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2022年9月6日火曜日

Breakneck -スウィアジンスキーのオリジナルコミック!Hard Case Crime comics!-

今回は2019年に出版されたドゥエイン・スウィアジンスキーのオリジナルストーリーによるHard Case Crime comicsからのコミック『Breakneck』です。この作品は実は日本でも翻訳された『The Blonde(邦題:メアリー・ケイト)』、 『Severance Package(邦題:解雇手当)』に続く、CI-6シリーズの第3弾となっています。

というところなんだが、うむむ、どうすればいいか?結局私の怠慢なのだが…。この作品に至るには、まず何らかの作品でHard Case Crimeを説明できるのを1回やって、それからHard Case Crime Comicsを 説明できるのを1回やって、その上でなんとそこからスウィアジンスキーのオリジナルストーリーによるコミックが出ましたよー!ぐらいの感じでやって行かなければいけないのだが…。とりあえずは仕方ないので、 簡単にながら順番に説明しつつ、話を進めて行こうかと思います。

Hard Case Crimeは2004年にCharles ArdaiとMax Phillipsの二人により、40~50年代のパルプ風の装丁で50~60年代のペーパーバックオリジナル黄金期作品の復刻や、そういった傾向を持つ新たな作品の発表を コンセプトとして立ち上げられたパブリッシャー。Charles Ardaiという人はヘッジファンド会社からキャリアを始めてという感じで、結構ベンチャーとしてしっかり会社も立ち上げたのだろうけど、それ以前から アルフレッド・ヒッチコック・マガジンなどに投稿していたジャンルのファンで、趣味が高じてという部分もかなり大きかったのだろう。後にHard Case CrimeからRichard Aleasのペンネームで作品を出版し、 エドガーにもノミネートされている。ウェストレイクやローレンス・ブロックなどの発掘作品などを多数出版している他、新作ではケン・ブルーウンとジェイソン・スターの合作作品なども出ている。 マックス・アラン・コリンズ作品も多く、Quarryシリーズは過去作品の復刻のみならず、新作によりシリーズが続行されている。その他、デ・パルマ(原案?)作品などもあり。
Hard Case Crime本結構持ってるし、ブルーウン-スターかQuarryあたりから始めようと思いつつ、いまだ届かず。ごめん。たぶんいつものもったいない症候群も若干入っとるな…。Hard Case Crimeの ホームページ、若干デザインが古く見にくいのですが、ワクワクする本がいっぱいありますよ。

Hard Case Crimeホームページ

Hard Case Crimeは2004年の発足当時米国のDorchester Publishingと提携して出版活動を行っていたが、2011年に英国大手で、コミック部門であるTitan Comicsを擁するTitan Books傘下に入る。 英国のコミックは伝統的には2000ADのような複数の作品が連載形式で掲載される、日本のマンガ雑誌に近い形の物が主だったようだが(2000ADは1号36ページ程度)、このTitan Comicsは、アメリカのIssue形式に合わせた、 シリーズ作品の1話25ページほどのものを基本として販売する形式。英国国内のアメリカのコミックを好む層を主なターゲットとし、また同時にアメリカの市場への浸透も図るという方針なのだろうと思います。 人気作品はなんといっても、英国ではTVシリーズで国民的ぐらいの長い人気を誇る『DR. Who』シリーズか。他には通例にもれずという感じの版権物や版権物らしきものに混じって、オリジナル作品が少々。 なんか今見たら『カウボービバップ』のあちらオリジナルのコミカライズなんてのもあった。その他、英国でのバンドデシネ人気からのエンキ・ビラル・コレクションみたいなのも出ています。 Titan Books内でこのHard Case CrimeとTitan Comicsが合体して2017年から開始されたのが、このHard Case Crime Comicsというわけである。で、Hard Case Crime Comicsを一覧で見れるところがないか 探してみたのだけど、Hard Case CrimeにもTitan Comicsにも見当たらなかったり。しかし、Hard Case Crimeのウィキ(英語)を編集した奇特な方が、そちらの一覧も作ってくれていた!ここでいつまでもやってても 長くなりすぎるので、後ほどそちらをパクらせてもらって、少々の解説を付け加えようかと思います。
というあたりでHard Case Crime Comicsの概要ぐらいはなんとなくわかってもらえたと思うので、本編の方に進みます。

最初に述べた通り、この作品はスウィアジンスキーの小説『The Blonde』(2006年)、『Severance Package』(2006年)の2作に続くCI-6シリーズの第3弾。とはいってもこの2作同様ストーリーとしての連続性は特になし。 そもそもCI-6なんて名前自体が、スウィアジンスキーが半ば遊びで付けたもので、作中でもちょっと冗談のように語られているわけで。で、このCI-6なる架空の政府秘密機関と、フィラデルフィアを舞台というぐらいが このシリーズ3作の共通点となる。
2006年に出た2作に続く第3作がなぜ今頃こんな形で出たかについては、TPB版のスウィアジンスキーによる前書きで説明されています。実はこの物語、そもそもは前2作に続く時期に100ページほどの長さで書かれたもの であったそうですが、そこでその作品を映画として作るという話が持ち上がったとのこと。だが、まあいつものことながら映画屋なんていうのはいい加減で、最初はいい話をするんだけど…、という感じでなんか ずっと待たされているうちに話がうやむやに自然消滅、ということになりそのままお蔵入りになっていたのが、ここでやっとコミックという形で陽の目を見たということ。
後で詳しく書くが、これが陽の目を見たのには悲しい事情がある。とりあえずは本編のあらすじの方を。

【Breakneck】

-全員死亡まで93分-

彼は今、フィラデルフィア ベンサレムのはずれ、国道一号線沿いにあるジョージ・ワシントン・モーテルの一室の前に立っている。
彼の名はJoe Hayward。40代のどこにでもいるようなパッとしない見かけの中年男。
彼の右手には金属バット(防犯用としてベットの下で埃をかぶっていたもの)、左手には煉瓦(アパートの中庭から掘り出してきたもの)が握られている。
そして、彼の目の前のドアの向こうには、彼の妻と密通している男がいる。

他人の嘘を見抜くこと。それが彼の特技だ。その特技を活かし、彼はセキュリティ関連の職に就いている。そしてその特技ゆえに彼は気付いてしまった。妻が隠し事をしていることを。
明け方、妻が眠っている間に彼女の携帯を盗み見てメールをチェックするJoe。そこにはいかにもそれらしき男からのメールが並んでいた。最新のものは男が宿泊しているモーテルへ呼び出す誘い。妻に無断で承諾の返事を送る。 そして、彼は今ここにいる。

だが彼は他人の住居へ暴力をもって押し入るような経験のある人間ではない。どうすればいい?右手にバット、左手には煉瓦を持ってぼんやり考えている自分が馬鹿のように思えてくる。
その時、ドアが開き、中から男が出てくる。
明らかに自分より見た目が良く、身体も締まっている。この男が妻の浮気相手、Scott Majeskiか。
おい、どうかしたのか?
泊っている部屋の前に立つ男を見て、不審げに声を掛けてくるMajeski。その声に目覚めさせられたように、Joeは手にしていた煉瓦を投げつける!だが、煉瓦はMajeskiを逸れ、ドアの枠に当たり跳ね返る。
おい!待て!なんなんだ!?
慌てて部屋に戻り、ドアを閉めようとするMajeski。Joeはそれを追って、ドアの隙間に金属バットを差し込む。
その時、Majeskiは目の前の男の正体に気付く。
Joe?
自分の名前を呼ばれたことが引き金になったように、Joeは手にしたバットをMajeskiの顔面に向けて突き出す。倒れ込むMajeski。そして続いてJoeも部屋に入る。
テーブルの上に用意された高級ワインとチーズ。Lizはこういう男が…。と、一瞬気を取られた隙にJoeは反撃を受ける。格闘技の心得があると思われる男の軽いチョップにあっけなく尻もちをつかされるJoe。
Elizabethはどこだ?一緒じゃないのか?
Elizabeth?妻をそんな名で呼ぶやつはいない…?その時、問い詰めるMajeskiの傍らにあるチェストの上のものが目に入る。ディルド。注射器。正体不明の薬品アンプル…?
怒りに頭が真っ白になったJoeは、再びMajeskiに掴みかかる。しかし、彼と自分との実力差は明白だ。床に倒れたJoeにMajeskiが語りかける。
誤解するな、これは見たようなものとは違うんだ。この街に今恐るべき事態が起ころうとしていて、それを止められるのは私だけだ。私は政府のアンチテロリスト部門の者だ。
Elizabethはどうしたんだ?Majeskiが電話を掛けると、Joeのポケットから転がり落ちた携帯が応答する。お前は重要な国家安全保障に抵触しているんだぞ!Joeに掴みかかるMajeski。
その時、Joeは床に転げ落ちていた注射器を拾い上げ、Majeskiの足に突き立てる!
おい!な、なんてことを…、と、隣の部屋を見ろ…、Elizabethのために…。
不明の薬物の効果で意識を失うMajeski。立ち上がったJoeは、彼に言われた通り閉まっていたドアを開け、隣の部屋を覗く。
その部屋のベッドの上には黒髪のボンデージ姿の女性が手錠で拘束され、床には男の死体が転がっていた???

-全員死亡まで79分-


各約25ページ全4話の第1話のあらすじを書いてみたのだが、うーん…、これでちゃんと伝わったろうか?とにかくスウィアジンスキーというのは超一級のページターナーで、もうこちらに考える暇も与えず次から次へと ?という展開を重ねてきて手を止めずに読ませるぐらいの作家なので、こんなあらすじの書き方でちゃんと伝わったのか自信がないのだが…。
その先についてあまりネタバレのないよう説明すると、このMajeskiという男の言っていたことは本当で、CI-6のエージェントである彼は、フィラデルフィアで計画進行中であるテロを阻止するためにこの街を訪れ、 密かに行動していた。にわかには信じがたい話だが、Joeはその他人の嘘を見抜くという特技が災いし、彼の言っていることが本当だとわかってしまい、間近に迫る惨事から街を護るため、この男に引っ張りまわされ 散々な目に遭う。彼の小説を読んだことがある人ならわかるだろうけど、スウィアジンスキー作品で「散々な目」と言えば、普通これなら絶対死ぬぐらいの目である。
そしてこのMajeskiという男、本来ならジェームズ・ボンドタイプの有能なエージェントなのだろうが、Joeに射たれてしまった謎の薬品のために、彼の助けがなければまともに動くこともできない状態。おまけに この薬品には尋問用の自白剤も含まれていたため、あちこちで言わなくてよいことを口走り、Joeをはじめとする周囲の人間を怒らせ、ぶん殴られる。
こんな凸凹コンビによるかなりドタバタなノンストップアクション!まあはっきり言ってスウィアジンスキーのオリジナル作品が面白くないわけないんだよ。

[Titan Comics プレビューより]

作画についてはSimone GuglielminiとRaffaele Semeraroという二人がクレジットされている。巻末の紹介によると、Raffaele Semeraroという人はイタリア出身のインカーということなのだが、どうもはっきりしない。 Simone Guglielminiの方は、Image Comicsから2012年に出たJay Faerberとのアクション作品『Near Death』が代表作。全体を通して見て、特に画が変わっている感じもないのだが、部分的に線の太さや使い方が 微妙に違うところがあるので、Guglielminiの作画を部分的にSemeraroが手伝ったという感じなのかもしれない。アクション向きの正確で特に文句の付けようがない作画だが、様々な動きの表現を進化させてきた 日本のマンガを見慣れた目には、それぞれの動きが少し重く見えるかもしれない。
いかにもHard Case Crimeという感じで目を惹くカバーのみ別で、こちらはロンドン在住で独特のレトロ調画風で知られる女性イラストレーターFay Dalton。数々の受賞歴もある人で、コミックの作画を担当したことがあるのかは よくわからなかったけど、その周辺の仕事も多く、画の方に関心の高い人は覚えておくべき名前だろう。画像検索したらヴァンピレラのいかすのも色々あったな。

先に書いたように、この作品は元々は小説として書かれたもので、TPB版では巻末に元の小説が部分的に紹介されている。大体あらすじを書いた第1話の分ぐらい。相変わらずの独特のスウィアジンスキーノリといった感じの 独特のリズムを持った文章で、コミックになったものに不満があるわけではないけど、こっちも読んでみたかったなと思う。

ここで、最初に書いていたこの作品がこの時期にこういう形で陽の目を見た理由について書いておこう。
以前にも書いたが、2018年秋、スウィアジンスキーの最愛の娘さんが闘病の末、残念ながらこの世を去る。 それに先立つしばらくの期間、スウィアジンスキーは自身のオリジナル作品の執筆も中断し、手っ取り早く金になる仕事で娘さんの治療費を稼ぐことに専念する。
以前に書いていたジェームズ・パターソンのBookshots 関連などもその一つである。全部で4作になるこのパターソンの「代筆」というような仕事、最初はなぜスウィアジンスキーほどの作家がこのような仕事をするのか、さすがに疑問に思ったのだが、その後、ツィッターに 度々病院のベッドにいる娘さんの写真が上げられるうちに、ああこれはそういうことなんだろうな、と徐々に察して行ったというわけだ。
この作品がHard Case Crimeというようなところからこういう形として出た ことには大変意義もあり、スウィアジンスキーとしても誇るべき仕事であろう。しかし、彼の心中としては、とにかく娘さんの治療費のためになんとかすぐに金になるものをと必死に探し、そしてお蔵入りになっていたものを 掘り出したというところも大きいのだろうなと思う。

2018年秋、娘さんの死去が告げられた時には、私もツィッターの画面を見て涙してしまったよ。この時期のスウィアジンスキーの仕事としては他に、出版は娘さんの死後となったStorm King Productions Incからの ホラーコミックシリーズ『John Carpenter's Tales of Science Fiction』のストーリーライターが3作品ある。現在も新作小説などの出版予定は報じられてはいないが、TVシリーズ(もうこの言い方は正確ではないのだろうけど) の脚本などの仕事はやっているようで、日常的なツィートも以前のように多くなっている。小説に関しては現在出版業界自体の景気も沈滞気味だったりコロナの影響による様々な遅れもあったりで、全く活動していないのかは 不明なのだけど。TVシリーズ(なんか世間的に明確な名称決まるまでこれで通します)関連などもやや頭打ちで斜陽の傾向にあるようだが、ルッカなども現在は映画も含めたそちらの仕事の比重が一番大きいように、需要も まだ高いのかもしれない。この辺正直言ってよく知らんけど。

そして、こちらも以前の仕事が今形になったのかは不明なのだけど、現在最新のスウィアジンスキーの仕事がこちらのパターソン名義の『The Guilty』。こちらは現在オーディオ版のみの発売ということらしい。 ツィッター自己紹介欄の自分の仕事としてオリジナルの作品と並んでタイトルが挙げられているのでスウィアジンスキーとしてもそれなりに力の入ったお気に入りの作品なのかもしれない。うーん、ワシリスニング駄目だからなあ…。

優れた作家の活動が、こういったどうにもならない不幸により中断されてしまうのは本当に残念などという言葉では言い足りない。しかし、人生が崩壊しかねないほどの悲しみを乗り越え、確実に復活し始めている ドゥエイン・スウィアジンスキーである。まだいつかはわからないが、必ず再び、うわーこんな面白い本読めて本当に生きててよかった!と狂喜させてくれる素晴らしい作品を、どうだこの野郎と送り届けて くれる日が来ることを確信している。その日までいつまでだって待つよ、私は!

スウィアジンスキーについては、現在のところオリジナル小説作品としては最新になる『Revolver』(2017年)他、こんなミステリ=犯人当てクイズのミステリ超後進国には紹介される見込みもない作品についてもなるべく早い機会に 書けるよう努力して参ります。Bookshots関連についても何とかまとめたい。そして私的には、そもそもがコミックの方ですげえ作家がいると調べてそこで本業が犯罪小説作家だと知ったぐらいのスウィアジンスキーなので、 なんとかコミックの方でもまとめられないかとマーベル『Cable』やらDC『Birds of Prey』などからちまちまと読んでいるところです。ドゥエイン・スウィアジンスキーはまだまだ全然終わらない!今後も新情報などありましたら なるべくいち早くお伝えし続けるるつもりであります!


Hard Case Crime Comicsについて

ちょっとここで今更、という感じなのだが、「Hard Case Crime Comics」というのはこっちで勝手に言ってるだけで正式にそういう名前のレーベルはないみたい。ごめん。正確にはTitan Comics内のHard Case Crimeものぐらいの ところなんだろうか?とりあえず、Hard Case Crimeの小説と同じロゴラベルを左肩につけて、他のTitan Comics作品とは分けられHard Case Crimeに属するものとして明確にされている。こういう呼称の方がわかりやすいと思う のでこのまま続けるけど、正式名称ではないということは頭に入れといてもらえると助かります。
以下Hard Case Crime Comics作品の現在までの一覧だが、前述の通り、Hard Case Crimeのウィキペディアに作成・掲載されているものを丸写しさせてもらい、こちらのサイズに合わせて若干の省略修正を加えております。

1 The Assignment Matz & Walter Hill/Jef 2017年3月
2 Triggerman Matz & Walter Hill/Jef 2017年6月
3 Peepland Christa Faust & Gary Phillips/Andrea Camerini 2017年7月
4 The Girl with the Dragon Tattoo - Millennium Vol. 1 Stieg Larsson & Sylvain Runberg/José Homs 2017年11月
5 The Girl Who Played With Fire - Millennium Vol. 2 Sylvain Runberg/Man 2018年1月
6 Normandy Gold Alison Gaylin & Megan Abbott/Steve Scott 2018年4月
7 The Girl Who Kicked the Hornet's Nest - Millennium Vol. 3 Sylvain Runberg/Jose Homs 2018年4月
8 Quarry's War Max Allan Collins/Edu Menna, Szymon Kudranski 2018年7月
9 Minky Woodcock: The Girl Who Handcuffed Houdini Vol. 1 Cynthia von Buhler 2018年8月
10 Tyler Cross: Black Rock Vol. 1 Fabien Nury/Brüno 2018年9月
11 Babylon Berlin Volker Kutscher/Arne Jysch 2018年10月
12 The Prague Coup Jean-Luc Fromental/Hyman Miles 2018年12月
13 Mickey Spillane's Mike Hammer: The Night I Died Max Allan Collins/Marcelo Salaza 2018年12月
14 The Girl Who Danced With Death - Millennium Vol. 4 Sylvain Runberg/Belén Ortega 2019年1月
15 Tyler Cross: Angola Vol. 2 Fabien Nury/Brüno 2019年3月
16 Breakneck Duane Swierczynski/Simone Guglielmini 2019年5月
17 Ryuko Vol. 1 Eldo Yoshimizu 2019年8月
18 Ms. Tree: One Mean Mother Vol. 1 Max Allan Collins/Terry Beatty 2019年9月
19 Ryuko Vol. 2 Eldo Yoshimizu 2019年10月
20 The Big Hoax Carlos Trillo/Domingo Roberto Mandrafina 2020年1月
21 Ms. Tree: Skeleton in the Closet Vol. 2 Max Allan Collins/Terry Beatty 2020年10月
22 Ms. Tree: The Cold Dish Vol. 3 Max Allan Collins/Terry Beatty 2021年11月
23 Minky Woodcock: The Girl Who Electrified Tesla Vol. 2 Cynthia von Buhler 2021年11月
24 Gun Honey Charles Ardai/Ang Hor Kheng 2022年3月
25 Frank Lee: After Alcatraz David Hasteda/Ludovic Chesnot 2022年6月
26 Ms. Tree: Deadline Vol. 4 Max Allan Collins/Terry Beatty 2022年10月


とりあえずざっと調べてわかったりした範囲で、簡単に解説します。作画の方までは触れられなくてごめん。
まず1、2は『ウォリアーズ』や『48時間』などで知られる映画監督ウォルター・ヒルが、フランスの作家Matzと組んでフランスで出版したバンド・デシネ作品を英訳したもの。
3は、アメリカの犯罪小説作家Christa FaustとGary Phillipsの合作によるオリジナルシナリオの作品。
4、5、7、14は、世界的ベストセラーの北欧ミステリ『ミレニアム』シリーズのコミカライズ作品。
6は、ともに日本でも翻訳があるアリソン・ゲイリンとミーガン・アボットの合作によるオリジナルシナリオの作品。
8は、マックス・アラン・コリンズの代表作ともいえるQuarryシリーズの、こちらもコミック用のオリジナルシナリオ作品らしい。
9、23はアメリカの作家・アーティスト・パフォーマーなどのマルチな活動で知られるシンシア・フォン・ビューラーによるコミック作品。なんかコナン・ドイルやフーディーニとかが出てくる話らしい。
10、15はバンド・デシネ作品シリーズの翻訳らしいのだが、どういうものかは不明。
11は、日本でも翻訳のあるドイツのフォルカー・クッチャーの、日本では『濡れた魚』という邦題で出てる作品の本国でのコミカライズの英訳版。英語で読めるドイツのコミック結構珍しい。
12は、こちらもちょっと不明なバンド・デシネ作品。いや、不明なのはこちらの調査能力の低さ故で、ちゃんとそれなりの作品なのだと思うのだけど。
13は、スピレインよりマイク・ハマーを引き継いだマックス・アラン・コリンズによるマイク・ハマー。多分オリジナルシナリオだと思う。
17、19は、日本のエルド吉水の『龍子』の英訳版。英訳版と書いたけど、現在本国日本版が手に入るのかは不明。現代アートというようなところから劇画作品を出してきている人で、詳しく知りたい人は検索してみて。
18、21、22、26は、マックス・アラン・コリンズが80年代からあっちこっちででやっていた『Ms. Tree』シリーズをまとめたもの。詳しく書くと相当長くなる。Hard Case Crimeからはコリンズによる小説版も出ている。
20は、以前Eduardo Rissoの流れで(Moonshine)ちょっと触れたアルゼンチンコミック界の巨匠Carlos Trilloの作品の英訳版。
24は、社長(なのかな?)登場!Hard Case CrimeのCharles Ardaiのオリジナルシナリオによるコミック作品。続編もまもなく発行予定。
25は、こちらもバンド・デシネ関連作品。もしかしたら、翻訳ではなくオリジナルなのかもしれない。

いやはや。ぱっと見て知らない名前が多く、これちゃんと紹介できるのかなぐらいに思ってたのだが、少し調べてみたらもう世界中からこういうジャンルのいいやつ集めてきたぐらいのスゴイコレクションじゃん!ヤバい。 それにしても、今年の始めぐらいにジャン=パトリック・マンシェットのバンド・デシネ入手して大喜びしてたんだが、うむむ、バンド・デシネまだまだかなり奥が深そう。ドイツのコミックとか、ウィキで見たけど これ読めないんかなあと思ってたアルゼンチンのCarlos Trilloのやつとか。あー、やっぱHard Case Crime Comics全部集めないとな。
一昨年、昨年あたりちょっとリリース少ないけど、これはやっぱコロナの影響だな。これからも驚くべき作品の発表が期待できるHard Case Crime Comics!更に一層の要注目です。


今回はなんかスウィアジンスキー『Breakneck』とHard Case Crime Comicsの2本立てみたいな感じになってしまいました。Hard Case Crime Comicsの方、思ってた以上にすごくて。なんか最近現代のハードボイルド/ノワールを 語る上ではもうコミックは外せないんじゃないかと思い始めている。『Scalped』とかブルベイカーとか。ただもう一方で、そういうジャンルじゃないコミックだってもっと日本に知られるべきというのは山というかもう 山脈ぐらいにあるわけだし。なんかね、とにかくやれるところで頑張ってくしかないっすね。


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■ドゥエイン・スウィアジンスキー
●Breakneck

■Hard Case Crime Comics

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