妊娠した女性が収容されていた修道施設のこと。収容者はかなり劣悪な環境で洗濯所で労働を強いられていたということです。この本のことを調べていて知って、まだ私は未見なのですがそのことについて描いた『マグダレンの祈り』という映画もあるそうです。原作であるジューン・ゴールディングの回想録も翻訳が出ているようです。

調査を始めたもののすぐに行き詰ってしまったジャックは今や一児の母となった元パンク少女キャシーと元警官のブレンダンに助けを求める。そして二人の調査を待つ間、彼のうわさを聞きつけてきた青年の、彼の父を殺した犯人が若い後妻であることを証明して欲しい、という依頼も引き受けてしまう。その女性の様子を探りに行ったものの、ずさんな調査の仕方からすぐに目的に気付かれ、逆に徐々に籠絡され始めるジャック。一方元警官を巻き込むなどの調査のやり方に不満を持ったカッセルは、ジャックの頭に銃を突きつけ脅しをかける。ジャックは再び酒とドラッグに溺れ始めるようになってしまう。そして、友人2人の協力によってRita Monroeの行方はつきとめられたのだが…。


素晴らしい。傑作です。別に翻訳が無く読む人の少ないこの第3作が跳びぬけた傑作だと言っているのではなく、前2作同様の傑作だという話です。なぜケン・ブルーウンの翻訳が出ないのかと考えると色々腹が立ってきて罵詈雑言を書き散らしそうなので自粛しますが、ケン・ブルーウンがこのジャンルにおける現代のもっとも優れた継承者のひとりであることは確実で、彼の作品が翻訳されないのはジェームズ・クラムリー、デニス・ルへインクラスの作家の翻訳が出ないのと同等の損失で、大変不幸なことだと言わざるを得ません。まあ、出版社側でもそのくらいはある程度は分かっていて、なんとかケン・ブルーウンを日本で売ろうとは試みたもののあまり売れず、というのが今の状況でしょう。『ブリッツ』に至っては映画も公開されたのに原作の翻訳は出ない始末。とにかく今は時代が悪いのでしょう。しかし、これほどの作家がこのまま放って置かれるはずはなく、いずれまた翻訳の機会は来るだろうと思われますが、そうはなっても不幸なことに彼の全作品が翻訳される望みは薄い事でしょう。とりあえず今はケン・ブルーウンの著作は片っ端から原書で読んでおくしかないでしょう。つーかフラフラしてないで読むのはまずこれだろうが、オレ。

このジャック・テイラーシリーズには色々言いたい事があるので少し書いておきます。まずこのシリーズは「主人公が酒ばっかり飲んでいる間に周りの人間がいろいろ調べてくれて、事件の方が勝手に解決する」というようなものではありません。このシリーズはジャック・テイラーという元警官の本好きの酒飲みでかなりひねくれたオッサンの手記という形で書かれています。したがってこの本の中には彼が重要と思ったことしか書かれていません。どこでどうやって捜査してどのくらいの時間を使ったなどということは細かく書かれず、数行上手くいかなかったことが書かれるだけ。また、キャシーとブレンダンの調査に関しては自分ができない方法で調査をしてくれるので、そのことについては何も書いてありません。自分がわかることなら自分でやればいいことですから。そしてこのジャック・テイラーという人は事件についてあまり考えません。今作の2番目の事件については途中で完全に忘れてしまっていたりします。作者ケン・ブルーウンはジャック・テイラーという人物をそういう風に設定していて、極端な例では今作中後半で留守中にホテルのジャックの部屋がメチャメチャに荒らされ、その際誰がどんな目的でやったのかと考える記述はほとんどなく、ただ服や本が駄目にされたことに落ち込み買い直しに行き、またホテルの所有者であるミセス・ベイリーに対して申し訳ないという思いが延々とつづられます。ただ、この人は本当にひねくれた人なので色々と考えても書いてない、という場合もあります。前2作で面倒だから返さないという体を装っていた度々返却要請のある警察用外套ですが、今作のあるシーンでそれや警察官であったことに対する思いがけないほどの深い思いがうっかり吐露されたりします。
そして、解決について。例えば人は誰かがこっそり自分に不正を働いていたり、何かをごまかし続けられていたり、また、自分自身でごまかして目をそらし続けていても何時かの時点ではそれに気付き直面しなければならなくなります。このシリーズではそのように「解決」し、大変苦い形で決着がつけられます。これが「事件の方が勝手に解決する」などというのほほんとしたものではないのは当然です。
つまりこのジャック・テイラーシリーズは捜査や推理といった記述がほとんどなく、また本の最後に設定された「解決」というゴールに向けて主人公が行動しないミステリなのです。「ミステリ」好きの人がこれは「ミステリ」ではないと言うのは勝手ですが、ケン・ブルーウンはミステリ・ジャンルで高い評価を受けていてそのジャンルで作品を発表し続けている作家なので、私はあくまでもミステリとして読みます。

そしてそれらの替りにこの本に何が書かれているかというと、例えばミセス・ベイリーとの会話です。ジャックが外出するとき、帰ってきたときミセス・ベイリーは大抵フロントにいて、彼に声をかけます。様々なことが書かれていないこの手記の中ではあまり必要でないことも多くあります。しかし、”この善良な老婦人はどうして自分のような人間にこうまで優しくしてくれるのだろう”という感謝の想いがこの手記の中にその会話を記させるのです。そしてお馴染みの酒と酔っ払いと本のこと。この作品にもなかなかいい酔っ払い格言が引用されていたりもします。同じ(元)アル中探偵マット・スカダーについても言及していて、ジャックはアル中時代のスカダーの方が好きだということです。日本で誰かがこれを書いていると、ちょいわる親爺の「俺は甘いもの苦手だから」宣言ぐらいうんざりするのですが、ジャックなら許すよ。そしてそれらの中で最も胸を打つのは”存在しない二人の人物”の話です。ジャックはこの作品中で二人の人物に出会い、その会話でどん底にあった心情が癒されます。しかし、あとで人に聞いてもそんな人はいなかったと言われるばかりです。私は作品中のトリックや、ともすると犯人まですぐ忘れてしまうボンクラですが、こういうところは生涯忘れません。

さて、ご存知の通りこのシリーズには2作の邦訳がありますが、私はこの邦題が心底嫌いです。まず『酔いどれに悪人なし』ですが、この作品を読み進むにつれタイトルに違和感を感じ始め、なぜこんなタイトルが付いているのだろうと原題を見てみると、全く関係ない『The Guards』。そして最後まで読み通しても決して「酔いどれに悪人なし」などという感想は得られませんでした。原題の『The Guards』はアイルランドやその地方の慣用なのかまではわかりませんが、このシリーズ中では警察を示す言葉として常に登場します。主人公が警官ではないのにこのタイトルで、そのまま付けにくかったのは分かります。しかし、この邦題は酔いどれ探偵好きはこんな感じが好きだろう、というだけで付けられた内容を示していないばかりか、人によっては全く逆の感想を持ってしまうような本当にひどいタイトルです。そして2作目の『酔いどれ故郷にかえる』。1作目の邦題にかなり頭に来ていた私は、”酔いどれシリーズで行くつもりかよっ!”との怒りからしばらく書店でこの作品に手を付けられませんでした。やっとのことで”前作には書いてなかった気がするけど、ジャックには別に故郷があって、グリーンリーフの『探偵の帰郷』みたいな話になるのだろうか”と思いながら読み始めたところ、前作の最後にロンドンに行くと言っていたジャックが本当にロンドンにしばらく行っていて冒頭でゴールウェイに帰ってくるという状況を示しただけのものでした。この間ロンドン編が書かれたわけではありません。2兆歩譲って『酔いどれ』と『かえる』はありとしても、『故郷に』!?この『故郷に』はただ「語呂がいい」だけで入れられ、下の『かえる』を不必要な方向に誘導・強調するだけの安物Jポップの歌詞レベルのひどい語句の並べ方の見本のようなタイトルです。しかし、思い返してみると1作目を読み始めた時、このタイトルにはいささかの期待もあったように思います。酔いどれシリーズでもそんなに悪くなかったのかもしれない。でもこの2作の邦題はそれに続く下の句があまりにひどすぎます。原題と全く違うタイトルが付けられるのが日本だけの事ではないことも理解しています。でも、こんなものがありだと思うんなら今度「父と子の物語」テーマのマッチョ説教探偵シリーズを見つけたら「痛快ビッグダディ」シリーズとでもつけて出しゃあいいんじゃないですか?きっとバカ売れですよ。上にも書いた通り、ケン・ブルーウンの作品は必ずいずれ再評価されて再び翻訳が始まります。その時この2作が再版されるなら『バス男』→『ナポレオン・ダイナマイト』ぐらいの反省をして、まともなタイトルに直して出版されることを切に望みます。ちなみに今回の作品、邦題を付けるなら『酔いどれ借りを返す』は断固却下!原題通り『マグダレンの殉教者』で決定。

うむむ…。自粛するつもりが結局ずいぶん荒れてしまった…。これもひとえにケン・ブルーウン/ジャック・テイラー愛の強さゆえということで今回は見逃してください。しかしここのところ失敗続きでもしかしたら『酔いどれ借りを返す』がもう出てるんじゃないかと不安になってしまいますが、…大丈夫ですよね?私としては今後はこのケン・ブルーウンの作品を最優先で読んでいくつもりで…あっ、今頭の中で読もうと思ってる本が上にドサッと山積みされた…が、なんとか上の方に持ってきて、ジャック・テイラーシリーズや他の作品にも手を拡げてこのブログ上で感想を書いて行くつもりです。ジャック・テイラーシリーズはアメリカ制作でTVムービー化されたものもあるようなので、そちらもそのうち観てみたいなと思っています。         


●Max Fisher and Angela Petrakosシリーズ

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