第1作『Dove Season』について書いたのホント大昔ぐらいなのだが、それやその前ぐらいに読んだ短編などで、こいつはもう外れなしぐらいで面白い作品を書いてくれる作家だと確信し、えーと、確信しすぎた故にいつ読んでも大丈夫ぐらいに思い、 他のこれ面白いんかな?という多くの作家、作品を読んで行く過程で延々と後回しにして現在に至るというトホホな状況。この手の馬鹿者はこういうことよくやらかすんだ…。
それでまず第1作『Dove Season』、本当に大昔に書いたんであんまり見たくないぐらいだったのだけど、どの辺まで書いたかも忘れちゃったので確認のために本当に久しぶりぐらいに見たけど、まあ思ったほどはひどくなかったか…、もうやめようと 思うほどでは…。
ただ第2作に繋がる部分では結構不足している感じもあるので、とりあえず補足しておくと、えーと色々あって病床の父のもとに連れて来たメキシコ人娼婦Yolandaは亡くなるのですが、その幼い息子Juanを救い出し、最後には色々あった Angieとも一緒に暮らすこととなり、Juanを養子にして二人の息子として父が遺した…、あ、ごめんお父さんは亡くなります、その農場で三人で暮らすということになって終わります。
なんかグダグダになってしまったが、その後はインペリアル・バレーに残り、家族三人で農夫として暮らしている、というあたりが伝われば…。
結構前に読んだものであるし、がっちりあらすじを書くにはある程度雑にでも読み返す必要があるぐらいでもあるのだが、なんかそういう手を抜く以前に、とても好きな話なんでできれば極力ネタバレなしで読んでもらいたいという気分もあるので、 かなりあいまいになっているところは勘弁してください。
まあそんな感じで、前作の登場人物ではJimmyのお父さん、Yolanda以外は健在に暮らしているという状況で、第2作『Plaster City』始まります。
【Plaster City】
Ceja Carnerosは俺をかなり強くぶん殴り、その勢いで俺の頭で腕時計を壊してしまった。
という感じでいきなり主人公Jimmyが殴られているところから始まる。
とにかく出合い頭に殴りつけてきたが、その理由には心当たりがない。Cejaは友人でずいぶん酔っぱらっているのは分かる。過剰に痛めつけたくはないが、身を守るためには仕方ない。しばしの応酬の後、股間を蹴り上げ、近くにあったビリアードの キューで殴りつけ、失神させる。
「お前の勝ちだ!」Bobby Mavesがバーカウンターの後ろから、Jimmyに賛辞を贈る。
「お前なんで助けないんだよ?」
「笑いすぎちまってな」
ここはPinky's Bar & Grill。オーナーのPinkyからパートタイムでBobbyがバーを任されている。
その日はBobbyからJimmyへ何度も「飲みに来いよ」との誘いが来ていたのだが、その気になれず無視していたところ、夜中になりオーナーのPinkyからBobbyが閉店時間になっても店を閉めず、居座っているので何とかしてくれ、との連絡が入り、 やむなく深夜3時にやってきたというわけだ。
本来は気のいい友人であるCejaが、なぜいきなり殴りつけて来たかという話。
そもそもCejaはPinkyがBobbyを何とかするために呼んだ警察官だったわけだが、結局Bobbyのペースに巻き込まれ、腰を据えて飲んでしまうことになる。
いくら呼んでも現れないJimmyへの愚痴となり、挙句にあいつ昔車のバックシートでお前の妹とやってたぞ、というような話に。
これがCejaの怒りに火を点けることになったわけだが、おい、あいつに妹なんていないじゃないか…。
とにかくのびたままのCejaをここに置いて行くわけにはいかない。こいつの家まで送ってやろう。
やっと店を閉め、Cejaを彼が乗って来たパトロールカーの後部座席へと放り込む。
パトカーに乗せられたことは何度もあるが、運転するのは初めてだぞ、とあがってるところへBobbyが、パトランプを点けてサイレンを鳴らそうぜ、と悪乗り。
そりゃあまずいだろうと言いつつ、結局それで道路を突っ走ってしまう…。
ところがCejaの家まで3マイルを残した地点でガス欠。どうしたものかとトランクを開け、中を探っていたが…。
翌朝…。Jimmyはサトウキビ畑の中で泥まみれで目覚める。悲しいことにこれが初めてってわけじゃない…。
少し離れたところで、既に目覚めていたBobbyがビールを放って来る。
人心地着いたところで道に駐めたパトカーのところに戻る。中を覗き込んで昨夜何があったか思い出す。
どうにも身動き取れなくなってカエルの鳴き声ばかりが響く路上でビールを飲んでいたJimmyとBobby。
酔っ払いの思い付きで、側溝の中からカエルを次々とすくい上げ、二人で窓の隙間から放り込む。
現在、いまだに目を覚まさず眠り続けるCejaは、車の中で死んだカエルに覆われている…。
Bobbyはパトカーの窓をノックし、Cejaは目を覚ます。
そして自分の状態に気付くとパニックになり、車から転げだす。「ここはどこだ?何が起こったんだ?お前ら何してんだ?」
Bobbyは真面目な声で答える。「俺たちはテキサス、ラレドの郊外にいる。お前は昨夜、CIA、PTA、Amazonの任務により徴発された。俺たちはここに未来から送られてきた。生き延びたいなら俺たちと一緒に来い」
「わけがわからん?なんでカエルなんだ?」
バカ話で笑っているところで、Bobbyの携帯が鳴る。
電話を取るBobby。「何だって?ゆっくり話せよ、Beck」
そして相手の話を聞くうちにBobbyの表情がみるみる真剣なものに変わって行く。
「なんで今まで連絡しなかったんだ?」Bobbyの声に怒りが滲み始め、やがて通話が終わる。
「どうしたんだ?何が起こった?」そう聞くJimmyを、初めてみるような表情で見返すBobby。
「Julieが5日家に戻っていない。誰も彼女を見てないし、どこに行ったのかも知らない。警察も何もつかめていない」携帯をまるでそのせいでそんな報せが来たかのように見つめ、そしてJimmyに視線を戻し言う。
「俺の娘が消えた」
冒頭、第1章15ページが大人げないにもほどがある田舎者悪友同士の馬鹿騒ぎに費やされた後、事件が勃発する。
この第1章で、読者はこの主人公たちが相当の馬鹿者だと、まず知らされる。だが、念のために断っておくがこれはコメディ作品ではないので。
BobbyとBeckyは幼稚園児の頃からの幼馴染だった。小さい頃は喧嘩ばかりしていた間柄だったが、ハイスクールの頃にはデートを重ねたり、離れたりという関係になる。誰もが誰もを知っているような田舎町では当たり前のことだった。
卒業後、Beckyは季節労働者だった両親と共に町を離れる。そしてそれっきりになるはずだった。
だがその5年後、Bobbyは自分に娘がいることを知る。
それぞれの生活があるBobbyとBeckyが一緒に暮らすことはなかったが、以来十年Bobbyは養育費を払い、誕生日にはプレゼントを贈り、娘Julieに対し、父親であることを努めて来た。
だが、決して本当の「父親」にはなれず距離を置いたまま16歳に成長したJulie。そしてそのJulieが失踪した…。
自宅に帰ったJimmyは、まず帰ったときの姿でAngieに呆れられ、そしてこれからBobbyを助けて一緒に彼の娘を探すことを話し、また呆れられる。
だが、Jimmyという人間がよくわかっているAngieは、彼を止めることはなく、早く無事に帰ってくるように告げる。
そしていつものように向かいのMr.Moralesのバーで遊んでいたJuanを連れ戻し、しばらく家を離れることを話す。
自身の母親が二度と帰ってこなかったという過去の傷から、父であるJimmyがいなくなることを怖れ、不安になるJuanに、必ず戻ると話し、出発するJimmy。
Bobbyの後を追いBeckyの家へ向かって車を走らせながら、JimmyはBobbyがJulieについて話していたことを思い出す。
Julieはこの一年ぐらい特に荒れ始めていた。酒に酔って帰って来て、ピアスも増える。引き出しの中に隠したマリファナ。ルーザーのボーイフレンド、年上のボーイフレンド。
学校の成績自体は悪くはなかったが、荒んだ行動が目立ち始めていた。
最後に会ったのはいつだ?とのJimmyの問いに、6、7か月前だと答えるbobby。「俺はあいつのことを何も知らなかったんだ」
Beckyの家に着くと、彼女の現在のパートナーである、化学の教師であるRussellが迎える。
Beckyの家にはJulieの失踪を心配して友人たちが多く詰めかけ、人通りの多いところで配るための失踪人捜索呼びかけチラシの制作を手伝っている。
Russellはその人たちのためにキッチンでお菓子を焼き続けている。悪い奴ではなさそうだが…。
BobbyはJulieの部屋で手掛かりを探しているが、途方に暮れかけている。
部屋を見まわしたJimmyは、壁に貼られた何枚かの画に目を止める。Julieの好んで描いた鳥の画に混ざって、タッチの違う昆虫の画。
その画には「From Angel」との署名があった。
Beckyも知らない名前だが、JimmyはJulieのフェイスブックから探れないかとRussellに借りたPCを立ち上げる。
Julieの友人で、Angelはひとり。姓がDe La Cueva。特徴的な名前で、電話帳で調べてみると一軒のみが見つかる。
JimmyとBobbyは直ちにその住所へと向かう。
が、探偵でも、もちろん警官でもない彼らにはそこからの方法は分からない。とりあえずノープランでまずドアをノック。
出てきたのは5歳ぐらいのパンツ一丁の男の子。「やあ、Angelはいるかな?僕らは彼の友達なんだ」「違う、あんたたちはAngelの友達じゃない。Angelに友達はいない」彼らの鼻先で閉じられるドア。
ノックを続け、出てきたのは45歳から75歳の間のいくつにも見える女性。スペイン語のみしか話せない…。
何とかの説明の後、やっとAngelの部屋に案内される。部屋にいたのは、彼らが現れても一向に手を止めることなく画を描き続ける少年。
Julieの行方を知らないか?君はJulieの友達だろう?「僕はJulieの友達だったことはないよ」とAngel。
「Julieは兄貴のGabeとその友達に会いに来てたんだ。ほら、帰って来たみたいだよ」
外からはバイクの音が聞こえてくる…。
やって来たのは見るからに話の通じなそうなメキシコバイクギャング予備軍という感じの三人組。一人はその手のグループらしいLos Hermanosのマークが入ったジャケットを着ている。
当然のように話は通じず乱闘に。喧嘩においては一日の長があるおっさん二人組が三人を倒し、Angelの兄であるGabeを連れてその場を離れる。
BobbyがGabeを連れて来たのは、地区の中でもあまり人の来る恐れのないさびれてほとんど忘れられた墓地。電話で呼び出したBeckyも合流する。
Jimmyが横で傍観する中、二人はGabeを問い詰める。ほぼ母親Beckyに気圧される形で、Gabeは話し始める。
Julieとはもうしばらく会ってない。聞いた話だと、JulieはLa Quintaに住んでる金持ちのところで働いてるらしい。迷彩塗装のハマーに乗ってる奴だって話だ。
La Quintaは、ゴルフ場の近くの金持ちが住んでいる地区だ。Gabeはそれ以上は何も知らないと言う。
Beckyを送って行くBobbyと別れた後、Gabeを家まで送ったJimmyは、今後の行動のために近隣で一番安いモーテルに部屋を取る。
やがてBobbyもやって来て、その部屋でビールとウィスキーを飲みながら作戦会議を始める。
夜になり、散々酔っぱらってきたところで、La Quintaに行き迷彩塗装のハマーが駐めてある家を探せばいいんじゃないか、ということになり出発する。
夜のLa Quintaを車でうろつき回った挙句、二人はパーティーが開かれている家の前にそのハマーを見つける。
大騒ぎをしていて、車に何をやっても気付かないパーティーの様子から、二人は家の中に入り車の持ち主であり、その家の主であるCraig Driskellという男を探し始める。
酔っぱらった男女をかき分け、奥の部屋で二人はDriskellを見つける。だが、その場にはもう一人、彼らの良く知る人物がいた。
Tomas Morales。
Tomas Moralesは、Jimmyの家の向かいでバーを経営するMr.Moralesの孫で、Jimmyとは幼馴染の間柄だが、成長した今はこの界隈の裏社会では最大の大物となっている。第1作『Dove Season』の事件では彼を助けてくれもした友人ではあるが、 犯罪社会の人間であることは変わりない。
そしてここに彼がいるということは、ここで何らかの犯罪に関わる事態が進行中ということを意味する。
とにかく部屋に入りDriskellを問い詰めようとするBobbyの前に、Driskellが雇った二人のマッチョ用心棒が立ち塞がるが、Jimmyも手を貸し片付ける。
Tomasが静観する前で、DriskellにJulieの行方を問い詰めるが、そんなやつは知らんとの答えが戻って来るばかり。
そこでTomasが、外で話そうと言い、JimmyとBobbyを外の庭へと連れ出す。
Tomasは二人に、Driskellとは重要な取引が進行中だから、奴には手を出すなと告げる。
Bobbyの娘を探している事情を話すと、Tomasは娘の写真はあるかと聞く。チラシを手渡すと、無言でそれを見つめるTomas。
業を煮やし食って掛かろうとするBobbyをTomasの用心棒Big PiwiとLittle Piwiが押しとどめる。割って助けに入ったJimmyだが、今度は全く歯が立たず、二人そろってプールに叩き込まれる。
プールから戻って来た二人に、どこに泊まってると聞くTomas。モーテルの名前を言うと、Bobbyをそこに送っていけとBig Piwiに指示する。
その必要はない、Bobbyは俺が連れて帰る、と言うJimmyだったが、Tomasは話があると言い彼だけを残す。
渋々ながらBig Piwiに連れられてBobbyが帰った後、Tomasは口を開く。
「俺はBobbyの娘がどこにいるのかは知らない。だが、見たことはある」
「どこでだ?いつだ?」
勢い込んで聞くJimmyに、TomasはDriskellの家を指さす。
その先にはリビングルームの超大型のTVスクリーン。そこには"エクストリームガールファイト:ランナウェイエディション"と題されたネット配信の番組が流されていた。
リングの上でベアナックルで闘う二人のメキシコ人少女。その一人がJulieだった…。
第1作『Dove Season』では主人公Jimmy Veeder Fiasco自身をめぐる父と子の物語が中心テーマであったが、この第2作『Plaster City』では親友Bobby Mavesの親子関係がメインとなって来る。物語後半ではBobbyがもういないことと思っているぐらいに 折り合いの悪い彼の父親(砂漠の真ん中で私設どうぶつ王国をやってる変人)も登場し、孫娘の救出に参戦して来る。
そしてJimmyと親友Bobbyとの友情。前作に於いて命にかかわるような危険な状況でも、何のためらいもなくJimmyの助けに駆け付けたBobbyに、今度はJimmyが全力でサポートに回る。子供時代から続く彼らの友情のなれそめも作中に挟まれて行く。
途中で一旦強調して書いたが、この作品はコメディではない。一応個人的な考えだが線引きをすると、最後まで安心して笑っていられるよう配慮して書かれたものがコメディに分類されるもので、これはそういう意図で書かれたものではないという意味。
コメディ作品ではないが、この作品は大変笑いどころも多い。深い考えも洞察力もない主人公たちが無計画にとにかく突進して行けばこうなるという出鱈目な行動を、熟考して書いたというようなもの。
とにかく話を聞くためという前提があっても、あまりに考えがないためそれ以前にグダグダになったり乱闘になったりというのは、最初の手掛かりを得てAngelの家へ行った時の状況に書いた通り。
更に、流れ的に長くなりすぎるので省略したが、Craig Driskellの迷彩塗装のハマーを見つけてからのところでは、まず車を揺すってアラームを鳴らし、持ち主を呼び寄せようとするが、鳴らない…。サイドウィンドウを叩き割るが、誰も来ない…。 ヘッドライトを点けてみるが、誰も来ない…。仕方ないので家に直接乗り込んで行くが、パーティーで大騒ぎしている誰にも止められないまま、Driskellに辿り着く、というような展開。
その間にも、車のシートの下に隠してあった拳銃を見つけ、Bobbyがそれを着服するのを見て、Jimmyがそれは盗みで犯罪になるんじゃないのか、と咎めると、開けっ放しの車の中に拳銃があったら遊んでた幼稚園児が間違って手にする危険があるだろうと、言い返す ギャグもあり。Driskellの家でも目的地の前にキッチンを見つけたらとりあえずビールを調達する、などなど。
単純に分類すると、やっぱランズデール、ハプレナあたりと同ラインで、お笑いシーンも多いがそれだけでは読めないというジャンル。ジョニー・ショー作品では『Big Maria(邦題『負け犬たち』)』に現れているように、「泣かせ」の部分ではもしかすると ショーの方に軍配が上がるかもとさえ思う。
捜していた娘が、明らかに何らかの犯罪に近い組織が関わっている、ネット配信の少女同士のルール無用格闘番組に出演していたという、あまりにも予想外の展開。JimmyとBobbyの探索はさらに続いて行く。
前作では悪党の避難場所と化した閉鎖された砂漠の真ん中の地熱発電所というようなワクワクする大舞台を見せ場に持ってきたショーだが、今作では同様に砂漠の真ん中で廃棄された小さな町ほどの規模がある、一面真っ白の石膏工場跡といったものを 用意して来る。それがタイトルになっている「Plaster City」。UCLAで脚本を学んだショーは、そういったビジュアルイメージでもワクワクするような見せ場を持ってくるのが非常にうまい。
と思ってたら、「Plaster City」って本当にインペリアル・バレーにあってまだ操業中みたいなんだが???タイトル検索したら出て来た。なんか鉄道とかも通ってるという話だし?作中では廃墟ということになっているのだが、 そこはフィクションということなのか?
えーと、よく分からないところもあるのだけど、とにかく作中のPlaster Cityは砂漠の真ん中にあるメキシコ系バイク・ギャングが占拠している一面真っ白ぐらいの巨大な廃墟!そこにJimmyとBobby、前作で活躍したお笑いコンビのBuck BuckとSnout、 更には現在のBeckyのパートナー化学教師のRussellも加わり、Julie奪還のために挑んで行く!
笑いと涙、熱い友情と熱い親子の物語にぶっ飛びバイオレンス山盛りの、絶対面白いジョニー・ショー印の大傑作!必読ナリ!
第1作『Dove Season』のカバーは酒瓶を呷る一人の人物のシルエットだったが、JimmyとBobbyの友情が中心となる今作『Plaster City』は二人の男のシルエットが描かれている。そして次作、多分最終作となる第3作では横に並ぶ5人の人物が 描かれている。次はいかなる展開になるのか気になるところだが、なんか貧乏性とかでまたこんな風に間が空かないようなるべく早く読むつもりです。その後色々出てるジョニー・ショー作品にも早く追いつかんといかんし。
というところのはずだったのだが、実は近年のショー作品を出版していたPolis Books今年春ぐらいに終了…。いくつかあったはずのショー作品も絶版状態となってしまっている。Polis Booksにはショー作品以外にも読まなければという作品が数多くあったんだが 残念なことである。Publishers Weeklyのサイトに掲載されたオーナーJason Pinterへのインタビュー によると、近年の新型コロナ状況が大打撃となってしまったとのこと。だが、同インタビューによれば、出版されていた多くの作品は、主に英国系のパブリッシャーへの移籍が進んでいるとのこと。ショー作品を含めたあれやこれも、多分来年ぐらいには また読めることとなるのだろう。
なんか猶予期間ができてしまったようにも見えるが、ここで勢いを落とさず、全作制覇の上で復刊・新作を待つぐらいの勢いで、絶対面白いジョニー・ショーを読み続けなければと思うところなのです。
カリフォルニア辺境の砂漠地帯を舞台にした2014年発表の本作だが、近年2023年発行のジョーダン・ハーパー『The Last King of California』でももうちょっと都市寄りではあるけど近いあたりが舞台とされていた。この辺も現代のハードボイルド、クライム作品が 向かっているアメリカの辺境へ向かうカントリー・ノワールや、メキシコ国境地帯といった傾向の中の重要な地点の一つなのだろう。例えば「フロリダもの」というようなのと同様に、ひとつ「カリフォルニア辺境もの」をジャンルぐらいの視点で 見て行くべきなんだろうと思う。