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2025年9月28日日曜日

Pablo D'Stair / this letter to Norman Court -Trevor Englishシリーズ第1作-

今回はPablo D'Stairの『this letter to Norman Court』。2011年に出版された全5作からなるTrevor Englishシリーズの第1作です。

しばらく前だったけど、なんかここに書くこと考えてメジャーなやつばっかり読み過ぎてて、なんかもっと売れてなくてわけわかんないの読みたい、みたいな妄言を最後の方で吐いてた回があったと思うんだけど、その時読んでたのが前回の『Mongrels』までで、 そこでそういう気分で手に取ったのがこれ。…実はもう1冊あったんだけど、また先が渋滞し始めてどうしようもなくなってきたんで、そっちはいずれぐらいになってしまうのだけど、これについては何としても書かなければならん。

と、また要領を得ない感じの個人的妄言から始まってしまったのだが、まずは作者Pablo D'Stairについてから。
さあ、Pablo D'Stairだ!
といっても大半の人は分からないだろうけど、実はこのPablo D'Stairの作品については、一度取り上げてる。えーっと11年近く前に…。
当時から、現在に至るまで注目している…、とりあえず時々様子を見に行ってるChris RhatiganのAll Due Respect Books。その第1作として出版されたのがChris RhatiganとPablo D'Stairの同一テーマによる中編2本の競作?というのが正しいのかわからんけど、 その2作収録の『you don't exist』という作品だった。
Rhatiganの作品も悪くなかったけど、そこでかなり強い印象を受けたのがPablo D'Stairの作品。前に書いたのを久しぶりに読み返してみたんだが、その時あまりそういう言い方で安直に方向性みたいなものを決定づけるのも良くないと思ったんだと思うが、 結局その時に思ったのが「カフカ的」というような印象。うーん、今ならもう少しうまく書けるか?
何か恐怖であるとか、大きな不安に押しつぶされそうというようなものではなく、ちゃんと目的を持って動いているのだけど、決してそこにはたどり着けないのではないか、というような疑いから逃れられない主人公の行動を見ている感じ。 迷宮とか大袈裟なものではないけど、なんかゴールも無いすごろくのコマにされて、いつも足りない目のサイコロに合わせて動かなければならないような。
夢の中のような、といってみても夢というもの自体が個々人で違っているものなのだろうから、きちんと伝わるかわからんのだけど、自分は昔から電車やバスなどの交通機関を使って、いつまでたっても目的地にたどり着けない、大抵は帰れないなのだが、 というような夢を時々見る。ただそういう夢の中では、現実だったら当然感じるような焦りとかがあんまりなく、何とか方法を考えつつもしょうがないなあ、と半ばあきらめながら行動していたり。例えば、うっかり違う路線の電車に乗ってしまい、このままだと 東北の方をぐるっと回って帰りは明日の午前中ぐらいになるのだけど、まあ座れたからいいかとか。数駅で自分の降りる駅に辿り着くのだけど、そちらの路線に分岐して行く電車がいつまでたっても来ない様子で、そのための対策としてなぜか延々と 反対方向に行く電車に乗って行ったりとか。T字路のバス停にいて、正面の道を行けば駅に辿り着けるのだけど、そっちから来るバスはあるけど向かうバスはいつまでたっても来なくて、左右どちらかから回って駅に着くバスをに乗る方法を延々考えてたりとか。 現実だとかなり慌てたり焦ったりする状況なんだが、それが当たり前のように行動している感じ。
あれ?うっかり夢の話とか書いちゃったけど、これ勝手に心理分析とかされて、私かなり危険な変態性欲を持ったサイコキラーと判断されちゃったりするやつ?じゃあ、たまたま出て来たんで、夢と迷宮をキーワードに評論ポエムでも作って、 「知性的な危険な変態性欲を持ったサイコキラー」ぐらいに認定してもらおうかな?

常に書いてるうちに色々ずれて行ってしまうのはもはや通例なんだが、まあ自分の思う「カフカ的」というのはそういう感じで、その感じが好きでとりあえず長編全部読む程度ではあるけど、一時期カフカにははまり、今でも好きな作家の上位。 そういう自分のカフカ好きみたいなところを刺激するような作家がPablo D'Stairという人。
例えばSFとかホラーみたいな方向性でもなく、シュールで理解困難な展開があるわけでもなく、主人公の考え、続く行動みたいなものは理屈は通っているのだけど、全体的に考えると何かうまく説明できないような違和感が付きまとうような。 Pablo D'Stairの作品というのはそんな感じなのだと思う。

この作品は、2011年にちょっと今ではどうだったのかわからない形で出版され、その後シリーズ全作をまとめた合本版が出てるのを見たのだが、電子書籍版は割と短命で絶版となり、2020年に現在のAll Due Respect Booksから再版されている。
All Due Respect Booksからはその前年2019年に『Man Standing Behind』という中編作も出版されており、Chris RhatiganにとってPablo D'Stairというのはかなりこだわりのある作家なのだろうなと思う。
あーでも、Pablo D'Stairが好きなのはChris Rhatiganと私だけではなく、ブレット・イーストン・エリスや、前回やったStephen Graham Jonesといった作家からも好評が寄せられてるからね。
Pablo D'Stairがどんな作家でどういうところを評価するのかまず書かなければと長々やって、いつも通り要領を得ない感じになってしまったが、とにかくこのくらいにして『this letter to Norman Court』です。

this letter to Norman Court


この作品は一人称形式で書かれていて、主人公のTrevor Englishという名前も後半ぐらいでやっと出てくるぐらいなのだけど、あらすじにまとめる便宜上、最初からTrevor Englishの三人称で行きます。

Trevorが街のファーストフード店で、列に並んでいた時一度目が合ったカウンターの中の女の子は、自分に気があるのだろうか、などと考えながらハンバーガーを食べていると、一人の男が彼に向かって笑顔で頷きながら、目の前の席に座る。
何か用なのか?と尋ねる前に、彼はその男が二日前に財布を盗んだ相手だと気付く。
「60、70ドルってところかな、大した額じゃない」男は言う。
Trevorは咳込み、ドリンクを一口飲んで、口を拭いてから答える。「40ドルだったぞ」
この男に知らぬふりをする意味があるとも思えない。
「40ドルか?」男は辛うじて気にしているぐらいにしか見えず、40ドルという言い方も質問にすら聞こえない。
「40、42ドルかその辺だった。なあ、そいつはもう無くなった。使っちまったよ。あんたはクレジットカードやら全部をキャンセルしたと思うが、俺はそんなものに構っちゃいないし、他のやつが見つける所にも放り出したりしてないからな」
「なんでだ?あんたはその手の連中にそれを売れないのか?」
「すぐにキャンセルされるクレジットカードなんて、誰が買うっていうんだ?」

「よかろう、40ドルなんてのは、はした金ってところだろう」
Trevorがハンバーガーに注意を戻し、再び食べ始める前で、男は続ける。
「それよりもっと大金を稼ぐつもりはないかね?そのことについて話すのはどうだい?」
Trevorは、曖昧な関心で、ため息をつく。少なくともそれは彼が想像していたことではなく、ありきたりでもなかった。
「どうかっていうのかい?いいじゃないか、話せよ」
「私の兄弟に手紙を届けてくれたら2千ドル払おう」
Trevorはにやりと笑う。
「ちょっとした大金だな。だが、他には?」
「他には何もないさ。そうだな。彼に私からだと話さないという条件ぐらいか」

奇妙な話だとは思ったが、金をくれると言ってる。ただ手紙を届けるだけだ、もしおかしなことになってると思えば、金だけ持って逃げればいい。
「それで、誰かがあんたの財布を盗まなかったら、この手紙はそいつにどうやって送られたんだい?」
男は含み笑いをして言った。わからないな、そのことをしばらくの間ずっと考えていたんだ。

こうしてTrevorは、奇妙には思いながらこの仕事を引き受けることにする。
そしてその後、指定されたコーヒーショップで2千ドルと手紙を用意してきたその男と会う。
Trevorがそこに着くと、男は外のテーブルで新聞を読みながら待っていた。手紙と金はそれぞれ厚い封筒に入れられ、ハッピーバースデイ・ギフトバッグの中に収められテーブルの上に置かれていた。
「私の兄弟は、ミル・クリークに住んでいる。メリーランドだ」男は言う。
「俺はメリーランドまでどうやって行けばいいんだ?」
「君は2千ドル持ってると思うんだが、そうだろう?」
「それが交通費込みとは思わなかったんだがね」
「なら昨日はっきりさせればよかったんだ。そうすれば私は君に、手紙を届けるのに1500ドル払う、兄弟はメリーランドに住んでいる、考えるにそこへの旅費として500ドル払う、と言っただろうね」
納得いかない気持ちは持ちながらも、兄弟の名前と住所を聞き、男とそこで別れる。

メリーランドへは鉄道で一日半かかる。料金もバスより少し高いが、バスはよく使うが鉄道はこれまで使ったことがない。
しばらく車窓からの風景を眺めていたが、すぐに飽き、気持ちは届ける手紙へと向かう。そしてTrevorはそれを開けてみることにする。
財布を盗んだ男に仕事を依頼するような奴なら、当然中を見るだろうと思っているはずだ、と自分に言い聞かせ。
手紙は薄い何枚もの紙に書かれた非常に長いものだった。日付は2年前。手紙を届ける相手Herman Flakeの妻、KliaからNorman Courtという人物へ宛てられたもの。
手紙の内容は、KliaのLawrence Stephanie Glassという人物との交際と彼に対する恋情を綴ったものだった。
妻の不倫の証拠の手紙を兄弟に届ける?Norman CourtとKliaの関係は?どうもわからないことだらけだ。

列車から降りたのは翌日の午後3時ごろ。Trevorは男から聞いたHerman Flakeの勤め先の住所へと向かう。
受付へ行き、Hermanと会いたい旨を告げる。
「Flake氏は外出しています。会議で。お約束はありますか?」
予定を間違えたようだ、と誤魔化し、いつ戻るのかと尋ねる。
会議は州外で行われていて、戻るのは明後日になりそうだとの答えが返って来る。

このままこの町に2泊するか?Trevorは元の2千ドルがさらに減って行くのを腹立たしく思う。
とりあえず、留守とはわかっていてもHermanの家へ行ってみることにする。
手紙を書いた当人、妻のKliaが迎える。だが、手紙の内容から妻にこれを託して帰るわけにもいかないだろう。
一旦町へと戻り、バーに入り2~3杯飲んでいるうちに、Trevorの頭にある考えが浮かぶ。
この手紙でKliaを脅迫し、更に金を増やすことはできないか…?

そしてTrevorは、Kliaから脅迫により金をせしめる。そしてそれは不倫相手であるLawrence、更には元々の手紙の送り先の相手、Norman Courtまでにも広がって行くのだが…。

*  *  *

130ページほどの中編作品にしては、少し書き過ぎたところぐらいまでなんだが、ここから物語は更に謎また謎!どんでん返しに次ぐどんでん返し!wwっぽく展開して行く。
そして少し書き過ぎたと言ってるところで、更にネタばらし的なことをしてしまうと、ここまでに出て来た数々の謎、そして新たな展開により深まって行く謎また謎は、ほとんど明らかにされず終わる。最後にTrevorが関係者一同の前で延々と説明トークをする ようなクイズの解答ページも巻末についてない。結末としては、主人公Trevor Englishが、この事態から何とか脱出できたと感じるという形。
つまりこれはそういう小説。そもそもそういう意図をもって書いてないのに、謎が解決されていない!なんてことで批判されるのは見当違いでしょ。そのためのネタバレ。まあそれさえちゃんとわかっていれば、実際にはストーリー的なネタバレには なってないから。

なんか書き方が悪くて、勘違いしてる人がいるかもしれないけど、この作品別に「謎解きミステリ」みたいなものの"パロディ"みたいな底の浅いもんじゃない。いや、書いてるうちにちょっとそんな感じでおちょくれるかもと、私が思いついただけだし。
ただこの作品、ちょっとそういうことを思いついてしまうような感じに、ほら、その辺の連中がもっともらしく言う「プロット」?みたいなもんが良く出来てる。
最初に主人公Trevorからすればまあいい金ぐらいの2千ドルを提示され気軽に引き受ける。→結構遠いところだったのだが、経費込みだと言われる。→行ってみるとまた面倒が重なり、さらに経費がかさむ見込みになる。→脅迫で金を稼ぐ。という風に。 遠いところだったので、時間が余り、中の手紙を読んでしまう、というのもストーリー的に納得できる必然だったり。
なんか「謎解きミステリ」みたいなのよりは、60~70年代のフランスのサスペンス、ジャプリゾとかに近いのかも。いや、その辺ジャプリゾぐらいしか知らんのでそれしか出てこないんだが。
そういった何気に論理的に整合性のありそうに組み立てられた話ながら、それが積み重ねられるばかりで、あちこちに解けたままの結び目が残されるというのが、この人の作品の面白さなのかもしれない。というより、その辺の不安定な居心地の 悪さみたいなもんが読んでてある種の快感なのかも。やっぱこいつ変態か…?

また、以前『you don't exist』のときにあんまりうまく表現できてない感じで書いたこの人の少し癖のある文体。意図的なものかは知らんが、文章を繋げたり、文章の中に文章を入れるような書き方を多用し、それがある種の回りくどいというのか、 何かまっすぐ読めないような読み方をさせる。少し文学方向のクラシックというような感じなのかもしれない。
また、主人公Trevorが、少なくともアメリカの小説ではあまり見ない感じに、鉄道での移動を、最初だけではなく繰り返すようなところもクラシック風というのを意図したところなのかと思う。実際のところはファーストフード店みたいなところから 話が始まったり、Trevor自身は持っていないのだが、普通に携帯電話が使われているという感じで、全然現代なのだけど。
また、これは明らかに意図的なんだろうけど、時々微妙な不快感というような方向の記述が挟まれるのも特徴だろう。それほど目をそむけたくなると言うほどのものではなく、ちょっとやな感じというような。例えば煙草を吸うんだが灰皿が無く、 考えた末に変なところで消したりとか、何か空気の悪い地域に行き鼻水が止まらなくなり、話している途中で袖で拭いたりみたいな感じ。この辺については、明らかに「変な小説」というような方向を意図したものなんだろう。まあただこういう感じのも 古典文学ぐらいのもの読んでると、なんでこんなこと書くんだろうという感じで時々出て来るものだったりするけど。

まあはっきり言ってしまえば、少し変な本です。そうじゃなかったら、ただあらすじ書けばいいんで、こんなにくどくど説明してない。
「人を選ぶ」とかいう言い方は根本的に好きじゃない。なんかワシ選ばれた人間みたいな傲慢さ感じない?
だがこういう変わった作品が好きな人は、とことん気に入り、Pablo D'Stairというのは忘れられない作家となるだろう。実際に私も10年以上忘れられずに、やっと読んだのだから。
とりあえずこれを読んで気になって、読んでみたいと思った人は、先に書いた『you don't exist』から読んでみるのがおススメ。値段も100円ぐらいとかで、Kindle Unlimitedでもあるし。
何にしても、11年前ぐらいに読んで、こんな犯罪小説もあるのかと驚かされ、結局今に至ってもそんな犯罪小説他になかったという作家なので。

作者Pablo D'Stairについて。とりあえず世界最大の読書サイト、Goodreadsの著者ページの履歴によると、小説家、映画監督、エッセイスト、コミックブック・アーティスト、インディペンデント・パブリッシャーと数々の肩書がある。このうち、 コミックアーティストについては、どうも画像の断片の類いも見つからないのだけど、映画についてはIMDbに9作がリストアップされている。どうもいずれも簡単には視聴できないようだが。
小説作品については、電子書籍しかちゃんと見てなかったのだが、プリント版ペーパーバックまで広げると、かなりの作品が出版されていて、そちらを見ると出版しているVillage Idiot Pressによりこれまでよくわからなかった結構詳細な 経歴も記載されている。いやごめん、ついさっき思い付きで調べてやっと気づいたのだけど。どうもこのVillage Idiot Pressにより、絶版となっていた過去作品などが、プリント版のみではあるけどすべて出版予定ということらしい。とりあえず詳細は最後の著作リストで。
電子書籍版の方で現在出ているAll Due Respect Books以外のものは、Late Marriage Pressというところからで、これは多分Pablo D'Stairの個人出版社。まず2023年の『Lucy Jinx Trilogy』。これは全3巻からなる大長編らしい。その後、今年2025年3月に、 『The Goldberg Mutilations』、『Pilfer』の2作が出ていて、156円という安価ゆえ短編かと思ったら、両方とも結構な長編作品。更にこちらは現時点ではプリント版のみのアナウンスだが、10月1日には新作『John I've Been Bad And They're Coming After Me』が 出版予定。
なんだよ、あんまりないからゆっくり読めばいいやと思ってたPablo D'Stair作品、結構あるじゃんか。とりあえず、またメジャーなもんばかり読んで疲れたら少しずつ読もうかと思ってたTrevor Englishシリーズ残り4作少し急いで読んで、いつかは大作 『Lucy Jinx Trilogy』に至らなければ。需要があろうがなかろうが(まああまりなさそうだけど)Pablo D'Stairは私の特別推し作家の一人なんで、読んだら必ず書いちゃうからね。多分ほとんどはクライム作品には属さないやつだと思うけど、別にいいよな。


さてここでAll Due Respect Booksの最近の情報を…、という予定だったんだが、これに際し少し久しぶりにそちらのサイトの方を見に行ったら、無くなってしまっていた…。つい数か月前ぐらいに行った時にはまだあったのだが…。大変寂しいことだが、 電子書籍黎明期ごろから頑張って来たAll Due Respectも遂に終わってしまったということなのだろう。
なんかここでAll Due Respectこれまでご苦労さん的にしんみりした感じで何か書こうかとも思ったけど、それも違うんかなとも思った。
Chris Rhatiganここで終わるやつじゃないだろ。それが編集者なのか、それとも作家なのかはわからんが、必ずまた何らかの形で現れる人なんだろうと確信している。なんかここでしんみりしてるとChris Rhatiganまで終わったことにしてしまう気がする。 また頑張ってください、Rhatiganさん。あんたのことは本当に信頼しているんで。
All Due Respect Booksからの作品は、引き続きDown & Outより販売中。過去のアンソロジーなどもAmazon Kindleより100円ぐらいとかで入手できます。

ということで、前回の最後でも言ってたけど、ここでそっちのDown & Out Booksの方のことを少し。
かなり前から名前ばかり出てきて一向にそちらの紹介も進まんDown & Outなのだが、かなりある出版物の中からどのように掘って行くか色々方法を考えているうちに、ここ数年ぐらいの単位で何気に弱ってきている様子が見えて来たり。そのうち あのEric Beetnerが抜けて、Shotgun Honeyもインプリントから抜けるという事態になり、いよいよここも駄目かなあと思ってしばらくあんまり見てなかったのだけど、最近Eric Beetnerが復帰してるのを見て、何とか立て直したんか、Beetner戻ったんなら もう大丈夫ということなんだろうなという感じになって来た。いや、Beetnerも炭鉱のカナリアみたいな扱いばかりしてないで、ちゃんと作品紹介しろよなんだが…。
そんなわけで、前に計画だけしておいて放置されていた、Down & Out作家をよく知って行こう、カタログ的なとこから計画を再開して行きたいと思ってる。
その第1が、結構前ぐらいに少し書いたかと思うんだが、以前よりDown & Outで前面に押してる感じで続いている、色々な作家が交代して書いているシリーズ。
これには『GUNS + TACOS』と『A GRIFTER’S SONG』の2シリーズがあり、どちらも初期設定みたいなもんだけ作られ、ストーリーはそれぞれの作家のオリジナルで書いて行くという形になっており、シーズン1とか2とか、テレビシリーズを イメージした感じになっている。担当する作家は主にDown & Outから本を出してる作家なので、そこからカタログ的に見て行けるということ。
第2が『MICKEY FINN : 21ST CENTURY NOIR』という2020年から年1回出ているアンソロジー・シリーズ。21世紀のスピレーンとも呼ばれているらしいMichael Brackenによる編集。あー、この人のもちゃんとチェックできてない…。 ちょっとあまりよくわかってないけど、Down & Outのカタログ的なところはあるはずだと思う。
かなり量も多いDown & Outのライブラリーの中から、そんな方法でまだ知らない新しい作家を見つけられれば、というのが現在の目論見。まあ、よく見ると名前だけは知ってるけど読めてないというのも多いんだけど。結局どうやって探して行くか という段階でまだ新しい作家を紹介できるところまでは至らなくて申し訳ないんだが、せっかく立て直ったようだし今度こそは現在のクライムフィクションの重要な拠点の一つであるDown & Outを深く探って行かねばと思うところです。


あー…、これからPablo D'Stair作品色々読みたいなあ、と思っていたところで、最後にDown & Outの話とかして、あー先にあれとあれと読まなければなあとまたちょっと遠のいてしまった気分になったり…。こんなことばっかりやってるねえ。 まあそんな山積みの中に、Stephen Graham JonesやPablo D'Stairや色々ねじ込んで、とにかく読んで少しでも多くの本について書いて行ければと思います。いつも同じ結論で終わるなあ…。


■Pablo D'Stairs著作リスト


  • October People (2000)
  • Confidant (2000)
  • kill Christian
  • Regard (2003)
  • miscellaneous language
  • Piano Forte
  • Dustjacket Flowers (2005)
  • this letter to Norman Court:Trevor English #1 (2011)
  • Mister Trot from Tin Street:Trevor English #2 (2011)
  • Helen Topaz, Henry Dollar:Trevor English #3 (2011)
  • The Akerman Motel/Apartments per week:Trevor English #4 (2012)
  • this gun from Norman Court:Trevor English #5 (2020)
  • You Don't Exist (with Chris Rhatigan) (2014)
  • Man Standing Behind (2019)
  • The Disembodied Parts: a rhapsody (2020)
  • Lucy Jinx (2023)
  • The Goldberg Mutilations (2025)
  • Pilfer (2025)
  • John I've Been Bad And They're Coming After Me (2025)

詳細に、とかいった割に著作リストちゃんとできてなくてごめん…。初期のを復刻してるVillage Idiot Pressのオリジナルの作品出版年とかがいまいちわからなかったのでこのくらいまでで…。Village Idiot PressのCollected Works of Pablo d'Stairは まだ予定の全巻は出てない様子なのでまだ増えるかもと思います。あと、Trevor Englishの第5巻『this gun from Norman Court』はコピーライトのところが2020年しかなかったので、All Due Respect Booksでシリーズ復刻された際に初めて出たやつなのかも。 カバーデザインちょっと違うし。

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you don't exist -ADR Books第1弾!-



○Village Idiot Press
●Collected Works of Pablo d'Stair

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