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2018年3月21日水曜日

ジョー・R・ランズデール / Hap and Leonard -ハップ&レナード短編集!-

遂に私のブログにもハプレナ・シリーズが本格的に登場!つってもまだ本編ではないのだが。以前にこれは本編シリーズと版元も別だし、出しやすいからきっとどこかが出すよね!…と言ってたのだが一向にどこからも翻訳の出る気配のない、Tachyon Publicationsより2016年に発行されたジョー・R・ランズデールのハプレナ初の短編集『Hap and Leonard』であります!今回は、この作品集の感想を、ということなのだが、あらかじめ言っとくと、感想もくそもないよ!ランズデールでハプレナで面白くないわけがないじゃん!なんか小難しぶって重箱の隅を突いてケチをつけてミステリ通を気取ろうなんてのは阿呆のすること!つーわけで今回は絶品料理を食べに来たグルメレポーターよろしく、絶対に面白いに決まってるハプレナ短編集がいかに面白いかを語るのみであります。ハハハ、ご心配召されるな。我輩はメシを食う時間より作る方に時間がかかるのは不合理ではないかと屁理屈をこねるほどの理論派グルメなるぞ!泥船タイタニックに乗ったつもりで任せたまえ!

ではまずはこの短編集に収録の作品一覧から。

  • Hyenas
  • Veil's Visit (with Andrew Vachss)
  • Death By Chili
  • Dead Aim
  • The Boy Who Become Invisible
  • Not Our Kind
  • Bent Twig
  • Joe R. Lansdale Interviews Hap Collins And Leonard Pine
  • The Care And Feeding And Rising Up Of Hap And Leonard
以上のうち、「Veil's Visit (with Andrew Vachss)」「Death By Chili」の2作は早川書房の日本オリジナル短編集『現代短篇の名手たち 4 ババ・ホ・テップ / ジョー・R・ランズデール』に翻訳収録されております。「Hyenas」「Dead Aim」と「Veil's Visit」の3作は限定版として出版された中編で、この短編集が出るまでは結構レアな作品だったらしい。では収録順に作品の方を紹介していりましょう。

Hyenas : 2011年
酒場で数人の男と乱闘となったレナード。が、ほぼ一方的にレナードが相手の男たちをぶちのめして終わるのだが、その後その中の一人の男がレナードを訪ねてくる。あんたの腕を見込んで仕事を頼みたい。その男、Kelly Smithが言うところによると、自分の唯一の肉親である弟がよからぬ連中と付き合っている。どうもその連中はただのならず者ではなく、最近近くの銀行を襲った一味らしい。また新たな犯行を計画していて、今度は弟を運転手として使うつもりのようだということ。そもそもはレナードが酒場でぶちのめした男たちにこの仕事を頼むつもりだったのが、こんなことになってしまった。連中よりはるかに腕も立つし、信用できそうなあんたに弟を救い出してもらえないだろうか。そんな話を聞いては放ってはおけないハップとレナードはKellyに力を貸すことになるのだが…。

相変わらずのちょっと過剰ぐらいのユーモアとバイオレンスに満ちた中に常に変わらぬ一本筋の通った真実の正義の光る、いかにもハップ&レナードって感じの快作であります。いやー、またあんたらに会えて良かったよ。
えーっとここで遅ればせながら告白しちゃうのだが、私の以前の住まいで多数の書籍が神隠しにあっていたことは前回書きましたが、実はこのハプレナ・シリーズ翻訳版角川文庫全5冊もその中の一つで、引っ越しの際にやっと救出されたものだったり…。このハプレナ・シリーズに関しては本当に思い入れがあり、度々言ってる貧乏性で好きな本はなかなか読まなかったりする私が、比較的に出て早くに読んでいたシリーズなのだが、あんまり好きなのが仇になり、読み終わって本棚の中の特等席に置いたつもりが、その後の度重なる地殻変動で本その他が積み重なり本棚のその部分も埋没し、かれこれ10年近く行方不明となっていたというわけなのでした。まあそんなわけでハプレナ以外のキャラクターについてはかなり朧気になってしまっていて、ハップの彼女のブレットさんぐらいになっても、いたようないなかったような…ぐらいの状態になってしまっていたりする。本当はこんなに色々遅れなければ去年のうちぐらいに書く予定だったのだが、そのままやってたらかなり頓珍漢な感じになってしまっていたところだったよ…。
そんなよくわからなくなってしまっていたキャラの一人が私立探偵マーヴィン・ハンソンさん。この短編集でもかなり頻繁に登場するのだが、やっと発掘されたのをパラパラめくってみるとかなり初期から登場していたり。こんなのも思い出せないようではもう一度シリーズ通してちゃんと読み返さなければ。もちろん読み返す価値はあるどころか、繰り返し読まねばならん作品だろう、が、どうにも時間が…うむむ…。 で、そのマーヴィンさんなのだけど、この人実はランズデールの長編デビュー作である『Act of Love』の主人公だそうであります。そこまでに至る出版の経緯はよく知らんのだけど、とにかく2014年8月にGere Donovan PressからKindle版が発売されていて、その時にそれに合わせて出版されたのがこちら。
『A Bone Dead Sadness』という55ページの中編なのだけど、こちらマーヴィンが主人公で、その『Act of Love』の後日譚ということらしい。ハップ&レナードも登場とのことです。かれこれ2年以上ぐらいずっと読もうと思ってるのだけど、今に至るも届かず…。一体どんだけ読もうと思ってる本を積み上げてんだよ…。ハプレナコンプリートを目指す人はこちらも要チェックですぞ。
あと、ついでに告白しとくと、実は前述の『ババ・ホ・テップ』についてもここ3年ぐらい神隠しにあっていたり…。しかもそっちは貧乏性発動で未読だったり…。そんな状態でホントに時間があったとしても昨年末ぐらいにこれ書けたのかよ、と思ってしまうよ…。

Veil's Visit : 1999年
ドラッグ製造所と化した隣家に火を付けたかどで逮捕されたレナードのために、ハップはヒッピー時代に出会ったVeilという弁護士を連れてくるのだが…。

Death By Chili
ハップとレナードの友人の警官が悩む、殺害されたコックと消えた最高のチリのレシピの謎にレナードが挑む!

こちらは翻訳も出てる作品なので、2作まとめて軽く。
「Veil's Visit」については、こちらの本では「兄弟分のアンドリュー・ヴァクスとの合作じゃけんのう」ぐらいのことしか書かれていなかったが、この度発掘された『ババ・ホ・テップ』の解説を読み、ヴァクスが「ウチもランちゃんのハプレナが書きたいっちゃ~!」と電撃を送り続けて実現した合作であることを初めて知りました。後半法廷シーンが章を短く分けるヴァクスのスタイルで書かれていて、前半後半をそれぞれに書いたのをつなげたのがまるわかりだったりするところに二人のおおらかさが現れた楽しい合作ですね。あと、アンドリュー・ヴァクスについても語らねばならんところはあるのでいつか必ずやります。ところでランちゃんってどういうキャラだったかどうも思い出せない。ヴァクスの虎ビキニも日本版吹替平野文さんの口調も思い浮かぶのだけど…。
「Death By Chili」は密室トリック。かのエイドリアン・マッキンティが英ガーディアン紙に発表した密室トリックベスト10にも選ばれた…、とか無駄に他のジャンルのファンの人を刺激するデマは止めろって。『ババ・ホ・テップ』の解説に初出というのが書いてあったのだけど、ご本人によると、そもそもは『バッド・チリ』のプロモーションの限定版オマケだったそうです。

Dead Aim : 2013年
マーヴィン経由で、別れた夫からのストーキングに悩む女性のボディーガードを請け負ったハップとレナード。下調べの後問題ないと判断し、仕事に取り掛かるが、案の定思いがけぬ展開に…。

事件とその背景が二転三転、本当に悪いやつは誰なのか?最後にはハプレナにふさわしい敵が登場しますぞ。
ハップが訓練とかではなく、先天的な才能で銃の扱いが上手いという設定は、この短編集でもたびたび登場して、確か割と読んだのが最近の第1作『Savage Season』にも出てきたように思うのだけど、レナードってこんなにクッキー・モンスターぐらいにバニラクッキーが好きだったかな?と、うーん、やっぱり読み返さないとね。
ちなみにここまでの中編3作はVeil's Visit(邦訳題「ヴェイルの訪問」)がCaptains Outrageous(邦訳題『テキサスの懲りない面々』)の前で、後の2作はVintageからの未訳の2長編の後に出版されています。

The Boy Who Become Invisible
ハップの子供時代の話。仲の良かった友人のJesseだったが、家が貧しく、ある時を境にクラスの中でいじめの標的となり、ハップも彼とは距離を置き始める。やがてJesseはクラス中から無視され、存在しない人間として扱われ始め、そしてある日、悲しい結末が…。

子供時代の残酷で悲しい話。子供の頃の親しい友人を救えなかった後悔のにじむ、沈鬱な回想なのだが、実はこの話主人公がハップである必要はなく、ハップであることをはっきり示すのも一か所だけ。それが実に効果的で巧みな仕掛けなのだけど。多分ランズデール自身の体験も部分的に入っているのだろうし、ほとんどランズデール自身の回想のように読んでしまって、ハップって実は思ったよりランズデール本人を投影しているのかな、と思ったりしたのだが、そのことについてはまた後で。この作品については発表日時については明記されていないのだが、「Hyenas」「Dead Aim」と同時期辺りとのことです。

Not Our Kind
ハイスクール時代、ハップがレナードと知り合ってっもないころの話。レナードとちょくちょくつるむようになったハップだったが、校内の人種的偏見の強いグループに見とがめられ、彼らとの関係が次第に険悪になってくる。そして、遂にある日、彼らとの衝突を避けられなくなったハップだったが…。

前の作品は子供時代の悲しい回想だったが、そこから少し成長した時代のこの作品は、60年代ぐらい、まだ根強く残る人種偏見を蹴飛ばす清々しい快作。この作品に登場するレナードの叔父さんは、そういう人がいたのは割と読んだのが最近の『Savage Season』でも確か語られてたので覚えてるのだけど、その後本編に登場したっけ?…いや、ちゃんと読み直すよ…。こちらの作品は、Tachyon Pressのページを見るとoriginal storyと書いてあるので多分書き下ろしなのか未発表作なのでしょう。

Bent Twig
ハップが夜警のアルバイトから深夜2時に帰宅すると、ブレットがまだ起きていてキッチンに座っている。問題児の娘、ティリーがまた姿を消したというのだ。ハップは調査にかかるが、思ったよりも厄介なことになっているらしい。頼みのレナードはマーヴィンからの出張仕事で不在で、ハップは単独で問題解決に乗り出すのだが…。

ブレットの娘ティリーに関しては、この短編集の他の作品でも言及があったので、どういう人かはわかってたけど、やっと発掘された手元のシリーズの登場人物紹介を見ていたら第5作Rumble Tumble(邦訳題『人にはススメられない仕事』)に登場していました。もっと前から登場はあったのかな?あと、今色々パラパラ見てたら、第2作Mucho Mojo(邦訳題『ムーチョ・モージョ』)の冒頭でチェスター叔父さんが亡くなった、って話してたよ…。ごめん。こちらそこそこの長さの中編なのだけど、発表時期などについての記述もなく不明。

Joe R. Lansdale Interviews Hap Collins And Leonard Pine
タイトル通り、ランズデールがハップとレナードにインタビューする、というちょっと気の利いた笑えるキャラクター紹介ですな。どんなインタビューか知りたい人は自分で読むべし。もしくはどっか翻訳出せよー。マジで。

The Care And Feeding And Rising Up Of Hap And Leonard
こちらはあとがきなのだが、内容的にもボリュームとしてもエッセイ「ワシとハプレナ」ぐらいの代物です。で、「The Boy Who~」でハップというのはかなりランズデール本人を自己投影したものではないか、と思ってるところで読んでみると、案の定、第1作『Savage Season』はほとんど私小説みたいなもんじゃからのう、ということ。そしてそこにレナードが現れる。ワシはこのキャラクターをどう創造したか、なんてことは書かれていない。奴は現れたのだよ。他にもハプレナ・シリーズの歴史なども書かれた大変に楽しいお話です。ハプレナ・ファンのあなたならニコニコして読むことでしょう。私もそうでした。収録作品についてのところどころで書いた言及はここからのものです。あと、ハプレナ・シリーズの出版史については、最後に作品リストなんかも書くので、そこんところで。

というわけで以上が大変すばらしい感動のハップ&レナード短編集『Hap and Leonard』でした。繰り返して言うが、ランズデールでハプレナだったら、もう長いも短いもカンケーなく傑作に決まってんだよ。ハプレナ読んで「であるが」とか言い出すミステリ通気取りがバカ!とにかくどっかの出版社が正気に戻ってこんな素晴らしいシリーズがあるのをちゃんと思い出して、この短編集や本編の続きを一日も早く翻訳出版してくれることを願うばかりですよ。
あと以前にこちらの短編集には日本のアマゾンからは購入できないKIndle版でちょっと内容の違う『Hap and Leonard Ride Again』というのがあって、そちらはTachyonのホームページから直では買えるというようなことを書いたのですが、今回見に行ってみたら購入できなくなっていました。地域の問題なのか販売終了なのかは不明です。

そして今回は更にオマケ。短編集を読んだ勢いで、ついでにこちらのe-Bookのみで発売中の中編も読みました。うっかり放置しとくとまたいつになるかわからんからね、というわけで。

Briar Patch Boogie : 2016年
バカンスに釣りを楽しみながらキャンプ、のはずだったがオンボロボートは初日に沈没、あばら家のバンガローで管を巻くしかなくなったハップとレナード。雨の中もう少しまともな釣り場を求めて出かけた2人は、またしても厄介な事件に巻き込まれて行く…。

序盤、結構長くダラダラとバンガローでのバカ話が続き、今回は「ハップとレナードのズッコケキャンプ騒動」とかになるんじゃないかと思い始めたあたりで、一転して陰惨な展開へ。そしてハップとレナードは最も危険なゲームへと向かって行くのであった。
こちらの作品は、前述の『Act of Love』Kindle版なども出しているGere Donovan Pressから、2016年、TVシリーズやMulholland Booksからのシリーズ再開の少し前、ハプレナ復活前夜あたりに出た作品です。えーと、いや作品自体は問題なくいつも通りの傑作なのだが、今回の短編集収録作品との間にも特に長編も出てない時期なので、読んでも何か重要な情報をネタバレ的に知らされちゃうこともないだろう、と思って気楽に読んだのだけど、うがっ!結構重要な展開をさらりと書かれちまったよ!えー?いつそうなったの?全く油断もすきもありゃあしない。同様に短編集など未収録の中編で手に入りやすいところで『Cold Cotton』ってのが2017年にも出てて、そっちも読んじゃおうっと、というつもりだったのだが、シリーズ本編を読み進めないうちにこれ以上うっかり重要情報を知らされると困るので、今回はここまでとしました。

さて日本では長らく翻訳のストップしてしまっているハプレナ・シリーズですが、ここでランズデール本人による話とともにその後の経緯を少しまとめておきましょう。まず日本での現在のところ最後の翻訳である第6作『Captains Outrageous』の後からですが、そこでランズデールがKnopfに移籍になったところ、Knopfではハプレナ出版に興味を示さず、その後8年、Knopf傘下であるVintage Crimeが乗り出すまでシリーズはストップしてしまいました。そしてVintageからは2009年、2011年に2冊の長編が出版されるのですが、その後またストップ。なぜ2冊で終わったかの理由などについては語られていません。そして5年後の2016年、TVシリーズ開始の盛り上がりとともにMulhollandから長編シリーズの出版が再開されるのですが、実はその間に現在のところ幻となっている長編が1作あります。『Blue to the Bone』というタイトルで発行時期未定のまま出版予定としてリストに載っていたもので、さっき見たら日本のウィキペディアにはまだ残っていました。現在はリストそのものが変わってしまっているのですが、しばらく前まではランズデールのホームページの著作リストにも載っていて、Mulhollandからの再開第1作『Honky Tonk Samurai』が出た直後ぐらいに、そのリストのところだったか他のページか忘れてしまいましたが、数年ぐらいたったら出るんじゃないかな、みたいなコメントが付けられていたのを目撃しております。そこから察するに、作品自体は完成しているが何らかの事情で出版されず、また版権上の問題でそれが失効するまでは他の出版社から出すこともできず、みたいな状況が続いているのではないかと推測されるのです。しかし、まあその作品の情報自体がうっかり残ってる日本のウィキみたいなところ以外からは消えているので、もしかすると『Honky Tonk Samurai』以後の最新作を含む2作のどちらかがタイトルを変えたそれ、という可能性もあるのですけどね。ちなみに今回オマケの『Briar Patch Boogie』の巻末のリストにも『Blue to the Bone』が発行時期未定で載っていて、うっかり読んじゃった新展開というのがその『Blue to the Bone』の中でのことなのではないか、という推測もされたりもするのですが。そのへんについてはとにかくシリーズを読んでけばどっかで見えるかも、というところなので、まあとにかくはまずきちんと追っかけて行こうと思っております。
その他のハプレナ情報としては、好評のTVシリーズが現在第3作『The Two-Bear Mambo』が製作中、いやもう始まってんのかな?トレーラー載っけようと思ったらそれも版権で日本からは観られないのね…。しかしかなり遅ればせながらハプレナTVシリーズが日本ではアマゾンプライムで観られる、ということを昨年末ぐらいに知って、一日も早く観なければと思ってるのだけど、結局それも引っ越しのバタバタでなかなか手を付けられないところ…。うむむ…。まあ次の当ブログハプレナ登場までには何とかするですよ。アマゾンプライムでは現在もうシーズン2『ムーチョ・モージョ』も観れるですよ!
そしてもう一つ、TVシリーズに合わせて第1作『Savage Season』のコミック版が、えーと日本じゃ『ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ』でおなじみぐらいなのかな?ああ、あと『30デイズ・ナイト』とかジョー・ヒルの『ロック&キー』(日本版続き出ねえの?)とかのIDWから出てるのですが、今なんかキャンペーン中かなんかでKindle版が400円台と大変お得価格で販売中。ComiXologyより安いじゃん。Kindleで買って結局ComiXologyのアプリで読んでるのだけど。こちらについては読み始めたばかりで、まだどうなんかな、というぐらいなのだけど、とりあえず書いとかんと間違って買うおっちょこちょいがいるから。しかも中にはてめえの不注意で間違えたのに、「小説だと思って買ったらコミックでがっかりした。★1」とか言い出す頭のおかしいレベルの迷惑クレーマーみたいなのもいるんで。そーゆーのに限って「コミックやマンガには関心がない。」みたいなことを言うのがインテリジェンスの表明だと勘違いしてるけど、結局アンタママに字ばっかりで画の入ってない本読めてえらいね、って褒めてもらってからたいして成長してないんだよ。前から思ってたことでこの際だから言っとくが、まず例えば小説が好きな人だと、映画の原作だっていうことで読むけど結局あらすじレベルでしか本を読めない人っていうのをあんまり良く思ってないでしょう。マンガ・コミックについても同じこと。簡単に早く読めてもそれが本当に「読めた」ってことになるのかどうかは上の映画原作の例と照らし合わせるぐらいの頭があれば当然わかるでしょうが。たとえ著名な書評家だろうが、それが小説作品をコミカライズしたものだったとしても的確に評価できるとは限らない。それでもコミックとして読んだうえでの感想で★1を付けるってえ自信があるならどうぞやってみなさいよってところですね。マンガだから★1を付けると褒めてくれるママがいるならアンタの家の中だけでやってくれ。とは言っても先に書いたように私もこの作品については読み始めたばかりで評価は未定。ちょっと出だし見た感じでは、TVシリーズ版も観たうえでトータルで考えるのがよさそうな直感はありますが、しばらく先で、次のハプレナ登場の時にって感じになると思います。そんなところなので強くお勧めはしないが、ハプレナ・シリーズの世界を拡げたいって考える方ならキャンペーン価格中に買っとくのもアリではないかと思います。とかダラダラ言ってるうちにキャンペーン終わっちゃったらごめん。

というわけでハップ&レナード・シリーズ初の短編集『Hap and Leonard』及びオマケ『Briar Patch Boogie』、その他ハプレナ情報や罵倒少々と盛りだくさんでお届けいたしました。本を売る方法といやあメディアミックスしか思いつかんくせにハプレナ・ブームに便乗しないバカばかりの出版社群に無視され続けている、日本にもたくさん存在しているハプレナを愛する皆さんにはちょっと喜んでもらえたのではないでしょうか。しかし今回これを書くまでは、やっと発掘された翻訳版ハプレナ・シリーズを見て、いつか再読できればいいなあ、とか思ってたけど、もう完全に早く読み返さなければだめじゃんという感じになって参りました。そんなわけで今後は旧作と未訳作を並行して読んでいくつもりで、いつまでたっても出版社群が正気に戻らずハプレナ・シリーズの翻訳が再開されない場合は、またそのうち長編第7作『Vanilla Ride』も登場となると思います。あと、文中で何度も『Savage Season』のことを書いてるのだけど、それについては別の本について書いた時についでに下の方に書いただけだったので、特に右にもリンクとかなかったのですが、どこだったかさっき探してみたらMatthew Stokoeの『High Life』の下でした。ハプレナ・シリーズだから当然面白いぐらいしか書いてないのだけど。そういやMatthew Stokoeも早く次読まなきゃ…。

■ハップ&レナード・シリーズ
【長編】

  1. Savage Season (1990)
  2. Mucho Mojo (1994) ムーチョ・モージョ
  3. The Two-Bear Mambo (1995) 罪深き誘惑のマンボ
  4. Bad Chili (1997) バッド・チリ
  5. Rumble Tumble (1998) 人にはススメられない仕事
  6. Captains Outrageous (2001) テキサスの懲りない面々
  7. Vanilla Ride (2009)
  8. Devil Red (2011)
  9. Honky Tonk Samurai (2016)
  10. Rusty Puppy (2017)
  11. Jackrabbit Smile (2018)
【中編】
  1. Veil's Visit (1999) ヴェイルの訪問
  2. Hyenas (2011)
  3. Dead Aim (2013)
  4. Briar Patch Boogie (2015)
  5. Bent Twig (?)
  6. Hoodoo Harry (2016)
  7. Coco Butternut (2017)
  8. Cold Cotton (2017)
【短編集】
  1. Hap and Leonard (2016)
  2. Hap and Leonard Ride Again (2016)
【モザイク・ノベル】
  1. Hap and Leonard: Blood and Lemonade (2017)


【その他おしらせの類】
さて、まずは現代最強のノワール作家にして無冠の帝王Anthony Neil Smith先生の新刊のお知らせです。以前にも言ったように私はSmith先生の素晴らしい作品を世に知らしめるためにブログをやっているので、新刊発売告知がある場合は必ず宣伝するのだよ!新刊『The Cyclist』が、『Castle Danger』シリーズと同じBastei Entertainmentより5月8日発売予定!今回の作品はシリーズ物でない単独作品とのことです。楽しみですね!…いや、しかしとにかく何とか早く『Castle Danger』ぐらいは読まんと…。なんだかホントにあっちもこっちも読まなきゃならんもんばっかりな一方で、さっぱり進まずで。ブルーウンのトム・ブラントやマッキンティDead三部作の次ぐらいは当然もう読んでなきゃならないはずなのに…。マッキンティはSean Duffyの翻訳出たらネタバレされるかもしれないしね。しかしもう3月なのにマッキンティも『IQ』も出ないけどどうなってんのかね。空気読みのプロ先生どもが新しい売れるシリーズが欲しいという本屋や出版社の要望に応えて、『IQ』と多分どっかが必ず出して来るメグ・ガーディナー『UNSUB』あたりをランキング上位に押し上げてくるってのが2018年の私の予想なんだがね。いや、どっちも悪い本じゃないんだから余計な悪態のネタにするなよ…。とにかく『UNSUB』早くどっか出してよね。
で、その『UNSUB』をメチャ推ししてるドン・ウィンズロウなのだがもうすぐハーパーから翻訳出るらしい『The Force』は映画化進行中らしいです。詳しくは本が出た時オビに載るだろ。ちなみに『ザ・カルテル』の続きは来年になるそうです。ということは日本で出るのハーパーなら早くて2020年か。え?オリンピックの年なの?どこで?えー?日本で?
で、そのハーパーなんですが、昨年本国のHarperCollinsで見つけたJason Millerの『The Hunger Angels: A Slim in Little Egypt Short Story (Slim in Little Egypt Mystery)』が面白そうなんで読んでみると言ってたのですが、期待通り!元炭鉱夫の私立探偵Slimの活躍するSlim in Little Egyptシリーズ。ユーモア&バイオレンスのカントリー・ノワール、っていうよりもう田舎ノワールって呼び名の方がいい気もする。もっと読みたいんで翻訳出してよ!つってもどーせ無理だろーな。そのうち原書で読むよ…。あとハーパーと言えば前書いた時見落としてたんだけど一昨年の各賞ペーパーバック部門総ナメのLou Berneyの『The Long and Faraway Gone』があるじゃん!何であれ出さないんだよ!いや、私もずっと読もうと思ってKindleで延々待機中なのだけどさ…。
なんだかどこをたたいても結局個人的なぼやきに突き当たる情けない状況ですが、何とか頑張って早く面白い本をたくさん読み、早くお伝えして行きたいと思うのですよ。ホントに。その後の引っ越し情報につきましては、相変わらず段ボールが天井まで積み重なり、相変わらず自室のドアすら閉められません。でも今回最近にしちゃ割と早かったっしょ。また次も頑張りますんでよろしくね。

【2024年1月追記】:残念ながらこの短篇集は現在絶版となっております。その他、Gere Donovan Pressからの電子書籍版中編なども絶版。画像があるけどリンクのないものは全て絶版となりました。が、ハップ&レナード・シリーズの近年の中短編などに関しては、修正の際追加した最近の短篇集『Born for Trouble: The Further Adventures of Hap and Leonard』の方に収録されているようです。


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